潜水士「高気圧障害」の出題ポイント解説
潜水士試験の高気圧障害は、減圧症・窒素酔い・酸素中毒・スクイーズなど、高圧環境下の特有疾患を扱う医学分野です。全40問中10問が出題され、発症機序・症状・予防法を体系的に理解することが合格のカギ。本記事で頻出疾患を整理します。
この章の重要度
高気圧障害は医学知識中心で文系受験者も取り組みやすい分野。しかし疾患名・発症水深・分圧などの数字と症状の組合せ暗記が多く、整理しないと混乱しがち。10問中4問の足切りクリアに加え、ここで6〜8問稼げると合格が安定します。
頻出トピック一覧
1. 減圧症(ベンズ・チョークス)
浮上時の減圧不足で体内溶解窒素が気泡化し組織・血管を障害。Ⅰ型(軽症):関節痛(ベンズ)・皮膚斑・かゆみ。Ⅱ型(重症):呼吸困難(チョークス)・脊髄型麻痺・めまい・ショック。早期の再圧治療が必須です。
2. 空気塞栓症(肺破裂)
浮上中の呼吸停止で肺胞破裂→動脈内空気侵入→脳塞栓。浮上直後から数分以内に意識喪失・痙攣・麻痺を呈し、極めて緊急度が高い。浮上時は必ず呼吸を続けることが絶対原則。
3. 窒素酔い(窒素麻酔)
高圧下の窒素が麻酔作用を示す。水深30m以深で症状発現、50m以深で顕著。アルコール酩酊様の多幸感・思考低下・判断力喪失。浅い深度へ戻ると速やかに回復し後遺症なし。
4. 酸素中毒(肺・中枢神経)
肺酸素中毒:低分圧長時間暴露で肺炎様症状。中枢神経酸素中毒(パウル効果):高分圧(1.6気圧以上)短時間暴露で痙攣発作。酸素分圧管理が治療・作業時の重要論点です。
5. 炭酸ガス(CO₂)中毒
閉鎖式潜水や換気不足で発生。頭痛・呼吸困難・意識障害。送気中のCO₂濃度基準1000ppm(0.1%)以下、呼吸回路の換気量確保が予防策です。
6. 一酸化炭素(CO)中毒
コンプレッサー排気汚染で送気にCO混入。ヘモグロビンとの結合力がO₂の200〜250倍で酸素運搬阻害。頭痛・吐き気・意識喪失。送気中CO濃度10ppm以下が法定基準。
7. スクイーズ(圧外傷)
潜降時の加圧で含気腔(耳・副鼻腔・マスク内・歯)と外圧の圧力差が生じ、組織が圧潰・出血。耳管通気不良による中耳スクイーズが代表。耳抜き(バルサルバ法)ができなければ潜降中止。
8. 低体温症・溺水
冷水中での長時間作業で体温低下→震え→意識障害→心停止。ドライスーツ・水温管理で予防。溺水時の救命処置(胸骨圧迫・人工呼吸・AED)、現場からの安全引上げ手順が頻出。
覚え方のコツ
高気圧障害攻略は「疾患名×原因×発症水深×症状×対処」の5列表を自作するのが鉄板。例:「減圧症×窒素気泡化×浮上中×関節痛・麻痺×再圧治療」「空気塞栓症×肺破裂×浮上直後×意識喪失×再圧治療」「窒素酔い×窒素麻酔作用×30m以深×思考力低下×浅所復帰」「酸素中毒×O₂分圧1.6気圧×痙攣×酸素停止」という形で一覧化。分圧・深度の数字(30m窒素酔い、50m顕著、1.6気圧酸素中毒、CO10ppm、CO₂1000ppm)はキー数値として何度も反復。気体法則では「潜降時=スクイーズ(含気腔縮小)」「浮上時=塞栓・減圧症(気体膨張・気泡化)」という対応でまとめると、どの方向で何が起きるか即答できます。
よくあるひっかけ
高気圧障害で頻出のひっかけ。①減圧症と空気塞栓症の原因混同:減圧症は窒素気泡化、塞栓症は肺破裂による空気侵入で別物。②窒素酔いの後遺症:浅所復帰で速やかに回復し後遺症なしが正しく、「脳に後遺症が残る」は誤り。③酸素中毒:純酸素潜水でのみ起きると誤解されがちだが、通常空気でも深深度で酸素分圧上昇により発症する可能性。④CO₂中毒とCO中毒の混同:原因(換気不足vs排気汚染)と基準濃度(1000ppm vs 10ppm)を取り違え。⑤スクイーズ発生方向:潜降時に起こる(加圧で含気腔縮小)、浮上時ではない。⑥耳抜き:できない時は中止、無理に続けると鼓膜破裂リスク。⑦減圧症のⅠ型Ⅱ型:Ⅰ型は関節・皮膚、Ⅱ型は中枢神経・循環器で重症度が異なる。⑧再圧治療の適用:減圧症にも空気塞栓症にも両方有効、発症後早期ほど効果大。
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