📄 本試験 過去問題
電験3種 2025年度上期(令和7年度上期) 電力
17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2025年8月31日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2025年度上期(令和7年度上期) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2025年8月31日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和7年度上期・電力:合格基準は100点満点中60点以上(筆記方式の公表値)。
出典:令和7年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和7年10月14日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
水力発電所の理論水力 P は位置エネルギーの式から P=ρgQH と表される。ここで H[m]は有効落差,Q[m³/s]は流量,g は重力加速度=9.8 m/s²,ρは水の密度=1 000 kg/m³ である。以下に理論水力 P の単位を検証することとする。なお,Pa は「パスカル」,N は「ニュートン」,W は「ワット」,J は「ジュール」である。
P=ρgQH の単位はρ,g,Q,H の単位の積であるから,kg/m³·m/s²·m³/s·m となる。これを変形すると,(ア)·m/s となるが,(ア) は力の単位 (イ) と等しい。すなわち P=ρgQH の単位は (イ)·m/s となる。ここで (イ)·m は仕事(エネルギー)の単位である (ウ) と等しいことから P=ρgQH の単位は (ウ)/s と表せ,これは仕事率(動力)の単位である (エ) と等しい。ゆえに,理論水力 P=ρgQH の単位は (エ) となるが,重力加速度 g=9.8 m/s² と水の密度ρ=1 000 kg/m³ の数値 9.8 と 1 000 を考慮すると P=9.8 QH[ (オ) ]と表せる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
単位を素直に約せば決まる。ρgQH の単位は kg/m³·m/s²·m³/s·m=kg·m²/s³ であり、これを問題文の形「(ア)·m/s」に合わせて m/s で割ると (ア)=kg·m/s² になる。(ア)を kg·m とする(1)(4)は s² が消え次元が合わない。運動方程式 F=ma より力の単位は N=kg·m/s² だから (イ)=N であり、Pa は N/m²=圧力の単位なので(3)は不可。力×距離の N·m=J が仕事、J/s=W が仕事率だから (ウ)=J、(エ)=W となり、この二つが逆の(1)(5)も消える。最後にρ=1 000、g=9.8 を代入すると P=9 800QH[W]=9.8QH[kW] で (オ)=kW。よって(2)である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問1
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問 2
汽力発電設備において,タービン出力が 175 MW,蒸気タービンの効率が 92 %で,タービン入口における蒸気のエンタルピーが 32 500 kJ/kg,復水器入口における蒸気のエンタルピーが 30 800 kJ/kg であるとき,このタービンの使用蒸気量の値[t/h]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
タービン出力は「熱落差×蒸気量×タービン効率」で決まる。蒸気量を Z[kg/s]とすると P=Z(i₁-i₂)η_T だから Z=P/{(i₁-i₂)η_T}。熱落差は i₁-i₂=32 500-30 800=1 700 kJ/kg、出力は 175 MW=175 000 kW、η_T=0.92 だから Z=175 000/(1 700×0.92)=175 000/1 564≒111.9 kg/s。問われている[t/h]へは 3 600 を掛け 1 000 で割ればよく、111.9×3.6≒403 t/h。よって(5)。(2)の112は kg/s のまま換算し忘れた値、(4)の341は効率で除さず乗じた 175 000×0.92÷1 700×3.6≒341 に一致する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問2
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問 3
汽力発電設備において,水,蒸気,燃焼ガスが,ボイラ及びタービンを構成する主要設備を通過する一般的な順序の記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
燃焼ガスは温度の高い伝熱面から順に熱を渡し、最後に空気予熱器で残る熱を燃焼用空気へ回収してから、除じん・脱硫を経て煙突へ抜ける。すなわち火炉→過熱器・再熱器→節炭器→空気予熱器→電気集じん装置→煙突が一般的な順序で、(5)は空気予熱器と電気集じん装置が入れ替わっているため誤り。予熱器を集じんより手前に置くのは、熱回収で効率を上げると同時にガス温度を集じん装置が耐えられる程度まで下げる意味がある。他は正しく、(1)給水は給水ポンプで昇圧後に節炭器で予熱してドラムへ、(2)ドラムの飽和蒸気は過熱器を経て高圧タービンへ、(3)高圧タービン排気は再熱器で再加熱して低圧タービン→復水器へ向かう。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問3
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問 4
次の文章は,原子力発電における原子燃料サイクルに関する記述である。
天然ウランには主に質量数235と238の同位体があるが,原子力発電所の燃料として有用な核分裂性物質のウラン235の割合は,全体の0.7%程度にすぎない。そこで,採鉱されたウラン鉱石は製錬,転換されたのち,遠心分離法などによって,ウラン235の濃度が軽水炉での利用に適した値になるように濃縮される。その濃度は (ア) %程度である。さらに,その後,再転換,加工され,原子力発電所の燃料となる。
原子力発電所から取り出された使用済燃料からは, (イ) によってウラン,プルトニウムが分離抽出され,これらは再び燃料として使用することができる。プルトニウムはウラン238から派生する核分裂性物質であり,ウランとプルトニウムとを混合した (ウ) を軽水炉の燃料として用いることをプルサーマルという。
また,軽水炉の転換比は0.6程度であるが,高速中性子によるウラン238のプルトニウムへの変換を利用した (エ) では,消費される核分裂性物質よりも多くの量の新たな核分裂性物質を得ることができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
空欄ごとに決め手がある。(ア)天然ウラン中のウラン235は0.7%で、軽水炉ではこれを3~5%程度まで高めて使う。10~20%は研究炉や高速炉が扱う高濃縮側で軽水炉用ではないから(4)(5)は消える。(イ)使用済燃料を溶解してウランとプルトニウムを分離抽出する工程の名称は「再処理」であり、「再加工」という工程は存在しないので(3)(5)も落ちる。(ウ)ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料がMOX燃料。イエローケーキは製錬段階で得る粗製ウラン酸化物(U₃O₈)でプルトニウムを含まず混合燃料ではないから(2)は不可。(エ)高速中性子でウラン238をプルトニウムへ変え増殖比1超を狙うのが高速増殖炉で、新型転換炉は転換比1未満。残る(1)が正解である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問4
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問 5
次の文章は,バイオマス発電に関する記述である。
バイオマス発電は,植物等の (ア) 物から得られる燃料を利用した発電と定義することができ,燃料の代表的なものには,木くずから得られる (イ) やさとうきびから得られるエタノールがある。植物から燃料を得る場合,その植物に吸収される (ウ) 量と発電時の (ウ) 発生量を同じとすることができれば,環境に負担をかけないエネルギー源となる。バイオマス発電の設備は,一般的に (エ) である。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
正解は(5)。空欄ごとに消去法が効く。(ア)バイオマスは動植物に由来する生物資源を指すので『有機』物であり、無機物とする(1)(2)はここで脱落する。(イ)木くずから得られる代表的燃料は木質ペレットやチップなどの固形化燃料である。メタンは家畜ふん尿や生ごみのメタン発酵で生じるバイオガスの主成分であって木くずの代表例ではないから、(3)(4)も誤りとなる。(ウ)植物が成長中の光合成で吸収した二酸化炭素と燃焼時に放出する二酸化炭素が同量なら大気中の量は増えない、というカーボンニュートラルの考え方を述べた箇所であり、窒素化合物では吸収と発生の対応が成り立たない。(エ)燃料の収集半径や輸送コストの制約から大規模集中化しにくく、一般に小規模分散型の設備となる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問5
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問 6
ガス絶縁開閉装置に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)。絶縁媒体がSF₆ガスである点は正しいが、封入圧力は大気圧以下ではなく、正しくは大気圧より高い0.3~0.5 MPa程度に加圧されている。SF₆の絶縁耐力は圧力にほぼ比例して高まるため、加圧して初めて小形化に必要な絶縁性能が得られるからである。他は正しい。(1)絶縁距離を大幅に詰められるので、気中絶縁の変電所に比べ体積・面積を大きく縮小でき、これがガス絶縁開閉装置採用の主目的である。(2)SF₆は温室効果が二酸化炭素の約2万3千倍と大きく、我が国では保守・廃棄時に回収・再利用する運用が定着している。(4)容器内に金属異物が入ると電界が集中して部分放電を生じ絶縁性能が低下する。(5)充電部を支持する絶縁スペーサにはエポキシ樹脂が用いられる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問6
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問 7
分散型電源の配電系統連系に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)。逆潮流時は配電線を系統側へ向かって有効電力が流れ、線路抵抗による電圧降下の向きが反転して受電点の電圧が上昇する。これを抑えるには分散型電源側で無効電力を吸収する必要があり、正しくは受電点の力率を系統側から見て遅れ力率(系統連系規程では原則85%以上)とする。進み力率にすると無効電力が系統へ流出して電圧上昇をかえって助長するので、記述は向きが逆である。他は正しい。(1)大量連系では配電用変電所の変圧器を逆向きに潮流が流れ配電線電圧が上がり得る。(2)太陽光や燃料電池はインバータ連系のため高調波電流を生じフィルタ等を要する。(4)大容量連系では専用線連系や負荷分割等の系統増強が要る。(5)電圧の逸脱にはSVR設置等で対処する。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問7
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問 8
架空送電線路の構成部品に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)。がいしが電線と支持物を絶縁するという前段は正しいが、絶縁破壊の設計思想が逆である。磁器の内部で貫通破壊を起こすとがいしは再使用できない永久故障となり停電が長引くため、正しくは内部の絶縁耐力を沿面フラッシオーバ電圧より高くしておき、異常電圧時には表面の空気中で先に閃絡が起こるよう設計する。他は正しい。(1)鋼心アルミより線は軽量なアルミを導体に使い、不足する引張強度を中心の鋼より線で補う。(3)ねん架は各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させる目的で行い、ねん架鉄塔のジャンパ線により電線の配置を入れ替える。(4)ダンパは微風振動やギャロッピングの振動エネルギーを吸収する。(5)光ファイバ複合架空地線は通信線を兼ねる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問8
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問 9
次の文章は,架空送電線路に関する記述である。
架空送電線路が通信線路に接近していると,通信線路に電圧が誘導されて設備やその取扱者に危害を及ぼす等の障害が生じるおそれがある。この障害を誘導障害といい,次の2種類がある。
① 架空送電線路の電圧により通信線路に誘導電圧を発生させる (ア) 障害。
② 架空送電線路の電流が,架空送電線路と通信線路間の (イ) を介して通信線路に誘導電圧を発生させる (ウ) 障害。
三相架空送電線路が十分にねん架されていれば,平常時は,電圧や電流によって通信線路に現れる誘導電圧は (エ) となるので0 Vとなる。三相架空送電線路に (オ) 事故が生じると,電圧や電流は不平衡になり,通信線路に誘導電圧が現れ,誘導障害が生じる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(エ)を軸に消去するのが速い。ねん架された平衡三相では各相の電圧・電流の大きさは等しいので、零になるのは位相を含めたベクトルの和である。大きさの差とする(1)、大きさの和とする(2)、ベクトルの差とする(5)はいずれも零にならないので落ち、残る(3)と(4)は(ア)で決まる。①は電圧が原因、すなわち送電線と通信線の間の静電容量を通じた分圧で誘導電圧が生じるので静電誘導であり、磁界によるとする磁気誘導は誤りで(3)が正しい。(イ)は電流が両線路間の相互インダクタンスを介して起電力を生む意味であり、自己インダクタンスでは通信線側に電圧は現れない。(ウ)はその電磁誘導、(オ)は零相分が生じて不平衡になる1線地絡で、三相短絡は平衡故障のため零相分が出ない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
地中送電線路に使用される各種電力ケーブルに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
誤りは(2)。架橋反応で直鎖のポリエチレンを立体網目状につなぐと、加熱しても軟化・流動しなくなる。つまり熱可塑性は失われて熱硬化性に変わり、その結果として常時許容温度が90℃まで高められるのであって、「熱可塑性を大幅に向上させた」は効果が逆で誤りである。他は正しい。(1)OFケーブルは油浸紙絶縁で、油通路から絶縁油を加圧してボイド(空隙)の発生を抑えるため給油設備を要する。(3)CVは給油設備が不要な反面、水分侵入による水トリーで劣化するので金属シースや遮水層を設ける。(4)CVTは単心3条をより合わせた形で心線が分離し放熱しやすく、熱抵抗が小さいので電流容量を大きくできる。(5)油圧の常時監視は漏油検知の手段である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
100/200 V 単相3線式配電方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
誤りは(3)。バランサは巻数比1:1の単巻変圧器を両電圧線間に接続し、不平衡分を上下の回路で分担させて負荷電圧の不平衡と中性線電流を抑えるものである。正しくは不平衡の生じている負荷端、すなわち電源から遠い末端に設けるほど効果が大きい。電源の近くに置いても、そこから負荷までの線路には不平衡電流が流れたままで、電圧降下の差を是正できない。他は正しい。(1)外線間に200 Vが得られる。(2)同一電力・同一損失なら単3の外線電流は単2の半分ですみ、銅量は単2の約37.5%となる。(4)上下の負荷が偏れば両電圧は不平衡になる。(5)中性線が断線すると両側の負荷が直列になり、インピーダンスの大きい側に異常な高電圧が現れる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
ある架空電線路の支持点間は200 m,たるみは3.0 m である。この架空電線路の電線と単位長さあたりの重量が同じ電線を用い,この架空電線路と同じ水平方向の引張強さで支持点間240 m を架線する。このときの電線の実長L[m]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,いずれの架空電線路においても二つの支持点の高さは同一とする。
正解:4
支持点が等高のときのたるみは D=wS²/(8T) で表され、単位長さあたりの重量 w と水平張力 T が等しい本問では、たるみ D は径間 S の2乗に比例する。よって径間240 m のたるみは D=3.0×(240/200)²=4.32 m となる。実長は L=S+8D²/(3S) で求められるので、L=240+8×4.32²/(3×240)=240+149.2992/720=240.207 m となり、最も近い240.21 が正解である。たるみを径間に比例させ D=3.0×1.2=3.6 m としてしまうと L=240+8×3.6²/720=240.144 m となって240.14 に落ちる。たるみが S ではなく S² に比例することが本問の要点である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
三相3線式配電線により遅れ力率70 %,W₁[kW]の負荷に電力を供給している。負荷が遅れ力率91 %,W₂[kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。W₂はW₁の何倍か。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,負荷の端子電圧は変わらないものとする。
正解:2
三相3線式の線路損失は P=3I²r で表される。線路抵抗 r は変わらないから、損失が変化しないということは線電流 I が変化しないということである。一方、負荷の電力は W=√3VIcosθ で表され、端子電圧 V も線電流 I も不変であるから、送れる電力は力率 cosθ にのみ比例する。よって W₂/W₁=cosθ₂/cosθ₁=0.91/0.70=1.30 となり、約1.3倍が正解である。力率の比を逆にとって 0.70/0.91=0.77 とする誤りが多いが、電流が同じであれば力率が改善したほうが大きな電力を送れるのだから、答えは必ず1より大きい側になると押さえておきたい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
六ふっ化硫黄(SF₆)ガスに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
六ふっ化硫黄は無色・無臭・無毒のガスである。(2)は比重が空気の約5倍で化学的に安定な不燃性という前半は正しいが、「特有の臭いがある」が誤りで、正しくは臭いがない。漏えいしても臭気では気付けず、空気より重いため低所やピットに滞留する点が保安上の注意点である。他の記述は正しい。(1)電子を捕獲して負イオンをつくる性質によりアークの消弧能力は空気の約100倍あり、(5)絶縁破壊電圧も同じ圧力の空気の2~3倍である。この性質から(4)ガス遮断器やガス絶縁変圧器の絶縁媒体に使われる。(3)塩素を含まないためオゾン層は破壊しないが、GWP が約23900 と大きく排出抑制の対象である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
図の流況曲線を持つ河川の全流量を使用できる調整池式水力発電所において,発電所の使用流量[m³/s]と調整池の有効貯水容量[m³]について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 1 日単位の調整運転を行う場合,上記流況曲線の渇水量8 m³/s において,1 日に6 時間の運転を可能とする最大の使用流量[m³/s]と,当該時間外に調整池に流入する貯水量[m³]の組合せとして,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ここで,当該6 時間の最大使用流量での運転以外の時間は,水車・発電機を停止して調整池に河川の全流量を貯水するものとする。
正解:5
渇水量8 m³/sは1日中流入し続けるので、1日の総流入量は8×86 400=691 200 m³になる。運転しない18時間分がそのまま池にたまり、これが問われている貯水量で、8×18×3600=8×64 800=518 400 m³である。注意すべきは運転中の6時間も8 m³/sの流入が続く点で、使える水量は518 400+8×21 600=691 200 m³、つまり1日分の全流入量に等しい。これを6時間=21 600 sで使い切るときが最大の使用流量だから、691 200÷21 600=32.0 m³/sである。貯留分だけを6時間で割ると518 400÷21 600=24.0 m³/sとなり選択肢に無い。よって組合せは(32.0, 518 400)の(5)となる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
図の流況曲線を持つ河川の全流量を使用できる調整池式水力発電所において,発電所の使用流量[m³/s]と調整池の有効貯水容量[m³]について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 上記流況曲線で200 日以上発生する流量において,小問(a)の最大使用流量で1 日8 時間の運転を可能とするための有効貯水容量[m³]として,最も小さいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
流況曲線は1年の流量を大きい順に並べた曲線で、横軸200日の位置で読む流量が、年間200日以上発生する流量である。図では200日の破線が流量14 m³/sの破線と曲線上で交わるから、対象の流量は14 m³/sとなる。(a)で求めた最大使用流量32.0 m³/sで1日8時間運転すると流入だけでは足りず、不足分を池から取り崩す。取崩し量は(32.0−14)×8×3600=18×28 800=518 400 m³。残る16時間の流入は14×16×3600=806 400 m³あり518 400 m³を上回るので、翌日までに貯め直せる。必要な有効貯水容量は518 400 m³以上で、これを満たす最小の選択肢は520 000 m³。500 000では足りず(5)が正答である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
変電所に設置された一次電圧66 kV,二次電圧22 kV,容量50 MV·A の三相変圧器に,22 kV の無負荷の線路が接続されている。その線路が,変電所から負荷側500 m の地点で三相短絡を生じた。
三相変圧器の結線は,一次側と二次側がY-Y 結線となっている。
ただし,一次側からみた変圧器の1 相当たりの抵抗は0.05 Ω,リアクタンスは7 Ω,故障が発生した線路の1 線当たりのインピーダンスは(0.20+j0.45) Ω/km とし,変圧器一次電圧側の線路インピーダンス及びその他の値は無視するものとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 短絡電流の値[kA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
変圧器のインピーダンスは一次側からみた値なので、二次側で計算するには巻数比a=66/22=3の2乗、すなわち9で割って換算する。R=0.05/9=0.00556 Ω、X=7/9=0.778 Ωとなる。この÷9を忘れると答えは合わない。線路は500 m=0.5 kmだから(0.20+j0.45)×0.5=0.10+j0.225 Ω。合計はZ=0.106+j1.003 Ωで、|Z|=√(0.106²+1.003²)≒1.008 Ω。三相短絡電流は相電圧で計算し、E=22 000/√3=12 702 Vだから、Is=12 702/1.008≒12 600 A=12.6 kAとなり(3)が正答。線間電圧のまま22 000/1.008とすると21.8 kAとなり(1)に落ちる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
変電所に設置された一次電圧66 kV,二次電圧22 kV,容量50 MV·A の三相変圧器に,22 kV の無負荷の線路が接続されている。その線路が,変電所から負荷側500 m の地点で三相短絡を生じた。
三相変圧器の結線は,一次側と二次側がY-Y 結線となっている。
ただし,一次側からみた変圧器の1 相当たりの抵抗は0.05 Ω,リアクタンスは7 Ω,故障が発生した線路の1 線当たりのインピーダンスは(0.20+j0.45) Ω/km とし,変圧器一次電圧側の線路インピーダンス及びその他の値は無視するものとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 短絡前に,22 kV に保たれていた三相変圧器の母線の線間電圧は,三相短絡故障したとき,何kV に低下するか。電圧の値[kV]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
母線は変圧器の二次側にあり、故障点はそこから500 m先である。したがって短絡中の母線電圧は、短絡電流が線路インピーダンスに生じさせる電圧降下に等しい。線路は0.5 km分で0.10+j0.225 Ω、大きさは|Z_line|=√(0.10²+0.225²)≒0.2462 Ω。(a)で求めた短絡電流12.6 kA(12 597 A)を掛けると相電圧は12 597×0.2462≒3 102 V、線間電圧はその√3倍で3 102×√3≒5 372 V=5.37 kVとなり(3)が正答。全インピーダンス|Z|≒1.008 Ωとの分圧比で22×0.2462/1.008≒5.37 kVとしても同じ値になる。500 mを1 kmと取り違えると8.70 kVとなり(1)に落ちる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問16(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(a)
定格容量750 kV·A の三相変圧器に遅れ力率0.9 の三相負荷500 kW が接続されている。
この三相変圧器に新たに遅れ力率0.8 の三相負荷200 kW を接続する場合,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 負荷を追加した後の無効電力の値[kvar]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
力率が異なる負荷は皮相電力どうしを足せないので、有効電力ごとに無効電力Q=P tanθを求めて加算する。遅れ力率0.9の500 kWでは、cosθ=0.9からsinθ=√(1−0.9²)=0.436、tanθ=0.436/0.9=0.4843となり、Q₁=500×0.4843=242 kvar。遅れ力率0.8の200 kWはtanθ=0.6/0.8=0.75でQ₂=200×0.75=150 kvar。どちらも遅れで向きが同じだから単純加算でき、Q=242+150=392 kvarで(4)が正答である。合成後の700 kWを一つの力率で扱うのは誤りで、0.9とみれば700×0.4843=339 kvarで(3)、0.8なら700×0.75=525 kvarで(2)になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問17(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(b)
定格容量750 kV·A の三相変圧器に遅れ力率0.9 の三相負荷500 kW が接続されている。
この三相変圧器に新たに遅れ力率0.8 の三相負荷200 kW を接続する場合,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(b)〕 この変圧器の過負荷運転を回避するために,変圧器の二次側に設置が必要な最小の電力用コンデンサ容量の値[kvar]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
コンデンサは無効電力だけを打ち消し有効電力は変えないので、P=700 kWのままである。皮相電力を定格750 kV·A以下に収める条件は√(700²+Q′²)≦750で、Q′≦√(750²−700²)=√72 500=269.3 kvarとなる。(a)で求めた現状の無効電力は392.2 kvarだから、必要な最小容量はQc=392.2−269.3=122.9≒123 kvarとなり(4)が正答。補償後の力率は700/750=0.933である。なお現状の皮相電力S=√(700²+392.2²)=802.4 kV·Aから定格を引き802.4−750=52.4 kvarとするのは誤りで、これは(5)の50を選ぶ形になる。無効分は有効分と直角に合成されるためである。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和7年度上期 電力 問17(b)
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