📄 本試験 過去問題
電験3種 令和元年度 電力
17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2019年9月1日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の令和元年度 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2019年9月1日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和元年度・電力:合格基準は100点満点中60点以上(試験センターの公表値)。
出典:令和元年度第三種電気主任技術者試験の結果について(令和元年10月18日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
我が国の水力発電所(又は揚水発電所)に用いられる水車(又はポンプ水車)及び発電機(又は発電電動機)に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
揚水発電所の三つの方式を並べると次のようになる。
別置式:発電機と電動機を別々に持ち、水車とポンプも別々に持つ。
タンデム式:発電機と電動機を共用し、同一軸に水車とポンプをそれぞれ直結する。水車とポンプを別々の機械にできるので、それぞれの性能を最適に設計できる。
ポンプ水車式:1台の機械(ポンプ水車)が水車とポンプを兼ねる。機器が1台で済むので小形・安価になり、国内で建設される揚水発電所はほとんどこの方式である。
(3)は「同一軸に水車とポンプをそれぞれ直結した方式」というタンデム式の説明に、ポンプ水車式という名前を付けてしまっている。「水車の性能、ポンプの性能をそれぞれ最適に設計できる」のもタンデム式の特徴で、ポンプ水車式は1台で兼ねるぶんそれぞれの最適化はできない。したがって(3)が誤りで、これが答になる。
他の記述を確かめる。(1)ガイドベーンは開度で流量を変え、出力を調整する。(2)比速度が小さいほど高落差向きで、ランナは扁平(径が大きく幅が狭い形)になる。(4)水車発電機は低速で回るので極数が多く、突極形の回転界磁形が使われる。落差を使い切るため水車を下に置く立軸形が多い。(5)調速機は回転速度=周波数を、自動電圧調整器は電圧を一定に保つ。
設問の後半「国内で建設される揚水発電所はほとんどこの方式である」はポンプ水車式について正しい。名前と説明の対応だけが入れ替えられている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問1
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問 2
次の文章は,水車の構造と特徴についての記述である。
(ア) を持つ流水がランナに流入し,ここから出るときの反動力により回転する水車を反動水車という。 (イ) は,ケーシング(渦形室)からランナに流入した水がランナを出るときに軸方向に向きを変えるように水の流れをつくる水車である。一般に,落差40 m〜500 mの中高落差用に用いられている。
プロペラ水車ではランナを通過する流水が軸方向である。ランナには扇風機のような羽根がついている。流量が多く低落差の発電所で使用される。 (ウ) はプロペラ水車の羽根を可動にしたもので,流量の変化に応じて羽根の角度を変えて効率がよい運転ができる。
一方,水の落差による (ア) を (エ) に変えてその流水をランナに作用させる構造のものが衝動水車である。 (オ) は,水圧管路に導かれた流水が,ノズルから噴射されてランナバケットに当たり,このときの衝動力でランナが回転する水車である。高落差で流量の比較的少ない地点に用いられる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
反動水車と衝動水車の違いは、ランナに入る水が何を持っているかで決まる。
(ア) 反動水車ではランナが水で満たされており、水は圧力水頭を持ったままランナに入る。ここから出るときの反動力で回る。
(イ) ケーシング(渦形室)から半径方向に入った水が、ランナを出るときに軸方向へ向きを変える——これはフランシス水車の説明である。落差40〜500 mの中高落差用で、国内で最も多く使われている。
(ウ) プロペラ水車の羽根を可動にして、流量の変化に応じて角度を変えられるようにしたものがカプラン水車である。
(エ) 衝動水車では、圧力水頭をノズルで速度水頭に変えてから、その噴流をランナに当てる。
(オ) ノズルから噴射された流水がランナバケットに当たる水車がペルトン水車で、高落差・小流量の地点に用いられる。
圧力水頭/フランシス水車/カプラン水車/速度水頭/ペルトン水車となり答(1)。
(ア)と(エ)は「圧力水頭を速度水頭に変える」という一つの文の中で対になっているので、片方が決まればもう片方も決まる。反動水車は圧力を持ったまま、衝動水車は速度に変えてから——これが二つの水車の分かれ目である。
落差の順にペルトン(高)→フランシス(中高)→カプラン・プロペラ(低)と並ぶ。設問が示す落差40〜500 mが(イ)の手がかりになる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
汽力発電所における熱効率向上方法として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
熱効率は、入口と出口の熱落差をどれだけ大きくできるかで決まる。
(2)は正しい。復水器の真空度を高くすると出口の圧力が下がり、蒸気がタービンの中で十分に膨張できる。熱落差が大きくなるので効率が上がる。
他の記述はいずれも向きが逆である。
(1)タービン入口の蒸気は、温度も圧力も高いほど熱落差が大きくなって効率が上がる。低くするのは逆。
(3)節炭器(エコノマイザ)は、煙道の排ガスの余熱で給水を加熱する装置である。熱を回収するのだから排ガス温度は下がる。上昇させるのでは熱を捨てていることになる。
(4)高圧タービンから出た蒸気をボイラへ戻して再び加熱するのが再熱サイクルで、これによって効率が上がり、低圧タービンでの湿り度も下げられる。再熱させないようにするのは逆。
(5)抽気して給水を加熱するのが再生サイクルである。給水があらかじめ温まっているぶんボイラで加える熱が減り、復水器に捨てる熱量は減少する。増加させるのでは効率が下がる。
汽力発電の効率向上策は「入口を高温高圧に」「出口を低圧に」「捨てる熱を回収する」の三つに整理できる。(3)(5)は三つ目の回収、(1)は一つ目、(2)は二つ目、(4)は再熱にあたり、正しい向きに書かれているのは(2)だけである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
1 gのウラン235が核分裂し,0.09 %の質量欠損が生じたとき,これにより発生するエネルギーと同じだけの熱量を得るのに必要な石炭の質量の値[kg]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,石炭の発熱量は2.51×10⁴ kJ/kgとし,光速は3.0×10⁸ m/sとする。
正解:4
まず質量欠損を求める。1 gの0.09 %なので
Δm=1×10⁻³×0.09×10⁻²=9×10⁻⁷ kg。
つぎにアインシュタインの関係式でエネルギーに直す。
E=Δm c²=9×10⁻⁷×(3.0×10⁸)²
=9×10⁻⁷×9×10¹⁶
=8.1×10¹⁰ J=8.1×10⁷ kJ。
最後に石炭の発熱量で割る。
8.1×10⁷/(2.51×10⁴)≒3 227 kg。
最も近いのは3 200で答(4)。
単位の直しを二度行うところが山になる。1 gは10⁻³ kg、0.09 %は0.09×10⁻²=9×10⁻⁴。掛けると9×10⁻⁷ kgである。またJをkJに直すために1 000で割る必要がある。
(5)の48 000は質量欠損を1 g(10⁻³ kg)のままにして計算した場合の桁に近い。0.09 %を掛け忘れると1 000倍以上ずれる。
ウラン1 gが石炭3トン分に相当する、という結果は原子力の特徴をよく表している。化学反応と核反応ではエネルギーの桁が百万倍ほど違う。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
コンバインドサイクル発電では、燃焼ガスの流れと蒸気の流れが分かれている。
燃焼用空気(燃焼ガス)は、空気圧縮機 → 燃焼器 → ガスタービン → 排熱回収ボイラ → 煙突 と流れる。排熱回収ボイラでは、燃焼ガスの熱で別系統の水を蒸気に変えるだけで、燃焼ガス自体は蒸気タービンへは入らない。蒸気タービンを回すのは、その蒸気のほうである。
したがって「蒸気タービンを経て」とする(1)が誤りで、これが答になる。
他の記述を確かめる。(2)ガスタービンは起動が速いので、汽力発電に比べて起動停止時間が短く、負荷の変化にも追従しやすい。(3)出力の一部をガスタービンが受け持つぶん蒸気タービンが小さくなるので、復水器で捨てる熱も少なく、冷却水量が少なくて済む。(4)ガスタービンの熱効率は入口温度が高いほど高い。材料の耐熱温度が上がるにつれて効率も上がってきた。(5)小容量のユニットを複数並べる構成が多く、部分負荷では台数を減らして残りを定格近くで運転できる。そのため部分負荷でも効率が落ちにくい。
(3)と(5)はどちらもコンバインドサイクルの利点だが、理由が違う。(3)は熱の分担、(5)は運転台数の自由度による。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
ガス絶縁開閉装置に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
ガス絶縁開閉装置(GIS)のSF₆ガスは、大気圧より高い圧力(0.4〜0.5 MPa程度)で封入される。気体の絶縁耐力は圧力が高いほど大きくなるので、加圧することで初めて装置を小さくできる。「大気圧以下」とする(2)が誤りで、これが答になる。
他の記述を確かめる。(1)充電部を金属容器の中心に保持するスペーサには、エポキシ樹脂などの固体絶縁物が使われる。(3)容器の中に金属の粉や切りくずが残っていると、電界で動いて絶縁を壊すきっかけになる。製造・据付けのときに異物が入らないよう細心の注意が払われる。(4)SF₆は温室効果が二酸化炭素の2万倍以上と非常に大きいため、保守や廃棄のときは大気へ放出せず回収する。(5)絶縁距離を短くできるので、気中絶縁の変電所に比べて体積も面積も大幅に小さくなる。都市部の変電所で使われる理由である。
(2)と(5)はつながっている。加圧して絶縁耐力を高めているからこそ小形化できるのであって、大気圧以下では気中絶縁より不利になってしまう。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の文章は,変電所の主な役割と用途上の分類に関する記述である。
変電所は,主に送電効率向上のための昇圧や需要家が必要とする電圧への降圧を行うが,進相コンデンサや (ア) などの調相設備や,変圧器のタップ切り換えなどを用い,需要地における負荷の変化に対応するための (イ) 調整の役割も担っている。また,送変電設備の局所的な過負荷運転を避けるためなどの目的で,開閉装置により系統切り換えを行って (ウ) を調整する。さらに,送電線において,短絡又は地絡事故が生じた場合,事故回線を切り離すことで事故の波及を防ぐ系統保護の役割も担っている。
変電所は,用途の面から,送電用変電所,配電用変電所などに分類されるが,東日本と西日本の間の連系に用いられる (エ) や北海道と本州の間の連系に用いられる (オ) も変電所の一種として分類されることがある。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(ア) 調相設備として進相コンデンサと並べられるのは分路リアクトルである。軽負荷時に線路の静電容量で電圧が上がりすぎるのを、遅れ無効電力を吸って抑える。負荷時電圧調整器は変圧器のタップを動かす機器で、調相設備ではない。
(イ) 調相設備や変圧器のタップで調整するのは電圧である。周波数は発電機の出力で調整するもので、変電所の設備では変えられない。
(ウ) 開閉装置で系統を切り換えて調整するのは電力潮流(どの経路にどれだけ電力を流すか)である。局所的な過負荷を避けるために経路を変える、という文脈にも合う。
(エ) 東日本(50 Hz)と西日本(60 Hz)の連系には周波数変換所が使われる。佐久間・新信濃・東清水の三か所がこれにあたる。
(オ) 北海道と本州は海底ケーブルで結ばれており、直流で送electricityしているため両端に交直変換所が要る。北本連系設備である。
分路リアクトル/電圧/電力潮流/周波数変換所/交直変換所となり答(3)。
(エ)と(オ)は「周波数が違うのか、海を渡るのか」で見分ける。周波数が違えば周波数変換所、長距離の海底ケーブルなら直流送電で交直変換所である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
図1のように,定格電圧66 kVの電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された三相平衡系統がある。三相変圧器は定格容量7.5 MV·A,変圧比66 kV/6.6 kV,百分率インピーダンスが自己容量基準で9.5 %である。また,三相変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスは基準容量10 MV·Aで1.9 %である。過電流継電器(OCR)は変流比1 000 A/5 Aの計器用変流器(CT)の二次側に接続されており,整定タップ電流値5 A,タイムレバー位置1に整定されている。図1のF点で三相短絡事故が発生したとき,過電流継電器の動作時間[s]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,三相変圧器二次側からF点までのインピーダンス及び負荷は無視する。また,過電流継電器の動作時間は図2の限時特性に従い,計器用変流器の磁気飽和は考慮しないものとする。
正解:3
百分率インピーダンスを足すには基準容量をそろえる必要がある。電源側が10 MV·A基準なので、変圧器の値もそこへ換算する。
%Z_T=9.5×10/7.5≒12.67 %。
合計は
%Z=12.67+1.9=14.57 %。
6.6 kV側の基準電流(10 MV·Aに対する電流)は
I_n=10×10⁶/(√3×6 600)≒874.8 A。
三相短絡電流は
I_s=874.8/0.1457≒6 005 A。
CTの変流比が1 000 A/5 Aなので、二次側に流れる電流は
6 005×5/1 000≒30.0 A。
整定タップ電流値が5 Aなので、動作電流の倍数は
30.0/5=6.0 倍。
図2の限時特性で倍数6.0のときの動作時間を読むと約3.8 sである。ただし図2はタイムレバー位置10の特性で、この継電器はタイムレバー位置1に整定されている。動作時間はタイムレバー位置に比例するので
3.8×1/10=0.38 s。答(3)。
最後のタイムレバーの換算が要点である。図のキャプションに「タイムレバー位置10」と書いてあることを見落として3.8 sと答えると、選択肢のどれにも当たらない。
基準容量の換算も落としやすい。自己容量基準の%Zは「その機器の定格容量を基準にした値」なので、他の値と足す前に共通の基準へ直す。基準容量を大きくすると%Zも大きくなる(容量に比例する)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
架空送電線路の構成部品に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
がいしは、異常電圧が加わったときに表面(沿面)でフラッシオーバが起こるように設計されている。内部で絶縁破壊が起きると、がいしそのものが壊れて交換が必要になるうえ、破片が落下する危険もある。表面での放電なら、アークが消えれば絶縁が回復して使い続けられる。したがって「がいし内部で起こるように設計されている」とする(3)が誤りで、これが答になる。
さらに、がいし連の両端にアークホーンを取り付けて、アークをがいしから離れた位置に飛ばす工夫もされている。
他の記述を確かめる。(1)鋼心アルミより線(ACSR)は、軽くて導電率のよいアルミを外側に、強度を受け持つ鋼線を中心に置いた複合構造である。(2)ダンパは電線に取り付けて振動エネルギーを吸収し、微風振動などによる断線を防ぐ。(4)架空地線は電線の上に張って雷を受け止める。近年は光ファイバを内蔵したもの(OPGW)が通信線を兼ねる。(5)ねん架は各相の位置を入れ替えて、三相のインダクタンスと静電容量を平衡させる。実際にはジャンパ線で電線の配置を入れ替える。
がいしは「表面で放電させて本体を守る」、架空地線とアークホーンも「守りたいものから離れたところで放電させる」という同じ考え方でできている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,コロナ損に関する記述である。
送電線に高電圧が印加され, (ア) がある程度以上になると,電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。そこで,コロナ放電の発生を抑えるために,電線の実効的な直径を (イ) するために (ウ) する,線間距離を (エ) する,などの対策がとられている。コロナ放電は,気圧が (オ) なるほど起こりやすくなる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
(ア) コロナ放電は、電線のまわりの空気が絶縁破壊して起きる。きっかけになるのは電線表面の電界強度であって、電流密度ではない。コロナは電流ではなく電圧の現象である。
(イ)(ウ) 電線が太いほど表面の電界はゆるやかになるので、実効的な直径を大きくすればコロナは起きにくい。それを実現するのが多導体化で、数本の電線をスペーサで束ねて1本の太い電線のように見せる。単導体化は逆に細くする方向で、対策にならない。
(エ) 線間距離を大きくすると、電線どうしの間の電界がゆるやかになり、コロナ開始電圧が上がる。
(オ) 気圧が低いほど空気の分子が少なく絶縁耐力が下がるので、コロナは起こりやすくなる。標高の高い山間部の送電線でコロナが問題になるのはこのためである。
電線表面の電界強度/大きく/多導体化/大きく/低くとなり答(2)。
(イ)(ウ)(エ)はすべて「電界をゆるやかにする」という一つの目的でつながっている。太くする・離す、のどちらも電界を下げる方向である。
コロナが起きると電力損失のほかに、電波障害や騒音も生じる。超高圧の送電線で多導体が標準になっているのは、コロナ対策としての意味が大きい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
我が国の電力ケーブルの布設方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
直接埋設式は、掘った溝にケーブルを埋めてしまう方式なので、工事期間が短く工事費が安いのは正しい。しかしそのぶん、あとから増設したり事故点を直したりするには、そのつど地面を掘り返さなければならない。したがって「将来的な増設を計画しやすく、事故発生に対して復旧が容易である」は逆で、(4)が誤りとなる。
増設や復旧が容易なのは、あらかじめ管路とマンホールを用意しておく管路式や、人が入れる洞道を持つ暗きょ式である。
他の記述を確かめる。(1)直接埋設式では、コンクリート製トラフなどの防護物にケーブルを収めてから埋めるやり方がある。(2)管路式は管路とマンホールを先に埋設し、ケーブルはマンホールから引き入れて、マンホール内で接続する。(3)暗きょ式には洞道を掘る方式のほか、電力・電話・ガス・上下水道をまとめて収容する共同溝も含まれる。(5)条数が多いときは管路式・暗きょ式が向く。ただし管路式で多条数にすると互いの発熱で温度が上がり、送電容量が落ちる。熱がこもりにくい暗きょ式が選ばれるのはそのためである。
三方式は「工事の手間」と「あとの使いやすさ」の取引になっている。安く早く済むのが直接埋設式、あとが楽なのが暗きょ式、その中間が管路式である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
配電線路に用いられる電気方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
単相3線式で接地するのは、低圧巻線の中点から引き出した中性線である。両端から引き出した線(電圧線)を接地してしまうと、100 Vと200 Vを取り出すという方式の意味が壊れ、対地電圧も200 Vになって危険になる。したがって(2)が誤りで、これが答になる。
中性線を接地すると、両端の電圧線の対地電圧はどちらも100 Vに収まり、電圧線どうしの間からは200 Vが取り出せる。これが(3)の「3本の線で2種類の電圧を供給する」ということである。
他の記述を確かめる。(1)単相2線式は一般住宅や商店向けで、低圧側の1線を接地する。(3)上のとおり正しい。(4)三相3線式は高圧・低圧のどちらにも使われ、変圧器の結線はΔ結線かV結線が一般的である。V結線は単相変圧器2台で三相を作るやり方で、柱上でよく見られる。(5)三相4線式は3本の電圧線と接地した中性線からなる。
(2)と(3)は同じ単相3線式の説明で、(3)が正しいことを認めれば、両端を接地しては2種類の電圧が成り立たないと気づける。二つの選択肢を突き合わせて読むと矛盾が見える。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
図に示すように,電線A,Bの張力を,支持物を介して支線で受けている。電線A,Bの張力の大きさは等しく,その値をTとする。支線に加わる張力T₁は電線張力Tの何倍か。最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
なお,支持物は地面に垂直に立てられており,各電線は支線の取付け高さと同じ高さに取付けられている。また,電線A,Bは地面に水平に張られているものとし,電線A,B及び支線の自重は無視する。
正解:5
二段階に分けて考える。まず平面図(上から見た図)で電線の張力を合成し、つぎに立体図で支線の傾きを考える。
平面図では、電線Aの張力Tが左向き、電線Bの張力Tが下向きで、互いに直角である。二つの合力は左下向きで、大きさは
√(T²+T²)=√2 T。
支持物を引き倒そうとするのがこの力なので、支線はこれと逆向き(右上45°)に同じ大きさ√2 Tで引き返さなければならない。ただしこれは水平方向の成分である。図に45°と書かれているのも、合力が二つの電線のちょうど中間の向きになることを示している。
つぎに立体図を見る。支線は支持物(鉛直)と30°の角をなしているので、支線の張力T₁のうち水平方向の成分は
T₁ sin30°=T₁/2。
これが√2 Tに等しいから
T₁/2=√2 T → T₁=2√2 T。答(5)。
(3)の√2は平面図での合成だけで止めた場合の値である。支線は斜めに張られているので、水平成分を出すためにさらにsin30°で割る必要がある。
角度が支持物(鉛直)から測って30°である点に注意する。水平から測ったのだと勘違いしてcos30°を使うと、T₁=2√2/√3 T となって選択肢に合わない。図の30°がどことどこの間の角かを必ず確かめる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
電気絶縁材料に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
気体は絶縁材料の中でも電気抵抗率が非常に高い部類で、液体や固体と比べて低いということはない。「電気抵抗率及び誘電率が低い」とする(1)が誤りで、これが答になる。
誘電率が低いことのほうは正しく、また「ボイド部での電界強度が高められやすい」という結論も正しい。直列に並んだ誘電体では、誘電率の低いほうに電界が集中するためである。誤りは電気抵抗率についての部分だけである。
他の記述を確かめる。(2)気体の絶縁破壊強度は液体や固体より低いが、気圧を高めれば分子の密度が上がって電子が加速しにくくなり、逆に真空にすれば衝突する相手がいなくなるので、どちらの向きでも絶縁破壊強度を高められる。GISが加圧SF₆を、真空遮断器が真空を使うのはこの性質による。(3)ボイドの中の気体は誘電率が低いので電界が集中し、まず気体が破壊して部分放電になる。固体そのものはまだ壊れていない。(4)熱・電界・機械的応力が長く加わると、固体の中に微小なボイドができて部分放電のもとになる。(5)部分放電がすぐに全体の絶縁破壊につながるわけではないが、長く続くと固体が徐々に侵食され、最後には絶縁破壊に至る。
(3)(4)(5)は「ボイドができる → 部分放電が起きる → 長い時間をかけて絶縁破壊に至る」という一つの筋道になっている。(1)の後半もその入口を説明しており、誤っているのは前半の物性の記述だけである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
復水器の冷却に海水を使用し,運転している汽力発電所がある。このときの復水器冷却水流量は30 m³/s,復水器冷却水が持ち去る毎時熱量は3.1×10⁹ kJ/h,海水の比熱容量は4.0 kJ/(kg·K),海水の密度は1.1×10³ kg/m³,タービンの熱消費率は8 000 kJ/(kW·h)である。
この運転状態について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,復水器冷却水が持ち去る熱以外の損失は無視するものとする。
〔小問(a)〕 タービン出力の値[MW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
熱消費率8 000 kJ/(kW·h)とは、1 kWの出力を1時間得るのに8 000 kJの熱を使うという意味である。一方、1 kW·hは3 600 kJに等しい。
タービン出力をP[kW]とすると、1時間あたりに
入る熱:8 000P[kJ/h]
出力になる分:3 600P[kJ/h]
である。復水器冷却水が持ち去る熱以外の損失は無視できるので、差がそのまま復水器で捨てられる。
8 000P−3 600P=4 400P=3.1×10⁹
P=3.1×10⁹/4 400≒7.05×10⁵ kW=705 MW。
最も近いのは700で答(3)。
1 kW·h=3 600 kJ という換算が要点である。ここを落として「8 000Pがそのまま捨てられる」としたり、逆に「3 600Pが捨てられる」としたりすると答が大きくずれる。
熱効率で確かめると η=3 600/8 000=0.45=45 % となり、汽力発電所として無理のない値である。捨てられる熱の割合は55 %で、投入した熱の半分以上が復水器から海へ出ていくことになる。
海水の流量・比熱・密度はこの小問では使わない。小問(b)で温度上昇を求めるときに使う。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問15(a)
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問 15(b)
復水器の冷却に海水を使用し,運転している汽力発電所がある。このときの復水器冷却水流量は30 m³/s,復水器冷却水が持ち去る毎時熱量は3.1×10⁹ kJ/h,海水の比熱容量は4.0 kJ/(kg·K),海水の密度は1.1×10³ kg/m³,タービンの熱消費率は8 000 kJ/(kW·h)である。次の問に答えよ。
ただし,復水器冷却水が持ち去る熱以外の損失は無視するものとする。
〔小問(b)〕 復水器冷却水の温度上昇の値[K]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
熱量・質量・比熱・温度差の関係は
Q=m c ΔT
である。時間の単位が毎時で与えられているので、質量流量も1時間あたりに直す。
体積流量は30 m³/sなので、1時間では
30×3 600=1.08×10⁵ m³/h。
密度1.1×10³ kg/m³を掛けて質量流量は
1.08×10⁵×1.1×10³=1.188×10⁸ kg/h。
温度上昇は
ΔT=Q/(m c)=3.1×10⁹/(1.188×10⁸×4.0)
=3.1×10⁹/(4.752×10⁸)≒6.5 K。答(4)。
秒と時間の取り違えが唯一の落とし穴である。流量は毎秒、熱量は毎時で与えられているので、どちらかにそろえなければならない。秒にそろえるなら 3.1×10⁹/3 600≒8.61×10⁵ kJ/s、質量流量は 30×1.1×10³=3.3×10⁴ kg/s で、ΔT=8.61×10⁵/(3.3×10⁴×4.0)≒6.5 K と同じ値になる。
発電所の温排水は取水口と放水口で7 K程度の温度差、という実務上の目安ともよく合う。求めた値が桁違いに大きければ、時間の換算をどこかで落としている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問15(b)
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問 16(a)
送電線のフェランチ現象に関する問である。三相3線式1回線送電線の一相が図のπ形等価回路で表され,送電線路のインピーダンスjX=j200 Ω,アドミタンスjB=j0.800 mSとし,送電端の線間電圧が66.0 kVであり,受電端が無負荷のとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 受電端の線間電圧の値[kV]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
受電端が無負荷なので、受電端に流れ込む電流は受電端側のアドミタンスjB/2に流れるものだけである。1相分で考える。
送電端の相電圧は
E_s=66.0/√3≒38.11 kV。
受電端の相電圧をE_rとすると、jXを流れる電流は
İ=j(B/2)E_r=j0.400×10⁻³ E_r。
したがって
E_s=E_r+jX·İ=E_r+j200×j0.400×10⁻³ E_r
=E_r(1+j²×0.08)=E_r(1−0.08)=0.92 E_r。
これを解いて
E_r=38.11/0.92≒41.42 kV。
線間電圧に直すと
41.42×√3≒71.7 kV。答(2)。
受電端の電圧が送電端より高くなっている。これがフェランチ現象で、線路の静電容量に流れる進み電流が線路のリアクタンスを通るとき、電圧を押し上げる向きに働くために起きる。
(1)の66.0は電圧が変わらないとした場合。無負荷でも充電電流が流れるので、必ず受電端のほうが高くなる。
j²=−1 の扱いが要点である。j200×j0.400×10⁻³=−0.08 と符号が負になり、1から引くことになる。ここを+にしてしまうと 38.11/1.08≒35.3 kV と、逆に下がる結果になってしまう。
係数0.92はちょうど 1−XB/2 である。XとBが大きいほど、つまり線路が長いほどフェランチ現象は強く現れる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
送電線のフェランチ現象に関する問である。三相3線式1回線送電線の一相が図のπ形等価回路で表され,送電線路のインピーダンスjX=j200 Ω,アドミタンスjB=j0.800 mSとし,送電端の線間電圧が66.0 kVであり,受電端が無負荷のとき,次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 1線当たりの送電端電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,受電端の線間電圧は約71.7 kVである。)
正解:4
π形等価回路では、アドミタンスが送電端側と受電端側に半分ずつ置かれている。送電端電流は、この二つに流れる電流の合計になる。受電端は無負荷なので、それ以外に電流の行き先はない。
相電圧はそれぞれ
E_s=66.0/√3≒38.11 kV,E_r=71.7/√3≒41.42 kV。
受電端側のアドミタンスに流れる電流は
I₁=(B/2)E_r=0.400×10⁻³×41 420≒16.57 A。
送電端側のアドミタンスに流れる電流は
I₂=(B/2)E_s=0.400×10⁻³×38 110≒15.24 A。
どちらも同じ向き(進み90°)なので、そのまま足して
I_s=16.57+15.24≒31.8 A。答(4)。
(2)の16.6は受電端側のぶんだけ、(1)の15.2は送電端側のぶんだけの値である。π形等価回路では両端にアドミタンスがあるので、送電端電流は両方の和になる。
二つの電流を単純に足してよいのは、どちらもコンデンサに流れる電流で位相がそろっているからである。位相の違う成分どうしなら二乗して足す必要がある。
B/2=0.400 mS を使うこと。設問で与えられたjB=j0.800 mSは線路全体の値で、片側には半分ずつ置かれる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問16(b)
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問 17(a)
三相3線式配電線路の受電端に遅れ力率0.8の三相平衡負荷60 kW(一定)が接続されている。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,三相負荷の受電端電圧は6.6 kV一定とし,配電線路のこう長は2.5 km,電線1線当たりの抵抗は0.5 Ω/km,リアクタンスは0.2 Ω/kmとする。なお,送電端電圧と受電端電圧の位相角は十分小さいものとして得られる近似式を用いて解答すること。また,配電線路こう長が短いことから,静電容量は無視できるものとする。
〔小問(a)〕 この配電線路での抵抗による電力損失の値[W]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
まず線電流を求める。三相の電力は P=√3 V I cosθ なので
I=P/(√3 V cosθ)=60×10³/(√3×6 600×0.8)≒6.56 A。
つぎに1線当たりの抵抗を出す。
R=0.5×2.5=1.25 Ω。
三相3線式なので電線は3本あり、電力損失は
P_loss=3I²R=3×6.56²×1.25
=3×43.0×1.25≒161 W。答(4)。
3を掛けるのを忘れると 43.0×1.25≒54 W となって(2)に落ちる。三相3線式では3本の電線それぞれで損失が生じるので、必ず3倍する。
(5)の220は抵抗を 0.5×2.5 ではなく別の取り方をした場合などに出る。こう長2.5 kmに1 kmあたりの抵抗0.5 Ωを掛けて1.25 Ωとする、という手順を固定する。
リアクタンス0.2 Ω/kmはこの小問では使わない。電力損失を生むのは抵抗だけで、リアクタンスは電圧降下には効くが電力は消費しない。リアクタンスは小問(b)で使う。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問17(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(b)
三相3線式配電線路の受電端に遅れ力率0.8の三相平衡負荷60 kW(一定)が接続されている。次の問に答えよ。
ただし,三相負荷の受電端電圧は6.6 kV一定とし,配電線路のこう長は2.5 km,電線1線当たりの抵抗は0.5 Ω/km,リアクタンスは0.2 Ω/kmとする。なお,送電端電圧と受電端電圧の位相角は十分小さいものとして得られる近似式を用いて解答すること。また,配電線路こう長が短いことから,静電容量は無視できるものとする。
〔小問(b)〕 受電端の電圧降下率を2.0 %以内にする場合,受電端でさらに増設できる負荷電力(最大)の値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,負荷の力率(遅れ)は変わらないものとする。
正解:1
電圧降下率2.0 %以内なので、許される電圧降下は
6 600×0.02=132 V。
三相3線式の電圧降下の近似式は
v=√3 I(R cosθ+X sinθ)
である。1線当たりの値は
R=0.5×2.5=1.25 Ω,X=0.2×2.5=0.5 Ω。
力率0.8(遅れ)なので cosθ=0.8、sinθ=0.6 だから
R cosθ+X sinθ=1.25×0.8+0.5×0.6=1.0+0.3=1.3 Ω。
したがって
√3 I×1.3≦132 → I≦132/(√3×1.3)≒58.6 A。
この電流のときに送れる三相電力は
P=√3×6 600×58.6×0.8≒536×10³ W=536 kW。
すでに60 kWが接続されているので、さらに増設できるのは
536−60=476 kW。答(1)。
(2)の536は増設分ではなく、電圧降下率2.0 %のときに送れる全電力である。設問は「さらに増設できる負荷電力」を問うているので、既設の60 kWを引く。ここを引き忘れると(2)を選ぶことになる。
電圧降下の近似式で、リアクタンスの項 X sinθ を落とすと 1.25×0.8=1.0 となり、I≦60.9 A、P≒557 kW、増設分497 kW と少し大きく出る。遅れ力率の負荷ではリアクタンスも電圧降下に効くので、両方の項を入れる。
電圧降下率は受電端電圧を基準にした割合である。6 600 Vの2.0 %で132 Vという値をまず出しておくと、あとは電流の上限を求めるだけになる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 電力 問17(b)
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