📄 本試験 過去問題
電験3種 2024年度上期(令和6年度上期) 機械
18問 ・ 目安 正答率60% ・ 2024年8月18日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2024年度上期(令和6年度上期) 機械試験で実際に出題された全18問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2024年8月18日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和6年度上期・機械:合格基準は100点満点中60点以上(筆記方式の公表値)。
出典:令和6年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和6年9月30日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
次の文章は,直流機に関する記述である。
直流機では固定子と回転子の間で直流電力と機械動力の変換が行われる。この変換を担う機構の一種にブラシと整流子とがあり,これらを用いた直流機では通常,界磁巻線に直流の界磁電流を流し, (ア) を回転子とする。
このブラシと整流子を用いる直流機では,電機子反作用への対策として補償巻線や補極が設けられる。ブラシと整流子を用いる場合には,補極や補償巻線を設けないと,電機子反作用によって,固定子から見た (イ) 中性軸の位置が変化するために,これに合わせてブラシを移動しない限りブラシと整流子片との間に (ウ) が生じて整流子片を損傷するおそれがある。なお,小形機では,補償巻線と補極のうち (エ) が一般的に用いられる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
問題文が「界磁巻線に直流の界磁電流を流し」と述べているので,界磁は固定子側である。したがって回転子になるのは残る「電機子」で,(ア)=電機子。これで(1)(2)が落ちる。次に(イ)は,電機子反作用によって位置が変わる中性軸である。幾何学的中性軸は磁極の形状で機械的に決まってしまうので動きようがなく,電機子電流のつくる磁束によって主磁束が偏った結果ずれるのは「電気的」中性軸のほうである。よって(イ)=電気的となり,「幾何学的」の(3)も消える。電気的中性軸がずれたままブラシを動かさないと,短絡されるコイルに起電力が残って整流が不良になり,ブラシと整流子片の間に「火花」が生じて整流子片を焼損する。ここで(ウ)=火花であり,「応力」は電気的な現象ではないので誤りである。残る(4)と(5)の違いは(エ)だけで,これは補償巻線と補極のどちらが小形機向きかという知識である。補償巻線は磁極片にスロットを切って導体を埋め込む必要があり,構造が複雑で高価なので大形機・急変負荷の機械に使われる。小形機では,主磁極の間に小さな補極を置くだけで整流を改善できるため「補極」が一般的である。答(5)。なお補極は整流時の短絡コイルに逆向きの起電力を与えて火花を消す働き,補償巻線は電機子反作用そのものを打ち消す働きと,狙いが異なる点も整理しておきたい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問1
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問 2
電機子回路の抵抗が 0.20 Ωの直流他励電動機がある。励磁電流,電機子電流とも一定になるように制御されており,電機子電流は 50 A である。回転速度が 1 200 min⁻¹のとき,電機子回路への入力電圧は 110 V であった。励磁電流,電機子電流を一定に保ったまま電動機の負荷を変化させたところ,入力電圧が 80 V となった。このときの回転速度[min⁻¹]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,電機子反作用はなく,ブラシの抵抗は無視できるものとする。
正解:2
直流電動機の回転速度は端子電圧そのものではなく,逆起電力 E に比例する。E は端子電圧から電機子抵抗による電圧降下を差し引いた値なので,まず両方の運転状態で E を求める。はじめの状態は E₁=110−50×0.20=110−10=100 V で,このとき 1 200 min⁻¹。入力電圧が 80 V になった状態は,電機子電流が 50 A のまま保たれているので電圧降下も 10 V のままで,E₂=80−10=70 V である。励磁電流が一定だから磁束Φも一定で,E=KΦN より N∝E が成り立つ。よって N₂=1 200×70/100=840 min⁻¹。答(2)。ここでの落とし穴は,電圧降下を無視して端子電圧の比だけで N₂=1 200×80/110≒873 としてしまうことで,これはそのまま(3)に用意されている。また電圧降下を 2 回引いたり,逆に E₁ を 110 V のままにして 1 200×70/110≒764 とすると(1)になる。「回転速度に比例するのは逆起電力であり,端子電圧ではない」という一点を外さないことが要点である。なお負荷を変えても電機子電流が一定に保たれているということは,トルクT=KΦI_a も一定ということであり,出力は回転速度に比例して 100→70 の割合で減っていることになる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問2
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問 3
次の文章は,三相の誘導機に関する記述である。
固定子の励磁電流による同期速度の (ア) と回転子との速度の差(相対速度)によって回転子に電圧が発生し,その電圧によって回転子に電流が流れる。トルクは回転子の電流と磁束とで発生するので,トルク特性を制御するため,巻線形誘導機では回転子巻線の回路をブラシと (イ) で外部に引き出して二次抵抗値を調整する方式が用いられる。回転子の回転速度が停止(滑り s=1)から同期速度(滑り s=0)の間,すなわち,1>s>0 の運転状態では,磁束を介して回転子の回転方向にトルクが発生するので誘導機は (ウ) となる。回転子の速度が同期速度より高速の場合,磁束を介して回転子の回転方向とは逆の方向にトルクが発生し,誘導機は (エ) となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
三相巻線に三相交流を流すと,大きさが一定のまま同期速度で回る「回転磁界」ができる。交番磁界は単相で生じる,向きだけが入れ替わって回転しない磁界であり,同期速度という速度をもつのは回転磁界のほうである。よって(ア)=回転磁界となり,(1)(2)(5)がここで落ちる。(イ)は巻線形誘導機で回転子巻線を外部へ取り出す部品である。整流子は交流を直流に機械的に変換するためのもので直流機に使われる。回転子の三相巻線をそのまま交流のまま外へ出すには連続した輪であるスリップリングを用いる。残る(3)と(4)の違いは(ウ)(エ)の入れ替わりだけである。1>s>0 は回転子が同期速度より遅い通常の運転で,回転方向と同じ向きのトルクが出て軸から機械動力を取り出せる,すなわち「電動機」である。回転子を同期速度より速く外部から回すと滑りが負になり,トルクは回転方向と逆向き=制動する向きに働き,機械動力を電力に変えて電源へ送り返す「発電機」になる。答(3)。誘導機は同じ機械のまま滑りの符号だけで電動機と発電機が切り替わり,風力発電機で誘導機が使えるのはこの性質による。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問3
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問 4
V/f 一定制御インバータで駆動されている 6 極の誘導電動機がある。この電動機は,端子電圧を V[V],周波数を f[Hz]として,V/f 比=4 一定制御インバータによって 66 Hz で駆動されている。
このときの滑りは 5 %であった。この誘導電動機の回転速度[min⁻¹]の値として,正しいのは次のうちどれか。
正解:3
まず同期速度を求める。N_s=120f/p に f=66 Hz,p=6 を入れて N_s=120×66/6=1 320 min⁻¹。次に滑り 5 %を反映させると,回転速度は N=N_s(1−s)=1 320×(1−0.05)=1 320×0.95=1 254 min⁻¹。答(3)。この問題で紛らわしいのは,V/f 比=4 という数値と端子電圧 V が回転速度の計算にはまったく関係しないことである。V/f 一定制御は磁束を一定に保って低速でもトルクを確保するための制御方式であり,回転速度を決めるのはあくまで周波数と極数と滑りである。誤答の作られ方も分かりやすい。滑りを引き忘れて同期速度そのままにすると 1 320 で(4),商用の 60 Hz で計算してしまうと N_s=1 200 となりこれが(2),さらに 60 Hz で滑りも引くと 1 140 で(1)になる。極数を 4 と取り違えると 120×66/4=1 980,滑りを引いて 1 881 とやはり合わない。なお(5)の 1 710 は 4 極・60 Hz(同期速度1 800)で滑り 5 %とした値で,別の設定の答えである。極数と周波数を式に入れる前に必ず問題文で確認したい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問4
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問 5
回転界磁形同期電動機が停止している状態で,固定子巻線に対称三相交流電圧を印加すると回転磁界が生じる。しかし,励磁された回転子磁極が受けるトルクは,同じ大きさで向きが交互に変わるので,その平均トルクは零になり電動機は起動しない。これを改善するために,回転子の磁極面に (ア) を施す。これは, (イ) と同じ起動原理を利用したもので,誘導トルクによって電動機を起動させる。
起動時には,回転磁束によって誘導される高電圧によって絶縁が破壊するおそれがあるので, (ウ) を抵抗で短絡して起動する。回転子の回転速度が同期速度に近づくと,この短絡を切り放し (エ) で励磁すると,回転子は同期速度に引き込まれる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
同期電動機の自己始動法を順に追う問題である。回転子の磁極面に太い導体を軸方向に埋め込んで両端を短絡環でつないだものが「制動巻線」で,これが(ア)。補償巻線は直流機で電機子反作用を打ち消すための巻線であり,同期電動機の磁極面に施すものではないので(1)(5)が落ちる。制動巻線は短絡された導体の集まりであって,構造も原理も「かご形誘導電動機」の回転子そのものである。誘導トルクで引きずり上げるのだから,二次抵抗を外部に取り出す巻線形ではない。ここで(3)も消える。(ウ)は起動時に抵抗で短絡しておく巻線である。起動中は回転磁界が界磁巻線を高速で切るため,巻数の多い界磁巻線に高電圧が誘導されて絶縁が破壊されるおそれがある。これを防ぐために短絡するのは「界磁巻線」で,固定子巻線ではない。固定子巻線は電源につながって回転磁界をつくっている側なので短絡できない。これで(4)も外れる。同期速度付近まで加速したら短絡を切り放し,界磁巻線を「直流」で励磁して回転子を磁石にすると,回転磁界に同期して引き込まれる(同期引入れ)。交流で励磁したのでは磁極が固定されず同期しない。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問5
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問 6
線間電圧 V が 360 V,電機子電流 I が 20 A,力率 cosθ が 1.0 で運転されている三相同期電動機がある。この電動機の電機子巻線は Y 結線,一相の同期リアクタンス x_s は 6 Ωである。巻線抵抗の電圧降下は無視するものとし,この運転状態における一相の誘導起電力 E[V]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
求めるのは「一相の」誘導起電力なので,まず線間電圧を相電圧に直す。Y 結線だから V_p=360/√3≒207.8 V。ここを線間のまま計算すると答えが √3 倍ずれるので,最初に必ず割っておきたい。巻線抵抗を無視すると,一相分の関係は Ė=V̇_p−j x_s İ と書ける。力率 1.0 なので電流は相電圧と同相であり,j x_s İ は相電圧と直角を向く。したがって大きさは直角三角形の斜辺として E=√(V_p²+(x_s I)²)で求まる。V_p²=360²/3=43 200,x_s I=6×20=120 V だから 120²=14 400 で,E=√(43 200+14 400)=√57 600=240 V とちょうど割り切れる。答(3)。落とし穴は 2 つある。1 つは線間電圧のまま √(360²+120²)=√144 000≒379.5 とすることで,これがそのまま(5)の 380 に用意されている。もう 1 つはリアクタンス降下を直交する量として扱わず,単純に足し引きしてしまうことである。リアクタンス降下を忘れて相電圧をそのまま答えると 207.8 となり,最も近い選択肢は(2)の 220 になる。いずれもベクトル図を描いて,端子相電圧と直角に電圧降下を継ぎ足す形を確認すれば防げる。なお本問は数値がきれいに揃うよう作られており,√57 600=240 と整数で出る。計算途中で半端な値になったら,相電圧への換算か二乗のどこかを間違えていると気づける。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問6
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問 7
次の文章は,一般的な電気機器(変圧器,直流機,誘導機,同期機)の共通点に関する記述である。
a (ア) と (イ) は,磁束の大きさ一定,電源電圧(交流機では周波数も)一定のとき回転速度の変化でトルクが変化する。
b 一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳して流す (イ) と (ウ) は,特性計算に用いる等価回路がよく似ている。
c 負荷電流が電機子巻線を流れる (ア) と (エ) は,界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和の磁束に比例する誘導起電力が発生する。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
手掛かりが一番はっきりしているのは b である。「一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳して流す」「等価回路がよく似ている」の 2 つを同時に満たす組合せは誘導機と変圧器しかない。誘導機は静止した変圧器の二次側を回転させたものと見なせ,一次側に励磁電流と負荷電流が重なって流れる点まで同じで,T 形等価回路の形も共通である。よって(イ)(ウ)は誘導機と変圧器の組で,(イ)=誘導機,(ウ)=変圧器と決まる。つづいて c の「電機子巻線」「界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和」という言葉は,界磁と電機子をもつ機械,すなわち直流機と同期機を指す。したがって(ア)(エ)がこの 2 つで,b で(イ)=誘導機と決まっているから a の「(ア)と(イ)」は直流機と誘導機の組になり,(ア)=直流機,(エ)=同期機。答(5)。a の内容もこれと矛盾しない。直流機も誘導機も,磁束と電源電圧が一定なら回転速度が変わると逆起電力や滑りが変わってトルクが変化する。一方,同期機は回転速度が電源周波数で固定されていてトルクは負荷角で決まるため,a の記述には当てはまらない。(3)は(ウ)に同期機を置いており,同期機の等価回路は変圧器や誘導機のような励磁回路を主役にした形ではないので誤りである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
次の文章は,単相変圧器の簡易等価回路に関する記述である。
変圧器の電気的な特性を考える場合,等価回路を利用すると都合がよい。また,等価回路は負荷も含めた電気回路として考えると便利であり,特に二次側の諸量を一次側に置き換え,一次側の回路はそのままとした「一次側に換算した簡易等価回路」は広く利用されている。
一次巻線の巻数を N₁,二次巻線の巻数を N₂ とすると,巻数比 a は a=N₁/N₂ で表され,この a を使用すると二次側諸量の一次側への換算は以下のように表される。
・V̇₂′:二次電圧 V̇₂ を一次側に換算したもの V̇₂′= (ア) ·V̇₂
・İ₂′:二次電流 İ₂ を一次側に換算したもの İ₂′= (イ) ·İ₂
・r₂′:二次抵抗 r₂ を一次側に換算したもの r₂′= (ウ) ·r₂
・x₂′:二次漏れリアクタンス x₂ を一次側に換算したもの x₂′= (エ) ·x₂
・Ż_L′:負荷インピーダンス Ż_L を一次側に換算したもの Ż_L′= (オ) ·Ż_L
ただし,′(ダッシュ)の付いた記号は,二次側諸量を一次側に換算したものとし,′(ダッシュ)のない記号は二次側諸量とする。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
巻数比 a=N₁/N₂ で一次側の巻数が多い(昇圧して二次から見ると降圧)と考えると,一次換算とは「二次側の量を,同じ巻数の一次巻線に置き換えたらいくつになるか」を求める操作である。電圧は巻数に比例するので,二次電圧を一次側の巻数に直すと a 倍になり(ア)=a。電流は起磁力 NI が保存されるので巻数に反比例し,(イ)=1/a。ここで(1)(2)(5)が落ちる。インピーダンスは電圧÷電流だから,a 倍÷(1/a)倍=a² 倍になる。抵抗も漏れリアクタンスも負荷インピーダンスもすべてインピーダンスの仲間なので,(ウ)(エ)(オ)はいずれも a²。答(4)。(3)は電圧・電流は正しいがインピーダンスを 1/a² としており,向きが逆である。換算の向きに迷ったら,「一次側から見た合成インピーダンスが a² 倍になるから,一次巻線に同じ電圧を掛けたときの電流が 1/a² になる」と,消費電力が一致することで検算できる。実際 (a·V₂)×(I₂/a)=V₂I₂ となって皮相電力は換算の前後で変わらず,これが a² という指数が正しいことの裏づけになる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
単相変圧器の一次側に電流計,電圧計及び電力計を接続して,二次側を短絡し,一次側に定格周波数の電圧を供給し,電流計が 40 A を示すよう一次側の電圧を調整したところ,電圧計は 80 V,電力計は 1 200 W を示した。この変圧器の一次側からみた漏れリアクタンス[Ω]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,電流計,電圧計及び電力計は理想的な計器であるものとする。
正解:2
短絡試験の結果から等価回路の直列成分を求める問題である。二次側を短絡しているので励磁回路には電流がほとんど流れず,測定値はすべて一次側から見た直列インピーダンスの値と考えてよい。まずインピーダンスの大きさは Z=V/I=80/40=2.00 Ω。次に抵抗分は電力計の指示から求める。短絡試験で消費される電力はほぼ銅損なので P=I²r より r=1 200/40²=1 200/1 600=0.75 Ω。リアクタンスは,Z²=r²+x² の関係を使って x=√(Z²−r²)=√(2.00²−0.75²)=√(4.00−0.5625)=√3.4375≒1.85 Ω。答(2)。誤答の作り方が明快な問題で,Z をそのままリアクタンスとして答えると 2.00 で(3),r と x を単純に引いて 2.00−0.75=1.25 とすると(1)の 1.28 に近い値になる。逆に足して 2.75 としたり,√(Z²+r²)=√4.5625≒2.14 としても選択肢に近い値が並ぶ。「Z・r・x は直角三角形をなす」という関係を式で書いてから当てはめるのが安全である。ちなみに力率は cosθ=P/(VI)=1 200/(80×40)=0.375 で,これを使って x=Z sinθ=2.00×√(1−0.375²)≒1.85 としても同じ値が得られる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,単相半波ダイオード整流回路に関する記述である。
抵抗とリアクトルとを直列接続した負荷に電力を供給する単相半波ダイオード整流回路を図1 に示す。スイッチ S を開いて運転したときに,負荷力率に応じて負荷電圧 e_d の波形は図2 の (ア) となり,負荷電流 i_d の波形は図2 の (イ) となった。次にスイッチ S を閉じ,環流ダイオードを接続して運転したときには,負荷電圧 e_d の波形は図2 の (ウ) となり,負荷電流の流れる期間は,スイッチ S を開いて運転したときよりも (エ) 。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
スイッチ S を開いた状態は環流ダイオードのない単相半波整流で,負荷が RL なのでリアクトルが電流を流し続けようとする。そのため電源電圧が負に転じてもダイオードは導通したままで,負荷電圧は電源電圧に沿って負の領域まで続き,電流が零になった瞬間に垂直に立ち上がって零へ戻る。この特徴をもつのは負の部分をもち途中で急に切れている波形1 で,(ア)=波形1。負の部分がまったくない波形2 は環流ダイオードがある場合の形なので,ここで(1)(5)が落ちる。電流の波形は,リアクトルのため電源電圧より遅れて立ち上がり,電圧が負になってからも流れ続けて π を過ぎたところで零になる。波形4 は電圧と同時に流れ始めて π で終わる抵抗負荷の形であり,遅れと引き延ばしをもつのは波形5 のほうである。よって(イ)=波形5 で(4)も消える。スイッチ S を閉じて環流ダイオードを付けると,電源電圧が負になった瞬間に環流ダイオードが導通して負荷を短絡するので,負荷電圧は負にならず零に固定される。これが波形2 で(ウ)=波形2。波形3 は全波整流の形なので単相半波では現れない。そして環流ダイオードがあると,リアクトルに蓄えられたエネルギーが負荷内の閉ループを回り続けるため,電流は次の周期まで流れ続けやすくなり通流期間は「長くなる」。答(3)。環流ダイオードの効果を「出力電圧の負の部分を切り取り,電流を連続化する」と一言でまとめておくと,(ウ)と(エ)が同時に決まる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
巻上機によって質量 1 200 kg の物体を 0.3 m/s の一定速度で巻き上げているときの電動機出力[kW]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,機械効率は 98 %,重力加速度は 9.8 m/s²,ロープの質量及び加速に要する動力については考慮しないものとする。
正解:3
一定速度で巻き上げているので加速に要する動力は不要で,必要なのは重力に逆らって持ち上げるぶんの動力だけである。物体側で必要な機械動力は P=mgv=1 200×9.8×0.3=3 528 W。この動力を機械効率 98 %の巻上機を介して伝えるので,電動機が出さなければならない出力はこれを効率で割った値になり,P_M=3 528/0.98=3 600 W=3.6 kW。答(3)。選択肢が 0.1 kW 刻みで並んでいるため,効率の扱いを間違えるとすぐ隣の値になる。効率を掛けてしまうと 3 528×0.98≒3 458 W=3.5 kW となり(2)に落ちる。効率を無視すればそのまま 3 528 W≒3.5 kW でやはり(2)である。「損失があるぶん,電動機は必要な動力より多く出さなければならない」ので,効率で割って値が大きくなる向きが正しい。単位の確認もしておくと,kg×m/s²×m/s=N·m/s=W となって,質量に重力加速度を掛けた時点で力[N],それに速度を掛けて動力[W]になっている。なお仮に加速も考えるなら ma のぶんの力が上乗せされるが,本問は一定速度なので a=0 であり,ただし書きどおり考慮しなくてよい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
熱の伝導は電気の伝導によく似ている。下記は,電気系の量と熱系の量の対応表である。
〔電気系と熱系の対応表〕
・電圧 V[V] ―― (ア) [K]
・電気量 Q[C] ―― 熱量 Q[J]
・電流 I[A] ―― (イ) [W]
・導電率 σ[S/m] ―― 熱伝導率 λ[W/(m·K)]
・電気抵抗 R[Ω] ―― 熱抵抗 R_T (ウ)
・静電容量 C[F] ―― 熱容量 C (エ)
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
電気系と熱系の対応は,電圧↔温度差,電流↔熱流,電気抵抗↔熱抵抗,電気量↔熱量,静電容量↔熱容量と覚えるのが基本である。単位からも決められる。(ア)の単位は[K]と示されているので温度差θ,(イ)の単位は[W]なので単位時間当たりのエネルギー,すなわち熱流Φである。ここで(2)(4)が落ちる。(ウ)の熱抵抗は,オームの法則の対応 θ=R_T·Φ から R_T=θ/Φ となり,単位は[K]÷[W]=[K/W]。K/J としている(3)は,分母をエネルギーにしてしまっており誤りである。(エ)の熱容量は,静電容量が Q=CV であることに対応して熱量 Q=C·θ となるので C=Q/θ で単位は[J]÷[K]=[J/K]。J/W では時間の単位になってしまう。よって(ア)温度差θ,(イ)熱流Φ,(ウ)[K/W],(エ)[J/K]で答(1)。この対応が成り立つおかげで,多層壁を伝わる熱の計算を直列抵抗の合成として,熱容量を含む過渡的な温度上昇を RC 回路の過渡現象として解くことができる。電動機や変圧器の温度上昇曲線が指数関数になるのも,この熱回路のアナロジーによる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
次の文章は,自動制御に関する記述である。
機械,装置及び製造ラインの運転や調整などを制御装置によって行うことを自動制御という。自動制御は,シーケンス制御と (ア) 制御とに大別される。
シーケンス制御は,あらかじめ定められた手順や判断によって制御の各段階を順に進めていく制御である。この制御を行うための機器として電磁リレーがある。電磁リレーを用いた (イ) シーケンス制御をリレーシーケンスという。
リレーシーケンスにおいて,2 個の電磁リレーのそれぞれのコイルに,相手の b 接点を直列に接続して,両者が決して同時に働かないようにすることを (ウ) という。
シーケンス制御の動作内容の確認や,制御回路設計の手助けのために,横軸に時間を表し,縦軸にコイルや接点の動作状態を表したものを (エ) という。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
自動制御はシーケンス制御と「フィードバック制御」に大別される,というのが定番の分類である。フィードフォワード制御は外乱を先読みして補正する方式で,フィードバック制御の一形態あるいは補助として位置づけられ,二大分類の片方には置かれない。よって(ア)=フィードバックで(1)(4)が落ちる。電磁リレーは金属の接点を機械的に開閉する部品なので「有接点」である。無接点シーケンス制御は,トランジスタや論理 IC など可動接点をもたない素子で組むものを指す。ここで(5)も消える。(ウ)は,2 個のリレーのコイル回路にそれぞれ相手の b 接点(ブレーク接点)を直列に入れる回路で,一方が動作すると相手の回路が切れて絶対に同時には働かない。これが「インタロック」である。正逆転回路で正転用と逆転用の電磁接触器が同時に入って短絡することを防ぐ,安全上の基本回路にあたる。残る(エ)は,横軸に時間,縦軸に各コイル・接点の動作状態を並べて描いた図なので「タイムチャート」。フローチャートは処理の順序を分岐記号で表す流れ図であり,時間軸をもたない。答(2)。(3)は(ウ)にブロックを入れているが,ブロック線図は伝達要素を四角で表すフィードバック制御側の図で,リレー回路の同時動作防止を指す語ではない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問13
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問 14
二つのビットパターン 1101 と 1011 のビットごとの論理演算を行う。排他的論理和(ExOR)は (ア) ,否定論理和(NOR)は (イ) であり, (ア) と (イ) との論理和(OR)は (ウ) である。1011 と (ウ) との排他的論理和(ExOR)の結果を 2 進数と考え,その数値を 16 進数で表すと (エ) である。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
ビットごとに順に計算する。まず排他的論理和は「異なれば 1」なので,1101 と 1011 を桁ごとに比べると,最上位から 1と1→0,1と0→1,0と1→1,1と1→0 で(ア)=0110。異なれば 0 と取り違えると 1001 になり,これが(1)(3)に用意されている。次に否定論理和は,論理和をとってから反転する。1101 OR 1011=1111 なので,その否定は(イ)=0000。ここで NOR を「両方 1 のとき 0」などと誤ると 1111 のままになり(3)(4)に落ちる。(ウ)は(ア)と(イ)の論理和で,0110 OR 0000=0110。相手が 0000 なのだから結果は 0110 のままであり,1111 とする(2)は誤りである。この段階で(5)以外が残らない。最後に 1011 と(ウ)=0110 の排他的論理和をとると,1と0→1,0と1→1,1と1→0,1と0→1 で 1101。これを 2 進数と見ると 8+4+0+1=13 であり,16 進数では(エ)=D となる。答(5)。誤答の(2)は(ア)(イ)が正解と同じで(ウ)だけが 1111 に差し替えられており,しかも(エ)は正解と同じ D のまま置かれている。実際に(ウ)=1111 で最後まで計算すると 1011 と 1111 の排他的論理和は 0100=4 となり D にはならないので,(2)は内部で辻褄が合っていない。(エ)の 16 進数だけを見て選ぶと取り違えるため,(ア)から(エ)まで各段階を紙に書き並べて確かめたい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問14
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問 15(a)
定格周波数 60 Hz,6 極の三相巻線形誘導電動機があり,二次巻線を短絡して定格負荷で運転したときの回転速度は 1 170 min⁻¹である。この電動機について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,電動機の二次抵抗値が一定のとき,滑りとトルクは比例関係にあるものとする。
〔小問(a)〕 この電動機を定格負荷の 80 %のトルクで運転する場合,二次巻線が短絡してあるときの滑りの値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
まず定格運転時の滑りを求める。同期速度は N_s=120f/p=120×60/6=1 200 min⁻¹で,定格負荷での回転速度が 1 170 min⁻¹だから,s=(1 200−1 170)/1 200=30/1 200=0.025 である。ただし書きに「二次抵抗値が一定のとき,滑りとトルクは比例関係にある」とあるので,二次巻線を短絡したまま(=二次抵抗が定格時と同じまま)トルクだけを 80 %に落とすと,滑りもそのまま 80 %になる。したがって s′=0.025×0.80=0.02。答(2)。このとき回転速度は 1 200×(1−0.02)=1 176 min⁻¹で,軽負荷になったぶん定格時より少し速く回ることになり,直感とも合う。落とし穴は,0.025 という定格滑りをそのまま答えてしまうことで,これが(3)に置かれている。逆に 0.025/0.8=0.031 と割り算をしてしまうと(4)の 0.03 に近づく。トルクが減れば滑りも減る,という向きを間違えないことが要点である。なお滑りとトルクが比例するのは滑りが小さい領域での近似で,実際のトルク曲線は最大トルクを越えると逆に減少する。本問はただし書きでこの近似を明示しているので,安心して比例計算してよい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問15(a)
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問 15(b)
定格周波数 60 Hz,6 極の三相巻線形誘導電動機があり,二次巻線を短絡して定格負荷で運転したときの回転速度は 1 170 min⁻¹である。この電動機について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,電動機の二次抵抗値が一定のとき,滑りとトルクは比例関係にあるものとする。
〔小問(b)〕 この電動機を定格負荷の 80 %のトルクで運転する場合,二次巻線端子に三相抵抗器を接続し,二次巻線回路の 1 相当たりの抵抗値を短絡時の 2.5 倍にしたときの回転速度[min⁻¹]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
巻線形誘導電動機の比例推移を使う問題である。同じトルクを出しているとき,滑りは二次抵抗に比例して変化する(s/r₂ が一定)。小問(a)より,トルクが定格の 80 %で二次巻線を短絡している状態の滑りは 0.02 であった。ここから二次抵抗を 2.5 倍にしても,トルクは 80 %のまま変わらないので,滑りだけが 2.5 倍になって s=0.02×2.5=0.05 となる。同期速度は 1 200 min⁻¹だから,回転速度は N=1 200×(1−0.05)=1 200×0.95=1 140 min⁻¹。答(3)。ここで注意したいのは,二次抵抗を増しても発生トルクそのものは変わらないという点である。二次抵抗の挿入は最大トルクの大きさを変えず,トルク曲線を滑りの大きい側へずらすだけなので,同じ負荷トルクに対して回転が遅くなる。これが巻線形誘導電動機の速度制御と始動トルク改善の原理である。誤答としては,定格滑り 0.025 に 2.5 を掛けて s=0.0625 とし 1 200×0.9375=1 125 とする経路があり,これは(2)の 1 110 に近い値になる。(a)で求めた 80 %トルク時の滑りから出発することを忘れないようにしたい。また 2.5 倍を掛け忘れれば(a)のまま 1 176 となって(4)の 1 170 に吸い寄せられる。二次抵抗を増やしたのに回転速度が変わらない,ということはあり得ない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問15(b)
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問 16(a)
図1 は,IGBT を用いた単相ブリッジ接続の電圧形インバータを示す。直流電圧 E_d[V]は,一定値と見なせる。出力端子には,インダクタンス L[H]で抵抗値 R[Ω]の誘導性負荷が接続されている。この電圧形インバータの出力電圧 v₀,出力電流 i₀ が図2 のようになった。インバータの動作モードを図2 に示す①~④として本モードは周期 T[s]で繰り返されるものとする。なお,上下スイッチの短絡を防ぐデッドタイムは考慮しない。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 図2 に示した区間①~④において電流が流れているデバイスの組合せとして正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
図2 の v₀ と i₀ の符号の組合せを区間ごとに読み取れば決まる。判断の基準は 2 つで,出力電圧の極性がどちらの対角スイッチにゲート信号が出ているかを示し,電流の向きがトランジスタ(IGBT)を流れるのか逆並列ダイオードを流れるのかを決める。区間①は v₀=+E_d だが i₀ はまだ負である。ゲートは Q₁・Q₄ に出ているものの,電流の向きが逆なので IGBT は導通できず,電流は D₁・D₄ を通って直流電源側へ戻る。誘導性負荷に蓄えられたエネルギーが電源に回生される区間で,(ア)=D₁−D₄。区間②は v₀=+E_d で i₀ も正になり,ここで初めて Q₁・Q₄ が導通して電源から負荷へ電力が供給される。区間③は v₀=−E_d に切り替わった直後で,i₀ はまだ正のまま残っている。ゲートは Q₂・Q₃ 側に移っているが電流の向きが合わないので,D₂・D₃ を通る回生区間になる。区間④で i₀ が負に転じ,Q₂・Q₃ が導通して逆向きに電力を供給する。したがって ①D₁−D₄,②Q₁−Q₄,③D₂−D₃,④Q₂−Q₃ で答(5)。誘導性負荷では電流が電圧より遅れるため,電圧が切り替わった直後には必ずダイオードを通る回生区間が現れる。この「電圧の極性で対角ペアが決まり,電流の符号がトランジスタかダイオードかを決める」という二段構えが本問の骨格である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問16(a)
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問 16(b)
図1 は,IGBT を用いた単相ブリッジ接続の電圧形インバータを示す。直流電圧 E_d[V]は,一定値と見なせる。出力端子には,インダクタンス L[H]で抵抗値 R[Ω]の誘導性負荷が接続されている。この電圧形インバータの出力電圧 v₀,出力電流 i₀ が図2 のようになった。インバータの動作モードを図2 に示す①~④として本モードは周期 T[s]で繰り返されるものとする。なお,上下スイッチの短絡を防ぐデッドタイムは考慮しない。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 電源電圧 E_d が 100 V,インダクタンス L を 2 mH とし,抵抗 R を 1 Ωとすると,区間①②の電流は −I_p[A]から I_p[A]まで時定数 τ[s]で増加する。τ に最も近い値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
区間①②は,出力電圧が+E_d で一定の間に RL 直列回路の電流が指数関数的に変化する区間である。この過渡現象の時定数は回路の L と R だけで決まり,τ=L/R で与えられる。値を入れると τ=2×10⁻³/1=2×10⁻³ s=0.002 s。答(2)。ここで電源電圧 E_d=100 V は時定数には一切効かない。電圧が効くのは電流の到達値(定常値 E_d/R=100 A)であって,立ち上がりの速さではない。この区別がつかないと 100 という数字を式に入れたくなり,答えが選択肢のどれかに合ってしまう。(5)の 0.02 は 0.002 の桁を 1 つ間違えた値で,L を 2 mH ではなく 20 mH と読んだ場合や 10 倍の換算ミスで出てくる。(3)(4)も 0.002 に係数を掛けた形の値であり,いずれも「τ=L/R」という定義から素直に計算すれば選ばれない。なお L/R=0.002 s に対し,図2 の i₀ が −I_p から I_p まで滑らかに立ち上がっていることから,スイッチング周期 T は時定数の数倍程度であると読める。時定数が周期に比べて十分小さければ電流は方形波に近づき,逆に十分大きければ三角波に近づく。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問16(b)
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問 17(a)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
均等放射の球形光源(球の直径は 30 cm)がある。床からこの球形光源の中心までの高さは 3 m である。また,球形光源から放射される全光束は 12 000 lm である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 球形光源直下の床の水平面照度の値[lx]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,天井や壁など,周囲からの反射光の影響はないものとする。
正解:2
均等放射なので,全光束を全立体角 4π[sr]で割れば光度が求まる。I=F/(4π)=12 000/(4π)=12 000/12.566≒954.9 cd。つづいて直下の床面の照度は,距離の逆二乗の法則による。光源中心から床までの距離は 3 m で,直下なので入射角は 0°=cos0°=1 である。したがって E=I/h²=954.9/3²=954.9/9≒106 lx。答(2)。球の直径 30 cm は(a)では使わない。光源の大きさは(b)の輝度を求めるためのもので,照度の計算では中心までの距離 3 m だけを使う。ここで半径 0.15 m を差し引いて 2.85 m としたり足したりすると値がずれる。誤答の作られ方も典型的で,全立体角の 4π を 2π と取り違えると I≒1 910 cd となり照度は 212 lx で(4),割らずに F/h² としたり距離を二乗し忘れると 12 000/(4π×3)≒318 や 954.9/3≒318 といった値になる。(5)の 425 は 4π を π とした場合の値に近い。「全光束 lm を 4π で割れば光度 cd」「光度を距離の二乗で割れば照度 lx」という 2 段階を,単位とともに確認しながら進めるのが確実である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問17(a)
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問 17(b)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
均等放射の球形光源(球の直径は 30 cm)がある。床からこの球形光源の中心までの高さは 3 m である。また,球形光源から放射される全光束は 12 000 lm である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 球形光源の光度の値[cd]と輝度の値[cd/m²]との組合せとして,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
光度は小問(a)と同じく I=F/(4π)=12 000/(4π)≒955 cd である。この時点で 1 910(4π を 2π とした値)や 3 820(π とした値)を挙げる(3)(4)(5)は落ちる。輝度は「見かけの面積当たりの光度」で,L=I/S と定義される。ここで使う S は表面積ではなく,光源を見る方向に投影した面積である。球を横から見れば,どの方向から見ても大円の円板に見えるので,投影面積は S=πr²。直径 30 cm より r=0.15 m なので,S=π×0.15²=π×0.0225≒0.070 69 m²。したがって L=955/0.070 69≒13 500 cd/m²。答(1)。最大の落とし穴は,投影面積の代わりに球の表面積 4πr²=0.2827 m² を使ってしまうことで,このとき L=955/0.2827≒3 380 cd/m² となり,そのまま(2)に用意されている。表面積を使うのは光束発散度を扱う場面であり,輝度の分母は必ず投影面積である。また半径と直径を取り違えて r=0.3 m とすると S=0.2827 m² となってやはり 3 380 になり,同じ誤答へ吸い寄せられる。輝度はまぶしさに直結する量で,同じ光度でも発光面が小さいほど大きくなる。本問の球形光源をそのまま点光源に近づけると輝度は際限なく大きくなり,グローブや乳白カバーで発光面積を広げることがまぶしさ対策になる理由もここにある。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問17(b)
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問 18(a)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
数の表現法について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 10 進法で表される正の整数 N は,10 進法の 2 以上の整数 r を用いて,次式のように表すことができる。
N=a_n rⁿ+a_(n−1) rⁿ⁻¹+…+a₁ r+a₀
ただし,a_i は整数であり,0≦a_i<r(i=0,1,…,n)である。
このとき,N を r 進法で次のように表現することとする。
(a_n a_(n−1) … a₂ a₁ a₀)_r
この表現方法によって次の計算が成り立つとき,r の値として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(122)_r −(42)_r =(40)_r
正解:2
各数を r を使った 10 進法の式に書き直してから方程式を解く。(122)_r=1×r²+2×r+2=r²+2r+2,(42)_r=4r+2,(40)_r=4r である。これを与えられた等式に入れると,r²+2r+2−(4r+2)=4r。左辺を整理して r²+2r+2−4r−2=r²−2r となるので,r²−2r=4r,すなわち r²=6r。r は 2 以上の整数だから r で割ることができて r=6。答(2)。得られた値が問題の条件を満たすかも確かめておきたい。各桁の数字は 0≦a_i<r でなければならないので,現れている最大の数字 4 が r=6 未満であることを満たしており矛盾はない。逆にこの条件を使えば選択肢を絞ることもできる。もし r=5 なら 4 は使えるが,検算すると(122)₅=37,(42)₅=22,差は 15 で(40)₅=20 と一致しない。r=6 で確かめると(122)₆=1×36+2×6+2=50,(42)₆=4×6+2=26,差は 24 で(40)₆=4×6=24 となってぴたりと合う。r 進法の問題は,10 進法に直してから普通の方程式にするのが最も確実で,桁上がりを r 進法のまま扱おうとすると混乱しやすい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問18(a)
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問 18(b)
【選択問題】問17及び問18は選択問題であり,どちらか一方を選んで解答する(本サイトでは学習用に両方を収録しています)。
数の表現法について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 8 ビットの固定長で,正負のある 2 進法の数値を表現する場合,次のような①及び②で示す方式がある。また,D-A コンバータにおいては次の③で示す方式が用いられる。
① 最上位ビット(左端のビット,以下 MSB という)を符号ビットとして,残りのビットでその数の絶対値を表す方式は,絶対値表示方式と呼ばれる。この場合,MSB=0 が正(+),MSB=1 が負(−)と約束すると,10 進数の−8 は (ア) となる。
② 7 ビット長で表された正の数 n に対して,−n を 8 ビット長の n の 2 の補数で表す方式がある。この方式による場合,10 進数の−8 は (イ) となる。この方式においても,MSB=1 は負の整数,MSB=0 は正の整数を示すことになる。この方式は,2 進数の減算に適している。
③ D-A コンバータでは,ディジタル入力量とアナログ出力量が比例の関係にある。8 ビットの D-A コンバータではディジタル入力量として,(1000 0000)₂ を与えた場合に,0.0000 V が出力されるようにしたオフセット・バイナリ・コードを用いることが多い。この場合,出力電圧が正のときは,MSB=1 となり,負のときは,MSB=0 となる。
ディジタル入力値が(0000 0000)₂ のときのアナログ出力値が −5.0000 V であるオフセット・バイナリ・コードの D-A コンバータでは,ディジタル入力値が(0111 1000)₂ のときの出力電圧値は (ウ) V となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
(ア)は絶対値表示方式である。符号ビットは負なので MSB=1,残り 7 ビットには絶対値 8 をそのまま 2 進数で置くので 000 1000。合わせて(1000 1000)₂ となる。(1111 1000)₂ としている(2)(3)は,2 の補数と取り違えたものである。(イ)は 2 の補数である。まず 8 を 8 ビットで表すと(0000 1000)₂。全ビットを反転して(1111 0111)₂,これに 1 を加えて(1111 1000)₂ が −8 の 2 の補数表現になる。反転だけで止めた(1000 0111)₂ は 1 の補数で,これが(1)(3)の誤答である。ここまでで(4)と(5)が残る。(ウ)はオフセット・バイナリ・コードの D-A 変換である。入力(0000 0000)₂ が −5.0000 V,そして問題文より(1000 0000)₂=128 が 0.0000 V なので,128 ステップで 5.0000 V ぶん動くことになり,1 LSB 当たり 5.0000/128=0.039 062 5 V である。入力(0111 1000)₂ は 10 進で 64+32+16+8=120。よって出力は −5.0000+120×0.039 062 5=−5.0000+4.6875=−0.3125 V。答(4)。別の見方をすると,120 は基準の 128 より 8 だけ小さいので,0 V から 8 LSB ぶん下がった −8×0.039 062 5=−0.3125 V と直ちに求められる。誤答の(5)にある −0.2734 は −7×(5/128)=−0.273 437 5 に等しく,基準の(1000 0000)₂ からのずれを 8 ステップではなく 7 ステップと数えてしまった場合の値である。128−120=8 という引き算を 128−121 や 127−120 と取り違えると,ちょうどこの値になる。オフセット・バイナリでは 0 V の位置が中央の(1000 0000)₂ であることを起点に,そこから何 LSB 離れているかを数えるのが確実である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 機械 問18(b)
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