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電験3種 2024年度下期(令和6年度下期) 電力

17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2025年3月23日実施

電験三種(第三種電気主任技術者)の2024年度下期(令和6年度下期) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2025年3月23日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。

本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。

この回:令和6年度下期・電力:合格基準は100点満点中55点以上に引き下げ(筆記方式の公表値。原則60点)。

出典:令和6年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について(令和7年4月18日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。

この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。

過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。

問 1
水力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)で,主変圧器の結線が逆である。発電所の主変圧器は一般に発電機側をΔ結線,系統側をY結線とする。系統側をYにするのは中性点を引き出して接地でき,地絡保護と異常電圧の抑制ができるからで,発電機側をΔにするのは第3調波の励磁電流をΔ内で循環させて系統に流出させないためである。他の肢は正しい。(1)は発電機の端子電圧を自動電圧調整器(AVR),回転速度=周波数を調速機(ガバナ)で制御するという基本どおり。(2)のカプラン水車は可動羽根プロペラ水車で,流量に応じて羽根角度を変えられるので部分負荷でも効率が落ちにくい。(4)のペルトン水車はノズルから噴出する水の衝撃力でバケットを回す衝動水車である。(5)は N=120f/p の関係で,回転速度が小さいほど磁極数 p が多くなるという意味で正しい。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
汽力発電において,熱効率の向上を図る方法として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)。給水加熱器はタービンの途中から抽気した蒸気で「給水」を温める装置であり,上げるのは給水温度であって抽気温度ではない。抽気温度はタービンのどの段から抜くかで決まる量で,給水加熱器で操作するものではない。給水温度が上がればボイラで加える熱量が減り,これが再生サイクルによる効率向上の中身である。他は正しい。(1)(2)はランキンサイクルの効率が入口蒸気の温度・圧力と復水器の真空度(=排気圧力)で決まることから,(3)の再熱サイクルは膨張途中の蒸気を再びボイラで加熱して湿り度を下げつつ平均受熱温度を上げるもの,(5)の節炭器(エコノマイザ)は煙道の排ガス余熱で給水を予熱し,結果として排ガス温度を下げて損失を減らす装置である。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
次の文章は,汽力発電所における蒸気タービンの分類に関する記述である。 衝動タービンは,高温・高圧の蒸気が羽根に衝突するときに生ずる衝動力によってランナを回転させるもので,タービンのノズルを通る間に蒸気の圧力が (ア) し,高速度となってノズルから噴出する。この噴出した蒸気を前面の羽根に衝突させることにより,ランナを回転させる。羽根を通過する蒸気の通路の断面積が一様であり,羽根の出入口の蒸気の圧力は (イ) 。衝動タービンは蒸気の圧力が (ウ) のものに適する。 反動タービンは,衝動力と蒸気が回転羽根を離れるときの反動力を利用するもので,固定羽根で膨張させた蒸気を羽根に衝突させてランナを回転させるとともに,ランナの内部で蒸気を (エ) させ,排気するときの反動力を利用してランナを回転させる。反動タービンは,蒸気の圧力が (オ) のものに適する。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
ノズルは蒸気の圧力エネルギーを速度エネルギーに変える部品なので,通過する間に圧力は「降下」して流速が上がる。よって(ア)=降下で,(1)~(3)は同時に落ちる。衝動タービンは羽根の中で膨張させないので,羽根の出入口で圧力は「等しい」=(イ)。ここで(4)の「異なる」も消え(5)が残る。用途は,衝動タービンが1段で大きな熱落差を扱えるため高圧部に,反動タービンは膨張を段階的に行い低圧の大容量蒸気を効率よく扱えるため中低圧部に適するので(ウ)=高圧,(オ)=中低圧。反動タービンはランナ内部でも蒸気を「膨張」させ,噴き出す反動力を使うので(エ)=膨張である。実機ではこの性質から高圧段に衝動段,低圧段に反動段を配した組合せが多い。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
原子力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
誤りは(1)で,濃縮度の呼び方が逆である。天然ウラン中のウラン235 は約0.7 %しかなく,軽水炉ではこれを2~4 %程度に高めて使うが,この程度のものは「低濃縮ウラン」と呼ぶ。高濃縮ウランは一般に20 %以上を指し,商業用の軽水炉では使わない。数値そのもの(2~4 %)は正しいので,「2~4 %」と「高濃縮」が結び付かない点だけが誤りである。他は正しい。(2)は放射線・放射能・放射性物質の定義そのもの。(3)と(5)は対になっており,核分裂で飛び出すのは高速中性子だが,そのままでは次の核分裂を起こしにくいので,減速材(軽水・重水・黒鉛)との衝突でエネルギーを失わせて熱中性子にし,低速の中性子として次の核分裂を起こさせる。(4)はその連鎖反応の定義である。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
次の文章は,地熱発電及びバイオマス発電に関する記述である。 地熱発電は,地下から取り出した (ア) によってタービンを回して発電する方式であり,発電に適した地熱資源は (イ) に多く存在する。 バイオマス発電は,植物や動物が生成・排出する (ウ) から得られる燃料を利用する発電方式である。燃料の代表的なものには,木くずから作られる固形化燃料や,家畜の糞から作られる (エ) がある。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
地熱発電は生産井から噴出した熱水と蒸気を気水分離器で分け,「蒸気」でタービンを回す。熱水は流れそのものでタービンを回すのではなく還元井へ戻すか,バイナリー発電の熱源にするので(ア)=蒸気となり,(2)(5)が落ちる。地熱資源はマグマ由来の熱を必要とするため「火山地域」に偏在し,日本の地熱発電所も東北・九州の火山帯に集中する。(イ)=火山地域で(4)も消える。バイオマスは生物由来の「有機物」資源を指す語であり,(ウ)=有機物。残る(1)と(3)の差は(エ)だけで,家畜の糞をメタン発酵させて得られるのはメタンを主成分とするバイオガス=「気体燃料」である。液体燃料はサトウキビ等から作るバイオエタノールや廃食用油由来のバイオディーゼルが該当し,糞からは作らない。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問5
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問 6
次の文章は,調相設備に関する記述である。 一般に電力系統では,受電端電圧を一定に保つため,調相設備を負荷と (ア) に接続して無効電力の調整を行っている。 電力用コンデンサは力率を (イ) ために用いられ,分路リアクトルは力率を (ウ) ために用いられる。 同期調相機は,その (エ) を加減することによって,進み又は遅れの無効電力を連続的に調整することができる。 静止形無効電力補償装置は, (オ) でリアクトルに流れる電流を調整することにより,無効電力を高速に制御することができる。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
調相設備は母線と大地の間,すなわち負荷と「並列」に入れて無効電力だけをやりとりする。直列に入れるのは直列コンデンサなど別の目的の機器なので(ア)=並列で(2)(4)が落ちる。負荷は普通は誘導性で力率が遅れているから,電力用コンデンサはこれを打ち消して力率を「進める」向きに働く。逆に軽負荷時にケーブルや長距離線路の充電電流で力率が進みすぎるときは,分路リアクトルを入れて「遅らせる」。よって(イ)=進める,(ウ)=遅らせるとなり,これが逆の(3)(5)も消えて(1)が残る。同期調相機は無負荷運転の同期電動機で,「界磁電流」を過励磁にすると進み,不足励磁にすると遅れの無効電力を出すので(エ)=界磁電流。静止形無効電力補償装置(SVC)はサイリスタなどの「半導体スイッチ」の点弧角でリアクトル電流を連続的に変え,機械的な開閉なしに高速制御する。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の文章は,計器用変成器に関する記述である。 計器用変成器において,変流器の二次端子は,常に (ア) 負荷を接続しておかねばならない。特に,一次電流(負荷電流)が流れている状態では,絶対に二次回路を (イ) してはならない。これを誤ると,二次側に大きな (ウ) が発生し (エ) が過大となり,変流器を損傷する恐れがある。また,一次端子のある変流器は,その端子を被測定線路に (オ) に接続する。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
変流器(CT)は電流源として働き,二次側には電流計など「低インピーダンス」の負荷をつなぐ。電圧計のような高インピーダンス負荷をつなぐのは変圧器形の計器用変圧器(VT)で,CTでは逆である。よって(ア)=低インピーダンスとなり(1)(3)(5)が落ちる。一次電流が流れたまま二次回路を「開放」すると,一次電流の全部が励磁電流として働いて鉄心が深く飽和し,二次巻線に高い「電圧」(尖頭値で数kVに達することもある)が現れる。同時に鉄心の磁束変化が大きくなって「鉄損」が過大となり,発熱で焼損する。ここで(イ)=開放が決まり(2)も消える。CTは線路電流をそのまま測る機器なので,一次端子は被測定線路に「直列」に入れる。並列に入れるのはVTである。なお二次側で作業するときは短絡してから外すのがCT取扱いの鉄則で,「短絡はよいが開放は厳禁」という点がVTと正反対である。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
送配電線路や変電所におけるがいしの塩害とその対策に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)で,「絶縁電線の採用」はがいしの塩害対策ではない。塩害はがいし表面に付いた塩分が湿気を含んで導電性の皮膜となり,沿面で放電が進展して起こる現象なので,対策はがいし側で行う。電線を絶縁電線にしても,がいし表面の汚損はまったく減らない(絶縁電線は樹木接触や鳥獣害・混触対策として採用されるものである)。同じ肢に並ぶ「がいしの洗浄」「はっ水性物質(シリコーンコンパウンド等)の塗布」はいずれも正しい塩害対策なので,肢全体をまとめて正誤判定せず,語ごとに見ることが必要になる。他は正しい。(1)の沿面距離の延長・連結個数の増加(過絶縁)や耐霧がいし・長幹がいしの採用は基本対策である。(2)は塩分だけでなく塵埃など不溶性物質が水分を保持して汚損を助長するため。(3)は汚損部分の部分放電が可聴雑音・電波障害を生む。(5)は塩分の付着が事故後も残るため再閉路しても再びフラッシオーバしやすく,一過性の雷害に比べ再閉路成功率が低い。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
次の文章は,我が国の高低圧配電系統における保護について述べた文章である。 6.6 kV 高圧配電線路は,60 kV 以上の送電線路や送電用変圧器に比べ,電線路や変圧器の絶縁が容易であるため,故障時に健全相の電圧上昇が大きくなっても特に問題にならない。また,1 線地絡電流を (ア) するため (イ) 方式が採用されている。 一般に,多回線配電線路では地絡保護に地絡方向継電器が用いられる。これは,故障時に故障線路と健全線路における地絡電流が (ウ) となることを利用し,故障回線を選択するためである。 低圧配電線路で短絡故障が生じた際の保護装置として (エ) が挙げられるが,これは,通常,柱上変圧器の (オ) 側に取り付けられる。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
6.6 kV配電線路は絶縁が容易なので健全相の電圧上昇を許容でき,そのかわり1線地絡電流を「小さく」抑えて通信線への誘導障害や人体・機器への影響を減らす「非接地」方式を採る。ここで(ア)=小さく,(イ)=非接地が決まり,(2)(3)が落ちる。地絡方向継電器は零相電圧と零相電流の位相関係で故障回線を選ぶ装置で,故障回線では大地から電源へ向かう向き,健全回線では線路の対地静電容量を充電する向きに零相電流が流れるため,両者の位相は「逆位相」になる。同位相では区別できないので(ウ)=逆位相となり(1)(5)も消えて(4)が残る。(エ)(オ)は肢の組合せで決まるが,中身も確認しておくと,柱上変圧器には一次側に高圧カットアウト(PC)が取り付けられ,そのヒューズが変圧器の過負荷・内部故障だけでなく低圧側の短絡故障も遮断する。ケッチヒューズは低圧引込線に取り付ける保護具で,柱上変圧器に付くものではない。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
電圧6.6 kV,周波数60 Hz,こう長2 km の交流三相3 線式地中電線路がある。ケーブルの心線1 線当たりの静電容量を0.5 μF/km とするとき,このケーブルの心線3 線を充電するために必要な三相無負荷充電容量の値[kV·A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
こう長2 km なので心線1 線当たりの静電容量は C=0.5×2=1.0 μF。三相の無負荷充電容量は,1 相分の容量を3 倍して Q=3×2πf C(V/√3)² と書けるが,(V/√3)²の3 倍で√3 の2 乗が約分され,結局 Q=2πf C V² と,線間電圧をそのまま使う簡単な形になる。数値を入れると Q=2π×60×1.0×10⁻⁶×(6 600)²=376.99×10⁻⁶×4.356×10⁷≒1.64×10⁴ V·A=16.4 kV·A。答(3)。よくある取り違えは,相電圧 6 600/√3≒3 810 V を使って Q=2πfCV²=5.5 kV·A としてしまう形で,これは選択肢(1)に用意されている。「三相充電容量=2πfCV²(V は線間電圧)」と,線間電圧のまま代入できる形で覚えておくと,√3 の扱いで迷わない。またこう長を掛け忘れて C=0.5 μF とすると答が半分の8.2 kV·A になり,これも(2)として用意されている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
高圧受電設備を構成する機器に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)で,これは遮断器ではなく断路器(DS)の説明である。「点検・修理の際に電源から切り離す」「回路の接続を変更する」という目的で使うのは断路器で,断路器は電流を遮断する能力をもたないため必ず無負荷にしてから操作する。遮断器(CB)は負荷電流はもちろん短絡電流のような事故電流も遮断できる機器で,保護継電器と組み合わせて事故回路を切り離す役割を負う。他は正しい。(1)の避雷器は引込口近くに設置し,A 種接地工事(接地抵抗10 Ω以下)を施して異常電圧を大地へ逃がす。(2)のLBSは定格電流以下の負荷電流の開閉ができる開閉器で,限流ヒューズと組み合わせて短絡保護を分担させる使い方が一般的である。(4)のVCTはVT(計器用変圧器)とCT(変流器)を一つの箱に収めたもので,電力量計と組んで取引用計量に用いる。(5)は表現がやや込み入っているが,コンデンサは遅れ力率の負荷が必要とする遅れ無効電力を肩代わりして供給する(=進み無効電力を消費する)機器であり,記述どおりで正しい。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
三相3 線式交流送電線があり,電線1 線当たりの抵抗が R[Ω],受電端の線間電圧が V_r[V]である。今,受電端から力率 cosθ の負荷に三相電力 P[W]を供給しているものとする。 この送電線での3 線の電力損失を P_L とすると,電力損失率 P_L/P を表す式として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,線路のインダクタンス,静電容量及びコンダクタンスは無視できるものとする。
正解:2
三相電力の式 P=√3 V_r I cosθ から線電流は I=P/(√3 V_r cosθ)。3 線分の電力損失は P_L=3I²R であるから,P_L=3R×P²/(3(V_r cosθ)²)=RP²/(V_r cosθ)² となる。ここで3 と(√3)²=3 がちょうど約分される点が要点で,これを忘れると(5)の 3RP²/(V_r cosθ)² を選ぶことになる。求めるのは損失そのものではなく損失「率」なので,さらに P で割って P_L/P=RP/(V_r cosθ)²。答(2)。P が2 乗のまま残っている(3)(5)は損失率ではなく損失の式であり,次元を見るだけでも除外できる。この結果は「損失率は送電電力に比例し,電圧と力率の2 乗に反比例する」という送電の基本則そのもので,送電電圧を高くするほど損失が急速に減ることを表している。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
図のように高低差のない支持点A,B で支持されている径間 S が100 m の架空電線路において,導体の温度が30 ℃のとき,たるみ D は2 m であった。 導体の温度が60 ℃になったとき,たるみ D の値[m]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,電線の線膨張係数は1 ℃につき1.5×10⁻⁵ とし,張力による電線の伸びは無視するものとする。
問13の図
正解:3
電線の実長 L はたるみ D と径間 S から L=S+8D²/(3S) で近似できる。30 ℃のときは L=100+8×2²/(3×100)=100+0.106 667=100.106 667 m。温度が30 ℃上がると線膨張により L′=L(1+αΔt)=100.106 667×(1+1.5×10⁻⁵×30)=100.106 667×1.000 45≒100.151 715 m となる。この伸びをすべてたるみに置き換えて L′=S+8D′²/(3S) を D′ について解くと,8D′²/300=0.151 715 より D′²=5.689 3,D′≒2.39 m。答(3)。要点は,伸びるのは電線の実長であって径間ではないこと,そして伸び量そのものは45 mm程度とごく小さいのに,たるみは2 m から2.39 m へ約0.39 m も増えることである。L−S=8D²/(3S) が D の2 乗に比例するため,実長がわずかに伸びるだけでたるみは大きく変化する。たるみが線膨張と同じ0.045 %しか増えないと考えて 2×1.000 45≒2.00 m とすると(1)に,実長の伸びをそのままたるみに足して 2.045 m としても(1)付近となり誤答する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
送電線路及び配電線路で導電材料として利用される銅に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)で,導電率の大小が逆である。硬銅線を焼きなまして軟銅線にすると,加工でひずんだ結晶が回復して電子が散乱されにくくなるため,導電率は「高く」なる。実際,導電率の基準である標準軟銅を100 %とすると硬銅線は97 %程度で,軟銅線のほうが上である。同じ肢の前半にある「可とう性はよくなる」は正しく,焼きなましで軟らかくなり曲げやすくなる一方,引張強さは下がる。他は正しい。(1)は20 ℃での導電率が銀>銅>金>アルミニウムの順であること。(2)は導電率を標準軟銅比の百分率(%IACS)で表すという定義そのもの。(3)は電解精錬で得た電気銅(純度99.99 %級)を素材にすること。(5)は,曲げて敷設するCV ケーブルには可とう性の高い軟銅線を,張力がかかり続ける架空送電線には引張強さの大きい硬銅線を使うという用途の違いで,(4)で述べた「軟らかいが強度は低い」という性質の裏返しになっている。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
重油専焼火力発電所が出力1 000 MW で運転しており,発電端効率が41 %,重油発熱量が44 000 kJ/kg であるとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 ただし,重油の化学成分(重量比)は炭素85 %,水素15 %,炭素の原子量は12,酸素の原子量は16 とする。 〔小問(a)〕 重油消費量の値[t/h]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
発電端効率は「発電機出力÷燃料の発熱量」なので,必要な入熱は 1 000 MW÷0.41≒2 439 MW=2.439×10⁶ kJ/s。重油1 kg で44 000 kJ が得られるから,毎秒の消費量は 2.439×10⁶÷44 000≒55.4 kg/s。時間当たりに直すと 55.4×3 600≒1.995×10⁵ kg/h=約200 t/h。答(4)。ここでの要点は,効率で「割る」ことと,kJ/s=kW という単位の対応である。効率を掛けてしまうと 1 000×0.41÷44 000×3 600≒33.5 t/h となり選択肢に無く,誤りに気付ける。また秒→時の3 600 倍を忘れると55 kg となって桁が3 つずれる。答が約200 t/h=1 日約4 800 t という値は,100 万kW級の重油専焼火力の実績とも矛盾しない大きさである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
重油専焼火力発電所が出力1 000 MW で運転しており,発電端効率が41 %,重油発熱量が44 000 kJ/kg であるとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 ただし,重油の化学成分(重量比)は炭素85 %,水素15 %,炭素の原子量は12,酸素の原子量は16 とする。 〔小問(b)〕 1 日に発生する二酸化炭素の重量の値[t]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
小問(a)の200 t/h から,1 日の重油消費量は 200×24=4 800 t。このうち炭素は重量比85 %なので 4 800×0.85=4 080 t。炭素はすべて完全燃焼して二酸化炭素になるとすると,C+O₂→CO₂ の反応で炭素1 mol(12)からCO₂ 1 mol(12+16×2=44)が生じるから,重量は44/12≒3.67 倍になる。したがって二酸化炭素の発生量は 4 080×44/12≒1.50×10⁴ t=15.0×10³ t。答(3)。落とし穴は二つある。一つは水素15 %分で,水素が燃えて生じるのは水であって二酸化炭素ではないから,4 800 t 全量を炭素として計算してはいけない(そうすると4 800×44/12=17.6×10³ tとなり,これが誤答(4)として用意されている)。もう一つは44/12 の分子・分母の向きで,逆にすると 4 080×12/44≒1 113 t と桁違いになる。水素15 %分を差し引くこと,炭素をCO₂に換算するとき44/12 を掛けること,この二つを両方通して初めて15.0×10³ t にたどり着く。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
図1 のようなT 形回路(1 相分)があり,抵抗 r=20 Ω,リアクタンス x=80 Ω,アドミタンス Y=0.000 7 S である。V_r1=150 kV,I_r=400 A,負荷の力率(遅れ)cosθ_r=√3/2 のとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(a)〕 V_c[kV]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問16(a)の図
正解:3
図1 は1 相分の等価回路なので,V_r1=150 kV も求める V_c も1 相分の電圧として扱う。受電端電圧を基準にとると V̇_r1=150 000∠0° V,負荷力率は cosθ_r=√3/2 すなわち位相30°の遅れだから İ_r=400∠−30°=346.41−j200 A である。中央のアドミタンスまでの直列インピーダンスは Ż/2=(20+j80)/2=10+j40 Ω。よって V̇_c=V̇_r1+İ_rׯ/2 で,İ_rׯ/2=(346.41−j200)(10+j40)=(3 464.1+8 000)+j(13 856.4−2 000)=11 464+j11 856 V。したがって V̇_c=161 464+j11 856 V となり,大きさは √(161 464²+11 856²)≒161 900 V=161.9 kV。答(3)。この問題で最も間違えやすいのは,150 kV を線間電圧と読んで √3 で割ったり掛けたりすることで,そうすると171 kV や93 kV といった値になり,(4)などを選ぶことになる。「(1 相分)」と明記された等価回路では,図中の電圧はすべてその1 相の電圧である。また İ_r を実数のまま扱い,大きさどうしを足して V_c=150 000+400×|Ż/2|=150 000+400×41.23≒166 kV としてしまうと,どの選択肢とも合わない。力率が遅れているぶん電圧降下の向きが V̇_r1 と揃わないので,必ず複素数で加える。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問16(a)
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問 16(b)
図1 のようなT 形回路(1 相分)があり,抵抗 r=20 Ω,リアクタンス x=80 Ω,アドミタンス Y=0.000 7 S である。V_r1=150 kV,I_r=400 A,負荷の力率(遅れ)cosθ_r=√3/2 のとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(b)〕 V_s1[kV]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問16(b)の図
正解:4
小問(a)で求めた V̇_c=161 464+j11 856 V を使う。中央の枝に流れる電流は İ_c=Ẏ V̇_c=j0.000 7×(161 464+j11 856)=−8.3+j113.0 A(アドミタンスは容量性なので進み電流になる)。送電端電流はこれと負荷電流の和で İ_s=İ_r+İ_c=(346.41−j200)+(−8.3+j113.0)=338.1−j87.0 A。送電端電圧は V̇_s1=V̇_c+İ_sׯ/2 で,İ_sׯ/2=(338.1−j87.0)(10+j40)=(3 381+3 479)+j(13 524−870)=6 860+j12 655 V。よって V̇_s1=168 324+j24 511 V,大きさは √(168 324²+24 511²)≒170 100 V=170.1 kV。答(4)。要点は,中央のアドミタンスを通る電流の分だけ送電端側の電流が受電端側と異なることである。これを無視して İ_s=İ_r のまま計算すると V_s1≒174.5 kV となり,正解から4 kV以上ずれる。İ_c は V̇_c より90°進んだ電流で,30°遅れている負荷電流 İ_r とは向きが大きく異なるため,大きさの単純な足し算ではなく複素数で合成しなければならない。合成後の İ_s は大きさ349 A で İ_r の400 A より小さくなっており,容量分が遅れ電流を打ち消していることが読み取れる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問16(b)
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問 17(a)
送電線のフェランチ現象に関する問である。三相3 線式1 回線送電線の一相が図のπ形等価回路で表され,送電線路のインピーダンス jX=j200 Ω,アドミタンス jB=j0.800 mS とし,送電端の線間電圧が66.0 kV であり,受電端が無負荷のとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(a)〕 受電端の線間電圧の値[kV]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問17(a)の図
正解:2
受電端が無負荷なので,直列リアクタンス jX を流れる電流は受電端側の並列アドミタンス jB/2 を充電する電流だけであり,İ=j(B/2)V̇_r となる。1 相分で立式すると V̇_r=V̇_s−jX·İ=V̇_s−jX·j(B/2)V̇_r=V̇_s+(XB/2)V̇_r。ここで XB/2=200×0.800×10⁻³/2=0.08 だから V̇_r(1−0.08)=V̇_s,すなわち V_r=V_s/0.92 となる。送電端の相電圧は 66.0/√3≒38.105 kV なので受電端の相電圧は 38.105/0.92≒41.418 kV,線間電圧に直すと 41.418×√3≒71.7 kV。答(2)。線間どうしの比も同じ1/0.92 倍なので,66.0/0.92≒71.7 kV と線間電圧のまま計算しても同じ結果になる。受電端電圧が送電端より高くなるこの現象がフェランチ現象で,長距離送電線や地中ケーブル系統の軽負荷時に生じ,対策として分路リアクトルを投入する。符号を誤って V_r=V_s/(1+0.08) とすると61.1 kV と送電端より低くなり,フェランチ現象の定義そのものと矛盾するので,計算結果が送電端電圧を上回っているかで検算できる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問17(a)
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問 17(b)
送電線のフェランチ現象に関する問である。三相3 線式1 回線送電線の一相が図のπ形等価回路で表され,送電線路のインピーダンス jX=j200 Ω,アドミタンス jB=j0.800 mS とし,送電端の線間電圧が66.0 kV であり,受電端が無負荷のとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(b)〕 1 線当たりの送電端電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問17(b)の図
正解:4
π形回路の送電端電流は,直列枝を流れる電流と送電端側の並列アドミタンス jB/2 を流れる電流の和である。直列枝の電流は受電端側のアドミタンスを充電する電流に等しく,小問(a)で求めた受電端の相電圧41.418 kV を使って 41 418×0.400×10⁻³≒16.57 A。送電端側の並列枝には送電端の相電圧38.105 kV が掛かるので 38 105×0.400×10⁻³≒15.24 A。両者はどちらも電圧より90°進んだ電流で向きが同じなので単純に足せて,İ_s≒16.57+15.24=31.8 A。答(4)。B/2=0.400 mS を B のまま0.800 mS として使うと2 倍の値になり,また送電端側の並列枝を忘れると16.6 A となって(2)を選ぶことになる。受電端側の枝の電流のほうが大きいのは,フェランチ現象で受電端電圧のほうが高いためで,(a)の結果と整合している。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度下期 電力 問17(b)
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