📄 本試験 過去問題
電験3種 令和元年度 理論
18問 ・ 目安 正答率60% ・ 2019年9月1日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の令和元年度 理論試験で実際に出題された全18問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2019年9月1日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和元年度・理論:合格基準は100点満点中55点以上に引き下げ(試験センターの公表値。原則60点)。
出典:令和元年度第三種電気主任技術者試験の結果について(令和元年10月18日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
図のように,真空中に点P,点A,点Bが直線上に配置されている。点PはQ[C]の点電荷を置いた点とし,A−B間に生じる電位差の絶対値を|V_AB|[V]とする。次の(a)〜(d)の四つの実験を個別に行ったとき,|V_AB|[V]の値が最小となるものと最大となるものの実験の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
[実験内容]
(a) P−A間の距離を2 m,A−B間の距離を1 mとした。
(b) P−A間の距離を1 m,A−B間の距離を2 mとした。
(c) P−A間の距離を0.5 m,A−B間の距離を1 mとした。
(d) P−A間の距離を1 m,A−B間の距離を0.5 mとした。
正解:2
点電荷から距離r[m]離れた点の電位は V=Q/(4πε₀r) で、rに反比例する。したがってA−B間の電位差は
|V_AB|=Q/(4πε₀)×|1/r_A−1/r_B|
となり、比例定数を除いた |1/r_A−1/r_B| の大小を比べればよい。r_Aは点Pから点Aまで、r_Bは点Pから点Bまでの距離である。
(a) r_A=2,r_B=2+1=3 → |1/2−1/3|=1/6≒0.167
(b) r_A=1,r_B=1+2=3 → |1−1/3|=2/3≒0.667
(c) r_A=0.5,r_B=0.5+1=1.5 → |2−0.667|=1.333
(d) r_A=1,r_B=1+0.5=1.5 → |1−0.667|=0.333
最小は(a)、最大は(c)となり答(2)。
注意すべきは、r_Bが「A−B間の距離」そのものではなく「P−A間+A−B間」だという点である。電位はあくまで点Pからの距離で決まるので、点Bまでの距離は足し算になる。ここを取り違えると別の順序になる。
電位は距離の逆数なので、点Pに近いほど1点の変化が大きく効く。(c)は点Aが0.5 mと最も近いため、わずかな距離の違いで電位が大きく変わり、電位差が最大になる。逆に(a)は点Aも点Bも遠く、電位の変化がゆるやかなので電位差が最小になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
図のように,極板間距離d[mm]と比誘電率ε_rが異なる平行板コンデンサが接続されている。極板の形状と大きさは全て同一であり,コンデンサの端効果,初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。印加電圧を10 kVとするとき,図中の二つのコンデンサ内部の電界の強さE_A及びE_Bの値[kV/mm]の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
直列につないだコンデンサには同じ電荷が蓄えられる。極板の面積が同一なので電束密度Dも同じになり、各コンデンサの内部の電界は
E=D/(ε₀ε_r)
で、比誘電率ε_rだけで決まる。
E_Aを含む左の枝は、d=2 mm・3 mm・5 mmの三つが直列だが、比誘電率はどれもε_r=3で同じである。したがって三つとも電界の強さが等しく、その枝にかかる10 kVを厚さの合計で割ればよい。
E_A=10/(2+3+5)=10/10=1.0 kV/mm。
E_Bを含む中央の枝も、d=4 mm・6 mmの二つが直列で比誘電率はどちらもε_r=2である。同じように
E_B=10/(4+6)=1.0 kV/mm。
したがって答(3)。
比誘電率が同じ枝では、電界は厚さによらず一様になり、枝全体を1枚の誘電体とみなして「電圧÷全厚さ」で求められる。厚さの違うコンデンサが直列でも、比誘電率が同じなら電界は変わらない、という点がこの問題の要である。
(1)や(4)は、自分の厚さだけで割った値(10/2=5、10/4=2.5…)や、電圧を厚さで分け合うと考えた場合に出る。枝の中で電界が一定なのだから、電圧は厚さに比例して分かれる。2 mmの部分にかかるのは 1.0×2=2 kV である。
右の枝(d=10 mm,ε_r=1)はE_A・E_Bとは無関係で、三つの枝が並列に10 kVを受けているだけである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
図は積層した電磁鋼板の鉄心の磁化特性(ヒステリシスループ)を示す。図中のB[T]及びH[A/m]はそれぞれ磁束密度及び磁界の強さを表す。この鉄心にコイルを巻きリアクトルを製作し,商用交流電源に接続した。実効値がV[V]の電源電圧を印加すると図中に矢印で示す軌跡が確認された。コイル電流が最大のときの点は (ア) である。次に,電源電圧実効値が一定に保たれたまま,周波数がやや低下したとき,ヒステリシスループの面積は (イ) 。一方,周波数が一定で,電源電圧実効値が低下したとき,ヒステリシスループの面積は (ウ) 。最後に,コイル電流実効値が一定で,周波数がやや低下したとき,ヒステリシスループの面積は (エ) 。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
ヒステリシスループの横軸は磁界の強さHで、H=NI/l よりコイル電流に比例する。したがってコイル電流が最大になるのは、Hが最も大きい点である。
(ア) 図の点2はループの右上の頂点で、Hが最大の点である。点1は原点(H=0,B=0)、点3はH=0でBが残っている残留磁束密度の点なので、どちらも電流最大ではない。
(イ) コイルに加わる電圧は V=4.44fΦN なので、Vが一定のまま周波数fが下がると磁束Φすなわち磁束密度Bが増える。ループは縦に大きく広がり、面積は大きくなる。
(ウ) 同じ式で、周波数が一定のまま電圧Vが下がると磁束密度Bが減る。ループは縦に縮み、面積は小さくなる。
(エ) ヒステリシスループはBとHの関係を表す材料そのものの性質で、周波数にはほとんどよらない。コイル電流実効値が一定ならHの振れ幅が同じなので、周波数が変わってもループの形はあまり変わらない。
点2/大きくなる/小さくなる/あまり変わらないとなり答(2)。
(イ)と(ウ)は V=4.44fΦN の同じ式から、fとVのどちらを動かすかで逆向きに出てくる。
(エ)は「ヒステリシス損はループの面積×周波数」であって、面積そのものは周波数によらない、という区別が問われている。損失が周波数に比例するのは、1秒あたりにループを回る回数が増えるからである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
図のように,磁路の長さl=0.2 m,断面積S=1×10⁻⁴ m²の環状鉄心に巻数N=8 000の銅線を巻いたコイルがある。このコイルに直流電流I=0.1 Aを流したとき,鉄心中の磁束密度はB=1.28 Tであった。このときの鉄心の透磁率μの値[H/m]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,コイルによって作られる磁束は,鉄心中を一様に通り,鉄心の外部に漏れないものとする。
正解:5
まずアンペアの周回路の法則から磁界の強さを求める。環状鉄心では磁路の長さlに沿って
H l=N I
が成り立つので
H=N I/l=8 000×0.1/0.2=4 000 A/m。
つぎに B=μH の関係から透磁率を出す。
μ=B/H=1.28/4 000=3.2×10⁻⁴ H/m。答(5)。
断面積S=1×10⁻⁴ m²はこの小問では使わない。磁束Φ=BSを求めるときに要る値で、透磁率を出すだけなら不要である。与えられた数値をすべて使わなければならない、と考えないこと。
真空の透磁率は μ₀=4π×10⁻⁷≒1.26×10⁻⁶ H/m なので、比透磁率は
μ_r=3.2×10⁻⁴/1.26×10⁻⁶≒254
となり、鉄心の材料として無理のない値である。この確かめをしておくと桁の取り違えに気づける。
NI=8 000×0.1=800 A(起磁力)を磁路の長さ0.2 mで割る、という手順を固定する。巻数と電流を掛けてから長さで割る、の順である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
図のように,七つの抵抗及び電圧E=100 Vの直流電源からなる回路がある。この回路において,A−D間,B−C間の各電位差を測定した。このとき,A−D間の電位差の大きさ[V]及びB−C間の電位差の大きさ[V]の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
回路の形をほどく。電源の+側の節点をP、−側の節点をNとすると、Pから右側の節点Qまでのあいだに「60 Ωの枝」と「20+20+20=60 Ωの枝(A・Bはその途中の点)」が並列に入り、QからNまでは「4+6+10=20 Ωの枝(D・Cはその途中の点)」がつながっている。
並列部分は 60∥60=30 Ω なので、回路全体は 30+20=50 Ω。電源電流は
I=100/50=2 A。
この2 Aは下の枝をそのまま流れ、並列部分では1 Aずつに分かれる。
各点の電位を、Nを0 Vとして求める。P=100 Vである。
並列部分の電圧降下は 2×30=60 V なので Q=100−60=40 V。
中段の枝(1 A):A=100−1×20=80 V,B=100−1×40=60 V。
下段の枝(2 A、QからNへ流れる):Nから逆にたどると D=0+2×4=8 V,C=8+2×6=20 V,そしてQ=20+2×10=40 V となり、上で求めたQと一致する。
したがって
|V_AD|=|80−8|=72 V,|V_BC|=|60−20|=40 V。答(5)。
下段の枝には全電流2 Aが流れ、中段の枝には半分の1 Aしか流れない。この違いを見落として両方を同じ電流で計算すると値が合わなくなる。
最後にQを二通りで求めて一致することを確かめておくと、電位の追い方が正しいことの検算になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
図に示す直流回路は,100 Vの直流電圧源に直流電流計を介して10 Ωの抵抗が接続され,50 Ωの抵抗と抵抗R[Ω]が接続されている。電流計は5 Aを示している。抵抗R[Ω]で消費される電力の値[W]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお,電流計の内部抵抗は無視できるものとする。
正解:5
電流計が示す5 Aは、10 Ωの抵抗を流れる全電流である。まずこの抵抗での電圧降下を出す。
5×10=50 V。
電源電圧は100 Vなので、並列部分(Rと50 Ω)にかかる電圧は
100−50=50 V。
50 Ωの抵抗を流れる電流は
50/50=1 A。
したがってRを流れる電流は
5−1=4 A。
Rで消費される電力は「電圧×電流」で
P=50×4=200 W。答(5)。
Rの値そのものを出すなら R=50/4=12.5 Ω だが、電力を求めるだけなら電圧と電流の積で足りる。
(4)の100は、50 Ωを流れる電流1 Aと全電圧100 Vを掛けるなど、対応しない電圧と電流を掛けた場合に出る。電力を求めるときは、必ず同じ素子の電圧と電流を組にする。
検算として全体の電力収支を見る。電源が出す電力は 100×5=500 W、10 Ωで 5²×10=250 W、50 Ωで 50×1=50 W、Rで200 W。合計 250+50+200=500 W で一致する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
図のように,三つの抵抗R₁[Ω],R₂[Ω],R₃[Ω]とインダクタンスL[H]のコイルと静電容量C[F]のコンデンサが接続されている回路にV[V]の直流電源が接続されている。定常状態において直流電源を流れる電流の大きさを表す式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
定常状態の直流回路では、コンデンサは電流を流さない(開放と同じ)、コイルは電圧降下を生じない(短絡と同じ)と扱える。
CとR₁が直列になっている枝は、Cが開放なので電流がまったく流れない。したがってR₁は回路から消える。
LとR₂が直列になっている枝は、Lが短絡なのでR₂だけが残る。
R₃の枝はそのままR₃である。
残るのはR₂とR₃の並列だけなので、合成抵抗は
1/(1/R₂+1/R₃)
となり、電源を流れる電流の大きさは
I=V÷{1/(1/R₂+1/R₃)}=V(1/R₂+1/R₃)。答(4)。
選択肢は「V÷合成抵抗」の形で書かれているので、どの抵抗が残るかだけを判断すればよい。
(5)は三つとも残るとした場合で、コンデンサが直流を流さないことを見落としている。(1)はコイルの枝まで消してしまった場合である。
「コンデンサは直流を通さない・コイルは直流に対してただの導線」という二つを、枝ごとに当てはめる。定常状態と断ってあるのは、過渡状態を考えなくてよいという指示である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
図の回路において,正弦波交流電源と直流電源を流れる電流Iの実効値[A]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,E_aは交流電圧の実効値[V],E_dは直流電圧の大きさ[V],X_cは正弦波交流電源に対するコンデンサの容量性リアクタンスの値[Ω],Rは抵抗値[Ω]とする。
正解:3
交流電源と直流電源が直列に入っているので、重ね合わせの理で直流分と交流分に分けて求め、最後に実効値として合成する。
直流分:コンデンサは直流を通さないので、R=10 Ωだけに流れる。
I_d=E_d/R=100/10=10 A。
交流分:RとX_cが並列になっているので、アドミタンスで足す。抵抗のアドミタンスは 1/10=0.1 S、コンデンサのアドミタンスの大きさは 1/10=0.1 Sで、両者は直角なので
|Y|=√(0.1²+0.1²)≒0.141 S。
I_a=E_a|Y|=100×0.141=14.1 A。
実効値の合成:直流分と交流分は周波数が違うので、二乗して足してから平方根をとる。
I=√(I_d²+I_a²)=√(10²+14.1²)=√(100+200)=√300≒17.3 A。答(3)。
(1)の10.0は直流分だけ、(2)の14.1は交流分だけの値である。どちらか一方で止めないこと。
(4)の20.0は 10+14.1 …ではなく、単純に足し合わせようとした場合に近い値である。周波数の違う成分どうしは足せない。実効値は「二乗平均の平方根」なので、二乗して足す。
直流分ではコンデンサが開放、交流分では並列に効く——同じ素子でも成分ごとに扱いが変わる、というのがこの問題の要である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
図は,実効値が1 Vで角周波数ω[krad/s]が変化する正弦波交流電源を含む回路である。いま,ωの値がω₁=5 krad/s,ω₂=10 krad/s,ω₃=30 krad/sと3通りの場合を考え,ω=ω_k(k=1, 2, 3)のときの電流i[A]の実効値をI_kと表すとき,I₁, I₂, I₃の大小関係として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
R・C・Lが並列なので、アドミタンスで考える。
Y=1/R+j(ωC−1/(ωL))
で、電源電圧は1 Vだから電流の大きさはそのまま|Y|に等しい。
R=100 kΩ のコンダクタンスは 1/100 000=1×10⁻⁵ S で、他に比べて桁違いに小さく、ほとんど効かない。
サセプタンス B=ωC−1/(ωL) を3通りで計算する。ωは krad/s=10³ rad/s であることに注意する。
ω₁=5×10³:ωC=5×10³×10×10⁻⁶=0.05 S,1/(ωL)=1/(5×10³×1×10⁻³)=0.2 S → B=−0.15 S
ω₂=10×10³:ωC=0.1 S,1/(ωL)=0.1 S → B=0 S
ω₃=30×10³:ωC=0.3 S,1/(ωL)≒0.033 S → B=0.267 S
電流の大きさは |Y|≒|B| なので
I₁≒0.15 A,I₂≒1×10⁻⁵ A,I₃≒0.267 A。
したがって I₂ < I₁ < I₃ となり答(3)。
ω₂=10 krad/s は並列共振の角周波数である。ωC=1/(ωL) となってコイルとコンデンサの電流が打ち消し合い、電源から見ると抵抗だけが残る。並列共振ではインピーダンスが最大=電流が最小になるので、I₂が飛び抜けて小さい。
共振角周波数は ω₀=1/√(LC)=1/√(1×10⁻³×10×10⁻⁶)=1/√(10⁻⁸)=10⁴ rad/s=10 krad/s で、ω₂と一致する。この一致に気づけば、I₂が最小であることは計算せずに分かる。
krad/s を rad/s に直し忘れると、ωC も 1/(ωL) も桁が3つずれる。単位の接頭辞は最初に外しておく。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
図のように,電圧1 kVに充電された静電容量100 μFのコンデンサ,抵抗1 kΩ,スイッチからなる回路がある。スイッチを閉じた直後に過渡的に流れる電流の時定数τの値[s]と,スイッチを閉じてから十分に時間が経過するまでに抵抗で消費されるエネルギーWの値[J]の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
時定数はRとCの積である。
τ=RC=1×10³×100×10⁻⁶=0.1 s。
消費されるエネルギーは、コンデンサに蓄えられていた静電エネルギーがすべて抵抗で熱になる、と考えればよい。放電しきったあとコンデンサの電圧は0 Vになるので、蓄えられていたエネルギーの全部が抵抗で消費される。
W=(1/2)CV²=0.5×100×10⁻⁶×(1×10³)²=0.5×100×10⁻⁶×10⁶=50 J。答(2)。
(3)の1 000は (1/2) を掛け忘れた場合の値の…ではなく、CV²=100×10⁻⁶×10⁶=100 J でもない。1 000は電圧の値そのもので、エネルギーとは単位が違う。
積分を使わなくてよいところがこの問題の要点である。時間の経過を追って i(t)=(V/R)e^(−t/τ) を二乗して積分しても同じ50 Jになるが、エネルギー保存で考えれば一行で済む。
単位の接頭辞をそろえるところだけ気をつける。1 kΩ=10³ Ω、100 μF=10⁻⁴ F、1 kV=10³ V である。τ=10³×10⁻⁴=10⁻¹ s と、指数の足し算で確かめられる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
次の文章は,太陽電池に関する記述である。
太陽光のエネルギーを電気エネルギーに直接変換するものとして,半導体を用いた太陽電池がある。p形半導体とn形半導体によるpn接合を用いているため,構造としては (ア) と同じである。太陽電池に太陽光を照射すると,半導体の中で負の電気をもつ電子と正の電気をもつ (イ) が対になって生成され,電子はn形半導体の側に, (イ) はp形半導体の側に,それぞれ引き寄せられる。その結果,p形半導体に付けられた電極がプラス極,n形半導体に付けられた電極がマイナス極となるように起電力が生じる。両電極間に負荷抵抗を接続すると太陽電池から取り出された電力が負荷抵抗で消費される。その結果,負荷抵抗を接続する前に比べて太陽電池の温度は (ウ) 。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
(ア) 太陽電池はp形半導体とn形半導体を接合したpn接合が一つだけの素子で、構造としてはダイオードと同じである。トランジスタはpn接合を二つ持ち、端子も三つあるので当てはまらない。
(イ) 半導体の中で電子と対になって生成される正の電気の担い手は正孔(ホール)である。陽イオンは原子核ごと動く別のもので、半導体の中を自由に移動できない。
(ウ) 負荷抵抗をつなぐと、太陽電池が受け取った光のエネルギーの一部が電力として外へ取り出される。開放のままだと取り出せる先がなく、吸収したエネルギーはすべて熱になる。外へ持ち出されるぶんだけ内部で熱になる量が減るので、温度は低くなる。
ダイオード/正孔/低くなるとなり答(1)。
(ウ)は直感に反するかもしれないが、エネルギーの行き先を数えれば分かる。太陽電池が受ける光の量は負荷の有無で変わらないので、電力として出ていくぶんは熱にならない。
太陽電池の温度が上がると変換効率は下がる。だから実際の設置でも、パネルの裏面に風が通るようにして温度を下げる工夫がされる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
図のように,極板間の距離d[m]の平行板導体が真空中に置かれ,極板間に強さE[V/m]の一様な電界が生じている。質量m[kg],電荷量q(>0)[C]の点電荷が正極から放出されてから,極板間の中心d/2[m]に達するまでの時間t[s]を表す式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,点電荷の速度は光速より十分小さく,初速度は0 m/sとする。また,重力の影響は無視できるものとし,平行板導体は十分大きいものとする。
正解:1
点電荷が受ける力は F=qE で一定なので、加速度も一定である。
a=F/m=qE/m。
初速度0の等加速度運動なので、時間tのあいだに進む距離は
x=(1/2)at²。
進む距離は極板間の中心までの d/2 だから
d/2=(1/2)×(qE/m)×t²。
両辺の1/2が消えて
d=(qE/m)t² → t²=md/(qE) → t=√(md/(qE))。答(1)。
両辺に1/2があって打ち消し合うところが、この問題の仕掛けである。d/2 の 1/2 と (1/2)at² の 1/2 を片方だけ処理すると、(2)の √(2md/(qE)) になる。式を立ててから約分する、という順序を守れば間違えない。
単位で確かめることもできる。md/(qE) の単位は [kg]×[m]÷([C]×[V/m])。分母は [C·V/m]=[J/m]=[N] なので、全体は [kg·m/N]=[kg·m/(kg·m/s²)]=[s²] となり、平方根をとって[s]になる。(3)(4)(5)は同じ確かめをすると時間の単位にならない。
初速度0・力が一定という二つの条件が、等加速度運動の公式をそのまま使える根拠である。設問が「初速度は0 m/s」「重力の影響は無視」と断っているのはそのためである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
図のように電圧増幅度A_v(>0)の増幅回路と帰還率β(0<β≦1)の帰還回路からなる負帰還増幅回路がある。この負帰還増幅回路に関する記述として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,帰還率βは周波数によらず一定であるものとする。
正解:5
負帰還増幅回路全体の電圧増幅度は
A_f=A_v/(1+A_vβ)
である。A_v>0、β>0なので分母は必ず1より大きく、A_f<A_v になる。したがって利得は必ず低下する。(5)が正しく、これが答になる。
他の記述を確かめる。
(1)負帰還をかけると利得は下がるが、そのぶん帯域幅は広がる。利得と帯域幅の積がほぼ一定に保たれるためで、帯域幅は狭くならない。
(2)負帰還の最大の利点は利得が安定することである。A_vβが1より十分大きければ A_f≒1/β となり、増幅回路自体の特性(電源電圧の変動や素子のばらつき)にほとんど左右されなくなる。不安定になるのではなく安定になる。
(3)増幅回路の内部で発生したひずみや雑音も帰還によって打ち消される向きに働くので、減少する。
(4)A_f≒1/β という近似が成り立つのは A_vβ が1より十分大きいときである。「小さいとき」としているので誤り。A_vβが1より十分小さければ分母がほぼ1になり、A_f≒A_v となって帰還の効果がほとんど出ない。
(2)(3)(4)はいずれも A_f=A_v/(1+A_vβ) の式から出てくる。利得を犠牲にして、安定性・帯域幅・ひずみの少なさを買う——これが負帰還の考え方である。(5)の「利得の低下」はその代償にあたる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
直動式指示電気計器の種類,JISで示される記号及び使用回路の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(選択肢は原本から切り出した表の行で示す。記号はJISの図記号である。)
正解:2
種類・記号・使用回路の三つがすべて正しく対応しているものを選ぶ。
(2)空心電流力計形は、固定コイルと可動コイルの両方に測定電流を流してその間に働く力で指示する計器である。電流の向きが変わると力の向きも両方同時に変わるので、交流でも直流でも同じ向きに振れる。したがって交流・直流両用で正しく、記号も電流力計形のものである。答(2)。
他の選択肢を確かめる。
(1)永久磁石可動コイル形は直流専用で、そこは正しい。しかし記号が違う。永久磁石可動コイル形の記号は、選択肢(5)に描かれている「馬蹄形の磁石と長方形のコイル」の形である。(1)に描かれているのは円盤を表す誘導形の記号である。
(3)整流形は、交流を整流してから可動コイル形で測る計器なので交流専用である。記号(ダイオードと可動コイル形の組合せ)は正しいが、使用回路が誤っている。
(4)誘導形は交流専用でそこは正しいが、記号が違う。描かれているのは熱電対と可動コイル形を組み合わせた熱電対形の記号である。
(5)熱電対形は、熱電対で発生した直流を可動コイル形で測るので交流・直流両用である。使用回路が誤っており、記号も熱電対の部分が抜けている。
記号の中に「馬蹄形の磁石+長方形のコイル」が現れたら可動コイル形が入っている、と読む。その前にダイオードが付けば整流形、熱電対(斜めの2本線)が付けば熱電対形である。この読み方ができれば、記号だけで(1)(4)(5)の食い違いに気づける。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
図のように,平らで十分大きい導体でできた床から高さh[m]の位置に正の電気量Q[C]をもつ点電荷がある。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,点電荷から床に下ろした垂線の足を点O,床より上側の空間は真空とし,床の導体は接地されている。真空の誘電率をε₀[F/m]とする。
〔小問(a)〕 床より上側の電界は,点電荷のつくる電界と,床の表面に静電誘導によって現れた面電荷のつくる電界との和になる。床より上側の電気力線の様子として,適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(選択肢は原本から切り出した電気力線図で示す。)
正解:5
接地された導体面の上に正の点電荷を置いたときの電気力線は、次の三つの決まりを同時に満たさなければならない。
① 電気力線は導体の表面に垂直に入る。導体の表面は等電位面であり、電気力線は等電位面と直交するためである。
② 電気力線は途中で閉じた輪をつくらない。輪ができると同じ点に二つの電位が生じてしまう。
③ 電気力線は正電荷から出て負電荷に入る。床には静電誘導で負の面電荷が現れるので、点電荷から出た線はすべて床に入る。
この三つを満たしているのは(5)だけである。答(5)。
他の図がどこで反しているかを見る。
(1)は電気力線が床に入らずに床に沿って水平に走っており、①に反する。
(2)は点電荷から下へ出た電気力線がふくらんで回り込み、床に斜めに入っており、①に反する。
(3)は直線のまま床に斜めに突き当たっており、①に反する。実際には床に近づくにつれて曲がり、垂直に入る。
(4)は上方から一様な電気力線が降りてきており、外から別の電界が加わっていることになる。この問題では点電荷と床の面電荷しかないので当てはまらない。
この状況は、床を取り去って点Oの下に距離hのところへ −Q[C] の点電荷(影像電荷)を置いた場合とまったく同じ電界になる。二つの等量異符号の電荷がつくる電界を思い浮かべれば、床の位置での対称面に電気力線が垂直に交わることが見てとれる。小問(b)はこの影像電荷の考え方をそのまま使う。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
図のように,平らで十分大きい導体でできた床から高さh[m]の位置に正の電気量Q[C]をもつ点電荷がある。次の問に答えよ。ただし,点電荷から床に下ろした垂線の足を点O,床より上側の空間は真空とし,床の導体は接地されている。真空の誘電率をε₀[F/m]とする。
〔小問(b)〕 点電荷は床表面に現れた面電荷から鉛直方向の静電吸引力F[N]を受ける。その力は床のない状態で点Oに固定した電気量−Q/4[C]の点電荷から受ける静電力に等しい。F[N]に逆らって,点電荷を高さh[m]からz[m](ただしh<z)まで鉛直方向に引き上げるのに必要な仕事W[J]を表す式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
設問が「点Oに固定した電気量−Q/4[C]の点電荷から受ける静電力に等しい」と教えてくれているので、その二つの電荷の間に働くクーロン力を書けばよい。点電荷の高さをx[m]とすると、点Oからの距離もx[m]なので
F(x)=(1/4πε₀)×Q×(Q/4)/x²=Q²/(16πε₀x²)[N]
で、向きは下向き(引力)である。
この力に逆らってhからzまで引き上げるのに必要な仕事は、Fを距離で積分して
W=∫_h^z Q²/(16πε₀x²)dx
=Q²/(16πε₀)×[−1/x]_h^z
=Q²/(16πε₀)(1/h−1/z)[J]。答(3)。
h<z なので 1/h−1/z>0 となり、仕事が正になることも確かめられる。引き上げるのだから正の仕事が要る。
(2)は分母が4πε₀のままで、電荷が−Q/4であることを反映していない。Q×(Q/4)=Q²/4 なので、4πε₀ の4と合わせて16πε₀になる。
(1)や(4)は積分せずに「力×距離」で済ませようとした場合の形である。力が距離とともに変わるので、単純な掛け算では求まらない。
(5)は 1/x² を積分して 1/x³ …ではなく、力の式をそのまま積分せずに二乗の形を残してしまった場合である。∫x⁻²dx=−x⁻¹ なので、答には1乗の逆数が現れる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
図のように線間電圧200 V,周波数50 Hzの対称三相交流電源にRLC負荷が接続されている。R=10 Ω,電源角周波数をω[rad/s]として,ωL=10 Ω,1/(ωC)=20 Ωである。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 電源電流Iの値[A]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
負荷はY結線で、各相はR・L・Cの並列である。並列なのでアドミタンスで足すのが早い。
1相分のアドミタンスは
Y=1/R+1/(jωL)+jωC
=1/10−j/10+j/20
=0.1−j0.1+j0.05
=0.1−j0.05 S。
大きさは
|Y|=√(0.1²+0.05²)=√0.0125≒0.112 S。
Y結線なので1相にかかるのは相電圧で
E=200/√3≒115.5 V。
したがって電源電流(線電流)は
I=E|Y|=115.5×0.112≒12.9 A。
最も近いのは13で答(3)。
コイルのアドミタンスは 1/(jωL)=−j/10=−j0.1 S、コンデンサのアドミタンスは jωC=j/20=j0.05 S である。1/(ωC)=20 Ω と与えられているので、ωC=1/20=0.05 S と読み替える。ここを逆に取ると答が変わる。
(5)の22は、相電圧ではなく線間電圧200 Vをそのまま掛けた場合に近い(200×0.112≒22.4)。Y結線では1相にかかるのは線間電圧の1/√3である。
並列回路をインピーダンスのまま足そうとすると計算が長くなる。R・L・Cが並列ならアドミタンスで足す、と決めておくと迷わない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
図のように線間電圧200 V,周波数50 Hzの対称三相交流電源にRLC負荷が接続されている。R=10 Ω,電源角周波数をω[rad/s]として,ωL=10 Ω,1/(ωC)=20 Ωである。次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 三相負荷の有効電力の値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
有効電力を消費するのは抵抗Rだけである。コイルとコンデンサは無効電力をやりとりするだけで、平均の消費電力は零になる。したがってRにかかる電圧だけが分かればよい。
R・L・Cは並列なので、Rにかかる電圧は相電圧そのもので
E=200/√3≒115.5 V。
1相あたりの有効電力は
P₁=E²/R=115.5²/10≒1 333 W。
三相ぶんではその3倍で
P=3×1 333≒4 000 W=4.0 kW。答(4)。
1相分は E²/R=(200/√3)²/10=(200²/3)/10=40 000/30≒1 333 W と、√3を二乗して3にしてしまうと計算が軽くなる。三相ぶんに3を掛けると 3×40 000/30=4 000 W となり、√3も3もきれいに消える。
電流から求めることもできるが、そのときはRを流れる電流だけを使う。小問(a)で求めた電源電流12.9 Aは、Rの電流とLCの電流を合成した値なので、これを二乗してRに掛けると大きすぎる値になる。
並列回路では「電圧が共通」なので、有効電力は P=V²/R で出すのが確実である。直列回路のように P=I²R を使うと、どの電流かを取り違えやすい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問16(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(a)
NAND ICを用いたパルス回路について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,高電位を「1」,低電位を「0」と表すことにする。
〔小問(a)〕 pチャネル及びnチャネルMOSFETを用いて構成された図1の回路と真理値表が同一となるものを,図2のNAND回路の接続(イ),(ロ),(ハ)から選び,全て列挙したものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
図1はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETを縦に積んだCMOSインバータで、入力が「1」なら出力は「0」、入力が「0」なら出力は「1」になる。すなわちNOT回路である。
図2の三つの接続について、NANDの出力 ¬(A·B) に当てはめて確かめる。入力をAとする。
(イ) 二つの入力端子を短絡して両方にAを入れる。
¬(A·A)=¬A
となり、NOT回路と同じになる。
(ロ) 一方を「0」に固定する。
¬(A·0)=¬0=1
となり、入力によらず出力は常に「1」である。NOT回路ではない。
(ハ) 一方を「1」に固定する。
¬(A·1)=¬A
となり、NOT回路と同じになる。
したがって(イ)と(ハ)の二つで、答(5)。
(ロ)が使えない理由は、AND部分が「片方が0なら結果は0」だからである。0を掛けたのと同じで、もう一方の入力が何であっても結果は変わらない。逆に「1」は掛け算の1と同じで相手をそのまま残すので、(ハ)が成り立つ。
NANDだけでNOT・AND・ORのすべてを作れることは、論理回路の設計でよく使う性質である。NOTを作る二通りの方法が、ここで問われている(イ)と(ハ)にあたる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問17(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(b)
NAND ICを用いたパルス回路について,次の問に答えよ。ただし,高電位を「1」,低電位を「0」と表すことにする。
〔小問(b)〕 図3の三つの回路はいずれもマルチバイブレータの一種であり,これらの回路図においてNAND ICの電源及び接地端子は省略している。同図(ニ),(ホ),(ヘ)の入力の数がそれぞれ0,1,2であることに注意して,これら三つの回路と次の二つの性質を正しく対応づけたものの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
性質I:出力端子からパルスが連続的に発生し,ディジタル回路の中で発振器として用いることができる。
性質II:「0」や「1」を記憶する機能をもち,フリップフロップの構成にも用いられる。
正解:2
マルチバイブレータは、外部からの入力をいくつ必要とするかで三つに分けられる。設問が「入力の数がそれぞれ0,1,2」と教えてくれているので、そこから対応づけられる。
(ニ) 入力の数が0。外から何も与えなくても自分で動き続けるので無安定(非安定)マルチバイブレータである。二つの安定な状態を持たず、コンデンサの充放電で状態が交互に入れ替わり続けるため、出力からパルスが連続的に出る。これが性質I(発振器)にあたる。
(ホ) 入力の数が1。安定な状態が一つだけで、引き金となる入力を1回与えると一定時間だけもう一方の状態になり、自分で元へ戻る。単安定マルチバイブレータで、一定幅のパルスを1つ作るのに使う。
(ヘ) 入力の数が2。安定な状態が二つあり、どちらの状態にも留まっていられる。二つの入力でどちらの状態にするかを指定するので、「0」や「1」を記憶できる。双安定マルチバイブレータで、これがフリップフロップである。これが性質IIにあたる。
性質I=(ニ)、性質II=(ヘ)となり答(2)。
入力の数と安定状態の数が対応している、と覚えると分かりやすい。入力0=安定状態0(無安定)、入力1=安定状態1(単安定)、入力2=安定状態2(双安定)である。
回路図からも読み取れる。(ニ)と(ホ)にはコンデンサがあり、その充放電で時間を作っている。(ヘ)にはコンデンサがなく、二つのNANDが互いの出力を入力に戻し合うだけの構成で、これが記憶を生む。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問17(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 18(a)
図1は,二重積分形A-D変換器を用いたディジタル直流電圧計の原理図である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 図1のように,負の基準電圧−V_r(V_r>0)[V]と切換スイッチが接続された回路があり,その回路を用いて正の未知電圧V_x(>0)[V]を測定する。まず,制御回路によってスイッチがS₁側へ切り換わると,時刻t=0 sで測定電圧V_x[V]が積分器へ入力される。その入力電圧V_i[V]の時間変化が図2(a)であり,積分器からの出力電圧V_o[V]の時間変化が図2(b)である。ただし,t=0 sでの出力電圧をV_o=0 Vとする。時刻t₁におけるV_o[V]は,入力電圧V_i[V]の期間0〜t₁[s]で囲われる面積Sに比例する。積分器の特性で決まる比例定数をk(>0)とすると,時刻t=T₁[s]のときの出力電圧は,V_m= (ア) [V]となる。
定められた時刻t=T₁[s]に達すると,制御回路によってスイッチがS₂側に切り換わり,積分器には基準電圧−V_r[V]が入力される。よって,スイッチS₂の期間中の時刻t[s]における積分器の出力電圧の大きさは,V_o=V_m− (イ) [V]と表される。
積分器の出力電圧V_oが0 Vになると,電圧比較器がそれを検出する。V_o=0 Vのときの時刻をt=T₁+T₂[s]とすると,測定電圧はV_x= (ウ) [V]と表される。さらに,図2(c)のようにスイッチS₁,S₂の各期間T₁[s],T₂[s]中にクロックパルス発振器から出力されるクロックパルス数をそれぞれN₁,N₂とすると,N₁は既知なのでN₂をカウントすれば,測定電圧V_xがディジタル信号に変換される。ここで,クロックパルスの周期T_sは,クロックパルス発振器の動作周波数に (エ) する。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
(ア) 設問が「時刻t₁におけるV_oは、入力電圧V_iの期間0〜t₁で囲われる面積Sに比例する」と定義している。S₁の期間は入力が一定のV_xなので、時刻T₁までの面積は長方形の面積 V_x×T₁ である。比例定数kを掛けて
V_m=kV_xT₁。
(イ) S₂に切り換わると入力が−V_rになるので、出力は同じ割合で下がっていく。切り換わってからの経過時間は t−T₁ なので、下がった量は kV_r(t−T₁) である。したがって
V_o=V_m−kV_r(t−T₁)。
T₂は最後に0 Vになる時刻までの長さで、途中の時刻tにおける式には使えない。(2)のようにkV_rT₂とすると、時刻によらない定数になってしまう。
(ウ) V_o=0 になるのは t=T₁+T₂ のときだから
kV_xT₁=kV_rT₂ → V_x=(T₂/T₁)V_r。
kが両辺で消えるところがこの方式の要点である。積分器の特性がばらついても測定値に影響しない。
(エ) 周期と周波数は互いに逆数なので、周期T_sは動作周波数に反比例する。
kV_xT₁/kV_r(t−T₁)/(T₂/T₁)V_r/反比例となり答(1)。
kが消えるだけでなく、T₁とT₂を同じクロックで数えれば T₂/T₁=N₂/N₁ となってクロック周波数も消える。二重積分形が高い精度を出せるのは、この二重の打ち消しによる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問18(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 18(b)
図1は,二重積分形A-D変換器を用いたディジタル直流電圧計の原理図であり,図2はその各部の波形である。次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 基準電圧がV_r=2.0 V,スイッチS₁の期間T₁[s]中のクロックパルス数がN₁=1.0×10³のディジタル直流電圧計がある。この電圧計を用いて未知の電圧V_x[V]を測定したとき,スイッチS₂の期間T₂[s]中のクロックパルス数がN₂=2.0×10³であった。測定された電圧V_xの値[V]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,測定電圧は V_x=(T₂/T₁)V_r と表される。)
正解:4
小問(a)で得た式は
V_x=(T₂/T₁)V_r
である。T₁とT₂は同じクロックパルスで数えているので、周期T_sを使うと T₁=N₁T_s、T₂=N₂T_s と書ける。比を取ればT_sが消えて
T₂/T₁=N₂/N₁。
したがって
V_x=(N₂/N₁)V_r=(2.0×10³/1.0×10³)×2.0=2×2.0=4.0 V。答(4)。
クロックパルスの周期T_sそのものは分からないが、比を取るので必要ない。これが二重積分形A-D変換器の利点で、クロックの精度が多少ずれても測定値には影響しない。
(2)の1.0は N₁/N₂ と比を逆に取った場合の値の…ではなく、V_r/2 にあたる。比の向きを確かめるには、T₂が長いほど(つまりN₂が大きいほど)測定電圧が高い、という関係を思い出すとよい。V_xが大きいほど積分器の出力V_mが高くなり、それを基準電圧で戻すのに時間がかかるからである。
(3)の2.0は基準電圧V_rそのもので、N₂=N₁のときの値である。この問題ではN₂がN₁の2倍なので、測定電圧も基準電圧の2倍になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 理論 問18(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
この回の最終更新:
掲載の過去問題は 一般財団法人 電気技術者試験センター の著作物です。同機関が公表する試験問題を、教育目的での利用に許諾・使用料を要しないとする同機関の方針に従い、出典を明記して掲載しています。無断転載を許可するものではありません。解説は当サイトが独自に作成したものです。