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電験3種 2024年度上期(令和6年度上期) 電力

17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2024年8月18日実施

電験三種(第三種電気主任技術者)の2024年度上期(令和6年度上期) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2024年8月18日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。

本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。

この回:令和6年度上期・電力:合格基準は100点満点中60点以上(筆記方式の公表値)。

出典:令和6年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和6年9月30日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。

この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。

過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。

問 1
水力発電所に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)である。ペルトン水車を急停止させるときは,まずデフレクタ(そらせ板)を噴流の前に出してバケットから水をそらし,そのあとニードル弁を時間をかけてゆっくり閉じる。ニードル弁を急速に閉じると,水圧管内を流れていた水の運動量が行き場を失って圧力が跳ね上がり,水撃作用(ウォータハンマ)で水圧管を破損するおそれがあるからである。デフレクタは,弁をゆっくり閉じている間の水を逃がすために設けられた装置であり,「ニードル弁で急速に止める」という記述はこの役割分担と正反対になっている。他は正しい。(1)は衝動水車の代表がペルトン水車であること,(2)は通常運転時の流量調整をニードル弁が担うこと,(4)は小水力発電が農業用水や上下水道の低落差・少流量も利用すること,(5)はクロスフロー水車の構造と,低流量時でも効率低下が小さいという特徴を述べたもので,いずれも正しい。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
総落差200 m,ポンプ水車・発電電動機1 台よりなる揚水発電所がある。揚水時・発電時共に流量は100 m³/s,損失水頭は揚水・発電共に総落差の2.5 %,ポンプ効率・水車効率共に85 %,発電効率・電動機効率共に98 %とし,損失水頭及び上記4 種の効率は,揚程,落差,出力,入力の変化によらず一定とする。 揚水時の電動機入力[MW]と,発電時の発電機出力[MW]の組合せとして,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
損失水頭は総落差の2.5 %なので 200×0.025=5 m である。ここで揚水と発電で符号が逆になる点が要点になる。揚水時は総落差に損失を「足した」全揚程 200+5=205 m まで水を持ち上げなければならず,しかも効率で割ることになるので P=9.8×100×205/(0.85×0.98)≒200 900/0.833≒241 000 kW=241 MW。発電時は総落差から損失を「引いた」有効落差 200−5=195 m しか使えず,効率を掛けるので P=9.8×100×195×0.85×0.98≒191 100×0.833≒159 000 kW=159 MW。答(4)。損失の符号を両方とも同じ向きにすると235 MW と163 MW の組((1))に寄ってしまう。揚水は「余分に持ち上げる」,発電は「目減りする」と覚えておけば向きを間違えない。なお 241 MW を入れて159 MW しか戻らないので,この設備の総合効率は159/241≒66 %で,実際の揚水発電所の70 %前後という値とも整合する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
一般的な排熱回収方式のガスタービンコンバインドサイクル発電を,同一出力の汽力発電と比較した記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)で,外気温の影響はコンバインドサイクルのほうが「大きい」。ガスタービンは空気を吸い込んで圧縮するため,吸気の密度が出力を左右する。夏場に外気温が上がると空気が膨張して密度が下がり,同じ体積を吸い込んでも質量流量が減るので最大出力が低下する。汽力発電はボイラで燃料を燃やして蒸気を作る方式で,吸気密度に出力が直結しないため影響は小さい。他は正しい。(1)(2)は,ガスタービンが小さな熱容量で素早く起動・負荷変化できるためで,(3)は高温のガスタービンで発電したうえに排熱で蒸気タービンも回すため熱効率が高くなること,(5)は発電量に占める蒸気タービンの割合が小さいぶん復水器で捨てる熱が減り,温排水量が少なくなることを述べている。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
1 g のウラン235 が核分裂し,0.09 %の質量欠損が生じたとき,発生するエネルギーを石炭に換算した値[kg]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,石炭の発熱量を25 000 kJ/kg とする。
正解:4
質量欠損は 1 g の0.09 %だから Δm=1×0.0009=9×10⁻⁴ g=9×10⁻⁷ kg。アインシュタインの質量とエネルギーの関係 E=Δmc² に光速 c=3×10⁸ m/s を入れると,E=9×10⁻⁷×(3×10⁸)²=9×10⁻⁷×9×10¹⁶=8.1×10¹⁰ J=8.1×10⁷ kJ。これを石炭の発熱量25 000 kJ/kg で割って 8.1×10⁷/2.5×10⁴=3 240 kg。最も近いのは3 200 kg で答(4)。注意点は二つある。一つは質量を kg に直すことで,g のまま入れると10³倍ずれる。もう一つは c を2 乗することで,掛け忘れると桁が大きく変わる。得られた結果は「わずか1 g のウランが石炭3 t 分に相当する」という意味で,核燃料のエネルギー密度が化石燃料と比べて桁違いに大きいことを端的に示している。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
燃料電池の原理と特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
誤りは(1)で,燃料電池が直接発生するのは「直流」電力である。水素と酸素の化学反応で電子が一方向に流れるので,そこに交流が生じる余地はない。系統に連系したり家庭で使ったりするには,インバータで直流を交流に変換する必要がある。他は正しい。(2)は電解質の種類による分類で,りん酸形・溶融炭酸塩形・固体高分子形のほか固体酸化物形がある。(3)は原理そのもので,水の電気分解が「電気を加えて水を水素と酸素に分ける」のに対し,燃料電池は「水素と酸素から水を作って電気を取り出す」逆反応である。(4)は反応熱を回収して給湯や空調に使うコージェネレーションの考え方で,家庭用燃料電池はこれによって総合効率を高めている。(5)は水素をそのまま貯蔵するのが難しいため,都市ガスやLPガスを改質器で水素に変えて使う方式が実用化されていることを述べている。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
次の文章は,ガス絶縁開閉装置(GIS)に関する記述である。 ガス絶縁開閉装置(GIS)は,金属容器に遮断器,断路器,母線などを収納し,絶縁耐力及び消弧能力の優れた (ア) を充填したもので,充電部を支持するスペーサなどの絶縁物には,主に (イ) が用いられる。また,気中絶縁の設備に比べて GIS には次のような特徴がある。 ① コンパクトである。 ② 充電部が密閉されており,安全性が高い。 ③ 大気中の汚染物等の影響を受けないため,信頼性が (ウ) 。 ④ 内部事故時の復旧時間が (エ) 。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
GIS に充填するのは六ふっ化硫黄(SF₆)ガスである。空気の2〜3倍の絶縁耐力を持ち,しかもアークを消す能力(消弧能力)に優れているため,遮断器を小型にできる。窒素ガスにはこの消弧能力がないので(3)(4)が落ちる。充電部を金属容器の中で支えるスペーサには,金型で複雑な形に成形でき機械的強度と絶縁性を両立できるエポキシ樹脂が使われる。磁器がいしは気中絶縁の設備で使うもので,容器内部の支持には向かないため(5)も消える。残る(1)と(2)の差は(ウ)(エ)で,大気中の塩分や塵埃の影響を受けないぶん信頼性は「高い」。ここで(1)が落ちて(2)が残る。ただし内部で事故が起きると,ガスを回収して容器を開け,点検・修理してから再びガスを充填し直す必要があるため,復旧時間は気中絶縁より「長い」。これがGISのほぼ唯一の弱点で,本問はそこを問うている。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
配電線路の電圧維持に有効な対策として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
誤りは(4)である。三相3 線式の電圧降下は ΔV=√3 I(R cosθ+X sinθ) で表され,抵抗 R もリアクタンス X も線路の長さに比例する。こう長を延長すれば R も X も増えるので電圧降下は大きくなり,電圧維持にとってはむしろ逆効果になる。他は正しい対策である。(1)は変電所の送り出し電圧そのものを負荷に応じて上下させる方法で,最も基本的な手段。(2)の力率改善用コンデンサは遅れ無効電流を減らし,上式の sinθ に掛かる X の寄与を小さくすることで電圧降下を抑える。(3)は電線を太くして単位長さ当たりの抵抗を下げる方法。(5)は柱上変圧器を負荷の重心に置くことで,高圧側・低圧側それぞれの亘長を短くし,結果として電圧降下を小さくする方法である。答(4)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
架空送電線の振動の特徴と対策に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)の後半で,ギャロッピングは多導体のほうが「発生しやすい」。多導体はスペーサで束ねられているため,付着した氷雪を含めた断面全体が一体となってねじれに対して安定な形をとりにくく,単導体のように電線が自由に回転して着雪を落とすことができない。その結果,非対称な断面のまま風を受けて揚力が働き,大振幅の低周波振動が起こりやすくなる。ギャロッピングの原理を述べた前半(氷雪の非対称断面と揚力)自体は正しいので,「多導体では発生しにくい」という一節だけが誤りである点に注意したい。他は正しい。(1)のオフセットは,スリートジャンプやギャロッピングで電線が上下に動いても上下相が接触しないよう,あらかじめ水平方向にずらして配列する方法。(2)の微風振動はカルマン渦による小振幅・高周波の振動で,ダンパやアーマロッドで抑える。(4)のサブスパン振動は多導体特有の現象,(5)のスリートジャンプは着雪の脱落による跳ね上がりである。答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
電力系統に現れる過電圧(異常電圧)はその発生原因により,外部過電圧と内部過電圧とに分類される。前者は,雷放電現象に起因するもので雷サージ電圧ともいわれる。後者は,電線路の開閉操作等に伴う開閉サージ電圧と地絡事故時等に発生する短時間交流過電圧とがある。 各種過電圧に対する電力系統の絶縁設計の考え方に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
誤りは(1)である。絶縁協調とは,過電圧そのものを小さくすることではなく,系統を構成する各機器の絶縁強度を,避雷器の保護レベルを基準として合理的に「協調」させることをいう。つまり,避雷器がどの電圧で動作して過電圧を抑えるかを決め,それより高い絶縁強度を各機器に持たせ,しかも過剰に高くしすぎないことで安全性と経済性を両立させる設計思想である。雷そのものの大きさを人間が減らすことはできないので,「外部過電圧そのものの大きさを低減する」という記述は成り立たない。他は正しい。(2)は避雷器の動作原理と,続流を切って自復する機能を述べたもの。(3)は,雷は非常に大きな過電圧をもたらすため送電線の絶縁で完全に耐えさせるのは不経済で,架空地線や避雷器で守る前提とすること。(4)は開閉サージなど内部過電圧は系統電圧の数倍程度に収まるので,これには十分耐える設計とすること。(5)は保護レベルが避雷器の制限電圧で決まることを述べており,(1)が誤りである理由の裏返しになっている。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,マーレーループ法に関する記述である。 マーレーループ法はケーブル線路の故障点位置を標定するための方法である。この基本原理は (ア) ブリッジに基づいている。図に示すように,ケーブル A の一箇所においてその導体と遮へい層の間に地絡故障を生じているとする。この場合に故障点の位置標定を行うためには,マーレーループ装置を接続する箇所の逆側端部において,絶縁破壊を起こしたケーブル A と,これに並行する絶縁破壊を起こしていないケーブル B の (イ) どうしを接続して,ブリッジの平衡条件を求める。ケーブル線路長を L,マーレーループ装置を接続した端部側から故障点までの距離を x,ブリッジの全目盛を1 000,ブリッジが平衡したときのケーブル A に接続されたブリッジ端子までの目盛の読みを a としたときに,故障点までの距離 x は (ウ) で示される。 なお,この原理上,故障点の地絡抵抗が (エ) ことがよい位置標定精度を得るうえで必要である。 ただし,ケーブル A,B は同一仕様,かつ,同一長とし,また,マーレーループ装置とケーブルの接続線,及びケーブルどうしの接続線のインピーダンスは無視するものとする。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問10の図
正解:4
マーレーループ法は,故障ケーブルと健全ケーブルの導体抵抗を二辺,装置内のすべり抵抗を残り二辺とするホイートストンブリッジそのものである。シェーリングブリッジは誘電正接(tanδ)を測るための交流ブリッジで用途が違うので(2)(3)が落ちる。反対側の端部で接続するのは電流を流す経路となる「導体」どうしで,遮へい層ではないため(1)も消える。平衡条件は,装置側から故障点までの導体抵抗が距離 x に比例し,故障点から遠端を回って健全ケーブルを戻ってくる経路が (L−x)+L=2L−x に比例することから,a:(1 000−a)=x:(2L−x)。これを解くと x=2La/1 000=aL/500 となる。残る(4)と(5)の差は(エ)だけで,地絡抵抗が高いとブリッジに流れる電流が小さくなって平衡点の検出が鈍り,測定精度が落ちる。したがって地絡抵抗は「十分低い」ことが必要である。答(4)。実務では抵抗の高い故障点をあらかじめ焼き切って低抵抗化してから測定することがあり,これも同じ理由による。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
送配電方式として広く採用されている交流三相方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)で,三相3 線式に必要な電線の総重量は単相2 線式の3/4 で済む。これは三相方式が採用されている最大の経済的理由である。確かめてみると,送電電力 P,線間電圧 V が同じとき,単相2 線式の電流は I₁=P/V,三相3 線式は I₃=P/(√3V)。同じ損失にするという条件から 2I₁²R₁=3I₃²R₃ となり,これに電流を代入すると R₃=(2/3)×(I₁/I₃)²R₁=(2/3)×3R₁=2R₁。抵抗が2 倍でよいということは断面積が半分でよく,本数は2 本から3 本に増えるので,総重量の比は (3×0.5)/(2×1)=3/4 になる。他は正しい。(1)は三相4 線式で200 V と100 V を同時に取り出せること,(3)は三相電流が自然に回転磁界を作るので誘導電動機が始動装置なしで回ること,(4)は平衡三相の瞬時電力の和が一定になり,脈動によるトルク変動が生じないこと,(5)は同じ体積の発電機で三相のほうが大きな出力を取り出せることを述べている。答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
図のように高低差のない支持点 A,B で,径間長 S の架空送電線において,架線の水平張力 T を調整してたるみ D を10 %小さくし,電線地上高を高くしたい。この場合の水平張力の値として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,両側の鉄塔は十分な強度があるものとする。
問12の図
正解:4
たるみは D=WS²/(8T) で表される。W は電線の単位長さ当たりの荷重,S は径間長で,どちらもこの問題では変わらない。したがって D と T は反比例の関係にあり,たるみを0.9 倍にするには張力を 1/0.9 倍にすればよい。すなわち新しい水平張力は T/0.9 である。答(4)。2 乗が付く(1)(5)や,平方根が付く(3)を選んでしまうのは,D の式で S が2 乗されていることに引きずられた誤りで,T は分母に1 乗で入っているだけである。また 0.9T とする(2)は比例と反比例を取り違えたもので,張力を緩めればたるみは大きくなるから向きが逆になる。実務的には,たるみを1 割減らすために張力を約1 割増やすことになり,そのぶん電線と支持物にかかる力が増える。問題文が「両側の鉄塔は十分な強度があるものとする」とわざわざ断っているのは,この張力増加を鉄塔が受け止められる前提を置いているからである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
こう長20 km の三相3 線式2 回線の送電線路がある。受電端で33 kV,6 600 kW,力率0.9 の三相負荷に供給する場合,受電端電力に対する送電損失を5 %以下にするための電線の最小断面積の値[mm²]として,計算値が最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,使用電線は,断面積1 mm²,長さ1 m 当たりの抵抗を 1/35 Ωとし,その他の条件は無視する。
正解:4
まず負荷全体の線電流を求める。I=6 600×10³/(√3×33 000×0.9)≒128.3 A。2 回線が並列に負荷を分担するので,1 回線1 線当たりの電流はその半分の 64.15 A になる。許される損失は受電端電力の5 %で 6 600×0.05=330 kW。損失は2 回線×3 線=6 本ぶんだから,6I²R≤330×10³ より R≤330 000/(6×64.15²)≒330 000/24 690≒13.37 Ω。次に断面積に直す。1 mm²・1 m 当たり 1/35 Ωだから,長さ20 km=20 000 m,断面積 A[mm²]の電線の抵抗は R=(1/35)×20 000/A=571.4/A。これが13.37 Ω以下であればよいので A≥571.4/13.37≒42.7 mm²。最も近いのは42.8 で答(4)。落とし穴は「2 回線」の扱いで,電流を半分にすることと,損失の本数を6 本とすることの両方を忘れずに反映させる必要がある。1 回線として計算すると171 mm²((5))になり,ちょうど4 倍ずれる。電流が半分になれば損失は1/4 になるので,同じ損失なら抵抗を4 倍まで許せる,という関係がこの差になっている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
電気絶縁材料に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
誤りは(1)で,「電気抵抗率が低い」という部分が事実に反する。気体の体積抵抗率は液体や固体の絶縁材料よりむしろ高く,空気はほぼ絶縁体として扱える。低いのは誘電率のほうで,空気の比誘電率はほぼ1,固体絶縁材料は2〜6 程度ある。ボイド部の電界が高くなる理由もこの誘電率の差にあり,境界面で電束密度 D が共通になるため E=D/ε より誘電率の小さいボイド側の電界が強くなる。結論(ボイド部での電界強度が高められやすい)は正しいのに,その理由づけに誤った性質が混ぜてあるという構成なので,肢全体をまとめて正誤判定せず語ごとに見る必要がある。他は正しい。(2)は気体の絶縁破壊強度が低いこと,および加圧か真空化のどちらでも強度を高められること(GISは前者,真空遮断器は後者を利用)を述べている。(3)(4)(5)はボイドから始まる劣化の道筋で,微小なボイドの内部で部分放電が起き,それが長期間続くことでトリーが進展し,やがて固体全体の絶縁破壊に至るという実際の劣化過程を順に説明したものである。答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
水車の種類,回転速度と比速度の関係について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(a)〕 ある水車を有効落差200 m,水車出力85 000 kW で運転するときの水車の比速度が100 m·kW であった。このときの水車の回転速度とこの水車に対し一般に用いられる水車の種類との組合せとして,最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
比速度の定義式は n_s=n P^(1/2)/H^(5/4) である。n を求めるために変形すると n=n_s H^(5/4)/P^(1/2)。数値を入れると P^(1/2)=85 000^(1/2)≒291.6,H^(5/4)=200^(1.25)=200×200^(0.25)≒200×3.761≒752.1。よって n=100×752.1/291.6≒258 min⁻¹。水車の種類は有効落差200 m と比速度100 m·kW から判断する。ペルトン水車は比速度がおよそ10〜25 と低く,カプラン水車は200 前後と高い。フランシス水車はその中間でおよそ50〜350,落差も数十〜300 m 程度を受け持つので,落差200 m・比速度100 という条件はフランシス水車に当てはまる。答(4)。計算では H の指数が5/4 である点を落としやすく,1 乗のままにすると n≒69 となって選択肢から外れる。落差が高いほど,また出力が大きいほど比速度は小さくなるので,高落差ではペルトン,低落差大流量ではカプラン,という対応もあわせて押さえておきたい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
水車の種類,回転速度と比速度の関係について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(b)〕 この水車を同期発電機と直結し,50 Hz の電力系統に接続して,同様に有効落差200 m,水車出力85 000 kW で運転する場合,小問(a)の回転速度に最も近い回転速度で運転できる同期発電機の磁極数とそのときの回転速度による比速度の組合せとして,最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
同期発電機を系統に直結する以上,回転速度は同期速度 N=120f/p に限られる。50 Hz では N=6 000/p となり,磁極数は偶数だから取り得る値は飛び飛びになる。小問(a)の258 min⁻¹ に近いものを探すと,p=24 で250 min⁻¹(差8),p=26 で230.8 min⁻¹(差27),p=22 で272.7 min⁻¹(差15)となり,最も近いのは p=24 の250 min⁻¹ である。この回転速度で比速度を計算し直すと n_s=250×291.6/752.1≒96.9,すなわち約97 m·kW。答(5)。磁極数を26 や28 とした肢は,同期速度が258 から遠ざかるので条件に合わない。要点は,水車側の計算で出た258 min⁻¹ をそのまま使えるわけではなく,発電機の磁極数という整数の制約で実現できる回転速度が決まり,それに合わせて比速度も変わるという点である。回転速度が258 から250 へ約3 %下がったぶん,比速度も100 から97 へ同じ割合で下がっている(比速度は n に比例するため)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
定格容量80 MV·A,一次側定格電圧33 kV,二次側定格電圧11 kV,百分率インピーダンス18.3 %(定格容量ベース)の三相変圧器 T_A がある。三相変圧器 T_A の一次側は33 kV の電源に接続され,二次側は負荷のみが接続されている。電源の百分率内部インピーダンスは,1.5 %(系統基準容量ベース)とする。ただし,系統基準容量は80 MV·A である。なお,抵抗分及びその他の定数は無視する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(a)〕 将来の負荷変動等は考えないものとすると,変圧器 T_A の二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として,最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
基準容量が両方とも80 MV·A で揃っているので,百分率インピーダンスはそのまま足せる。電源1.5 %+変圧器18.3 %=19.8 %。二次側の定格電流は I_n=80×10⁶/(√3×11 000)≒4 199 A。三相短絡電流は I_s=I_n×100/%Z=4 199×100/19.8≒21 200 A=21.2 kA となる。遮断器はこの短絡電流を確実に切れなければならないので,定格遮断電流は21.2 kA 以上の標準値を選ぶ。選択肢の中で21.2 kA を上回るのは25 kA だけであり,20 kA では足りない。答(5)。ここでの要点は二つある。一つは百分率インピーダンスを足す前に基準容量が揃っているか確認することで,本問は問題文がわざわざ「系統基準容量は80 MV·A」と断ってそのまま足せるようにしている。もう一つは,計算値そのものではなく,それを上回る標準定格を選ぶという遮断器選定の考え方で,21.2 kA に最も近い20 kA を選ぶと能力不足になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
定格容量80 MV·A,一次側定格電圧33 kV,二次側定格電圧11 kV,百分率インピーダンス18.3 %(定格容量ベース)の三相変圧器 T_A がある。三相変圧器 T_A の一次側は33 kV の電源に接続され,二次側は負荷のみが接続されている。電源の百分率内部インピーダンスは,1.5 %(系統基準容量ベース)とする。ただし,系統基準容量は80 MV·A である。なお,抵抗分及びその他の定数は無視する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(b)〕 定格容量50 MV·A,百分率インピーダンスが12.0 %(定格容量ベース)の三相変圧器 T_B を三相変圧器 T_A と並列に接続した。40 MW の負荷をかけて運転した場合,三相変圧器 T_A の負荷分担の値[MW]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,三相変圧器群 T_A と T_B にはこの負荷のみが接続されているものとし,抵抗分及びその他の定数は無視する。
正解:3
並列運転する変圧器の負荷分担は,共通の基準容量に換算した百分率インピーダンスの逆比になる。まず基準を80 MV·A に揃える。T_A は定格容量が80 MV·A なのでそのまま18.3 %。T_B は定格容量50 MV·A ベースで12.0 %だから,80 MV·A ベースに直すと 12.0×80/50=19.2 %になる。分担の比は 1/18.3 : 1/19.2 で,共通の分母を払うと 19.2 : 18.3 となる。合計は37.5 なので,T_A の分担は 40×19.2/37.5=20.48≒20.5 MW。答(3)。落とし穴は換算を忘れることで,18.3 %と12.0 %をそのまま逆比にすると 12.0:18.3 から T_A の分担が 40×12.0/30.3≒15.8 MW となり,(1)を選んでしまう。この場合,容量の小さい T_B のほうが多く負担するという不自然な結果になるので気付ける。換算後の値で見ると T_A と T_B のインピーダンスがほぼ等しく,容量比とは無関係にほぼ半分ずつ分担していることが分かる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問16(b)
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問 17(a)
図のような系統構成の三相3 線式配電線路があり,開閉器 S は開いた状態にある。各配電線の B 点,C 点,D 点には図のとおり負荷が接続されており,各点の負荷電流は B 点40 A,C 点30 A,D 点60 A 一定とし,各負荷の力率は100 %とする。 各区間のこう長はA−B間1.5 km,B−S(開閉器)間1.0 km,S(開閉器)−C間0.5 km,C−D間1.5 km,D−A間2.0 km である。 ただし,電線1 線当たりの抵抗は0.2 Ω/km とし,リアクタンスは無視するものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(a)〕 電源 A 点から見た C 点の電圧降下の値[V]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,電圧は線間電圧とする。
問17(a)の図
正解:4
開閉器 S が開いているので,C 点へは A→D→C の経路だけで電気が流れる。区間ごとに流れる電流を数えると,A−D 間には D 点の60 A と C 点の30 A を合わせた90 A,D−C 間には C 点の30 A だけが流れる。抵抗は 0.2 Ω/km なので A−D 間(2.0 km)が0.4 Ω,D−C 間(1.5 km)が0.3 Ω。三相3 線式で力率100 %のときの線間電圧の降下は ΔV=√3 Σ(IR) で求まるから,ΔV=√3×(90×0.4+30×0.3)=√3×(36+9)=1.732×45≒77.9 V。答(4)。よくある誤りは √3 を掛け忘れて45.0 V とするもので,これが(2)に用意されている。また区間電流を取り違えて A−D 間にも30 A しか流さないと ΔV=√3×(30×0.4+30×0.3)≒36.4 V となり値が大きくずれる。分岐のある配電線では,電源に近い区間ほど下流のすべての負荷電流が重なって流れる,という数え方が要点になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問17(a)
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問 17(b)
図のような系統構成の三相3 線式配電線路があり,開閉器 S は開いた状態にある。各配電線の B 点,C 点,D 点には図のとおり負荷が接続されており,各点の負荷電流は B 点40 A,C 点30 A,D 点60 A 一定とし,各負荷の力率は100 %とする。 各区間のこう長はA−B間1.5 km,B−S(開閉器)間1.0 km,S(開閉器)−C間0.5 km,C−D間1.5 km,D−A間2.0 km である。 ただし,電線1 線当たりの抵抗は0.2 Ω/km とし,リアクタンスは無視するものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 〔小問(b)〕 開閉器 S を投入した場合,開閉器 S を流れる電流 i の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問17(b)の図
正解:2
開閉器を投入すると A を起点にした環状(ループ)配電線路になる。A から B 側へ流れ出す電流を x,D 側へ流れ出す電流を y とすると,負荷の合計から x+y=40+30+60=130 A。B 点で40 A が分かれるので B→S→C 間には x−40 が流れ,これが求める i である。D 点で60 A が分かれるので D→C 間には y−60 が流れる。ループのどちらを回っても A から C までの電圧降下は等しいから,1.5x+(1.0+0.5)(x−40)=2.0y+1.5(y−60)(抵抗率0.2 Ω/km は両辺で共通なので約せる)。整理すると 3x−60=3.5y−90。ここに x=130−y を代入して 390−3y=3.5y−30,6.5y=420,y≒64.6 A。よって x≒65.4 A となり,i=x−40≒25.4 A。答(2)。ループ配電では「どちらの経路を通っても両端間の電位差は同じ」という条件が方程式の要になる。なお x≒65.4 という値そのものは(5)に用意されており,A から流れ出す電流と開閉器を流れる電流を混同すると引っかかる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和6年度上期 電力 問17(b)
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