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応用情報技術者「マネジメント系」の一問一答

1 / -- 正解: 0
📖 応用情報技術者「マネジメント系」の全141問と解説(一覧)

応用情報技術者のマネジメント系に関する一問一答(全141問)の正解と解説の一覧です。上の一問一答で実際に解いてから、ここで復習・確認できます。

  1. 問1.PMBOKガイド第7版は、第6版の延長で軽微な変更のみが加えられた。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。PMBOK 7版は「プロセス中心→原則・パフォーマンスドメイン中心へ大きく変更」(軽微変更ではない)。

    根拠: PMBOK® Guide – Seventh Edition FAQs (PMI, updated 24 March 2021) Q2, Q5, Q7, Q8

  2. 問2.WBSの最下層の作業パッケージは、組織全体で管理する大規模単位である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。作業パッケージは「一人の責任者が見積り・管理できる粒度」(大規模ではない)。

    根拠: ワークパッケージ(産学連携キーワード辞典/デジタル大辞泉)- コトバンク 「ワークパッケージ」の項

  3. 問3.アローダイアグラムにおいて最早開始日と最遅開始日の差が大きい作業をクリティカルパスという。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。クリティカルパスは「最早開始日と最遅開始日が等しい作業をつないだ経路」(差が大きいではない、フロート=0)。

  4. 問4.SPI=0.8、CPI=1.1のとき、進捗・コストともに良好である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。SPI=0.8(<1)は「進捗遅れ」、CPI=1.1(>1)はコスト効率良。両方良いとは言えない。

  5. 問5.プロジェクトのリスクマネジメントで、リスク対応戦略のうち「リスクを第三者に移転する」のはリスク軽減である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。移転は保険付保等「リスク転嫁」です。軽減は発生確率や影響度を下げる対応です。

    根拠: 【RMリソース】リスクマネジメント Lesson リスクの評価・査定②(日本リスクマネジメント学会系 ARM) リスクへの対応の4分類(回避・低減・移転・保有)、保険の免責と移転の説明

  6. 問6.品質マネジメントのPDCAサイクルは、Plan・Do・Check・Actの繰返しにより継続的改善を行う。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。PDCAは、Plan(目標を設定し資源を用意する)・Do(計画を実行する)・Check(監視し、該当する場合は測定して、結果を報告する)・Act(必要に応じて改善の処置をとる)の四つで成るサイクルで、あらゆるプロセスと品質マネジメントシステム全体に適用できる。品質マネジメントシステムは、確立・実施・維持に加えて継続的に改善することが求められる(JIS Q 9001)。

    根拠: JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項(ISO 9001:2015) 0.3.2 PDCAサイクル、4.4.1 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

  7. 問7.ファンクションポイント法は、コード行数(LOC)から開発工数を見積もる方法である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。FPは「ユーザ機能(入出力・照会・ファイル等)から規模を定量化」(LOCはCOCOMO等)。

    根拠: エンタプライズ系事業/見積もり手法(IPA ソフトウェア開発の定量的管理) 見積りに必要なデータ(入力情報) / ISO/IEC 20926:2009 Software and systems engineering — Software measurement — IFPUG functional size measurement method 2009 Abstract

  8. 問8.COCOMOⅡは、機能ポイントから営業見積もりを作成するモデルである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。COCOMO IIは「ソフトウェア規模(LOC・FP)からコスト・工数・スケジュール」を見積もるモデル。

    根拠: デジタル大辞泉「COCOMO」(コトバンク) COCOMO の項(見出し語解説) / 経済調査研究レビュー Vol.14(2014.3)「COCOMO IIによる工数見積り」(一般財団法人経済調査会) 第1章 はじめに/第2章 COCOMO IIにおける工数見積りモデル(pp.88-90)

  9. 問9.結合テストは、システム全体を一括して検証するテストである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。結合テストは「モジュール間のインタフェース検証」(全体一括はシステムテスト)。

    根拠: デジタル大辞泉「結合テスト」(コトバンク) 結合テスト の項 / IBM Think: What is system testing? 冒頭の定義と、結合テストとの前後関係を述べた段落

  10. 問10.ITILv4のSVSは、システム障害復旧専用の枠組みである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。SVSは「組織がサービスを通じて価値創出するための活動全体の枠組み」(障害復旧専用ではない)。

  11. 問11.ITサービスマネジメントにおいて、問題管理の主目的はサービスの早期復旧である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。早期復旧はインシデント管理の目的。問題管理は根本原因特定と再発防止を目的とします。

    根拠: ITSMS ユーザーズガイド ―JIS Q 20000 (ISO/IEC 20000)対応― (JIP-ITSMS111-2.0) 8章 解決プロセス、8.1 インシデント及びサービス要求管理(目的)、8.2 問題管理(目的・解説)、pp.88-93

  12. 問12.変更管理(チェンジマネジメント)では、変更を標準変更・通常の変更・緊急変更などのカテゴリーに分類し、リスクに応じた承認の流れで管理する。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。変更管理では、変更要求を記録してカテゴリーに分類し、リスクや事業への影響などを考えて承認する。標準変更はリスクが低くよく行われる、手順の決まった事前承認済みの変更で、毎回の審議は要らない。通常の変更は標準変更でも緊急変更でもない計画的な変更で、費用やリスクに応じて決めた変更許可者や変更諮問委員会(CAB)が評価して承認する。緊急変更は重大なインシデントの解決などのために早急に行う変更で、あらかじめ決めた緊急用の手順で迅速に対応する。カテゴリーはこの3つに限らず、プロジェクト変更などを設けることもある。

    根拠: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.92 サービスマネジメント(12)変更管理 ③変更管理の活動(リスク,事業利益,実現可能性及び財務影響を考慮し,変更要求を承認する)、用語例「変更のカテゴリー(標準変更,通常の変更,プロジェクト変更,緊急変更など)」「変更諮問委員会(CAB)」 / JIS Q 20000-2:2013 情報技術-サービスマネジメント-第2部:サービスマネジメントシステムの適用の手引(2013年版) 9.2.2 概念(変更要求の種類の一般的な例:a) 緊急変更=早急に実施することが望ましい変更(重大なインシデントの解決、情報セキュリティパッチの実施など)、b) 通常変更=標準変更でも緊急変更でもないもの、c) 標準変更=リスクが低く比較的よくあり手順に従う事前認可済の変更。通常変更は費用及びリスクに応じて分類し、適切な変更権限をもつ人の特定に用いる) / ITSMS ユーザーズガイド―JIS Q 20000(ISO/IEC 20000)対応―(JIP-ITSMS111-2.0、一般財団法人日本情報経済社会推進協会、平成24年9月20日) PDF p.106〜107 変更管理(通常の変更・緊急変更・標準的な変更でパターンごとに手順が異なる、緊急変更は迅速に対応・手順を文書化、③変更の認可:変更許可委員(変更諮問委員会など)が変更を認可する)

  13. 問13.SLA(サービスレベルアグリーメント)の稼働率目標が99.9%のとき、年間許容停止時間は約8.76時間である。

    正解:○(正しい)

    解説:365×24×(1-0.999)=8.76時間。いわゆる「スリーナイン」です。

    根拠: 失敗しない要件定義とリスク対策 ~システム(再)構築上流工程の強化に向けて~(ソフトウエアジャパン2017 IPAセッション資料・独立行政法人情報処理推進機構 ソフトウェア高信頼化センター) p.37「非機能要求グレードのイメージ」可用性・稼働率の【レベル】(24時間365日稼働の場合の1年間の業務中断時間:99.9%=8.76時間)

  14. 問14.内閣府の事業継続ガイドラインでは、BCM(事業継続マネジメント)はBCP(事業継続計画)を構成する活動の一部と位置付けられている。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。逆である。内閣府の事業継続ガイドラインは、不測の事態が発生しても重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画をBCPと呼んでいる。そのうえで、BCP策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、教育・訓練の実施、点検、継続的な改善などを行う平常時からのマネジメント活動をBCMと呼ぶ。つまりBCPはBCMに含まれ、BCMがBCPの一部なのではない。なお、内閣府の防災情報のページのように、BCPの「計画」を計画書に限らずマネジメント全般を含む意味で使い、マネジメントを強調するときにBCMと呼ぶ用法もある。

    根拠: 事業継続ガイドライン―あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応―(平成25年8月改定)内閣府 防災担当 序文<本ガイドラインの目的>、1.1 事業継続マネジメント(BCM)の概要(BCPとBCMの説明) / 知る・計画する(事業継続)防災情報のページ 内閣府 「事業継続計画(BCP)を策定する」の説明(計画はマネジメント全般を含むニュアンス・マネジメントを強調する場合は BCM)

  15. 問15.RTO(目標復旧時間)が4時間、RPO(目標復旧時点)が1時間と設定された場合、障害発生後4時間以内に障害発生1時間前までのデータを復旧すればよい。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。RTO(目標復旧時間)は、どれくらいの時間で復旧させるかの目標である。RPO(目標復旧時点)は、失ったデータを過去のどの時点まで復旧させるかの目標値で、「1日前のデータまで」のように示す。RTOが4時間なら4時間以内に復旧させること、RPOが1時間なら障害発生の1時間前の時点のデータまで復旧させることを表す。覚え方は、RTOは「時間」、RPOは「時点」。時間とデータの戻し先という別々の目標なので、取り違えないこと。(内閣府「事業継続ガイドライン」)

    根拠: 内閣府 防災担当「事業継続ガイドライン―あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応―」(令和5年3月) 3.1.2 重要業務の決定と目標復旧時間・目標復旧レベルの検討(チェックリスト p.47)、脚注63(PDF p.24)

  16. 問16.システム監査基準は、経済産業省が策定する情報システム監査の実施基準である。

    正解:○(正しい)

    解説:システム監査基準と管理基準は経済産業省が策定・改訂しています。

    根拠: システム監査制度について(経済産業省) 「システム監査基準」及び「システム管理基準」について(令和5年4月26日改訂版・旧版の掲載) / システム監査基準・管理基準の改訂について(経済産業省商務情報政策局 サイバーセキュリティ課) 冒頭の概要スライド(策定・公表の主体、昭和60年1月策定、平成30年4月改訂)

  17. 問17.内部統制のフレームワークCOSOでは、内部統制の構成要素が5つ(統制環境・リスク評価・統制活動・情報と伝達・モニタリング)定義される。

    正解:○(正しい)

    解説:日本版(J-SOX)ではこれに「ITへの対応」を加えた6要素です。

    根拠: 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について(企業会計審議会 内部統制部会 2007年2月15日) Ⅰ 内部統制の基本的枠組み 1.内部統制の定義(前文の説明部分) / 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(金融庁 2019年12月6日版) I 内部統制の基本的枠組み 1.内部統制の定義、2.内部統制の基本的要素

  18. 問18.スクラムガイド(2020年版)では、スクラムチームに開発者・プロダクトオーナー・スクラムマスターの3つの責任が定義されている。

    正解:○(正しい)

    解説:スクラムガイド2020年版は、スクラムチームを1人のスクラムマスター、1人のプロダクトオーナー、複数人の開発者で構成し、この3つの責任を定義する。プロダクトオーナーはプロダクトバックログの管理、スクラムマスターはスクラムの確立と支援を担う(2017年版までは「開発チーム」)。

    根拠: The 2020 Scrum Guide (Scrum Guides 公式) Scrum Team の節(冒頭)

  19. 問19.スクラムのスプリントレビューは、スプリント成果物をステークホルダに提示しフィードバックを得るイベントである。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。スクラムガイド(2020年版)では、スプリントレビューの目的はスプリントの成果を検査し、今後の適応を決定することとされる。スクラムチームは主要なステークホルダーに作業の結果を提示し、プロダクトゴールに対する進捗について話し合う。その情報に基づいて、参加者は次にやるべきことに協力して取り組む。これが問題文の「フィードバックを得る」にあたる。スプリントレビューはワーキングセッションであり、プレゼンテーションだけに限定しないようにするとされている。品質と効果を高める方法を計画するのはスプリントレトロスペクティブで、レビューとは目的が異なる。

    根拠: スクラムガイド(2020年11月版・日本語版) スクラムイベント:スプリントレビュー/スプリントレトロスペクティブ / The 2020 Scrum Guide Scrum Events - Sprint Review / Sprint Retrospective

  20. 問20.カンバン方式では、WIP(Work In Progress)制限により仕掛中の作業を制限し、フロー効率を高める。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。カンバンでは、仕掛中の作業項目の数(WIP)に上限を設け、作業の流れ(フロー)をなめらかで予測しやすくする。WIP制限はプル型の仕組みを実現する手段でもあり、WIP制限とプルシステムはセットで押さえる。

    根拠: The Official Kanban Guide(Kanban University) WIP の説明(WIP を制限する理由の記述) / The Official Kanban Guide(Kanban University, PDF版) WIP limits と pull に関する記述箇所

  21. 問21.DevOpsのCI/CDパイプラインにおいて、カナリアリリースは新バージョンを一部ユーザに先行公開し問題を早期検知する手法である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。カナリアリリースは、更新したバージョンをまず一部のクライアントだけに展開し、新しいサービスの動きを監視してから全体に広げる手法である。段階的に広げながら実際のデータを監視するので、すべての利用者に影響が出る前に問題を見つけられる。最初の少人数のグループで問題がなければ、より大きなグループへ順に広げていく。ブルーグリーンデプロイは、同じ構成の環境を2組用意し、新しい版を入れた側へ利用者の通信を移していく方式である。フィーチャーフラグは、カナリアリリースで対象の利用者だけに新しい版を有効にするのによく使われる。

    根拠: Microsoft Learn: Build a CI/CD pipeline for microservices (Azure Architecture Center) Update services > Canary release / Microsoft Learn: Azure Well-Architected Framework, Operational Excellence: Safe deployment practices Gradual rollout (progressive exposure) deployment model

  22. 問22.DevSecOpsは、DevOpsのプロセスにセキュリティ活動(自動テスト・脆弱性検査・IaCセキュリティ等)を組み込む考え方である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。DevSecOpsは、アプリケーションとインフラのセキュリティを、DevOpsの工程やツールの中に組み込む考え方である。Shift Leftの考え方により、セキュリティは開発の最初から工程の一部として扱われる。セキュリティを専門部署だけの責任とせず、開発・セキュリティ・運用の各チームで分担する点も特徴である。セキュリティを後付けにせず、工程の左(早い段階)へ寄せると覚える。

    根拠: What is DevSecOps? (IBM Think) DevSecOps の概要・Shift left の節

  23. 問23.ソフトウェアライフサイクルプロセスJIS X 0160は、獲得・供給・開発・運用・保守等のプロセスを体系化している。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。JIS X 0160はソフトウェアライフサイクルプロセスの規格で、現行の2021年版は、2017年に発行されたISO/IEC/IEEE 12207を基に、技術的内容及び構成を変更することなく作成されている(前の2012年版はISO/IEC 12207:2008に対応していた)。2021年版が定めるライフサイクルは、システムを構想する概念段階から廃止段階にまで及び、システムの取得及び供給のためのプロセスも定めている。2012年版の適用範囲にも、ソフトウェア製品及びソフトウェアサービスを取得するとき、並びにソフトウェア製品の供給、開発、運用、保守及び廃棄をするときに適用できるとある。問題文の「獲得」は、JISの用語では「取得」にあたる。

    根拠: JIS X 0160:2021 ソフトウェアライフサイクルプロセス(ISO/IEC/IEEE 12207:2017)プレビュー(日本規格協会) 表紙(令和3年2月22日改正)・序文 / JIS X 0160:2012 ソフトウェアライフサイクルプロセス(ISO/IEC 12207:2008)※前の版 序文、1.1 適用範囲

  24. 問24.サービスデスク組織の構造のうち、利用者との距離が近い場所(各拠点など)に設置されるものをローカルサービスデスクという。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ローカルサービスデスクは、顧客との距離が近い場所に設置されるサービスデスクで、例えば複数の営業所をもつ会社が、本社ではなく各営業所に設置するものをいう(デジタル大辞泉)。IPAの応用情報技術者試験のシラバスは、サービスデスク組織の構造として、ローカルサービスデスク、バーチャルサービスデスク、中央サービスデスク、フォロー・ザ・サンを挙げている。

    根拠: デジタル大辞泉「ローカルサービスデスク」(コトバンク) ローカルサービスデスクの項 / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 p.96 大分類「サービスマネジメント」4.サービスの運用 (3)サービスデスク 用語例(サービスデスク組織の構造)

  25. 問25.能力成熟度モデルCMMIの成熟度レベルでは、最も高いレベル5を「最適化している(Optimizing)」とし、組織が継続的な改善に焦点を当てている状態とする。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。CMMIの成熟度レベルは組織のプロセス改善の段階を表し、上のレベルは下のレベルに機能や厳密さを積み上げる形になっている。レベル1「初期」(場当たり的で遅れや予算超過が多い)、2「管理された」(プロジェクト単位で計画・測定・管理する)、3「定義された」(組織の標準に沿って進める)、4「定量的に管理された」(データに基づく定量的な改善目標を持つ)、5「最適化している」(継続的な改善に焦点を当てる)の順に高くなる。CMMI Institute の現在の説明では、レベル1の下にレベル0「不完全」も置いている。

    根拠: CMMI Institute - CMMI Levels of Capability and Performance Maturity Levels(Maturity Level 0: Incomplete 〜 Maturity Level 5: Optimizing「Organization is focused on continuous improvement」。各成熟度レベルは前のレベルに機能や厳密さを積み上げる) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.80 プロセス成熟度 用語例「CMMI」

  26. 問26.ITガバナンスの国際規格ISO/IEC 38500は、経営層がITを統治するための原則を定めている。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。JIS Q 38500:2015は、組織の経営陣(オーナー、取締役会の構成員、経営者など)のため、組織内で効果的、効率的及び受入れ可能なIT利用に関する原則について規定している(2008年に第1版として発行されたISO/IEC 38500を基に作成)。この版は、良好なITガバナンスのための六つの原則として、責任、戦略、取得、パフォーマンス、適合、人間行動を挙げている。なお、JIS Q 38500は2026年2月20日に改正されている。

    根拠: JIS Q 38500:2015 情報技術-ITガバナンス(2008年発行の ISO/IEC 38500 第1版を基に作成) 序文、1.1 適用範囲、3.1 原則(3.1.1〜3.1.6) / 日本産業標準調査会(JISC)データベース JIS規格詳細画面 JIS Q 38500 情報技術-組織のITガバナンス 最新改正年月日 2026/02/20(JIS規格番号 Q38500 で検索)

  27. 問27.プロジェクトマネジメントでいう三大制約(トリプルコンストレイント)は、スコープ・時間・コストである。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。古典的には、プロジェクトマネージャは、競合するプロジェクトの要求をマネジメントするときに、プロジェクトのスコープ・時間・コストからなる「トリプルコンストレイント(三大制約)」をよく話題にするとされてきた。JIS Q 21500(プロジェクトマネジメントの手引)は、制約をスコープ、品質、スケジュール、資源、コストなどと広く挙げ、制約は一般に相互に関係していて、一つの制約の変化がほかの一つ又は複数の制約に影響を及ぼすことがあるとしている。そのため、プロジェクトマネージャは他の制約に照らして特定の制約の釣合いをとることが重要とされる。

    根拠: Baratta, A. (2006). The triple constraint: a triple illusion. PMI® Global Congress 2006—North America(PMI Learning Library) Exhibit 1 – Classical Triple Constraint(論文中の (PMI, 2004, p377) の引用) / JIS Q 21500:2018 プロジェクトマネジメントの手引 3.11 プロジェクトの制約

  28. 問28.プロジェクトにおけるステークホルダ分析で、関心度が高く影響度も高いステークホルダは「重点的に管理」する対象である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ステークホルダ分析では、プロジェクトに対する権限(影響度)と、プロジェクトの結果への関心度の2つの軸でステークホルダを分類する権力/関心度グリッドがよく使われる。PMBOKガイドのこのグリッドでは、影響度・関心度がともに高い相手は「重点的に管理する」、影響度が高く関心度が低い相手は「満足な状態を保つ」、影響度が低く関心度が高い相手は「情報を提供し続ける」対象とされる。影響度も関心度も高い相手ほど、密に関わって管理する。

    根拠: Trautlein, B. A. (2015). Increase your influence and impact through "change intelligent" stakeholder engagement. PMI® Global Congress 2015—North America(PMI Learning Library) Stakeholder Analysis の節(PMBOK® Guide 第4版の power/interest グリッド:authority=power と concern=interest で分類)/The saboteur(high power・high interest → “manage closely”)・The timebomb(high power・low interest → “keep them satisfied”)・The irritant(low power・high interest → “keep them informed”) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.85 プロジェクトのステークホルダ 用語例「ステークホルダ分析」

  29. 問29.ITIL 4のサービスバリューチェーンの6つの活動には、計画・改善・エンゲージ・設計と移行・取得と構築・提供と支援が含まれる。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ITIL 4のサービスバリューチェーンは、サービスを生み出し、提供し、改善していくための柔軟な運用モデルで、計画(Plan)、改善(Improve)、エンゲージ(Engage)、設計と移行(Design & Transition)、取得/構築(Obtain/Build)、提供と支援(Deliver & Support)の6つの活動から成る。本文に挙げた6つは、この6活動を日本語で並べたもので、過不足はない。

    根拠: Rajwardhan Purohit「Optimizing IT Monitoring with ITIL 4 & PeopleCert’s Accredited Tools」(PeopleCert Accredited Tool Vendors のブログ記事、2026年1月19日更新) Embedding observability in the ITIL 4 Service Value Chain(「ITIL 4’s Service Value Chain provides a flexible operating model for creating, delivering and improving services」、Plan・Improve・Engage・Design & Transition・Obtain/Build・Deliver & Support の6つを列挙) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 中分類15 サービスマネジメント 1.サービスマネジメント(3)ITIL「ITIL の目的,考え方」(PDF p.90)

  30. 問30.システム監査において、監査人は監査対象部門の業務執行から独立した立場である必要がある。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。経済産業省のシステム監査基準(平成30年改訂版)の【基準4】は、システム監査人は、監査対象の領域又は活動から、独立かつ客観的な立場で監査が実施されているという外観に十分に配慮しなければならないとし、監査の実施に当たり、客観的な視点から公正な判断を行わなければならないとしている。その解釈指針も、システム監査人がその役割と責任を果たすためには、監査対象部門から独立している必要があるとしている。また同基準の前文は、システム監査を、専門性と客観性を備えたシステム監査人が行うものとしており、独立性・客観性に加えて専門性も監査人に求められる。なお、システム監査基準は令和5年4月26日にも改訂されている。

    根拠: システム監査基準(経済産業省 平成30年4月20日改訂版)※現行は令和5年4月26日改訂版 前文 [1]システム監査の意義と目的、【基準4】システム監査人としての独立性と客観性の保持(本文・<解釈指針>1) / システム監査制度について(経済産業省) 「システム監査基準(令和5年4月26日改訂)」の掲載(旧版の平成30年4月20日改訂版も掲載)

  31. 問31.ファシリティマネジメント(FM)は、企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、FMを「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」と定義している。ファシリティ(土地、建物、構築物、設備等)のすべてを、経営にとって最適な状態(コスト最小、効果最大)で保有し、賃借し、使用し、運営し、維持するための総合的な経営活動とされる。建物や設備を維持管理するだけでなく、企画から活用までを経営の視点で行う点が要点である。JFMAはFMの対象として情報管理施設も挙げており、データセンタの建物や設備も対象に含まれる。

    根拠: FMとはどのようなものか - 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA) 「ファシリティマネジメント(FM)とは」の定義と説明1、対象施設の例(情報管理施設)

  32. 問32.ITサービスの可用性設計で、SPOF(単一障害点)を排除するには冗長化構成が基本である。

    正解:○(正しい)

    解説:アクティブ-アクティブやアクティブ-スタンバイ構成でSPOFを排除します。

    根拠: NIST SP 800-39 Managing Information Security Risk: Organization, Mission, and Information System View 2.4.2 Enterprise Architecture (PDF p.28 付近。冗長性と SPOF 排除の記述)

  33. 問33.プロジェクトのコスト見積り技法のうち、類推見積りは過去の類似プロジェクト実績をもとに概算する方法である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。類推見積りは、見積る対象とよく似た過去のプロジェクトの実績(工数・期間・コスト)を基に、プロジェクト全体をまとめて概算するトップダウン型の技法である。作業を細かく分解するための情報がまだ少ない初期段階でも素早く見積れるが、過去のプロジェクトと本当に似ていることが前提で、新規性の高いプロジェクトには向かない。WBSの作業パッケージごとに見積って積み上げるボトムアップ見積りは、詳細化が進んだ後に使い、一般に精度が高い。

    根拠: Kanabar, V., & Warburton, R. D. H. (2011). Leveraging the new practice standard for project estimating. PMI® Global Congress 2011—North America(PMI Learning Library) The Analogous Estimation Technique の節(top-down technique、分解する情報が少ないときに使う、類似の過去プロジェクトの実績が前提、innovative なプロジェクトには向かない)/Bottom-Up Estimation の節(WBS の作業パッケージで見積り積み上げ、一般に top-down より精度が高い) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.87 プロジェクトのコスト(3)ツールと技法 用語例「類推見積り」「ボトムアップ見積り」

  34. 問34.ISO/IEC 25010:2011(JIS X 25010:2013)では、機能適合性・性能効率性・互換性・使用性・信頼性・セキュリティ・保守性・移植性の8つの製品品質特性が定義される。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ISO/IEC 25010:2011(JIS X 25010:2013)は、ISO/IEC 9126-1(JIS X 0129-1)を改正した後継の規格で、システムとソフトウェア製品の品質を、機能適合性・性能効率性・互換性・使用性・信頼性・セキュリティ・保守性・移植性の8つの品質特性に整理した製品品質モデルを定めている。2023年の改訂(JIS X 25010:2025)では安全性が品質特性に加わって9特性になり、使用性はインタラクション容易性(対話性)に、移植性は柔軟性に置き換えられた。

    根拠: JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-システム及びソフトウェア品質モデル 序文(ISO/IEC 25010:2011 を基に技術的内容を変更せず作成)、1 適用範囲 b)(製品品質モデルは八つの特性)、4.2.1〜4.2.8、附属書A(JIS X 0129-1:2003 を改正) / JIS X 25010:2025 システム及びソフトウェア技術-システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-製品品質モデル(JSA プレビュー) PDF p.5 序文・主要な変更点(ISO/IEC 25010:2023 を基に作成。安全性を品質特性として追加。使用性及び移植性は,それぞれ,インタラクション容易性(対話性)及び柔軟性に置き換え)、PDF p.4 まえがき(JIS X 25010:2013 を改正)

  35. 問35.DXレポート(経済産業省)で提起された「2025年の崖」は、既存システムの複雑化・ブラックボックス化への警鐘である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。2025年の崖は、既存システムが複雑化・老朽化・ブラックボックス化したまま残った場合の警鐘である。課題を克服できなければ、2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるとされた。「崖」は古いシステムの問題と損失額をセットで覚える。

    根拠: IPA DX動向2024 日本企業が直面するDXの2つの崖壁と課題 脚注3 / DXレポート(経済産業省)の引用を含むIPA掲載資料 4ページ

  36. 問36.アローダイアグラムでクリティカルパスの総所要日数が30日、作業Xの最早開始日10日・最遅開始日15日のとき、作業Xのトータルフロート(余裕日数)はいくつか。

    • ア.5日
    • イ.0日
    • ウ.10日
    • エ.15日

    正解:ア.5日

    解説:トータルフロートは、その作業の開始をどれだけ遅らせても全体の完了日(ここでは30日)が延びないかを表す余裕日数で、最遅開始日から最早開始日を引いて求める。作業Xは15−10=5日となり、5日までの遅れなら全体の工期に影響しない。0日は余裕が無い場合の値で、少しの遅れでも全体が遅れるクリティカルパス上の作業に当たる。10日は最早開始日、15日は最遅開始日そのもので、どちらも余裕日数ではない。

    根拠: 工程計画管理基準(案)(建設省東北地方建設局。国土交通省東北地方整備局 H25 仕様書参考資料19) PDF p.7 第4章 日程計算の表示 第2 凡例(イベントの最遅開始日90・最早開始日40に対し〔50〕=トータルフロート) / JIS Q 21500:2018 プロジェクトマネジメントの手引 2.8 クリティカルパス(プロジェクト又はフェーズにとっての最速完了日を決定する一連の活動) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.86 プロジェクトのスケジュール(3)ツールと技法 用語例「スケジュールネットワーク分析,PERT,CPM」「アローダイアグラム」

  37. 問37.EVMでPV=1000万円、EV=800万円、AC=900万円のとき、SPIはいくつか。

    • ア.0.89
    • イ.0.80
    • ウ.0.90
    • エ.1.13

    正解:イ.0.80

    解説:SPI(スケジュール効率指数)は、EV(出来高)をPV(計画価値)で割った値で、SPI=800÷1000=0.80となる。1を下回るので、計画した作業の8割しか進んでおらず、進捗が遅れている状態である。0.89はEVをAC(実コスト)で割ったCPI(コスト効率指数)の値(800÷900)、0.90はACをPVで割った値(900÷1000)、1.13はACをEVで割った値(900÷800)で、どれもSPIではない。

    根拠: Anbari, F. T. (2012). The earned schedule. PMI® Research and Education Conference(PMI Learning Library) Performance Indices(SPI = EV ÷ PV・CPI = EV ÷ AC、1未満は不良) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.86 プロジェクトのスケジュール(3)ツールと技法 用語例「EVM(Earned Value Management)」

  38. 問38.EVMでEV=600、AC=750のとき、CPIとコスト状態の組合せとして正しいものはどれか。

    • ア.CPI=0.80、予算内
    • イ.CPI=1.25、予算超過
    • ウ.CPI=0.80、予算超過
    • エ.CPI=1.25、予算内

    正解:ウ.CPI=0.80、予算超過

    解説:CPI=EV/AC=600/750=0.80。1未満なのでコスト超過です。

    根拠: Warburton, R. D. H., & Kanabar, V. (2008). The practical calculation of schedule variance in terms of schedule. PMI® Global Congress 2008—North America(PMI Learning Library) CPI and SPI の節(CPI = EV / AC、1.0未満は計画より悪い)

  39. 問39.リスク対応戦略のうち、影響が小さく対策コストのほうが大きいため、あえて対策せずリスクを残す戦略はどれか。

    • ア.回避
    • イ.軽減
    • ウ.転嫁
    • エ.受容

    正解:エ.受容

    解説:受容(保有)は、リスクがあることを認識したうえで、発生を減らしたり第三者に移したりする対策をとらず、そのまま受け入れる戦略である。影響が小さく対策の費用のほうが大きいときなど、対策の費用対効果が見合わない場合に選ばれる。回避はリスクの原因となる活動そのものをやめること(例:そのプロジェクトを実施しない)、軽減は発生の可能性や損失の大きさを下げる対策をとること、転嫁は保険や契約によってリスクの損失を第三者に移すことで、いずれもリスクをそのまま残す戦略ではない。

    根拠: リスクマネジメント協会 リスクマネジメント Lesson 6.リスクの管理・対策① リスクへの対応の4分類(回避・低減・移転・保有)、回避=損失が発生する根源を断つ(プロジェクトを実施しない例)、保有=リスクを認識しながら低減や移転の対策を講じないこと、保険による移転の例 / リスクマネジメント協会 リスクマネジメント Lesson 6.リスクの管理・対策② 低減策(リスクの顕在化=発生確率の低減と、顕在化した際の損失の低減) / JIS Q 21500:2018 プロジェクトマネジメントの手引 4.3.30 リスクへの対応(リスク対応は費用対効果が高く…が望ましい。リスクの回避,軽減,転嫁又はコンティンジェンシ計画の作成が含まれる) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.86〜87 プロジェクトのリスク(1)プロセス「リスクへの対応」(3)用語例「脅威への戦略」

  40. 問40.ソフトウェア見積りのファンクションポイント法の基礎要素として適切でないものはどれか。

    • ア.プログラム行数
    • イ.外部出力
    • ウ.内部論理ファイル
    • エ.外部入力

    正解:ア.プログラム行数

    解説:ファンクションポイント法は、ソフトウェアが利用者に提供する機能の数と複雑さから規模を測る方法で、機能を内部論理ファイル(ILF)・外部インタフェースファイル(EIF)・外部入力(EI)・外部出力(EO)・外部照会(EQ)の5つのファンクション型に分けて数える。選択肢の外部出力・内部論理ファイル・外部入力はこの5つのうちの3つで、FP法の基礎要素に当たる。プログラム行数は、書いたコードの量で規模を測るLOC(Lines of Code)法の尺度で、利用者から見た機能で測るFP法の要素ではない。

    根拠: JIS X 0142:2010 ソフトウェア技術-機能規模測定-IFPUG機能規模測定手法(IFPUG4.1版未調整ファンクションポイント)計測マニュアル 2.58 ファンクション型(ILF・EIF・EI・EO・EQ の5種類)、2.17 外部出力、2.19 外部入力、2.53 内部論理ファイル / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.87 プロジェクトのコスト(3)ツールと技法 用語例「ファンクションポイント法,LOC(Lines of Code)法」

  41. 問41.ある作業の所要期間を、楽観値4日、最可能値7日、悲観値16日と見積もった。PERTの三点見積り(ベータ分布)による期待所要期間は何日か。

    • ア.7日
    • イ.8日
    • ウ.10日
    • エ.12日

    正解:イ.8日

    解説:PERTの三点見積りでは、作業時間がベータ分布に従うと考え、その平均を(楽観値+4×最可能値+悲観値)÷6で近似する。最も起こりやすい最可能値に4倍の重みを置き、楽観値と悲観値は1倍ずつ加える形である。この問題では(4+4×7+16)÷6=48÷6=8日となる。7日は最可能値そのもの、10日は楽観値と悲観値の単純な平均で、いずれも期待値ではない。12日は悲観値と楽観値の差で、ばらつきを見積もるとき(標準偏差の目安は差÷6=2日)に使う値である。

    根拠: システム科学入門Ⅱ 第5回資料 PERT(2) 三点見積法(広島修道大学) 補足1「PERTとベータ分布」(E[t]=(a+4m+b)/6、V[t]=((b−a)/6)^2)

  42. 問42.SLA 99.99%の稼働率目標が意味する年間許容停止時間として最も近いものはどれか。

    • ア.約87.60分
    • イ.約4.32分
    • ウ.約52.56分
    • エ.約48.00分

    正解:ウ.約52.56分

    解説:稼働率99.99%(フォーナイン)なら、停止してよい時間は全体の0.01%である。1年を365日×24時間=8,760時間とすると、8,760×0.0001=0.876時間で、1時間は60分なので0.876×60=約52.56分となる。約87.60分は0.876時間を87.6分と読み違えた値、約48.00分は1年を8,000時間と概算した値、約4.32分は30日(1か月)分の許容停止時間で、どれも1年の許容停止時間として正しくない。

    根拠: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.90 サービスマネジメント(4)SLA 用語例「SLA,SLO,SLI,サービス可用性」 / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.26 システムの信頼性特性と評価 ②信頼性指標と信頼性計算(MTBF,MTTR,稼働率)。年間許容停止時間は本文の数値(8,760時間×0.0001)で検算

  43. 問43.スクラムのイベントのうち、スプリントの最後に行い、プロセスなどの改善点を振り返るものはどれか。

    • ア.スプリントプランニング
    • イ.デイリースクラム
    • ウ.スプリントレビュー
    • エ.スプリントレトロスペクティブ

    正解:エ.スプリントレトロスペクティブ

    解説:正解はスプリントレトロスペクティブ。スクラムガイド(2020年版)では、スプリントレトロスペクティブの目的は品質と効果を高める方法を計画することで、スクラムチームは個人、相互作用、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリントがどのように進んだかを検査する。スプリントレトロスペクティブをもってスプリントは終了する。スプリントプランニングはスプリントの起点で、スプリントで実行する作業の計画を立てる。デイリースクラムは、スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させる15分のイベントである。スプリントレビューは、スプリントの成果を検査し、今後の適応を決定するイベントである。

    根拠: スクラムガイド(2020年11月版・日本語版) スクラムイベント:スプリントプランニング/デイリースクラム/スプリントレビュー/スプリントレトロスペクティブ / The 2020 Scrum Guide Scrum Events – Sprint Retrospective

  44. 問44.DevOpsのデプロイ戦略で、新旧2環境を切替える方式はどれか。

    • ア.ブルーグリーンデプロイ
    • イ.カナリアリリース
    • ウ.ローリングデプロイ
    • エ.ダークローンチ

    正解:ア.ブルーグリーンデプロイ

    解説:ブルーグリーンデプロイは、同じ構成の本番環境を2つ(ブルーとグリーン)用意して、片方で現行版を動かしたまま、もう片方に新版を入れて確かめ、利用者からのアクセスを新しい環境へ切り替える方式である。停止時間を短くでき、切り替える前の環境が残るので元に戻すことも容易である。カナリアリリースは新版を一部の利用者にだけ先に出して様子を見ながら広げる方式、ローリングデプロイはサーバを順に少しずつ新版へ入れ替える方式、ダークローンチは新機能を利用者に見えない形で本番に組み込み負荷などを確かめる方式で、いずれも新旧2環境の切替えではない。

    根拠: Configure the blue-green deployment strategy for Azure Linux virtual machines Blue-green deployments(two separate and identical environments but only one is live at any time、switching between the blue/green environments で停止時間を減らす) / Configure the canary deployment strategy for Azure Linux Virtual Machines Canary deployments / CI/CD for microservices architectures(Microsoft Learn, Azure Architecture Center) Update services > Rolling updates(新しいインスタンスを順に配置し、準備ができたものから旧インスタンスを取り除く) / Martin Fowler「Dark Launching」(bliki、2020年4月29日) 冒頭(新しい機能を利用者に分からない形で呼び出し、公開前に負荷や性能への影響を確かめる) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.74 導入 用語例「カナリアリリース,ブルーグリーンデプロイメント」

  45. 問45.能力成熟度モデルCMMIの最高レベル5の名称はどれか。

    • ア.定義された
    • イ.最適化している
    • ウ.定量的に管理された
    • エ.再現可能な

    正解:イ.最適化している

    解説:CMMIの成熟度レベルで最も高いレベル5は「最適化している(Optimizing)」で、組織が継続的な改善に焦点を当てている状態を表す。「定義された(Defined)」はレベル3で、組織の標準に沿ってプロジェクトを進める段階、「定量的に管理された(Quantitatively Managed)」はレベル4で、データに基づく定量的な改善目標を持つ段階である。CMMIのレベル2は「管理された(Managed)」で、「再現可能な」という名称はCMMIの成熟度レベルには無い。

    根拠: CMMI Institute - CMMI Levels of Capability and Performance Maturity Levels(Level 1: Initial、Level 2: Managed、Level 3: Defined、Level 4: Quantitatively Managed、Level 5: Optimizing「Organization is focused on continuous improvement」) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.80 プロセス成熟度 用語例「CMMI」

  46. 問46.ソフトウェア要求分析で、外部仕様の有効性や仕様の漏れ、実現可能性などを評価し、後の工程での手戻りを防ぐために作成することがあるものはどれか。

    • ア.スタブ
    • イ.移行計画書
    • ウ.プロトタイプ
    • エ.利用者マニュアル

    正解:ウ.プロトタイプ

    解説:プロトタイプ(試作品)は、要求分析の段階で外部仕様の有効性や仕様の漏れ、実現可能性などを確かめるために作ることがあり、要件の誤りや漏れを早く見つけて後の工程での手戻りを防ぐ。要件の誤りや漏れは、後の工程で見つかるほど修正費用が大きくなるとされるため、早い段階での評価が大切になる。スタブはソフトウェアのテストを実施するときに使うテストツール、移行計画書は新しいシステムへの移行の手順や留意事項を文書化したもの、利用者マニュアルは業務や操作、運用の手順を文書化したもので、どれも仕様を評価して手戻りを防ぐために作るものではない。

    根拠: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.64 ソフトウェア要件定義(8)業務分析や要件定義に用いられる手法 ③モックアップ及びプロトタイプ(外部仕様の有効性,仕様の漏れ,実現可能性などの評価を行い,手戻りを防ぐためにモックアップ及びプロトタイプを作成することがある) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.71 (8)ソフトウェアユニットのテスト ③テストの実施と評価(テストで使用されるテストツールの役割)用語例「デバッガ,ドライバ,スタブ」 / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.77 ⑥移行(システム移行及び/又はソフトウェア移行の手順,移行の際の留意事項)用語例「移行計画の文書化と検証」 / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.75 ④利用者用文書類(利用者マニュアル)(取得者の業務,コンピュータ操作,システム運用などの手順を文書化。システム設計時又はソフトウェア設計時に暫定版を作成し,開発の進行に従って適宜更新) / NIST Planning Report 02-3: The Economic Impacts of Inadequate Infrastructure for Software Testing Section 1.4.2 Increased Software Development Costs(the longer a defect stays in the program, the more costly it becomes to fix it)、Table 1-5 Relative Costs to Repair Defects(Boehm (1976) Study の列:Requirements 0.2Y、Design 0.5Y、Coding 1.2Y、System Testing 5Y、Installation Testing 15Y)

  47. 問47.ブルックスの法則が述べる、遅れているソフトウェア開発プロジェクトに途中から人員を追加したときの結果として、正しいものはどれか。

    • ア.遅れの大きさは変わらない
    • イ.人数に比例して遅れが縮まる
    • ウ.遅れの一部を取り戻せる
    • エ.遅れがさらに大きくなる

    正解:エ.遅れがさらに大きくなる

    解説:ブルックスの法則は、F.P.ブルックスが示した経験則で、遅れかけているソフトウェア開発プロジェクトに途中から要員を加えると、遅れを取り戻すどころか、遅れがいっそう大きくなるというもの。加わった人の教育が必要になり、作業の割り振り直しも生じ、さらに人数が増えるとコミュニケーションの経路が急に増える(5人なら10本、10人なら45本)ためである。人と月は交換できないので、人数に比例して遅れが縮まることはなく、遅れが変わらずに済むことや、一部を取り戻せることも期待できない。

    根拠: 世界大百科事典(旧版)【ソフトウェア工学】の項(平凡社。コトバンク「ブルックス,R.A.」の頁に掲載) Frederick P.Brooks の経験則(遅れかけているプロジェクトに途中から要員を追加しても、遅れを回復するどころかいっそう遅れが増大する。マンとマンスが可換でない) / 山浦恒央「『ブルックスの呪い』から逃れるために:山浦恒央の“くみこみ”な話(8)」MONOist(2009年6月18日) 遅れが拡大する原因(1)コミュニケーション・パスの急激な増加(2)助っ人の教育(3)作業の再配分。パス数 n(n−1)/2:5人で10、10人で45

  48. 問48.システム監査人が備えるべき要件として必須でないものはどれか。

    • ア.監査対象部門での業務経験
    • イ.監査対象からの独立性
    • ウ.客観的な立場での公正な判断
    • エ.システム監査に必要な専門的能力

    正解:ア.監査対象部門での業務経験

    解説:監査対象部門での業務経験は、システム監査人の要件ではない。システム監査基準は監査人に、監査対象の領域や活動から独立し、客観的な立場で公正に判断して監査を行うこと(独立性と客観性)と、教育・研修や実務経験を通じてシステム監査に必要な知識・技能を保ち高めること(専門的能力)を求めている。監査人の所属部門が監査対象と同じ指揮命令系統にあると、独立性が損なわれている外観を呈するとされ、監査対象部門に身を置いたことは要件どころか独立性の面で注意すべき点になる。

    根拠: システム監査基準(経済産業省 令和5年4月26日改訂) 【基準2】専門的能力の保持と向上(印刷 p.12・PDF p.14)、【基準4】監査の独立性と客観性の保持 本文・主旨・解釈指針2(所属する部門が監査対象と同一の指揮命令系統に属する場合の外観)(印刷 p.17・PDF p.19) / システム監査基準(経済産業省 平成30年4月20日改訂版。旧版) 【基準2】監査能力の保持と向上(PDF p.8)、【基準4】解釈指針1(3)「以前、監査対象の領域又は業務に従事していた場合、原則として、監査の任から外れることが望ましい」(PDF p.14) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.98 システム監査の目的 用語例「専門的能力の保持と向上」「監査の独立性と客観性の保持」

  49. 問49.BCPにおいて、RTO(目標復旧時間)の意味として最も適切なものはどれか。

    • ア.障害発生後、どの時点までのデータを復旧するか
    • イ.障害発生後、いつまでにサービスを復旧するか
    • ウ.システム平均故障間隔
    • エ.システム修復平均時間

    正解:イ.障害発生後、いつまでにサービスを復旧するか

    解説:RTO(目標復旧時間)は、事故の後、業務を復旧させるまでの目標とする期間で、「いつまでにサービスを復旧するか」を表す。「どの時点までのデータを復旧するか」は、事故前のどの時点までデータを戻せるようにするかの目標時点で、RPO(目標復旧時点)の説明である。システム平均故障間隔はMTBF(故障から次の故障までの動作時間の平均)、システム修復平均時間はMTTR(故障を修復するのにかかる時間の平均)で、どちらも設備の信頼性・保全性を表す指標であり、BCPで決める復旧の目標ではない。

    根拠: IT サービス継続ガイドライン(経済産業省、平成20年9月。内閣府防災の事業継続ページに掲載) g) 目標復旧時間(RTO)、目標復旧ポイント(RPO)、目標復旧レベル(RLO)(印刷 p.7・PDF p.10) / JIS Z 8115:2019 ディペンダビリティ(総合信頼性)用語(kikakurui掲載版) 平均故障間動作時間(MTBF:故障間動作時間の期待値。信頼性特性値の一つ)、平均修復時間(MTTR:修復時間の期待値。保全性特性値の一つ)

  50. 問50.JIS Q 38500:2015(ITガバナンス)が良好なITガバナンスのために挙げる六つの原則に含まれないものはどれか。

    • ア.責任
    • イ.戦略
    • ウ.収益
    • エ.パフォーマンス

    正解:ウ.収益

    解説:正解は収益。JIS Q 38500:2015は、良好なITガバナンスのための六つの原則として、責任、戦略、取得、パフォーマンス、適合、人間行動を挙げており、収益は含まれない。責任は、組織内の個人及び部門がITの供給及び需要の両面の役割について責任を理解して受け入れること、戦略は、組織の事業戦略がITの現在及び将来の能力を考慮すること、パフォーマンスは、ITが現在及び将来の事業のニーズに合うサービスを提供する点で目的に適合することである。なお、JIS Q 38500は2026年2月20日に改正されており、この六つの原則は2015年版のものである。

    根拠: JIS Q 38500:2015 情報技術-ITガバナンス(2008年発行の ISO/IEC 38500 第1版を基に作成) 序文、1.1 適用範囲、3.1 原則(3.1.1〜3.1.6) / 日本産業標準調査会(JISC)データベース JIS規格詳細画面 JIS Q 38500 情報技術-組織のITガバナンス 最新改正年月日 2026/02/20(JIS規格番号 Q38500 で検索)

  51. 問51.PMBOKガイド第6版では、プロジェクトマネジメントを10の知識エリア(統合・スコープ・スケジュール・コスト・品質・資源・コミュニケーション・リスク・調達・ステークホルダー)に分類している。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。PMBOKガイド第6版は、プロジェクトマネジメントを統合・スコープ・スケジュール・コスト・品質・資源・コミュニケーション・リスク・調達・ステークホルダーの10の知識エリアに分け、プロセス群と組み合わせて整理している。第7版(2021年)からは、12の原則とプロジェクト・パフォーマンス領域を中心とする構成に改められた。さらに第8版(2025年11月発行)は、6つの中核となる原則と7つのパフォーマンス領域に整理し直している。

    根拠: PMI: PMBOK Guide – Sixth Edition errata (Figure 3-1 Planning Process Group) Part 2, Figure 3-1 (p.566 付近)。Project Integration Management Knowledge Area などの記載(10の知識エリアを一覧で示す原文ではなく、統合マネジメントなど知識エリアの構成を示す図の正誤表) / PMI: PMBOK® Guide FAQs(Updated: 24 March 2021) p.1 Q5(Process Groups and Knowledge Areas の概念は project performance domains に引き継がれる)、p.2 Q7(The Standard for Project Management presents 12 principles)・Q9(Seventh Edition は 2021年8月1日に発売) / PMI: PMBOK® Guide – Eighth Edition(pmi.org/standards/pmbok) Overview(Six core principles、Seven performance domains、Seventh Edition の principles and performance domains を引き継ぎ簡素化)、Product Specifications(Publication Date November 2025)

  52. 問52.WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトの作業を階層的に分解した構造図である。

    正解:○(正しい)

    解説:WBS:成果物指向の階層分解。工数・コスト見積もり、進捗管理、責任分担の基礎となる。

    根拠: Norman, E. S., Brotherton, S., Fried, R. T., & Ksander, G. (2006). Building high quality work breakdown structures using the Practice standard for work breakdown structures—second edition. PMI® Global Congress 2006—North America(PMI Learning Library) The WBS Concept(PMBOK® Guide の WBS の定義「A deliverable-oriented hierarchical decomposition of the work…」の引用。分解は実行・監視・管理を支える詳細さまで行う)

  53. 問53.クリティカルパスは、プロジェクト全体の最短完了時間を決める作業経路である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。クリティカルパスは、作業の順序関係をつないだ経路のうち、所要時間の合計が最も長い経路である。最も長い経路の作業が全部終わらないとプロジェクトは終わらないため、その長さが、プロジェクトを最も早く終えられる時間(最短完了時間)を決める。最長の経路が最短の完了時間を決める、という関係で覚えるとよい。この経路上の作業には余裕が無いので、どれか1つが遅れるとプロジェクト全体が遅れる。

    根拠: JIS Q 21500:2018 プロジェクトマネジメントの手引 2.8 クリティカルパス(critical path) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.86 プロジェクトのスケジュール(3)ツールと技法 用語例「CPM(Critical Path Method:クリティカルパス法)」

  54. 問54.ガントチャートは、プロジェクトの作業項目を時間軸上で表示するスケジュール管理ツールである。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ガントチャートは、横軸に時間、縦軸に工程や担当者ごとの作業をとり、各作業の期間を帯(横棒)で表すスケジュール管理の図表で、米国のH.ガントが考案した。作業の計画と実績を並べて表すことで、どの作業がいつ始まりいつ終わる予定か、予定に対して進んでいるか遅れているかがひと目で分かる。横線工程表、バーチャートとも呼ばれる。

    根拠: コトバンク「ガントチャート」(デジタル大辞泉、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典) デジタル大辞泉:スケジュール管理のための帯状グラフ。横軸に時間、縦軸に工程・人員別の作業期間。ガントが考案。バーチャート/ブリタニカ:横線工程表とも。作業計画と実績が表示される / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.86 プロジェクトの時間(3)ツールと技法 用語例「ガントチャート」

  55. 問55.EVM(アーンドバリューマネジメント)は、プロジェクトのコスト・スケジュールパフォーマンスを統合的に評価する手法である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。EVM(アーンドバリューマネジメント)は、計画した作業の価値(PV)、実際に終えた作業の計画上の価値である出来高(EV)、その作業に実際にかかったコスト(AC)を同じ金額の尺度で比べ、コストとスケジュールの両方の達成状況を評価する手法である。スケジュール効率はSPI=EV÷PVで、1未満なら計画より作業が遅れている。コスト効率はCPI=EV÷ACで、1未満なら出来高の価値よりコストが多くかかっている(予算超過)。

    根拠: Integrating scheduling and earned value management (EVM) metrics (PMI Learning Library) 概要・本文冒頭(EVM はコストとスケジュールの両方を評価できる。EV=BCWP、計画=BCWS)/Correlating the SPI with Schedule Data(SPI が1.00未満なら計画より少ない作業)/Correlating the CPI With Resource Information(CPI は ACWP と BCWP の比較。1.00未満なら計画価値よりコストがかかっている) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.87 プロジェクトのコスト(3)ツールと技法 用語例「EVM(Earned Value Management)」

  56. 問56.リスクマネジメントのプロセスには、リスク特定・リスク分析・リスク対応計画・リスク監視がある。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。リスクマネジメントのプロセス(JIS Q 31000)は、コミュニケーション及び協議、適用範囲・状況・基準の確定、リスクアセスメント(リスク特定・リスク分析・リスク評価)、リスク対応(リスク対応計画の準備及び実施を含む)、モニタリング及びレビュー、記録作成及び報告からなる。問題文の特定・分析・対応計画・監視(モニタリング)はどれもこのプロセスに含まれ、「〜がある」という問い方なので、リスク評価などが挙がっていなくても正しい。特定→分析→評価→対応と進め、全体を通じてモニタリングとレビューを続ける、と押さえる。

    根拠: JIS Q 31000:2019 リスクマネジメント-指針 箇条6 プロセス(6.2 コミュニケーション及び協議、6.3 適用範囲,状況及び基準、6.4 リスクアセスメント(6.4.2 リスク特定・6.4.3 リスク分析・6.4.4 リスク評価)、6.5 リスク対応(6.5.3 リスク対応計画の準備及び実施)、6.6 モニタリング及びレビュー、6.7 記録作成及び報告)

  57. 問57.マイナスのリスク(脅威)への対応戦略には、回避・転嫁・軽減・受容がある。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。プロジェクトにマイナスの影響を与えるリスク(脅威)への代表的な対応戦略は回避・転嫁・軽減・受容で、PMBOKガイド第6版ではこれにエスカレーション(脅威がプロジェクトの範囲の外にあるときや、対応策がプロジェクトマネージャの権限を超えるときに、組織で扱う)が加わった。回避は原因を取り除く(スコープの縮小や中止など)、転嫁は保険や外部への委託などで第三者に移す、軽減は発生確率や影響度を下げる、受容は積極的な対応がとれないときにリスクを受け入れ、時間や資金の予備を設けるなどして備える。プラスのリスク(好機)への代表的な戦略は活用・共有・強化・受容。

    根拠: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.0 プロジェクトマネジメント 8.プロジェクトのリスク(3)ツールと技法 用語例「脅威への戦略,好機への戦略」(PDF 87ページ) / 日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)PM研究・研修部会「PMBOKガイド第6版概要解説」(PMシンポジウム2020、2020年9月11日) 27ページ「リスク対応戦略」:脅威へのリスク対応戦略=エスカレーション(脅威がプロジェクト・スコープの外部にあるか、対応策がプロジェクトマネジャーの権限を超えている場合は組織でマネジメント)・回避(原因の除去、スコープの縮小、プロジェクトの中止)・転嫁(第三者に移転。保険、外注委託など)・軽減(発生確率や影響度の軽減)・受容(積極的な対応戦略が不可能な場合。能動的な受容ではコンティンジェンシー予備を設ける) / @IT「6分で読めるPMBOKのリスク・マネジメント」(メンバーに贈るプロマネ基礎講座(9)、2008年8月6日)2ページ プラスの影響を与えるリスクへの戦略:活用・共有・強化・受容(第4版のころの記事)

  58. 問58.ITILは、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワークである。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ITIL(IT Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントのベストプラクティス、つまりIT運用の現場で積み重ねられた知識やノウハウを集めたフレームワークで、もとは英国政府が作成・文書化した。サービスマネジメントの事実上の標準として世界で活用されており、インシデントや問題の管理などの実践を扱う。サービスマネジメントシステムについて組織が満たすべき要求事項を定めたJIS Q 20000(ISO/IEC 20000)の規格群とは別のものである。

    根拠: ITIL®(IT インフラストラクチャ・ライブラリ)2011(一般社団法人情報サービス産業協会 JISA) 要約(ITサービスマネジメントのベストプラクティスを集めたフレームワーク。英国商務省が作成・文書化) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.90 サービスマネジメント(2)JIS Q 20000(組織に対する要求事項)・(3)ITIL(デファクトスタンダードとして世界で活用) / PeopleCert「ITIL Qualification Scheme | Global Best Practice Framework」 ITIL is the global best practice framework for digital product and service management/Coordinate monitoring, incident, problem, and request fulfilment practices

  59. 問59.システム監査は、専門性と客観性を備えた監査人が、一定の基準に基づいて情報システムを検証・評価し、その適切性等について保証を与える、又は改善のための助言を行う監査である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。経済産業省のシステム監査基準(令和5年改訂版)は、システム監査を、専門性と客観性を備えた監査人が、一定の基準に基づいてITシステムの利活用に係る検証・評価を行い、監査結果の利用者にこれらのガバナンス、マネジメント、コントロールの適切性等に対する保証を与える、又は改善のための助言を行う監査としている(平成30年版もほぼ同じ定義)。コントロールが適切に実施されることによって、情報システムの有効性、効率性、信頼性、安全性(機密性、完全性、可用性)、準拠性が維持されるとされる(【基準6】)。また、監査人が監査対象の領域又は活動から、独立かつ客観的な立場で監査が実施されているという外観にも十分に配慮されなければならない(【基準4】)。

    根拠: システム監査基準(経済産業省 令和5年4月26日改訂) システム監査の意義と目的(印刷 p.7)、【基準4】監査の独立性と客観性の保持(印刷 p.17)、【基準6】監査計画の策定 <主旨>2 ③(印刷 p.21) / システム監査基準(経済産業省 平成30年4月20日改訂版)※現行は令和5年4月26日改訂版 前文 [1]システム監査の意義と目的、[2]システム監査基準の意義と適用上の留意事項

  60. 問60.システム監査人は、調査・収集し検証・評価した情報を、監査の結論に至った過程が分かるように整理して監査調書として文書化・保管し、監査報告書の基礎資料や監査結果の裏付けとする。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。監査調書は監査の結論を支える証拠の記録で、監査報告書作成の基礎資料・監査結果の裏付けとなる(シラバス 監査調書の作成と保管)。

    根拠: システム監査基準(経済産業省 平成30年4月20日改訂版)※現行は令和5年4月26日改訂版 【基準9】監査調書の作成と保管(主旨・解釈指針)、【基準10】監査の結論の形成

  61. 問61.アジャイル開発は、短いイテレーション(スプリント)で動くソフトウェアを段階的に開発する手法である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。アジャイル開発は、動くソフトウェアを短い間隔で繰り返し届けながら開発を進める手法である。アジャイル宣言の背後にある原則は、動くソフトウェアを2〜3週間から2〜3か月というできるだけ短い時間間隔でリリースし、動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度であるとする。スクラムではこの繰り返しの単位をスプリントと呼び、1か月以内の決まった長さとする。要求の変更は開発の後期であっても歓迎するとしており、変化への対応を重視する点も特徴である。代表的な手法にスクラムやXPがある。

    根拠: アジャイル宣言の背後にある原則(日本語) 原則「動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ短い時間間隔でリリースします」「動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です」「要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します」 / スクラムガイド(2020年11月版・日本語版) スクラムイベント:スプリント「スプリントは1か月以内の決まった長さとする」(p.8) / 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」 中分類13 ソフトウェア開発管理技術 1.(1)②アジャイル(a)アジャイルの概要 用語例 アジャイルソフトウェア開発宣言・XP・スクラム(p.74)

  62. 問62.プロジェクト憲章は、プロジェクトを正式に認可し、プロジェクトマネージャを任命してその責任と権限を明確にする文書である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。「プロジェクト憲章の作成」は統合の対象群のプロセスで、プロジェクトを正式に認可し、プロジェクトマネージャを特定してその責任と権限を定める(JIS Q 21500 4.3.2)。

    根拠: JIS Q 21500:2018 プロジェクトマネジメントの手引(ISO 21500:2012) 4.3.2 プロジェクト憲章の作成

  63. 問63.DevOpsは、開発(Dev)と運用(Ops)の連携を強化し、迅速かつ高頻度なリリースを実現する文化・手法である。

    正解:○(正しい)

    解説:DevOps:CI/CD・IaC(Infrastructure as Code)・モニタリング・自動化等のプラクティス。アジャイルから派生し継続的デリバリーを実現。

    根拠: NIST CSRC Glossary: Development Operations (DevOps)(出典: NIST SP 800-190、SP 800-218) Definitions

  64. 問64.CMMIは、組織のソフトウェア開発プロセス能力を3段階で評価する。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。CMMIの成熟度レベルは、1 初期、2 管理された、3 定義された、4 定量的に管理された、5 最適化している、の5段階に、取り組みが場当たり的な0 不完全を加えて示される。実践領域ごとの能力レベルも0〜3の4段階で、どちらで見ても3段階ではない。レベル2ではプロジェクト単位で計画・実施・測定・管理が行われ、レベル3では組織全体の標準がプロジェクトを導くというように、上のレベルは下のレベルの実践に新しい実践を積み上げて成り立つ。

    根拠: CMMI Institute - CMMI Levels of Capability and Performance Maturity Levels(Level 0 Incomplete〜Level 5 Optimizing)/Capability Levels(Level 0〜Level 3)

  65. 問65.ファンクションポイント法は、ハードウェアの構成数から見積もる方法である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。FPはソフトウェアの「機能数・複雑さ」から(ハードではない)。

    根拠: ソフトウェア開発における定量的管理の主な手法(IPA 社会基盤センター) 2.1 用語解説(1) 規模尺度 FP / ISO/IEC 14143-1:2007 Information technology — Software measurement — Functional size measurement — Part 1: Definition of concepts Abstract

  66. 問66.ITサービスマネジメントは、顧客との合意に基づいて、顧客にとって価値のあるITサービスを継続的かつ効率的に提供・管理するための活動である。

    正解:○(正しい)

    解説:ITサービスマネジメントは、サービスレベルの合意(SLA)に沿ってITサービスを提供し、品質とコスト効率を保ちながら顧客のビジネスに価値をもたらすことを目指す。その実践のベストプラクティス集がITIL、認証の規格がJIS Q 20000(ISO/IEC 20000)である。

    根拠: JIS Q 20000-1:2020 情報技術−サービスマネジメント−第1部:サービスマネジメントシステム要求事項(ISO/IEC 20000-1:2018) 序文

  67. 問67.インシデント管理の目的は、根本原因の追究と再発防止のみである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。インシデント管理は「サービス中断影響を最小化し早期正常化」(根本原因追究は問題管理)。

    根拠: JIS Q 20000-1:2020 情報技術-サービスマネジメント-第1部:サービスマネジメントシステム要求事項 8.6.1 インシデント管理 a)~e)

  68. 問68.変更管理(チェンジマネジメント)は、変更を計画段階のみで管理するプロセスである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。ITサービスマネジメントの変更管理は、変更要求を記録・分類し、リスク、事業利益、実現可能性、財務影響を考えて承認と優先度を決め、変更の実施とその後のレビューまでを扱うプロセスである。計画段階だけを管理するものではない。変更の後にはインシデントが起きやすいため、変更の評価、認可、実施、レビューを決められた手順で確実に行い、変更が原因のインシデントを抑える。

    根拠: JIP-ITSMS111-3.0 ITSMS(JIS Q 20000-1:2020)解説資料(JIPDEC) 8.5.1.1 変更管理方針(評価、認可、実施、レビュー)、8.5.1.2 変更管理の開始(変更要求を記録し分類)、8.5.1.3 変更管理の活動(承認及び優先度の決定), pp.86-88/153 / 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」 中分類15 サービスマネジメント 2.(12)変更管理(p.88)

  69. 問69.V字モデルでは、要件定義に対しユニットテスト、基本設計に対しシステムテストが対応する。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。V字モデルは、開発の各工程で決めた内容を、対応するテストで確かめる考え方。ユニット(単体)テストは、ソフトウェア設計で決めた各ソフトウェアユニット(プログラム)の機能仕様を満たしているかを確かめるテストで、詳細設計の側に対応し、要件定義には対応しない。要件定義に対応するのは、システムテスト(システム要件定義で定めた要件に従うシステム検証テスト)や受入れテストなど、範囲の広いテストである。V字の底では詳細設計と単体テストが向かい合い、上へ行くほど要件定義に近い工程と範囲の広いテストが対応する、と押さえる。

    根拠: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.67 ③ソフトウェアユニットのテストの設計(ソフトウェアユニット機能仕様書で提示された要件を全て満たしているかを確認)、PDF p.72(5)ソフトウェア検証テスト(ソフトウェア要件定義で定義したソフトウェア要件に従って行う)、PDF p.73(11)システム検証テスト(システム要件定義で定義したシステム要件に従って行う)、PDF p.74〜75 5.導入・受入れ支援(受入れテスト・妥当性確認テスト)

  70. 問70.ISO/IEC 25010の品質特性は、機能・性能・互換性の3つのみである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。ISO/IEC 25010:2011(JIS X 25010:2013)は、製品品質モデルを機能適合性、性能効率性、互換性、使用性、信頼性、セキュリティ、保守性、移植性の八つの特性で定義している。2023年の改訂(JIS X 25010:2025)では安全性が加わって九つになり、使用性と移植性はそれぞれインタラクション容易性(対話性)と柔軟性に置き換えられた。どの版でも、機能・性能・互換性の3つだけではない。

    根拠: JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-システム及びソフトウェア品質モデル 1 適用範囲 b)、注記2(ISO/IEC 25010:2011 と IDT)、4.2 製品品質モデル(八つの特性) / JIS X 25010:2025 システム及びソフトウェア技術-システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-製品品質モデル(プレビュー) 序文・主要な変更点(ISO/IEC 25010:2023 対応) / 【Column】ソフトウェア品質はなぜ重要なのか?(一般社団法人ソフトウェア協会 SAJ) 「ソフトウェア品質モデルの進化」の節

  71. 問71.PMBOKガイド第6版の10知識エリアに含まれないものはどれか。

    • ア.スコープ管理
    • イ.スケジュール管理
    • ウ.リスク管理
    • エ.法令遵守管理

    正解:エ.法令遵守管理

    解説:PMBOKガイド第6版の10知識エリアは、統合・スコープ・スケジュール・コスト・品質・資源・コミュニケーション・リスク・調達・ステークホルダーの各マネジメント。「法令遵守管理」は含まれない。第7版以降は原則とパフォーマンス領域の構成になっている。

    根拠: A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK Guide) – Sixth Edition (PMI 公開の正誤表付き抜粋、用語集) Glossary: Project Scope / Schedule / Risk / Resource / Quality / Procurement / Stakeholder Management の各定義

  72. 問72.EVMで「進捗が予定より遅れている」ことを示すものはどれか。

    • ア.SPI < 1
    • イ.CPI < 1
    • ウ.SPI > 1
    • エ.CPI > 1

    正解:ア.SPI < 1

    解説:EVMでは、PV(計画価値=その時点までに予定していた作業の予算額)、EV(出来高=その時点までに完了した作業の予算上の価値)、AC(実コスト=実際にかかった費用)を金額にそろえて比べる。SPI(スケジュール効率指数)=EV÷PVで、1未満なら予定した作業が終わっておらず進捗遅れ、1を超えれば前倒しを表す。CPI(コスト効率指数)=EV÷ACはコストの効率を表し、1未満はコスト超過、1を超えれば予算より少ない費用で済んでいることを示すもので、進捗の遅れは示さない。

    根拠: Project Management, 2nd edition (Cleveland State University): 11.3 Earned Value Management (EVM) Planned Value (PV)・Earned Value (EV)・Actual Cost (AC) の定義、11.3.2 Variance Analysis(CPI = EV / AC:1.0未満はコスト超過・1.0超はコスト内、SPI = EV / PV:1.0未満は進捗遅れ・1.0超は前倒し) / IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 PDF p.86 時間 用語例「EVM(Earned Value Management)」

  73. 問73.次のリスク対応戦略のうち、外部に責任を移す方法はどれか。

    • ア.回避
    • イ.転嫁
    • ウ.軽減
    • エ.受容

    正解:イ.転嫁

    解説:転嫁:保険加入・外部委託等で第三者にリスクを移転。回避はリスクを排除、軽減は影響を減らす、受容はそのまま受け入れる。

    根拠: JIS Q 27000:2019 情報技術-セキュリティ技術-情報セキュリティマネジメントシステム-用語 3.72 リスク対応 注記1 / NIST Glossary: risk response (NIST SP 800-39 / NISTIR 8286 ほか) risk response の定義

  74. 問74.ITILのインシデント管理の目的として正しいものはどれか。

    • ア.根本原因の分析と再発防止処置の決定
    • イ.サービス改善の機会の評価と改善活動の管理
    • ウ.サービス中断の影響最小化と早期復旧
    • エ.変更要求の評価・認可と実施の調整

    正解:ウ.サービス中断の影響最小化と早期復旧

    解説:インシデント管理の目的は、サービスの計画外の中断や品質の低下が起きたときに、業務への影響を抑えて早く通常のサービスに戻すことである。インシデントを記録・分類し、影響と緊急度から優先順位を付け、必要ならエスカレーションして解決・終了する。根本原因を分析して再発を防ぐ処置を決めるのは問題管理、改善の機会を評価して改善活動を管理するのは継続的改善、変更要求を評価・認可して実施を調整するのは変更管理の活動で、いずれもインシデント管理の目的ではない。

    根拠: 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」 中分類15 サービスマネジメント 2.(15)インシデント管理 ①インシデントの対応(p.89)、(17)問題管理(p.90)、3.(2)②継続的改善(p.91) / JIP-ITSMS111-3.0 ITSMS(JIS Q 20000-1:2020)解説資料(JIPDEC) 8.5.1.1 変更管理方針(変更の評価、認可、実施、レビュー)、8.5.1.3 変更管理の活動, pp.86-88/153 / What Is Incident Management? (IBM Think) What is incident management?(maintaining normal service and minimizing impact)/Incidents versus problems

  75. 問75.スクラムにおけるタイムボックス(決められた時間枠)として誤っているものはどれか。

    • ア.スプリント:1か月以内
    • イ.デイリースクラム:15分
    • ウ.スプリント計画:8時間(1か月スプリント)
    • エ.スプリントレビュー:8時間(1か月スプリント)

    正解:エ.スプリントレビュー:8時間(1か月スプリント)

    解説:スプリントレビューのタイムボックスは、1か月のスプリントで最大4時間であり、8時間とする記述が誤っている。最大8時間なのはスプリントプランニングで、これも1か月のスプリントの場合の上限である。スプリントは1か月以内の決まった長さとし、前のスプリントが終わり次第、次のスプリントが始まる。デイリースクラムは開発者のための15分のイベントで、毎日同じ時間・場所で開く。スプリントが短ければ、プランニングやレビューの時間も短くすることが多い。

    根拠: スクラムガイド(2020年11月版・日本語版) スクラムイベント:スプリント(1か月以内の決まった長さ, p.8)/スプリントプランニング(最大8時間, p.10)/デイリースクラム(15分, p.10)/スプリントレビュー(最大4時間, p.11)

  76. 問76.BSCは、財務視点のみで戦略を評価する手法である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。BSCは「財務・顧客・業務プロセス・学習成長」の4視点(財務のみではない)。

    根拠: Oracle Business Intelligence Enterprise Edition ユーザーズ・ガイド「バランス・スコアカードとは」 バランス・スコアカードとは(冒頭2段落)

  77. 問77.KPI(Key Performance Indicator)は、目標の達成に向けた取組の進み具合を定量的に測る重要業績評価指標である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。KPI(重要業績評価指標)は、目標を達成するための取組の進み具合を定量的に測る指標。最終目標そのものの達成を測る KGI(重要目標達成指標)に対し、KPI はそこへ向かう途中の状況を日次・月次など短い間隔で点検し、目標達成のかぎとなる要因(CSF)がうまく働いているかを確かめるのに使う。BSC(バランス・スコアカード)では、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の視点ごとに KPI などを設定して繰り返し点検する。

    根拠: 内閣府 経済財政諮問会議資料「KPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicator)とは」(総務省提出の参考資料) p.1 KPIの定義の項(目標を達成するための取組の進捗状況を定量的に測定するための指標) / 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)「KPI」(コトバンク) KPIの項(KGIが長期の最終目標の指標なのに対しKPIは短期間で結果のわかる数値、CSFが機能しているかをKPIで定期的に測定、BSCの4つの視点とKPI・KGI・CSFの設定)

  78. 問78.PDCAサイクルは、Plan→Do→Check→Actionの一回完結モデルである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。PDCAは「継続的改善のための繰返し」(一回完結ではない)。

    根拠: JIS Q 45001 : 2018 労働安全衛生マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引 序文 0.4 Plan-Do-Check-Actサイクル

  79. 問79.TQM(総合的品質管理)は、組織全体で品質向上に取り組む経営手法である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。TQM(総合的品質管理)は、顧客と社会のニーズを満たす製品・サービスの提供と、働く人々の満足を通した組織の長期的な成功を目的に、プロセスとシステムの維持向上・改善・革新を全部門・全階層の参加を得て行う活動である。品質を検査部門や製造現場だけの仕事とせず、経営として組織全体で取り組む点が要点で、方針管理や日常管理、小集団改善活動はTQMの中で使われる仕組みである。

    根拠: JIS Q 9023:2018 マネジメントシステムのパフォーマンス改善-方針管理の要件 序文(TQMにおける方針管理、日常管理、小集団改善活動)、附属書A(参考)A.1 総合的品質管理において中核となる活動(TQMの定義)

  80. 問80.6シグマは、欠陥率を5%以下に抑えることを目指す手法である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。6シグマは「100万分の3.4以下」(5%は5万ppmで桁違い大、6シグマは3.4ppm)。

    根拠: Lean, ISO, and Six Sigma (NIST Baldrige Performance Excellence Program) Six Sigma の節

  81. 問81.BCPは、平常時の業務効率向上のみを目的とした計画である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。BCPは「災害・事故等緊急時の事業継続計画」(平常時効率向上ではない)。

    根拠: 中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針 1.1 BCP(事業継続計画)とは 1.1 BCPとは(冒頭の定義)

  82. 問82.クラッシングは、本来は順番に行う作業を並行して進めることで、プロジェクトの所要期間を短縮する技法である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。作業を並行して進めるのはファストトラッキング。クラッシングは、クリティカルパス上の作業に資源を追加投入して期間を短縮する技法で、コストが増える(シラバス 時間の対象群)。

    根拠: Managing Crashed & Fastracked Shorten Interval Project (PMI Learning Library) PMI Definitions of Crashing and Fast Tracking Methods の節

  83. 問83.ITサービス継続の目標を決めるときは、費用にかかわらず、RTOとRPOをゼロに、RLOを事故前と同じ水準にすることが望ましいとされる。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。費用を考えずに目標を決めると、RTOとRPOはゼロ、RLOは事故前と同じ水準という要件になるが、これを満たすには非常に大きな費用がかかる。そのため、対策の費用と、ITサービスが中断・停止したときの損失や業務への影響度との釣り合いを取って目標を決める。RTO(目標復旧時間)は業務を復旧させるまでの目標時間、RPO(目標復旧時点)は事故前のどの時点までデータを戻すかの目標、RLO(目標復旧レベル)は業務をどの水準まで復旧させるか、どの水準で継続させるかの指標である。

    根拠: IT サービス継続ガイドライン 平成20年9月 経済産業省(内閣府防災担当サイト掲載) 3. 定義 g) 目標復旧時間(RTO)、目標復旧ポイント(RPO)、目標復旧レベル(RLO)(p.7)/4.2.2(2)要件定義(p.11)/5.2(2)費用対効果の検討(p.29) / 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」 中分類15 サービスマネジメント 2.(19)サービス継続管理 用語例 RTO・RPO・RLO(p.90)

  84. 問84.J-SOXは、すべての企業に適用される内部統制制度である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。J-SOXは「上場企業」の財務報告内部統制(全企業ではない)。

    根拠: 内部統制関連資料 参考資料1(総務省。会社法と金融商品取引法の内部統制の比較表と金融商品取引法の参考条文を掲載) p.2(会社法と金商法の内部統制の概要。対象企業の欄)、p.9(金融商品取引法第24条の4の4) / 金融商品取引法第24条の4の4(内部統制報告書) 第24条の4の4 (出典: e-Gov法令検索)

  85. 問85.IT全般統制は、財務報告に関わるIT環境の信頼性を支える共通的な統制活動である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。IT全般統制は、業務処理統制が有効に機能する環境を保証するための統制活動で、通常、複数の業務処理統制に共通して関係する方針と手続をいう。具体例は、システムの開発・保守に係る管理、システムの運用・管理、内外からのアクセス管理などシステムの安全性の確保、外部委託に関する契約の管理。業務処理統制(承認された業務が全て正確に処理・記録されるよう業務プロセスに組み込まれた統制)と一体となって機能することが重要で、全般統制が有効に機能しないと、業務処理統制を組み込んでいてもその有効性が保証されなくなるおそれがある。

    根拠: 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(金融庁 企業会計審議会・2023年4月7日) 実施基準 Ⅰ.2.(6)② 〔ITの統制〕ロ.(冒頭)・a.ITに係る全般統制・b.ITに係る業務処理統制(PDF p.44〜46) / 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の実施基準(抄)新旧対照表(金融庁 企業会計審議会 内部統制部会資料) Ⅱ.3(3) IT(情報技術)への対応/ニ.ITを利用した内部統制の整備状況及び運用状況の有効性の評価 a.ITに係る全般統制の評価

  86. 問86.IT業務処理統制は、財務報告に関わるアプリケーション内の入力・処理・出力の正確性を保証する統制である。

    正解:○(正しい)

    解説:IT業務処理統制:入力チェック・計算ロジック・承認ワークフロー・例外処理等のアプリケーション内統制。

    根拠: 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(内部統制の基本的枠組み 2.(6)②ロ b.ITに係る業務処理統制)金融庁企業会計審議会 Ⅰ.内部統制の基本的枠組み 2.(6)②ロ b(PDF p.45)

  87. 問87.システム監査基準は、総務省が定めたものである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。システム監査基準は、総務省ではなく経済産業省が策定・公表しているもので、システム監査を行う監査人の行為規範と監査手続の規則を定めている。同じく経済産業省が策定・公表するシステム管理基準は、システム監査人が判断に使う尺度を定めたもので、役割が異なる。両基準とも令和5年4月26日に改訂されている。

    根拠: システム監査制度について(経済産業省) 「システム監査基準」及び「システム管理基準」について(監査人の行為規範及び監査手続の規則/判断の尺度、令和5年4月26日改訂)

  88. 問88.ファシリティマネジメントにおける施設・設備の維持保全では、水道光熱費や修繕費などを含めたライフサイクル費用の削減を目指して修繕計画を立て、施設・設備の長寿命化を図る。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。ファシリティマネジメント(FM)は、施設とその環境を経営の視点から総合的に企画、管理、活用する活動で、施設・設備の維持保全もその一部である。維持保全では、施設・設備を適正な状態に保つとともに、水道光熱費、保守・メンテナンス費、修繕費などを含めたライフサイクル費用の削減を目指して修繕計画を立て、長寿命化を図る。壊れたときの修理費だけでなく、施設を使い続ける期間全体の費用で考える点が要点である。

    根拠: 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」 中分類15 サービスマネジメント 5.(1)③施設・設備の維持保全(p.93)、①ファシリティマネジメントの目的と考え方(p.92) / FMとはどのようなものか - 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA) ファシリティマネジメント(FM)とは(定義)

  89. 問89.リスクアセスメントは、リスクの特定・分析・評価のプロセスを総称する用語である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。リスクアセスメントは、リスク特定・リスク分析・リスク評価のプロセス全体を指す用語である(JIS Q 0073)。このうちリスク分析は、リスクの特質を理解して、リスクレベルを決めるプロセスである。リスク評価は、リスクへの対応を決める際の意思決定を助ける。リスクアセスメント=特定・分析・評価の三つ、と覚えるとよい。

    根拠: JIS Q 0073:2010 リスクマネジメント-用語 3.4.1 リスクアセスメント、3.6.1 リスク分析、3.7.1 リスク評価

  90. 問90.ITサービスマネジメントの変更管理で扱う変更のカテゴリは、緊急変更の1種類だけである。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。JIS Q 20000-1:2020の8.5.1.1は、変更管理の方針として「緊急変更を含む変更のカテゴリ及びそれらの管理方法」を定義することを求めており、緊急変更は変更のカテゴリの一つにすぎない。JIPDECの解説資料の図8-5でも、変更要求を記録・分類する段階で標準・重大・通常・緊急などに分け、標準は標準変更手順、緊急は緊急変更・緊急リリース手順で扱う流れが示されている。

    根拠: JIP-ITSMS111-3.0 ITSMS(JIS Q 20000-1:2020)解説資料(JIPDEC) 8.5.1.1 変更管理の方針(JIS Q 20000-1:2020 の引用 b) 緊急変更を含む変更のカテゴリ)、図8-5 変更管理の活動(PDF 88・90ページ)

  91. 問91.SLAは、ITサービスのコストのみを規定する合意である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。SLAは「サービス品質基準(可用性・応答時間等)の合意」(コストだけではない)。

    根拠: JIPDEC ISMS-AC ITSMS資料 JIP-ITSMS111-20(JIS Q 20000-1:2012 3.29 サービスレベル合意書, SLAの定義を引用) 3.29 サービスレベル合意書, SLA(PDF 37ページ付近)

  92. 問92.BIツールは、業務システムのリアルタイム制御に用いられる。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。BIは「業務データの分析・可視化で経営判断支援」(リアルタイム制御ではない)。

    根拠: What Is Business Intelligence (BI)? 冒頭の定義部分

  93. 問93.データウェアハウス(DWH)は、企業内の各種データを統合・蓄積した、意思決定支援用のデータベースである。

    正解:○(正しい)

    解説:DWH:時系列・主題志向のデータ蓄積。ETL(Extract-Transform-Load)でデータ取込み。

    根拠: Oracle Database Data Warehousing Guide(データ・ウェアハウスの概念の概要) 1.1 データ・ウェアハウスとは / Oracle Database データウェアハウス・ガイド 11g リリース1 (データ・ウェアハウスの概要) データ・ウェアハウスの概要

  94. 問94.データマート(DM)は、特定の部門・用途向けに特化されたデータウェアハウスのサブセットである。

    正解:○(正しい)

    解説:データマート:DWHの一部を切り出し、部門別(営業・マーケ・財務等)に最適化。アクセス速度・運用容易性向上。

    根拠: Oracle Retail Glossary (data mart の項) Glossary: data mart

  95. 問95.OLAPは、1次元データのみを扱う分析処理である。

    正解:×(誤り)

    解説:誤り。OLAPは「多次元データを様々な切り口で分析」(1次元ではない)。

    根拠: OLAP(多次元データベース)による医療統計の公表手法開発に関する研究(厚生労働科学研究成果データベース、研究報告書概要版) 研究目的

  96. 問96.プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)は、組織内の複数プロジェクトを統括・支援する部門である。

    正解:○(正しい)

    解説:正しい。PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、プロジェクトに関わるガバナンスの手順を標準化し、資源、方法論、ツールや技法の共有を促すマネジメントの仕組みで、さまざまな形でプロジェクトマネージャを支援する。ガバナンス、標準化、プロジェクトマネジメントの教育訓練、プロジェクトの計画と監視など多彩な活動を担うことがある。置かれる範囲は、一つのプロジェクトを支える形から、プログラムの下の複数プロジェクト、組織全体のポートフォリオを担う形まである。

    根拠: JIS Q 21500:2018 プロジェクトマネジメントの手引(ISO 21500:2012) 3.8 プロジェクトのステークホルダ及びプロジェクトの組織(プロジェクトマネジメントオフィスの活動) / The PMO: your key to strategy execution and results delivery (PMI Global Congress paper) The Types and Roles of the PMO(PMBOK Guide 第5版の定義の引用、Project/Program/Portfolio Management Office)

  97. 問97.バランススコアカード(BSC)の4つの視点として誤っているものはどれか。

    • ア.財務の視点
    • イ.顧客の視点
    • ウ.業務プロセスの視点
    • エ.競合他社の視点

    正解:エ.競合他社の視点

    解説:BSC 4視点:財務・顧客・業務プロセス・学習成長。「競合他社」は5フォース等の別フレーム。

    根拠: BSC(ビーエスシー)とは - 日本大百科全書(ニッポニカ)・デジタル大辞泉(コトバンク) BSC の項 / バランスト・スコアカード(神戸大学大学院経営学研究科 ビジネスキーワード) 本文

  98. 問98.BCPの主要指標RTOとRPOの組合せとして正しいものはどれか。

    • ア.RTO=復旧時間目標、RPO=復旧時点目標
    • イ.RTO=データ損失目標、RPO=時間目標
    • ウ.両者同義
    • エ.RTO=コスト、RPO=時間

    正解:ア.RTO=復旧時間目標、RPO=復旧時点目標

    解説:正解はRTO=復旧時間目標、RPO=復旧時点目標。RTOは、事故後に業務を復旧させるまでの目標時間である。RPOは、事故後に事故前のどの時点までデータを復旧するかの目標時点である。RTOは復旧までの時間の目標、RPOはデータを戻す時点の目標であり、両者の対応を入れ替えた組合せは誤りである。RTOとRPOは別の指標であり、同義ではない。RTOはコストではなく復旧時間の目標であり、RTOやRPOを短くしすぎるとコストが膨大になる可能性がある。RTOは「時間」、RPOは「時点」と覚える。

    根拠: IT サービス継続ガイドライン(経済産業省、平成20年9月) 資料の用語説明(7ページ、PDF 10ページ)、5.2(2) 費用対効果の検討(PDF 32ページ)

  99. 問99.次のうち、J-SOX(金融商品取引法の内部統制報告制度)について誤っているものはどれか。

    • ア.上場会社などに提出義務がある
    • イ.報告書は四半期ごとに提出する
    • ウ.経営者が評価し監査人が監査する
    • エ.財務報告の信頼性の確保が目的

    正解:イ.報告書は四半期ごとに提出する

    解説:J-SOX は、上場会社など政令で定める会社に、財務報告の信頼性を確保するために必要な体制(内部統制)を経営者が評価した内部統制報告書を、事業年度ごとに有価証券報告書と併せて提出させる制度(金融商品取引法24条の4の4)。報告書は事業年度ごとに出すもので、四半期ごとに提出するのは誤り。報告書は原則として公認会計士又は監査法人の監査証明を受けるので、経営者が評価し監査人が監査するのは正しい。上場会社などに提出義務があること、財務報告の信頼性の確保が目的であることも制度の内容どおり。

    根拠: 金融商品取引法に基づく内部統制報告制度の概要(金融庁 企業会計審議会 内部統制部会 資料1) 1枚目(上場会社は事業年度ごとに財務報告の適正性を確保する体制を評価した内部統制報告書を有価証券報告書と併せて提出、公認会計士又は監査法人の監査証明) / 金融商品取引法 第24条の4の4(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価) 第24条の4の4 / 金融商品取引法 第193条の2(公認会計士又は監査法人による監査証明) 第193条の2 / 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(金融庁 企業会計審議会・2023年4月7日) 基準 Ⅱ.1 財務報告に係る内部統制の評価の意義(経営者は財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の有効性を自ら評価し外部に報告)(PDF p.11) (出典: e-Gov法令検索)

  100. 問100.6シグマの欠陥率の目標水準として正しいものはどれか。

    • ア.1000分の2.7
    • イ.1万分の62
    • ウ.100万分の3.4
    • エ.10億分の2

    正解:ウ.100万分の3.4

    解説:6シグマは、ばらつき(標準偏差σ)を極めて小さくし、規格限界から外れる割合を100万回の機会あたり3.4回(3.4 DPMO)に抑えることを目標とする。この3.4は、工程の平均が長い期間に1.5σずれることを見込み、規格限界までの余裕を4.5σとして計算した値である。ずれを見込まずに±6σの外側を計算すると約10億分の2になる。1000分の2.7はずれを見込まない±3σの外側の割合、1万分の62は同じずれを見込んだ4σ水準の値で、どちらも6シグマより欠陥がずっと多い。

    根拠: リーンシックスシグマの医療BSCへの導入について(鈴田祐介、経済論究 162, pp.1-19, 2018、九州大学学術情報リポジトリ) シックスシグマの説明部分(規格限界から外れる確率が100万分の3.4回) / Coskun A, Ialongo C. Six Sigma revisited: We need evidence to include a 1.5 SD shift in the extraanalytical phase of the total testing process. Biochemia Medica (PMC6999184) Introduction(6 sigma は統計的には 0.002 DPMO、1.5 SD シフトで 4.5 sigma・3.4 DPMO)、本文(SM 4 は 1.5 SD シフト込みで 6210 DPMO) / NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods 1.3.6.7.1 Cumulative Distribution Function of the Standard Normal Distribution Area under the Normal Curve from 0 to X:X=3.00 で 0.49865(±3σの外側 0.0027) / 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」 中分類19 経営戦略マネジメント 3. ビジネス戦略と目標・評価(2)④その他の手法「バリューエンジニアリング,シックスシグマなどの手法の目的,特徴,手順」(p.112)

  101. 問101.次のうち、PDCAサイクルの「Check」段階で行うことはどれか。

    • ア.計画の立案
    • イ.計画の実行
    • ウ.改善策の実施
    • エ.実行結果の評価・分析

    正解:エ.実行結果の評価・分析

    解説:Check:実行結果を評価・分析。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の順。

    根拠: PDCA サイクルを実践して生産性を高めよう(厚生労働省) Check(評価)段階の説明 / ISO 9001:2015 プロセスアプローチ(ISO/TC 176/SC 2/N1290 品質マネジメントシステム規格国内委員会 参考訳) PDCAサイクルの Plan/Do/Check/Act の説明

  102. 問102.プロジェクトマネジメントにおいて,スコープを対象とするプロセスを集めた対象群“スコープ”に含まれるプロセスはどれか。

    • ア.WBS の作成
    • イ.活動期間の見積り
    • ウ.コストの見積り
    • エ.予算の作成

    正解:ア.WBS の作成

    解説:スコープとは,そのプロジェクトで何を作り何をやるのかという作業と成果物の範囲のことである。WBS(作業分解構成図)は,成果物や作業を階層的に細かく分けて範囲を漏れなく洗い出すもので,まさにスコープを定める作業なので答はア。イの活動期間の見積りは,各作業にどれだけ日数がかかるかを見積もるもので,対象群としては「スケジュール」に属する。ウのコストの見積りとエの予算の作成は,いずれも費用を扱うので「コスト」に属する。範囲・時間・費用はプロジェクトの三大制約と呼ばれ,どれか一つを変えると他に影響が出るが,プロセスとしてはそれぞれ別の対象群に整理されている。スコープが決まらないと期間も費用も見積もれないので,順序としても最初に来る。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  103. 問103.チームの発展段階を五つに区分したタックマンモデルによれば,メンバーの異なる考え方や価値観が明確になり,メンバーがそれぞれの意見を主張し合う段階はどれか。

    • ア.安定期(Norming)
    • イ.遂行期(Performing)
    • ウ.成立期(Forming)
    • エ.動乱期(Storming)

    正解:エ.動乱期(Storming)

    解説:タックマンモデルは,チームが成立期→動乱期→安定期→遂行期→解散期の順に育つと説明する。動乱期(Storming)は,メンバーが遠慮なく意見を出すようになり,考え方や価値観の違いが表に出て衝突が起きる段階なので答はエ。この時期は一見うまくいっていないように見えるが,違いを避けずに擦り合わせることで次の段階へ進めるので,避けるべきものではなく通過すべき段階とされる。ウの成立期(Forming)は集まったばかりで互いに様子をうかがい,表面的には穏やかな段階。アの安定期(Norming)は,役割や進め方の共通認識ができて協力が成り立つ段階。イの遂行期(Performing)は,チームとして自律的に成果を出せる段階である。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  104. 問104.あるプロジェクトは4月から9月までの6か月間で開発を進めており,現在のメンバー全員が9月末まで作業すれば完了する見込みである。しかし,他のプロジェクトで発生した緊急の案件に対応するために,8月初めから,4人のメンバーがプロジェクトから外れることになった。9月末に予定どおり開発を完了させるために,7月の半ばからメンバーを増員する。条件に従うとき,人件費は何万円増加するか。 〔条件〕 ・元のメンバーと増員するメンバーの,プロジェクトにおける生産性は等しい。 ・7月の半ばから7月末までの0.5か月間,元のメンバー4人から増員するメンバーに引継ぎを行う。 ・引継ぎの期間中は,元のメンバー4人と増員するメンバーはプロジェクトの開発作業を実施しないが,人件費は全額をこのプロジェクトに計上する。 ・人件費は,1人月当たり100万円とする。

    • ア.200
    • イ.250
    • ウ.450
    • エ.700

    正解:ウ.450

    解説:まず,予定より足りなくなる開発量を数える。外れる4人は8月と9月の2か月分(4×2=8人月)が失われるが,それだけではない。引継ぎを行う7月半ば〜7月末の0.5か月間は,条件により元の4人も開発作業をしないので,ここでも 4×0.5=2人月 が失われる。合わせて10人月の不足になる。増員するメンバーも引継ぎ中は開発しないため,実際に開発できるのは8月と9月の2か月だけである。したがって必要な増員数は 10÷2=5人。次に人件費を数える。増員5人は7月半ばから9月末まで在籍するので 5人×2.5か月=12.5人月,つまり1,250万円が増える。一方,外れる4人の8月・9月分(4×2=8人月=800万円)はこのプロジェクトに計上されなくなるので減る。差し引き 1,250−800=450万円の増加となり,答はウ。落とし穴は,引継ぎ期間の0.5か月分を「元のメンバーの損失」として数え忘れることで,これを見落とすと増員が4人となり増加額は200万円(選択肢ア)になる。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  105. 問105.自動生産システムの増強に関する次のデシジョンツリーにおいて,新規にシステムを開発する場合の期待金額価値(EMV)は何億円か。問105の図

    • ア.14
    • イ.20
    • ウ.26
    • エ.64

    正解:ア.14

    解説:期待金額価値は,起こりうる結果の金額に,それぞれの発生確率を掛けて足し合わせた値である。問われているのは「新規にシステムを開発する場合」なので,上側の枝だけを見る。図の分岐の終点に書かれている30億円と−10億円は,収益から投資額50億円を差し引いたあとの値である(需要が大きい: 80−50=30,需要が小さい: 40−50=−10)。したがって EMV=0.6×30+0.4×(−10)=18−4=14億円となり,答はア。イの20は,既存システム改修の枝で需要が大きかった場合の終点の金額(20億円)をそのまま答えた値である。ウの26は,新規開発の14億円に既存システム改修の EMV(0.6×20+0.4×0=12億円)を足してしまった場合の値で,14+12=26 となる。問われているのは新規開発の側だけなので足してはいけない。エの64は,投資額を引かずに収益だけで期待値を取った場合(0.6×80+0.4×40=64)の値である。終点の金額が「収益」なのか「収益−投資額」なのかを取り違えると,投資額を二重に引いたり引き忘れたりする。この図では終点が既に差引後の値である。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  106. 問106.サービスマネジメントのサービス可用性管理において,インシデント又は将来インシデントとなる可能性のある事象について,その発生経路及び発生原因を分析し,発生確率の算出に使用できる技法はどれか。

    • ア.故障の木解析(FTA)
    • イ.故障モード・影響解析(FMEA)
    • ウ.コンポーネント障害インパクト分析(CFIA)
    • エ.単一障害点分析(SPOF 分析)

    正解:ア.故障の木解析(FTA)

    解説:FTA は,起きてほしくない事象(頂上事象)を出発点にして,それが起こるにはどんな下位の事象が組み合わさる必要があるかを AND・OR でつないだ木としてさかのぼる手法である。下位の事象に発生確率を与えれば,木をたどって頂上事象の発生確率を計算できるので,答はア。イの FMEA は逆向きで,部品ごとにどんな壊れ方(故障モード)があり,それが上位にどう影響するかを積み上げる手法であり,確率よりも影響の大きさと検知しやすさを評価する。ウの CFIA は,構成要素とサービスの対応表を作り,ある要素が止まるとどのサービスが影響を受けるかを洗い出す手法である。エの単一障害点分析は,そこが1か所壊れると全体が止まる箇所を見つける分析で,冗長化すべき点の特定に使う。「原因側から結果へ」が FMEA,「結果側から原因へ」が FTA と押さえると区別できる。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  107. 問107.サービスマネジメントにおける問題管理の活動はどれか。

    • ア.根本原因の特定
    • イ.サービス要求の優先度付け
    • ウ.変更要求の記録
    • エ.リリースの検証

    正解:ア.根本原因の特定

    解説:サービスマネジメントでは,利用者への影響を止めることと,二度と起こさないようにすることを別の活動に分けている。インシデント管理は「まずサービスを復旧させる」ことが目的で,暫定的な回避策でも構わない。これに対し問題管理は,インシデントの背後にある根本原因を突き止め,恒久的に取り除くことを目的とする。よって答はア。イのサービス要求の優先度付けは,利用者からの依頼(アカウント発行や情報提供など)を扱う要求実現の活動である。ウの変更要求の記録は変更管理,エのリリースの検証はリリース及び展開管理の活動にあたる。同じ障害が繰り返し起きているとき,復旧を速くするのがインシデント管理,繰り返しを止めるのが問題管理である。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  108. 問108.生成AIの処理などで用いられる,大量に発熱する GPU を搭載したサーバを,空気冷却よりも少ない消費電力で効率良く冷却できる液体冷却の一つに液浸冷却がある。液体冷却の方法の説明のうちで,液浸冷却の方法の説明に該当するものの組みはどれか。 〔液体冷却の方法の説明〕 a 液体を循環させて熱交換器で冷やす単相冷却と,気化熱を利用する二相冷却とがある。 b サーバに取り付けた金属板と熱交換してサーバを冷却する。 c サーバを筐体ごと液体に漬けて冷却する。 d 冷媒となる液体として通常は水を使用する。

    • ア.a, b
    • イ.a, c
    • ウ.b, d
    • エ.c, d

    正解:イ.a, c

    解説:液浸冷却は,サーバを丸ごと冷却液の中に沈めて熱を奪う方式である。したがって c は該当する。また液浸冷却には,液体を循環させて熱交換器で冷やす単相方式と,液体が沸騰するときの気化熱で熱を奪う二相方式があるので a も該当する。よって答はイ。b は,発熱する部品に金属板(コールドプレート)を密着させ,その中に冷却液を通す方式の説明で,こちらは直接液冷(コールドプレート方式)であり,サーバ全体を漬けるわけではない。d は誤りで,液浸冷却の液体には電気を通さない絶縁性のフッ素系や炭化水素系の液が使われる。水は電気を通すので,基板をそのまま漬ければ短絡してしまう。空気より液体の方が熱を運ぶ能力が高く,ファンが不要になるため消費電力も騒音も下げられる点が液体冷却の利点である。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  109. 問109.システム監査基準(令和5年)において,システム監査で使用される用語の説明として,適切なものはどれか。

    • ア.所見とは,他の標準的な監査人が監査を実施した場合であっても同じ検証結果を得られることである。
    • イ.正当な懐疑心とは,客観性の保持という精神的な態度を堅持できることである。
    • ウ.正当な注意とは,監査で発見したことに基づく考えや意見のことである。
    • エ.独立性とは,第三者から不当な影響や圧力等を受けていない状態のことである。

    正解:エ.独立性とは,第三者から不当な影響や圧力等を受けていない状態のことである。

    解説:システム監査基準でいう独立性は,監査人が監査対象から距離を保ち,第三者から不当な影響や圧力を受けずに判断できる状態を指す。組織上の位置づけとしての外形的な独立性と,心構えとしての精神的な独立性の両面がある。よって答はエ。アの説明「他の標準的な監査人でも同じ検証結果が得られる」は,監査の客観性・再現性を述べたもので,所見の定義ではない。所見とは,監査で発見した事実に基づく監査人の考えや意見のことで,これはウに書かれている内容である。つまりアとウは説明が入れ替わっている。イの正当な懐疑心は,提示された資料や説明を鵜呑みにせず,裏付けを取ろうとする姿勢を指す。「客観性の保持という精神的な態度」は独立性のうち精神的独立性の説明に近く,懐疑心の定義とは違う。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  110. 問110.システム監査報告書の改善提案に対し,システム監査人が行うフォローアップとして,適切なものはどれか。

    • ア.改善提案に対する改善の実施を監査対象部門の長に指示する。
    • イ.改善提案に対する監査対象部門の改善実施プロジェクトの管理を行う。
    • ウ.改善提案に対する監査対象部門の改善状況をモニタリングする。
    • エ.改善提案の内容を監査対象部門に示した上で改善計画を策定する。

    正解:ウ.改善提案に対する監査対象部門の改善状況をモニタリングする。

    解説:システム監査人は,監査対象から独立した立場で検証・評価する役割であり,改善そのものを実行する立場にはない。改善を実施する責任は監査対象部門にあり,監査人が行うフォローアップは,改善が計画どおり進んでいるかを見守り,必要に応じて助言することである。よって答はウ。アは改善の実施を「指示する」もので,指示は本来,経営者や部門の責任者が行う。監査人が指示すると,後でその結果を自分で監査することになり独立性が保てない。イはプロジェクトの管理を監査人が引き受ける形で,やはり実施する側に踏み込みすぎている。エは改善計画の策定を監査人が行うもので,これも自分が作った計画を自分で評価することになってしまう。「実施しない・管理しない・計画しない,見て確かめる」が監査人のフォローアップである。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  111. 問111.システム監査基準(令和5年)に従い,監査目的に基づいて,ガバナンス,マネジメント,コントロールの視点から検証・評価を行う。“コントロールの視点”から行う項目はどれか。

    • ア.IT 投資の結果が適切なリターンを生んでいるか。
    • イ.異常なアクセスを検出した際に適時に対処及び報告がなされているか。
    • ウ.情報セキュリティ対策が PDCA サイクルに基づいて適切に管理されているか。
    • エ.新技術や技術革新を経営戦略推進のために適時適切に利活用できているか。

    正解:イ.異常なアクセスを検出した際に適時に対処及び報告がなされているか。

    解説:3つの視点は階層で分かれている。ガバナンスは経営としての方向づけと監督,マネジメントは方針に沿って仕組みを回すこと,コントロールは日々の業務に組み込まれた個々の統制が実際に働いているかを指す。イの「異常なアクセスを検出した際に適時に対処及び報告がなされているか」は,現場に組み込まれた個別の統制が機能しているかを見るものなのでコントロールの視点にあたり,答はイ。ウはPDCAという管理の仕組みが回っているかを問うのでマネジメントの視点。アのIT投資のリターンとエの新技術の利活用は,いずれも経営としての方向づけと成果を問うものでガバナンスの視点である。同じ情報セキュリティを扱っていても,「方針を決め監督しているか」「仕組みを回しているか」「個々の統制が働いているか」で視点が変わる点が要である。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  112. 問112.EVM で管理しているプロジェクトがある。図は,プロジェクトの開始から完了予定までの期間の半分が経過した時点での状況である。コスト効率,スケジュール効率がこのままで推移すると仮定した場合の見通しのうち,適切なものはどれか。問112の図

    • ア.計画に比べてコストは多くなり,プロジェクトの完了は遅くなる。
    • イ.計画に比べてコストは多くなり,プロジェクトの完了は早くなる。
    • ウ.計画に比べてコストは少なくなり,プロジェクトの完了は遅くなる。
    • エ.計画に比べてコストは少なくなり,プロジェクトの完了は早くなる。

    正解:ア.計画に比べてコストは多くなり,プロジェクトの完了は遅くなる。

    解説:EVM では3つの累積値を比べる。PV(計画価値)は計画上その時点までに完了しているはずの出来高,EV(出来高)は実際に完了した作業の価値,AC(実コスト)は実際に使った費用である。図の現時点では,上から PV,AC,EV の順に並んでいる。まずコスト効率を見ると,CPI=EV/AC で EV が AC より低いので1を下回っており,投じた費用に見合う出来高が上がっていない。このまま推移すれば,完成までに掛かる費用は計画を上回る。次にスケジュール効率を見ると,SPI=EV/PV で EV が PV より低いので1を下回っており,計画より作業が遅れている。このまま推移すれば完了は予定より遅くなる。したがって「コストは多くなり,完了は遅くなる」というアが答え。図の読み方の要点は,EV が最も下にあるという1点で両方の効率が1未満だと分かることである。イとエは完了が早くなるとしており SPI の読みが逆,ウとエはコストが少なくなるとしており CPI の読みが逆である。なお AC が PV より下にあるのは「まだ予算を使い切っていない」という意味にすぎず,効率の良さを示すものではない。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  113. 問113.図のアローダイアグラムで表されるプロジェクトがある。結合点5の最早結合点時刻はプロジェクトの開始から第何日か。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。問113の図

    • ア.4
    • イ.5
    • ウ.6
    • エ.7

    正解:エ.7

    解説:最早結合点時刻は,その結合点に入ってくるすべての経路について「手前の結合点の最早時刻+作業の所要日数」を計算し,その最大値を取る。開始の結合点1を0日目として順に求める。結合点2へは作業 A(3日)だけが入るので3日目。結合点3へは1から作業 B(2日)で 0+2=2日目,2から作業 C(1日)で 3+1=4日目の2通りがあり,大きいほうを取って4日目になる。結合点4へは2から作業 D(4日)で 3+4=7日目。結合点5へ入る経路は3つある。2から作業 E(2日)で 3+2=5日目,3から作業 F(2日)で 4+2=6日目,4からダミー作業(0日)で 7+0=7日目である。最大値は7日目なので答はエ。この問題の要点は,点線で描かれたダミー作業を見落とさないことである。ダミー作業は所要日数0だが,結合点4の完了を待つという前後関係を表しているので,7日目という制約がそのまま結合点5に伝わる。イの5日は作業 E だけを見た場合,ウの6日は作業 F だけを見た場合,アの4日は結合点3の最早時刻をそのまま答えた場合の値であり,いずれも最大値を取るという規則を守っていない。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  114. 問114.JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“リスクの管理”の目的はどれか。

    • ア.特定したリスクに適切な処置を行うためにリスクを測定して,その優先順位を定める。
    • イ.発生した場合に,プロジェクトの目標にプラス又はマイナスの影響を与えることがある潜在的リスク事象及びその特性を決定する。
    • ウ.プロジェクトの目標への機会を高めて脅威を軽減するために,選択肢を作成して対策を決定する。
    • エ.リスクへの対応を実行するかどうか及びそれが期待する効果を上げられるかどうかを明らかにし,プロジェクトの混乱を最小限にする。

    正解:エ.リスクへの対応を実行するかどうか及びそれが期待する効果を上げられるかどうかを明らかにし,プロジェクトの混乱を最小限にする。

    解説:JIS Q 21500 のリスクに関するプロセスは,「リスクの特定」「リスクの評価」「リスクへの対応」「リスクの管理」の4つに分かれている。このうち「リスクの管理」は,計画した対応を実際に実行すべきかを見極め,実行した対応が期待した効果を上げているかを監視し,新たなリスクや状況の変化を捉えて計画を見直すプロセスである。目的はプロジェクトの混乱を最小限にすることであり,答はエ。イは「リスクの特定」の目的で,プロジェクトの目標にプラス(好機)またはマイナス(脅威)の影響を与え得る事象とその特性を洗い出す段階である。アは「リスクの評価」の目的で,特定したリスクの発生確率と影響度を測って優先順位を付け,どれに手を打つかを決められるようにする段階である。ウは「リスクへの対応」の目的で,好機を高め脅威を減らすための選択肢(回避・軽減・転嫁・受容など)を作って対策を決める段階である。4つは「洗い出す→測る→手を打つ→追い続ける」という順で並び,「管理」は最後の追い続ける役割にあたる。リスクは一度対応したら終わりではなく,プロジェクトの間ずっと監視するという点がこのプロセスの意味である。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  115. 問115.工場の生産能力を増強する方法として,新規システムを開発する案と既存システムを改修する案とを検討している。次の条件で,期待金額価値の高い案を採用するとき,採用すべき案と期待金額価値との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,期待金額価値は,収入と投資額との差で求める。 〔条件〕 ・新規システムを開発する場合の投資額は100億円であって,既存システムを改修する場合の投資額は50億円である。 ・需要が拡大する確率は70%であって,需要が縮小する確率は30%である。 ・新規システムを開発した場合,需要が拡大したときは180億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは50億円の収入が見込まれる。 ・既存システムを改修した場合,需要が拡大したときは120億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは40億円の収入が見込まれる。 ・他の条件は考慮しない。

    • ア.採用すべき案:既存システムの改修/期待金額価値 46億円
    • イ.採用すべき案:既存システムの改修/期待金額価値 96億円
    • ウ.採用すべき案:新規システムの開発/期待金額価値 41億円
    • エ.採用すべき案:新規システムの開発/期待金額価値 130億円

    正解:ア.採用すべき案:既存システムの改修/期待金額価値 46億円

    解説:それぞれの案について,収入の期待値を求めてから投資額を引く。新規システムの開発は,収入の期待値が 0.7×180+0.3×50=126+15=141億円で,投資額100億円を引くと期待金額価値は41億円になる。既存システムの改修は,収入の期待値が 0.7×120+0.3×40=84+12=96億円で,投資額50億円を引くと期待金額価値は46億円になる。46億円>41億円なので採用すべきは既存システムの改修であり,答はア。需要が拡大したときの収入は新規のほうが60億円多いが,投資額の差50億円と,需要が縮小したときの差10億円を合わせると逆転する,という構造になっている。ウの「新規システムの開発 41億円」は,期待金額価値の計算自体は正しいが,値が小さいほうを採用してしまっており,設問の「高い案を採用する」という条件に反する。イの96億円は改修の収入の期待値そのままで,投資額50億円を引き忘れた値である。エの130億円は,どちらの案の収入の期待値(141億円と96億円)でも期待金額価値(41億円と46億円)でもなく,この条件からは導けない値である。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  116. 問116.SaaS(Software as a Service)による新規サービスを提供するに当たって,顧客への課金方式を検討している。課金方式①〜④のうち,想定利用状況に基づいて最も高い利益が得られる課金方式を採用したときの,年間利益は何万円か。ここで,新規サービスの課金は月ごとに行い,各月の想定利用状況は同じとする。また,新規サービスの運用に掛かる費用は1,050万円/年とする。 〔課金方式〕 ①月間のサービス利用時間による従量課金 4,000円/時間 ②月間のトランザクション件数による従量課金 700円/件 ③月末時点のディスク割当て量による従量課金 300円/GB ④月末時点の利用者 ID 数による従量課金 1,600円/ID 〔想定利用状況〕 ・サービス利用時間 250時間/月 ・トランザクション件数 1,500件/月 ・月末時点のディスク割当て量 3,300GB ・月末時点の利用者 ID 数 650ID

    • ア.150
    • イ.198
    • ウ.210
    • エ.260

    正解:ウ.210

    解説:4つの課金方式それぞれの月間の収入を求めて比べる。①は 4,000円×250時間=100万円,②は 700円×1,500件=105万円,③は 300円×3,300GB=99万円,④は 1,600円×650ID=104万円である。最も高いのは②の105万円なので,年間の収入は 105×12=1,260万円になる。ここから運用費用1,050万円を引くと,年間利益は 1,260-1,050=210万円となり,答はウ。4つの収入は99万〜105万円と6万円しか違わないが,年間では72万円の差になり,費用を引いた後の利益では最大210万円と最小138万円で1.5倍以上の開きが出る。固定費を差し引いた残りが利益になるため,収入のわずかな違いが利益では大きく響くという構造である。アの150は①を採用した場合の 100×12-1,050=1,200-1,050 に一致する。イの198は④を採用した場合の 104×12-1,050=1,248-1,050 に一致する。なお③を採用すると 99×12-1,050=138万円で,これは選択肢にない。エの260は,どの方式の年間利益にも当たらない値である。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  117. 問117.サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の活動はどれか。

    • ア.現在の資源の調整と最適化とを行い,将来の資源要件に関する予測を記載した計画を作成する。
    • イ.サービスの提供に必要な予算に応じて,適切な資金を確保する。
    • ウ.災害や障害などで事業が中断しても,要求されたサービス機能を合意された期間内に確実に復旧できるように,事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする。
    • エ.提供するサービス及びサービスレベル目標を決定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。

    正解:エ.提供するサービス及びサービスレベル目標を決定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。

    解説:サービスレベル管理(SLM)は,提供するサービスの内容と,可用性や応答時間などの目標水準(サービスレベル目標)を顧客と取り決め,SLA(サービスレベル合意書)として文書を交わし,実績を測定して報告し,必要に応じて見直していく活動である。したがって答はエ。合意した水準を測れる形で定めることが要点で,測れない約束は管理できない。アは容量・能力管理(キャパシティ管理)の活動で,現在の資源を調整しつつ,将来必要になる資源を予測して計画を立てるものである。イはサービスの予算業務及び会計業務の活動で,必要な予算を見積もって資金を確保し,費用を把握する。ウはサービス継続管理(および事業継続管理)の活動で,事業影響度分析を行って復旧の優先順位や目標復旧時間を定めるものである。いずれも JIS Q 20000-1 が定めるサービスマネジメントのプロセスだが,「顧客と水準を約束して守る」のがサービスレベル管理,「資源を足りるようにする」のが容量・能力管理,「止まっても戻せるようにする」のがサービス継続管理と,担う役割で区別できる。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  118. 問118.温室効果ガスの排出量の算定基準である GHG プロトコルでは,事業者の事業活動によって直接的,又は間接的に排出される温室効果ガスについて,スコープを三つに分けている。事業者 X 社がデータセンター事業者であるときの,スコープ1の例として,適切なものはどれか。 〔GHG プロトコルにおけるスコープの説明〕 スコープ1:温室効果ガスの直接排出。事業者が所有している,又は管理している排出源から発生する。 スコープ2:電気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出。事業者が消費する購入電力の発電に伴う温室効果ガスの排出量を算定する。 スコープ3:その他の温室効果ガスの間接排出。事業者の活動に関連して生じるが,事業者が所有も管理もしていない排出源から発生する。

    • ア.X 社が自社で管理する IT 機器を使用するために購入した電力の,発電に伴う温室効果ガス
    • イ.X 社が自社で管理する IT 機器を廃棄処分するときに,産業廃棄物処理事業者が排出する温室効果ガス
    • ウ.X 社が自社で管理する発電装置を稼働させることによって発生する温室効果ガス
    • エ.X 社が提供するハウジングサービスを利用する企業が自社で管理する IT 機器を使用するために購入した電力の,発電に伴う温室効果ガス

    正解:ウ.X 社が自社で管理する発電装置を稼働させることによって発生する温室効果ガス

    解説:スコープ1は,事業者が所有または管理している排出源から直接出る温室効果ガスである。自社で管理する発電装置(データセンターの非常用発電機やコージェネレーション設備など)を動かせば,燃料の燃焼によってその場で温室効果ガスが出るので,これはスコープ1に当たる。したがって答はウ。アは購入した電力の発電に伴う排出で,発電しているのは電力会社なので直接排出ではなく,電気の使用に伴う間接排出としてスコープ2に分類される。データセンター事業者の排出量はこのスコープ2が大半を占めるのが実情である。イは自社の IT 機器を廃棄するときに産業廃棄物処理事業者が出す排出で,自社の活動に関連するが排出源を所有も管理もしていないのでスコープ3に当たる。エは,ハウジングサービスの利用企業が自ら購入した電力に伴う排出で,これも X 社が所有・管理しない排出源からの間接排出なのでスコープ3である(利用企業側から見ればスコープ2になる)。判定は「燃やしているのは自分か」「電気を買ったのは自分か」「それ以外か」の順に当てはめると迷わない。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  119. 問119.システム監査基準(令和5年)が規定している監査調書の説明として,最も適切なものはどれか。

    • ア.監査の結論に至った過程を明らかにし,監査の結論を支える合理的な根拠とするための記録
    • イ.監査の目的に応じた適切な形式によって作成し,監査依頼者に提出する,監査の概要と監査の結論を記載した要約版の報告書
    • ウ.システム監査対象ごとに,具体的な監査スケジュールを定めた詳細計画
    • エ.システム監査の中長期における方針等を明らかにすることを目的として作成する文書

    正解:ア.監査の結論に至った過程を明らかにし,監査の結論を支える合理的な根拠とするための記録

    解説:監査調書は,システム監査人が監査の過程で実施した手続とその結果,入手した監査証拠,そこから導いた判断を記録した文書である。役割は,どのような根拠でその結論に至ったのかを後から辿れるようにし,結論を支える合理的な裏付けとすることにあるので,答はア。第三者による品質のレビューや,指摘に対する反論への説明にも使われるため,記録の作成と保管は監査人の責務とされている。イは監査報告書の説明で,こちらは監査依頼者に提出して結論と指摘事項を伝えるための文書である。監査調書が内部の作業記録であるのに対し,監査報告書は外部に出す成果物という違いがある。ウは個別監査計画(実施計画)の説明で,監査対象ごとに手続や日程を具体的に定めるものである。エは中長期監査計画の説明で,数年単位でどの領域をいつ監査するかという方針を示す。監査は,中長期計画→個別計画→実施(証拠の収集と監査調書の作成)→報告→フォローアップという流れで進むので,4つの文書がこの流れのどこに位置するかで区別できる。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  120. 問120.システム監査基準(令和5年)によれば,システム監査において,監査人が一定の基準に基づいて総合的に点検・評価を行う対象とするものは,情報システムのマネジメント,コントロールと,あと一つはどれか。

    • ア.ガバナンス
    • イ.コンプライアンス
    • ウ.サイバーレジリエンス
    • エ.モニタリング

    正解:ア.ガバナンス

    解説:システム監査基準(令和5年)は,システム監査を「情報システムのガバナンス,マネジメント,コントロールを点検・評価・検証する行為」と位置付けている。したがって残る一つはガバナンスであり,答はア。3つの階層の関係を押さえておくと分かりやすい。ガバナンスは経営者・取締役会の階層で,情報システムに関する方針や体制を定め,マネジメントの活動を方向付け監督する。マネジメントは管理者の階層で,方針に沿って計画を立て資源を配分し実行を管理する。コントロールは業務の階層で,誤りや不正を防ぐ具体的な統制の仕組みである。監査はこの3階層をそろえて見ることで,現場の統制だけでなく経営の関与まで含めて評価できる。イのコンプライアンス(法令等の遵守)は監査で確かめる観点の一つではあるが,点検・評価の対象として並べられている3つには含まれない。ウのサイバーレジリエンスは,攻撃を受けても事業を継続し回復する能力を指す概念である。エのモニタリングは,統制が有効に働いているかを継続的に監視する活動そのもので,コントロールやマネジメントの一部として位置付けられる。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  121. 問121.情報システムに対する統制を IT に係る全般統制と IT に係る業務処理統制に分けたとき,IT に係る業務処理統制に該当するものはどれか。

    • ア.サーバ室への入退室を制限・記録するための入退室管理システム
    • イ.システム開発業務を適切に委託するために定めた選定手続
    • ウ.販売管理システムにおける入力データの正当性チェック機能
    • エ.不正アクセスを防止するためのファイアウォールの運用管理

    正解:ウ.販売管理システムにおける入力データの正当性チェック機能

    解説:IT に係る業務処理統制は,個々の業務システムの中に組み込まれ,その業務の処理が正確かつ網羅的に行われることを確かめる仕組みである。入力データの正当性チェック(桁数や範囲,コードの存在の確認など),例外処理の記録,マスタデータの変更の管理,二重入力の防止といったものが該当する。販売管理システムの入力チェック機能はまさにこれなので,答はウ。一方,IT に係る全般統制は,個々のシステムではなく IT 環境の全体に及ぶ統制で,開発と保守の管理,運用の管理,アクセスの管理,外部委託の管理などが含まれる。アのサーバ室の入退室管理は物理的なアクセス管理として全般統制に当たる。イのシステム開発の委託先選定手続は,開発・保守および外部委託の管理として全般統制に当たる。エのファイアウォールの運用管理も,システム全体を守るアクセス管理として全般統制である。全般統制が弱いと,各システムの業務処理統制がいくら整っていても土台が崩れるという関係にあり,監査ではまず全般統制を確かめてから業務処理統制を見るという順序が採られる。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  122. 問122.プロジェクトマネジメントにおけるスコープの管理の活動はどれか。

    • ア.開発ツールの新機能の教育が不十分と分かったので,開発ツールの教育期間を2日間延長した。
    • イ.要件定義が完了した時点で再見積りをしたところ,当初見積もった開発コストを超過することが判明したので,追加予算を確保した。
    • ウ.連携する計画であった外部システムのリリースが延期になったので,この外部システムとの連携に関わる作業は別プロジェクトで実施することにした。
    • エ.割り当てたテスト担当者が期待した成果を出せなかったので,経験豊富なテスト担当者と交代した。

    正解:ウ.連携する計画であった外部システムのリリースが延期になったので,この外部システムとの連携に関わる作業は別プロジェクトで実施することにした。

    解説:スコープの管理は「このプロジェクトで何を作り,何を作らないのか」という範囲を定め,変更を統制する活動である。外部システムとの連携作業をこのプロジェクトから外して別プロジェクトに移すのは,作業範囲そのものを変える判断なのでスコープの管理に当たり,答はウ。アは教育期間を2日延ばす判断で,日程を扱っているのでスケジュールの管理である。イは超過が判明した費用に対して追加予算を確保する判断で,コストの管理に当たる。エは担当者を交代させる判断で,人的資源の割当てを扱う資源の管理である。いずれもプロジェクトマネージャが行う判断だが,扱っている対象が「範囲」「日程」「費用」「資源」のどれなのかで区別する。なお範囲を減らすことでスケジュールや費用の問題に対処する場合もあり,実務では複数の領域がつながって動く。スコープを勝手に膨らませてしまうことをスコープクリープといい,これを防ぐために変更は正式な手続で承認する。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  123. 問123.PMBOK ガイド 第7版によれば,WBS の最下位のレベルの作業を何と呼ぶか。

    • ア.WBS 辞書
    • イ.アクティビティ・リスト
    • ウ.プロジェクト・スコープ
    • エ.ワーク・パッケージ

    正解:エ.ワーク・パッケージ

    解説:WBS(Work Breakdown Structure=作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を段階的に細かく分けて階層構造で表したものである。その最下位に置かれる単位をワーク・パッケージと呼び,見積り・担当の割当て・進捗の把握を行う基本の単位になる。したがって答はエ。アの WBS 辞書は,WBS の各要素について作業の内容,成果物,前提条件,責任者,見積りなどを記述した補助的な文書で,構成図では表せない詳細を補う。イのアクティビティ・リストは,ワーク・パッケージをさらに実行可能な活動に分解して並べた一覧で,スケジュールを作る材料になる。つまり WBS の外側に位置づけられ,「ワーク・パッケージを分けたもの」がアクティビティである。ウのプロジェクト・スコープは,プロジェクトで提供する成果物と,それを作るために必要な作業の全体を指す言葉で,WBS はそのスコープを分解した表現である。階層としては,プロジェクト→成果物→…→ワーク・パッケージ→アクティビティの順に細かくなると押さえておくとよい。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  124. 問124.プロジェクトマネジメントにおいて,プロジェクトチームのパフォーマンスを高めるために,チームメンバーを同じ作業場所に集めることを何というか。

    • ア.コロケーション
    • イ.ネットワーキング
    • ウ.バーチャルチーム
    • エ.ファシリテーション

    正解:ア.コロケーション

    解説:コロケーションは,プロジェクトのメンバーを物理的に同じ場所に集めて作業させることをいう。顔を合わせて話せるので,意思の伝達が速く,暗黙の情報も共有されやすく,一体感が生まれてチームの成果が上がりやすいという効果がある。したがって答はア。とくに立ち上がりの時期や,仕様が固まっていない難しい局面で有効とされ,チーム専用の作業スペースを「タイトルーム(作戦室)」と呼ぶこともある。ウのバーチャルチームはその反対で,離れた場所にいるメンバーが通信手段を使って協働する形態である。移動費が要らず,地理を越えて人材を集められる利点があるが,意思疎通の工夫が求められる。イのネットワーキングは,組織の内外の人と関係を築いて情報や協力を得る活動を指す。エのファシリテーションは,会議や討議の場で議論を促し,参加者の合意形成を助ける技法で,人を集めることそのものではない。集めるのがコロケーション,離れて組むのがバーチャルチーム,という対比で押さえるとよい。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  125. 問125.プロジェクトマネジメントにおけるファストトラッキングの例として,適切なものはどれか。

    • ア.クリティカルパス上のアクティビティの開始が遅れたので,そのアクティビティに人的資源を追加した。
    • イ.コストを削減するために,これまで承認されていた残業を禁止した。
    • ウ.仕様の確定が大幅に遅れたので,プロジェクトの完了予定日を延期した。
    • エ.設計が終わったモジュールから順にプログラム開発を実施するようにして,スケジュールを短縮した。

    正解:エ.設計が終わったモジュールから順にプログラム開発を実施するようにして,スケジュールを短縮した。

    解説:ファストトラッキングは,本来は順番に行う作業を重ねて並行させることで工期を縮める手法である。設計がすべて終わるのを待たず,終わったモジュールから順にプログラム開発を始めるのはまさにこれに当たるので,答はエ。費用の増加を伴わない代わりに,先行する設計が後から変わったときに作り直しが生じるという手戻りのリスクを負う。アは,遅れているクリティカルパス上の作業に人を追加して所要期間を縮める手法で,これはクラッシングである。資源を増やす分だけ費用が増える。イは残業の禁止で,費用は減るが作業に充てられる時間は減るので,工期短縮ではなくむしろ長くなる方向である。ウは完了予定日そのものを後ろにずらす判断で,短縮ではなく計画の見直しに当たる。工期短縮の手法はクラッシングとファストトラッキングの2つで,前者は「資源を足す(費用が増える)」,後者は「並行させる(手戻りのリスクが増える)」と対比して覚えるとよい。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  126. 問126.サービスマネジメントにおいて,中断したサービスを復旧させるときの目標を定めた指標に,RTO(目標復旧時間),RPO(目標復旧時点)及び RLO(目標復旧レベル)がある。RTO と RLO とを定めた例として,適切なものはどれか。

    • ア.サービスが中断する3時間前の時点の状態にデータを復旧し,利用者の50%以上にサービスを提供できるようにする。
    • イ.サービスが中断する直前の状態にデータを復旧し,当日のサービス終了時刻を,サービスが中断していた時間だけ延長する。
    • ウ.サービスの中断から1時間以内に,中断する1時間前の時点の状態にデータを復旧する。
    • エ.サービスの中断から1日以内に,中断したサービスのうちの重要なサービスに限定してサービスを復旧する。

    正解:エ.サービスの中断から1日以内に,中断したサービスのうちの重要なサービスに限定してサービスを復旧する。

    解説:3つの指標は着眼点が違う。RTO は「いつまでに復旧させるか」という時間の目標,RPO は「どの時点のデータまで戻せればよいか」というデータの目標,RLO は「どの水準まで復旧させれば足りるか」という機能や範囲の目標である。エは「中断から1日以内に」が RTO,「重要なサービスに限定して復旧する」が RLO に当たるので,2つの組合せとして正しく,答はエ。アは「3時間前の時点の状態にデータを復旧」が RPO,「利用者の50%以上に提供」が RLO であり,RTO ではなく RPO と RLO の組合せになっている。ウは「中断から1時間以内に」が RTO,「1時間前の時点の状態にデータを復旧」が RPO で,RTO と RPO の組合せである。イは「直前の状態にデータを復旧」が RPO で,後半の終了時刻の延長は復旧の目標水準を定めたものではなく運用上の措置なので,RTO でも RLO でもない。復旧に関する要求は,時間・データ・水準の3つの軸で整理すると事業継続計画の中で矛盾なく定められる。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  127. 問127.JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,継続的改善に関する記述として,適切なものはどれか。

    • ア.改善活動では,品質と費用の両方について改善の目標を設定しなければならない。
    • イ.改善活動は,提供するサービスを改善の対象にして,サービスマネジメントシステムを改善の対象にしない。
    • ウ.改善の機会に対して適用する評価基準には,改善とサービスマネジメントの目的との整合性が含まれなければならない。
    • エ.実施された改善は,設定した目標に照らして測定するのではなく,改善前と比較した改善の効果を測定する。

    正解:ウ.改善の機会に対して適用する評価基準には,改善とサービスマネジメントの目的との整合性が含まれなければならない。

    解説:JIS Q 20000-1 は,改善の機会を評価して優先順位を付けるための基準をあらかじめ定めることを求めており,その基準には「改善がサービスマネジメントの目的と整合しているか」という観点が含まれなければならないとしている。目的から外れた改善に資源を割かないための歯止めであり,答はウ。イは,この規格の継続的改善はサービスそのものだけでなく,サービスマネジメントシステム(SMS)自体の適切性・妥当性・有効性も改善の対象とすることを明記しているので誤りである。運用の仕組みが古びていれば,どれだけ現場が努力しても成果は上がらないからである。アは,改善の目標として何を設定するかは組織が決めるべきことで,品質と費用の両方を必ず設定しなければならないという要求はない。エも逆で,実施した改善は設定した目標に照らして測定し,達成できたかどうかを確かめることが求められる。改善前との比較だけでは,目標に届いたのかが判断できない。JIS Q 20000-1 は PDCA の考え方を土台にしており,「目標を定めて測る」ことが一貫した要求になっている。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  128. 問128.入出力データの管理方針の例として,適切なものはどれか。

    • ア.出力帳票の利用状況を定期的に点検し,利用されていないと判断したものは,情報システム部門の判断で出力を停止する。
    • イ.出力帳票は授受管理表などを用いて確実に受渡しを行い,情報の重要度によっては業務部門の管理者に手渡しする。
    • ウ.チェックによって発見された入力データの誤りは,情報システム部門の判断で迅速に修正する。
    • エ.入力原票や EDI 受信ファイルなどの取引情報は,機密性を確保するために,データをシステムに取り込んだ後に速やかに廃棄する。

    正解:イ.出力帳票は授受管理表などを用いて確実に受渡しを行い,情報の重要度によっては業務部門の管理者に手渡しする。

    解説:出力帳票には個人情報や取引情報など重要な内容が含まれることが多いので,誰にいつ渡したかを授受管理表に記録して確実に受け渡し,重要度が高いものは業務部門の管理者に直接手渡すのが適切な管理方針である。したがって答はイ。放置や誤配による情報漏えいを防ぐ狙いがある。アは,帳票が本当に不要かを判断できるのはそれを使う業務部門であり,情報システム部門が単独で出力を停止すべきではない。点検結果をもとに業務部門と協議して決めるのが筋である。ウも同じ理由で誤りで,入力データの誤りは元の伝票や原票を作成した業務部門が内容を確認して訂正するべきであり,情報システム部門が独断で書き換えると,何が正しい取引だったのかを誰も保証できなくなる。エは,入力原票や EDI 受信ファイルは,後から入力内容と突き合わせて誤りを追跡するための証跡であり,法令上の保存義務がある場合もあるので,取り込んだ直後に廃棄してはならない。定めた期間は安全な方法で保管し,期間経過後に適切な方法で廃棄する。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  129. 問129.システム監査において,監査手続の適用に際して用いられる技法のうち,データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセス,及び組み込まれているコントロールを,書面上で,又は実際に追跡するものはどれか。

    • ア.ウォークスルー法
    • イ.チェックリスト法
    • ウ.突合・照合法
    • エ.ドキュメントレビュー法

    正解:ア.ウォークスルー法

    解説:ウォークスルー法は,監査人が特定のデータを取り上げ,それが生成されてから入力・処理・出力を経て利活用されるまでの流れを,書面の上で,または実際の操作でたどりながら,途中に組み込まれた統制(コントロール)が意図どおりに働いているかを確かめる技法である。設問の説明にそのまま当てはまるので答はア。書かれている手順と実際の流れが食い違っていないかを一貫して追える点に強みがある。イのチェックリスト法は,あらかじめ用意した確認項目の一覧に沿って回答を得たり点検したりする技法で,網羅性は確保しやすいが項目の外にある問題は見つけにくい。ウの突合・照合法は,関連する複数の記録や資料を突き合わせて一致しているかを確かめる技法で,たとえば入力伝票の合計と処理結果の合計を照合するといった使い方をする。エのドキュメントレビュー法は,規程・手順書・設計書などの文書を入手して内容を点検する技法である。ほかにインタビュー法,テストデータ法,組込み監査モジュール法などがあり,得られる証拠の性質によって使い分ける。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  130. 問130.システム監査基準(令和5年)における予備調査についての記述として,適切なものはどれか。

    • ア.監査対象先の事務手続やマニュアルなどを通じて,業務内容,業務分掌,体制などを把握する。
    • イ.監査対象の実態を把握するために,必ず現地に赴いて実施する。
    • ウ.監査の結論を裏付けるために,十分な監査証拠を入手する。
    • エ.調査の範囲は,監査対象先だけに限定する。

    正解:ア.監査対象先の事務手続やマニュアルなどを通じて,業務内容,業務分掌,体制などを把握する。

    解説:予備調査は,本調査の前に監査対象の全体像をつかむ段階で,規程・事務手続・マニュアル・システムの概要資料などを読み,業務の内容,誰がどの範囲を受け持っているか(業務分掌),組織の体制などを把握する。これによって重点を置くべき箇所を見極め,本調査の計画を具体化できる。したがって答はア。イは,予備調査は資料の閲覧や質問,説明の聴取などでも行えるので,必ず現地に赴く必要はない。現地での観察や実機の確認は本調査で行うことが多い。ウは本調査の目的で,監査の結論を裏付ける十分かつ適切な監査証拠を集めるのは本調査の段階である。エは,予備調査の範囲を監査対象先だけに限る必要はなく,前後の工程を担う部門や関連するシステムの担当,外部の委託先まで含めて把握することが有効な場合がある。監査は,計画(予備調査を含む)→本調査→評価・結論→報告→フォローアップという流れで進み,予備調査は「どこを深く見るかを決めるための下調べ」だと押さえるとよい。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  131. 問131.システム監査基準(令和5年)におけるフォローアップの説明として,適切なものはどれか。

    • ア.監査対象先が,監査報告書の指摘事項及び改善提案を基に改善計画の策定を行うこと
    • イ.監査部門の責任者が,監査報告書を基に監査の実施状況と指摘事項の妥当性を確認すること
    • ウ.システム監査人が,監査報告書に記載した改善提案の実施状況に関する情報を収集し,改善状況をモニタリングすること
    • エ.システム監査人が,時間の関係で調査が終了しなかった監査項目を追跡調査して報告すること

    正解:ウ.システム監査人が,監査報告書に記載した改善提案の実施状況に関する情報を収集し,改善状況をモニタリングすること

    解説:フォローアップは,監査報告書を出した後の段階で,システム監査人が改善提案がどこまで実施されたかについて情報を集め,改善の進み具合を継続的に見守る活動である。指摘して終わりにせず,実際に改善されたかを確かめることで監査の実効性が担保されるので,答はウ。ここで注意すべきは,改善そのものを行う責任は監査対象先(経営者や業務部門)にあり,監査人は改善作業を代行したり指示したりする立場ではない点である。監査人が改善に踏み込むと,後にその結果を評価する際に独立性が損なわれる。アは監査対象先が行う改善計画の策定で,フォローアップの対象となる相手側の活動である。イは監査部門の責任者による監査の品質管理・審査に当たる活動で,報告書を出す前後に行う内部の確認である。エは,調査が終わらなかった項目を追って報告することであり,これはフォローアップではなく監査手続そのものの継続であって,本来は監査計画の中で処理すべき事柄である。

    出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  132. 問132.プロジェクトマネジメントにおける“プロジェクト憲章”の説明はどれか。

    • ア.プロジェクトの実行,監視,管理の方法を規定するために,スケジュール,リスクなどに関するマネジメントの役割や責任などを記した文書
    • イ.プロジェクトのスコープを定義するために,プロジェクトの目標,成果物,要求事項及び境界を記した文書
    • ウ.プロジェクトの目標を達成し,必要な成果物を作成するために,プロジェクトで実行する作業を階層構造で記した文書
    • エ.プロジェクトを正式に認可するために,ビジネスニーズ,目標,成果物,プロジェクトマネージャ,及びプロジェクトマネージャの責任・権限を記した文書

    正解:エ.プロジェクトを正式に認可するために,ビジネスニーズ,目標,成果物,プロジェクトマネージャ,及びプロジェクトマネージャの責任・権限を記した文書

    解説:プロジェクト憲章は,プロジェクトの立上げにあたって組織がそのプロジェクトを正式に認可するための文書である。実施の背景となるビジネスニーズ,達成すべき目標,主要な成果物,任命するプロジェクトマネージャとその責任・権限などを,発注者側の責任者が承認する形で示す。これによってプロジェクトマネージャは組織の資源を使う正当な根拠を得るので,答はエ。イはプロジェクトスコープ記述書の説明で,何を作り何を作らないのかという境界や要求事項を,憲章より詳しく定義した文書である。ウは WBS(Work Breakdown Structure)の説明で,成果物を作るために必要な作業を段階的に細かく分けて階層構造で表したものであり,見積りや進捗管理の土台になる。アはプロジェクトマネジメント計画書の説明で,スケジュール,コスト,リスクなど各分野のマネジメントをどう進めるかを定めた文書である。順序としては,憲章で認可を受け,スコープを定義し,WBS に分解し,計画書にまとめる,という流れになる。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  133. 問133.EVM を使用してマネジメントをしているプロジェクトで,進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。 〔進捗に関する指標値〕 CPI(コスト効率指数):0.9 SPI(スケジュール効率指数):1.1 BAC(完成時総予算)に基づく TCPI(残作業効率指数):1.2

    • ア.コストが予算を超えているが,スケジュールには余裕があり,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないので,CPI に基づいて完成までに必要なコストを予測する。
    • イ.コストが予算を超えているので,完成時総予算を超過するおそれがあるが,スケジュールには余裕があるので,残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
    • ウ.コストには余裕があるが,スケジュールが予定より遅れており,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要があるので,ファストトラッキングなどを用いたスケジュール短縮を検討するとともに,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
    • エ.コストには余裕があるので,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないが,スケジュールが予定より遅れているので,クラッシングなどを用いたスケジュール短縮を検討する。

    正解:イ.コストが予算を超えているので,完成時総予算を超過するおそれがあるが,スケジュールには余裕があるので,残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。

    解説:EVM の指数は1を境に読む。CPI は出来高を実コストで割った値で,0.9 は1を下回るので,同じ出来高を得るのに計画より多くの費用を使っている,すなわちコストが超過している。SPI は出来高を計画価値で割った値で,1.1 は1を上回るので,予定より進んでいる。TCPI は完成時総予算の中に収めるために残作業で必要となる効率で,1.2 は1を上回るので,これまでより高い効率で残りを進めないと予算内に収まらないことを意味する。したがって「コスト超過で完成時総予算を超えるおそれがあるが,スケジュールには余裕がある」という評価になり,対策としては残作業のコスト効率を上げるか,あらかじめ確保しておいたコンティンジェンシー予備費の使用を検討することになる。答はイ。アは TCPI が1.2 である以上「残作業のコスト効率を上げる必要はない」とはいえない。ウは SPI が1.1 なのに「スケジュールが予定より遅れており」としている点が誤り。エは CPI が0.9 なのに「コストには余裕がある」としている点と,スケジュールの読みの両方が誤っている。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  134. 問134.プロジェクトの期間を短縮する方法のうち,クラッシングに該当するものはどれか。

    • ア.作業の前後関係を組み直し,実施する順番を変える。
    • イ.作業を分析し,同時に実施できる部分を複数の作業に分割し,並行して実施する。
    • ウ.先行作業の一部の成果物が完成した時点で,後続作業を開始する。
    • エ.プロジェクトの外部から要員を調達し,クリティカルパス上の作業に投入する。

    正解:エ.プロジェクトの外部から要員を調達し,クリティカルパス上の作業に投入する。

    解説:工期を短縮する代表的な手法にクラッシングとファストトラッキングがある。クラッシングは,要員や設備といった資源を追加投入して個々の作業の所要期間を縮める方法で,投入先はプロジェクト全体の期間を決めているクリティカルパス上の作業になる。外部から要員を調達してクリティカルパス上の作業に充てるエがこれに当たる。費用の増加を伴い,増員による教育や調整の手間で期待どおりに縮まらないこともある点が注意点である。イとウはファストトラッキングに当たる。これは本来順番に行う作業を重ねて進める方法で,ウのように先行作業の一部が仕上がった時点で後続を始めたり,イのように同時に実施できる部分を分けて並行させたりする。費用は増えにくい代わりに,先行作業の結果が変わったときの手戻りというリスクを負う。アの作業の前後関係を組み直して順番を変えるのは,論理的順序関係の見直しであり,どちらの手法にも当たらない。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  135. 問135.あるシステム開発プロジェクトのシステムテストにおけるテスト密度及び欠陥密度の値は,図に示した領域①〜領域④のうち,領域④の範囲内であった。品質管理基準に照らして評価すると,行うべき活動として最も適切なものはどれか。ここで,このプロジェクトの品質管理基準では,定量評価の基準として,表に従ってテスト密度及び欠陥密度の基準値を設定した上で,テスト密度は基準値の80%以上であること,かつ,欠陥密度は基準値の80%以上120%未満であることと定めている。 〔品質指標と基準値〕 テスト密度:テストケース数(件)÷システムの規模(KLOC)/基準値 20(件/KLOC) 欠陥密度:検出欠陥数(件)÷システムの規模(KLOC)/基準値 0.1(件/KLOC)問135の図

    • ア.欠陥密度は基準を満たしているが,システムの品質に問題がないか,欠陥の妥当性を確認する。
    • イ.システムの欠陥が多いので,検出した欠陥の原因を分析した上で,システムの品質改善に取り組む。
    • ウ.システムの欠陥を十分に検出できていない懸念があるので,テストの観点に漏れがないかなど,テストケースの妥当性を確認する。
    • エ.テスト密度が不足しているので,システムの規模に見合うテストケース数以上となるように,テストケースを追加する。

    正解:ウ.システムの欠陥を十分に検出できていない懸念があるので,テストの観点に漏れがないかなど,テストケースの妥当性を確認する。

    解説:基準値からしきい値を求めると,テスト密度は 20×0.8=16 件/KLOC 以上であること,欠陥密度は 0.1×0.8=0.08 以上 0.1×1.2=0.12 未満であることが求められる。図の境界線がこの16,0.08,0.12 に当たる。領域④はテスト密度が16を超えており,欠陥密度は0.08未満の範囲なので,テストの量は十分に確保できている一方で,見つかった欠陥が想定より少なすぎる状態である。テストを十分に行ったのに欠陥が出てこない場合,本当に品質が高い可能性もあるが,テストの観点に漏れがあって欠陥を見つけられていない可能性も同じくらい疑わなければならない。そこでテストケースの妥当性を確認するウが最も適切である。アは,欠陥密度が0.08未満で下限を割っているので「基準を満たしている」という前提が誤り。イの「欠陥が多い」状態は欠陥密度が0.12以上の領域②に当たり,領域④とは逆である。エの「テスト密度が不足している」状態はテスト密度16未満の領域①に当たり,これも領域④には当てはまらない。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  136. 問136.あるサービスでは〔サービス可用性の SLA〕に基づき,サービス可用性の目標値の遵守状況を月ごとに測定して評価している。ある月の実績値は 99.3%だった。この月にサービス可用性の目標値を達成するためには,サービス停止時間は,最低,何時間少なければよかったか。 〔サービス可用性の SLA〕 ・サービス可用性の目標値:99.5%以上 ・サービス提供時間帯:7時〜22時 ・サービス提供日数:20日/月

    • ア.0.4
    • イ.0.6
    • ウ.1.3
    • エ.1.95

    正解:イ.0.6

    解説:まず月あたりのサービス提供時間を求める。7時から22時までは15時間で,これが20日分なので 15×20=300時間である。可用性の実績値が99.3%ということは,停止していた割合が0.7%なので,実際の停止時間は 300×0.007=2.1時間だった。一方,目標の99.5%以上を満たすには停止の割合を0.5%以下に抑える必要があり,許される停止時間は 300×0.005=1.5時間である。したがって 2.1-1.5=0.6時間だけ停止時間が短ければ目標を達成できたことになり,答はイ。アの0.4時間では停止時間が1.7時間残り,可用性は 1-1.7÷300=99.43%で目標に届かない。ウの1.3時間では停止時間が0.8時間となって可用性は99.73%,エの1.95時間では停止時間が0.15時間となって可用性は99.95%となり,どちらも目標は満たすが,設問が求めている「最低,何時間少なければよかったか」という最小値ではない。可用性の数値は小さな差に見えても,300時間に対する0.2ポイントが36分に相当する点に注意したい。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  137. 問137.A 社は,自社がオンプレミスで運用している業務システムを,クラウドサービスへ段階的に移行する。段階的移行では,初めにネットワークとサーバを IaaS に移行し,次に全てのミドルウェアを PaaS に移行する。A 社が行っているシステム運用作業のうち,この移行によって不要となるシステム運用作業の組合せはどれか。 〔A 社が行っているシステム運用作業〕 ① 業務システムのバッチ処理のジョブ監視 ② 物理サーバの起動,停止のオペレーション ③ ハードウェアの異常を警告する保守ランプの目視監視 ④ ミドルウェアへのパッチ適用

    • ア.IaaS への移行によって不要となる作業:①/PaaS への移行によって不要となる作業:②,④
    • イ.IaaS への移行によって不要となる作業:①,③/PaaS への移行によって不要となる作業:②
    • ウ.IaaS への移行によって不要となる作業:②,③/PaaS への移行によって不要となる作業:④
    • エ.IaaS への移行によって不要となる作業:③/PaaS への移行によって不要となる作業:②,④

    正解:ウ.IaaS への移行によって不要となる作業:②,③/PaaS への移行によって不要となる作業:④

    解説:クラウドサービスの区分は,どこまでを事業者が受け持つかで決まる。IaaS はネットワーク,サーバ,ストレージといった基盤を事業者が提供するので,物理的な機器に関わる作業は利用者の手を離れる。②の物理サーバの起動・停止のオペレーションと,③のハードウェアの保守ランプの目視監視は,そもそも自社に物理サーバがなくなるため不要になる。PaaS はさらに OS やミドルウェアまで事業者が受け持つので,④のミドルウェアへのパッチ適用が不要になる。①の業務システムのバッチ処理のジョブ監視は,自社が作った業務アプリケーションの実行状況を見る作業であり,IaaS でも PaaS でも利用者の責任範囲に残る。したがって IaaS で②③,PaaS で④が不要となり,答はウ。アとイは①を不要としている点が誤りで,アプリケーションの運用まで事業者に任せるには SaaS への移行が必要になる。イとエは②を PaaS 側に置いたり IaaS 側から外したりしており,物理サーバがなくなるのは IaaS への移行の時点であることを取り違えている。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  138. 問138.サービスの継続的改善で,改善の達成目標を設定して活動するとき,“サービスの提供やマネジメントの成功に重要な要因”を特定したものを何というか。

    • ア.CSF
    • イ.KGI
    • ウ.KPI
    • エ.OKR

    正解:ア.CSF

    解説:CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)は,目標を達成するために特に重要となる要因を特定したものである。「何をうまくやれば成功するのか」を絞り込むもので,たとえばサービスデスクの改善であれば「一次解決率を高めること」「担当者の知識を共有すること」などが CSF になる。したがって答はア。イの KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は,最終的に到達したい状態を数値で表したもので,「顧客満足度4.5以上」のように結果を測る。ウの KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は,CSF が達成できているかを測るための中間的な指標で,「一次解決率80%以上」のように過程を測る。この3つは,KGI という到達点を定め,そこに至るために外せない要因を CSF として特定し,その進み具合を KPI で追う,という関係で結び付いている。エの OKR(Objectives and Key Results)は,達成したい目標とその成果指標を組にして掲げ,短い周期で見直す目標管理の手法であり,要因を特定するという設問の説明には当たらない。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  139. 問139.システム監査におけるウォークスルー法の説明として,適切なものはどれか。

    • ア.機密データの保管状況に関する資料及び文書類を入手し,内容を点検する。
    • イ.システムの運用状況について,関係者に口頭で問い合わせ,回答を入手する。
    • ウ.データの生成から入力,処理,出力,利活用までのプロセス,及び組み込まれている一連のコントロールを確認する。
    • エ.テストデータを監査対象プログラムで処理し,期待した結果が出力されるかどうかを確かめる。

    正解:ウ.データの生成から入力,処理,出力,利活用までのプロセス,及び組み込まれている一連のコントロールを確認する。

    解説:ウォークスルー法は,監査人が特定のデータを取り上げ,それが生成されてから入力・処理・出力を経て利活用されるまでの流れを実際にたどりながら,その途中に組み込まれている統制(コントロール)が意図どおりに働いているかを確かめる技法である。書類の記述と実際の流れが一致しているかを一貫して追える点に特徴があり,答はウ。アは,資料や文書類を入手して内容を点検するドキュメントレビュー法(書面調査法)の説明である。イは,関係者に口頭で問い合わせて回答を得るインタビュー法の説明で,これは相手の説明が事実かどうかを別の証拠で裏付ける必要がある。エは,あらかじめ用意したテストデータを監査対象のプログラムで処理させ,期待どおりの結果が出るかを確かめるテストデータ法の説明で,プログラムの処理が正しいことを直接確かめる技法である。ほかにも,監査対象プログラムに監査用のモジュールを組み込む組込み監査モジュール法や,実際の処理と並行して監査人の用意した処理を走らせる並行シミュレーション法などがあり,それぞれ得られる証拠の性質が異なる。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  140. 問140.システム監査における“監査手続”として,最も適切なものはどれか。

    • ア.監査計画の立案や監査業務の進捗管理を行うための手続
    • イ.監査結果を受けて,監査報告書に監査人の結論や指摘事項を記述する手続
    • ウ.監査項目について,十分かつ適切な証拠を入手するための手続
    • エ.監査テーマに合わせて,監査チームを編成する手続

    正解:ウ.監査項目について,十分かつ適切な証拠を入手するための手続

    解説:監査手続とは,監査人が監査の結論を導くために,監査項目ごとに十分かつ適切な監査証拠を集める手順のことをいう。具体的には,どの資料をどのように確かめるか,誰にどのような質問をするか,どの技法(ドキュメントレビュー法,インタビュー法,ウォークスルー法,テストデータ法など)を用いるかを定め,実施した内容と結果を監査調書に記録する。したがって答はウ。監査は,計画(予備調査を含む),実施(本調査),報告,フォローアップという流れで進み,監査手続はこのうち実施の段階の中心を占める。アの監査計画の立案や進捗管理は計画・管理の活動であり,証拠を集める手順そのものではない。エの監査チームの編成も計画段階で行う体制づくりである。イの監査報告書に結論や指摘事項を記述するのは報告の段階の活動で,監査手続によって集めた証拠に基づいて行われる。証拠が十分でなければ結論を出せないという関係にあり,監査手続はその土台を作る工程だといえる。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。

  141. 問141.システム管理基準(令和5年)における,ユーザ受入テストに関する監査のチェックポイントとして,適切なものはどれか。

    • ア.構築された情報システムに,業務要件が適切に反映されていることを確認するために,利用者の立場からテストされていること
    • イ.情報システムの稼働後に,IT 戦略における目標を達成しているかどうかを確認するために,客観的な情報に基づいてテストされていること
    • ウ.利用者からのシステム要件が適切に反映されていることを確認するために,情報システムの全ての構成要素について,中間成果物も含めてレビューされていること
    • エ.利用者が情報システムを利用できるようにするために,情報システムの移行後に,移行結果について,本番環境が利用可能かどうかレビューされていること

    正解:ア.構築された情報システムに,業務要件が適切に反映されていることを確認するために,利用者の立場からテストされていること

    解説:ユーザ受入テストは,出来上がった情報システムを利用者自身が使い,業務要件がきちんと反映されているかを利用者の立場から確かめる工程である。開発者が行う単体テストや結合テストが「仕様どおりに動くか」を確かめるのに対し,受入テストは「実際の業務が回るか」を確かめる点に意味があり,これを監査で見るチェックポイントに当たるのがア。イは稼働後に IT 戦略上の目標を達成できたかを確認する内容で,これは投資対効果の評価や運用評価の段階で行う。ウは中間成果物も含めた全構成要素のレビューを求めており,開発工程の各段階で行う設計レビューなどに関するチェックポイントである。エは移行後に本番環境が利用可能かを確かめる内容で,移行作業の妥当性を見る移行テストや移行判定に関するものである。いずれも情報システムのライフサイクルの中で必要な確認だが,実施する時期と確認する主体が異なるので,ユーザ受入テストのチェックポイントとしてはアが適切である。

    出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
    本試験の問題です。出題当時の法令・制度にもとづいているため、その後の改正で現在の扱いと異なる場合があります。