消防設備士甲種3類の用語集|ガス系消火設備の頻出用語を読み方付きで解説
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消防設備士甲種3類(不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備)の学習でつまずきやすい専門用語を、読み方付きでまとめた用語集です。放出方式や各種の弁、消火剤の性質、安全装置など、筆記・実技の両方で問われる基本語を押さえておくと、テキストの読み込みや製図の理解が一気にスムーズになります。
※受験料・試験日程・合格基準・法令の数値は改定される場合があります。最新情報は必ず一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトでご確認ください。
放出方式に関する用語
- 全域放出方式(ぜんいきほうしゅつほうしき)
- 防護区画の全体にガスを放出し、区画内の酸素濃度を下げるなどして消火する方式です。噴射ヘッドを不燃材料で造った壁・柱・床・天井で区画し、開口部に自動閉鎖装置を設けることが施行令16条で求められます。サーバ室や電気室など、区画された空間全体を守る用途に向きます。
- 局所放出方式(きょくしょほうしゅつほうしき)
- 防護対象物(守りたい機器や設備そのもの)に対して、消火剤を直接放射する方式です。区画全体を満たすのではなく対象物をピンポイントで狙うため、空間全体を密閉しにくい場所などで採用されます。
- 移動式(いどうしき)
- ホースを人が手に持って操作し、火元に消火剤を放射する方式です。煙が著しく充満するおそれのある場所以外に設置され、操作者が自ら退避しながら使うことが前提になります。
- 噴射ヘッド(ふんしゃへっど)
- 配管の末端に設けられ、送られてきた消火剤を防護区画内または防護対象物へ放出する機器です。ハロゲン化物・粉末消火設備の全域・局所放出方式の噴射ヘッドの技術基準は、いずれも不活性ガス消火設備(施行令16条)の例によることとされています。
- 防護区画(ぼうごくかく)
- 消火剤を放出して守る対象となる区画です。全域放出方式では放出したガスの濃度を保つため、不燃材料で造った壁・柱・床・天井で区画し、開口部に自動閉鎖装置を設けることが求められます。
- 防護対象物(ぼうごたいしょうぶつ)
- 火災から守りたい機器や設備そのものを指す用語です。局所放出方式では、区画全体ではなく防護対象物へ直接消火剤を放射します。防護区画(区画全体)との対比で押さえておきましょう。
弁・容器に関する用語
- 選択弁(せんたくべん)
- 1つの貯蔵容器群で複数の防護区画をまかなう場合に、どの区画へ消火剤を送るかを選ぶための弁です。火災が発生した区画の選択弁だけを開き、消火剤を必要な場所へ導きます。
- 起動用ガス容器(きどうようがすようき)
- 容器弁や選択弁を開放するための起動用ガスを蓄えた容器です。放出指令を受けると起動用ガスの圧力で各弁を開き、貯蔵容器から消火剤を放出させる引き金の役割を担います。
- 閉止弁(へいしべん)
- 令和4年の二酸化炭素消火設備の改正で設置が義務化された弁で、配管のうち貯蔵容器と選択弁の間、または操作管(起動用ガス容器と貯蔵容器の間)に設けます。工事・整備時の誤放出を防ぎ、作業者の安全を確保するための重要な安全装置です。
- 定圧作動装置(ていあつさどうそうち)
- 貯蔵容器内の圧力が一定値に達したときに作動し、容器弁や放出弁を開放して消火剤を確実に送り出すための装置です。所定の圧力になってから放出することで、安定した放射を実現します。
- 貯蔵容器(ちょぞうようき)
- 平常時に消火剤を貯蔵しておく容器です。高温になると内圧が上昇して危険なため、温度上昇を避けた場所に設けます。噴射ヘッド(放出する機器)と役割を取り違えさせる出題があります。
- 容器弁(ようきべん)
- 貯蔵容器の口に設けられた弁で、起動時に起動用ガスの圧力などによって開放され、消火剤の放出が始まります。起動用ガス容器・選択弁とともに、起動操作を実際の放出につなぐ流れで理解します。
- 操作管(そうさかん)
- 起動用ガス容器と貯蔵容器の間をつなぎ、起動用ガスを送るための管です。二酸化炭素消火設備では、貯蔵容器と選択弁の間の配管またはこの操作管に、基準に適合する閉止弁を設けることとされています。
- 放出弁(ほうしゅつべん)
- 消火剤を配管へ送り出すために開放する弁です。粉末消火設備では、貯蔵容器内が放出に適した所定の圧力に達したことを定圧作動装置が検知して放出弁を開放し、適正な圧力で粉末を放出させます。
- 安全弁(あんぜんべん)
- 温度上昇などで容器や配管の内圧が異常に高まった際に、圧力を逃がして破損・破裂を防ぐ安全装置です。高圧のガスを扱うガス系消火設備では、貯蔵容器や配管に安全装置を設けることが保安上の基本要件です。
消火剤・その性質に関する用語
- 充てん比(じゅうてんひ)
- 容器の内容積と、そこに詰める消火剤の重量との比を表す値です。二酸化炭素の高圧式では1.5以上1.9以下と規則で定められており、充てん比が適正でないと安全に貯蔵・放出できません。
- 不活性ガス(ふかっせいガス)
- 燃焼を助けない性質のガスの総称で、二酸化炭素(CO2)・窒素(IG-100)・IG-55・IG-541などがあります。主に酸素濃度を下げる窒息作用で消火し、水を使わないため電気設備や精密機器のある空間に適します。
- IG-541(アイジー ゴーヨンイチ)
- 窒素・アルゴン・二酸化炭素を混合した不活性ガス消火剤の一種です。人体や機器への影響、環境負荷を抑えつつ窒息作用で消火できるため、二酸化炭素の代替として採用される場面があります。
- IG-100(アイジー イチマルマル)
- 窒素を主成分とする不活性ガス消火剤です。窒素とアルゴンの混合であるIG-55、窒素・アルゴン・二酸化炭素の三成分混合であるIG-541と、成分の組合せを取り違えさせる出題が定番です。
- IG-55(アイジー ゴーゴー)
- 窒素とアルゴンを混合した不活性ガス消火剤です。「窒素と二酸化炭素の混合」とする誤りの記述に注意が必要で、二酸化炭素を含む三成分の混合はIG-541です。
- ハロン(Halon)
- ハロン1301(ブロモトリフルオロメタン)に代表されるハロゲン化物消火剤です。燃焼の連鎖反応を止める抑制作用(負触媒)で高い消火性能を持ちますが、オゾン層破壊のためモントリオール議定書により生産が全廃され、既設分は回収・適正管理(ハロンバンク)されています。
- 負触媒(ふしょくばい)/抑制作用(よくせいさよう)
- 燃焼の連鎖反応そのものを止めることで火を消す作用を指します。ハロゲン化物消火剤や粉末消火剤の主要な消火原理で、酸素を遮る窒息作用とは異なるメカニズムです。
- 窒息作用(ちっそくさよう)
- 放出したガスなどで酸素濃度を希釈・低下させて火を消す作用です。不活性ガス消火設備の主たる消火原理で、燃焼の連鎖反応を止める抑制作用(ハロゲン化物の主作用)との対比が試験の典型論点です。
- 粉末消火剤 第3種(ふんまつしょうかざい だいさんしゅ)
- 主成分がリン酸アンモニウム(NH4H2PO4)で、色は淡紅色(ピンク)です。A・B・C火災すべてに有効な汎用性の高い消火剤で、抑制作用に窒息作用を加えて消火します。
- 粉末消火剤 第1種(ふんまつしょうかざい だいいっしゅ)
- 主成分が炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)で、色は白色です。B・C火災に適応し、A火災(普通火災)には適応しません。貯蔵容器等の充てん比は0.85以上1.45以下と定められています。
- 粉末消火剤 第2種(ふんまつしょうかざい だいにしゅ)
- 主成分が炭酸水素カリウム(KHCO3)で、色は紫色(淡紫)です。B・C火災に適応します。「白色」「灰色」など他種の色と入れ替えるひっかけが多く、種別・主成分・色の対応表で覚えるのが定石です。
- 粉末消火剤 第4種(ふんまつしょうかざい だいよんしゅ)
- 炭酸水素カリウムと尿素(の反応物)を主成分とし、色は灰色です。B・C火災に適応します。貯蔵容器等の充てん比は1.50以上2.50以下と、4種の中で最も大きい範囲が定められています。
粉末消火設備に関する用語
- 加圧式(かあつしき)
- 粉末消火設備の方式の一つで、起動時に別に設けた加圧用ガス容器のガスを粉末貯蔵容器へ送り込み、その圧力で粉末を放出します。あらかじめ容器内を加圧しておく蓄圧式との違いが頻出です。
- 蓄圧式(ちくあつしき)
- あらかじめ粉末貯蔵容器内を加圧用ガスで加圧しておく方式です。放出時に初めてガスを送り込む加圧式と対になる区分で、両者の説明を入れ替えるひっかけに注意が必要です。
- 加圧用ガス(かあつようがす)
- 粉末を配管内に圧送するために用いるガスで、窒素または二酸化炭素が用いられます。酸素は燃焼を助けるため用いられません。この圧力で粉末を配管・噴射ヘッドへ送り出します。
- 圧力調整器(あつりょくちょうせいき)
- 加圧用ガス容器から供給される高圧のガスを、放出に適した圧力まで下げる(減圧する)機器です。放出弁を開放する定圧作動装置や、残粉を除去するクリーニング装置と役割を対比して覚えます。
- クリーニング装置(くりーにんぐそうち)
- 放出後に配管内へ残留した粉末を、加圧ガス等で掃除して除去する装置です。残った粉末が固着すると次回の放出に支障が出るために設けられます。起動用ガスの役割と取り違えさせる出題があります。
安全装置・その他の用語
- 自動閉鎖装置(じどうへいさそうち)
- 全域放出方式で、消火剤の放出時に防護区画の開口部(ダンパーや扉など)を自動で閉じる装置です。ガスが区画外へ漏れて濃度が下がるのを防ぎ、確実な消火を助けます。
- 遅延装置(ちえんそうち)
- 起動信号を受けてから実際に消火剤が放出されるまでの間に、一定の時間差(遅延時間)を設ける装置です。区画内にいる人が退避する時間を確保する目的で、音響警報装置とともに機能します。
- 音響警報装置(おんきょうけいほうそうち)
- 消火剤の放出に先立って警報音を鳴らし、区画内の人へ退避を促す装置です。遅延装置と組み合わせて、放出前に人が安全な場所へ移動できるようにします。
- 高圧式・低圧式(こうあつしき・ていあつしき)
- 二酸化炭素の貯蔵方式の区分です。高圧式は常温で貯蔵し、低圧式は零下18度以下の温度に冷却して貯蔵します。貯蔵温度と圧力が異なるため、設備の構成や維持管理の方法も変わります。
- 手動起動方式(しゅどうきどうほうしき)
- 人が押しボタン等を操作して消火設備を起動させる方式です。常時人がいる場所では、退避前に消火剤が放出される危険を避けるため、原則として手動起動とすることとされています。
- 自動起動方式(じどうきどうほうしき)
- 自動火災報知設備の感知器の作動などと連動して、自動的に消火設備を起動させる方式です。手動起動方式と切り替えられる構成が一般的で、人の在室状況に応じて運用します。
- 表示灯(ひょうじとう)
- 消火剤が放出された旨を防護区画の出入口等の見やすい箇所で表示する灯火です。放射された区画へ人が進入して被災することを防ぐためのもので、令和4年改正で二酸化炭素消火設備の保安措置として位置づけられています。
- 標識(ひょうしき)
- 二酸化炭素の貯蔵容器を設ける場所や防護区画の出入口等の見やすい箇所に設け、人体への危害のおそれや放射時の立入禁止を表示するものです。大きさは一辺0.3m以上とされています(施行規則19条)。
- 冷凍機(れいとうき)
- 二酸化炭素消火設備の低圧式で、貯蔵温度を零下18度以下に維持するために備える機器です。常温付近で貯蔵する高圧式には不要で、「選択弁が温度を維持する」といった役割の入れ替えがひっかけの定番です。
法令・基礎知識に関する用語
- 着工届(ちゃっこうとどけ)
- 甲種消防設備士が工事に着手しようとする日の10日前までに、消防長又は消防署長へ届け出る手続です(消防法17条の14)。届出義務者は工事を行う甲種消防設備士本人で、防火対象物の所有者ではありません。
- 設置届(せっちとどけ)
- 政令で定める防火対象物で消防用設備等を設置したとき、関係者が消防長又は消防署長に届け出て検査を受ける手続です(消防法17条の3の2)。義務者が甲種消防設備士である着工届との対比が頻出です。
- 点検結果報告(てんけんけっかほうこく)
- 消防用設備等の定期点検の結果を、防火対象物の関係者が消防長又は消防署長に報告する制度です(消防法17条の3の3)。延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物などでは、点検自体を消防設備士又は消防設備点検資格者に行わせます。
- 型式承認(かたしきしょうにん)
- 消防用機械器具等の型式が基準に適合する旨を承認する、検定制度の第1段階です。承認を行うのは総務大臣で(消防法21条の4)、日本消防検定協会が行うとする記述は誤りとして出題されます。
- 型式適合検定(かたしきてきごうけんてい)
- 個々の製品が承認を受けた型式に適合するかを確認する、検定制度の第2段階です。合格の表示がないものは、販売・販売目的の陳列・設置工事での使用が禁止されます(消防法21条の2)。
- 消防設備士免状(しょうぼうせつびしめんじょう)
- 試験に合格した者に都道府県知事が交付し、全国で有効です。記載事項に変更が生じたときは書換えを申請します。甲種第3類の免状では、不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の各消火設備の工事・整備・点検を行うことができます。
- 防火管理者(ぼうかかんりしゃ)
- 一定の防火対象物の管理権原者が定め、消防計画の作成、消火・通報・避難訓練の実施、消防用設備等の点検整備の監督などを行う者です(消防法8条)。選任するのは管理権原者であり、消防機関ではありません。
- ボイルの法則(ぼいるのほうそく)
- 温度が一定のとき、一定量の気体の体積は圧力に反比例するという法則です(PV=一定)。圧力を上げると体積は小さくなり、「比例する」と入れ替える記述がひっかけとして出題されます。
- シャルルの法則(しゃるるのほうそく)
- 圧力が一定のとき、気体の体積は絶対温度に比例するという法則です。計算問題では摂氏ではなく絶対温度(ケルビン)に直してから比を取るのが要点で、27℃=300Kのような換算を伴います。
- オームの法則(おーむのほうそく)
- 抵抗に流れる電流は加える電圧に比例し、抵抗の大きさに反比例するという電気の基本法則です(I=V÷R)。直列回路では合成抵抗を求めてから適用するのが計算問題の定石です。
- 力率(りきりつ)
- 交流回路で皮相電力に対する有効電力の割合を表す値で、電圧と電流の位相差の余弦(cosθ)で表されます。1に近いほど供給電力が有効に使われていることを示します。
- 三相誘導電動機(さんそうゆうどうでんどうき)
- 固定子巻線がつくる回転磁界で回転子を回す電動機です。電源の3本の結線のうち任意の2本を入れ替えると回転磁界の向きが逆転し、回転方向を逆にできます。ポンプ等の駆動源として基礎科目で問われます。
関連情報
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