泡消火薬剤3種と混合方式4種の徹底解説【甲種2類の頻出テーマ】
消防設備士甲種2類(泡消火設備)の核心は、泡消火薬剤3種と混合方式(プロポーショナー)4種の理解です。筆記でも実技(鑑別・製図)でも、この2つの取り違えが最も狙われます。本記事では、薬剤3種の特徴、混合方式4種の仕組み、消火原理、膨脹比・混合率・25%還元時間・放射量といった数値まで、施行規則18条・施行令15条の根拠とともに徹底解説します。
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泡消火設備とは(対象と適用場所)
泡消火設備は、泡消火薬剤と水を混合した泡水溶液から泡を発生させ、可燃物の表面を泡で覆って消火する設備です。水そのものでは消火が難しい油火災(第4類危険物)や、水損を嫌う場所に適します。主な適用場所は、道路・自動車の修理/整備場・駐車場・危険物施設・飛行機格納庫・指定可燃物取扱所などです。設置維持の技術基準は施行令15条に定められ、固定式の泡放出口は防護対象物の形状等に応じ標準放射量で有効に消火できるよう必要個数を適当な位置に設けること、移動式のホース接続口は各部分から到達できるように設けることが求められます。
なお、混同しやすい点として水噴霧消火設備は第1類、泡消火設備は第2類です。区分の取り違えは定番の引っかけなので、最初に押さえておきましょう。
消火原理=窒息作用+冷却作用
泡消火設備の消火原理は窒息作用と冷却作用の2つです。
- 窒息作用:泡が可燃物の表面を覆い、空気(酸素)を遮断して燃焼を止める。これが主作用です。
- 冷却作用:泡に含まれる水分が可燃物や周囲の温度を下げる。
可燃物の表面に安定した泡の層をつくり、酸素の供給を断ちながら冷やす——この2つが同時に働くため、油面に広がって燃える第4類危険物の火災に有効です。「主作用は窒息、あわせて冷却」という対応で覚えます。
泡消火薬剤3種(最重要・特徴を正確に)
泡消火薬剤は主に次の3種です。それぞれの原料と特徴をセットで押さえます。
| 薬剤 | 原料・系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| たん白泡消火薬剤 | 動物性たん白の加水分解物 | 安定した泡を形成する。泡が長持ちしやすい。 |
| 合成界面活性剤泡消火薬剤 | 合成界面活性剤 | 低発泡から高発泡まで幅広く使用できる。 |
| 水成膜泡消火薬剤(AFFF) | フッ素系界面活性剤 | 油面に水成膜を形成し、消火速度が速い。 |
それぞれの覚えどころ
- たん白泡:「動物性たん白=安定した泡」。泡の安定性・保水性に優れます。
- 合成界面活性剤泡:「高発泡にも使える」のがキーワード。膨脹比の大きい高発泡設備でよく用いられます。
- 水成膜泡(AFFF):「フッ素系=油面に水成膜=消火が速い」。英語の Aqueous Film Forming Foam(水成膜を形成する泡)の頭文字で、その名のとおり油面に薄い水の膜を張って火面を封じます。
水溶性液体には耐アルコール型
アルコールなどの水溶性液体の火災には、通常の泡薬剤では泡が溶けて消えてしまうため消火できません。この場合は耐アルコール型(水溶性液体用)泡消火薬剤を使用します。「水溶性液体(アルコール等)=耐アルコール型」の対応は頻出なので、通常の3種とあわせて必ず押さえておきましょう。
混合方式(プロポーショナー)4種
泡消火薬剤と水を規定の割合で混ぜて泡水溶液をつくる仕組みが混合方式(プロポーショナー)です。次の4方式を、仕組みと適する規模で区別します。
| 方式 | 仕組み | 規模の目安 |
|---|---|---|
| ①ポンプ・プロポーショナー方式 | ポンプ吐出側の水の一部を吸込側に戻す途中で薬剤を混合する。 | 中規模 |
| ②プレッシャー・プロポーショナー方式 | 圧力タンクとベンチュリ管を利用して混合する。 | 中規模 |
| ③ライン・プロポーショナー方式 | 管路のベンチュリ管で薬剤を吸引して混合する。 | 小規模向け |
| ④プレッシャーサイド・プロポーショナー方式 | 薬剤専用ポンプで薬剤を圧入して混合する。 | 大規模向け |
4方式の見分け方
- ①ポンプ・プロポーショナー:ポンプの吐出側と吸込側を使い、その循環経路の途中で薬剤を混ぜます。「ポンプの周りで戻して混ぜる」イメージです。
- ②プレッシャー・プロポーショナー:圧力タンク+ベンチュリ管が特徴。水の圧力で薬剤タンクを押し、ベンチュリ管の差圧で薬剤を取り込みます。
- ③ライン・プロポーショナー:管路(ライン)に設けたベンチュリ管で薬剤を吸引します。構成がシンプルで小規模向け。
- ④プレッシャーサイド・プロポーショナー:薬剤専用ポンプで薬剤を加圧して圧入します。安定して大量に混合でき大規模向け。
試験で最も狙われるのが③ラインと④プレッシャーサイドの取り違えです。「管路のベンチュリで吸引=ライン=小規模」「専用ポンプで圧入=プレッシャーサイド=大規模」という対応を軸に整理すれば混同しにくくなります。②プレッシャーは「圧力タンク+ベンチュリ」という構成語で見分けます。
混合率(3%型・6%型)
泡水溶液における原液(薬剤)の希釈濃度を混合率といい、3%型・6%型があります。3%型は原液3に対し水97、6%型は原液6に対し水94の割合で混合します。プロポーショナーは、この規定の混合率を維持できるように設計されます。「3%型/6%型」という2つの濃度区分と、その意味(原液の割合)を押さえておきましょう。
膨脹比と発泡区分(施行規則18条)
泡の「ふくらみ具合」を表す指標が膨脹比(発泡倍率)で、施行規則18条に定義があります。
膨脹比 = 発生した泡の体積 ÷ 泡水溶液(泡消火薬剤と水との混合液)の体積
分母が「水」ではなく泡水溶液(=薬剤と水を混ぜた液)である点が重要です。膨脹比の大小で、次のように発泡区分と放出口が分かれます。
| 区分 | 膨脹比 | 泡放出口 |
|---|---|---|
| 低発泡 | 20以下 | フォームヘッド |
| 高発泡 | 80以上1000未満 | 高発泡用泡放出口(全域放出方式/局所放出方式) |
低発泡=20以下、高発泡=80以上1000未満という境界値はそのまま数値問題になります。低発泡は泡が薄く広がるためフォームヘッドで放射し、高発泡は膨大な量の泡で区画全体を満たす(全域放出方式)用途に使われます。高発泡用泡放出口の放出量は、防護区画の冠泡体積(床面から防護対象物の最高位より上方の一定高さまでの体積)に、膨脹比種別に応じた毎分1立方メートル当たりの泡水溶液放出量を乗じて算定します。
25%還元時間(泡の安定性の指標)
25%還元時間とは、泡に含まれる泡水溶液の25%が泡から還元(水として排出)するまでの時間です。時間が長いほど泡が崩れにくく、保水性・安定性が高いことを意味します。泡の性能を評価する指標として、膨脹比とセットで理解しておきましょう。膨脹比が「泡の量(ふくらみ)」を、25%還元時間が「泡の質(持ちの良さ)」を表すと整理すると覚えやすくなります。
泡放出口の種類とフォームヘッドの放射量
泡を放出する器具(泡放出口)には次の種類があります。
- フォームヘッド:低発泡用。スプリンクラーヘッドに類似し、駐車場や指定可燃物取扱所などの天井に設置。
- フォームウォーター・スプリンクラーヘッド:水と泡の両方を放射できるヘッド。
- フォームチャンバー:屋外貯蔵タンクの側板に設置する固定泡放出口。
- 高発泡用泡放出口:高発泡用(アスピレーター型・送風機型)。全域放出方式・局所放出方式で用いる。
フォームヘッドの放射量(施行規則18条)
フォームヘッドの1平方メートル当たり毎分の放射量は、用途と薬剤の組み合わせで規定されます。
| 対象 | 薬剤 | 放射量(L/min・㎡) |
|---|---|---|
| 道路・自動車の修理/整備・駐車の用に供する部分 | 水成膜泡消火薬剤 | 3.7 |
| 指定可燃物を貯蔵・取り扱う防火対象物 | たん白泡消火薬剤 | 6.5 |
| 指定可燃物を貯蔵・取り扱う防火対象物 | 水成膜泡消火薬剤 | 6.5 |
駐車場の水成膜泡=3.7、指定可燃物=6.5という対応で覚えます。用途(駐車場か指定可燃物か)と数値をセットにし、取り違えないようにしましょう。
設備方式(全域・局所・移動式)
- 全域放出方式:主に高発泡で、区画全体を泡で満たして消火する。冠泡体積で放出量を算定。
- 局所放出方式:防護対象物に直接泡を放射する。
- 移動式:人がホースを操作して泡を放射する。ホース接続口は各部分から到達できるよう設ける(施行令15条)。
まとめ(甲種2類の核心チェックリスト)
- 泡消火薬剤3種=たん白泡(安定)/合成界面活性剤泡(高発泡にも)/水成膜泡AFFF(油面に水成膜・速い)。水溶性液体は耐アルコール型
- 混合方式4種=ポンプ/プレッシャー(圧力タンク+ベンチュリ)/ライン(ベンチュリ吸引・小規模)/プレッシャーサイド(専用ポンプ圧入・大規模)
- 消火原理=窒息+冷却。混合率3%/6%。25%還元時間=泡の安定性
- 膨脹比=発生泡÷泡水溶液。低発泡20以下/高発泡80以上1000未満(施行規則18条)
- 放射量=駐車場の水成膜泡3.7/指定可燃物6.5(施行規則18条)。水噴霧は1類・泡は2類
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