📄 本試験 過去問題
電験3種 2023年度上期(令和5年度上期) 理論
18問 ・ 目安 正答率60% ・ 2023年8月20日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2023年度上期(令和5年度上期) 理論試験で実際に出題された全18問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2023年8月20日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和5年度上期・理論:合格基準は100点満点中60点以上(筆記方式の公表値)。
出典:令和5年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和5年9月12日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
電極板面積と電極板間隔が共に S[m²]と d[m]で,一方は比誘電率が ε_r1 の誘電体からなる平行平板コンデンサ C₁ と,他方は比誘電率が ε_r2 の誘電体からなる平行平板コンデンサ C₂ がある。今,これらを図のように並列に接続し,端子A,B 間に直流電圧 V₀[V]を加えた。このとき,コンデンサ C₁ の電極板間の電界の強さを E₁[V/m],電束密度を D₁[C/m²],また,コンデンサ C₂ の電極板間の電界の強さを E₂[V/m],電束密度を D₂[C/m²]とする。両コンデンサの電界の強さ E₁[V/m]と E₂[V/m]はそれぞれ (ア) であり,電束密度 D₁[C/m²]と D₂[C/m²]はそれぞれ (イ) である。したがって,コンデンサ C₁ に蓄えられる電荷を Q₁[C],コンデンサ C₂ に蓄えられる電荷を Q₂[C]とすると,それらはそれぞれ (ウ) となる。
ただし,電極板の厚さ及びコンデンサの端効果は,無視できるものとする。また,真空の誘電率を ε₀[F/m]とする。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる式の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
二つのコンデンサは並列なので,どちらにも同じ電圧 V₀ が加わる。平行平板の電界は電圧を間隔で割ったものだから
E₁=E₂=V₀/d
であり,誘電体の種類にはよらない。ここが最初の分かれ目で,(ア)に ε_r を含む式を置いた選択肢はこの時点で消える。
電束密度は D=εE=ε₀ε_r E なので
D₁=(ε₀ε_r1/d)V₀,D₂=(ε₀ε_r2/d)V₀
となる。電荷は電束密度に面積を掛けて
Q₁=D₁S=(ε₀ε_r1/d)SV₀,Q₂=D₂S=(ε₀ε_r2/d)SV₀
である。これらをすべて満たすのは(4)。
要点は「電圧が共通なら電界は誘電体によらず,比誘電率の違いは電束密度と電荷に効く」ことである。逆に電荷を一定に保つ場合は電束密度が共通になり,電界の方が比誘電率で変わる。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
静電界に関する次の記述のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
誤りは(5)である。導体内部に電界があると自由電子が力を受けて動き続けることになり,静電界(電荷の動きが止まった状態)ではありえない。電荷は表面に移動して内部の電界を打ち消すので,静電界では導体内部の電界は常に零である。一方,導体表面のすぐ外側には表面電荷による電界があり,表面に垂直な向きをもつ。したがって両者が等しくなることはない(これが静電遮へいの原理でもある)。
他は正しい。(1)電荷 Q から出る電気力線の総本数は Q/ε で,誘電率に反比例する。(2)交差すると1 点で電界の向きが2 通りになってしまうので交差しない。(3)等電位面に沿って動かしても仕事が0 になるには電界が面に垂直でなければならない。(4)電気力線の本数密度が電界の強さを表すというのが電気力線の定義である。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
磁気回路における磁気抵抗に関する次の記述のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)である。磁気抵抗は
R_m=l/(μS)=l/(μ₀μ_r S)
で表される。断面積 S は分母にあるので,磁気抵抗は断面積に反比例する。「比例する」は逆である。断面積が大きいほど磁束の通り道が広くなり通しやすくなる,と考えれば反比例であることは直感的にも分かる。
他は正しい。(1)は電気回路のオームの法則に対応する関係(起磁力=磁気抵抗×磁束)を変形したもの,(3)は上式の μ_r が分母にあること,(4)は磁路長 l が分子にあることによる。(5)は起磁力[A]を磁束[Wb]で割った単位が[A/Wb]=[H⁻¹]になることによる(1 H=1 Wb/A なので逆数が[H⁻¹])。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
磁界及び磁束に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)である。平行な2 本の直線電流の間に働く力は,導体1 m 当たり
F=μ₀I₁I₂/(2πr)
で表され,距離 r の1 乗に反比例する。2 乗に反比例するのは点電荷間のクーロン力である。力の向きについては,同じ向きの電流なら吸引力,反対向きなら反発力なので,「反発力」という部分は正しい。誤っているのは距離の依存性だけである。
他は正しい。(1)無限長ソレノイド内部の磁界 H は単位長さ当たりの巻数と電流だけで決まる(内部の物質で変わるのは磁束密度 B=μH であって磁界 H ではない)。(2)F=BIl sinθ より電流に比例する。(4)フレミングの左手の法則は中指=電流,人差し指=磁界,親指=力。(5)磁気回路と電気回路の対応は 起磁力↔起電力,磁束↔電流,磁気抵抗↔電気抵抗,透磁率↔導電率。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
図の直流回路において,抵抗 R=10 Ω で消費される電力の値[W]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
節点電圧法で解く。下側の導線を基準(0 V)とし,R の左端の節点を V₁,右端の節点を V₂ とする。
V₁ には60 V 電源から40 Ω を通して電流が入り,40 Ω が接地され,R を通って V₂ へ流れる。V₂ には80 V 電源から60 Ω を通して電流が入り,60 Ω が接地されている。
節点V₁:(60−V₁)/40=V₁/40+(V₁−V₂)/10
節点V₂:(80−V₂)/60+(V₁−V₂)/10=V₂/60
第1 式を40 倍すると 60=6V₁−4V₂,第2 式を60 倍すると 6V₁=8V₂−80 となる。これを解いて V₂=35 V,V₁=100/3≒33.33 V。
R の両端の電位差は
|V₁−V₂|=|33.33−35|=1.667 V
なので,消費電力は
P=(1.667)²/10=0.278 W
となり,最も近いのは0.28 W である。
二つの電源の電圧が近いため R の両端の電位差は小さく,消費電力は1 W にも満たない。電源電圧の大きさに引きずられて大きな値を選ばないよう注意したい。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
図のような直流回路において,3 Ω の抵抗を流れる電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
電流源が入っているので節点電圧法が早い。下側の導線を0 V とし,3 Ω と5 Ω と電流源が集まる節点の電位を V とする。左側は4 V 電源から3 Ω を通して,右側は5 Ω を通して接地へ,そして電流源が2 A をこの節点へ流し込んでいる。
(4−V)/3+2=V/5
両辺を15 倍して
5(4−V)+30=3V → 20−5V+30=3V → 8V=50 → V=6.25 V
したがって3 Ω を流れる電流は
I=(4−6.25)/3=−0.75 A
で,大きさは0.75 A である。
符号が負なのは,電流源が押し上げた電位のほうが電源電圧4 V より高くなり,電流が3 Ω を通って電源へ向かって逆流しているためである。問われているのは大きさなので0.75 A を選ぶ。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
図の回路において,スイッチS を閉じ,直流電源から金属製の抵抗に電流を流したとき,発熱により抵抗の温度が120 ℃ になった。スイッチS を閉じた直後に回路を流れる電流に比べ,抵抗の温度が120 ℃ になったときに回路を流れる電流は,どのように変化するか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,スイッチS を閉じた直後の抵抗の温度は20 ℃ とし,抵抗の温度係数は一定で0.005 ℃⁻¹ とする。また,直流電源の起電力の大きさは温度によらず一定とし,直流電源の内部抵抗は無視できるものとする。
正解:3
温度が t₁ から t₂ に上がったときの抵抗は
R₂=R₁{1+α(t₂−t₁)}
で表される。20 ℃ から120 ℃ への上昇なので
R₁₂₀=R₂₀{1+0.005×(120−20)}=R₂₀×1.5
となり,抵抗は1.5 倍になる。
電源の起電力は一定で内部抵抗も無視できるから,電流は抵抗に反比例して
I₁₂₀/I₂₀=1/1.5=0.667
すなわち約33 %の減少である。
「抵抗が50 %増える」と「電流が50 %減る」を混同しやすい。1.5 倍の逆数は0.5 ではなく0.667 なので,減少率は33 %であって50 %ではない。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
次の文章は,RLC 直列共振回路に関する記述である。
R[Ω]の抵抗,インダクタンス L[H]のコイル,静電容量 C[F]のコンデンサを直列に接続した回路がある。
この回路に交流電圧を加え,その周波数を変化させると,特定の周波数 f_r[Hz]のときに誘導性リアクタンス=2πf_r L[Ω]と容量性リアクタンス=1/(2πf_r C)[Ω]の大きさが等しくなり,その作用が互いに打ち消し合って回路のインピーダンスが (ア) なり, (イ) 電流が流れるようになる。この現象を直列共振といい,このときの周波数 f_r[Hz]をその回路の共振周波数という。
回路のリアクタンスは共振周波数 f_r[Hz]より低い周波数では (ウ) となり,電圧より位相が (エ) 電流が流れる。また,共振周波数 f_r[Hz]より高い周波数では (オ) となり,電圧より位相が (カ) 電流が流れる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(カ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
直列共振では二つのリアクタンスが打ち消し合ってインピーダンスが R だけになる。直列回路ではリアクタンスが消えるほどインピーダンスは小さくなるので,(ア)は「小さく」,(イ)は「大きな」電流である(並列共振ならインピーダンスが最大になり電流は最小になる。混同しやすい)。
周波数が共振周波数より低いと,2πfL は小さく 1/(2πfC) は大きくなるので容量性リアクタンスが勝ち,回路は(ウ)容量性になる。コンデンサに流れる電流は電圧より位相が進むので(エ)は「進んだ」。
逆に共振周波数より高いと 2πfL が勝って(オ)誘導性になり,コイルの電流は電圧より遅れるので(カ)は「遅れた」。よって(3)。
「低い周波数=容量性=進み位相」「高い周波数=誘導性=遅れ位相」を一組で覚えておくと迷わない。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
図のように,抵抗 R[Ω]と誘導性リアクタンス X_L[Ω]が直列に接続された交流回路がある。R/X_L=1/√2 の関係があるとき,この回路の力率 cosφ の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
RL 直列回路の力率は
cosφ=R/Z=R/√(R²+X_L²)
である。R/X_L=1/√2 なので,R=1,X_L=√2 とおくと
Z=√(1²+(√2)²)=√3
cosφ=1/√3=0.577
となり,最も近いのは0.58 である。
R/X_L=1/√2=0.707 という数値をそのまま力率としてしまうと(4)を選ぶことになるが,力率は「抵抗÷インピーダンス」であって「抵抗÷リアクタンス」ではない。なお cosφ=1/√3 のとき位相角は約54.7°である。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
図1 のように,インダクタンス L=5 H のコイルに直流電流源 J が電流 i[mA]を供給している回路がある。電流 i[mA]は図2 のような時間変化をしている。このとき,コイルの端子間に現れる電圧の大きさ|v|の最大値[V]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
コイルの電圧は v=L(di/dt) なので,電流の傾きが最も急なところを探せばよい。図2 を区間ごとに見ると
0〜5 ms:0→1.0 mA 傾き=1.0×10⁻³/5×10⁻³=0.2 A/s
5〜10 ms:1.0 mA で一定 傾き=0
10〜15 ms:1.0→0.5 mA 傾き=−0.5×10⁻³/5×10⁻³=−0.1 A/s
15〜20 ms:0.5 mA で一定 傾き=0
20〜22 ms:0.5→0 mA 傾き=−0.5×10⁻³/2×10⁻³=−0.25 A/s
となり,最も急なのは最後の2 ms の区間である。したがって
|v|=L×0.25=5×0.25=1.25 V
が最大値になる。
電流の変化幅が最も大きい最初の区間(1.0 mA の立ち上がり)に目が行きがちだが,傾きを決めるのは変化幅と時間の比である。最後の区間は変化幅こそ半分だが時間が2 ms しかないので傾きが最大になる。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
次の文章は,図1 及び図2 に示す原理図を用いてホール素子の動作原理について述べたものである。
図1 に示すように,p 形半導体に直流電流 I[A]を流し,半導体の表面に対して垂直に下から上向きに磁束密度 B[T]の平等磁界を半導体にかけると,半導体内の正孔は進路を曲げられ,電極①には (ア) 電荷,電極②には (イ) 電荷が分布し,半導体の内部に電界が生じる。また,図2 の n 形半導体の場合は,電界の方向は p 形半導体の方向と (ウ) である。この電界により,電極①-②間にホール電圧 V_H=R_H× (エ) [V]が発生する。
ただし,d[m]は半導体の厚さを示し,R_H は比例定数[m³/C]である。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
p 形半導体ではキャリヤが正孔(正の電荷)である。正孔は電流と同じ向きに動き,磁界からローレンツ力を受けて片側へ寄せられる。図1 の配置では正孔が電極①側に集まるので,(ア)は正,(イ)は負となる。
n 形半導体ではキャリヤが電子(負の電荷)で,しかも電流と逆向きに動く。速度の向きと電荷の符号が両方とも反転するため,ローレンツ力の向きは p 形と同じになり,電子が同じ側(電極①側)に集まる。ところが集まる電荷の符号が逆なので,生じる電界の向きは p 形と反対になる。よって(ウ)は反対。
(エ)は次元で確かめられる。R_H の単位が[m³/C]なので,これに掛けて[V]になるのは
[m³/C]×[T]×[A]/[m]=[m³/C]×[V·s/m²]×[C/s]/[m]=[V]
となる BI/d である。したがって(5)。ホール電圧が厚さ d に反比例するのは,薄いほどキャリヤの偏りが同じでも電界が強くなるためである。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
図のように,異なる2 種類の金属A,B で一つの閉回路を作り,その二つの接合点を異なる温度に保てば, (ア) 。この現象を (イ) 効果という。
上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
異なる2 種類の金属で閉回路を作り,二つの接合点に温度差をつけると起電力が生じる。これがゼーベック効果で,熱電対による温度測定の原理である。よって(5)。
(1)の「電流が流れる」は,閉回路である以上結果としては正しいが,現象の本質は温度差が起電力を生むことにある。そもそも(1)は(イ)がホールになっており,ホール効果は磁界中の導体に電流を流したときに電流と磁界の両方に直交する向きに電圧が現れる別の現象なので成り立たない。
(4)のペルチエ効果はゼーベック効果の逆で,接合点に電流を流すと一方で吸熱・他方で発熱が起こる現象である(電子冷却素子に使われる)。「温度差→起電力」がゼーベック,「電流→温度差」がペルチエ,と向きで区別する。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
図のコレクタ接地増幅回路に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
誤りは(5)である。コレクタ接地増幅回路(エミッタホロワ)は,出力電圧がそのまま入力側に戻る形になっており,実質的に100 %の負帰還がかかっている。負帰還は増幅回路内部で発生するひずみを減らす働きをするので,この回路のひずみはむしろ小さい。
他は正しく,いずれも100 %負帰還から導かれる性質である。(1)出力はベース電圧からベース-エミッタ間電圧を引いたものにほぼ等しく追従するので電圧増幅度は約1。(2)ベース電流はエミッタ電流の 1/(1+h_fe) しかないので入力インピーダンスは大きい。(3)出力インピーダンスは小さい。(4)この「入力を軽く受けて,出力は強く駆動できる」という性質から,前段と後段を切り離すための緩衝増幅器(バッファ)として使われる。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
図のように,線間電圧200 V の対称三相交流電源から三相平衡負荷に供給する電力を二電力計法で測定する。2 台の電力計 W₁ 及び W₂ を正しく接続したところ,電力計 W₂ の指針が逆振れを起こした。電力計 W₂ の電圧端子の極性を反転して接続した後,2 台の電力計の指示値は,電力計 W₁ が490 W,電力計 W₂ が25 W であった。このときの対称三相交流電源が三相平衡負荷に供給する電力の値[W]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,三相交流電源の相回転は a,b,c の順とし,電力計の電力損失は無視できるものとする。
正解:3
二電力計法では,三相電力は2 台の電力計の指示値の代数和で求める。 P=W₁+W₂
ここで注意すべきは,W₂ がもともと逆振れを起こしていたという点である。逆振れは指示値が負であることを意味し,極性を反転して読み取った25 W は本来の値の符号を変えたものだから,W₂ の真の値は−25 W である。したがって
P=490+(−25)=465 W
となる。
極性を反転したことを忘れて 490+25=515 とすると(5)を選ぶことになる。なお二電力計法で一方が負を示すのは力率が0.5 を下回るときで,この場合の力率は cosφ≒0.42 とかなり低い。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
図の平衡三相回路について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 端子a,c に100 V の単相交流電源を接続したところ,回路の消費電力は200 W であった。抵抗 R の値[Ω]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
端子a,c だけに電源をつなぐので,端子b につながる線には電流が流れない。Δ結線の3 辺のうち,a 側の頂点と c 側の頂点を直接結ぶ辺(R)と,b 側の頂点を経由する2 辺(R+R=2R)が並列になるから,Δ部分の抵抗は
R×2R/(R+2R)=2R/3
である。これに a 側と c 側の線路抵抗 R/2 が2 つ直列に加わるので,端子間から見た抵抗は
R/2+2R/3+R/2=5R/3
となる。消費電力の式から
P=V²/(5R/3)=100²/(5R/3)=200
5R/3=10000/200=50 → R=30 Ω
である。
線路抵抗 R/2 を2 本分(往復)数え忘れると値が合わない。単相で使うときは行きと帰りの2 本を通る点に注意したい。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
図の平衡三相回路について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 端子a,b,c に線間電圧200 V の対称三相交流電源を接続したときの全消費電力の値[kW]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
三相はY 換算して1 相分で考えるのが早い。Δ結線の R をY に変換すると1 相当たり R/3 になるので,1 相分の抵抗は
R/2+R/3=5R/6=5×30/6=25 Ω
である。相電圧は線間電圧を√3 で割って
200/√3=115.5 V
だから,1 相に流れる電流は
I=115.5/25=4.619 A
となる。全消費電力は3 相分なので
P=3I²×25=3×(4.619)²×25=1 600 W=1.6 kW
である。
Δ→Y 変換で抵抗が 1/3 になることと,線間電圧を相電圧に直すことの二つを踏むのが要点である。どちらか一方を忘れると3 倍または1/3 倍ずれた選択肢に着地してしまう。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
内部抵抗が15 kΩ の150 V 測定端子と内部抵抗が10 kΩ の100 V 測定端子をもつ永久磁石可動コイル形直流電圧計がある。この直流電圧計を使用して,図のように,電流 I[A]の定電流源で電流を流して抵抗R の両端の電圧を測定した。
測定Ⅰ:150 V の測定端子で測定したところ,直流電圧計の指示値は101.0 V であった。
測定Ⅱ:100 V の測定端子で測定したところ,直流電圧計の指示値は99.00 V であった。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,測定に用いた機器の指示値に誤差はないものとする。
〔小問(a)〕 抵抗R の抵抗値[Ω]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
電圧計をつなぐと,その内部抵抗が R と並列に入る。定電流源なので電流 I は一定で,指示値は「I×(R と内部抵抗の並列合成)」になる。内部抵抗を r とすると
V=I·Rr/(R+r)
である。二つの測定について
101.0=I·R×15 000/(R+15 000) ……①
99.00=I·R×10 000/(R+10 000) ……②
が成り立つ。①÷②で未知の I と R の積を消すと
101.0/99.00={15 000/(R+15 000)}÷{10 000/(R+10 000)}=1.5(R+10 000)/(R+15 000)
となる。分母を払って
101.0(R+15 000)=148.5(R+10 000)
101.0R+1 515 000=148.5R+1 485 000
47.5R=30 000 → R=632 Ω
である。
内部抵抗の大きい150 V 端子のほうが指示値が高いのは,並列にぶら下がる抵抗が大きいほど回路への影響(分流)が小さく,真の値に近い値を示すからである。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
内部抵抗が15 kΩ の150 V 測定端子と内部抵抗が10 kΩ の100 V 測定端子をもつ永久磁石可動コイル形直流電圧計がある。この直流電圧計を使用して,図のように,電流 I[A]の定電流源で電流を流して抵抗R の両端の電圧を測定した。
測定Ⅰ:150 V の測定端子で測定したところ,直流電圧計の指示値は101.0 V であった。
測定Ⅱ:100 V の測定端子で測定したところ,直流電圧計の指示値は99.00 V であった。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,測定に用いた機器の指示値に誤差はないものとする。
〔小問(b)〕 電流 I の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
小問(a)で R=632 Ω が求まったので,測定Ⅰの式に戻して I を求める。
101.0=I×632×15 000/(632+15 000)
並列合成抵抗は
632×15 000/15 632=606.4 Ω
だから
I=101.0/606.4=0.167 A
となり,最も近いのは0.17 A である。
測定Ⅱの式で確かめても
632×10 000/10 632=594.4 Ω,I=99.00/594.4=0.167 A
と同じ値になり,(a)の結果が正しいことが裏づけられる。なお電圧計をつながなければ R の両端には I×632=105.4 V が現れるはずで,電圧計自身が回路を乱していることが分かる。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問16(b)
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問 17(a)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
図のように,極板間の厚さ d[m],表面積 S[m²]の平行板コンデンサA とB がある。コンデンサA の内部は,比誘電率と厚さが異なる3 種類の誘電体で構成され,極板と各誘電体の水平方向の断面積は同一である。コンデンサB の内部は,比誘電率と水平方向の断面積が異なる3 種類の誘電体で構成されている。コンデンサA の各誘電体内部の電界の強さをそれぞれ E_A1,E_A2,E_A3,コンデンサB の各誘電体内部の電界の強さをそれぞれ E_B1,E_B2,E_B3 とし,端効果,初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。また,真空の誘電率を ε₀[F/m]とする。両コンデンサの上側の極板に電圧 V[V]の直流電源を接続し,下側の極板を接地した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 コンデンサA における各誘電体内部の電界の強さの大小関係とその中の最大値の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
コンデンサA は3 種類の誘電体が積み重なった直列構造なので,どの層も同じ電束密度 D が貫く。E=D/ε だから
E_A1:E_A2:E_A3=1/(2ε₀):1/(3ε₀):1/(6ε₀)=3:2:1
となり,比誘電率が最も小さい層の電界が最も大きい。よって E_A1>E_A2>E_A3 である。
次に大きさを求める。E_A1=3k,E_A2=2k,E_A3=k とおくと,各層の電圧の和が V に等しいから
V=3k(d/6)+2k(d/3)+k(d/2)=kd(1/2+2/3+1/2)=(5/3)kd
k=3V/(5d)
したがって最大値は
E_A1=3k=9V/(5d)
である。よって(4)。
k=3V/(5d) は E_A3 の値であって最大値ではない。ここで止めてしまうと(1)を選ぶことになるので,「最大値を問われている」ことを最後に確認したい。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問17(a)
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問 17(b)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
図のように,極板間の厚さ d[m],表面積 S[m²]の平行板コンデンサA とB がある。コンデンサA の内部は,比誘電率と厚さが異なる3 種類の誘電体で構成され,極板と各誘電体の水平方向の断面積は同一である。コンデンサB の内部は,比誘電率と水平方向の断面積が異なる3 種類の誘電体で構成されている。コンデンサA の各誘電体内部の電界の強さをそれぞれ E_A1,E_A2,E_A3,コンデンサB の各誘電体内部の電界の強さをそれぞれ E_B1,E_B2,E_B3 とし,端効果,初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。また,真空の誘電率を ε₀[F/m]とする。両コンデンサの上側の極板に電圧 V[V]の直流電源を接続し,下側の極板を接地した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 コンデンサA 全体の蓄積エネルギーは,コンデンサB 全体の蓄積エネルギーの何倍か,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
両コンデンサには同じ電圧 V が加わるので,蓄積エネルギー W=½CV² の比は静電容量の比に等しい。
コンデンサA は直列なので,逆数の和をとる。
1/C_A=(d/6)/(2ε₀S)+(d/3)/(3ε₀S)+(d/2)/(6ε₀S)
=d/(ε₀S)×(1/12+1/9+1/12)=d/(ε₀S)×10/36
C_A=3.6 ε₀S/d
コンデンサB は並列なので,そのまま和をとる。
C_B={2ε₀(S/6)+3ε₀(S/3)+6ε₀(S/2)}/d=ε₀S/d×(1/3+1+3)=4.333 ε₀S/d
したがって
W_A/W_B=C_A/C_B=3.6/4.333=0.83
となる。よって(2)。
同じ誘電体を同じ量だけ使っていても,積み重ねる(直列)か横に並べる(並列)かで静電容量が変わる。直列は最も容量の小さい層に引きずられて全体が小さくなるため,A のほうが B より小さくなる。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問17(b)
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問 18(a)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
振幅変調について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 図1 の波形は,正弦波である信号波によって搬送波の振幅を変化させて得られた変調波を表している。この変調波の変調度の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
変調度は,変調波の包絡線の最大値 A_max と最小値 A_min から
m=(A_max−A_min)/(A_max+A_min)
で求める。図1 を読み取ると,包絡線は最大 (3/2)a,最小 a/2 の間を振れているので
m={(3/2)a−(1/2)a}/{(3/2)a+(1/2)a}=a/(2a)=0.5
となる。
この式は「信号波の振幅÷搬送波の振幅」に等しい。実際,搬送波の振幅は (A_max+A_min)/2=a,信号波の振幅は (A_max−A_min)/2=a/2 なので(a/2)/a=0.5 と一致する。
包絡線の最大値と最小値の比 (3/2)a÷(1/2)a=3 をそのまま答えると(5)を選ぶことになるが,変調度は比ではなく上の定義式で求める。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問18(a)
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問 18(b)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
振幅変調について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 次の文章は,直線検波回路に関する記述である。
振幅変調した変調波の電圧を,図2 の復調回路に入力して復調したい。コンデンサ C[F]と抵抗 R[Ω]を並列接続した合成インピーダンスの両端電圧に求められることは,信号波の成分が (ア) ことと,搬送波の成分が (イ) ことである。そこで,合成インピーダンスの大きさは,信号波の周波数に対してほぼ抵抗 R[Ω]となり,搬送波の周波数に対して十分に (ウ) なくてはならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
復調とは,変調波から元の信号波を取り出すことである。したがって出力に残したいのは信号波の成分であり,取り除きたいのは搬送波の成分だから,(ア)は「ある」,(イ)は「なくなる」となる。ここを逆にした(3)(4)(5)はこの時点で消える。
(ウ)を決めるのは CR 並列回路の周波数特性である。コンデンサのインピーダンス 1/(2πfC) は周波数が高いほど小さくなるので,周波数の低い信号波に対しては C がほとんど効かず合成インピーダンスは R に近くなり,周波数の高い搬送波に対しては C が短絡に近く働いて合成インピーダンスは十分に小さくなる。小さければ搬送波の成分は電圧として現れない。よって(2)。
C を大きくしすぎると信号波まで短絡してしまい,小さすぎると搬送波が残るので,時定数 CR の選び方が復調の要になる。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 理論 問18(b)
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