消防設備士甲種5類「消防関係法令」出題ポイント解説
消防設備士甲種5類の「消防関係法令」分野の頻出論点を整理します。甲種5類が扱うのは避難器具(金属製避難はしご・救助袋・緩降機・すべり台・避難橋など)。まず押さえるべきは、避難器具が消防用設備等のうち「避難設備」に区分されること、そして設置基準の中心が消防法施行令第25条にあることです。消防設備士制度・届出・点検報告・検定と併せて、条番号とともに確認していきます。
※受験料・試験日程・合格基準・法令の数値は改定される場合があります。最新情報は必ず一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトでご確認ください。
消防法令の3階層と避難器具の位置づけ
消防関係法令は消防法(法律)→消防法施行令(政令)→消防法施行規則(省令)の3階層で構成されます。試験で問われる設置基準や具体的な数値の多くは、施行令・施行規則に置かれています。
消防用設備等は大きく消火設備・警報設備・避難設備などに分かれます。甲種5類が扱う避難器具は、このうち「避難設備」に区分される点が最重要です(施行令第7条)。誘導灯・誘導標識も同じ避難設備です。避難器具を消火設備や警報設備と誤認させる選択肢が定番なので、区分を正確に押さえます。
| 区分 | 主な設備 |
|---|---|
| 消火設備 | 消火器・屋内消火栓・スプリンクラー・不活性ガス消火設備など |
| 警報設備 | 自動火災報知設備(4類)・ガス漏れ火災警報設備など |
| 避難設備 | 避難器具(甲5の対象)・誘導灯・誘導標識 |
消防設備士制度(甲種は工事もできる)
甲種5類の受験者がまず整理すべきは、免状で何ができるかです。
- 甲種5類:避難器具の工事+整備+点検が可能。試験に製図(実技)が含まれます。
- 乙種5類:避難器具の整備+点検のみで、工事はできません。
- 業務独占:政令で定める避難器具の工事・整備は、5類の免状を持つ消防設備士でなければ行えません。
「甲種=工事もできる/乙種=整備・点検のみ」という対比は最頻出です。乙種で工事ができると誤認させる選択肢に注意します。免状は都道府県知事が交付し全国で有効で、記載事項の変更時は書換えを申請します。消防設備士には、免状交付後の一定期間ごとに知事等が行う法定講習の受講義務があります。
施行令第25条:避難器具の設置基準
甲種5類固有の中心条文が消防法施行令第25条です。避難器具は、防火対象物の階のうち避難階および11階以上の階を除く階に、収容人員等に応じて設置します。避難階(通常は地上に直接避難できる階)と11階以上には設置を要しないという枠組みをまず押さえます。
設置を要する階と収容人員の閾値
どの階にいくつ設置するかは、防火対象物の用途(別表第一の項)と収容人員で決まります。頻出の閾値は次のとおりです。
| 用途(別表第一) | 設置を要する主な条件 |
|---|---|
| (六)項(病院・診療所・福祉施設等) | 2階以上の階または地階で収容人員20人以上(下階に特定用途がある場合は10人以上) |
| (五)項(旅館・共同住宅等) | 2階以上の階または地階で収容人員30人以上 |
(六)項の20人、(五)項の30人、そして(六)項で下階に(一)〜(四)項・(九)項等の特定用途がある場合の10人は、数値そのものを問う出題があるため正確に覚えます。
設置個数と器具の適応
- 設置個数の加算:階の収容人員に応じ、一定人数(100人・200人・300人など)ごとに避難器具を1個加えた個数以上を設置します。人が多い階ほど必要な個数が増えるという考え方です。
- 器具の限定(適応表):使用できる避難器具の種類は、階や防火対象物の号別に適応表で限定されます。地階・2階・3階以上などで使える器具が異なり、緩降機が使える階・救助袋が使える階といった対応が問われます。
設置の減免(施行規則第26条・第27条)
施行令第25条は、防火対象物の位置・構造・設備の状況により避難上支障がない場合、施行規則で定めるところにより設置個数を減少し、または避難器具を設置しないことができると定めています。具体的な減免要件は施行規則第26条・第27条に置かれ、耐火構造・避難階段や特別避難階段の設置・一定のバルコニー等、避難上安全な構造がある場合に個数減少や免除が認められます。「なぜ免除できるのか(別の安全な避難経路があるから)」という趣旨と結びつけて押さえると、条文の当てはめ問題に対応できます。
着工届・設置届・検査
届出義務者が誰かを取り違えさせる問題が定番です。
- 着工届:甲種消防設備士は、工事に着手しようとする日の10日前までに、消防長または消防署長へ着工届を提出します。届出義務者は工事を行う甲種消防設備士本人です。
- 設置届:防火対象物の関係者は、避難器具等を設置したとき、遅滞なく消防長または消防署長へ届け出て検査を受けます。届出義務者が「設備士」ではなく「関係者」である点が着工届との対比で問われます。
点検・報告(消防法第17条の3の3)
設置後の維持管理として、消防用設備等は定期に点検し、その結果を報告します(消防法第17条の3の3)。
- 点検には機器点検(外観・機能を確認、原則おおむね6ヶ月ごと)と総合点検(実際に作動させて確認、原則おおむね1年ごと)があります。
- 報告期間:特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回、消防長または消防署長へ報告します。特定=不特定多数が出入りする用途(劇場・百貨店・飲食店・ホテル等)と結びつけて覚えます。
型式承認と型式適合検定
避難器具のうち検定対象となるものは、次の2段階を経て流通します。名称と実施機関の取り違えが定番の罠です。
- 型式承認:型式が技術上の規格に適合していることを認める行政行為で、総務大臣が行います。
- 型式適合検定:個々の製品が承認を受けた型式に適合するかを確認する検定で、日本消防検定協会(または登録検定機関)が行います。
関連情報
各器具の構造は避難はしご・すべり台・避難橋と救助袋・緩降機・規格で、機械の基礎計算は基礎的知識(機械)で確認できます。
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他章の重要論点も併せて押さえると、関連分野の理解が深まり合格率が向上します。各章の頻出パターンを順に確認していきましょう。
- 基礎的知識(機械) - 同資格の頻出論点を整理した出題ポイント解説
- 避難はしご・すべり台・避難橋 - 同資格の頻出論点を整理した出題ポイント解説
- 救助袋・緩降機・規格 - 同資格の頻出論点を整理した出題ポイント解説
- 鑑別・製図(実技) - 同資格の頻出論点を整理した出題ポイント解説