📄 本試験 過去問題
電験3種 令和元年度 法規
13問 ・ 目安 正答率60% ・ 2019年9月1日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の令和元年度 法規試験で実際に出題された全13問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2019年9月1日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和元年度・法規:合格基準は100点満点中49点以上に引き下げ(試験センターの公表値。原則60点)。
出典:令和元年度第三種電気主任技術者試験の結果について(令和元年10月18日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
この回の問題は,平成31年4月1日(2019年4月1日)現在で効力のある法令にもとづいて作成されています(原本の注記)。それ以降の法改正により、現行の条文・数値と異なる場合があります。
問 1
次の文章は,「電気事業法」に基づく電気事業に関する記述である。
a 小売供給とは, (ア) の需要に応じ電気を供給することをいい,小売電気事業を営もうとする者は,経済産業大臣の (イ) を受けなければならない。小売電気事業者は,正当な理由がある場合を除き,その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な (ウ) 能力を確保しなければならない。
b 一般送配電事業とは,自らの送配電設備により,その供給区域において, (エ) 供給及び電力量調整供給を行う事業をいい,その供給区域における最終保障供給及び離島の需要家への離島供給を含む。一般送配電事業を営もうとする者は,経済産業大臣の (オ) を受けなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
(ア) 小売供給は「一般の需要に応じ電気を供給すること」である。相手を限らず広く需要に応じる、という意味で「一般」が入る。特定の需要に応じるのは特定卸供給など別の類型である。
(イ) 小売電気事業を営むには経済産業大臣の登録を受ける。小売は2016年の全面自由化で参入が自由になった分野で、参入の枠は登録である。許可より緩い。
(ウ) 小売電気事業者に求められるのは供給能力の確保である。自分で発電する必要はなく、市場や他社から調達してもよい。
(エ) 一般送配電事業は、自らの送配電設備により託送供給及び電力量調整供給を行う事業である。託送供給とは、他社の電気を自分の送配電網で運ぶことをいう。
(オ) 一般送配電事業を営むには経済産業大臣の許可を受ける。送配電網は地域に一つしかない設備なので、参入は厳しく管理される。
一般/登録/供給/託送/許可となり答(1)。
(イ)と(オ)の対比がこの問題の要である。小売は登録、一般送配電は許可。自由化された分野は登録、独占的な設備を持つ分野は許可、と覚える。発電事業は届出である。
参入規制の強さは 許可>登録>届出 の順になっている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
次の文章は,「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づき,事業用電気工作物を設置する者が行う検査に関しての記述である。
a (ア) 以上の需要設備を設置する者は,主務省令で定めるところにより,その使用の開始前に,当該事業用電気工作物について自主検査を行い,その結果を記録し,これを保存しなければならない。(以下,この検査を使用前自主検査という。)
b 使用前自主検査においては,その事業用電気工作物が次の①及び②のいずれにも適合していることを確認しなければならない。
① その工事が電気事業法の規定による (イ) をした工事の計画に従って行われたものであること。
② 電気設備技術基準に適合するものであること。
c 使用前自主検査を行う事業用電気工作物を設置する者は,使用前自主検査に係る体制について, (ウ) が行う審査を受けなければならない。この審査は,事業用電気工作物の (エ) を旨として,使用前自主検査の実施に係る組織,検査の方法,工程管理その他主務省令で定める事項について行う。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(ア) 使用前自主検査の対象となる需要設備は、受電電圧1万V以上のものである。電気事業法施行規則の別表で工事計画の届出が必要な需要設備として定められている区分と同じで、容量ではなく受電電圧で線を引いている。
(イ) 電気事業法48条は、一定の工事について工事計画の届出を求めている。申請ではなく届出である。届出は「あらかじめ知らせる」もので、認めてもらう必要はない。
(ウ) 使用前自主検査に係る体制の審査を行うのは主務大臣である。実務では登録安全管理審査機関が代行するが、条文上の主体は主務大臣である。電気主任技術者は事業者側の人なので、自分の体制を自分で審査することにはならない。
(エ) 審査は「事業用電気工作物の安全管理を旨として」行われる。自己確認は、電気事業法51条の2に定める別の制度(太陽電池発電設備などについて技術基準への適合を自ら確認する)で、ここでの語ではない。
受電電圧1万V/届出/主務大臣/安全管理となり答(3)。
使用前自主検査は「工事計画を届け出た設備について、使えるようになる前に自分で検査し、その体制を国が審査する」という三段構えになっている。届出・自主検査・体制審査の三つの言葉の関係を押さえると迷わない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
「電気設備技術基準」の総則における記述の一部として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
電気設備技術基準5条1項のただし書は「異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない」である。設問は「便宜上必要な措置」としており、ここが誤っている。したがって(2)が答になる。
一文字違いだが意味は大きく変わる。接地を認めるのは安全のためであって、都合がよいからではない。中性点接地や避雷器の接地は、異常電圧が入ったときに人と設備を守るために行うもので、あくまで保安上の措置である。
他の記述を確かめる。(1)4条(電気設備における感電、火災等の防止)。(3)8条(電気機械器具の熱的強度)で、通常の使用状態で発生する熱に耐えることを求めている。(4)16条(電気設備の電気的、磁気的障害の防止)。(5)18条(電気設備による供給支障の防止)で、需要家の設備が壊れて一般送配電事業者の供給に支障を与えないようにする、という趣旨である。
電技の総則は条文が短く、言葉が一つ差し替えられる形で出題されやすい。「保安上」「技術上」「便宜上」のような似た言い回しに注意する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
次の文章は,「電気設備技術基準」に基づく支持物の倒壊の防止に関する記述の一部である。
架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は,当該支線に係るものを含む。)は,その支持物が支持する電線等による (ア) ,風速 (イ) m/s の風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される (ウ) の変化,振動,衝撃その他の外部環境の影響を考慮し,倒壊のおそれがないよう,安全なものでなければならない。ただし,人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては,その施設場所を考慮して施設する場合は,風速 (イ) m/s の風圧荷重の (エ) の風圧荷重を考慮して施設することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
電気設備技術基準32条(支持物の倒壊の防止)の条文である。
(ア) 支持物を倒そうとするのは、電線が横に引っ張る力である。したがって引張荷重。重量荷重は電線の重さで下向きに押す力で、倒壊とは結びつかない。
(イ) 風速40 m/sである。これは日本で通常想定される最大級の風速として定められた値で、電技の各所で共通して使われる。60 m/sではない。
(ウ) 通常想定されるのは気象の変化である。温度だけでなく、風・雪・氷など気象全般を指す。
(エ) 人家が多く連なっている場所では、風が建物にさえぎられて弱まるので、40 m/sの風圧荷重の2分の1を考慮すればよいとされている。
引張荷重/40/気象/2分の1となり答(3)。
40 m/sという数値は覚えてしまってよい。電気設備技術基準の解釈58条が定める甲種風圧荷重も、この風速40 m/sを前提に「電線1 m²あたり980 Pa」などと決められている。
人家が多く連なっている場所での2分の1は、解釈58条2項でも同じ扱いになっている。省令と解釈で数字がそろっていることを確かめておくと記憶が固まる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧配線及び高圧配線の施設に関する記述である。
a ケーブル工事により施設する低圧配線が,弱電流電線又は水管,ガス管若しくはこれらに類するもの(以下,「水管等」という。)と接近し又は交差する場合は,低圧配線が弱電流電線又は水管等と (ア) 施設すること。
b 高圧屋内配線工事は,がいし引き工事(乾燥した場所であって (イ) した場所に限る。)又は (ウ) により施設すること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
(ア) ケーブルは絶縁物とシースで覆われているので、弱電流電線や水管等と触れなければよい。求められるのは「接触しないように施設すること」で、離隔距離の数値までは定められていない。離隔距離が定められるのは、がいし引き工事のように電線がむき出しになる工事のほうである。
(イ)(ウ) 高圧屋内配線は、原則としてケーブル工事による。がいし引き工事も使えるが、乾燥した場所であって展開した場所に限られる。高圧の電線がむき出しになる工事なので、目の届く場所でしか認めない、という趣旨である。隠ぺい場所では点検できないので使えない。
金属管工事は低圧屋内配線の工事方法で、高圧屋内配線には使えない。
接触しないように/展開/ケーブル工事となり答(4)。
「展開した場所」とは、点検できるかどうかではなく、電線が露出して見える場所という意味である。天井裏や壁の中は隠ぺい場所で、点検できる隠ぺい場所であってもがいし引きの高圧配線は認められない。
高圧はケーブル工事が原則、と押さえておけば(2)(5)は外せる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
次の文章は,接地工事に関する工事例である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
電気設備技術基準の解釈17条・18条の数値を一つずつ当てる問題である。
(4)が正しい。解釈18条は、鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建物について、鉄骨等の一部を地中に埋設するとともに等電位ボンディングを施すなどの条件を満たせば、その鉄骨等をA種・B種・C種・D種の接地極に使用できるとしている。
他の記述の誤りを確かめる。
(1) C種接地工事を省略できるのは、接地する金属体と大地との間の電気抵抗値が10 Ω以下の場合である。80 Ωでは省略できない。(D種なら100 Ω以下で省略できる。)
(2) D種接地工事の接地抵抗値は100 Ω以下。地絡時に0.5秒以内に自動遮断する装置を施設する場合でも500 Ω以下までしか緩和されない。1 200 Ωは超えている。
(3) D種接地工事の接地線は直径1.6 mm以上の軟銅線でなければならない。1.2 mmでは細すぎる。
(5) 金属製水道管路を接地極に使用できるのは、大地との間の電気抵抗値が3 Ω以下の場合である。5 Ωでは使えない。
数値は「10(C種省略)」「100(D種の値・D種省略)」「500(0.5秒遮断時のC種・D種の緩和)」「1.6 mm(接地線)」「3 Ω(水道管路)」と並べて覚える。どれも一段ずらした値が選択肢に置かれている。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
「電気設備技術基準の解釈」に基づく常時監視をしない発電所の施設に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
電気設備技術基準の解釈47条は、水力発電所に随時巡回方式を採用できるのは出力2 000 kW未満の場合に限る、としている。3 000 kWでは採用できないので(3)が誤りで、これが答になる。
水力発電所については、随時巡回方式が2 000 kW未満、随時監視制御方式が5 000 kW未満、遠隔常時監視制御方式は制限なし、と出力によって段階が分かれている。人がその場にいる度合いが低い方式ほど、扱える出力が小さくなる。
他の記述を確かめる。(1)随時巡回方式は、技術員が適当な間隔をおいて発電所を巡回し、運転状態を監視する。(2)遠隔常時監視制御方式は、技術員が制御所に常時駐在して、遠隔で監視と制御を行う。常時人がいるので最も手厚い。(4)風力発電所は、方式にかかわらず出力の制限が設けられていない。(5)太陽電池発電所も出力の制限はない。
水力だけに出力の制限があるのは、ダムや水路といった設備を持ち、異常時の影響が大きいためである。風力や太陽光は発電機そのものが止まれば済むので、制限が置かれていない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
次のa〜fの文章は低高圧架空電線の施設に関する記述である。
これらの文章の内容について,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,適切なものと不適切なものの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a 車両の往来が頻繁な道路を横断する低圧架空電線の高さは,路面上6 m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
b 車両の往来が頻繁な道路を横断する高圧架空電線の高さは,路面上6 m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
c 横断歩道橋の上に低圧架空電線を施設する場合,電線の高さは当該歩道橋の路面上3 m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
d 横断歩道橋の上に高圧架空電線を施設する場合,電線の高さは当該歩道橋の路面上3 m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
e 高圧架空電線をケーブルで施設するとき,他の低圧架空電線と接近又は交差する場合,相互の離隔距離は0.3 m以上を保持するよう施設しなければならない。
f 高圧架空電線をケーブルで施設するとき,他の高圧架空電線と接近又は交差する場合,相互の離隔距離は0.3 m以上を保持するよう施設しなければならない。
正解:5
前半は解釈68条(低高圧架空電線の高さ)、後半は解釈74条(低高圧架空電線と他の低高圧架空電線路との接近又は交差)の数値である。
a・b 適切。道路を横断する場合の高さは、低圧も高圧も路面上6 m以上で同じである。
c 適切。横断歩道橋の上に低圧架空電線を施設する場合は、歩道橋の路面上3 m以上である。
d 不適切。高圧の場合は歩道橋の路面上3.5 m以上が必要である。低圧より0.5 m高い。
e・f 不適切。高圧架空電線がケーブルであっても、他の低圧架空電線・高圧架空電線との離隔距離は0.4 m以上が必要である。0.3 mでは足りない。ケーブルでない場合は0.8 m以上なので、ケーブルにすることで半分に緩和されるが、零にはならない。
a適切・b適切・c適切・d不適切・e不適切・f不適切となり答(5)。
高さの数値は「道路横断は低圧も高圧も6 m」「横断歩道橋の上は低圧3 m・高圧3.5 m」と対にして覚える。低圧と高圧で同じところと違うところが混ざっているのがこの問題の狙いである。
離隔距離は「0.8 m、ケーブルなら0.4 m」を押さえる。0.3 mは低圧架空電線どうしがケーブルの場合の値で、別の組合せの数字である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
(2)は自立運転の説明になっている。単独運転とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等で系統電源から切り離された状態において、当該分散型電源が発電を続け、その電力系統の線路負荷にも電力を供給している状態をいう(解釈220条)。自分の構内負荷にだけ供給しているのは自立運転で、系統から切り離されて安全な状態である。したがって(2)が誤りで、これが答になる。
二つの違いは「系統の線路に電気を送り出しているかどうか」である。単独運転が危険なのは、一般送配電事業者が停電させたはずの線路に電気が残り、復旧作業をする人が感電するおそれがあるためである。だから単独運転は検出して直ちに解列しなければならない。
他の記述を確かめる。(1)逆潮流は構内から系統側へ向かう有効電力の流れである。(3)単相3線式で中性線に大きな電流が生じるおそれがあるときは、並列点よりも系統側に3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設する(226条)。(4)低圧連系では異常時に自動的に解列する装置を施設する(227条)。(5)高圧連系では技術員駐在箇所と一般送配電事業者の事業所との間に、停電時でも通話できる電話設備を施設する(225条)。
用語の定義を入れ替える出題なので、「単独運転=系統の線路にも送っている」「自立運転=自分の構内だけ」と、送り先で覚え分ける。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,電力の需給に関する記述である。
電気は (ア) とが同時的であるため,不断の供給を使命とする電気事業においては,常に変動する需要に対処しうる供給力を準備しなければならない。
しかし,発電設備は事故発生の可能性があり,また,水力発電所の供給力は河川流量の豊渇水による影響で変化する。一方,太陽光発電,風力発電などの供給力は天候により変化する。さらに,原子力発電所や火力発電所も定期検査などの補修作業のため一定期間の停止を必要とする。このように供給力は変動する要因が多い。他方,需要も予想と異なるおそれもある。
したがって,不断の供給を維持するためには,想定される (イ) に見合う供給力を保有することに加え,常に適量の (ウ) を保持しなければならない。
電気事業法に基づき設立された電力広域的運営推進機関は毎年,各供給区域(エリア)及び全国の供給力について需給バランス評価を行い,この評価を踏まえてその後の需給の状況を監視し,対策の実施状況を確認する役割を担っている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(ア) 電気は大量に貯めておけないので、発生と消費が同時に行われる。これが電気の最大の特徴で、常に需要と供給を一致させ続けなければならない理由である。発電と蓄電では「貯める」ことになり、同時的という説明と食い違う。
(イ) 供給力は、その時々の需要の山に応えられなければならない。したがって見合わせる相手は最大電力である。使用電力量は一定期間に使った量の合計で、瞬間の山を表さない。1日の電力量が同じでも、山が高ければより大きな供給力が要る。
(ウ) 発電設備の事故や渇水、天候の変化に備えて余分に持っておく供給力を供給予備力という。送電容量は送電線が運べる電力の上限で、需給バランスの余裕とは別の話である。
発生と消費/最大電力/供給予備力となり答(3)。
供給予備力は一般に最大電力の8〜10 %程度を目安とする。設問が挙げている「発電設備の事故」「河川流量の豊渇水」「天候による変化」「定期検査」は、いずれも予備力が要る理由の具体例である。
電力広域的運営推進機関(広域機関)は2015年に設立され、全国の需給バランスの評価と監視を担っている。この段落は空欄になっていないが、制度の名前として押さえておく。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11(a)
電気使用場所の低圧幹線の施設について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 次の表は,一つの低圧幹線によって電気を供給される電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下この問において「電動機等」という。)の定格電流の合計値I_M[A]と,他の電気使用機械器具の定格電流の合計値I_H[A]を示したものである。また,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,当該低圧幹線に用いる電線に必要な許容電流は,同表に示すI_Cの値[A]以上でなければならない。ただし,需要率,力率等による修正はしないものとする。
【表】I_M[A] / I_H[A] / I_M+I_H[A] / I_C[A]
・47 / 49 / 96 / 96
・48 / 48 / 96 / (ア)
・49 / 47 / 96 / (イ)
・50 / 46 / 96 / (ウ)
・51 / 45 / 96 / 102
上記の表中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
電気設備技術基準の解釈148条は、低圧幹線に必要な許容電流I_Cを三つの場合に分けて定めている。
① I_M≦I_H のとき:I_C≧I_M+I_H
② I_M>I_H かつ I_M≦50 A のとき:I_C≧1.25 I_M+I_H
③ I_M>I_H かつ I_M>50 A のとき:I_C≧1.1 I_M+I_H
電動機は始動時に定格の何倍もの電流が流れるので、電動機の割合が大きいときだけ割り増しをする、という考え方である。
表の各行に当てはめる。
1行目 I_M=47,I_H=49:①なので 47+49=96。表の96と一致し、規則の当てはめ方が正しいことが確かめられる。
(ア) I_M=48,I_H=48:等しいので①にあたる。48+48=96。
(イ) I_M=49,I_H=47:I_M>I_H で I_M≦50 なので②。1.25×49+47=61.25+47=108.25 → 109。
(ウ) I_M=50,I_H=46:同じく②。1.25×50+46=62.5+46=108.5 → 109。
5行目 I_M=51,I_H=45:I_M>50 なので③。1.1×51+45=56.1+45=101.1 → 102。表の102と一致する。
(ア)96/(イ)109/(ウ)109となり答(3)。
端数の扱いは5行目が教えてくれている。101.1に対して表が102となっているので、必要な許容電流はその値以上、すなわち切り上げて整数にする。108.25も108.5も、切り上げれば109である。
50 Aという境目にも注意する。(ウ)のI_Mはちょうど50 Aで、「50 A以下」に含まれるので1.25倍のほうを使う。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問11(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11(b)
電気使用場所の低圧幹線の施設について,次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 次の表は,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,低圧幹線に電動機等が接続される場合における電動機等の定格電流の合計値I_M[A]と,他の電気使用機械器具の定格電流の合計値I_H[A]と,これらに電気を供給する一つの低圧幹線に用いる電線の許容電流I_C′[A]と,当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値I_B[A]を示したものである。ただし,需要率,力率等による修正はしないものとする。
【表】I_M[A] / I_H[A] / I_C′[A] / I_B[A]
・60 / 20 / 88 / (エ)
・70 / 10 / 88 / (オ)
・80 / 0 / 88 / (カ)
上記の表中の空白箇所(エ),(オ)及び(カ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
電気設備技術基準の解釈148条は、低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流I_Bについて次のように定めている。
I_B≦3 I_M+I_H
ただし、この値が電線の許容電流I_C′の2.5倍を超える場合は、2.5 I_C′とする。
電動機の始動電流で遮断器が動作しないよう3倍まで認める一方、電線を守るために2.5倍で頭打ちにする、という二段構えである。
まず頭打ちの値を出しておく。
2.5×88=220 A。
各行に当てはめる。
(エ) 3×60+20=200。220以下なので、そのまま200。
(オ) 3×70+10=220。ちょうど220で、超えていないので220。
(カ) 3×80+0=240。220を超えるので、220に抑える。
(エ)200/(オ)220/(カ)220となり答(2)。
(カ)がこの問題の要点である。計算値240をそのまま答にすると(3)や(4)を選ぶことになるが、電線の許容電流88 Aに対して240 Aの遮断器では、電線が焼けても遮断されないおそれがある。だから2.5倍という上限が置かれている。
(オ)はちょうど境目の値になっている。「超える場合」に抑えるのだから、等しいときはそのまま使える。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問11(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12(a)
三相3線式の高圧電路に300 kW,遅れ力率0.6の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし,直列リアクトルSRのリアクタンスX_L[Ω]は,三相コンデンサSCのリアクタンスX_C[Ω]の6 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,高圧電路の線間電圧は6 600 Vとし,無効電力によって電圧は変動しないものとする。
〔小問(a)〕 進相コンデンサ設備を高圧電路に接続したときに三相コンデンサSCの端子電圧の値[V]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
直列リアクトルSRと三相コンデンサSCは直列につながっており、その両端に線間電圧6 600 Vがかかる。
直列回路全体のリアクタンスは、誘導性と容量性が打ち消し合うので
X_C−X_L=X_C−0.06X_C=0.94X_C。
電圧は各素子のリアクタンスに比例して分かれるから、SCの端子電圧は
V_C=6 600×X_C/(0.94X_C)=6 600/0.94≒7 021 V。答(5)。
コンデンサの端子電圧が電源電圧より高くなるところが要点である。直列リアクトルが逆向きの電圧を分担するため、その分だけコンデンサに余分な電圧がかかる。だから直列リアクトル付のコンデンサは、電路の電圧より高い定格電圧のものを選ぶ必要がある。
(1)の6 410は 6 600×0.94×… のように、6 %を引く向きに掛けた場合に近い値である(6 600×0.94=6 204)。分母に0.94が来るのであって、掛けるのではない。
リアクトルを6 %にする理由は第5次高調波にある。第5次では誘導性リアクタンスが5倍、容量性リアクタンスが1/5になるので、5X_L=5×0.06X_C=0.3X_C に対して X_C/5=0.2X_C となり、設備全体が誘導性になって系統と共振しない。6 %は「5 %を超えていれば誘導性になる」という条件に余裕を見た値である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問12(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12(b)
三相3線式の高圧電路に300 kW,遅れ力率0.6の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし,直列リアクトルSRのリアクタンスX_L[Ω]は,三相コンデンサSCのリアクタンスX_C[Ω]の6 %とする。
ただし,高圧電路の線間電圧は6 600 Vとし,無効電力によって電圧は変動しないものとする。次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 進相コンデンサ設備を負荷と並列に接続し,力率を遅れ0.6から遅れ0.8に改善した。このとき,この設備の三相コンデンサSCの容量の値[kvar]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,三相コンデンサSCの端子電圧は約7 021 Vである。)
正解:3
まず力率改善に必要な無効電力を求める。有効電力は300 kWで変わらない。
力率0.6のとき:tanθ₁=0.8/0.6 なので Q₁=300×0.8/0.6=400 kvar
力率0.8のとき:tanθ₂=0.6/0.8 なので Q₂=300×0.6/0.8=225 kvar
進相コンデンサ設備が供給すべき無効電力は
Q=400−225=175 kvar。
ここで問われているのは設備全体ではなくコンデンサSC単体の容量である。設備全体は直列リアクトルを含むので、両者は一致しない。
設備全体の無効電力は、線間電圧6 600 Vが直列合成リアクタンス0.94X_Cにかかると考えて
Q=6 600²/(0.94X_C)=175×10³。
一方コンデンサSCの容量は、その端子電圧7 021 VがX_Cにかかるものとして
Q_SC=7 021²/X_C。
二式の比を取ると
Q_SC/Q=(7 021²/X_C)÷(6 600²/(0.94X_C))=(7 021/6 600)²×0.94。
7 021/6 600=1/0.94 なので
Q_SC/Q=(1/0.94)²×0.94=1/0.94。
したがって
Q_SC=175/0.94≒186 kvar。答(3)。
(1)の170や(2)の180は、設備全体の175 kvarをそのまま答としたり、逆に0.94を掛けたりした場合に近い値である。コンデンサの容量は端子電圧で決まるので、電圧が高くなるぶん設備全体より大きくなる。
直列リアクトル付のコンデンサでは、必要な設備容量を0.94で割ったものがコンデンサの定格容量になる、と覚えておくと早い。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問12(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13(a)
図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量をCとし接地抵抗をR_Bとする。
低圧側電路の線間電圧200 V,周波数50 Hz,対地静電容量Cは0.1 μFとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,
(ア) 変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5 Aとする。
(イ) 高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150 Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。
〔小問(a)〕 変圧器に施された,接地抵抗R_Bの抵抗値について「電気設備技術基準の解釈」で許容されている上限の抵抗値[Ω]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
電気設備技術基準の解釈17条2項は、B種接地工事の接地抵抗値を高圧電路の1線地絡電流I_g[A]から次のように定めている。
・原則:150/I_g [Ω]
・混触時に低圧電路の対地電圧が150 Vを超えた場合、1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置があるとき:300/I_g [Ω]
・同じく1秒以内に遮断する装置があるとき:600/I_g [Ω]
遮断が速いほど危険な状態が続く時間が短いので、接地抵抗を大きくしてよい、という考え方である。
設問の遮断時間は1.3秒で、「1秒を超え2秒以内」に当たる。1線地絡電流は5 Aなので
R_B=300/5=60 Ω。答(4)。
(1)の20や(2)の30は、分子を150や…と取り違えた場合に近い(150/5=30)。1.3秒という数字を見て「1秒以内ではないから原則の150」としてしまうと(2)の30になる。1秒を超え2秒以内という中間の区分があることを見落とさない。
(5)の100は 600/5×…ではなく別の取り違えで出る値だが、600/5=120 は選択肢に無いので、1秒以内の区分でないことは選択肢からも確かめられる。
150・300・600という三段は、遮断時間が短くなるごとに倍になっている。この並びで覚えると取り出しやすい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問13(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13(b)
図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量をCとし接地抵抗をR_Bとする。
低圧側電路の線間電圧200 V,周波数50 Hz,対地静電容量Cは0.1 μFとして,次の問に答えよ。
ただし,
(ア) 変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5 Aとする。
(イ) 高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150 Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。
〔小問(b)〕 接地抵抗R_Bの抵抗値を10 Ωとしたときに,R_Bに常時流れる電流I_Bの値[mA]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,記載以外のインピーダンスは無視するものとする。
正解:1
接地抵抗R_Bは10 Ωと小さいので、接地された相の対地電圧はほぼ零とみなせる。残る二つの相は、接地された相との間に線間電圧200 Vがかかるので、それぞれ対地電圧200 Vになる。
この二つの相の対地静電容量を通って充電電流が流れ、それが接地線を通って戻ってくる。これがR_Bに常時流れる電流I_Bの正体である。
1相あたりの充電電流は
I=2πfCV=2π×50×0.1×10⁻⁶×200
=3.1416×10⁻⁵×200≒6.28×10⁻³ A=6.28 mA。
二つの相の電流はベクトルで、互いに60°の角をなす(共通の接地相から見た二つの線間電圧の位相差が60°になるため)。したがって合成すると
I_B=2×6.28×cos30°=2×6.28×0.866≒10.9 mA。
最も近いのは11で答(1)。
√3を使って I_B=√3×6.28≒10.9 mA と書いても同じである。
(2)の19は 3×6.28≒18.8 で、三つの相をそのまま足した場合の値である。接地された相の対地電圧はほぼ零なので、その相の静電容量には電流が流れない。流れるのは残り二つだけである。
(3)の33は二つの電流を単純に足して…ではなく別の取り違えだが、位相を考えずに 2×6.28=12.6 とするよりさらに大きい。ベクトルで合成すると2倍より小さくなる(√3倍=1.73倍)ことを押さえる。
この電流は事故時ではなく常時流れている。低圧電路が長くなるほど対地静電容量が増え、この電流も増える。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和元年度 法規 問13(b)
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