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電験3種 2023年度上期(令和5年度上期) 電力

17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2023年8月20日実施

電験三種(第三種電気主任技術者)の2023年度上期(令和5年度上期) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2023年8月20日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。

本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。

この回:令和5年度上期・電力:合格基準は100点満点中60点以上(筆記方式の公表値)。

出典:令和5年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和5年9月12日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。

この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。

過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。

問 1
次の文章は,水車の比速度に関する記述である。 比速度とは,任意の水車の形(幾何学的形状)と運転状態(水車内の流れの状態)とを (ア) 変えたとき, (イ) で単位出力(1 kW)を発生させる仮想水車の回転速度のことである。 水車では,ランナの形や特性を表すものとしてこの比速度が用いられ,水車の (ウ) ごとに適切な比速度の範囲が存在する。 水車の回転速度を n[min⁻¹],有効落差を H[m],ランナ1 個当たり又はノズル1 個当たりの出力を P[kW]とすれば,この水車の比速度 n_s は,次の式で表される。 通常,ペルトン水車の比速度は,フランシス水車の比速度より (エ) 。 比速度の大きな水車を大きな落差で使用し,吸出し管を用いると,放水速度が大きくなって, (オ) やすくなる。そのため,各水車には,その比速度に適した有効落差が決められている。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問1の図
正解:4
比速度は,ある水車を形は変えずに大きさだけ縮小し,落差1 m で出力1 kW を出すようにしたときの回転速度である。したがって(ア)は「相似に保って大きさを」,(イ)は「単位落差(1 m)」となる。 (ウ)比速度はランナの形状を表す指標なので,ペルトン・フランシス・斜流・プロペラといった水車の種類ごとに適した範囲がある。 (エ)比速度の順はペルトン<フランシス<斜流<プロペラである。ペルトンは高落差・小流量向きで比速度が小さい。 (オ)比速度の大きな水車を高落差で使うと放水速度が上がり,吸出し管の入口付近で圧力が下がって水が局所的に沸騰し,キャビテーションが生じやすくなる。これがランナを壊食するので,比速度ごとに適した落差の上限が決められている。よって(4)。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
排熱回収形コンバインドサイクル発電方式と同一出力の汽力発電方式とを比較した記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)である。排熱回収形コンバインドサイクルでは,出力の大部分をガスタービンが受け持ち,蒸気タービンは排熱ボイラで回収した分だけを担う。復水器で捨てる熱は蒸気タービン側だけなので,同じ出力で比べると単位出力当たりの復水器冷却水量は汽力発電より少ない。「多い」は逆である。 他は正しい。(1)熱効率はコンバインドサイクルの方が高い。(2)ガスタービンは大量の空気を吸い込むので排ガス量は多くなり,汽力の方が少ない。(4)汽力はボイラ給水ポンプや通風機など大形の所内補機が多く所内率が大きい。(5)ガスタービンは吸い込む空気の密度で出力が変わるため,外気温が高いと出力が下がる。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
次の文章は,火力発電所に関する記述である。 火力発電所において,ボイラから煙道に出ていく燃焼ガスの余熱を回収するために,煙道に多数の管を配置し,これにボイラへの (ア) を通過させて加熱する装置が (イ) である。同じく煙道に出ていく燃焼ガスの余熱をボイラへの (ウ) 空気に回収する装置が, (エ) である。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
煙道の余熱を回収する装置は二つあり,何を温めるかで区別する。 節炭器(エコノマイザ)はボイラへ送る給水を温める装置で,燃料(石炭)の節約になることからこの名がある。したがって(ア)給水,(イ)節炭器。 空気予熱器はボイラへ送る燃焼用空気を温める装置である。したがって(ウ)燃焼用,(エ)空気予熱器。 紛らわしいのが過熱器と再熱器で,どちらも蒸気を温めるものである。過熱器は飽和蒸気を過熱蒸気にする装置,再熱器は高圧タービンで仕事を終えた蒸気をもう一度温めて中圧タービンへ送る装置で,いずれも「煙道の余熱回収」という文脈の装置ではない。よって(5)。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
1 kg のウラン燃料に3.5 %含まれるウラン235 が核分裂し,0.09 %の質量欠損が生じたときに発生するエネルギーと同量のエネルギーを,重油の燃焼で得る場合に必要な重油の量[kL]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,計算上の熱効率を100 %,使用する重油の発熱量は40 000 kJ/L とする。
正解:3
核分裂したウラン235 の質量は  1 kg×0.035=0.035 kg で,このうち0.09 %が質量欠損になるから  Δm=0.035×0.0009=3.15×10⁻⁵ kg である。アインシュタインの式 E=Δmc² に c=3×10⁸ m/s を入れると  E=3.15×10⁻⁵×(3×10⁸)²=2.835×10¹² J=2.835×10⁹ kJ となる。重油の発熱量が40 000 kJ/L だから  V=2.835×10⁹/40 000=7.09×10⁴ L=70.9 kL で,最も近いのは70 kL である。 ウラン燃料1 kg のうち実際に核分裂するのは35 g,さらにそのうち質量に変わるのはわずか0.03 g ほどだが,それでも重油70 kL 分のエネルギーになる。3.5 %と0.09 %を掛け忘れると桁が大きく外れる。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
風力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)である。風車で取り出せるパワーは  P=(1/2)ρAv³×C_p で表され,風速 v の3 乗に比例する。「風速に比例する」は誤りである。風のもつ運動エネルギーが (1/2)mv² で,単位時間に風車を通過する空気の質量 m がさらに v に比例するため,掛け合わせて3 乗になる。 この3 乗という依存性は実務上とても重要で,風速が2 倍になれば取り出せるパワーは8 倍になる。風力発電の立地で風速が重視されるのはこのためで,「安定して強い風が吹く場所が好ましい」という後半の記述自体は正しい。 他の選択肢はいずれも正しい記述である。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
配電線路の開閉器類に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)である。高圧カットアウトに内蔵する高圧ヒューズは,雷サージのような短時間の大電流では溶断しない特性(タイムラグヒューズ)にしてある。雷サージのたびに溶断していては,健全な変圧器まで頻繁に停電してしまうからである。一方で,変圧器の過負荷や内部短絡のように電流が続く故障では確実に溶断して変圧器を切り離す。 つまり「溶断すべき故障」と「耐えるべき一過性の大電流」を時間で区別しているのがこのヒューズの要点で,雷サージで「直ちに溶断する」という記述はその設計思想と正反対である。 他は正しい。(3)ループ方式は両方向から電力を供給できるので事故時の停電範囲を小さくでき,負荷密度の高い都市部で使われる。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の文章は,変電所の計器用変成器に関する記述である。 計器用変成器は, (ア) と変流器とに分けられ,高電圧あるいは大電流の回路から計器や (イ) に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。変流器の二次端子には,常に (ウ) インピーダンスの負荷を接続しておく必要がある。また,一次端子のある変流器は,その端子を被測定線路に (エ) に接続する。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
計器用変成器は,電圧を変換する計器用変圧器(VT・PT)と電流を変換する変流器(CT)の総称である。設問が「(ア)と変流器とに分けられ」と書いているので,(ア)には計器用変圧器が入る。CT は変流器そのものなので(ア)には入らない。 (イ)取り出した電圧・電流を使うのは計器と保護継電器である。遮断器や避雷器は測定値を受け取る機器ではない。 (ウ)変流器の二次側を開放すると,一次電流のすべてが励磁電流として働いて鉄心が飽和し,二次側に高電圧が現れて絶縁破壊や感電の危険がある。これを避けるため,二次端子には常に低インピーダンスの負荷(電流計や継電器,または短絡)をつないでおく。 (エ)変流器は測定したい電流をそのまま通す必要があるので,被測定線路に直列に接続する。並列につなぐのは電圧を測る計器用変圧器である。よって(5)。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
次に示す配電用機材(ア)~(エ)とそれに関係の深い語句(a)~(e)とを組み合わせたものとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問8の図
正解:3
一つずつ結び付けていけばよい。 (ア)ギャップレス避雷器 −(c)酸化亜鉛(ZnO)。酸化亜鉛素子は電圧が低いとほとんど電流を流さない非直線抵抗特性をもつため,直列ギャップなしで避雷器を構成できる。 (イ)ガス開閉器 −(d)六ふっ化硫黄(SF₆)。消弧能力と絶縁耐力に優れるSF₆ ガスを封入している。 (ウ)CV ケーブル −(a)水トリー。架橋ポリエチレン絶縁体に水分と電界が作用すると樹枝状の劣化(水トリー)が進行する。CV ケーブル特有の絶縁劣化現象である。 (エ)柱上変圧器 −(b)鉄損。柱上変圧器は負荷の有無にかかわらず常時励磁されているので,年間を通じた損失では鉄損(無負荷損)の占める割合が大きい。アモルファス鉄心が使われるのもこの鉄損を減らすためである。 残る(e)ギャロッピングは架空電線が着氷雪と風で大きく振動する現象で,配電用機材ではなく架空送電線の話題である。よって(3)。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
次の文章は,コロナ損に関する記述である。 送電線に高電圧が印加され, (ア) がある程度以上になると,電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。コロナ放電の発生を抑えるには,電線の実効的な直径を (イ) するために (ウ) する,線間距離を (エ) する,などの対策がとられている。コロナ放電は,気圧が (オ) なるほど起こりやすくなる。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
コロナ放電は電線のまわりの空気が絶縁破壊する現象なので,引き金になるのは(ア)電線表面の電界強度である。電流密度は関係しない。 電界強度は電線が細いほど強くなる(曲率が大きいほど電界が集中する)ので,対策は実効的な直径を(イ)大きくすること。そのために1 相を複数の電線で構成する(ウ)多導体化を行う。単導体化では逆効果である。 線間距離を(エ)大きくすると,同じ電圧でも導体間の静電容量が小さくなって電線表面の電界強度が下がるので,これもコロナ対策になる。 (オ)空気の絶縁耐力は密度に比例するので,気圧が低い(=空気が薄い)ほどコロナは起こりやすい。高地の送電線でコロナが問題になりやすいのはこのためである。よって(2)。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
地中送電線路の線路定数に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)である。表皮効果は交流電流が導体の表面近くに集中する現象,近接効果は隣り合う導体の磁界によって電流分布が偏る現象で,どちらも電流の通る断面を実質的に狭めるので,交流の実効抵抗は直流より大きくなる。「小さくなる」は逆である。 他は正しい。(3)銅の抵抗は温度に比例して増える。(4)(5)地中ケーブルは導体と金属シースの間隔が数mm と極めて近いのに対し,架空送電線は数m 離れている。この距離の違いから,インダクタンスは地中の方が小さく,静電容量は地中の方がはるかに大きくなる。静電容量が大きいことが,地中送電で充電電流や誘電体損が問題になる理由である。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
22(33)kV 配電系統に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)である。中性点を直接接地すると1 線地絡時に非常に大きな地絡電流が流れるので,「地絡電流抑制の観点から」という理由と結び付かない。22(33)kV 配電系統では,地絡電流を抑えるために中性点を抵抗接地とするか非接地とするのが一般的である。 直接接地方式は,地絡時の健全相の電圧上昇を抑えて機器の絶縁を軽減できる利点があるため187 kV 以上の超高圧系統で使われる方式で,目的が正反対である。 他は正しい。(4)は電圧が5 倍(6.6→33)になれば同じ電力を送るのに電流は 1/5 でよく,損失は電流の2 乗に比例するので 1/25 になる,という関係を述べたもので計算どおりである。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
こう長2 km の三相3 線式配電線路が,遅れ力率85 %の平衡三相負荷に電力を供給している。負荷の端子電圧を6.6 kV に保ったまま,線路の電圧降下率が5.0 %を超えないようにするための負荷電力[kW]の最大値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,1 km1 線当たりの抵抗は0.45 Ω,リアクタンスは0.25 Ω とし,その他の条件は無いものとする。なお,本問では送電端電圧と受電端電圧との相差角が小さいとして得られる近似式を用いて解答すること。
正解:2
こう長2 km なので1 線当たりの抵抗とリアクタンスは  R=0.45×2=0.9 Ω,X=0.25×2=0.5 Ω である。力率85 %より cosθ=0.85,sinθ=√(1−0.85²)=0.5268。 許される電圧降下は  ΔV=6 600×0.05=330 V で,三相の近似式 ΔV=√3 I(R cosθ+X sinθ) から  330=√3×I×(0.9×0.85+0.5×0.5268)=√3×I×1.0284  I=330/(√3×1.0284)=185.3 A となる。このときの負荷電力は  P=√3×6 600×185.3×0.85=1.80×10⁶ W≒1 800 kW で,最も近いのは1 799 kW である。 最後に力率を掛け忘れると √3×6 600×185.3=2 118 kV·A となり,皮相電力の値である(3)を選ぶことになる。問われているのは有効電力[kW]である。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
一次側定格電圧と二次側定格電圧がそれぞれ等しい変圧器A と変圧器B がある。変圧器A は,定格容量 S_A=5 000 kV·A,パーセントインピーダンス%Z_A=9.0 %(自己容量ベース),変圧器B は,定格容量 S_B=1 500 kV·A,パーセントインピーダンス%Z_B=7.5 %(自己容量ベース)である。この変圧器2 台を並行運転し,6 000 kV·A の負荷に供給する場合,過負荷となる変圧器とその変圧器の過負荷運転状態[%](当該変圧器が負担する負荷の大きさをその定格容量に対する百分率で表した値)の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
並行運転の負荷分担は,同じ基準容量に換算した百分率インピーダンスの逆比になる。基準を6 000 kV·A にそろえると  %Z_A=9.0×6 000/5 000=10.8 %  %Z_B=7.5×6 000/1 500=30.0 % となる。分担は逆比だから  P_A:P_B=1/10.8:1/30.0=30.0:10.8  P_A=6 000×30.0/40.8=4 412 kV·A,P_B=6 000×10.8/40.8=1 588 kV·A である。それぞれの定格容量に対する比を出すと  変圧器A:4 412/5 000=88.2 %  変圧器B:1 588/1 500=105.9 % となり,過負荷になるのは変圧器B である。よって(2)。 自己容量ベースの%Z が小さい変圧器ほど「よく電流を流す」ので負担が重くなりやすい。容量の大きいA が過負荷になると思い込まないよう,必ず共通ベースに換算してから比べたい。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
アモルファス鉄心材料を使用した柱上変圧器の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)である。アモルファス(amorphous)とは「非晶質」という意味で,原子が規則正しく並んでいない構造をいう。溶けた金属を急速に冷やして結晶化させずに固めることで得られる。「結晶構造である」は語の意味と正反対である。 この不規則な構造のおかげで磁化の向きを変えるときの抵抗が小さく,ヒステリシス損が減る。さらに板厚が数十μm と非常に薄いので渦電流損も小さく,結果として(1)のとおり鉄損がけい素鋼帯の1/3 程度になる。 一方で(3)硬くてもろく加工しにくい,(4)高価である,(5)飽和磁束密度がけい素鋼帯より低いため同じ容量なら鉄心断面を大きくとる必要があり変圧器が大形になる,という短所がある。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
石炭火力発電所が1 日を通して定格出力600 MW で運転されるとき,燃料として使用される石炭消費量が150 t/h,石炭発熱量が34 300 kJ/kg で一定の場合,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 ただし,石炭の化学成分は重量比で炭素が70 %,水素が5 %,残りの灰分等は燃焼に影響しないものと仮定し,原子量は炭素12,酸素16,水素1 とする。燃焼反応は次のとおりである。  C+O₂ → CO₂  2H₂+O₂ → 2H₂O 〔小問(a)〕 発電端効率の値[%]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
燃料が1 時間に持ち込む熱量を求める。石炭150 t/h=150 000 kg/h だから  Q=150 000×34 300=5.145×10⁹ kJ/h である。これを1 秒当たりに直すと  5.145×10⁹/3 600=1.429×10⁶ kJ/s=1 429 MW となる。発電端出力が600 MW なので,発電端効率は  η=600/1 429=0.420=42.0 % である。 要点は kJ/h を kJ/s(=kW)に直すために3 600 で割ることで,ここを飛ばすと桁が合わない。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
石炭火力発電所が1 日を通して定格出力600 MW で運転されるとき,燃料として使用される石炭消費量が150 t/h,石炭発熱量が34 300 kJ/kg で一定の場合,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 ただし,石炭の化学成分は重量比で炭素が70 %,水素が5 %,残りの灰分等は燃焼に影響しないものと仮定し,原子量は炭素12,酸素16,水素1 とする。燃焼反応は次のとおりである。  C+O₂ → CO₂  2H₂+O₂ → 2H₂O 〔小問(b)〕 1 日に発生する二酸化炭素の重量の値[t]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
1 日の石炭消費量は  150 t/h×24 h=3 600 t で,このうち炭素は重量比70 %だから  3 600×0.70=2 520 t である。燃焼反応 C+O₂ → CO₂ より,炭素1 mol(12 g)から二酸化炭素1 mol(44 g)ができる。重量比は 44/12 になるので  W=2 520×44/12=9 240 t≒9.2×10³ t となる。 水素の燃焼(2H₂+O₂ → 2H₂O)で生じるのは水であって二酸化炭素ではないので,水素5 %は今回の計算に入れない。炭素の重量をそのまま答えると2 520 t となり(2)に近い値になってしまうので,44/12 倍を忘れないようにしたい。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
図のように,定格電圧66 kV の電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された系統がある。この三相変圧器は定格容量10 MV·A,変圧比66/6.6 kV,百分率インピーダンスが自己容量基準で7.5 %である。変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスを基準容量100 MV·A で5 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(a)〕 基準容量を10 MV·A として,変圧器二次側から電源側をみた百分率インピーダンスの値[%]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問16(a)の図
正解:4
百分率インピーダンスは基準容量に比例するので,基準を10 MV·A にそろえる。 電源側は100 MV·A 基準で5 %だから  %Z_S=5×10/100=0.5 % 変圧器は自己容量10 MV·A 基準で7.5 %なので,そのまま  %Z_T=7.5 % である。二次側から電源側をみると両者が直列になるから  %Z=0.5+7.5=8.0 % となる。 基準容量をそろえずに 5+7.5=12.5 とすると(5)を選ぶことになる。基準容量が10 倍違えば%Z も10 倍違うので,必ず換算してから足す。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
図のように,定格電圧66 kV の電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された系統がある。この三相変圧器は定格容量10 MV·A,変圧比66/6.6 kV,百分率インピーダンスが自己容量基準で7.5 %である。変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスを基準容量100 MV·A で5 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(b)〕 図のA 点で三相短絡事故が発生したとき,事故電流を遮断できる遮断器の定格遮断電流の最小値[kA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,変圧器二次側からA 点までのインピーダンスは無視するものとする。
問16(b)の図
正解:2
まず基準容量10 MV·A・6.6 kV での基準電流を求める。  I_n=10×10⁶/(√3×6 600)=874.8 A 三相短絡電流は基準電流を百分率インピーダンス(小問(a)の8.0 %)で割って  I_s=874.8/0.08=10 935 A≒10.9 kA である。 遮断器はこの電流を遮断できなければならないので,定格遮断電流は10.9 kA 以上であることが必要になる。選択肢のうちこれを満たす最小のものは12.5 kA である。よって(2)。 10.9 kA に最も近いのは(1)の8 kA ではなく,「遮断できる最小値」を問われている点が要点である。8 kA では短絡電流を切れない。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問16(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(a)
三相3 線式高圧配電線の電圧降下について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 図のように,送電端S 点から三相3 線式高圧配電線でA 点,B 点及びC 点の負荷に電力を供給している。S 点の線間電圧は6 600 V であり,配電線1 線当たりの抵抗及びリアクタンスはそれぞれ0.3 Ω/km とする。 〔小問(a)〕 S-A 間を流れる電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問17(a)の図
正解:5
S-A 間には,A 点・B 点・C 点すべての負荷電流が流れる。力率が異なるのでベクトル(有効分と無効分に分けて)合成する。  A 点:200 A,力率0.8(遅れ)→ 有効分 200×0.8=160 A,無効分 200×0.6=120 A  B 点:100 A,力率0.6(遅れ)→ 有効分 100×0.6=60 A,無効分 100×0.8=80 A  C 点:200 A,力率1.0 → 有効分 200 A,無効分 0 A 有効分と無効分をそれぞれ足すと  有効分の合計=160+60+200=420 A  無効分の合計=120+80+0=200 A したがって  I=√(420²+200²)=√216 400=465.2 A となる。 力率を無視して 200+100+200=500 A としたり,有効分だけを足して420 A としたりすると誤る。(2)の420 はちょうど有効分の合計なので,そこで止めないよう注意したい。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問17(a)
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問 17(b)
三相3 線式高圧配電線の電圧降下について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 図のように,送電端S 点から三相3 線式高圧配電線でA 点,B 点及びC 点の負荷に電力を供給している。S 点の線間電圧は6 600 V であり,配電線1 線当たりの抵抗及びリアクタンスはそれぞれ0.3 Ω/km とする。 〔小問(b)〕 A-B における電圧降下率の値[%]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問17(b)の図
正解:2
電圧降下率は「その区間の電圧降下÷受電端電圧」なので,A 点とB 点の電圧を順に求める必要がある。 ① S-A 間(2 km,R=X=0.6 Ω)を流れるのは小問(a)の電流で,有効分420 A・無効分200 A。  ΔV_SA=√3(R×420+X×200)=√3×(0.6×420+0.6×200)=√3×372=644 V  V_A=6 600−644=5 956 V ② A-B 間(4 km,R=X=1.2 Ω)を流れるのはB 点の負荷だけで,100 A・力率0.6(有効分60 A・無効分80 A)。  ΔV_AB=√3(1.2×60+1.2×80)=√3×168=291 V  V_B=5 956−291=5 665 V ③ 電圧降下率は受電端であるB 点の電圧を分母にとって  ΔV_AB/V_B×100=291/5 665×100=5.1 % となる。 分母を送電端の6 600 V にすると 291/6 600=4.4 %,A 点電圧にすると 291/5 956=4.9 %となって(1)を選んでしまう。電圧降下率の分母は受電端電圧である点が本問の要点である。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度上期 電力 問17(b)
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