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電験3種 2022年度下期(令和4年度下期) 電力
17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2023年3月26日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2022年度下期(令和4年度下期) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2023年3月26日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和4年度下期・電力:合格基準は100点満点中60点以上(試験センターの公表値)。
出典:令和4年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について(令和5年4月18日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
水力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(3)が誤り。我が国の水力発電が発電電力量に占める比率は近年おおむね1割弱で,20 %もない。昭和30年代前半までは水力が主力(水主火従)だったという前半の記述は正しいが,比率の数値が実態と合わない。
(1) ベルヌーイの定理は,位置・圧力・速度の各エネルギーの和が一定という式で,エネルギー保存の法則そのものである。正しい。
(2) 水力発電所は起動・停止が数分で済み,設備の耐用年数が長く,水のエネルギーを電気に変える効率も8割以上と高い。正しい。
(4) 流況曲線は1年365日の流量を大きい順に並べたもので,どれだけの期間どれだけの流量が使えるかが読めるので発電計画に使う。正しい。
(5) 総落差から水路や水圧管での損失水頭を引いたものが有効落差で,これが水車に働く。正しい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
次の文章は,水車に関する記述である。
水圧管の先端がノズルになっていると,有効落差は全て(ア)エネルギーとなり,水は噴流となって噴出し,ランナのバケットにあたってランナを回転させる。このような水の力で回転する水車を(イ)水車という。
代表的なものとして(ウ)水車があり,(エ)で,流量の比較的少ない場所に用いられ,比速度は(オ)。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢は「(ア) / (イ) / (ウ) / (エ) / (オ)」の順に示す。
正解:5
ノズルから噴出させるということは,落差の持つ位置エネルギーをすべて噴流の速度,すなわち運動エネルギーに変えるということ。(ア)は運動。
その噴流をバケットに当てて,水の勢い(衝撃)だけで回すのが衝動水車である。(イ)は衝動。反動水車は羽根の前後の圧力差も使うので,水が羽根を満たしている必要がある。
衝動水車の代表がペルトン水車。(ウ)はペルトン。
ペルトン水車は高落差・小流量の地点に向く。(エ)は高落差。
比速度は「同じ形の水車を落差1 m・出力1 kWになるように縮めたときの回転速度」で,高落差の水車ほど小さくなる。ペルトン水車の比速度は12〜23 m・kW程度で,水車の中で最も小さい部類である。(オ)は小さい。
答(5)。
比速度の大小はおおよそ ペルトン<フランシス<斜流<カプラン の順で,落差の高い順と逆になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
ガスタービン発電と汽力発電を組み合わせたコンバインドサイクル発電方式を,同一出力の汽力発電方式と比較した記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
(5)が誤り。コンバインドサイクルでは蒸気タービン側の分担が小さくなるぶん,ボイラ給水ポンプや通風機といった大型の所内補機が小さくて済む。したがって所内率はむしろ小さくなる。
(1) ガスタービンの排熱で蒸気を作って二段階に使うので,同じ出力の汽力より熱効率が高い。正しい。
(2) 大きなボイラを暖める必要がないので起動・停止が速く,需給変動への追従に向く。正しい。
(3) 蒸気タービンの出力分担が小さければ復水器で捨てる熱も少なくなるので,冷却水量が少なくて済む。正しい。
(4) ガスタービンは空気を吸い込んで圧縮するので,外気温度が上がると空気密度が下がって出力が落ちる。汽力より外気温度の影響を受けやすい。正しい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
次の文章は,原子炉の型と特性に関する記述である。
軽水炉は,(ア)を原子燃料とし,冷却材と(イ)に軽水を用いた原子炉であり,我が国の商用原子力発電所に広く用いられている。この軽水炉には,蒸気を原子炉の中で直接発生する(ウ)原子炉と蒸気発生器を介して蒸気を作る(エ)原子炉とがある。
軽水炉では,何らかの原因により原子炉の核分裂反応による熱出力が増加して,炉内温度が上昇した場合でも,燃料の温度上昇にともなってウラン238による中性子の吸収が増加する(オ)により,出力が抑制される。このような働きを原子炉の固有の安全性という。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢は「(ア) / (イ) / (ウ) / (エ) / (オ)」の順に示す。
正解:1
(ア) 商用の軽水炉が使うのはウラン235を3〜5 %程度に濃縮した低濃縮ウランである。高濃縮ウランは研究炉や軍事用のもの。
(イ) 軽水は冷却材であると同時に,中性子の速度を落として核分裂を起こしやすくする減速材でもある。核分裂には速い中性子ではなく遅い(熱)中性子が要るので,「加速材」という語自体が原子炉には出てこない。
(ウ)(エ) 原子炉の中で直接蒸気を作るのが沸騰水型(BWR),一次冷却水を加圧して沸騰させず,蒸気発生器を介して二次側で蒸気を作るのが加圧水型(PWR)である。
(オ) 燃料の温度が上がるとウラン238の中性子吸収の共鳴ピークが温度で広がり,中性子をよけいに吸うようになって反応が抑えられる。これをドップラー効果という。ボイド効果は冷却材が沸騰して泡(ボイド)ができることで減速材が減り反応が抑えられる別の働きで,燃料温度の話ではない。
答(1)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
各種発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
(5)が誤り。燃料電池はタービンや発電機のような回転する部分を持たず,水素と酸素の化学反応で直接発電するので,振動や騒音は小さい。住宅に置けるのはこの静かさがあってこそである。
(1) 太陽電池が出すのは直流で,屋根の上など需要地点にそのまま置ける。日射に左右されるので出力の変動は大きい。正しい。
(2) 地熱発電は蒸気でタービンを回す。どこに使える地熱資源があるかは掘ってみないと分からず,調査に費用も年月もかかる。正しい。
(3) さとうきび由来のエタノール,家畜の糞尿から得るメタンガスは,いずれも代表的なバイオマス燃料である。正しい。
(4) プロペラ型はピッチ角(羽根の角度)で回転速度を調整でき,強風時には羽根を風と平行に向けて風を受け流し(フェザリング),ブレーキで止める。正しい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
定格値が一次電圧66 kV,二次電圧6.6 kV,容量30 MV・Aの三相変圧器がある。一次側に換算した漏れリアクタンスの値が14.5 Ωのとき,百分率リアクタンスの値[%]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
百分率リアクタンスは,定格電流を流したときのリアクタンスによる電圧降下が定格電圧の何 %になるかを表す。三相で線間電圧V[V],容量P[V・A]を使うと
%X = P X / V² × 100
と書ける(%X=√3 I X/(V/√3)×100 に I=P/(√3V) を入れると同じ式になる)。
数値を入れると
%X = 30×10⁶ × 14.5 / (66×10³)² × 100 = 4.35×10⁸/(4.356×10⁹) × 100 = 9.99 ≒ 10.0 %。答(3)。
一次側に換算した値と一次側の定格電圧・容量を組で使うことが要点。二次側の6.6 kVを混ぜて計算してはいけない(百分率で表すと一次側で計算しても二次側で計算しても同じ値になる)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の文章は,変圧器の結線方式に関する記述である。
変圧器の一次側,二次側の結線にY結線及びΔ結線を用いる方式は,結線の組合せにより四つのパターンがある。このうち,(ア)結線はひずみ波の原因となる励磁電流の第3高調波が環流し,吸収される効果が得られるが,一方で中性点の接地が必要となる場合は適さない。(イ)結線は一次側,二次側とも中性点接地が可能という特徴を有する。(ウ)結線及び(エ)結線は第3高調波の環流回路があり,一次側若しくは二次側の中性点接地が可能である。(ウ)結線は昇圧用に,(エ)結線は降圧用に用いられることが多い。
特別高圧系統では変圧器中性点を各種の方法で接地することから,(イ)結線の変圧器が用いられるが,第3高調波の環流の効果を得る狙いから(オ)結線を用いた三次巻線を採用していることが多い。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,(ア)〜(エ)の左側は一次側,右側は二次側の結線を表す。
選択肢は「(ア) / (イ) / (ウ) / (エ) / (オ)」の順に示す。
正解:2
第3高調波が環流できるのはΔ結線の閉じた回路の中だけで,中性点を出せるのはY結線だけ,という2点で整理する。
(ア) 第3高調波が環流して吸収されるが中性点が出せない=両側ともΔの Δ−Δ 結線。
(イ) 一次側・二次側とも中性点接地ができる=両側ともYの Y−Y 結線。ただしΔが無いので第3高調波の逃げ場がなく,そのままでは電圧波形がひずむ。
(ウ)(エ) 片側がΔで片側がYなら,Δ側で環流でき,Y側で中性点接地ができる。昇圧用は発電機側(低圧側)をΔにして送電側(高圧側)をYにするので Δ−Y,降圧用はその逆で Y−Δ。
(オ) Y−Y結線の弱点を補うために,第3高調波を環流させる目的でΔ結線の三次巻線を足す。これがY−Y−Δ結線である。
答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
架空送電線路の構成要素に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢は「名称 : 説明」の形で示す。
正解:2
(2)が誤り。ダンパは名前のとおり電線の振動を抑える器具で,着雪防止を目的とするものではない。トーショナルダンパは,電線の上下方向の振動を,減衰させやすいねじれ方向の振動に変えてエネルギーを吸収するものである。
着雪対策に使うのは難着雪リングやスパイラルロッドといった別の器具で,ギャロッピングによる相間の短絡を防ぐのは(4)の相間スペーサである。なお名前のよく似た「ねじれ防止ダンパ」は着雪対策の器具なので,紛らわしい。
(1) アークホーンはがいし連の上下に付けた角状の電極で,フラッシオーバのアークをがいし本体から離れた電極間で起こさせ,がいしの熱破損を防ぐ。正しい。
(3) アーマロッドはクランプ付近の電線に同じ材質の金属を巻き付け,振動による疲労断線とアークによる溶断を防ぐ。正しい。
(5) 埋設地線(カウンターポイズ)は塔脚接地抵抗を下げ,鉄塔電位の上昇による逆フラッシオーバを防ぐ。正しい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
交流三相3線式1回線の送電線路があり,受電端に遅れ力率角θ[rad]の負荷が接続されている。送電端の線間電圧をV_s[V],受電端の線間電圧をV_r[V],その間の相差角はδ[rad]である。
受電端の負荷に供給されている三相有効電力[W]を表す式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,送電端と受電端の間における電線1線当たりの誘導性リアクタンスはX[Ω]とし,線路の抵抗,静電容量は無視するものとする。
正解:1
1相分で考える。相電圧は線間電圧の1/√3 なので E_s=V_s/√3,E_r=V_r/√3。抵抗を無視したリアクタンスだけの線路では,1相の有効電力は
P₁=(E_s E_r/X) sin δ
で表される(送電端と受電端の相電圧のなす角がδ)。
三相合計はこれを3倍して
P=3×(V_s/√3)(V_r/√3)/X × sin δ=3×V_s V_r/(3X) × sin δ=(V_s V_r/X) sin δ。
答(1)。
√3 が消えるのがこの式の特徴で,線間電圧をそのまま入れて係数を付けない形になる。また電力を決めるのは相差角δであって負荷の力率角θではないので,θを含む(2)や(5)は形からして違う。δ=0のとき電力が0になる必要があるため,cos δ の(4)も除ける。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
地中送配電線の主な布設方式である直接埋設式,管路式及び暗きょ式について,各方式の特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(3)が誤り。管路式はケーブルと土壌の間に管と空気の層が入るため熱が逃げにくく,3方式の中で熱放散は最も悪い。条数が増えるとお互いの発熱で温度が上がり,送電容量の制限を受けやすくなる。
(1) 直接埋設式はケーブルを直接土中に埋めるだけなので,工事費も工事期間も最も小さい。正しい。
(2) 管路式は管の中を通すのでケーブルが外から傷つけられにくく,掘り返さずに引き入れ・引き抜きができるので増設や撤去に便利である。正しい。
(4)(5) 暗きょ式は人が入れるトンネルや洞道を作るので工事費も期間もかかるが,そのぶん保守点検がしやすく,多条数を通せる。正しい。
熱放散が最も良いのは暗きょ式(換気ができる),次いで直接埋設式(土に直接触れる)で,管路式が最も悪いという順で覚えるとよい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
次の文章は,電力の需要と供給に関する記述である。
電力の需要は1日の間で大きく変動し,一般に日中に需要が最大となる。一方で,(ア)の大量導入に伴って,日中の発電量が需要を上回る事例も報告されている。需要電力の平準化や,電力の需給バランスの確保のために,(イ)発電が用いられている。また近年では,(ウ)電池などの電力貯蔵装置の技術が向上している。
天候の急変時や発電所の故障発生時にも周波数を標準周波数へと回復させるために,(エ)が確保されている。部分負荷運転中の水力発電機や(オ)発電機などが(エ)の対象となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢は「(ア) / (イ) / (ウ) / (エ) / (オ)」の順に示す。
正解:5
(ア) 日中の発電量が需要を上回る(出力制御が必要になる)事例を起こしているのは太陽光発電の大量導入である。日中に発電が集中するという性質がそのまま理由になっている。
(イ) 余った電力で水をくみ上げ,必要なときに落として発電することで需要を平準化するのは揚水式である。流込み式は川の流量そのままに発電するので調整には使えない。
(ウ) 電力貯蔵装置は蓄電池。「燃料電池」は貯蔵装置ではなく発電装置である。
(エ) 天候の急変や発電所の故障に対し,10分程度以内に出力を上げて周波数を回復させるために確保しておく余力が運転予備力である。ミドル供給力は日中の需要増を担う電源の区分の名前で,予備力のことではない。
(オ) 運転予備力の対象になるのは,部分負荷で運転していてすぐ出力を上げられる水力発電機や火力発電機である。原子力は一定出力での運転が基本で,出力の上げ下げによる調整には使わない。
答(5)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
次の文章は,配電線路の電圧調整に関する記述である。
配電線路より電力供給している需要家への供給電圧を適正範囲に維持するため,配電用変電所では,(ア)などによって,負荷変動に応じて変電所二次側母線電圧を調整している。高圧配電線路においては,柱上変圧器の(イ)によって低圧配電線路の電圧調整を行っていることが多い。また,高圧配電線路のこう長が長い場合や分散型電源が多く接続されている場合など,電圧変動が大きく,配電用変電所の(ア)や柱上変圧器の(イ)によっても供給電圧を許容範囲に抑えることが難しい場合は,(ウ)や,開閉器付電力用コンデンサなどを高圧配電線路に施設することがある。さらに,電線の(エ)によって電圧降下を軽減する対策をとることもある。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢は「(ア) / (イ) / (ウ) / (エ)」の順に示す。
正解:3
(ア) 変電所で負荷変動に応じて二次側母線電圧を自動で変えるのは負荷時電圧調整器(LRA)や負荷時タップ切換変圧器である。計器用変成器は電圧・電流を計器用に小さくする測定用の機器で,調整はしない。
(イ) 柱上変圧器の電圧調整は,一次側の巻線に出したタップを選び直すタップ調整で行う。柱上変圧器そのものを取り替えるわけではない。
(ウ) 線路の途中に置いて電圧を段階的に持ち上げるのがステップ式自動電圧調整器(SVR)である。バランサは単相3線式の電圧不平衡を直す機器で,こう長が長いことによる電圧降下の対策ではない。
(エ) 電圧降下は電線の抵抗に比例するので,電線を太くする太線化で軽減する。細線化では抵抗が増えて逆効果になる。
答(3)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式ともいう)では,給電線である複数の特別高圧配電線路から,ネットワーク変圧器を経て,低圧配電線路に電力が供給される。低圧ネットワーク方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(3)が誤り。低圧ネットワーク方式は,複数の給電線から常時同時に供給しておく方式である。1回線が事故になっても,その回線のネットワークプロテクタが自動で切り離すだけで,残りの健全な回線から供給が続く。切替えの待ち時間も停電も生じない(無停電供給)というのが,この方式を採る最大の理由である。
(1) 二次側のネットワークプロテクタが逆電力を検出して自動遮断・自動投入を行うので,一次側の遮断器やヒューズを省ける。正しい。
(2) 低圧側を格子(ネットワーク)状につないで各需要家に供給する。正しい。
(4) 複数方向から供給されるので,1本の線に流れる電流が減り,電圧変動も電力損失も小さくなる。正しい。
(5) 変圧器も保護装置も回線数だけ必要で建設費が高いため,需要密度の高い大都市の中心部に限って使われる。正しい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
次の文章は,絶縁油の性質に関する記述である。
絶縁油は変圧器やOFケーブルなどに使用されており,一般に絶縁破壊電圧は同じ圧力の空気と比べて高く,誘電正接が(ア)絶縁油を用いることで絶縁油中の(イ)を抑えることができる。電力用機器の絶縁油として古くから(ウ)が一般的に用いられてきたが,より優れた低損失性や信頼性が求められる場合には(エ)が採用されている。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢は「(ア) / (イ) / (ウ) / (エ)」の順に示す。
正解:2
(ア)(イ) 誘電正接 tanδ は絶縁物に交流電圧をかけたときにどれだけ損失(誘電損)が生じるかを表す量で,値が小さいほど損失が小さい。誘電損はそのまま熱になるので,tanδ の小さい油を使えば絶縁油中の発熱を抑えられる。部分放電はボイド(気泡)や異物が原因で起きるもので,tanδ の大小で決まるものではない。
(ウ)(エ) 電力用機器の絶縁油として古くから使われてきたのは石油から精製した鉱油である。より低損失で信頼性の高い性能が要る場合には,アルキルベンゼンなどの合成油が使われる。植物油は環境負荷の小ささから近年使われ始めたもので,「古くから一般的」ではない。
答(2)。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
復水器での冷却に海水を使用する汽力発電所が出力600 MWで運転しており,復水器冷却水量が24 m³/s,冷却水の温度上昇が7 ℃であるとき,次の問に答えよ。
ただし,海水の比熱を4.02 kJ/(kg・K),密度を1.02×10³ kg/m³,発電機効率を98 %とする。
〔小問(a)〕 復水器で海水へ放出される熱量の値[kJ/s]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
冷却水が持ち去る熱量は「質量流量×比熱×温度上昇」で求める。
まず体積流量を質量流量に直す。24 m³/s×1.02×10³ kg/m³=24 480 kg/s。
したがって
Q=24 480×4.02×7=24 480×28.14≒6.89×10⁵ kJ/s。答(4)。
体積流量のまま比熱を掛けると 24×4.02×7=675 となり桁が合わない。密度を掛けて質量に直す手順が要る。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
復水器での冷却に海水を使用する汽力発電所が出力600 MWで運転しており,復水器冷却水量が24 m³/s,冷却水の温度上昇が7 ℃であるとき,次の問に答えよ。
ただし,海水の比熱を4.02 kJ/(kg・K),密度を1.02×10³ kg/m³,発電機効率を98 %とする。
〔小問(b)〕 タービン室効率の値[%]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,条件を示していない損失は無視できるものとする。
(小問(a)より,復水器で海水へ放出される熱量は約6.89×10⁵ kJ/sである。)
正解:3
タービン室効率は,タービンが取り出した機械出力を,タービン室に入った蒸気の熱量で割った値である。
まずタービンの出力を出す。発電機出力600 MWは発電機効率98 %を通ったあとの値なので,タービンの出力は
600×10³/0.98≒612 245 kW(=kJ/s)。
次に入った熱量を出す。示されていない損失は無視してよいので,タービン室に入った熱はタービンの出力と復水器で捨てた熱に分かれたと考える。
612 245+688 867≒1 301 112 kJ/s。
したがって
タービン室効率=612 245/1 301 112≒0.4706=47.1 %。最も近いのは47.0で答(3)。
発電機効率で割る(掛けるのではない)向きに注意する。600 MWをそのまま分子にすると 600 000/1 288 867≒46.6 %となり(2)を選んでしまう。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
電線1線の抵抗が6 Ω,誘導性リアクタンスが4 Ωである三相3線式送電線について,次の問に答えよ。
〔小問(a)〕 受電端電圧を60 kV,送電線での電圧降下率を受電端電圧基準で10 %に保つものとする。この受電端に,力率80 %(遅れ)の負荷を接続する。この場合,受電可能な三相皮相電力の値[MV・A]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
受電端電圧基準の電圧降下率10 %なので,許される電圧降下は
v=0.10×60×10³=6 000 V。
三相3線式の電圧降下の近似式は
v=√3 I(R cosθ+X sinθ)
で,力率80 %(遅れ)だから cosθ=0.8,sinθ=0.6。
6 000=√3×I×(6×0.8+4×0.6)=√3×I×7.2
I=6 000/(1.732×7.2)≒481.1 A。
三相皮相電力は
S=√3 V_r I=1.732×60×10³×481.1≒50.0×10⁶ V・A=50.0 MV・A。答(3)。
電圧降下の式に力率が入る点が要点で,cosθだけで計算して sinθ の項を落とすと 6×0.8=4.8 となり I が大きく出てしまう。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
電線1線の抵抗が6 Ω,誘導性リアクタンスが4 Ωである三相3線式送電線について,次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 受電端に接続する負荷の条件を,遅れ力率60 %,三相皮相電力65 MV・Aに変更することになった。この場合でも,受電端電圧を60 kV,送電線での電圧降下率を受電端電圧基準で10 %に保ちたい。受電端に設置された調相設備から系統に供給すべき無効電力の値[Mvar]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
電圧降下は,有効電力と無効電力を使うと
v=(P R+Q X)/V_r
と書ける(P,Qは三相分,V_rは線間電圧)。ここでQは送電線を流れる無効電力である。
許される電圧降下は(a)と同じ 6 000 V なので,送電線に流してよい無効電力Qは
6 000=(P×6+Q×4)/(60×10³)
P=65×0.6=39 MWだから
6 000×60×10³=39×10⁶×6+4Q
3.6×10⁸=2.34×10⁸+4Q → Q=3.15×10⁷=31.5 Mvar。
一方,負荷が消費する無効電力は
Q_L=65×√(1−0.6²)=65×0.8=52 Mvar。
差の 52−31.5=20.5 Mvar を受電端の調相設備(電力用コンデンサ)から出せば,送電線を流れる無効電力が31.5 Mvarに収まる。答(2)。
(4)の31.5は「送電線に流してよい無効電力」そのもので,調相設備が出す量ではない。求めるのは負荷の52 Mvarとの差である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問16(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(a)
図のように配電用変圧器二次側の単相3線式低圧配電線路に負荷A及び負荷Bが接続されている場合について,次の問に答えよ。ただし,変圧器は,励磁電流,内部電圧降下及び内部損失などを無視できる理想変圧器で,一次電圧は6 600 V,二次電圧は110/220 Vで一定であるものとする。また,低圧配電線路及び中性線の電線1線当たりの抵抗は0.06 Ω,負荷A及び負荷Bは純抵抗負荷とし,これら以外のインピーダンスは考慮しないものとする。
〔小問(a)〕 変圧器の電流を測定したところ,一次電流が5 A,二次電流I_aとI_bの比が2:3であった。二次側低圧配電線路及び中性線における損失の合計値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
まず二次側の電流を出す。理想変圧器なので一次側の電力がそのまま二次側へ渡る。
一次側の電力=6 600×5=33 000 W。
二次側は110 Vの巻線が2つで,それぞれI_a,I_bが流れるので
110(I_a+I_b)=33 000 → I_a+I_b=300 A。
I_a:I_b=2:3なので I_a=120 A,I_b=180 A。
中性線には両者の差が流れる。I_n=180−120=60 A。
損失は3本の電線それぞれの I²R の合計だから
P=0.06×(120²+180²+60²)=0.06×(14 400+32 400+3 600)=0.06×50 400=3 024 W≒3.02 kW。答(3)。
中性線の分(0.06×60²=216 W)を忘れると 2 808 W=2.81 kWとなり(2)を選んでしまう。単相3線式では負荷が不平衡なぶんが中性線に流れる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問17(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(b)
図のように配電用変圧器二次側の単相3線式低圧配電線路に負荷A及び負荷Bが接続されている場合について,次の問に答えよ。ただし,変圧器は,励磁電流,内部電圧降下及び内部損失などを無視できる理想変圧器で,一次電圧は6 600 V,二次電圧は110/220 Vで一定であるものとする。また,低圧配電線路及び中性線の電線1線当たりの抵抗は0.06 Ω,負荷A及び負荷Bは純抵抗負荷とし,これら以外のインピーダンスは考慮しないものとする。
〔小問(b)〕 低圧配電線路の中性線が点Fで断線した場合に負荷Aにかかる電圧の値[V]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,断線前の電流は I_a=120 A,I_b=180 A,中性線の電流は60 Aである。)
正解:4
断線前の状態から,まず負荷A・Bの抵抗値を出す。
中性線には,負荷B側へ余分に流れる60 Aが変圧器側から負荷側へ向かって流れているので,負荷側の中性点は変圧器の中性点より 60×0.06=3.6 V 低い。
負荷Aにかかる電圧は 110−120×0.06+3.6=110−7.2+3.6=106.4 V。よって R_A=106.4/120≒0.8867 Ω。
負荷Bにかかる電圧は 110−180×0.06−3.6=110−10.8−3.6=95.6 V。よって R_B=95.6/180≒0.5311 Ω。
中性線が断線すると,負荷Aと負荷Bは220 Vに対して直列につながる形になる。回路全体の抵抗は
0.06+0.8867+0.5311+0.06≒1.5378 Ω
流れる電流は I=220/1.5378≒143.1 A。
負荷Aにかかる電圧は
V_A=143.1×0.8867≒126.8 V。最も近いのは127で答(4)。
断線すると,抵抗の大きい側(軽い負荷側)に高い電圧がかかる。負荷Aは断線前の106 Vから127 Vへ上がっており,機器が過電圧で壊れうる。これが単相3線式で中性線の断線を特に警戒する理由である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度下期 電力 問17(b)
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