📄 本試験 過去問題
電験3種 2021年度(令和3年度) 電力
17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2021年8月22日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2021年度(令和3年度) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2021年8月22日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和3年度・電力:合格基準は100点満点中60点以上(試験センターの公表値)。
出典:令和3年度第三種電気主任技術者試験の結果について(令和3年10月22日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
次の文章は,水力発電所の種類に関する記述である。
水力発電所は (ア) を得る方法により分類すると,水路式,ダム式,ダム水路式があり, (イ) の利用方法により分類すると,流込み式,調整池式,貯水池式,揚水式がある。
一般的に,水路式はダム式,ダム水路式に比べ (ウ) 。貯水ができないので発生電力の調整には適さない。ダム式発電では,ダムに水を蓄えることで (イ) の調整ができるので,電力需要が大きいときにあわせて運転することができる。
河川の自然の流れをそのまま利用して発電する方式を (エ) 発電という。貯水池などを持たない水路式発電所がこれに相当する。
1日又は数日程度の河川流量を調整できる大きさを持つ池を持ち,電力需要が小さいときにその池に蓄え,電力需要が大きいときに放流して発電する方式を (オ) 発電という。自然の湖や人工の湖などを用いてもっと長期間の需要変動に応じて河川流量を調整・使用する方式を貯水池式発電という。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
(ア)(イ) 水力発電所の分類には二つの軸がある。水路式・ダム式・ダム水路式は,どうやって落差を作るかによる分類。流込み式・調整池式・貯水池式・揚水式は,流れてくる水(流量)をどう使うかによる分類である。
(ウ) 水路式は,川の上流から長い水路で水を導いて落差を得る方式で,大きなダムを造らないので建設費は安い。そのかわり水を貯めておけないので出力の調整には向かない。設問の次の文が「貯水ができないので発生電力の調整には適さない」と続いているので,ここには短所ではなく長所が入る流れである。
(エ) 河川の自然の流れをそのまま使うのが流込み式(自流式)。
(オ) 1日から数日ぶんの水を貯められる池を持つのが調整池式。もっと長い期間を賄えるのが貯水池式で,設問の最後にそう書かれている。
落差/流量/建設費が安い/流込み式/調整池式となり答(5)。
(3)の「高落差を得にくい」は事実として逆である。水路式はむしろ長い水路で高い落差を稼ぐ方式で,ダム式のほうが落差はダムの高さに制限される。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
図で,水圧管内を水が充満して流れている。断面Aでは,内径2.2 m,流速3 m/s,圧力24 kPaである。このとき,断面Aとの落差が30 m,内径2 mの断面Bにおける流速[m/s]と水圧[kPa]の最も近い値の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,重力加速度は9.8 m/s²,水の密度は1 000 kg/m³,円周率は3.14とする。
(選択肢は「流速[m/s] / 水圧[kPa]」の順に示す。)
正解:3
流速は連続の式(同じ時間に通り抜ける水の量は等しい)から求める。断面積は内径の2乗に比例するので
v_B=v_A×(2.2/2)²=3×1.21=3.63 m/s。
水圧はベルヌーイの定理から求める。圧力・速度・位置の三つのエネルギーの合計が保存されるので
p_B=p_A+ρg(z_A−z_B)+ρ(v_A²−v_B²)/2。
各項を計算する。
位置による分: 1 000×9.8×30=294 000 Pa=294 kPa
速度による分: 1 000×(3²−3.63²)/2=1 000×(9−13.18)/2≒−2 090 Pa≒−2.1 kPa
したがって
p_B=24+294−2.1≒316 kPa。答(3)。
流速が上がったぶん圧力はわずかに下がるが,落差30 mによる294 kPaのほうが桁違いに大きい。この問題では速度の項を忘れても318 kPaとなり,(1)を選んでしまう。
断面積は内径の2乗で効くので,内径が2.2 mから2 mへ約9 %小さくなると流速は21 %増える。(1)(2)のように流速が変わらないことはない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
汽力発電におけるボイラ設備に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
再熱器は,高圧タービンで仕事をして温度が下がった蒸気をボイラへ戻して温め直し,つぎに低圧タービンへ送るためのものである。戻す先は低圧タービンであって,同じ高圧タービンではない。したがって「再び高圧タービンで仕事をさせる」とする(5)が誤りで,これが答になる。
蒸気を温め直す目的は二つある。一つは熱効率の向上。もう一つは,低圧タービンの出口で蒸気が湿りすぎて水滴が翼を傷めるのを防ぐことで,設問にある「タービン翼の腐食防止」がこれにあたる。この二つの目的は正しく書かれていて,戻す先だけが違う。
他の記述を確かめる。(1)水の循環のさせ方で自然循環・強制循環・貫流の三つに分かれる。(2)蒸気ドラム内の汽水分離器が蒸気と水を分ける。(3)空気予熱器は煙道ガスの余熱を燃焼用空気に移す。(4)節炭器(エコノマイザ)は同じ余熱を給水に移す。(3)と(4)は,余熱を空気に回すか給水に回すかの違いで,どちらもボイラ効率を上げるためのものである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
次の文章は,電気集じん装置に関する記述である。
火力発電所で発生する灰じんなどの微粒子は,電気集じん装置により除去される。典型的な電気集じん装置は,集じん電極である (ア) の間に放電電極である (イ) を置いた構造である。電極間の (ウ) によって発生した (エ) 放電により生じたイオンで微粒子を帯電させ,クーロン力によって集じん電極で捕集する。集じん電極に付着した微粒子は一般的に,集じん電極 (オ) 取り除く。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
(ア)(イ) 微粒子を受け止める集じん電極は,広い面積が要るので平板電極。放電させる側は,先端に電界を集中させたいので細い線電極にする。この組合せは逆にできない。
(ウ)(エ) 線電極のまわりに強い電界を作るために高電圧を加え,コロナ放電を起こす。アーク放電は電極間が短絡状態になる激しい放電で,集じん装置では避けるべきものである。また電気集じん装置に流れる電流はごく小さく,「大電流」ではない。
(オ) 平板に積もった灰は,槌でたたいて(槌打ち)振り落とし,下のホッパに集める。風を吹きつけると,せっかく捕らえた灰がまた飛散してしまう。
平板電極/線電極/高電圧/コロナ/を槌でたたいて となり答(4)。
電気集じん装置は「高い電圧はかけるが電流はほとんど流さない」機器である。(ウ)を大電流とする選択肢はこの点で消せる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
原子力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
軽水炉という名前は,減速材にも冷却材にも軽水(普通の水)を使うことから来ている。したがって「減速材に黒鉛」とする(2)が誤りで,これが答になる。
黒鉛を減速材に使うのは黒鉛減速炉で,イギリスのガス冷却炉やチェルノブイリで知られるRBMKなどが該当する。日本の商用炉はすべて軽水炉である。
他の記述を確かめる。(1)核分裂の熱で蒸気を作りタービンを回す,という基本の流れ。(3)天然ウランのウラン235は0.7 %しかないので,3〜5 %まで濃縮して使う。(4)水で減速して遅くなった中性子(熱中性子)で核分裂を起こすので熱中性子炉である。(5)沸騰水型は再循環流量でボイド(泡)の量を変えて出力を調整でき,加圧水型は沸騰させないのでこの手が使えず,ほう素濃度で調整する。
沸騰水型と加圧水型の違いは,蒸気を炉心で直接作るか,別置の蒸気発生器で作るかである。この点は(2)の後半に正しく書かれていて,誤っているのは減速材の一語だけになっている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
分散型電源に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
燃料電池は水素と酸素から水ができる反応を使う。これは水の生成熱を放出する発熱反応であり,そのエネルギーの一部を電気として取り出している。「吸熱反応」とする(5)が誤りで,これが答になる。吸熱反応なら外から熱を与え続けなければ進まず,発電にはならない。
後半の「負荷変動に対する応答が早い」は正しい。回転する機械を持たない化学反応なので,出力の追従は速い。
他の記述を確かめる。(1)太陽電池は直流を出すのでインバータで交流に変換し,系統が停電したときは連系保護装置で切り離す(単独運転の防止)。(2)逆潮流が増えると系統の電圧が上がるので,出力抑制や電圧調整器で抑える。(3)小水力は貯める設備を持たない流込み式が多い。(4)直流には周波数が無いので,交流のように絶縁体の中で誘電損が生じない。長い海底ケーブルでは充電電流も問題になるため,直流送電が選ばれる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の文章は,変電所の計器用変成器に関する記述である。
計器用変成器は, (ア) と変流器とに分けられ,高電圧あるいは大電流の回路から計器や (イ) に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。変流器の二次端子には,常に (ウ) インピーダンスの負荷を接続しておく必要がある。また,一次端子のある変流器は,その端子を被測定線路に (エ) に接続する。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
(ア) 計器用変成器は,電圧を落とす計器用変圧器(VT)と,電流を小さくする変流器(CT)の二つに分けられる。設問が「(ア)と変流器とに分けられ」と書いているのだから,ここに入るのは計器用変圧器である。CTは変流器そのものなので同じものを並べることになり,当てはまらない。
(イ) 取り出した電圧や電流を使うのは,計器と保護継電器である。避雷器や遮断器は電気を測る機器ではない。
(ウ) 変流器の二次側は開放してはならない。開放すると鉄心が飽和して二次端子に高電圧が現れ危険なので,常に低インピーダンスの負荷(電流計など)か短絡状態にしておく。
(エ) 変流器は流れている電流を測るのだから,被測定線路に直列に入れる。並列に入れるのは電圧を測る計器用変圧器のほうである。
計器用変圧器/保護継電器/低/直列 となり答(5)。
(ウ)と(エ)は,電流計の使い方(直列につなぐ・端子を開放しない)と同じ考え方で決まる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
変電所の断路器に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
断路器は消弧装置を持たないので,電流を切る能力はほとんどない。種類によって開閉できるのは,無負荷の短い線路や母線の充電電流,変圧器の励磁電流といった,ごく小さい電流に限られる。地絡電流は事故時に流れる大きな電流なので,断路器では切れない。したがって(4)が誤りで,これが答になる。
他の記述を確かめる。(1)消弧装置が無いので負荷電流は遮断できない。これが断路器と遮断器のいちばんの違いである。(2)断路器は「電流が流れていない状態で回路を切り離す」ための機器なので,先に遮断器で電流を切ってから開く。(3)電流が流れているのに開くとアークが継続し,焼損や短絡に至る。(5)この誤操作を防ぐため,遮断器が開いていないと断路器を操作できないインタロックが設けられている。
(2)(3)(5)はいずれも「電流が流れているうちに断路器を開いてはならない」という一つのことを別の面から述べたもので,そこから外れているのは(4)だけである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
1台の定格容量が20 MV·Aの三相変圧器を3台有する配電用変電所があり,その総負荷が55 MWである。変圧器1台が故障したときに,残りの変圧器の過負荷運転を行い,不足分を他の変電所に切り換えることにより,故障発生前と同じ電力を供給したい。この場合,他の変電所に故障発生前の負荷の何%を直ちに切り換える必要があるか,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,残りの健全な変圧器は,変圧器故障時に定格容量の120 %の過負荷運転をすることとし,力率は常に95 %(遅れ)で変化しないものとする。
正解:4
変圧器の容量は皮相電力で表されるので,負荷も皮相電力に直してから比べる。
総負荷の皮相電力は
55/0.95≒57.9 MV·A。
1台故障すると残りは2台で,それぞれ定格の120 %まで運転できるので
2×20×1.2=48 MV·A。
不足分は
57.9−48=9.9 MV·A。
切り換える割合は,故障発生前の負荷に対する比なので
9.9/57.9≒0.171=17.1 %。答(4)。
力率は変わらないので,皮相電力の比はそのまま有効電力の比に等しい。したがって MW のまま計算しても同じ答になる(48×0.95=45.6 MW,(55−45.6)/55≒17.1 %)。
力率で割るのを忘れて 55 と 48 をそのまま比べると (55−48)/55≒12.7 % となり(3)に近づく。変圧器の容量と負荷の電力は単位が違うので,どちらかにそろえてから引き算する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,がいしの塩害とその対策に関する記述である。
風雨などによってがいし表面に塩分が付着すると, (ア) が発生することがあり,可聴雑音や電波障害,フラッシオーバの原因となる。これをがいしの塩害という。がいしの塩害対策は,塩害の少ない送電ルートの選定,がいしの絶縁強化,がいしの洗浄,がいし表面への (イ) 性物質の塗布が挙げられる。
懸垂がいしにおいて,絶縁強化を図るには,がいしを (ウ) に連結する個数を増やす方法や,がいしの表面漏れ距離を (エ) する方法が用いられる。
また,懸垂がいしと異なり,棒状磁器の両端に連結用金具を取り付けた形状の (オ) がいしは,雨洗効果が高く,塩害に対し絶縁性が高い。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
(ア) 塩分が湿気を含むとがいし表面が導電性を帯び,表面を伝う漏れ電流が流れる。この電流が部分的な放電を起こして雑音や電波障害を生み,やがてフラッシオーバに至る。過電圧は外から加わるもので,塩分の付着によって発生するものではない。
(イ) がいし表面にシリコーンコンパウンドなどのはっ水性物質を塗ると,水が玉になって連続した水膜ができず,漏れ電流の道が切れる。吸湿性の物質を塗ったら逆効果である。
(ウ) 懸垂がいしは1個ずつ数珠つなぎにして使うので,個数を増やすのは直列である。
(エ) 表面を伝う距離が長いほど漏れ電流が流れにくくなるので,漏れ距離は長くする。
(オ) 棒状磁器の両端に金具を付けた形は長幹がいし。ひだが外に張り出していて雨で洗われやすく,塩害地域に向く。ピンがいしは配電用の小さいがいしで,形が違う。
漏れ電流/はっ水/直列/長く/長幹 となり答(1)。
(エ)は絶縁を強くしたいのだから距離は長くする,と考えれば迷わない。「短く」としている選択肢は,設問の「絶縁強化を図るには」と噛み合わない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
地中送電線路に使用される電力ケーブルの許容電流に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
表皮効果とは,交流では電流が導体の表面付近に偏って流れる現象である。中心部が使われなくなるぶん実効的な断面積が減るので,交流での電気抵抗はむしろ大きくなる。「電気抵抗を低減できる」とする(2)が誤りで,これが答になる。
対策はその逆で,導体を細い素線に分けて絶縁したり,中空にしたりして表皮効果を小さくする。
他の記述を確かめる。許容電流は,導体の温度が許容値を超えない範囲で決まる。だから「発熱を減らす」か「熱を逃げやすくする」ことが,そのまま許容電流を増やす手になる。(1)は熱の逃げ道の抵抗を下げる話,(3)は絶縁体そのものの誘電損による発熱を減らす話,(4)は金属シースに流れる電流(シース回路電流)による発熱を減らす話,(5)は隣のケーブルからもらう熱を減らす話で,いずれも正しい。
(2)だけが「熱を減らす」ではなく「抵抗が下がる」という主張になっていて,しかもその主張自体が逆である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
単相3線式配電方式は,1線の中性線と,中性線から見て互いに逆位相の電圧である2線の電圧線との3線で供給する方式であり,主に低圧配電線路に用いられる。100/200 V単相3線式配電方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
電線1線当たりの供給電力を比べる。許容電流をIとすると,
単相2線式(100 V)は 100I の電力を2本で送るので1線当たり 50I。
単相3線式(100/200 V)は,平衡していれば中性線に電流が流れず,200I の電力を3本で送るので1線当たり 200I/3≒66.7I。
約1.33倍で単相3線式のほうが大きい。「単相2線式よりも小さい」とする(5)が誤りで,これが答になる。電線を節約できることが単相3線式を使う理由の一つである。
他の記述を確かめる。(1)平衡していれば中性線に電流が流れないので,往復2本ぶんの電圧降下が片道1本ぶんで済む。(2)中性線が切れると二つの負荷が200 Vに直列につながる形になり,抵抗の大きい側(容量の小さい側)に高い電圧がかかる。これが単相3線式で中性線にヒューズを入れてはいけない理由である。(3)不平衡だと中性線にも電流が流れ,そのぶん損失が増える。(4)電圧線どうしで200 V,電圧線と中性線で100 Vが取れる。
(2)の「容量が大きい」は「消費電力が大きい=抵抗が小さい」ということで,直列にしたとき電圧が低く分配される側にあたる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
次の文章は,我が国の高低圧配電系統における保護に関する記述である。
6.6 kV高圧配電線に短絡や地絡などの事故が生じたとき,直ちに事故の発生した高圧配電線を切り離すために, (ア) と保護継電器が配電用変電所の高圧配電線引出口に設置されている。
樹枝状方式の高圧配電線で事故が生じた場合,事故が発生した箇所の変電所側直近及び変電所から離れた側の (イ) 開閉器を開放することにより,事故が発生した箇所を高圧配電線系統から切り離す。
柱上変圧器には,変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故による過電流保護のために高圧カットアウトが設けられているほか,落雷などによる外部異常電圧から保護するために,避雷器を変圧器に対して (ウ) に設置する。
(エ) は低圧配電線から低圧引込線への接続点などに設けられ,低圧引込線で生じた短絡事故などを保護している。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
(ア) 事故を検出するのが保護継電器で,実際に電流を切るのが遮断器である。設問が「(ア)と保護継電器が」と並べているので,ここには遮断器が入る。高圧ヒューズは継電器と組み合わせて使うものではない。
(イ) 樹枝状の高圧配電線を区切って事故区間を切り離すために付けるのは区分開閉器である。連系開閉器は,常時は開いていて別の配電線とつなぎ替えるためのもので,役割が違う。
(ウ) 避雷器は,異常電圧が来たときにそれを大地へ逃がす機器なので,守る対象と並列(対地間に)に入れる。直列に入れたら常時の電流が通れない。
(エ) 低圧引込線の保護に使うのはケッチヒューズ(電線ヒューズ)である。配線用遮断器は需要家の屋内側に置くもので,引込線の接続点に設けるものではない。
遮断器/区分/並列/ケッチヒューズ となり答(2)。
(ウ)は,避雷器が「ふだんは電流を流さず,異常時だけ流す」機器だと考えれば並列と決まる。直列に入れる機器は常時電流が通るものに限られる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
送電線路に用いられる導体に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
硬銅は,銅を冷間加工して硬くしたものである。加工によって結晶の並びが乱れ,そこで電子が散乱されるため,導電率は軟銅より小さくなる。標準軟銅を100 %としたとき硬銅はおよそ97 %である。したがって「軟銅よりも硬銅の方が大きい」とする(4)の最後の一文が誤りで,これが答になる。
(4)の前半,地中ケーブルには曲げやすい軟銅より線を,架空送電線には強い硬銅より線を使う,という使い分けは正しい。誤っているのは最後の一文だけである。
他の記述を確かめる。(1)温度が上がると格子振動が激しくなって電子が散乱され,導電率は下がる。導電率は標準軟銅を100 %とした百分率で表す。(2)電気をよく通し,強く,軽く,伸び縮みしにくいことが求められる。(3)不純物も結晶の乱れも電子を散乱させるので,純度が高いほど導電率は高く,合金にすると導電率は下がるが強度は上がる。(5)鋼心アルミより線(ACSR)は,導電率の低いアルミを太くして使うかわりに軽くし,足りない引張強さを中心の鋼心で補う構造である。
(3)と(4)は同じ原理を述べている。合金化も加工硬化も「結晶を乱して強くする」代わりに「導電率を下げる」という取引になっていて,強さと導電率は両立しにくい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
ある火力発電所にて,定格出力350 MWの発電機が下表に示すような運転を行ったとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,所内率は2 %とする。
〔小問(a)〕 0時から24時の間の送電端電力量の値[MW·h]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
まず表から発電端の電力量を積み上げる。出力と時間の積を足していけばよい。
0〜7時 130×7=910
7〜12時 350×5=1 750
12〜13時 200×1=200
13〜20時 350×7=2 450
20〜24時 130×4=520
合計 5 830 MW·h。
これは発電機の端子で測った電力量なので,発電所の中で使う電力(所内電力)を差し引くと送電端の電力量になる。所内率が2 %だから
5 830×(1−0.02)=5 830×0.98≒5 710 MW·h。答(2)。
(3)の5 830は発電端の電力量そのもので,所内率を引く前の値である。所内率は「発電端に対する割合」なので,掛けるのは0.98であって,1.02で割るのではない。
(5)の8 230は,時間の重みを付けずに出力を単純に足すなどした場合に出てくる値。表の各段の時間の長さが違うので,かならず時間を掛けてから足す。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
ある火力発電所にて,定格出力350 MWの発電機が下表に示すような運転を行ったとき,次の問に答えよ。ただし,所内率は2 %とする。
〔小問(b)〕 0時から24時の間に発熱量54.70 MJ/kgのLNG(液化天然ガス)を770 t消費したとすると,この間の発電端熱効率の値[%]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,この間の発電端電力量は5 830 MW·hである。)
正解:4
熱効率は「取り出した電気エネルギー」÷「投入した燃料の熱エネルギー」である。問われているのは発電端熱効率なので,分子には送電端ではなく発電端の電力量を使う。
分子。1 MW·h=3 600 MJ なので
5 830×3 600=2.099×10⁷ MJ。
分母。770 t=770 000 kg だから
54.70×770 000≒4.212×10⁷ MJ。
したがって
2.099×10⁷/4.212×10⁷≒0.498=49.8 %。最も近いのは50で答(4)。
分子に送電端の5 710 MW·hを使うと 48.8 % となり(3)の48に近づいてしまう。発電端熱効率と送電端熱効率は分子が違うだけなので,どちらを問われているかを最初に確かめる。
単位をそろえるところが山になる。MW·h は電力量,MJ/kg は単位質量当たりの熱量なので,1 MW·h=3 600 MJ と t=1 000 kg の二つの換算を通してから割る。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
支持点の高さが同じで径間距離150 mの架空電線路がある。電線の質量による荷重が20 N/m,線膨張係数は1 ℃につき0.000 018である。電線の導体温度が−10 ℃のとき,たるみは3.5 mであった。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,張力による電線の伸縮はないものとし,その他の条件は無視するものとする。
〔小問(a)〕 電線の導体温度が35 ℃のとき,電線の支持点間の実長の値[m]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
まず−10 ℃のときの実長を求める。径間S,たるみDのときの実長は
L=S+8D²/(3S)
で近似できるので
L=150+8×3.5²/(3×150)=150+98/450≒150.218 m。
つぎに温度が−10 ℃から35 ℃へ45 ℃上がったぶん,電線が熱で伸びる。
L'=L(1+αΔT)=150.218×(1+0.000 018×45)=150.218×1.000 81。
伸びは 150.218×0.000 81≒0.122 m なので
L'≒150.218+0.122=150.34 m。答(4)。
伸びる量はわずか12 cmほどだが,これがたるみでは大きな差になる(小問(b)で使う)。実長の変化は小さくても,たるみは平方根で効くので敏感に変わる。
(5)の151.43は,線膨張係数を10倍にするなど桁を誤った場合の値。0.000 018×45=0.000 81 は1 %にも満たない伸びである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問16(a)
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問 16(b)
支持点の高さが同じで径間距離150 mの架空電線路がある。電線の質量による荷重が20 N/m,線膨張係数は1 ℃につき0.000 018である。電線の導体温度が−10 ℃のとき,たるみは3.5 mであった。次の問に答えよ。ただし,張力による電線の伸縮はないものとし,その他の条件は無視するものとする。
〔小問(b)〕 (a)と同じ条件のとき,電線の支持点間の最低点における水平張力の値[N]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,35 ℃のときの実長は約150.34 mである。)
正解:2
実長からたるみを逆に求め,そこから水平張力を出す。
実長の式 L=S+8D²/(3S) をDについて解くと
D=√(3S(L−S)/8)。
35 ℃のときの実長は150.339 mなので L−S=0.339 m,
D=√(3×150×0.339/8)=√19.09≒4.37 m。
水平張力は,たるみの式 D=wS²/(8T) を T について解いて
T=wS²/(8D)=20×150²/(8×4.37)=450 000/34.96≒12 870 N。
最も近いのは12 863で答(2)。
たるみが3.5 mから4.37 mへ約25 %増えたことで,張力はほぼその逆比だけ下がっている。−10 ℃のときの張力は 20×150²/(8×3.5)≒16 070 N なので,暖まると張力が緩むという実感どおりの結果になる。
(5)の17 678付近は,たるみを35 ℃のものに更新せず3.5 mのまま使った場合に近い値。温度が変わればたるみも変わるので,(a)で求めた実長からたるみを求め直す一手間が要る。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問16(b)
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問 17(a)
図のように,高圧配電線路と低圧単相2線式配電線路が平行に施設された設備において,1次側が高圧配電線路に接続された変圧器の2次側を低圧単相2線式配電線路のS点に接続して,A点及びB点の負荷に電力を供給している。S点における線間電圧を107 V,電線1線当たりの抵抗及びリアクタンスをそれぞれ0.3 Ω/km及び0.4 Ω/kmとしたとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。なお,計算においては各点における電圧の位相差が十分に小さいものとして適切な近似を用いること。
〔小問(a)〕 B点におけるS点に対する電圧降下率の値[%]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,電圧降下率はB点受電端電圧基準によるものとする。
正解:2
A点とB点の負荷はどちらも力率1.0なので,リアクタンスによる電圧降下は効かず,抵抗分だけを見ればよい。単相2線式なので電流は行きと帰りの2本を流れ,電圧降下は2倍になる。
S→A間は 15+5=20 Aが流れ,距離0.2 kmだから
ΔV₁=2×20×(0.3×0.2)=2.4 V。
A→B間は 5 Aが流れ,距離0.3 kmだから
ΔV₂=2×5×(0.3×0.3)=0.9 V。
合計の電圧降下は 2.4+0.9=3.3 V で,B点の電圧は
107−3.3=103.7 V。
電圧降下率はB点の受電端電圧を基準にすると指定されているので
3.3/103.7×100≒3.18 %。答(2)。
(3)の3.30は電圧降下の値[V]そのもの,あるいは基準を100 Vにした場合の値。基準をS点の107 Vにすると 3.3/107≒3.08 % となり,どちらとも違う。何を基準にするかで答が変わるので,設問の但し書きを読み落とさないこと。
単相2線式で2を掛け忘れると1.65 Vとなり,率は約1.59 %で(1)に近づく。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問17(a)
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問 17(b)
図のように,高圧配電線路と低圧単相2線式配電線路が平行に施設された設備において,1次側が高圧配電線路に接続された変圧器の2次側を低圧単相2線式配電線路のS点に接続して,A点及びB点の負荷に電力を供給している。S点における線間電圧を107 V,電線1線当たりの抵抗及びリアクタンスをそれぞれ0.3 Ω/km及び0.4 Ω/kmとしたとき,次の問に答えよ。なお,計算においては各点における電圧の位相差が十分に小さいものとして適切な近似を用いること。
〔小問(b)〕 C点に電流20 A,力率0.8(遅れ)の負荷が新設されるとき,変圧器を移動して単相2線式配電線路への接続点をS点からS'点に変更することにより,B点及びC点における線間電圧の値が等しくなるようにしたい。このときのS点からS'点への移動距離の値[km]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
移動距離をx[km]とする。図のとおりC点からS点までは0.7 kmなので,S'点から見るとC点までが 0.7−x,A点までが 0.2+x,B点までが 0.5+x になる。
C点側の電圧降下を出す。C点の負荷は20 A,力率0.8(遅れ)なので sinθ=0.6 であり,抵抗とリアクタンスの両方が効く。
ΔV_C=2×20×{0.3(0.7−x)×0.8+0.4(0.7−x)×0.6}
=2×20×(0.7−x)×(0.24+0.24)=19.2(0.7−x)。
B点側の電圧降下を出す。こちらは力率1.0なので抵抗だけ。
S'→A間は20 Aで距離 0.2+x,A→B間は5 Aで距離0.3だから
ΔV_B=2×20×0.3(0.2+x)+2×5×0.3×0.3=12(0.2+x)+0.9=12x+3.3。
両点の電圧が等しくなるのは電圧降下が等しいときなので
19.2(0.7−x)=12x+3.3
13.44−19.2x=12x+3.3
10.14=31.2x
x≒0.325 km。答(3)。
C点側だけ力率が0.8で,リアクタンス分が効いてくるのがこの問題の要点である。0.3×0.8+0.4×0.6=0.48 と,1 km当たりの実質的な抵抗が0.3ではなく0.48に増えていることになる。ここを力率1.0のまま計算すると,係数が19.2ではなく12となり x≒0.408 km になって選択肢から外れる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和3年度 電力 問17(b)
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