📄 本試験 過去問題
電験3種 2022年度上期(令和4年度上期) 電力
17問 ・ 目安 正答率60% ・ 2022年8月21日実施
電験三種(第三種電気主任技術者)の2022年度上期(令和4年度上期) 電力試験で実際に出題された全17問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2022年8月21日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:理論・電力・機械・法規の科目ごとに合否判定。各科目100点満点中原則60点以上で科目合格、4科目すべて合格で試験合格。
この回:令和4年度上期・電力:合格基準は100点満点中60点以上(試験センターの公表値)。
出典:令和4年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について(令和4年9月5日)。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 一般財団法人 電気技術者試験センター が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
水力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
吸出し管は,ランナを出た水の速度エネルギーを回収し,ランナから放水面までの落差も利用するための管である。使えるのは水がランナを満たして流れる反動水車,すなわちフランシス水車・プロペラ水車・カプラン水車に限られる。
ペルトン水車は,ノズルから噴射した水をバケットに当てて回す衝動水車である。ランナは空気中にあって水に浸っていないので,吸出し管を付けることができない。したがって「フランシス水車やペルトン水車などで用いられる」とする(3)が誤りで,これが答になる。
他の記述を確かめる。(1)水車は汽力のタービンより回転が遅いので,同じ周波数を出すには磁極数を増やす(N=120f/p)。(2)電圧は自動電圧調整器,周波数は回転速度なので調速機で制御する。(4)遠隔監視制御による無人化は我が国の水力発電所で一般的である。(5)カプラン水車は羽根の角度を変えられるので,流量が減っても効率が落ちにくい。
衝動水車か反動水車かで吸出し管の有無が決まる,というのがこの問題の要点である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問1
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問 2
次の文章は,火力発電所のタービン発電機に関する記述である。
火力発電所のタービン発電機は,2極の回転界磁形三相 (ア) 発電機が広く用いられている。 (イ) 強度の関係から,回転子の構造は (ウ) で直径が (エ) 。発電機の大容量化に伴い冷却方式も工夫され,大容量タービン発電機の場合には密封形 (オ) 冷却方式が使われている。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
(ア) 発電所で系統に電気を送る発電機は同期発電機である。誘導発電機は風力などで使うが,大容量の火力には用いない。
(イ)(ウ)(エ) 2極機は50 Hzで3 000 min⁻¹,60 Hzで3 600 min⁻¹という高速で回る。突極形は磁極が飛び出しているため遠心力に耐えられない。そこで機械的強度を確保するために,表面がなめらかで風損も小さい円筒形(非突極形)とし,遠心力は半径に比例するので直径を小さくして軸方向に長くする。水力の水車発電機が低速で直径の大きい突極形になるのと,ちょうど逆になる。
(オ) 大容量機の冷却には,空気より熱伝導率が高く密度が小さい(風損が小さい)水素が使われる。水素は漏れると危険なので密封形にする。
同期/機械的/円筒形/小さい/水素となり答(3)。
(イ)を熱的強度と読むと(2)を選んでしまうが,回転子の形を決めているのは高速回転による遠心力,すなわち機械的強度である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
ある汽力発電設備が,発電機出力19 MWで運転している。このとき,蒸気タービン入口における蒸気の比エンタルピーが3 550 kJ/kg,復水器入口における蒸気の比エンタルピーが2 500 kJ/kg,使用蒸気量が80 t/hであった。発電機効率が95 %であるとすると,タービン効率の値[%]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
タービン効率は「タービンが取り出した仕事」÷「蒸気がタービンに持ち込んだ熱量」である。分母と分子をそれぞれ作る。
分母。使用蒸気量は 80 t/h=80 000 kg/h=80 000/3 600≒22.22 kg/s。タービン入口と復水器入口の比エンタルピーの差は 3 550−2 500=1 050 kJ/kg だから
22.22×1 050≒23 333 kW=23.33 MW。
分子。発電機出力19 MWは発電機の効率95 %を通ったあとの値なので,タービンの出力は
19/0.95=20 MW。
よってタービン効率は
20/23.33≒0.857=86 %。答(4)。
発電機効率で割り戻すのを忘れると 19/23.33≒0.814 で(3)の81を選ぶ。19 MWは発電機の出口の値であって,タービンの出口の値ではない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
沸騰水型原子炉(BWR)に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
BWRは炉心で直接蒸気を作る。炉心の上部には気水分離器と蒸気乾燥器が置かれていて,制御棒を上から入れる場所がない。そのためBWRの制御棒は炉心の下部から上へ押し込む構造になっている。「炉心上部から」とする(4)が誤りで,これが答になる。
上から挿入するのはPWRである。PWRは炉心で沸騰させないので上部に気水分離器が要らず,制御棒を重力で落として止めることもできる。
他の記述を確かめる。(1)軽水炉なので燃料は低濃縮ウラン,冷却材と減速材はどちらも軽水。(2)BWRは沸騰させるぶん圧力が低く(約7 MPa。PWRは約15 MPa),蒸気発生器が要らない。(3)制御棒に加えて再循環流量でボイド量を変えて出力を調整できるのがBWRの特徴。(5)炉心の蒸気がそのままタービンへ行くので,タービン側にも遮へいが要る。
上から入れるか下から入れるかは,炉心の上に何があるかで決まる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
次の文章は,風力発電に関する記述である。
風力発電は,風のエネルギーによって風車で発電機を駆動し発電を行う。風車は回転軸の方向により水平軸風車と垂直軸風車に分けられ,大電力用には主に (ア) 軸風車が用いられる。
風がもつ運動エネルギーは風速の (イ) 乗に比例する。また,プロペラ型風車を用いた風力発電で取り出せる電力は,損失を無視すると風速の (ウ) 乗に比例する。風が得られれば電力を発生できるため,発電するときに二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーであり,また,出力変動の (エ) 電源とされる。
発電機には誘導発電機や同期発電機が用いられる。同期発電機を用いてロータの回転速度を可変とした場合には,発生した電力は (オ) を介して電力系統へ送電される。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
(ア) 大型の風力発電機はほとんどがプロペラ型で,回転軸が地面と平行な水平軸風車である。垂直軸風車は風向きを選ばない利点があるが,大電力用には普及していない。
(イ) 運動エネルギーは ½mv² なので風速の2乗に比例する。
(ウ) 電力は単位時間当たりのエネルギーで,1秒間に風車を通り抜ける空気の質量そのものが風速に比例する。したがって 2乗×1乗 で風速の3乗に比例する。(イ)と(ウ)が違う数字になるのがこの問題の要点である。
(エ) 風は人が制御できないので出力の変動は大きい。
(オ) 可変速運転では発電される電力の周波数が系統と合わない。いったん直流に変換してから系統の周波数の交流に戻す電力変換装置(コンバータとインバータ)を介して連系する。
水平/2/3/大きい/電力変換装置となり答(2)。
増速機は風車の遅い回転を発電機の回転に上げる機械部品で,電力を系統へ送る装置ではない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
電力系統の電圧調整に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
送電線路の損失は 3I²R で,線電流は I=P/(√3V cosθ) だから電圧に反比例する。これを2乗した形で損失に効くので,損失は電圧の2乗に反比例する。「電圧に反比例する」とする(3)が誤りで,これが答になる。
電圧を高めに運用すると損失が減る,という結論そのものは正しい。誤っているのは効き方の書き方で,電圧を2倍にすれば損失は1/2ではなく1/4になる。
他の記述を確かめる。(1)進相コンデンサを入れると進み電流が流れ,リアクタンスによる電圧降下を打ち消す向きに働くので受電端電圧が上がる。(2)電圧降下は有効分だけでなく無効分にもよるので,力率を調整すれば受電端電圧を保てる。(4)コンデンサは入切なので段階的,静止型無効電力補償装置(SVC)は連続的に調整できる。(5)発電機の励磁を強めれば無効電力を出し,弱めれば吸収するので電圧調整に使える。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
図に示す過電流継電器の各種限時特性(ア)〜(エ)に対する名称の組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:1
まず4つの名称の意味を押さえる。定限時特性は電流の大きさによらず動作時間が一定,反限時特性は電流が大きいほど動作時間が短くなる,反限時定限時特性はその両方で,小さい電流では反限時,大きい電流では一定値に落ち着く。瞬時特性は動作時間がほぼ零である。
図の水平な2本のうち,上の約2 sの線が(ウ),0付近の線が(エ)である。動作時間が一定なので(ウ)が定限時特性,値がほぼ零の(エ)が瞬時特性。ここまでは(1)と(2)で同じで,分かれ目は曲線2本の対応である。
ここで注意が要る。2本の曲線は動作電流倍数が4に近いところで交差している。左端だけを見て対応づけると取り違えるので,矢印が指した曲線を右端まで目でたどること。(ア)が指しているのは左端で高いほうの曲線で,これは交差したあと下側へ抜けて右端で約0.8 sまで下がり続ける。電流が大きいほど動作時間が短くなる一方なので反限時特性である。(イ)が指しているのは左端で低いほうの曲線で,交差したあと上側になり,右端では約2.6 sで平らになる。大電流側で一定値になるので反限時定限時特性である。
反限時特性/反限時定限時特性/定限時特性/瞬時特性となり答(1)。
反限時定限時特性は,事故電流が非常に大きくても遮断器の動作時間より短くならないよう下限を設けたもので,実際の系統でよく使われる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
受電端電圧が20 kVの三相3線式の送電線路において,受電端での電力が2 000 kW,力率が0.9(遅れ)である場合,この送電線路での抵抗による全電力損失の値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,送電線1線当たりの抵抗値は9 Ωとし,線路のインダクタンスは無視するものとする。
正解:5
まず線電流を出す。三相の電力は P=√3VI cosθ なので
I=P/(√3V cosθ)=2 000×10³/(√3×20×10³×0.9)≒64.2 A。
損失は3線ぶんなので
3I²R=3×64.2²×9≒111×10³ W=111 kW。答(5)。
(3)の64.2は線電流の値[A]であって損失ではない。ここで止めると単位が違うまま答えてしまう。(2)の37.0は1線当たりの損失 I²R≒37 kW で,3を掛け忘れた値である。
なお三相の損失は 3I²R で,1線分を3倍する。√3 を掛けるのは電力の式であって損失の式ではない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
送電線路のフェランチ効果に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
フェランチ効果は,送電線路の対地静電容量に流れる進み電流が線路のリアクタンスに作用して,受電端の電圧を押し上げる現象である。この進み電流を打ち消すのが負荷の遅れ電流なので,負荷が軽いほど進み電流が目立ち,フェランチ効果が起きやすい。「負荷が重い場合に発生しやすい」とする(3)が誤りで,これが答になる。
実際に起きるのは,深夜など需要が少ない時間帯や,長距離のケーブル系統を無負荷で充電したときである。
他の記述を確かめる。(1)受電端が送電端より高くなる,というのが現象の定義そのもの。(2)線路が長いほど対地静電容量が大きく,進み電流も大きくなるので起きやすい。(4)静電容量に流れる電流なので位相は電圧より進む。(5)分路リアクトル(遅れ無効電力を吸わせる)を入れて進み電流を打ち消すのが対策である。
進相コンデンサは逆に進み電流を増やすので,フェランチ効果の対策にはならない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
次の文章は,架空送電線の振動に関する記述である。
架空送電線が電線と直角方向に毎秒数メートル程度の風を受けると,電線の後方に渦を生じて電線が上下に振動することがある。これを微風振動といい, (ア) 電線で,径間が (イ) ほど,また,張力が (ウ) ほど発生しやすい。
多導体の架空送電線において,風速が数〜20 m/sで発生し,10 m/sを超えると激しくなる振動を (エ) 振動という。
また,その他の架空送電線の振動には,送電線に氷雪が付着した状態で強い風を受けたときに発生する (オ) や,送電線に付着した氷雪が落下したときにその反動で電線が跳ね上がる現象などがある。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:2
(ア)(イ)(ウ) 微風振動は,電線の後方にできるカルマン渦が電線を上下に揺らす現象である。揺れやすいのは,軽くて動きやすい電線,径間が長くて支点が遠い場合,張力が大きくて張り詰めている場合である。ギターの弦を思い浮かべると,細くて長くて強く張った弦ほど振動しやすいのと同じ関係になる。
(エ) 多導体では,風上側の素導体の後方にできた渦が風下側の素導体を揺らす。スペーサとスペーサの間(サブスパン)を単位として起きるのでサブスパン振動という。コロナは振動ではなく放電現象なので当てはまらない。
(オ) 氷雪が付いて断面が翼のような形になった電線が強風を受け,揚力で大きく上下に踊る現象がギャロッピングである。設問の最後にある「付着した氷雪が落下したときに跳ね上がる現象」はスリートジャンプで,これは(オ)とは別の現象として並べて書かれている。
軽い/長い/大きい/サブスパン/ギャロッピングとなり答(2)。
(オ)にスリートジャンプを入れてしまうと,そのすぐ後ろの説明と同じ内容が二度出てくることになる。文のつながりからも消せる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
地中送電線路の故障点位置標定に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
マーレーループ法はホイートストンブリッジの応用で,故障相と健全相を先端で短絡してループを作り,導体の抵抗が長さに比例することを使って故障点までの距離を出す。したがって導体がつながっていることが前提になり,導体が切れている断線事故には使えない。「断線事故には静電容量測定法とマーレーループ法が適用できる」とする(5)が誤りで,これが答になる。断線事故に使えるのは静電容量測定法とパルスレーダ法である。
他の記述を確かめる。(1)地中線は目で見て故障点を探せないので,位置標定が復旧時間を左右する。(2)パルスレーダ法は反射までの往復時間と伝搬速度から距離を出す。(3)静電容量はケーブルの長さに比例するので,健全相と比べれば断線点までの長さが分かる。(4)ブリッジの平衡条件とこう長から故障点までの距離を求める,というのがマーレーループ法の説明そのものである。
どの方法が使えるかは,測るのに何がつながっている必要があるかで決まる。抵抗を測る方法は導体が切れていたら使えない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
次の文章は,配電線路に用いられる柱上変圧器に関する記述である。
柱上に設置される変圧器としては,容量 (ア) のものが多く使用されている。
鉄心には,けい素鋼板が多く使用されているが, (イ) のために鉄心にアモルファス金属材料を用いた変圧器も使用されている。
また,変圧器保護のために, (ウ) を柱上変圧器に内蔵したものも使用されている。
三相3線式200 Vに供給するときの結線には,Δ結線とV結線がある。V結線は単相変圧器2台によって構成できるため,Δ結線よりも変圧器の電柱への設置が簡素化できるが,同一容量の単相変圧器2台を使用して三相平衡負荷に供給している場合,同一容量の単相変圧器3台を使用したΔ結線と比較して,出力は (エ) 倍となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
(ア) 柱上変圧器は数軒から数十軒に供給するもので,容量は10〜100 kV·A程度である。MV·A級は変電所に置く変圧器の大きさで,電柱には載らない。
(イ) アモルファス金属は無方向性で磁区の動きが良く,けい素鋼板より鉄損(とくに無負荷損)が大幅に小さい。柱上変圧器は負荷が軽い時間帯も含めて年中通電しているので,無負荷損の削減が効く。目的は低損失化である。
(ウ) 柱上変圧器を雷サージから守るため,避雷器を内蔵したものが使われる。漏電遮断器は低圧の需要家側で人身と漏電を守る器具で,柱上変圧器に内蔵するものではない。
(エ) V結線は単相変圧器2台で √3×(1台の容量)の三相出力が得られる。Δ結線は3台で 3×(1台の容量)。同じ容量の変圧器で比べると
√3/3=1/√3≒0.577倍。
10〜100 kV·A/低損失化/避雷器/1/√3 となり答(4)。
選択肢の√3/2≒0.866は,V結線の「利用率」=出力÷変圧器2台ぶんの容量の値である。ここで問われているのは台数の違う2つの結線の出力の比なので,利用率とは別の数字になる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
高圧架空配電線路又は高圧地中配電線路を構成する機材として,使用されることのないものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
DV線は「引込用ビニル絶縁電線」(Drop wire, Vinyl)の略で,電柱から家屋へ引き込む低圧の架空引込線に使う電線である。高圧の配電線路には使わない。答(4)。
他の4つを確かめる。(1)柱上開閉器は高圧配電線を区分・開閉するために電柱に取り付ける。(2)CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)は高圧地中配電線路の主力である。(3)中実がいしは中身の詰まった磁器のがいしで,高圧架空配電線の支持に使われる。(5)避雷器は雷サージから機器を守るため高圧配電線路に設置する。
名前に付いた記号で用途が分かる電線がある。DVは引込用(低圧),OWは屋外用(低圧),OCは屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(高圧)である。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
我が国の電力用設備に使用されるSF₆ガスに関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
電流を流している電極を引き離せば,どんな媒体の中でも必ずアーク放電が生じる。SF₆ガスの長所はアークを起こさないことではなく,電子を捕まえる性質(電子付着性)が強くアークを速やかに消せることである。「アーク放電を発生させないため」とする(4)が誤りで,これが答になる。
他の記述を確かめる。(1)SF₆は塩素を含まないのでオゾン層は壊さないが,地球温暖化係数が二酸化炭素の約2万倍と大きく,京都議定書の対象ガスである。(2)気体の絶縁耐力は圧力とともに高くなり,SF₆は同じ圧力の空気の2〜3倍の絶縁破壊強度がある。(3)気体なので誘電率も誘電正接も小さく,誘電損は無視できる。(5)絶縁距離を短くできるのでガス絶縁開閉装置(GIS)にでき,変電所を大幅に小型化できる。
「〜しないため優れている」という書き方が出てきたら,本当に起きないのか,それとも起きたあとの処理が上手いのかを分けて考えるとよい。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(a)
揚水発電所について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,水の密度を1 000 kg/m³,重力加速度を9.8 m/s²とする。
〔小問(a)〕 揚程450 m,ポンプ効率90 %,電動機効率98 %の揚水発電所がある。揚水により揚程及び効率は変わらないものとして,下池から1 800 000 m³の水を揚水するのに電動機が要する電力量の値[MW·h]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
まず水を持ち上げるのに必要な仕事を出す。水の質量は
1 800 000 m³×1 000 kg/m³=1.8×10⁹ kg。
位置エネルギーの増加は
mgH=1.8×10⁹×9.8×450=7.938×10¹² J。
これはポンプと電動機を通ったあとに水が得たエネルギーなので,電動機が受け取る電力量は両方の効率で割り戻す。
7.938×10¹²/(0.90×0.98)=7.938×10¹²/0.882=9.0×10¹² J。
1 MW·h=3.6×10⁹ J だから
9.0×10¹²/(3.6×10⁹)=2 500 MW·h。答(5)。
揚水では効率で「割る」。発電では効率を「掛ける」。向きを取り違えると 7.938×10¹²×0.882 となって約1 945 MW·hになり,(3)や(4)の付近に落ちてしまう。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問15(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15(b)
揚水発電所について,次の問に答えよ。
ただし,水の密度を1 000 kg/m³,重力加速度を9.8 m/s²とする。揚程は450 m,ポンプ効率は90 %,電動機効率は98 %である。
〔小問(b)〕 この揚水発電所において,発電電動機が電動機入力300 MWで揚水運転しているときの流量の値[m³/s]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:3
電動機が受け取った300 MWのうち,実際に水を持ち上げるのに使われるのは両方の効率を掛けたぶんである。
300×0.98×0.90=264.6 MW。
流量Q[m³/s]の水を揚程H[m]だけ持ち上げるのに要る動力は ρgQH なので
264.6×10⁶=1 000×9.8×Q×450=4.41×10⁶×Q
Q=264.6×10⁶/(4.41×10⁶)=60.0 m³/s。答(3)。
小問(a)では効率で割り,ここでは効率を掛ける。どちらも「電動機の入力側」と「水が得るエネルギー」のどちらが分かっているかで向きが決まる。ここは入力300 MWが分かっているので掛ける側になる。
効率を掛け忘れて 300×10⁶/4.41×10⁶≒68.0 とすると(5)の70.0に近づく。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問15(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(a)
定格容量80 MV·A,一次側定格電圧33 kV,二次側定格電圧11 kV,百分率インピーダンス18.3 %(定格容量ベース)の三相変圧器T_Aがある。三相変圧器T_Aの一次側は33 kVの電源に接続され,二次側は負荷のみが接続されている。電源の百分率内部インピーダンスは,1.5 %(系統基準容量ベース)とする。ただし,系統基準容量は80 MV·Aである。なお,抵抗分及びその他の定数は無視する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
〔小問(a)〕 将来の負荷変動等は考えないものとすると,変圧器T_Aの二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として,最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:5
二次側から見た電源までの百分率インピーダンスは,どちらも80 MV·A基準なのでそのまま足せる。
%Z=1.5+18.3=19.8 %。
三相短絡容量は
P_s=80/0.198≒404 MV·A。
二次側は11 kVなので,三相短絡電流は
I_s=404×10⁶/(√3×11×10³)≒21.2 kA。
遮断器はこの短絡電流を切れなければならないので,定格遮断電流は21.2 kA以上の標準値を選ぶ。選択肢のうち21.2 kAを上回る最小の値は25 kAである。答(5)。
(4)の20 kAは21.2 kAを下回るので,短絡したときに遮断できない。「最も適切なもの」とあっても,計算値に最も近い値ではなく,計算値以上でいちばん小さい標準値を選ぶ。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問16(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16(b)
定格容量80 MV·A,一次側定格電圧33 kV,二次側定格電圧11 kV,百分率インピーダンス18.3 %(定格容量ベース)の三相変圧器T_Aがある。三相変圧器T_Aの一次側は33 kVの電源に接続され,二次側は負荷のみが接続されている。電源の百分率内部インピーダンスは,1.5 %(系統基準容量ベース)とする。ただし,系統基準容量は80 MV·Aである。なお,抵抗分及びその他の定数は無視する。次の問に答えよ。
〔小問(b)〕 定格容量50 MV·A,百分率インピーダンスが12.0 %(定格容量ベース)の三相変圧器T_Bを三相変圧器T_Aと並列に接続した。40 MWの負荷をかけて運転した場合,三相変圧器T_Aの負荷分担の値[MW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,三相変圧器群T_AとT_Bにはこの負荷のみが接続されているものとし,抵抗分及びその他の定数は無視する。
正解:3
並列に接続した変圧器の負荷分担は,百分率インピーダンスの逆比になる。ただし比べる前に基準容量をそろえなければならない。
T_Bの12.0 %は自分の定格容量50 MV·A基準の値なので,80 MV·A基準に直すと
12.0×80/50=19.2 %。
T_Aは18.3 %のままでよい。したがって
P_A=40×(1/18.3)/{(1/18.3)+(1/19.2)}=40×19.2/(18.3+19.2)=40×19.2/37.5≒20.5 MW。答(3)。
電源の内部インピーダンス1.5 %は2台に分かれる前の共通部分なので,分担の比には効かない。
基準容量をそろえずに 40×12/(18.3+12)≒15.8 とすると(1)を選ぶ。百分率インピーダンスは「自分の定格容量に対する値」なので,容量の違う機器どうしをそのまま比べてはいけない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問16(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(a)
三相3線式1回線の専用配電線がある。変電所の送り出し電圧が6 600 V,末端にある負荷の端子電圧が6 450 V,力率が遅れの70 %であるとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,電線1線当たりの抵抗は0.45 Ω/km,リアクタンスは0.35 Ω/km,線路のこう長は5 kmとする。
〔小問(a)〕 この負荷に供給される電力P₁の値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
正解:4
線路定数はこう長5 kmを掛けて R=0.45×5=2.25 Ω,X=0.35×5=1.75 Ω(1線当たり)。
三相3線式の電圧降下の近似式は
V_s−V_r=√3 I(R cosθ+X sinθ)。
cosθ=0.7 なので sinθ=√(1−0.7²)≒0.714。電圧降下は 6 600−6 450=150 V だから
150=√3×I×(2.25×0.7+1.75×0.714)=√3×I×2.825
I=150/(1.732×2.825)≒30.7 A。
負荷に供給される電力は,負荷の端子電圧で計算する。
P₁=√3×6 450×30.7×0.7≒240×10³ W=240 kW。答(4)。
電圧降下の式に使うRとXは「1線当たりの値」で,√3を掛けるのは三相のためである。ここに3を掛けたり,送り出し電圧6 600 Vで電力を計算したりすると値がずれる。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問17(a)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17(b)
三相3線式1回線の専用配電線がある。変電所の送り出し電圧が6 600 V,末端にある負荷の端子電圧が6 450 V,力率が遅れの70 %であるとき,次の問に答えよ。
ただし,電線1線当たりの抵抗は0.45 Ω/km,リアクタンスは0.35 Ω/km,線路のこう長は5 kmとする。
〔小問(b)〕 負荷が遅れ力率80 %,P₂[kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。P₂の値[kW]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(小問(a)より,変化前の線電流は約30.7 A,供給電力P₁は240 kWである。)
正解:2
線路損失は 3I²R で,Rは変わらない。損失が変わらないということは,線電流の大きさも変わらないということである。したがって I₂=I₁≒30.7 A。
つぎに新しい端子電圧を出す。cosθ=0.8 なら sinθ=0.6 なので,電圧降下は
√3×30.7×(2.25×0.8+1.75×0.6)=√3×30.7×2.85≒151 V。
V_r2=6 600−151≒6 449 V。変化前の6 450 Vとほとんど変わらない。
よって
P₂=√3×6 449×30.7×0.8≒274×10³ W=274 kW。答(2)。
端子電圧がほぼ同じで電流も同じなら,電力の比は力率の比そのままになる。240×(0.8/0.7)≒274 kW と暗算しても同じ値になる。
「線路損失が変わらない」を「電力が変わらない」と読み違えないこと。損失を決めているのは電流であって,電力ではない。
出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験 令和4年度上期 電力 問17(b)
報告ありがとうございました。内容を確認します。
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