📄 本試験 過去問題
電験3種 2023年度下期(令和5年度下期) 法規
13問 ・ 目安 正答率60% ・ 2024年3月24日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2023年度下期(令和5年度下期) 法規試験で実際に出題された全13問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2024年3月24日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和5年度下期・法規:合格基準は100点満点中60点以上(筆記方式の公表値)。
出典:令和5年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について(令和6年4月16日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
この回の問題は,令和5年4月1日(2023年4月1日)現在で効力のある法令にもとづいて作成されています(原本の注記)。それ以降の法改正により、現行の条文・数値と異なる場合があります。
問 1
次の文章は,「電気事業法施行規則」に基づく自家用電気工作物を設置する者が保安規程に定めるべき事項の一部に関しての記述である。
a) 自家用電気工作物の工事,維持又は運用に関する業務を管理する者の (ア) に関すること。
b) 自家用電気工作物の工事,維持又は運用に従事する者に対する (イ) に関すること。
c) 自家用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安のための (ウ) 及び検査に関すること。
d) 自家用電気工作物の運転又は操作に関すること。
e) 発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
f) 災害その他非常の場合に採るべき (エ) に関すること。
g) 自家用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安についての (オ) に関すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
自家用電気工作物の保安規程に定める事項は,電気事業法施行規則50条3項に列挙されている。設問のa)〜g)はその1号〜7号をそのまま並べたもので,条文では次のようになっている。
一 業務を管理する者の職務及び組織に関すること
二 従事する者に対する保安教育に関すること
三 保安のための巡視,点検及び検査に関すること
四 運転又は操作に関すること
五 発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること
六 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること
七 保安についての記録に関すること
したがって(ア)職務及び組織,(イ)保安教育,(ウ)巡視,点検,(エ)措置,(オ)記録となる。「権限及び義務」は主任技術者に関して使われる語(同条2項3号)で,業務を管理する者の項目ではない。保安規程は届け出るものであって,中身の項目として「届出」が入るわけでもない。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
次の文章は,「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に規定されている電気工事業者に関する記述である。
この法律において,「電気工事業」とは,電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいい,「 (ア) 電気工事業者」とは,経済産業大臣又は (イ) の (ア) を受けて電気工事業を営む者をいう。また,「通知電気工事業者」とは,経済産業大臣又は (イ) に電気工事業の開始の通知を行って, (ウ) に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
電気工事業法3条1項は「二以上の都道府県の区域内に営業所を設置してその事業を営もうとするときは経済産業大臣の,一の都道府県の区域内にのみ営業所を設置してその事業を営もうとするときは当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない」と定める。したがって(ア)は登録,(イ)は都道府県知事である。「承認」「許可」ではない点,相手方が産業保安監督部長ではない点に注意したい。
(ウ)については,同法2条5項が「『自家用電気工作物』とは電気工事士法2条2項に規定する自家用電気工作物をいう」と定めており,定義の出どころは電気工事士法である。なお自家用電気工作物のみを扱う場合は登録ではなく通知(同法17条の2)で足り,これが通知電気工事業者である。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
次の文章は,「電気設備技術基準」に関する記述である。
電路は,大地から (ア) しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合,又は (イ) による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための (ウ) その他の保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
電気設備に関する技術基準を定める省令5条1項(電路の絶縁)そのままの条文である。「電路は,大地から絶縁しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合,又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。」とあり,(ア)絶縁,(イ)混触,(ウ)接地となる。
「混触」は高圧側と低圧側の巻線が触れ合うなどして低圧側に高電圧が現れる現象で,これを避けるためにB種接地工事を施す。つまりこのただし書きは「絶縁の原則を外して接地する」ことを認める規定であり,(ウ)に「遮断」や「離隔」を入れると,接地という具体的な措置を指す文意にならない。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
「電気設備技術基準の解釈」に基づく,高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。以下同じ。)の施設について,発電所,蓄電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所において,高圧の機械器具を施設することができる場合として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)である。解釈21条は,発電所等以外の場所で高圧の機械器具を施設できる場合を限定列挙しているが,工場等の構内について求めているのは「機械器具の周囲に人が触れるおそれがないようにさく,へい等を設けること」などの物理的な防護であって,表示だけで足りるとはしていない。「高圧用機械器具である旨の表示をする」だけでは,人が充電部分に近づくことを何も妨げない。
他は正しい。(1)はさく・へい等の高さと充電部分までの距離の和を5 m 以上とし危険表示をする場合,(3)は屋内で取扱者以外が出入りできないよう措置した場所,(4)はコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収めて充電部分を露出させない場合,(5)は充電部分が露出しない機械器具に接触防護の措置を施す場合で,いずれも条文にある。ここでの判断基準は「人が充電部分に触れられない状態が実際に作られているか」であり,(2)だけがそれを満たしていない。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
次の文章は,「電気設備技術基準」における(地中電線等による他の電線及び工作物への危険の防止)及び(地中電線路の保護)に関する記述である。
a) 地中電線,屋側電線及びトンネル内電線その他の工作物に固定して施設する電線は,他の電線,弱電流電線等又は管(以下,「他の電線等」という。)と (ア) し,又は交さする場合には,故障時の (イ) により他の電線等を損傷するおそれがないように施設しなければならない。ただし,感電又は火災のおそれがない場合であって, (ウ) 場合は,この限りでない。
b) 地中電線路は,車両その他の重量物による圧力に耐え,かつ,当該地中電線路を埋設している旨の表示等により掘削工事からの影響を受けないように施設しなければならない。
c) 地中電線路のうちその内部で作業が可能なものには, (エ) を講じなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
a)は電気設備に関する技術基準を定める省令30条(地中電線等による他の電線及び工作物への危険の防止)で,「他の電線等と接近し,又は交さする場合には,故障時のアーク放電により他の電線等を損傷するおそれがないように施設しなければならない。ただし,感電又は火災のおそれがない場合であって,他の電線等の管理者の承諾を得た場合は,この限りでない。」とある。「交さする場合には」と並ぶのだから(ア)は「接触」ではなく「接近」であり,地中で電線が損傷する原因は短絡電流そのものではなく,故障時に生じるアーク放電の熱である。
c)は同省令47条2項(地中電線路の保護)で「地中電線路のうちその内部で作業が可能なものには,防火措置を講じなければならない」とある。洞道のように人が中に入れる地中電線路では,火災が起きると逃げ場がなく被害が大きくなるため防火措置が求められる。(エ)を「感電防止措置」とすると条文と異なる。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
架空電線路の支持物に,取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上1.8 m 未満に施設することができる場合として,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
解釈53条は,架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は地表上1.8 m 以上に施設することを原則とし,例外として次の4つを挙げている。
・足場金具等が内部に格納できる構造である場合
・支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
・支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように,さく,へい等を施設する場合
・支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合
したがって(2)~(5)はいずれも条文どおりで,列挙されていない(1)が不適切である。
この規定の狙いは,取扱者以外の者(特に子ども)が支持物によじ登れないようにすることにある。監視装置は登った後に気づくための設備であって,登れないようにする措置ではないので1.8 m 未満に足場金具を設ける理由にはならない。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
正しいのは(2)である。自立運転は系統から切り離された(解列された)分散型電源が自分の構内負荷だけに電力を供給している状態で,停電時に非常用電源として使う運転がこれにあたる。
他はいずれも定義が入れ替わっているか,語が置き換わっている。
(1)単独運転で供給しているのは有効電力である。無効電力では負荷は働かない。
(3)構内から系統側へ向かう有効電力の流れは逆潮流の定義である。逆充電は,系統が電源から切り離された状態で分散型電源が系統側を加圧してしまう状態をいう。
(4)と(5)は受動的方式と能動的方式が逆である。受動的方式は何もせずに単独運転移行時に自然に生じる電圧位相や周波数の変化を捉える方式,能動的方式はあらかじめ出力に小さな変動を与えておき,その変動が単独運転になったときに増幅されて現れるのを捉える方式である。「能動」=こちらから働きかける,と結び付けて覚えるとよい。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
次の文章は,「電気設備技術基準」における電気さくの施設の禁止に関する記述である。
電気さく(屋外において裸電線を固定して施設したさくであって,その裸電線に充電して使用するものをいう。)は,施設してはならない。ただし,田畑,牧場,その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設する場合であって,絶縁性がないことを考慮し, (ア) のおそれがないように施設するときは,この限りでない。
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」における電気さくの施設に関する記述である。
電気さくは,次のa)~f)に適合するものを除き施設しないこと。
a) 田畑,牧場,その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設するものであること。
b) 電気さくを施設した場所には,人が見やすいように適当な間隔で (イ) である旨の表示をすること。
c) 電気さくは,次のいずれかに適合する電気さく用電源装置から電気の供給を受けるものであること。
① 電気用品安全法の適用を受ける電気さく用電源装置
② 感電により人に危険を及ぼすおそれのないように出力電流が制限される電気さく用電源装置であって,次のいずれかから電気の供給を受けるもの
・電気用品安全法の適用を受ける直流電源装置
・蓄電池,太陽電池その他これらに類する直流の電源
d) 電気さく用電源装置(直流電源装置を介して電気の供給を受けるものにあっては,直流電源装置)が使用電圧 (ウ) V 以上の電源から電気の供給を受けるものである場合において,人が容易に立ち入る場所に電気さくを施設するときは,当該電気さくに電気を供給する電路には次に適合する漏電遮断器を施設すること。
① 電流動作型のものであること。
② 定格感度電流が (エ) mA 以下,動作時間が0.1秒以下のものであること。
e) 電気さくに電気を供給する電路には,容易に開閉できる箇所に専用の開閉器を施設すること。
f) 電気さく用電源装置のうち,衝撃電流を繰り返して発生するものは,その装置及びこれに接続する電路において発生する電波又は高周波電流が無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるおそれがある場所には,施設しないこと。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
(ア)は電気設備に関する技術基準を定める省令74条(電気さくの施設の禁止)の条文で,「絶縁性がないことを考慮し,感電又は火災のおそれがないように施設するとき」とある。裸電線に充電して使うのだから,守るべきは人の感電と火災であって「損壊」ではない。
(イ)〜(エ)は解釈192条による。表示は「危険である旨」であり,「電気さくである旨」ではない(そこに電気さくがあることは見れば分かる。伝えるべきは危険であること)。
漏電遮断器が必要になるのは電源装置が使用電圧30 V 以上の電源から供給を受ける場合で,その定格感度電流は15 mA 以下,動作時間は0.1秒以下である。一般の住宅などで使う漏電遮断器は定格感度電流30 mA が標準だが,電気さくは人が直接触れることを前提とするため,その半分の15 mA というより厳しい値が求められている。30と15の数字を取り違えないよう注意したい。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく,ライティングダクト工事による低圧屋内配線の施設に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
正しいのは(1)である。解釈165条4項は「ダクトの支持点間の距離は2 m 以下とすること」と定めている。
他は同じ条文のどれかに反している。
(2)同項は「ダクトは,造営材を貫通しないこと」と定めている。貫通部で造営材に接触させないよう気をつけても,貫通そのものが認められない。
(3)開口部は下に向けるのが原則で,上向きにできるのは簡易接触防護措置を施し,かつ日本産業規格に適合する特定の場合に限られる。塵埃が侵入し難いようにするのはその場合に追加で求められる条件であって,それだけで上向きにしてよい理由にはならない。
(4)地絡遮断装置を省略できるのはダクトに簡易接触防護措置を施す場合だが,この記述は「人が容易に触れるおそれがある場所」と自ら述べているので省略できない。なおD種接地工事を省略できるのは対地電圧150 V 以下かつダクトの長さが4 m 以下の場合で,5 m では省略できない。
(5)同項は「ダクトは,造営材に堅ろうに取り付けること」と定めており,固定せずに使うことはできない。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,計器用変成器の変流器に関する記述である。その記述内容として誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)である。変流器の変流比は一次巻線と二次巻線の巻数比でほぼ決まり,二次側につなぐ計器の抵抗(負担)を変えても変流比そのものが変わるわけではない。負担が過大になると鉄心が飽和して誤差(比誤差・位相角)が大きくなるが,それは誤差の増加であって「変流比が変化する」のとは別の話である。
他は正しい。変流器は一次電流によって二次電流を決める機器なので,二次側を開放すると一次電流のすべてが励磁電流として働き,鉄心の磁束が飽和するまで増えて二次巻線に高い電圧が現れる。これが(3)の異常電圧で,絶縁破壊や作業者の感電につながる。そのため(2)のとおり二次側に開閉器やヒューズを入れてはならず,(5)のとおり通電中に計器を外すときは先に二次側を短絡しておく。短絡しても二次電流が流れるだけで危険はない。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11(a)
図は,線間電圧 V[V],周波数 f[Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量を C₁[F],需要設備一相の全対地静電容量を C₂[F]とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,図示されていない負荷,線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。
〔小問(a)〕 図の配電線路において,遮断器が「入」の状態で地絡事故点に一線完全地絡事故が発生し地絡電流 I_g[A]が流れた。このとき I_g の大きさを表す式として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,間欠アークによる影響等は無視するものとし,この地絡事故によって遮断器は遮断しないものとする。
正解:4
中性点非接地方式で一線が完全地絡すると,健全2相の対地電圧が線間電圧まで上がり,対地静電容量を通って流れる充電電流が地絡電流になる。結果として地絡電流は,全対地静電容量に相電圧が加わったときの充電電流の3倍として求められる。
I_g=3ωC(V/√3)=3×2πf×(C₁+C₂)×V/√3
3/√3=√3 だから
I_g=√3×2πf(C₁+C₂)V=2√3πfV(C₁+C₂)
となり(4)である。
要点は二つある。第一に,配電線路側の C₁ と需要設備側の C₂ は大地を通して並列に働くので単純に和をとる((2)や(5)のように2乗和や積の平方根にはならない)。第二に,与えられている V は線間電圧なので相電圧に直すため √3 で割る必要がある。この割り算を掛け算にしてしまうと(1)や(3)の形になる。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問11(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11(b)
図は,線間電圧 V[V],周波数 f[Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量を C₁[F],需要設備一相の全対地静電容量を C₂[F]とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,図示されていない負荷,線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。
〔小問(b)〕 小問(a)の地絡電流 I_g は高圧配電線路側と需要設備側に分流し,需要設備側に分流した電流は零相変流器を通過して検出される。上記のような需要設備構外の事故に対しても,零相変流器が検出する電流の大きさによっては地絡継電器が不必要に動作する場合があるので注意しなければならない。地絡電流 I_g が高圧配電線路側と需要設備側に分流する割合は C₁ と C₂ の比によって決まるものとしたとき,I_g のうち需要設備の零相変流器で検出される電流の値[mA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,V=6 600 V,f=60 Hz,C₁=2.3 μF,C₂=0.02 μF とする。
正解:2
まず小問(a)の式に数値を入れて地絡電流を求める。C₁+C₂=2.32 μF=2.32×10⁻⁶ F だから
I_g=2√3×π×60×6 600×2.32×10⁻⁶=10.0 A
となる。
この電流は大地から配電線路側の C₁ と需要設備側の C₂ に分かれて戻るので,静電容量に比例して分流する。零相変流器を通るのは需要設備側の分だから
I₂=I_g×C₂/(C₁+C₂)=10.0×0.02/2.32=0.0862 A=86 mA
である。
この問題は,需要設備の外で起きた地絡でも自分の零相変流器に電流が流れることを示している。地絡継電器の整定値をこの値より小さくしてしまうと,構外事故でも遮断器が動作して不必要に停電させることになる。分流の比を C₁ 側で計算すると 10.0×2.3/2.32=9.9 A となり選択肢に無いので,どちら側を問われているかを取り違えないようにしたい。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問11(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12(a)
三相3線式の高圧電路に300 kW,遅れ力率0.6 の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし,直列リアクトルSR のリアクタンス X_L[Ω]は,三相コンデンサSC のリアクタンス X_C[Ω]の6 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,高圧電路の線間電圧は6 600 V とし,無効電力によって電圧は変動しないものとする。
〔小問(a)〕 進相コンデンサ設備を高圧電路に接続したときに三相コンデンサSC の端子電圧の値[V]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
直列リアクトルSR とコンデンサSC は直列につながっているので,設備全体のリアクタンスは両者の差になる。X_L=0.06X_C だから
X=X_C−X_L=X_C−0.06X_C=0.94X_C
である(コンデンサの方が大きいので全体としては容量性のまま)。
同じ電流が両方に流れるので,電圧はリアクタンスに比例して分配される。設備全体に線間電圧6 600 V が加わるから,SC の端子電圧は
V_SC=6 600×X_C/(0.94X_C)=6 600/0.94=7 021 V
となり(5)である。
直列リアクトルはコンデンサと逆向きの電圧を分担するので,コンデンサの端子電圧は回路電圧より高くなる。これが直列リアクトル付コンデンサの定格電圧を6 600 V より高く選ぶ理由で,6 600 V より小さい(1)〜(4)を選ぶと物理的におかしい。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問12(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12(b)
三相3線式の高圧電路に300 kW,遅れ力率0.6 の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし,直列リアクトルSR のリアクタンス X_L[Ω]は,三相コンデンサSC のリアクタンス X_C[Ω]の6 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,高圧電路の線間電圧は6 600 V とし,無効電力によって電圧は変動しないものとする。
〔小問(b)〕 進相コンデンサ設備を負荷と並列に接続し,力率を遅れ0.6 から遅れ0.8 に改善した。このとき,この設備の三相コンデンサSC の容量の値[kvar]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
まず必要な進み無効電力を求める。有効電力300 kW は変わらないので,力率0.6 のときの遅れ無効電力は
Q₁=300×(0.8/0.6)=400 kvar
力率0.8 に改善した後の遅れ無効電力は
Q₂=300×(0.6/0.8)=225 kvar
である。したがって進相コンデンサ設備が供給すべき進み無効電力は
Q=400−225=175 kvar
となる。
ここで問われているのは設備全体の175 kvar ではなく,三相コンデンサSC 単体の容量である。設備の無効電力は SR と SC の差し引きで175 kvar になっているので,SC 単体は直列リアクトルが打ち消している分だけ大きい。小問(a)で見たとおり設備全体のリアクタンスは 0.94X_C だから
Q_SC=Q×X_C/(0.94X_C)=175/0.94=186 kvar
となり(3)である。
175 kvar のまま答えると(1)を選ぶことになる。直列リアクトルを入れると,同じ改善効果を得るのに必要なコンデンサ容量は約6 %大きくなる。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問12(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13(a)
電気工作物に起因する供給支障事故について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 電気事業法第39条(事業用電気工作物の維持)において,事業用電気工作物の損壊により (ア) 者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されている。
② 「電気関係報告規則」において, (イ) を設置する者は, (ア) ,配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧 (ウ) V 以上の (イ) の破損又は (イ) の誤操作若しくは (イ) を操作しないことにより (ア) 者,配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた場合,電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をしなければならないことが規定されている。
③ 図1に示す高圧配電系統により高圧需要家が受電している。事故点1,事故点2又は事故点3のいずれかで短絡等により高圧配電系統に供給支障が発した場合,②の報告対象となるのは (エ) である。
正解:5
①電気事業法39条2項3号は「事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること」と定めている。したがって(ア)は一般送配電事業である。
②電気関係報告規則3条1項の表12号は,「一般送配電事業者の…電気工作物と電気的に接続されている電圧3 000 V 以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者,配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故」を,設置の場所を管轄する産業保安監督部長への報告対象としている。したがって(イ)は自家用電気工作物,(ウ)は3 000 である。高圧受電が6 600 V なので6 000 と書きたくなるが,条文の数値は3 000 V である。
③報告義務を負うのは自家用電気工作物を設置する者,つまり高圧需要家である。図1で保安上の責任分界点より需要家側にあるのは事故点2 と事故点3 で,事故点1 は分界点より電源側=一般送配電事業者の配電線側なので需要家の自家用電気工作物ではない。よって(エ)は事故点2又は事故点3となる。答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問13(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13(b)
電気工作物に起因する供給支障事故について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 受電設備を含む配電系統において,過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき,供給支障の拡大を防ぐため,事故点直近上位の遮断器のみが動作し,他の遮断器は動作しないとき,これらの遮断器の間では (ア) がとられているという。
② 図2は,図1の高圧需要家の事故点2又は事故点3で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。 (ア) がとられている場合,遮断器B の継電器動作特性曲線は, (イ) である。
③ 図3は,図1の高圧需要家の事故点2で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。 (ア) がとられている場合,遮断器B の継電器動作特性曲線は, (ウ) である。また,地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため (エ) の使用が推奨されている。
正解:4
(ア)事故点に最も近い上位の遮断器だけが動作して停電範囲を最小に抑える関係を保護協調という。「同期協調」という用語はない。
(イ)(ウ)遮断器B は高圧需要家の受電用で,配電用変電所の遮断器A より事故点に近い。保護協調がとれているとは,同じ事故電流に対してB がA より先に動作することである。したがってB の特性曲線は,どちらの図でも動作時間が短い側の曲線を選べばよい。図2では下側の曲線2,図3では下側(左側)の曲線4 がそれにあたる。A が先に動作すると,事故と関係のない他の需要家まで停電してしまう。
(エ)地絡方向継電器(DGR)である。零相変流器だけでは自分の構内の地絡か構外の地絡かを区別できないが,零相電圧と零相電流の位相関係を見れば電流がどちら向きに流れているかが分かり,負荷側の地絡か電源側の地絡かを判別できる。小問(a)の問11で見たように,構外の地絡でも自分の零相変流器には電流が流れるので,この方向判別が不必要な停電を防ぐ鍵になる。「地絡距離継電器」は事故点までの距離を測る発想の継電器で,ここでの用途とは異なる。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和5年度下期 法規 問13(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
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