消防設備士甲種1類「スプリンクラー設備」出題ポイント解説
消防設備士甲種1類の中核となるスプリンクラー設備について、ヘッドの種別・感熱機構・放水性能・水源水量の計算・付属弁類まで、試験で問われやすい論点を施行規則の条番号とともに整理します。数値の取り違えを狙う出題が多い分野なので、根拠条文とセットで覚えましょう。
※受験料・試験日程・合格基準・法令の数値は改定される場合があります。最新情報は必ず一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトでご確認ください。
スプリンクラーヘッドの種別
スプリンクラー設備は施行令第12条・施行規則第13条の6および第14条に基準が定められています。まずヘッドの分類を整理します。感熱部の有無による大分類が「閉鎖型」と「開放型」です。
閉鎖型ヘッド(湿式・乾式・予作動式)
- 湿式:配管内が常時充水されており、火災でヘッドが開放すると即座に放水する最も一般的な方式。
- 乾式:二次側配管を圧縮空気で満たしておき、ヘッド開放で空気が抜けてから放水する方式。凍結のおそれがある寒冷地の駐車場等に用いる。
- 予作動式:感知器の作動と流水検知装置の両方が動作して初めて放水する方式。水損を嫌う電算室等で採用。
乾式・予作動式は放水開始まで時間がかかるため、規則14条1項8号の2でヘッド開放後1分以内に放水することが求められます。
形状による分類(標準型・小区画型・側壁型)と開放型
- 標準型ヘッド:天井面に下向き(又は上向き)に取り付ける基本形。
- 小区画型ヘッド:ホテル・病院の小部屋など区画された居室に適し、壁面への散水も考慮した配水パターンをもつ。
- 側壁型ヘッド:天井配管が困難な廊下等で壁面から水平方向に放水する。
- 開放型ヘッド:感熱部を持たず、一斉開放弁の作動で放水区域全体に一斉放水する。舞台部など延焼が速い場所に用いる。
感熱機構(ヒュージブルリンク型・グラスバルブ型)
閉鎖型ヘッドが火災の熱で開放する仕組みには2種類あります。
- ヒュージブルリンク型:易融性金属(可溶合金)を用い、標示温度に達すると金属が溶けてリンクが外れ、弁が開く方式。
- グラスバルブ型:ガラス球の中に封入した液体が熱膨張し、規定温度で球が破裂して弁が開く方式。液の色で標示温度を判別できる。
放水性能と水源水量(施行規則第13条の6)
放水圧力・放水量はヘッドの種別ごとに規則13条の6第2項で定められています。
| ヘッド種別 | 放水圧力 | 放水量 | 水源係数 |
|---|---|---|---|
| 閉鎖型 標準型 | 0.1MPa以上 | 80L/min以上 | 1.6㎥ |
| 小区画型 | 0.1MPa以上 | 50L/min以上 | 1㎥ |
| 側壁型 | 0.1MPa以上 | 80L/min以上 | 1.6㎥ |
| 開放型 | 0.1MPa以上 | 80L/min以上 | 1.6㎥ |
水源水量=規定ヘッド数 × 水源係数(13条の6第1項)で求めます。標準型・側壁型・開放型は係数1.6㎥、小区画型のみ1㎥である点が頻出の引っかけです。
規定ヘッド数と乾式・予作動式の割増
- 標準型の規定ヘッド数:10(10階以下)/15(11階以上・百貨店等)。
- 乾式・予作動式はヘッド数を1.5倍して計算する。
- ポンプ吐出量=ヘッド数 × 90L/min(小区画型は60L/min)。放水圧力の上限は1MPa(規則14条1項11号)。
例えば10階以下で標準型・湿式なら水源水量=10×1.6=16㎥。これが乾式なら10×1.5=15本相当として15×1.6=24㎥となります。計算問題は鑑別・製図でも頻出です。
標示温度(施行規則第14条1項7号)
閉鎖型ヘッドは、取付場所の最高周囲温度に応じて適切な標示温度のものを選定します。周囲温度が高いのに低温作動のヘッドを付けると誤放水するためです。
| 取付場所の最高周囲温度 | ヘッドの標示温度 |
|---|---|
| 39度未満 | 79度未満 |
| 39度以上64度未満 | 79度以上121度未満 |
| 64度以上106度未満 | 121度以上162度未満 |
| 106度以上 | 162度以上 |
ヘッドの水平距離(施行令第12条2項2号イ)
- 耐火建築物:2.3m以下
- 非耐火:2.1m以下
- 舞台部・指定可燃物を扱う部分:1.7m以下
耐火のほうが数値が大きい(=ヘッド間隔を広くとれる)点に注意しましょう。
付属弁類・末端試験弁・送水口(施行規則第14条)
流水検知装置
配管内の流水を検知して警報を発する装置で、一次側に圧力計を設けます(14条1項4号の2〜4)。小区画型は湿式に限定される点が要注意です。
末端試験弁
閉鎖型では配管系統ごとに1個、放水圧力が最も低くなる部分に設けます(14条1項5号の2)。一次側に圧力計、二次側にヘッドと同等のオリフィス(試験用放水口)を備え、末端でも所定圧力が確保されているか点検できるようにします。
一斉開放弁・制御弁・操作力
- 一斉開放弁・手動式開放弁・制御弁は床面から0.8m以上1.5m以下に設ける(14条1項1号・3号)。
- 手動開放弁の操作力は150N以下(14条1項1号)。
- 放水区域は1舞台部又は居室につき4以下(14条1項2号)。
送水口・補助散水栓
- 送水口:専用の双口形、結合金具は呼称65、地盤面から0.5m以上1m以下(施行令12条2項7号・規則14条1項6号)。非常電源を附置。
- 補助散水栓:水平距離15m以下、放水圧力0.25MPa以上・放水量60L/min以上(13条の6第4項)。
関連情報
設置義務や法令の基礎は水噴霧消火設備・規格と併せて確認しましょう。体系的な学習計画は勉強法ガイドを、用語の意味は用語集を、過去問対策は過去問の傾向と対策をご覧ください。
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