📄 本試験 過去問題
電験3種 2022年度上期(令和4年度上期) 法規
13問 ・ 目安 正答率60% ・ 2022年8月21日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2022年度上期(令和4年度上期) 法規試験で実際に出題された全13問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2022年8月21日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和4年度上期・法規:合格基準は100点満点中54点以上に引き下げ(試験センターの公表値。原則60点)。
出典:令和4年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和4年9月5日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
この回の問題は,令和4年4月1日(2022年4月1日)現在で効力のある法令にもとづいて作成されています(原本の注記)。それ以降の法改正により、現行の条文・数値と異なる場合があります。
問 1
次の図は,「電気事業法」に基づく一般用電気工作物及び自家用電気工作物のうち受電電圧7 000 V以下の需要設備の保安体系に関する記述を表したものである。ただし,除外事項,限度事項等の記述は省略している。
なお,この問において,技術基準とは電気設備技術基準のことをいう。
図中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
図の右端に条番号が振られているので,そこを手がかりに1つずつ当てる。
(ア) 第57条は「一般用電気工作物の調査の義務」で,義務を負うのは一般用電気工作物と電気的に接続する電線路を維持し,及び運用する者,すなわち電線路維持運用者である。実務では電力会社がこれにあたる。所有者や占有者ではない。
(イ) 第57条の2は「調査業務の委託」で,委託先は登録調査機関である。
(ウ) 第42条は「保安規程」で,事業用電気工作物を設置する者は保安規程を定め,使用の開始前に経済産業大臣に届け出なければならない。検査要領書ではない。
(エ) 第106条は「報告の徴収」で,経済産業大臣は電気工作物を設置する者に対し,その業務の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
電線路維持運用者/登録調査機関/保安規程/提出となり答(4)。
(ウ)を「保安規程」と当てられても,(エ)を「作成」と読むと(5)などに引っかかる。(エ)が入っているのは第106条の報告徴収の条文で,保安規程の話ではない。条番号を見れば取り違えずに済む。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
次の文章は,「電気設備技術基準」におけるサイバーセキュリティの確保に関する記述である。
電気工作物(一般送配電事業,送電事業,配電事業,特定送配電事業又は (ア) の用に供するものに限る。)の運転を管理する (イ) は,当該電気工作物が人体に危害を及ぼし,又は物件に損傷を与えるおそれ及び (ウ) 又は配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう,サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)第2条に規定するサイバーセキュリティをいう。)を確保しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
電気設備技術基準第15条の2(サイバーセキュリティの確保)の条文そのままを問う設問である。
(ア) 括弧の中は電気工作物を持つ事業の列挙である。小売電気事業は電気を売る事業であって,自ら電気工作物を持って運転するわけではないので,ここには発電事業が入る。
(イ) サイバーセキュリティが問題になるのは,通信につながって外部から侵入されうるものである。条文では電子計算機と書かれている。制御装置ではない。
(ウ) 直後に「又は配電事業に係る電気の供給」と続くので,並ぶのは事業の名称でなければならない。電気使用場所は事業名ではないので当てはまらず,一般送配電事業が入る。
発電事業/電子計算機/一般送配電事業となり答(1)。
(ウ)は,空欄の前後の言葉のつながりだけで絞り込める。「◯◯又は配電事業に係る」という形なので,◯◯にも事業が来る。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
高圧架空電線路に施設された機械器具等の接地工事の事例として,「電気設備技術基準の解釈」の規定上,不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
接地工事の種類は,そこにつながっている機器のうち最も厳しいものに合わせて決まる。
(3)では,一つの接地端子に「高圧計器用変成器の2次側電路」と「避雷器(LA)の接地線」の両方がつながっている。前者だけならD種でよいが,避雷器の接地はA種接地工事でなければならない。A種の接地抵抗値は10 Ω以下なので,D種として70 Ωにしたのは不適切である。答(3)。
他の記述を確かめる。(1)A種接地工事の接地線は直径2.6 mm以上の軟銅線とされており,14 mm²(直径約4.2 mm相当)はこれを満たす。(2)制御装置は定格制御電圧AC100 Vの低圧機器なのでD種接地工事でよく,D種の接地線は直径1.6 mm以上なので5.5 mm²で足りる。(4)受電電力500 kW以上の需要場所の引込口には避雷器を施設し,A種接地工事を施す。750 kWはこれにあたる。(5)木柱の上で人が触れるおそれのない高さなら接地工事を省略できるが,省略できるというだけで,A種を施すこと自体は差し支えない。
一つの端子に複数の機器がつながっている,という書き方が出てきたら,そのうち最も厳しい接地工事が要る,と考えるとよい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧屋側電線路(高圧引込線の屋側部分を除く。)の施設に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
高圧屋側電線路にはケーブルへの接触防護措置が求められる。接触防護措置の高さは,解釈第1条の定義で屋内は床上2.3 m以上,屋外は地表上2.5 m以上と定められている。「屋外であることから2.3 m」としているのは屋内の値を屋外に当てているので誤りで,これが答になる。答(3)。
他の記述を確かめる。(1)高圧屋側電線路は展開した場所に施設する。(2)電線はケーブルであること。(4)造営材に沿って取り付ける場合の支持点間の距離は2 m以下,垂直に取り付ける場合は6 m以下でよい。(5)ケーブルを収める防護装置の金属製部分にはA種接地工事を施す。
2.3 mと2.5 mは数字が近いので取り違えやすいが,「屋内は低く,屋外は高い」と覚えておけばよい。屋外のほうが不特定の人が通るので厳しくしてある。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく電線路の接近状態に関する記述である。
a) 第1次接近状態とは,架空電線が他の工作物と接近する場合において,当該架空電線が他の工作物の (ア) において,水平距離で (イ) 以上,かつ,架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより,架空電線路の電線の (ウ) ,支持物の (エ) 等の際に,当該電線が他の工作物に (オ) おそれがある状態をいう。
b) 第2次接近状態とは,架空電線が他の工作物と接近する場合において,当該架空電線が他の工作物の (ア) において水平距離で (イ) 未満に施設される状態をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
解釈第1条の用語の定義で,第1次接近状態・第2次接近状態はいずれも「上方又は側方」で規定されている。下方は含まれない。架空電線が切れたり支持物が倒れたりして他の工作物に触れるおそれを想定した規定なので,電線が他の工作物の下にある場合は想定していない。
水平距離は3 m。この3 mを境に,3 m以上で支持物の高さ以内なら第1次接近状態,3 m未満なら第2次接近状態である。
危険が起きる原因として条文が挙げているのは,電線の切断と支持物の倒壊。その結果として当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態,と続く。
上方又は側方/3 m/切断/倒壊/接触するとなり答(2)。
(3)との違いは(エ)だけで,支持物は傾くのではなく倒壊すると書かれている。傾斜という語は解釈の別の条(支持物の基礎の安全率など)に出てくるが,接近状態の定義には使われていない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
次の文章は,「電気設備技術基準」における無線設備への障害の防止に関する記述である。
電気使用場所に施設する電気機械器具又は (ア) は, (イ) ,高周波電流等が発生することにより,無線設備の機能に (ウ) かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
電気設備技術基準第67条(電気機械器具又は接触電線による無線設備への障害の防止)の条文をそのまま問う設問である。
(ア) 条の見出しに「電気機械器具又は接触電線による」とあるとおり,接触電線が入る。接触電線はクレーンなどの移動する機器へ電気を送るためにむき出しで張った電線で,集電子がこすれて火花を出すため無線に障害を与えやすい。
(イ) 無線設備の機能を妨げるのは電波である。高調波は電源の波形のひずみのことで,同じ電路につながる機器へ影響を与えるが,無線設備への障害の直接の原因としては条文に書かれていない。
(ウ) 一時的なものまで禁じると実務上成り立たないので,条文は「継続的かつ重大な障害」と限定している。
接触電線/電波/継続的となり答(5)。
(ウ)は「かつ重大な」という言葉と釣り合う語を選ぶと考えるとよい。一時的で重大というのは条件として噛み合わない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく水中照明の施設に関する記述である。
水中又はこれに準ずる場所であって,人が触れるおそれのある場所に施設する照明灯は,次によること。
a) 照明灯に電気を供給する電路には,次に適合する絶縁変圧器を施設すること。
① 1次側の (ア) 電圧は300 V以下,2次側の (ア) 電圧は150 V以下であること。
② 絶縁変圧器は,その2次側電路の (ア) 電圧が30 V以下の場合は,1次巻線と2次巻線との間に金属製の混触防止板を設け,これに (イ) 種接地工事を施すこと。
b) a)の規定により施設する絶縁変圧器の2次側電路は,次によること。
① 電路は, (ウ) であること。
② 開閉器及び過電流遮断器を各極に施設すること。ただし,過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は,過電流遮断器のみとすることができる。
③ (ア) 電圧が30 Vを超える場合は,その電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
④ b)②の規定により施設する開閉器及び過電流遮断器並びにb)③の規定により施設する地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は,堅ろうな金属製の外箱に収めること。
⑤ 配線は, (エ) 工事によること。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
解釈第187条(水中照明灯)の規定である。水中で人が触れる可能性のある場所なので,条文は感電を防ぐ方向に徹底して厳しくなっている,という見方で当てていける。
(ア) 条文は使用電圧で規定している。対地電圧は接地式の電路で定義される値なので,非接地式を求めているこの条文とはそもそも噛み合わない。
(イ) 混触防止板に施すのはA種接地工事である。高圧側が混触したときに確実に地絡させるための板なので,最も厳しいA種になる。
(ウ) 2次側電路は非接地式電路とする。接地していなければ,人が1線に触れても回路が閉じず感電しにくい。
(エ) 配線は金属管工事による。水中や水気のある場所で外傷から確実に守るためで,合成樹脂管では足りない。
使用/A/非接地式電路/金属管となり答(5)。
(ア)を対地電圧と読むと(2)(4)に流れるが,(ウ)で非接地式と決まる以上,対地電圧という言い方は使えない。空欄どうしの整合でも絞り込める。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
次の文章は,「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」に基づく風車に関する記述である。
風車は,次により施設しなければならない。
a) 負荷を (ア) したときの最大速度に対し,構造上安全であること。
b) 風圧に対して構造上安全であること。
c) 運転中に風車に損傷を与えるような (イ) がないように施設すること。
d) 通常想定される最大風速においても取扱者の意図に反して風車が (ウ) することのないように施設すること。
e) 運転中に他の工作物,植物等に接触しないように施設すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
発電用風力設備に関する技術基準を定める省令第4条(風車)の規定である。
(ア) 発電機の負荷が急に無くなると,風のエネルギーを消費するものが無くなって風車は一気に速度を上げる。この無負荷暴走のときの速度に耐える構造でなければならない,という趣旨なので,入るのは遮断である。連系したときにいちばん速く回ることはない。
(イ) 「運転中に風車に損傷を与えるような」に続くのは振動である。雷撃は別の条(第5条 風車の安全な状態の確保など)で扱われ,運転中に限った話でもない。
(ウ) 停止しているはずの風車が強風で勝手に回り出すと危険なので,取扱者の意図に反して起動しないように施設する。停止することのないように,では意味が逆になる。
遮断/振動/起動となり答(5)。
(ウ)は,(a)ですでに「負荷を遮断したときの最大速度に耐えること」を求めていることと合わせて読むと分かりやすい。この省令が心配しているのは,風車が回りすぎることであって止まることではない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
次の文章は,電気の需給状況が悪化した場合における電気事業法に基づく対応に関する記述である。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は,会員である小売電気事業者,一般送配電事業者,配電事業者又は特定送配電事業者の電気の需給の状況が悪化し,又は悪化するおそれがある場合において,必要と認めるときは,当該電気の需給の状況を改善するために,電力広域的運営推進機関の (ア) で定めるところにより, (イ) に対し,相互に電気の供給をすることや電気工作物を共有することなどの措置を取るように指示することができる。
また,経済産業大臣は,災害等により電気の安定供給の確保に支障が生じたり,生じるおそれがある場合において,公共の利益を確保するために特に必要があり,かつ適切であると認めるときは (ウ) に対し,電気の供給を他のエリアに行うことなど電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとることを命ずることができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして,適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
(ア) 保安規程は,事業用電気工作物を設置する者が保安の確保のために定めるもので,需給の調整を指示する根拠にはならない。電力広域的運営推進機関が自らの業務の進め方を定めるのは業務規程である。
(イ) 問題文の冒頭に「会員である小売電気事業者,一般送配電事業者…」と書かれている。推進機関が指示できる相手は自らの会員なので,会員が入る。
(ウ) 経済産業大臣が電気の安定供給のために措置を命じる相手は電気事業者である。特定自家用電気工作物設置者は自家用の設備を持つ者で,他のエリアへ電気を供給する立場にはない。
業務規程/会員/電気事業者となり答(5)。
(イ)は問題文の中にすでに「会員である」と書かれているので,本文を読むだけで決まる。空欄の周りだけでなく段落の頭から読むと拾える形になっている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
過電流継電器(以下「OCR」という。)と真空遮断器(以下「VCB」という。)との連動動作試験を行う。保護継電器試験機からOCRに動作電流整定タップ3 Aの300 %(9 A)を入力した時点から,VCBが連動して動作するまでの時間を計測する。保護継電器試験機からの電流は,試験機→OCR→試験機へと流れ,OCRが動作すると,試験機→OCR→VCB(トリップコイルの誘導性リアクタンスは10 Ω)→試験機へと流れる(図)。保護継電器試験機において可変抵抗R[Ω]をタップを切り換えて調整し,可変単巻変圧器を操作して試験電圧V[V]を調整して,電流計が必要な電流値(9 A)を示すように設定する(この設定中は,OCRが動作しないようにOCRの動作ロックボタンを押しておく)。図のOCR内の※で示した接点は,OCRが動作した時に開き,それによりトリップコイルに電流が流れる(VCBは変流器二次電流による引外し方式)。図のVCBは,コイルに3.0 A以上の電流(定格開路制御電流)が流れないと正常に動作しないので,保護継電器試験機の可変抵抗R[Ω]の抵抗値を適正に選択しなければならない。選択可能な抵抗値[Ω]の中で,VCBが正常に動作することができる最小の抵抗値R[Ω]を次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお,OCRの内部抵抗,トリップコイルの抵抗及びその他記載のないインピーダンスは無視するものとする。
正解:2
この問題の要は,OCRが動作する前と後で回路が変わることである。
まず動作前。※の接点が閉じているのでトリップコイルは短絡されており,回路にあるのは可変抵抗Rだけである。ここに9 Aを流すように電圧を合わせるので
V=9R[V]。
つぎに動作後。※が開いてトリップコイル(誘導性リアクタンス10 Ω)が直列に入る。電圧Vは変わらないので,流れる電流は
I=V/√(R²+10²)=9R/√(R²+100)。
これが3.0 A以上であればよいので
9R/√(R²+100)≧3
両辺を3で割って 3R≧√(R²+100),二乗して 9R²≧R²+100,8R²≧100
R≧√12.5≒3.54 Ω。
選択可能な値のうち3.54以上でいちばん小さいのは5 Ωである。答(2)。
確かめておく。R=5なら V=45 V,I=45/√125≒4.02 A で3.0 Aを超える。R=2なら V=18 V,I=18/√104≒1.77 A で足りない。
Rを大きくすると電圧Vも比例して大きくなるので,動作後の電流はリアクタンス10 Ωの影響が相対的に薄まって増える。Rを小さくするほど良いように見えるが逆である,というのがこの問題の面白いところである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11(a)
定格容量50 kV·A,一次電圧6 600 V,二次電圧210/105 Vの単相変圧器の二次側に接続した単相3線式架空電線路がある。この低圧電線路に最大供給電流が流れたときの絶縁性能が「電気設備技術基準」に適合することを確認するため,低圧電線の3線を一括して大地との間に使用電圧(105 V)を加える絶縁性能試験を実施した。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 この試験で許容される漏えい電流の最大値[A]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
電気設備技術基準第22条は,低圧電線路の漏えい電流を最大供給電流の1/2 000以下と定めている。
まず最大供給電流を出す。単相3線式なので,外側の2線には二次電圧210 Vで変圧器の容量いっぱいの電流が流れる。
I=50×10³/210≒238 A。
1線当たりの許容漏えい電流は
238/2 000≒0.119 A。
ここが分かれ目である。この試験は3線を一括して大地との間に電圧を加えているので,測っているのは3線ぶんの漏えい電流の合計になる。したがって許容される値も3倍で
0.119×3≒0.357 A。答(3)。
(1)の0.119は1線当たりの値である。一括して測っているのに1線分で判定すると,本来合格のものを不合格にしてしまう。何線ぶんをまとめて測っているのかを問題文から読み取ること。
(2)の0.238は 50×10³/105/2 000 で,二次電圧を105 Vとして最大供給電流を出した場合の値である。単相3線式で容量いっぱいの電流が流れるのは外側の2線の間,すなわち210 Vのほうである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問11(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11(b)
定格容量50 kV·A,一次電圧6 600 V,二次電圧210/105 Vの単相変圧器の二次側に接続した単相3線式架空電線路がある。この低圧電線路に最大供給電流が流れたときの絶縁性能が「電気設備技術基準」に適合することを確認するため,低圧電線の3線を一括して大地との間に使用電圧(105 V)を加える絶縁性能試験を実施した。
次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 二次側電線路と大地との間で許容される絶縁抵抗値は,1線当たりの最小値[Ω]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,最大供給電流は約238 A,1線当たりの許容漏えい電流は約0.119 Aである。)
正解:3
問われているのは1線当たりの絶縁抵抗なので,1線に加わる電圧と1線に流れる漏えい電流で割ればよい。
試験では3線それぞれと大地との間に使用電圧105 Vが加わっている。1線当たりの許容漏えい電流は小問(a)で出した0.119 Aである。したがって
R=105/0.119≒883 Ω。答(3)。
小問(a)の答である3線合計の0.357 Aで割ると 105/0.357≒294 Ω となり(1)になる。これは3線を1本とみなしたときの値,言い換えれば3本の絶縁抵抗を並列に見た値であって,1線当たりの値ではない。3本を並列にすれば抵抗は1/3になる,という関係がそのまま 883/3≒294 に現れている。
(a)は合計で答え,(b)は1線当たりで答える。同じ問題の中で問われている単位が切り替わっているので,どちらを聞かれているかを毎回確かめること。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問11(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12(a)
負荷設備の容量が800 kW,需要率が70 %,総合力率が90 %である高圧受電需要家について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,この需要家の負荷は低圧のみであるとし,変圧器の損失は無視するものとする。
〔小問(a)〕 この需要負荷設備に対し100 kV·Aの変圧器,複数台で電力を供給する。この場合,変圧器の必要最小限の台数として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
需要率は,設備容量のうち実際に同時に使われる割合である。最大需要電力は
800×0.70=560 kW。
変圧器の容量は皮相電力[kV·A]で表されるので,力率で割って皮相電力に直す。
560/0.90≒622 kV·A。
100 kV·Aの変圧器で賄うので
622/100=6.22 → 7台。答(3)。
台数は切り上げる。6台では600 kV·Aしかなく622 kV·Aを賄えない。「必要最小限の台数」とあっても,足りない台数を選んではいけない。
力率で割るのを忘れると 560/100=5.6 → 6台となって(2)を選ぶ。変圧器の容量は有効電力ではなく皮相電力で決まる,というのがこの問題の要点である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問12(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12(b)
負荷設備の容量が800 kW,需要率が70 %,総合力率が90 %である高圧受電需要家について,次の問に答えよ。ただし,この需要家の負荷は低圧のみであるとし,変圧器の損失は無視するものとする。
〔小問(b)〕 この負荷の月負荷率を60 %とするとき,負荷の月間総消費電力量の値[MW·h]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,1カ月の日数は30日とする。
(小問(a)より,最大需要電力は560 kWである。)
正解:2
負荷率は,期間中の平均需要電力を最大需要電力で割った値である。したがって平均需要電力は
560×0.60=336 kW。
電力量は平均電力に時間を掛ければよい。30日は 24×30=720 時間なので
336×720=241 920 kW·h≒242 MW·h。答(2)。
力率90 %はここでは使わない。消費電力量は有効電力の積算なので,皮相電力に直す必要はない。小問(a)で使った数字をそのまま持ち込むと 622×0.6×720≒269 MW·h となって(4)に近づいてしまう。
需要率・負荷率・力率は名前が似ているが役割が違う。需要率は設備容量から最大需要電力を出すため,負荷率は最大需要電力から平均需要電力を出すため,力率は有効電力を皮相電力に直すために使う。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問12(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13(a)
有効落差80 mの調整池式水力発電所がある。調整池に取水する自然流量は10 m³/s一定であるとし,図のように1日のうち12時間は発電せずに自然流量の全量を貯水する。残り12時間のうち2時間は自然流量と同じ10 m³/sの使用水量で発電を行い,他の10時間は自然流量より多いQ_p[m³/s]の使用水量で発電して貯水分全量を使い切るものとする。このとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 運用に最低限必要な有効貯水量の値[m³]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
貯水量は「ためた量」を数えれば出る。発電しない12時間は,入ってきた自然流量がそのまま池にたまる。
10 m³/s×12時間×3 600 s/h=432 000 m³=432×10³ m³。答(3)。
残り12時間のうち2時間は自然流量と同じ10 m³/sで発電するので,入ってくる量と使う量が釣り合い,池の水位は変わらない。ここは貯水量に関係しない。
残る10時間でQ_pを使って貯水分を使い切る,という条件から使用水量も出せる。この10時間に入ってくる水は 10×10×3 600=360 000 m³,使う水は Q_p×10×3 600。差が貯水分432 000 m³に等しいので
(Q_p−10)×10×3 600=432 000 より Q_p−10=12,Q_p=22 m³/s。この値は小問(b)で使う。
(5)の864×10³は,24時間ぶんの自然流量 10×24×3 600 の値である。ためているのは発電しない12時間ぶんだけなので,その半分になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問13(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13(b)
有効落差80 mの調整池式水力発電所がある。調整池に取水する自然流量は10 m³/s一定であるとし,図のように1日のうち12時間は発電せずに自然流量の全量を貯水する。残り12時間のうち2時間は自然流量と同じ10 m³/sの使用水量で発電を行い,他の10時間は自然流量より多いQ_p[m³/s]の使用水量で発電して貯水分全量を使い切るものとする。このとき,次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 使用水量Q_p[m³/s]で運転しているときの発電機出力の値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,運転中の有効落差は変わらず,水車効率,発電機効率はそれぞれ90 %,95 %で一定とし,溢水はないものとする。
(小問(a)より,有効貯水量は432×10³ m³で,このときQ_p=22 m³/sである。)
正解:2
まず使用水量Q_pを確定させる。10時間で貯水分432 000 m³を使い切るので,自然流量を上回る分が
432 000/(10×3 600)=12 m³/s。
したがって Q_p=10+12=22 m³/s。
水力発電の出力は
P=9.8QHη_tη_g
で求まる。値を入れると
P=9.8×22×80×0.90×0.95≒14 700 kW。答(2)。
順に計算すると 9.8×22=215.6,215.6×80=17 248,17 248×0.90=15 523,15 523×0.95≒14 747 となる。
効率を掛け忘れて 9.8×22×80≒17 248 とすると(3)の16 600に近づく。発電機出力を問われているので,水車効率と発電機効率の両方を掛ける。
なお自然流量の10 m³/sで運転しているときの出力は 9.8×10×80×0.90×0.95≒6 700 kWで,Q_pのときはその2.2倍になる。出力は使用水量に比例する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 法規 問13(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
この回の最終更新:
掲載の過去問題は 一般財団法人 電気技術者試験センター の著作物です。同機関が公表する試験問題を、教育目的での利用に許諾・使用料を要しないとする同機関の方針に従い、出典を明記して掲載しています。無断転載を許可するものではありません。解説は当サイトが独自に作成したものです。