データのまとめ方と基本統計量【QC検定3級の手法】
QC検定3級の手法分野では、データの種類の区別と基本統計量(平均・ばらつき)の計算が必ず問われます。ここでは同じ小さな数値例を最後まで使い回し、定義と計算を一本の流れで理解できるように解説します。電卓で追いながら読むと定着が早まります。
※本記事は学習用の解説です。試験範囲・基準は改定される場合があります。最新は日本規格協会(JSA) QC検定公式サイトでご確認ください。
データの種類:計量値と計数値
データは大きく2種類に分かれます。
- 計量値:長さ・重さ・時間・温度など、連続的に測れる(小数がありうる)量。例:12.3mm、48.7kg。
- 計数値:不良品の個数・キズの数など、1個2個と数える(とびとびの)量。例:不良品3個、欠点5か所。
「測る=計量値、数える=計数値」と覚えます。計量値は正規分布、計数値は二項分布・ポアソン分布と結び付きます。
母集団とサンプル
知りたい対象全体を母集団、そこから取り出して実際に調べる一部をサンプル(試料・標本)といいます。全部を調べる(全数検査)のが難しいとき、サンプルを調べて母集団の性質を推測します。サンプルを取り出す操作がサンプリングで、かたよりを避けるため無作為(ランダム)に選ぶのが基本です。
基本統計量 ― 中心を表す値
以下ではデータ 2, 4, 6, 8, 10(5個)を例に計算します。
- 平均(算術平均):全部を足して個数で割る。(2+4+6+8+10)÷5 = 30÷5 = 6。
- 中央値(メジアン):小さい順に並べた真ん中の値。5個なので3番目の 6。データが偶数個なら中央2つの平均。
- 最頻値(モード):最も多く現れる値。この例は全て1回ずつで最頻値なし。外れ値の影響を受けにくいのが特徴。
基本統計量 ― ばらつきを表す値
品質管理では中心だけでなく「どれだけ散らばっているか」が重要です。同じ例で順に求めます。
- 範囲 R:最大値−最小値 = 10−2 = 8。計算が簡単で管理図にも使う。
- 偏差平方和 S:各データと平均の差(偏差)を2乗して合計。
偏差は −4, −2, 0, 2, 4。2乗すると 16, 4, 0, 4, 16。合計 S = 16+4+0+4+16 = 40。 - 分散 V(不偏分散):S を (データ数−1) で割る。V = 40÷(5−1) = 40÷4 = 10。
- 標準偏差 s:分散の平方根。s = √10 ≒ 3.16。単位が元のデータと同じになるので実務で使いやすい。
補足:QC検定では、偏差平方和 S を自由度 n−1 で割った不偏分散を用いるのが基本です(分母を n とする定義と混同しないよう注意)。
変動係数(CV)
ばらつきの大きさを平均に対する割合で表す指標です。
変動係数 = 標準偏差 ÷ 平均(×100で%表示)。
上の例では 3.16÷6 ≒ 0.527 = 約52.7%。単位が異なるデータや、平均が大きく違うデータどうしのばらつきを公平に比べたいときに使います(無次元=単位なし)。
相関係数
2種類の量の直線的な関係の強さを表す数値で、記号は r。−1から+1の範囲をとります。
| r の値 | 関係の意味 |
|---|---|
| r = +1 に近い | 強い正の相関(一方が増えると他方も増える) |
| r = 0 付近 | 直線的な相関はほとんどない |
| r = −1 に近い | 強い負の相関(一方が増えると他方は減る) |
散布図の点が直線に近いほど |r| は1に近づきます。相関があっても因果関係があるとは限らない点は繰り返し問われます。
正規分布の要点
計量値の多くは、平均を中心に左右対称の釣鐘型に分布します。これが正規分布で、平均(中心)と標準偏差 σ(広がり)で形が決まります。平均を μ とすると、次の割合はそのまま暗記します。
| 範囲 | 含まれるデータの割合 |
|---|---|
| μ ± 1σ | 約 68.3% |
| μ ± 2σ | 約 95.4% |
| μ ± 3σ | 約 99.7% |
「±3σにほぼ全部(99.7%)が入る」という感覚は、次の管理図(±3σを管理限界にする)や工程能力指数の理解に直結します。
二項分布の要点
「合格/不合格」「良品/不良品」のように2通りの結果があり、不良率 p が一定の試行を n 回くり返すとき、不良品の個数が従うのが二項分布です。計数値(数える量)を扱う代表的な分布で、平均は n×p、期待される不良個数の目安になります。n が大きく p が小さい場合はポアソン分布で近似できる、という関係も押さえておきましょう。
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