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応用情報技術者試験 2025年度春期(令和7年度春期) 午前

80問 ・ 目安 正答率60% ・ 2025年4月20日実施

応用情報技術者の2025年度春期(令和7年度春期) 午前試験で実際に出題された全80問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2025年4月20日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。

本試験の合格基準:科目A(旧午前)・科目B(旧午後)ともに100点満点中60点以上で合格(素点方式)。科目Aが60点未満だと科目Bは採点されない。

この回:当時(午前・午後の時間区分)の基準:午前・午後ともに100点満点中60点以上で合格(素点方式)。収録は午前のみで、午前の基準点60点は合格に必要な条件の一つ(午後も60点以上が必要)。要綱上、難易差が認められた場合は基準点を変更することがある。

出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6(2026年10月の試験から適用)4. 採点方式・配点・合格基準。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。

この回は 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。

過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。

問 1
論理式 P,Q がいずれも真であるとき,論理式 R の真偽にかかわらず真になる式はどれか。ここで,“‾”は否定を,“∨”は論理和を,“∧”は論理積を,“→”は含意(“真 → 偽”となるときに限り偽となる演算)を表す。
正解:エ
含意 X→Y は「X が真で Y が偽のときだけ偽」で,X が偽ならば Y の真偽にかかわらず真になる。P=真,Q=真を各式に入れて前件(→の左)を調べる。アは (P→Q)=真,(Q→P)=真で前件が真,後件は R→Q̄ すなわち R→偽なので R が真のとき偽になり,R によって値が変わる。イは (P→Q)=真,(Q→P̄)=真→偽=偽でその否定が真だから前件は真,後件は Q→R=真→R=R なので R が偽なら偽になる。ウは (P→Q̄)=真→偽=偽だが (Q→P)=真なので論理和の前件は真,後件は R→偽でアと同じく R に左右される。エは (P→Q̄)=偽,(Q→P̄)=偽で論理和が偽となり,前件が偽である以上,後件が何であっても含意は真になる。したがって R の真偽にかかわらず真になるのはエ。ポイントは「前件を偽にできれば含意は無条件に真」という点で,P と Q が真という前提のもとで否定を含む式を並べたアとエのうち,論理積ではなく論理和で前件を作っているエだけが前件を偽にできる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問1
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問 2
0≦x≦1 の範囲で単調に増加する連続関数 f(x) が f(0)<0 ≦ f(1) を満たすときに,区間内で f(x)=0 である x の値を近似的に求めるアルゴリズムにおいて,(2)は何回実行されるか。 〔アルゴリズム〕 (1) x₀←0,x₁←1とする。 (2) x←(x₀+x₁)/2 とする。 (3) x₁-x<0.001 ならば x の値を近似値として終了する。 (4) f(x)≧0 ならば x₁←x として,そうでなければ x₀←x とする。 (5) (2)に戻る。
正解:ア
区間 [x₀,x₁] の幅を w とすると,(2)で x は中点になるので x₁-x=w/2 であり,(3)の判定は w/2<0.001 と同じになる。(4)ではどちらに分岐しても新しい区間の幅は w/2 になるので,幅は1回ごとに半分になる。最初の幅は 1-0=1 だから,(2)の k 回目の実行時点の幅は 1/2^(k−1) で,判定式は 1/2^k<0.001,すなわち 2^k>1,000 となる。2⁹=512 では足りず 2¹⁰=1,024 で初めて超えるので k=10 が最初に条件を満たし,(2)は10回実行されて終了する。答はア。この手続きは2分探索法(区間を半分に狭める方法)で,精度を10倍細かくしても回数は約3.3回しか増えない。イの20は必要な精度を 0.001 ではなく 0.000001 と取り違えた場合の回数で,2²⁰=1,048,576>10⁶ より20回になる。エの1,000は区間を毎回0.001ずつ等間隔に狭めると誤解した場合の 1÷0.001 で,ウの100は同じ誤解で刻みを0.01と取った場合の 1÷0.01 である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問2
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問 3
AI における機械学習の過程において,過学習と疑われたときの解消方法として,最も適切なものはどれか。
正解:イ
過学習(オーバーフィッティング)は,モデルが訓練データの細部や雑音まで覚え込んでしまい,訓練データに対する精度は高いのに未知のデータに対する精度が落ちる状態をいう。対策の柱は「データを増やす」「モデルを単純にする」「正則化や早期打切りを入れる」の3つで,イの,元の訓練データを回転・反転・ノイズ付加などで加工して量を増やす手法はデータ拡張(データオーグメンテーション)と呼ばれ,データを新たに集められない場合の代表的な対策である。したがって答はイ。アは訓練データをそのままテストに使うので高い精度が出るのは当然で,未知データへの性能を測れなくなる。過学習を隠してしまう最悪の手であり,解消にはならない。ウはモデルを複雑にすると表現力が上がり,かえって訓練データに合わせ込みやすくなるので過学習を悪化させる。エは汎化性能こそが未知データへの当てはまりの良さであり,これを下げるのは過学習そのものである。記述の後半「より多くの未知のデータに対して予測できるように」と前半が矛盾している。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問3
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問 4
リアルタイム性が求められる組込みシステムにおいて,システムへの入力に対するリアルタイムな応答の方法として,最も適切なものはどれか。
正解:イ
リアルタイムシステムの「リアルタイム」は「速い」ことではなく,「決められた制限時間(デッドライン)内に必ず処理を終える」ことを指す。応答が正しくてもデッドラインを過ぎれば失敗とみなすのがリアルタイム性の定義であり,答はイ。デッドラインを1度でも破ると致命的になるものをハードリアルタイム(自動車の制動制御,航空機の姿勢制御など),多少の遅れが許されるものをソフトリアルタイム(動画再生など)と呼び分ける。アは,リアルタイム OS(RTOS)を使えば優先度に基づくスケジューリングや割込み応答時間の保証が得られるので,OS を使わないことがリアルタイム性の条件ではない。実際,多くの組込みシステムは RTOS 上で時間制約を満たしている。ウの到着順の処理はむしろリアルタイム性を損なうことがあり,締切の近い処理を先に実行する方式(EDF)や優先度の高い処理を先に実行する方式が使われる。エの入力時刻の記録は事後の分析やタイムスタンプの用途であって,応答が時間内に終わることを保証する仕組みではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問4
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問 5
A,B,C の順序で入力されるデータがある。各データについてスタックへの挿入と取出しを1回ずつ行うことができる場合,データの出力順序は何通りあるか。
正解:ウ
スタックは後入れ先出しなので,出力できる順序は挿入と取出しの組合せで決まる。実際に列挙すると,A挿入→A取出→B挿入→B取出→C挿入→C取出で A B C,A挿入→A取出→B挿入→C挿入→C取出→B取出で A C B,A挿入→B挿入→B取出→A取出→C挿入→C取出で B A C,A挿入→B挿入→B取出→C挿入→C取出→A取出で B C A,A挿入→B挿入→C挿入→C取出→B取出→A取出で C B A の5通りになる。したがって答はウ。C A B だけは作れない。C を最初に出すには A と B が C より下に積まれている必要があり,そのとき A は B より下にあるので,次に出るのは必ず B になるからである。一般に n 個のデータで作れる出力順序の数はカタラン数 (2n)!/(n!(n+1)!) で与えられ,n=3 では 6!/(3!×4!)=720/144=5 となって列挙結果と一致する。エの6は 3!=6,つまり並べ方すべてが可能だと考えた場合の値で,C A B が作れない点を見落としている。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問5
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問 6
図の2分探索木に1と0の二つの要素を順に追加した AVL 木として,適切なものはどれか。
問6の図
正解:ウ
AVL 木は,どの節でも左部分木と右部分木の高さの差が1以下になるように保つ2分探索木である。まず1を追加すると,2分探索木の規則に従って 2 の左の子になる。このとき 2 の左は高さ1・右は無し(高さ0)で差は1,3 の左部分木は高さ2・右部分木(4)は高さ1で差は1,根の 5 も左が高さ3・右(7と6)が高さ2で差は1なので,どこも崩れておらず回転は不要である。続いて0を追加すると 1 の左の子になり,節 2 の左部分木の高さが2,右部分木が0となって差が2になり,左の左に偏った形(LL型)で崩れる。この場合は 2 を右に1回転させ,1 を親,0 を左の子,2 を右の子にする。その結果,根から 5,左の子が 3,3 の左が 1(子は0と2),3 の右が 4,5 の右が 7,7 の左が 6 という形になり,これに一致するのはウである。エは 5 の右部分木が 6 を親として 7 を子とする形になっており,追加した要素は左側だけなので右部分木が変化する理由がない。アは根が 3,イは根が 4 で,どちらも根まで作り替えており,1回の LL 型の回転で済むところを木全体の再構築とみなしている点が誤りである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問6
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問 7
fact(n)は,非負の整数 n に対して n の階乗を返す。fact(n)の再帰的な定義はどれか。
正解:ウ
再帰的な定義が正しく働くには,再帰を止める基底の値と,引数が確実に基底へ近づく再帰呼出しの二つがそろっている必要がある。階乗は 0!=1 と定義され,n!=n×(n−1)! が成り立つので,n=0 のとき 1 を返し,そうでなければ n×fact(n−1) を返すウが正しい。アとイは基底で 0 を返している。すると n×fact(n−1) の連鎖の末端が0になるため,fact(1)=1×fact(0)=0,fact(2)=2×0=0 のように,どんな n でも結果が0になってしまう。イとエは再帰呼出しが fact(n+1) で引数が増える方向なので基底の n=0 に到達せず,呼出しが止まらないまま再帰が深くなってスタックがあふれる。したがって基底が1で引数が減るウだけが階乗を返す。実際に fact(3) をたどると 3×fact(2)=3×(2×fact(1))=3×2×(1×fact(0))=3×2×1×1=6 となり,3!=6 に一致する。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問7
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問 8
同じ命令セットをもつコンピュータ A と B とがある。それぞれの CPU クロック周期,及びあるプログラムを実行したときの CPI(Cycles Per Instruction)は,表のとおりである。そのプログラムを実行したとき,コンピュータ A の処理時間は,コンピュータ B の処理時間の何倍になるか。 〔表〕 コンピュータ A:CPU クロック周期 1ナノ秒/CPI 4.0 コンピュータ B:CPU クロック周期 4ナノ秒/CPI 0.5
正解:ウ
命令セットが同じなので,同じプログラムなら実行する命令数も同じになる。1命令当たりの時間は「CPU クロック周期×CPI」で求められるから,コンピュータ A は 1ナノ秒×4.0=4ナノ秒,コンピュータ B は 4ナノ秒×0.5=2ナノ秒である。処理時間は命令数に比例するので,比は 4÷2=2 となり,A は B の2倍の時間が掛かる。答はウ。クロック周期はコンピュータ A のほうが4分の1と短く一見速そうだが,1命令に4サイクル掛けるため,1命令を0.5サイクルで実行できるコンピュータ B に負けている。クロック周波数だけで性能を比べられないことを示す問題である。エの8は 4.0÷0.5 で CPI の比だけを取り,クロック周期の違いを無視した値。イの 1/2 は正しい比の逆を取ったもので,B が A の何倍かに当たる。アの 1/32 は,掛け合わせる相手を取り違えて (1×0.5)÷(4×4)=0.5÷16 と計算した場合の値である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問8
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問 9
DMA コントローラーの説明として,適切なものはどれか。
正解:エ
DMA(Direct Memory Access)は,メモリと入出力装置の間などのデータ転送を CPU(MPU)を通さずに行う仕組みで,これを制御する専用回路が DMA コントローラーである。CPU は転送元アドレス・転送先アドレス・転送量を設定して起動するだけでよく,転送中は別の処理を進められるので,大量のデータを扱うディスクや通信の入出力で処理効率が大きく上がる。したがって答はエ。アの積和演算を高速に行うのは DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)や積和演算器の説明で,信号処理や機械学習の演算で使われる。イの仮想メモリやメモリ保護を担うのは MMU(メモリ管理ユニット)で,論理アドレスを物理アドレスへ変換し,許可されていない領域へのアクセスを検出する。ウの動作クロックを数えて時間の経過を保持するのはタイマ(カウンタ)で,一定周期の割込み発生や経過時間の測定に用いる。いずれも DMA コントローラーとは役割が異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問9
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問 10
オブジェクトストレージの特徴として,適切なものはどれか。
正解:ア
オブジェクトストレージは,データを「オブジェクト」という単位で,データ本体・メタデータ・一意の識別子(オブジェクト ID や キー)の組として格納する方式である。利用者はディレクトリをたどるのではなく,識別子を指定して直接読み書きするので,答はア。この方式は保存先の物理的な位置に縛られず,台数を増やすだけで容量と性能を伸ばせるため,クラウドの大容量ストレージや,画像・ログ・バックアップの保管に広く使われている。イは,オブジェクトストレージは一部だけを書き換える上書き更新を行わず,オブジェクト全体を新しいものに置き換えるのが基本であり(イミュータブル),これがバージョン管理や改ざん検知と相性がよい理由でもある。ウは,広域分散では複数拠点へ非同期に複製し,時間が経てば同じ内容に収束する結果整合性を前提とするのが一般的で,静止点を設けて同期を取る必要はない。エは,オブジェクトストレージの名前空間は階層をもたないフラットな構造で,ディレクトリの階層構造をもつのはファイルストレージである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問10
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問 11
マルチプロセッサによる並列処理で得られる高速化率(単一プロセッサのときと比べた倍率)E を,次の式によって評価する。r=0.9 のアプリケーションの高速化率が r=0.3 のものの3倍となるのは,プロセッサが何台のときか。 E=1/(1-r+r/n) ここで, n:プロセッサの台数(1≦n) r:対象とする処理のうち,並列化が可能な部分の割合(0≦r≦1) とし,並列化に伴うオーバーヘッドは考慮しないものとする。
正解:エ
式に値を入れると,r=0.9 のときの高速化率は 1/(0.1+0.9/n),r=0.3 のときは 1/(0.7+0.3/n) である。前者が後者の3倍になる条件は 1/(0.1+0.9/n)=3/(0.7+0.3/n) で,たすきに掛けると 0.7+0.3/n=3×(0.1+0.9/n)=0.3+2.7/n となる。整理して 0.4=2.4/n,すなわち n=6 が得られるので答はエ。検算すると,n=6 のとき r=0.9 では 1/(0.1+0.15)=1/0.25=4倍,r=0.3 では 1/(0.7+0.05)=1/0.75=1.333…倍で,4÷1.333…=3 とちょうど3倍になる。この式はアムダールの法則で,台数 n をいくら増やしても高速化率は 1/(1-r) が上限になる。r=0.9 なら10倍,r=0.3 なら約1.43倍が限界で,並列化できる割合が性能を決めることが分かる。台数を増やすと二つの高速化率の比は 2.0倍(n=3),約2.4倍(n=4),約2.7倍(n=5)と少しずつ増えていくので,アからウはいずれも3倍に届いていない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問11
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問 12
二つのシステム A,B の稼働率をそれぞれ α_A(0<α_A<1),α_B(0<α_B<1),MTBF をそれぞれ MTBF_A,MTBF_B,MTTR をそれぞれ MTTR_A,MTTR_B としたとき,これらの関係として,常に成り立つものはどれか。
正解:イ
稼働率は α=MTBF/(MTBF+MTTR) で定義される。分子と分母を MTBF で割ると α=1/(1+MTTR/MTBF) と書けるので,稼働率は MTTR/MTBF という比だけで決まり,しかもこの比が大きいほど稼働率は小さくなる(単調に減少する)。したがって α_A=α_B であることと MTTR_A/MTBF_A=MTTR_B/MTBF_B であることは同じ意味になり,イは常に成り立つ。アは,たとえば MTBF=100時間・MTTR=1時間のシステムと MTBF=200時間・MTTR=2時間のシステムはどちらも稼働率 100/101=200/202 で等しいが,MTBF も MTTR も等しくないので成り立たない。ウは,稼働率が高いほうが MTBF も MTTR も大きいとは限らない。上の例の MTBF が長いほうを MTTR=3時間にすれば,MTBF は大きいのに稼働率は下がる。エは向きが逆で,α_A>α_B なら比は小さいほうが A なので MTTR_A/MTBF_A<MTTR_B/MTBF_B となる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問12
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問 13
図のように3個の装置を並列と直列に組み合わせて構成したシステムがある。装置単体の稼働率と,システムの稼働率の関係を示したグラフはどれか。ここで,3個の装置の稼働率は,全て等しいものとする。
問13の図
正解:エ
装置単体の稼働率を a とする。並列部分は2台のどちらかが動いていればよいので,稼働率は 1-(1-a)²=2a-a² になる。システム全体はこの並列部分と残り1台の直列なので,(2a-a²)×a=2a²-a³ となる。この値を単体の稼働率 a と比べると,2a²-a³-a=-a(a-1)² となり,0<a<1 では常に負である。つまりシステムの稼働率は必ず装置単体より低く,グラフは対角線(点線)より下側だけを通り,両端の0と1でだけ対角線に接する。実際 a=0.5 では 2×0.25-0.125=0.375 で,対角線の0.5より下になる。この形に合うのはエ。直列がある以上,並列で冗長にしても単体を上回れないことを示している。アは対角線より上にあり,これは並列2台だけの 2a-a²(a=0.5 で0.75)の形で,直列の1台を考えていない。イは対角線そのもので,装置1台のときの関係。ウは a=0.5 でちょうど0.5となって対角線と交わっており,これは3台の多数決(2 out of 3)の 3a²-2a³(a=0.5 で0.5)の形で,この構成とは異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問13
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問 14
リアルタイム OS において,実行中のタスクがプリエンプションによって遷移する状態はどれか。
正解:イ
プリエンプションとは,実行中のタスクからOSが強制的にCPUを取り上げ,より優先度の高いタスクに渡すことをいう。取り上げられたタスクは処理を続けられる状態のままなので,CPUさえ割り当てられればすぐ動ける「実行可能状態(レディ)」に移り,順番が来れば実行状態に戻る。したがって答はイ。タスクの状態遷移は,生成されて実行可能状態に入り,OSのディスパッチで実行状態になり,入出力の完了待ちやイベント待ちで自ら待ち状態に移り,待っていた事象が起きると実行可能状態へ戻る,という流れが基本である。アの休止状態は,まだ生成されていない,あるいは終了して資源が残っている段階で,実行中のタスクが割込みだけでここへ移ることはない。ウの終了状態は自らの処理を終えたときに入る状態で,プリエンプションは処理を打ち切らないので該当しない。エの待ち状態は,タスク自身が入出力要求や資源待ちなど「事象が起きるまで動けない」ときに入る状態であり,プリエンプションのようにOSの都合でCPUを譲る場合とは区別される。この違いは,待ち状態のタスクは事象が起きるまで実行可能にならないのに対し,プリエンプションされたタスクはすぐ実行可能である点にある。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問14
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問 15
仮想記憶管理におけるページ置換えアルゴリズムとして LRU 方式を採用する。主記憶のページ枠が,4000,5000,6000,7000番地(いずれも16進数)の4ページ分で,プログラムが参照するページ番号の順が,1→2→3→4→2→5→3→1→6→5→4のとき,最後の参照ページ4は何番地にページインされているか。ここで,最初の1→2→3→4の参照で,それぞれのページは4000,5000,6000,7000番地にページインされるものとする。
正解:ウ
LRU は「最も長い間参照されていないページ」を追い出す方式なので,参照のたびに新しさの順を更新して追う。最初の1→2→3→4で 4000番地=ページ1,5000番地=ページ2,6000番地=ページ3,7000番地=ページ4 となり,古い順は 1,2,3,4 である。次の参照2はヒットで古い順は 1,3,4,2。参照5は不在なので最も古いページ1を追い出し,5が4000番地に入る(古い順は 3,4,2,5)。参照3はヒットで 4,2,5,3。参照1は不在なので最も古いページ4のある7000番地を使い(古い順は 2,5,3,1),参照6は不在なので最も古いページ2のある5000番地を使う(古い順は 5,3,1,6)。参照5はヒットで 3,1,6,5 となり,最後の参照4は不在なので最も古いページ3が置かれている6000番地に入る。したがって答はウ。アの4000番地はこの時点でページ5,イの5000番地はページ6,エの7000番地はページ1が入っており,いずれも4より後に参照されているので追い出されない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問15
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16
表は,OSS のライセンスごとに,そのライセンスの OSS を利用したプログラムを配布するとき,ソースコードを公開しなければならないかどうかを示す。a〜d に入れるライセンスの適切な組合せはどれか。ここで,表中の“○”は公開しなければならないことを表し,“×”は公開しなくてもよいことを表す。 〔表〕OSS ライセンス a/b/c/d OSS のソースコードを修正して作ったプログラム:○/○/○/× OSS に静的にリンクしたプログラム:○/○/×/× OSS に動的にリンクしたプログラム:○/×/×/×
正解:ア
表は左から右へ公開義務が緩くなる並びになっているので,コピーレフトの強さの順にライセンスを当てはめればよい。a は修正・静的リンク・動的リンクのすべてで公開が必要な最も強いもので,これは GPL である。GPL は,リンクした部分も含めて全体を派生物とみなし,同じ条件で公開することを求める。b は動的リンクだけ公開が不要で,これはライブラリ向けに GPL を緩めた LGPL に当たる。LGPL は,ライブラリを差し替えられる形(動的リンク)で使う限り,利用側のプログラムを公開しなくてよい。c は修正した場合だけ公開が必要で,これはファイル単位のコピーレフトを採る MPL である。MPL は修正したファイルのソース公開を求めるが,別ファイルとして書いた自分のコードには及ばない。d はどの場合も公開が不要で,これは著作権表示と免責条項の保持だけを条件とする BSD ライセンスである。したがって a=GPL,b=LGPL,c=MPL,d=BSD となり,答はア。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問16
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17
OpenAPI Specification に従った API の定義・開発を支援する機能を提供する OSS はどれか。
正解:エ
OpenAPI Specification は,REST API の入出力やエンドポイントの仕様を YAML や JSON で機械可読に記述するための標準仕様である。この仕様に沿って API を定義し,仕様書の閲覧・テスト実行・クライアントやサーバのひな形コード生成までを支援する OSS が Swagger(Swagger Editor,Swagger UI,Swagger Codegen などの総称)で,答はエ。もともと Swagger という名前で作られた仕様が寄贈されて OpenAPI Specification となった経緯があり,両者は密接に関係している。アの curl は,コマンドラインから HTTP をはじめとする各種プロトコルでデータを送受信するツールで,API の呼出し確認には使えるが,仕様を定義する機能はもたない。イの OpenAM は,シングルサインオンやアクセス管理を提供する認証基盤の OSS である。ウの Serverspec は,サーバに導入されたパッケージやサービスの状態が意図どおりかを RSpec の記法でテストするツールで,インフラの構成管理の検証に使われる。いずれも API 仕様の記述を支援するものではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問17
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 18
8ビット D/A 変換器を使って負でない電圧を発生させる。使用する D/A 変換器は,最下位の1ビットの変化で出力が10ミリV変化する。データに0を与えたときの出力は0ミリVである。データに16進数で82を与えたときの出力は何ミリVか。
正解:ウ
D/A 変換器の出力は「与えたデータの値×1ビット当たりの電圧」で決まる。データ0で0ミリVと決まっているので,オフセットを考える必要はない。16進数の82を10進数に直すと 8×16+2=130 であり,1ビット当たり10ミリVだから 130×10=1,300ミリV になる。したがって答はウ。なお8ビットなので与えられるデータは0〜255(16進数で00〜FF)の256段階,出力の範囲は0〜2,550ミリVであり,1,300ミリVはその範囲に収まっている。アの820は,16進数の82を10進数の82とみなして 82×10 と計算した値で,基数の変換を忘れた場合に当たる。エの1,312は 82×16=1,312 に一致する値で,「16進数」を「16倍する」と取り違えた場合に出る。イの1,024は 2¹⁰ に当たる値で,8ビットという条件から桁数を取り違えたときに選びやすいが,130段階×10ミリVというこの設問の条件からは導けない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問18
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 19
産業機器の制御装置として使われる PLC の説明として,適切なものはどれか。
正解:イ
PLC(Programmable Logic Controller)は,工場の生産設備などで順序制御を行うための専用コントローラで,入力(センサやスイッチ)の状態に応じて出力(モータやバルブ)を決める手順をプログラムとして書き込み,繰り返し実行する。プログラムの記述には,リレー回路の図面をそのままなぞったラダー図が主に使われるので,答はイ。ラダー図は電気技術者が読み書きしやすく,配線変更なしに制御内容をソフトで書き換えられる点が PLC の利点である。アは偏差の比例・積分・微分で操作量を決める PID 制御の説明で,温度や流量のように連続量を目標値に近づける制御方式であり,順序制御を主とする PLC の定義ではない。ウはアナログ信号をデジタル信号に変換する A/D 変換器の説明で,PLC のアナログ入力ユニットに組み込まれることはあるが,PLC そのものの説明ではない。エはリレーシーケンス回路の説明で,これは PLC が普及する前に使われていた,接点とコイルの配線で論理を組む方式である。配線を組み替えないと動作を変えられない点が,プログラムで変更できる PLC との決定的な違いである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問19
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問 20
FPGA などに実装するデジタル回路を記述し,論理合成するために使用される言語はどれか。
正解:イ
HDL(Hardware Description Language:ハードウェア記述言語)は,デジタル回路の構造や動作を文章で記述するための言語で,代表的なものに VHDL と Verilog HDL がある。記述した内容を論理合成ツールに掛けると,論理ゲートやフリップフロップの組合せ(ネットリスト)に変換され,FPGA や ASIC に実装できる形になる。したがって答はイ。回路図を引く代わりにプログラムのように書けるため,大規模な回路でも設計・修正・検証がしやすく,シミュレーションによる動作確認も同じ記述で行える。アの DDL(Data Definition Language)は,データベースの表やインデックスの定義に使う SQL の一分類で,CREATE や ALTER などがこれに当たる。ウの UML(Unified Modeling Language)は,クラス図やシーケンス図などでソフトウェアの構造や振る舞いを表す統一モデリング言語である。エの XML(Extensible Markup Language)は,タグで意味を示しながらデータを構造化して記述するための汎用のマークアップ言語で,設定ファイルやデータ交換に広く使われる。いずれも回路を論理合成する用途のものではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問20
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問 21
IoT システムにおいて,センサーの値をゲートウェイに送信するセンサーノードの消費電流を抑えるため,図のような間欠動作を考える。センサーノードの動作時間は10ミリ秒で,その間は平均して 10mA の電流が流れる。待機中は常に 0.1μA の電流が流れる。間欠動作の平均電流を 1μA 以下にするための待機時間として,最も短いものはどれか。ここで,平均電流の値を求める時間は十分に長いものとする。
問21の図
正解:ウ
平均電流は「1周期に流れた電気量÷周期の長さ」で求める。単位をそろえて,動作時間 0.01秒・電流 10,000μA,待機時間 t 秒・電流 0.1μA とすると,1周期の電気量は 10,000×0.01+0.1×t=100+0.1t(μA・秒),周期は 0.01+t 秒である。平均電流が1μA以下という条件は (100+0.1t)/(0.01+t)≦1 で,分母を払うと 100+0.1t≦0.01+t,整理して 99.99≦0.9t となり t≧111.1秒が得られる。したがって最も短い待機時間は111.1秒でウ。検算すると,t=111.1 のとき電気量は 100+11.11=111.11,周期は 0.01+111.1=111.11 で,平均電流はちょうど 1μA になる。動作中の電流が待機中の10万倍もあるため,10ミリ秒動かすだけで待機約111秒分の電気を使ってしまう,というのがこの計算の意味である。エの1111.1秒は10倍長く,条件は満たすが「最も短いもの」ではない。イの11.1秒では平均電流が (100+1.11)/11.11≒9.1μA,アの1.1秒では (100+0.11)/1.11≒90μA となり,どちらも1μAを大きく超える。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問21
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問 22
ユーザーインタフェースのユーザビリティを評価する手法には,利用者が参加するものと専門家だけで実施するものとがある。利用者が参加する手法と専門家だけで実施する手法との適切な組合せはどれか。
正解:ウ
ユーザビリティ評価の手法は,実際の利用者に操作してもらう「ユーザーテスト系」と,専門家が知識に基づいて画面を点検する「専門家評価系」に分かれる。思考発話法は,利用者にタスクを行ってもらいながら考えていることを声に出させ,どこでつまずいたかを把握する方法で,利用者が参加する手法である。ヒューリスティック評価法は,ヤコブ・ニールセンらがまとめた経験則(ヒューリスティックス)に照らして,専門家が画面を点検し問題点を洗い出す方法で,利用者は参加しない。この組合せに合うのはウ。アの回顧法は,利用者に操作してもらった後で「あのときどう考えたか」を振り返って語ってもらう方法なので利用者が参加する手法であり,専門家だけで実施する側に置くのは誤り。イも同じ理由で回顧法の位置は正しいが,思考発話法を専門家側に置いている点が誤りである。エの認知的ウォークスルー法は,専門家が初めての利用者になったつもりで操作手順を1段階ずつたどり,学習しやすさを評価する方法で,専門家だけで実施する手法に当たるため,利用者が参加する側に置くのは誤りである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問22
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問 23
W3C で仕様が定義され,矩形や円,直線,文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述し,Web ページでの図形描画にも使うことができる画像フォーマットはどれか。
正解:ウ
SVG(Scalable Vector Graphics)は,W3C が仕様を定めたベクター画像のフォーマットで,矩形・円・直線・曲線・文字列といった図形を XML のタグで記述する。座標や大きさを数値でもつため,拡大・縮小しても輪郭がぼやけず,テキストなのでスタイルシートやスクリプトから操作でき,Web ページに直接埋め込んで描画できる。したがって答はウ。アの OpenGL は,2次元・3次元のグラフィックスを描画するための API(関数群)の仕様であって,画像ファイルの形式ではない。イの PNG は可逆圧縮のラスター(点の集まり)画像形式で,透明度を扱えて Web で広く使われるが,図形を XML で記述するものではなく,拡大すると粗くなる。エの TIFF も同じくラスター画像形式で,複数ページや高階調を扱えることから印刷やスキャナの分野で使われるが,XML 記述でも W3C の仕様でもない。ラスターとベクターの違い,そして「XML で書かれている」という点が SVG を見分ける手掛かりになる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問23
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問 24
大量の IoT デバイスから送信される大量で,かつ様々な形式のデータを格納可能なデータモデルのうち,行ごとに任意の列数をもち,かつ列ごとに複数の値をもつことによって,柔軟なデータ格納を実現しているデータモデルはどれか。
正解:エ
ワイドカラム指向(列指向)データモデルは,行ごとに異なる列をもてる構造で,あらかじめ全体の表構造を決めておく必要がない。関連する列をまとめたカラムファミリという単位をもち,1つの列に複数の値(タイムスタンプ付きの複数バージョンなど)を保持できるため,種類の異なるセンサーデータが大量に届く IoT の用途に向く。設問の「行ごとに任意の列数」「列ごとに複数の値」という説明にそのまま当てはまるので答はエで,代表的な製品に Apache Cassandra や HBase がある。アのグラフモデルは,データを節(ノード)と関係(エッジ)で表し,つながりをたどる検索を得意とするもので,人間関係や経路の分析に使われる。イのドキュメントモデルは,JSON や XML のような入れ子構造の文書を1件ずつ格納する方式で,構造の自由度は高いが「行と列」という枠組みでは説明されない。ウのリレーショナルモデルは,あらかじめ定めた列の並び(スキーマ)に従って全ての行が同じ列をもつ表の形であり,行ごとに列数が変わることも1つの列に複数の値を入れることも原則として認められない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問24
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問 25
UML を用いて表した図のデータモデルを関係データベース上に実装する際の解釈のうち,適切なものはどれか。
問25の図
正解:ウ
図では“顧客”と“付加情報”が「1対多(注文主)」で結ばれており,付加情報の側が「どの顧客のものか」を必ずもつ。関係データベースでは,1対多の多側に1側の主キーを外部キーとしてもたせるので,“付加情報”表に“顧客”表の顧客番号を参照する参照制約(外部キー制約)を指定することになる。したがって答はウ。エは向きが逆である。“注文”と“付加情報”は「多対0..1(指定送付先)」なので,多側である“注文”表のほうに“付加情報”表を参照する外部キーをもたせる。0..1 は「指定送付先をもたない注文もある」という意味で,その場合この外部キーは空値になる。アは,図に添えられた制約に「“注文”のインスタンスが指定送付先をもつときは,その“付加情報”の注文主と“注文”の顧客は一致すること」と書かれているので,他人の付加情報を指定送付先にはできない。選べるのはその注文の顧客に結び付いた行だけである。イは,顧客と付加情報の多重度が1対多(多側は0個でもよい)なので,付加情報を1件ももたない顧客も,複数もつ顧客も存在してよく,行数が一致する必然性はない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問25
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問 26
関係を第2正規形から第3正規形に変換する手順はどれか。
正解:イ
第3正規形は「非キー属性が候補キーに推移的に関数従属していないこと」を求める。推移的関数従属とは,候補キー→属性X→属性Y のように,非キー属性どうしの間に関数従属があるために生じる従属で,これを取り除くには従属している側の属性の組を別の関係に切り出せばよい。たとえば(社員番号,部署コード,部署名)で部署コード→部署名が成り立つ場合,(社員番号,部署コード)と(部署コード,部署名)に分解する。したがって答はイ。エは,一つの属性に複数の値が入った繰返し項目をなくして単一の値にする操作で,これは非正規形から第1正規形への変換である。ウは,候補キーの一部(真部分集合)から非キー属性への関数従属,すなわち部分関数従属を取り除く操作で,これが第1正規形から第2正規形への変換に当たる。アは,候補キー以外の属性から候補キーの一部への関数従属を扱っており,これは第3正規形をさらに厳しくしたボイス・コッド正規形で問題にされる形である。第1→第2が部分関数従属の除去,第2→第3が推移的関数従属の除去,と押さえておくと選び分けられる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問26
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問 27
SQL 文に示す参照制約が存在する“商品”表と“受注”表とがある。“商品”表の行を削除したとき,削除した行の商品コードと同じ値の商品コードをもつ“受注”表の行を自動的に削除する SQL 文として,a に入れる字句はどれか。 〔SQL 文〕 CREATE TABLE 商品 ( 商品コード CHAR(4) PRIMARY KEY , 商品名 VARCHAR(64) ) CREATE TABLE 受注 ( 受注番号 INTEGER PRIMARY KEY , 商品コード CHAR(4) , 受注個数 INTEGER , 納品日 CHAR(8) , FOREIGN KEY (商品コード) REFERENCES 商品(商品コード) ON DELETE [ a ] )
正解:ア
外部キー制約の ON DELETE 句は,参照されている側(親表)の行が削除されたときに,参照する側(子表)の行をどう扱うかを指定する。CASCADE を指定すると,親表の行の削除が子表の該当行の削除として連鎖するので,設問の「商品表の行を削除したとき,同じ商品コードをもつ受注表の行を自動的に削除する」という動作になる。したがって答はア。イの RESTRICT は,子表に参照している行が残っている限り親表の行の削除を禁止する指定で,削除しようとするとエラーになる。何も指定しなかった場合の既定の動作もこれに相当し,データの取り違えを防ぐ安全側の設定である。ウの SET DEFAULT は,子表の該当行を削除せず,外部キーの列を列定義の既定値に置き換える指定である。エの SET NULL も行は残し,外部キーの列を空値にする指定で,「受注の記録は残したいが,どの商品だったかは分からなくなる」という結果になる。行そのものを消すのは CASCADE だけである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問27
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問 28
和両立である関係 R と S がある。R∩S と等しいものはどれか。ここで,-は差演算,∩は共通演算を表す。
正解:イ
差演算 R-S は「R に属し S に属さない要素の集まり」である。したがって R から R-S を取り除くと,R のうち「S に属さない要素」が除かれ,残るのは「R に属し,かつ S にも属する要素」,すなわち R∩S になる。よって答はイ。集合の記号で書くと R-(R-S)=R∩(R∩S̄)̄=R∩(R̄∪S)=(R∩R̄)∪(R∩S)=R∩S となり,式の上でも確かめられる。具体例で見ると,R={1,2,3},S={2,3,4} のとき R-S={1} なので R-(R-S)={2,3}=R∩S である。同じ例でアは (R-S)-(S-R)={1}-{4}={1} となり共通部分ではない。ウは S-R={4} なので R-(S-R)={1,2,3}=R そのものになる。もともと S-R は R と重なりがないため,R から引いても何も減らない。エは S-(R-S)={2,3,4}-{1}={2,3,4}=S となり,やはり S そのものである。なお「和両立」とは,両者の属性の数と定義域がそろっていて集合演算ができる状態を指す。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問28
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問 29
無線 LAN のアクセスポイントや IP 電話機などに,LAN ケーブルを利用して給電も行う仕組みはどれか。
正解:イ
PoE(Power over Ethernet)は,イーサネットの LAN ケーブルでデータ通信と給電を同時に行う仕組みで,IEEE 802.3af / 802.3at / 802.3bt として標準化されている。無線 LAN のアクセスポイント,IP 電話機,ネットワークカメラのように,天井や壁など電源コンセントを取りにくい場所に置く機器へ電源を供給できるため,設置の自由度が高くなり,配線も1本で済む。したがって答はイ。アの PLC(Power Line Communication)は逆に,電力線を通信路として使ってデータを送る技術で,通信線で給電するものではない(同じ略語で産業用の Programmable Logic Controller もあるが,どちらも該当しない)。ウの UPS(Uninterruptible Power Supply)は無停電電源装置で,停電時にバッテリーから電力を供給して機器を安全に停止させるまでの時間を稼ぐもので,LAN ケーブルによる給電とは無関係である。エの USB は周辺機器を接続するためのインタフェース規格で,こちらもデータと電力を1本のケーブルで扱えるが,用途はパソコンと周辺機器の接続であり,LAN ケーブルを使うものではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問29
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問 30
MTU(Maximum Transmission Unit)が1,500バイトに設定された IPv4 ネットワークで,2,000バイトのデータを TCP を用いて送信するときに,二つ目に送信されるパケットに含まれるデータは何バイトか。ここで,TCP ヘッダー長は20バイト,IP ヘッダー長は20バイト,イーサネットのヘッダー長とトレーラー長は,それぞれ14バイトと4バイトとする。また,データを複数パケットに分割して送信するときは,先に送信するパケットに格納できる上限までデータを含めて送信するものとする。
正解:イ
MTU は「1つのフレームで運べる IP パケットの最大長」であり,イーサネットのヘッダーとトレーラーは MTU の外側に付くので数に入れない。したがって1つのパケットに入れられるデータの上限は 1,500-20(IP ヘッダー)-20(TCP ヘッダー)=1,460バイトになる。1つ目のパケットに上限いっぱいの1,460バイトを詰めるので,残りは 2,000-1,460=540バイトとなり,これが二つ目のパケットに含まれるデータである。答はイ。ウの580は 540+20+20 に一致する値で,データ長ではなく二つ目の IP パケット全体の長さを答えた場合に当たる。エの598は,その580にイーサネットのヘッダー14バイトとトレーラー4バイトを加えた 580+18 に一致し,フレーム全体の長さを答えた場合になる。アの500は 2,000-1,500 に一致し,ヘッダーを一切差し引かずに MTU の1,500バイトまでデータを詰められると考えた場合の値である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問30
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問 31
次のルーティングテーブルをもつルータが宛先 IP アドレス 192.168.1.1 のパケットを受信したとき,選択されるネクストホップはどれか。ここで,宛先 IP アドレスの条件を満たす宛先ネットワークが複数あるときは,それらのうちで,サブネットマスクが最も長い宛先ネットワークのネクストホップを選択する。 〔ルーティングテーブル〕宛先ネットワーク/ネクストホップ 0.0.0.0/0 / 10.1.0.1 192.168.0.0/16 / 10.1.0.2 192.168.1.0/24 / 10.1.0.3 192.168.1.0/26 / 10.1.0.4
正解:エ
ルータは宛先 IP アドレスに合致する経路のうち,プレフィックス長(サブネットマスクの1が並ぶ長さ)が最も長いものを選ぶ。これをロンゲストマッチという。宛先 192.168.1.1 を4つの経路と照合すると,0.0.0.0/0 はすべてのアドレスに合致するデフォルト経路,192.168.0.0/16 は 192.168.0.0〜192.168.255.255 に合致,192.168.1.0/24 は 192.168.1.0〜192.168.1.255 に合致する。192.168.1.0/26 はマスクが 255.255.255.192 で範囲は 192.168.1.0〜192.168.1.63 であり,192.168.1.1 はこの中に入るので合致する。4つとも条件を満たすが,プレフィックス長は 0,16,24,26 なので最も長い /26 が選ばれ,ネクストホップは 10.1.0.4 となる。したがって答はエ。ウの10.1.0.3(/24)は,仮に宛先が 192.168.1.100 であれば /26 の範囲(0〜63)を外れるので選ばれる。イの10.1.0.2(/16)は 192.168.2.5 のように第3オクテットが異なる場合に,アの10.1.0.1(/0)はどの経路にも当てはまらない宛先の場合に使われる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問31
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問 32
あるサブネットでは,ルータやスイッチなどのネットワーク機器に IP アドレスを割り当てる際,割当て可能なアドレスの末尾から降順に使用するルールを採用している。このサブネットのネットワークアドレスを 10.16.32.64/26 とするとき,10番目に割り当てられるネットワーク機器のアドレスはどれか。ここで,ネットワーク機器1台に対して,このサブネット内のアドレス1個を割り当てるものとする。
正解:ウ
/26 はホスト部が6ビットなので,1つのサブネットは 2⁶=64個のアドレスを含む。ネットワークアドレスが 10.16.32.64 だから,このサブネットの範囲は 10.16.32.64〜10.16.32.127 である。このうち先頭の 10.16.32.64 はネットワークアドレス,末尾の 10.16.32.127 はブロードキャストアドレスで機器には割り当てられないので,割当て可能なのは 10.16.32.65〜10.16.32.126 の62個になる。末尾から降順に使うルールなので,1番目が .126,2番目が .125 と1ずつ下がり,10番目は 126-9=117 で 10.16.32.117 となる。答はウ。エの118は 127-9 に一致し,割り当てられないブロードキャストアドレスから数え始めた場合の値である。イの55は 64-9 に一致し,ネットワークアドレスを末尾と取り違えた場合。アの54は 63-9 に一致し,一つ手前のサブネット 10.16.32.0/26 のブロードキャストアドレスから数え始めた場合の値である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問32
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問 33
TCP/IP ネットワークで,データ転送用と制御用とに異なるウェルノウンポート番号が割り当てられているプロトコルはどれか。
正解:ア
FTP(File Transfer Protocol)は,コマンドや応答をやり取りする制御用のコネクションと,ファイルの中身を運ぶデータ転送用のコネクションを分けて使う点に特徴があり,ウェルノウンポートとして制御用に21番,データ転送用に20番が割り当てられている。したがって答はア。制御とデータを分けているため,転送中でも制御側で中断の指示を送れる。なおデータ側のポートの使い方には,サーバの20番から接続するアクティブモードと,クライアントから接続するパッシブモードがあり,ファイアウォールの内側から使う場合は後者が用いられる。イの POP3 はメールを受信するプロトコルで110番だけを使う。ウの SMTP はメールを送信・転送するプロトコルで25番(メール投稿用には587番)を使うが,いずれも1つのコネクションでコマンドと本文の両方をやり取りする。エの SNMP はネットワーク機器の監視・管理を行うプロトコルで,管理側からの問合せに161番,機器側からの通知(トラップ)に162番を使う。番号は2つあるが,これは要求と通知という向きの違いによるもので,データ転送用と制御用の分担ではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問33
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 34
30kバイトの JPEG ファイルを電子メールに添付するとき,実際の転送データはおよそ何kバイトになるか。ここで,添付ファイルは MIME base64 を用いてエンコーディングされるものとする。
正解:ウ
base64 は,任意のバイト列を英数字など64種類の文字だけで表す方式で,元のデータを6ビットずつに区切り,1つの区切りを1文字(1バイト)で表す。8ビットのデータ3バイトが6ビット×4文字に置き換わるので,符号化後の大きさは元の4/3倍になる。30kバイトのファイルであれば 30×4/3=40kバイトとなり,答はウ。base64 が使われるのは,電子メールの本文が本来7ビットの文字しか通せない仕組みであるため,画像のような任意のバイト列をそのまま載せられないからで,MIME の規定に従って文字列に変換してから送る。イの30は,符号化しても大きさが変わらないと考えた場合の値である。エの60は 30×2 に一致し,1バイトを2文字で表す16進数表記(各4ビットを1文字にする方式)と取り違えた場合に当たる。アの20は 30×2/3 に一致し,比率を逆に取って小さくなると考えた場合の値だが,base64 は圧縮ではないのでデータが減ることはない。なお実際には76文字ごとの改行やメールヘッダーが加わるため,転送量は40kバイトよりわずかに多くなる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問34
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 35
デジタル庁,総務省及び経済産業省が策定した“電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)”を構成する暗号リストの説明のうち,適切なものはどれか。
正解:ウ
CRYPTREC 暗号リストは3つのリストで構成されている。第1は電子政府推奨暗号リストで,CRYPTREC が安全性と実装性能を確認した暗号技術のうち,市場での利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断されたものを並べ,利用を推奨する。第2は推奨候補暗号リストで,安全性と実装性能は確認されているが利用実績がまだ十分でなく,今後電子政府推奨暗号リストに掲載される可能性があるものを並べる。第3は運用監視暗号リストで,かつて推奨されていたが安全性の低下などにより新規の利用は推奨できなくなった暗号技術を,互換性を保つ目的に限って利用を認めるものである。したがって,設問の説明に当てはまるのは電子政府推奨暗号リストであり,答はウ。アは同じ説明を推奨候補暗号リストに当てており,2つのリストの位置付けを取り違えている。イとエの「格下げされ,互換性維持目的で利用する」という説明は運用監視暗号リストのもので,それぞれ推奨候補暗号リスト,電子政府推奨暗号リストの説明としては誤りである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問35
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 36
Web サーバのログを分析したところ,Web サーバへの攻撃と思われる HTTP リクエストヘッダーが記録されていた。次の HTTP リクエストヘッダーから推測できる,攻撃者が悪用しようとしていた可能性が高い脆弱性はどれか。ここで,HTTP リクエストヘッダー中の“%20”は空白を意味する。 〔HTTP リクエストヘッダーの一部〕 GET /cgi-bin/submit.cgi?user=;cat%20/etc/passwd HTTP/1.1 Accept: */* Accept-Language: ja UA-CPU: x86 Accept-Encoding: gzip, deflate User-Agent: (省略) Host: test.example.com Connection: Keep-Alive
正解:イ
リクエスト行のクエリ文字列が user=;cat%20/etc/passwd となっている。%20 は空白なので,これは user パラメータの値として「;cat /etc/passwd」を送っていることになる。セミコロンは UNIX 系のシェルでコマンドを区切る記号であり,cat /etc/passwd はアカウント情報が記されたファイルの内容を表示するコマンドである。つまり,CGI プログラムが受け取った値をそのままシェルに渡している場合に,本来の処理に続けて任意のコマンドを実行させようとする狙いが読み取れる。これは OS コマンドインジェクションなので答はイ。ウの SQL インジェクションであれば,シングルクォートや OR 1=1,UNION SELECT のように SQL 文の構造を壊す文字列が現れる。エのクロスサイトスクリプティングは,scriptタグや onerror= のようにブラウザ上で実行させるスクリプトを送り込むもので,この例のようなシェルコマンドではない。アの HTTP ヘッダーインジェクションは,レスポンスヘッダーに改行を混入させて偽のヘッダーや本文を作り出す攻撃で,%0d%0a(改行)が含まれるのが特徴だが,この例には現れていない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問36
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 37
暗号機能を実装した IoT 機器における脅威のうち,サイドチャネル攻撃に該当するものはどれか。
正解:イ
サイドチャネル攻撃は,暗号のアルゴリズムそのものを数学的に破るのではなく,暗号処理を行っている機器から漏れ出る物理的な情報を手掛かりに鍵を推測する攻撃である。手掛かりにされるのは,消費電力の変化,処理に要した時間,発する電磁波,動作音,故意に誤動作させたときの出力などで,これらは本来の入出力(正面の経路)ではない「側面の経路」であることからこの名前が付いている。したがって,機器が発する電磁波を測定して秘密情報を得ようとするイが該当する。アは暗号化関数を線形の式で近似し,その偏りから鍵を絞り込む線形解読法で,暗号アルゴリズムを直接解析する手法である。ウは平文の差と暗号文の差の対応関係を統計的に調べる差分解読法で,これもアルゴリズムに対する解析である。エはあり得る鍵をすべて試す総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)で,鍵長を十分に長くすることで防ぐ。いずれも物理的な漏えい情報を使っていないので,サイドチャネル攻撃には当たらない。IoT 機器は攻撃者が現物を手に入れて測定できる場合が多く,この種の攻撃への対策が重視される。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問37
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 38
PKI を構成する OCSP を利用する目的はどれか。
正解:ウ
OCSP(Online Certificate Status Protocol)は,デジタル証明書が失効していないかをオンラインで問い合わせるためのプロトコルである。利用者側の OCSP クライアントが証明書の識別情報を送ると,OCSP レスポンダーが「有効」「失効」「不明」のいずれかを返す。したがって答はウ。従来は認証局が発行する失効リスト(CRL)を取得して照合していたが,CRL は件数が増えると大きくなり,更新の間隔だけ情報が古くなるという弱点があった。OCSP は必要な1件だけをその場で確認できるため,応答が速く,最新の状態を反映しやすい。アの秘密鍵は本来,利用者が自分で管理して外部に出さないものであり,認証局が再発行するという仕組みではないので該当しない。イは,OCSP は証明書の状態を問い合わせるだけで,鍵交換を行うプロトコルではない。エは,証明書の更新は認証局への申請と再発行の手続で行うものであり,その進捗を確認する用途に OCSP は使われない。なお OCSP には,Web サーバがあらかじめ取得した応答を TLS ハンドシェイク時に添えて渡す OCSP ステープリングという方式もある。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問38
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問 39
欧米などの企業,組織で行われている“セキュリティクリアランス”の事例はどれか。
正解:ウ
セキュリティクリアランス(適性評価)は,重要な秘密情報を取り扱わせてよい人物かどうかを,本人の同意のうえで経歴・信用状態・交友関係などから事前に確認し,資格を与える制度である。人に着目した対策であり,設問の「配属される予定の個人の適性を評価する」がこれに当たるので答はウ。日本でも2022年施行の経済安全保障推進法に続き,2024年に成立した重要経済安保情報保護活用法によって民間人を含む適性評価の制度が整えられた。アはインターネットと重要情報を扱う網を物理的に切り離す対策で,ネットワーク分離(エアギャップ)と呼ばれる技術的な対策である。イはアクセス権の棚卸しで,付与された権限が今も必要かを定期的に見直す運用管理の施策であり,人物の適性を事前に評価するものではない。エは離席時に書類や媒体を片付けるクリアデスクの実践で,のぞき見や持ち去りを防ぐ物理的対策である。いずれも情報を守るための施策ではあるが,「人の適性をあらかじめ評価して資格を与える」というセキュリティクリアランスの考え方とは異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問39
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問 40
ソフトウェアの情報セキュリティ対策のうち,SBOM(Software Bill Of Materials)管理ツールを用いることができるものはどれか。
正解:イ
SBOM は「ソフトウェア部品表」と訳され,製品を構成するライブラリやコンポーネントの名称・バージョン・提供元・ライセンスなどを機械可読な形で一覧にしたものである。近年のソフトウェアは大量のオープンソース部品を取り込んでおり,ある部品に脆弱性が公表されたとき,自社のどの製品のどのバージョンが影響を受けるかを短時間で特定する必要がある。SBOM 管理ツールは,この一覧を脆弱性情報データベースと突き合わせ,影響範囲の把握と対応の優先順位付けを支える。したがって答はイ。Apache Log4j の脆弱性で影響調査に時間が掛かった経験から,各国で SBOM の整備が求められるようになった。アのアカウントの一元管理は ID 管理システムや統合認証基盤が担う領域である。ウのソースコードのバージョン管理・アクセス制御・改ざん防止は Git などの構成管理ツールとその権限設定が担うもので,部品表とは役割が異なる。エのバックアップとマルウェア混入防止も,バックアップの仕組みやマルウェア対策ソフト,署名の検証などで実現するもので,SBOM が直接扱う対象ではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問40
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問 41
cookie に Secure 属性を設定しなかったときと比較した,設定したときの Web ブラウザの動作として,適切なものはどれか。
正解:イ
cookie の Secure 属性は,その cookie を暗号化された通信路でのみ送信させるための指定である。この属性が付いていると,ブラウザは URL のスキームが https のときだけ cookie を送り,http の通信では送らない。したがって答はイ。目的は,セッション ID などの重要な値が平文の通信路に流れて盗聴されるのを防ぐことにある。アの有効期間による無効化は Expires 属性や Max-Age 属性が受け持つもので,Secure 属性とは関係がない。ウのパスによる送信範囲の限定は Path 属性の働きで,指定したパスで始まる URL にアクセスしたときだけ cookie を送るようになる。エの JavaScript からの読出し禁止は HttpOnly 属性の働きで,クロスサイトスクリプティングによって cookie を盗み出されることを防ぐ。名前が似ているため混同しやすいが,Secure は「通信路を限定する」,HttpOnly は「スクリプトからの参照を禁じる」,Path と Domain は「送る相手を限定する」,Expires と Max-Age は「寿命を決める」と,それぞれ役割が分かれている。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問41
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問 42
Web アプリケーションソフトウェアの開発における OS コマンドインジェクション対策はどれか。
正解:イ
OS コマンドインジェクションは,利用者から受け取った値をそのままシェルに渡す実装があるときに,セミコロンやパイプなどの区切り記号を混ぜられて任意のコマンドを実行されてしまう脆弱性である。根本的な対策は,シェルを経由してコマンドを起動する言語機能(system 関数やバッククォートによる実行など)を使わず,シェルを介さずにプログラムを直接起動する方法や,専用のライブラリ関数で処理を実現することである。したがって答はイ。やむを得ず使う場合は,値を許可した文字だけに限る検査を併用する。アの SQL 文をプレースホルダで組み立てるのは SQL インジェクションの対策で,値を SQL 文の構造から切り離すことで攻撃を防ぐ。ウの直接メモリにアクセスできる言語機能を避けるのはバッファオーバーフローの対策で,配列の範囲外への書込みを許す言語や関数を使わないという趣旨である。エの入力されたファイル名にディレクトリが含まれていないかを検査するのはディレクトリトラバーサルの対策で,「../」などを使って想定外のファイルを読み書きされることを防ぐ。いずれも重要な対策だが,OS コマンドインジェクションに直接効くのはイである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問42
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問 43
VPN で使用されるプロトコルである IPsec,L2TP,TLS の,OSI 基本参照モデルにおける相対的な位置関係はどれか。
問43の図
正解:ウ
3つのプロトコルが OSI 基本参照モデルのどの層で働くかを整理すると位置関係が決まる。L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)は名前のとおりデータリンク層(第2層)のフレームをトンネル化するプロトコルで,3つの中で最も下位にある。IPsec は IP パケットを暗号化・認証するプロトコルなのでネットワーク層(第3層)に位置し,L2TP より上位になる。TLS はトランスポート層の TCP の上で動き,アプリケーションに暗号化された通信路を提供するので,3つの中で最も上位である。したがって上位から順に TLS,IPsec,L2TP と並び,この並びに一致するのは C なので答はウ。層が違うことは実際の使い方にも表れており,L2TP は暗号化機能をもたないため IPsec と組み合わせた L2TP/IPsec としてリモートアクセス VPN に使われ,TLS は Web ブラウザだけで利用できる SSL-VPN として使われる。A は IPsec を最上位・TLS を最下位にしており上下が逆,B は IPsec を TLS より上位に置いている点が誤り,D は L2TP を IPsec より上位に置いている点が誤りである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問43
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問 44
パスワードクラックの対策のうち,ストレッチングに該当するものはどれか。
正解:ウ
ストレッチングは,パスワードのハッシュ値を求めるときにハッシュ化を数千回から数万回繰り返す手法である。1回の計算に掛かる時間を意図的に長くすることで,攻撃者が総当たりや辞書攻撃で大量の候補を試す速度を落とすことがねらいで,利用者から見れば認証1回分の遅れにすぎないが,攻撃側には繰返し回数の分だけ負担が増える。したがって答はウ。エは,利用者ごとに異なる文字列(ソルト)を付けてからハッシュ化する手法で,同じパスワードでも保存される値が変わるため,あらかじめ計算した対応表(レインボーテーブル)による解読を防ぐ。ストレッチングと目的が異なり,実務では両方を併用する。イは,一定回数の失敗でログインを受け付けなくするアカウントロックで,オンラインでの試行を止める対策である。アは,普段と異なる環境からのログイン時に追加の質問を求めるリスクベース認証で,なりすましの検知を目的とする。いずれもパスワードクラックへの対策ではあるが,ハッシュ計算を繰り返すという定義に当てはまるのはウだけである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問44
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問 45
デザインレビューの目的はどれか。
正解:ア
デザインレビューは,設計書などの設計工程の成果物を,その工程の中で関係者が持ち寄って検討し,誤りや漏れを早い段階で見つけ出す活動である。設計の誤りは,後の工程に進むほど修正の影響範囲が広がり費用も膨らむため,工程内で摘み取ることに価値がある。したがって答はア。参加者には設計者本人だけでなく,前後の工程の担当者や有識者を加え,第三者の目で仕様との整合や実現可能性を確かめる。イの出荷の可否を判定するのは,開発の最終段階で行う出荷判定(品質保証部門による最終審査)であり,設計工程の中で行うレビューとは時期も対象も異なる。ウはプログラムを対象としたサンプリング検査で,これは設計ではなくコードや製品の品質を確認する活動である。エのプロジェクトマネジメントのプロセス上の問題点を扱うのは,進捗や課題を点検するプロジェクトレビュー(マネジメントレビュー)であり,成果物そのものの技術的な誤りを探すデザインレビューとは目的が違う。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問45
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問 46
システムをバージョンアップするとき,システムの稼働環境を二つ用意しておき,一方の環境で現バージョンのシステムを稼働させた状態のままで他方の環境のシステムをバージョンアップし,ロードバランサーなどを使って稼働環境を切り替える。これによって,切替えに伴うシステムのダウンタイムを短くするとともに,バージョンアップしたシステムで不具合が発生したときには,元のバージョンに切り戻す時間を短くすることができる。この手法を何というか。
正解:ア
ブルーグリーンデプロイメントは,同等の稼働環境を2組(慣習的にブルーとグリーンと呼ぶ)用意し,片方で現行版を動かしたまま,もう片方に新版を配置して十分に確認したうえで,ロードバランサーなどで振り向け先を一気に切り替える手法である。切替えは経路の変更だけなので停止時間が短く,不具合が出たときは振り向け先を元に戻すだけで切り戻せる。したがって答はア。イのホットスタンバイは,待機系を常に起動しておき,現用系が故障したら引き継ぐ可用性の確保策で,バージョンアップの手順ではない。ウのホットスワップは,電源を入れたまま機器の部品(ディスクや電源ユニットなど)を交換できる仕組みで,ハードウェアの保守に関する用語である。エのローリングアップデートは,複数のサーバを何台かずつ順番に新版へ入れ替えていく方式で,環境を2組用意する必要はない代わりに,入替えの途中で新旧の版が同時に動く期間が生じる。切戻しも入れ替えた台数分をやり直すことになり,一気に切り替える方式とは性質が異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問46
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問 47
ソフトウェアの保守性を定量評価するときに使用する指標として,適切なものはどれか。
正解:イ
保守性とは「修正のしやすさ」であり,理解しやすさ・変更しやすさ・試験しやすさに支えられる。1本のプログラムが大きくなるほど,どこを直せばよいかの把握に時間が掛かり,修正の影響も読みにくくなるので,モジュールの大きさを適正な範囲に保っているかどうかは保守性を測る直接の手掛かりになる。適正規模の基準を満たすプログラムの数を全体の数で割ったイが,その割合を示す指標であり,答はイ。アは,運用中に出た不具合の件数を規模で割った不具合密度で,作られたものがどれだけ正しく動くかを表す信頼性の指標である。エの推定総エラー数から摘出済みのエラー数を引いた値は,まだ見つかっていない残存エラーの推定数で,これも信頼性に関する指標にあたる。ウはテスト済みの分岐を総分岐数で割った分岐網羅率で,テストがどこまで行き届いたかを示すテストの十分性の指標である。いずれもソフトウェアの品質を測る指標ではあるが,測っている品質の側面が保守性とは異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問47
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問 48
XP(Extreme Programming)のプラクティスの一つであるものはどれか。
正解:エ
XP は,短い反復で開発を進めるアジャイル開発手法の一つで,実践すべき具体的な行動をプラクティスとしてまとめている。代表的なものに,2人1組で1台の端末に向かい一方が書きもう一方が確認するペアプログラミング,先にテストを書いてから実装するテスト駆動開発,動作を変えずに内部構造を整えるリファクタリング,こまめに統合して常に動く状態を保つ継続的インテグレーション,コードを全員の共有物とする共同所有などがある。したがって答はエ。アの構造化プログラミングは,順次・選択・繰返しの3つの制御構造だけでプログラムを構成するという古典的な設計原則で,特定の開発手法のプラクティスではない。イのコンポーネント指向プログラミングは,再利用可能な部品を組み合わせてシステムを作る考え方である。ウのビジュアルプログラミングは,図形要素を画面上で組み合わせて処理を記述する方式で,教育用の環境などで使われる。いずれもプログラミングの様式や手段を指す言葉であって,XP が掲げるプラクティスには含まれない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問48
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問 49
分散システムの脆弱性を実験によって発見する手法であるカオスエンジニアリングには,五つの原則がある。この原則のうちの三つは,“定常状態における振る舞いの仮説を立てる”,“実世界の事象を多様化させる”,“継続的に実行できるよう実験を自動化する”である。あと二つの原則の組みはどれか。
正解:ウ
カオスエンジニアリングは,稼働中の分散システムにあえて障害を注入し,どこまで耐えられるかを実験で確かめて弱点を先に見つける手法である。原則は5つあり,設問に挙げられた3つのほかに「本番環境で実験を実行する」と「影響範囲を局所化する(爆発半径を最小限にする)」がある。したがって答はウ。本番環境で行うのは,実際の利用者の負荷や構成の組合せは試験環境では再現しきれず,そこにこそ未知の弱点が潜むからである。ただし本番で行う以上,利用者への被害を最小限に抑えなければならないので,対象をごく一部に絞り,異常を検知したら直ちに実験を中止できる仕組みを備えたうえで進める。この2つは「実際の環境で試す」と「それでも被害は小さく抑える」という一見相反する要求を両立させる組合せになっている。アとイの「開発環境で実験を行う」は,本番でしか現れない条件を扱えないため原則に反する。イとエの「影響範囲を広く捉える」は被害を広げる方向であり,局所化するという原則と逆である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問49
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問 50
スクラムにおいて繰り返し実行するイベントのうち,ステークホルダに作業の結果をプレゼンテーションして,プロダクトゴールに対する進捗について話し合い,必要に応じてスコープを調整するイベントはどれか。
正解:イ
スクラムでは,スプリントと呼ぶ短い期間を繰り返し,その中で四つのイベントを行う。スプリントレビューは,スプリントの終わりに開発チームが作り上げた成果(インクリメント)をステークホルダに示し,プロダクトゴールに対してどこまで進んだかを一緒に確認する場である。得られた意見をもとにプロダクトバックログを見直し,必要があれば以後の作業範囲を調整するので,設問の説明に当てはまり答はイ。アのスプリントプランニングは,スプリントの開始時に,そのスプリントで何を達成しどう進めるかを計画する会議である。ウのデイリースクラムは,開発チームが毎日短時間行い,スプリントゴールに向けた進み具合と当日の計画を共有する場で,参加するのは開発者である。エのレトロスペクティブ(スプリントレトロスペクティブ)は,スプリントの最後にチーム自身の進め方を振り返り,次のスプリントでの改善点を決める場である。レビューが「作ったもの」を対象にステークホルダと行うのに対し,レトロスペクティブは「作り方」を対象にチーム内で行う点が異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問50
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問 51
プロジェクトマネジメントにおける“プロジェクト憲章”の説明はどれか。
正解:エ
プロジェクト憲章は,プロジェクトの立上げにあたって組織がそのプロジェクトを正式に認可するための文書である。実施の背景となるビジネスニーズ,達成すべき目標,主要な成果物,任命するプロジェクトマネージャとその責任・権限などを,発注者側の責任者が承認する形で示す。これによってプロジェクトマネージャは組織の資源を使う正当な根拠を得るので,答はエ。イはプロジェクトスコープ記述書の説明で,何を作り何を作らないのかという境界や要求事項を,憲章より詳しく定義した文書である。ウは WBS(Work Breakdown Structure)の説明で,成果物を作るために必要な作業を段階的に細かく分けて階層構造で表したものであり,見積りや進捗管理の土台になる。アはプロジェクトマネジメント計画書の説明で,スケジュール,コスト,リスクなど各分野のマネジメントをどう進めるかを定めた文書である。順序としては,憲章で認可を受け,スコープを定義し,WBS に分解し,計画書にまとめる,という流れになる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
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問 52
EVM を使用してマネジメントをしているプロジェクトで,進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。 〔進捗に関する指標値〕 CPI(コスト効率指数):0.9 SPI(スケジュール効率指数):1.1 BAC(完成時総予算)に基づく TCPI(残作業効率指数):1.2
正解:イ
EVM の指数は1を境に読む。CPI は出来高を実コストで割った値で,0.9 は1を下回るので,同じ出来高を得るのに計画より多くの費用を使っている,すなわちコストが超過している。SPI は出来高を計画価値で割った値で,1.1 は1を上回るので,予定より進んでいる。TCPI は完成時総予算の中に収めるために残作業で必要となる効率で,1.2 は1を上回るので,これまでより高い効率で残りを進めないと予算内に収まらないことを意味する。したがって「コスト超過で完成時総予算を超えるおそれがあるが,スケジュールには余裕がある」という評価になり,対策としては残作業のコスト効率を上げるか,あらかじめ確保しておいたコンティンジェンシー予備費の使用を検討することになる。答はイ。アは TCPI が1.2 である以上「残作業のコスト効率を上げる必要はない」とはいえない。ウは SPI が1.1 なのに「スケジュールが予定より遅れており」としている点が誤り。エは CPI が0.9 なのに「コストには余裕がある」としている点と,スケジュールの読みの両方が誤っている。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
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問 53
プロジェクトの期間を短縮する方法のうち,クラッシングに該当するものはどれか。
正解:エ
工期を短縮する代表的な手法にクラッシングとファストトラッキングがある。クラッシングは,要員や設備といった資源を追加投入して個々の作業の所要期間を縮める方法で,投入先はプロジェクト全体の期間を決めているクリティカルパス上の作業になる。外部から要員を調達してクリティカルパス上の作業に充てるエがこれに当たる。費用の増加を伴い,増員による教育や調整の手間で期待どおりに縮まらないこともある点が注意点である。イとウはファストトラッキングに当たる。これは本来順番に行う作業を重ねて進める方法で,ウのように先行作業の一部が仕上がった時点で後続を始めたり,イのように同時に実施できる部分を分けて並行させたりする。費用は増えにくい代わりに,先行作業の結果が変わったときの手戻りというリスクを負う。アの作業の前後関係を組み直して順番を変えるのは,論理的順序関係の見直しであり,どちらの手法にも当たらない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
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問 54
あるシステム開発プロジェクトのシステムテストにおけるテスト密度及び欠陥密度の値は,図に示した領域①〜領域④のうち,領域④の範囲内であった。品質管理基準に照らして評価すると,行うべき活動として最も適切なものはどれか。ここで,このプロジェクトの品質管理基準では,定量評価の基準として,表に従ってテスト密度及び欠陥密度の基準値を設定した上で,テスト密度は基準値の80%以上であること,かつ,欠陥密度は基準値の80%以上120%未満であることと定めている。 〔品質指標と基準値〕 テスト密度:テストケース数(件)÷システムの規模(KLOC)/基準値 20(件/KLOC) 欠陥密度:検出欠陥数(件)÷システムの規模(KLOC)/基準値 0.1(件/KLOC)
問54の図
正解:ウ
基準値からしきい値を求めると,テスト密度は 20×0.8=16 件/KLOC 以上であること,欠陥密度は 0.1×0.8=0.08 以上 0.1×1.2=0.12 未満であることが求められる。図の境界線がこの16,0.08,0.12 に当たる。領域④はテスト密度が16を超えており,欠陥密度は0.08未満の範囲なので,テストの量は十分に確保できている一方で,見つかった欠陥が想定より少なすぎる状態である。テストを十分に行ったのに欠陥が出てこない場合,本当に品質が高い可能性もあるが,テストの観点に漏れがあって欠陥を見つけられていない可能性も同じくらい疑わなければならない。そこでテストケースの妥当性を確認するウが最も適切である。アは,欠陥密度が0.08未満で下限を割っているので「基準を満たしている」という前提が誤り。イの「欠陥が多い」状態は欠陥密度が0.12以上の領域②に当たり,領域④とは逆である。エの「テスト密度が不足している」状態はテスト密度16未満の領域①に当たり,これも領域④には当てはまらない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
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問 55
あるサービスでは〔サービス可用性の SLA〕に基づき,サービス可用性の目標値の遵守状況を月ごとに測定して評価している。ある月の実績値は 99.3%だった。この月にサービス可用性の目標値を達成するためには,サービス停止時間は,最低,何時間少なければよかったか。 〔サービス可用性の SLA〕 ・サービス可用性の目標値:99.5%以上 ・サービス提供時間帯:7時〜22時 ・サービス提供日数:20日/月
正解:イ
まず月あたりのサービス提供時間を求める。7時から22時までは15時間で,これが20日分なので 15×20=300時間である。可用性の実績値が99.3%ということは,停止していた割合が0.7%なので,実際の停止時間は 300×0.007=2.1時間だった。一方,目標の99.5%以上を満たすには停止の割合を0.5%以下に抑える必要があり,許される停止時間は 300×0.005=1.5時間である。したがって 2.1-1.5=0.6時間だけ停止時間が短ければ目標を達成できたことになり,答はイ。アの0.4時間では停止時間が1.7時間残り,可用性は 1-1.7÷300=99.43%で目標に届かない。ウの1.3時間では停止時間が0.8時間となって可用性は99.73%,エの1.95時間では停止時間が0.15時間となって可用性は99.95%となり,どちらも目標は満たすが,設問が求めている「最低,何時間少なければよかったか」という最小値ではない。可用性の数値は小さな差に見えても,300時間に対する0.2ポイントが36分に相当する点に注意したい。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
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問 56
A 社は,自社がオンプレミスで運用している業務システムを,クラウドサービスへ段階的に移行する。段階的移行では,初めにネットワークとサーバを IaaS に移行し,次に全てのミドルウェアを PaaS に移行する。A 社が行っているシステム運用作業のうち,この移行によって不要となるシステム運用作業の組合せはどれか。 〔A 社が行っているシステム運用作業〕 ① 業務システムのバッチ処理のジョブ監視 ② 物理サーバの起動,停止のオペレーション ③ ハードウェアの異常を警告する保守ランプの目視監視 ④ ミドルウェアへのパッチ適用
正解:ウ
クラウドサービスの区分は,どこまでを事業者が受け持つかで決まる。IaaS はネットワーク,サーバ,ストレージといった基盤を事業者が提供するので,物理的な機器に関わる作業は利用者の手を離れる。②の物理サーバの起動・停止のオペレーションと,③のハードウェアの保守ランプの目視監視は,そもそも自社に物理サーバがなくなるため不要になる。PaaS はさらに OS やミドルウェアまで事業者が受け持つので,④のミドルウェアへのパッチ適用が不要になる。①の業務システムのバッチ処理のジョブ監視は,自社が作った業務アプリケーションの実行状況を見る作業であり,IaaS でも PaaS でも利用者の責任範囲に残る。したがって IaaS で②③,PaaS で④が不要となり,答はウ。アとイは①を不要としている点が誤りで,アプリケーションの運用まで事業者に任せるには SaaS への移行が必要になる。イとエは②を PaaS 側に置いたり IaaS 側から外したりしており,物理サーバがなくなるのは IaaS への移行の時点であることを取り違えている。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
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問 57
サービスの継続的改善で,改善の達成目標を設定して活動するとき,“サービスの提供やマネジメントの成功に重要な要因”を特定したものを何というか。
正解:ア
CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)は,目標を達成するために特に重要となる要因を特定したものである。「何をうまくやれば成功するのか」を絞り込むもので,たとえばサービスデスクの改善であれば「一次解決率を高めること」「担当者の知識を共有すること」などが CSF になる。したがって答はア。イの KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は,最終的に到達したい状態を数値で表したもので,「顧客満足度4.5以上」のように結果を測る。ウの KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は,CSF が達成できているかを測るための中間的な指標で,「一次解決率80%以上」のように過程を測る。この3つは,KGI という到達点を定め,そこに至るために外せない要因を CSF として特定し,その進み具合を KPI で追う,という関係で結び付いている。エの OKR(Objectives and Key Results)は,達成したい目標とその成果指標を組にして掲げ,短い周期で見直す目標管理の手法であり,要因を特定するという設問の説明には当たらない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
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問 58
システム監査におけるウォークスルー法の説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
ウォークスルー法は,監査人が特定のデータを取り上げ,それが生成されてから入力・処理・出力を経て利活用されるまでの流れを実際にたどりながら,その途中に組み込まれている統制(コントロール)が意図どおりに働いているかを確かめる技法である。書類の記述と実際の流れが一致しているかを一貫して追える点に特徴があり,答はウ。アは,資料や文書類を入手して内容を点検するドキュメントレビュー法(書面調査法)の説明である。イは,関係者に口頭で問い合わせて回答を得るインタビュー法の説明で,これは相手の説明が事実かどうかを別の証拠で裏付ける必要がある。エは,あらかじめ用意したテストデータを監査対象のプログラムで処理させ,期待どおりの結果が出るかを確かめるテストデータ法の説明で,プログラムの処理が正しいことを直接確かめる技法である。ほかにも,監査対象プログラムに監査用のモジュールを組み込む組込み監査モジュール法や,実際の処理と並行して監査人の用意した処理を走らせる並行シミュレーション法などがあり,それぞれ得られる証拠の性質が異なる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
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問 59
システム監査における“監査手続”として,最も適切なものはどれか。
正解:ウ
監査手続とは,監査人が監査の結論を導くために,監査項目ごとに十分かつ適切な監査証拠を集める手順のことをいう。具体的には,どの資料をどのように確かめるか,誰にどのような質問をするか,どの技法(ドキュメントレビュー法,インタビュー法,ウォークスルー法,テストデータ法など)を用いるかを定め,実施した内容と結果を監査調書に記録する。したがって答はウ。監査は,計画(予備調査を含む),実施(本調査),報告,フォローアップという流れで進み,監査手続はこのうち実施の段階の中心を占める。アの監査計画の立案や進捗管理は計画・管理の活動であり,証拠を集める手順そのものではない。エの監査チームの編成も計画段階で行う体制づくりである。イの監査報告書に結論や指摘事項を記述するのは報告の段階の活動で,監査手続によって集めた証拠に基づいて行われる。証拠が十分でなければ結論を出せないという関係にあり,監査手続はその土台を作る工程だといえる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
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問 60
システム管理基準(令和5年)における,ユーザ受入テストに関する監査のチェックポイントとして,適切なものはどれか。
正解:ア
ユーザ受入テストは,出来上がった情報システムを利用者自身が使い,業務要件がきちんと反映されているかを利用者の立場から確かめる工程である。開発者が行う単体テストや結合テストが「仕様どおりに動くか」を確かめるのに対し,受入テストは「実際の業務が回るか」を確かめる点に意味があり,これを監査で見るチェックポイントに当たるのがア。イは稼働後に IT 戦略上の目標を達成できたかを確認する内容で,これは投資対効果の評価や運用評価の段階で行う。ウは中間成果物も含めた全構成要素のレビューを求めており,開発工程の各段階で行う設計レビューなどに関するチェックポイントである。エは移行後に本番環境が利用可能かを確かめる内容で,移行作業の妥当性を見る移行テストや移行判定に関するものである。いずれも情報システムのライフサイクルの中で必要な確認だが,実施する時期と確認する主体が異なるので,ユーザ受入テストのチェックポイントとしてはアが適切である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 61
DX 認定制度における認定基準に含まれている事項はどれか。
正解:イ
DX 認定制度は,情報処理の促進に関する法律に基づき,デジタル技術による変革に向けて準備が整っている事業者を国が認定する制度である。認定基準は,経営ビジョンやビジネスモデルの方向性を定めて公表していること,それを実現する方策として DX 戦略を定めて公表していること,戦略を推進する体制や指標を定めていること,といった「取組みの体制が整い,対外的に示されていること」を求めるもので,イがこれに当たる。したがって答はイ。アは,成果目標を既に達成していることまでは求められていない。DX 認定は成果を出した企業を表彰する制度ではなく,準備段階にある企業を後押しする制度だからである。ウは,申請できる事業者に規模の制限はなく,中小企業に限られてはいない。エは,認定基準がデジタルガバナンス・コードの考え方に沿って作られていることは確かだが,同コードの全項目への対応を求めるものではない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問61
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問 62
A 社は,ソリューションプロバイダから,顧客に対するワントゥワンマーケティングを実現する統合的なソリューションの提案を受けた。この提案に該当するソリューションとして,適切なものはどれか。
正解:ア
ワントゥワンマーケティングは,顧客を一律に扱わず,一人ひとりの購買履歴や好みに合わせて個別に働きかける手法である。これを実現するには,顧客の属性・取引履歴・問合せ内容などをまとめて管理し,分析結果をもとに営業やサービスの活動につなげる仕組みが要る。その役割を担うのが CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ソリューションであり,答はア。CRM は顧客との関係を長期にわたって深めることで,離反を防ぎ生涯価値を高めることを狙う。イの HRM(Human Resource Management)ソリューションは,採用・配置・評価・育成など人材の管理を支援するもので,対象は従業員である。ウの SCM(Supply Chain Management)ソリューションは,調達から生産,物流,販売までの供給の流れ全体を最適化するもので,在庫の削減や納期の短縮を狙う。エの財務管理ソリューションは,会計処理や資金繰り,予算管理などを支援するものである。いずれも企業活動を支える仕組みだが,顧客一人ひとりへの働きかけを扱うのは CRM である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問62
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問 63
クラウドサービスなどの提供を迅速に実現するためのプロビジョニングの説明はどれか。
正解:エ
プロビジョニングは,利用者からの要求にすぐ応えられるよう,あらかじめ需要を見込んでネットワーク設備やサーバ,ストレージなどの資源を用意し,割り当てられる状態にしておくことをいう。クラウドサービスでは,申込みから利用開始までの時間を短くすることが価値の源泉になるため,資源を先回りして確保し,要求に応じて自動で割り当てる仕組みが重要になる。したがって答はエ。アは,情報システムの企画から保守までを一貫して,あるいは部分的に請け負うシステムインテグレーションの説明である。イは,業種や事業内容が共通する複数の組織が共同で基盤を運用し,それぞれが利用するコミュニティクラウドの説明である。ウは,自社で機器や回線を用意して業務パッケージを導入するオンプレミスの説明で,クラウドサービスを利用する形態とは対になる考え方である。なお需要が読みにくい場合には,実際の利用量に合わせて資源を自動的に増減させるオートスケーリングを組み合わせるのが一般的である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問63
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問 64
製品 X と製品 Y を販売している企業が,見積作成と提案書作成に掛かる業務時間を,それぞれ20%削減できるシステムの構築を検討している。Activity-Based Costing を用いて,次の条件が洗い出された。本システム構築による製品 X の見積作成と製品 X の提案書作成に関する月間総人件費削減効果は幾らか。 〔条件〕 ・製品 X の見積作成に掛かる月間業務時間は,50時間 ・製品 X の提案書作成に掛かる月間業務時間は,50時間 ・製品 Y の見積作成に掛かる月間業務時間は,100時間 ・製品 Y の提案書作成に掛かる月間業務時間は,400時間 ・製品 X と製品 Y の見積作成に掛かる月間総人件費は,60万円 ・製品 X と製品 Y の提案書作成に掛かる月間総人件費は,360万円 ・見積作成と提案書作成は,それぞれ人件費単価が異なる部門が担っている。 ・製品 X と製品 Y の見積作成に掛かる人件費単価は,同じである。 ・製品 X と製品 Y の提案書作成に掛かる人件費単価は,同じである。
正解:ウ
Activity-Based Costing(活動基準原価計算)は,費用を活動ごとに把握し,その活動をどれだけ使ったかに応じて製品に配賦する考え方である。ここでは見積作成と提案書作成が別々の活動であり,単価も別に求める必要がある。見積作成は製品 X が50時間,製品 Y が100時間で合計150時間,総人件費が60万円なので,単価は 60÷150=0.4万円/時間である。提案書作成は 50+400=450時間に対して360万円なので,単価は 360÷450=0.8万円/時間になる。製品 X の見積作成の人件費は 50×0.4=20万円,提案書作成は 50×0.8=40万円で,それぞれ20%削減できるので効果は 20×0.2=4万円と 40×0.2=8万円,合計12万円となる。答はウ。アの4万円は見積作成の分だけ,イの8万円は提案書作成の分だけを数えた値である。エの14万円は,二つの活動を分けずに全体の平均単価 (60+360)÷(150+450)=0.7万円/時間を用い,製品 X の合計100時間に掛けた70万円の20%として計算した値で,活動ごとに単価が違うという条件を無視した場合に出る。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問64
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問 65
システム管理基準(令和5年)によれば,企画プロセスにおけるビジネス分析の達成目標の一つとして,適切なものはどれか。
正解:ア
システム管理基準の企画プロセスは,情報システムに何を求めるのかを固めていく段階で,ビジネス分析はその入口に当たる。ここでは,現状の業務のどこに問題があるのかを調べ,あるべきビジネスモデルと業務プロセスを描き,その姿に移ることで何が解決し何が得られるのかを明らかにする。したがって「あるべきビジネスモデル及び業務プロセスによって生じる問題やメリットが明確にされている」というアが達成目標に当たる。エは,出てきた要望に優先順位を付けて業務要件としてまとめ,利用者や関係者と合意する内容で,これは要件定義の達成目標である。イは,関連する情報システムや構成要素間のインタフェースの特定で,情報システムの実現方式を検討する段階の内容にあたる。ウは,遂行能力・性能・稼動率といった実績の測定量に関するもので,稼働後の運用や評価の段階で扱う。ビジネス分析が「どうあるべきかを描く」,要件定義が「何を作るかを決める」,開発以降が「どう作り,どう測るか」という順に並ぶことを押さえると区別しやすい。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問65
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問 66
ベンダー X 社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a〜d の契約形態のうち,準委任型が適切であるとされるものはどれか。 〔表〕フェーズ/契約形態 要件定義:a システム外部設計:準委任型又は請負型 システム内部設計:b ソフトウェア設計,プログラミング,ソフトウェアテスト:請負型 システム結合:c システムテスト:準委任型又は請負型 運用テスト:d
正解:イ
“情報システム・モデル取引・契約書”は,工程ごとに成果物の内容を確定できるかどうかで契約形態を使い分けることを示している。要件定義(a)は,何を作るのかをこれから決める工程であり,発注者の主体的な関与のもとで検討を重ねるため,成果物を事前に確定できない。したがって仕事の完成ではなく業務の遂行を約束する準委任型が適切とされる。運用テスト(d)も,実際の業務の流れの中で使えるかを発注者側が確かめる工程で,主体は発注者にあり,ベンダーは支援する立場になるので準委任型が適切である。よって a と d の組合せであるイが答え。システム内部設計(b)とシステム結合(c)は,要件と外部設計が固まった後の工程で,作るものが明確に定まっており成果物を確定できるため,仕事の完成を約束する請負型が適切とされる。表で請負型が並んでいるソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテストと同じ位置付けになる。なお外部設計とシステムテストが「準委任型又は請負型」とされているのは,発注者の関与の度合いによってどちらもあり得るためである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問66
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問 67
市場成長率と相対的市場シェアから,市場と企業との関係を分析し,自社製品や事業についての最適な資源配分方針を求めるための手法はどれか。
正解:ウ
PPM(Product Portfolio Management)は,縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェアを取った図に自社の事業や製品を置き,資金をどこに配分するかを判断する手法である。区分は,成長率もシェアも高い「花形」,成長率は低いがシェアが高く資金を生む「金のなる木」,成長率は高いがシェアが低く投資の判断を迫られる「問題児」,どちらも低い「負け犬」の4つで,金のなる木で得た資金を問題児や花形に振り向けるという流れで考える。したがって答はウ。アの3C は,顧客(Customer),競合(Competitor),自社(Company)の三つの視点から事業環境を整理する分析の枠組みである。イの BSC(Balanced Scorecard)は,財務,顧客,業務プロセス,学習と成長の四つの視点から目標と指標を設定し,戦略の実行を管理する手法である。エの SWOT は,強み(Strengths),弱み(Weaknesses),機会(Opportunities),脅威(Threats)を洗い出して戦略の方向を検討する分析手法である。いずれも経営分析の手法だが,二つの軸で資源配分を決めるのは PPM である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問67
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問 68
プライスライニング戦略はどれか。
正解:ア
プライスライニング戦略は,商品の価格をいくつかの決まった価格帯にそろえて品ぞろえする方法である。松・竹・梅のように段階を設けることで,消費者は数多くの価格を比べる負担から解放され,予算に合った段階を選ぶだけでよくなる。売り手にとっても在庫や値付けの管理が簡単になる利点がある。したがって答はア。イは,高い価格そのものが品質や地位の証だと受け取られることを狙う名声価格(プレステージ価格)戦略で,宝飾品やブランド品などで用いられる。ウは,本体を安く売って後から消耗品や補充品で利益を得るキャプティブ価格戦略で,プリンタとインク,ひげそりと替刃などが典型例である。エは,新商品に高い価格を付けて,価格に敏感でない層から早期に投資を回収するスキミングプライシング(上澄み吸収価格)戦略である。これと対になるのが,最初から低い価格を付けて一気に市場を広げるペネトレーションプライシング(市場浸透価格)戦略である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問68
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問 69
カーシェアビジネスをビジネスモデルキャンバスに当てはめた。b に該当するものはどれか。なお,ア〜エは a〜d のいずれかに該当する。 〔カーシェアビジネス〕 ・カーディーラーから車両を調達し,維持・メンテナンスしながら,その車両を提携駐車場に保管・準備する。 ・必要なときだけ車両を使いたい人が登録する会員制度を構築し,会員から月会費を徴収する。 ・会員向けの Web サイトで,会員に使いたい車両や利用時間などを予約してもらい,会員に対して車両の時間貸しを行い,利用料を徴収する。
問69の図
正解:ウ
ビジネスモデルキャンバスは9つの枠でビジネスを俯瞰する道具で,図の b は VP(Value Propositions:価値提案)の枠である。価値提案とは,顧客のどんな困りごとをどう解決するかであり,このビジネスでは「必要なときだけ車を使いたい」という需要に対して車両を時間単位で貸し出すことがそれに当たる。したがって答はウ。ほかの枠も見ておくと,a は KR(Key Resources:主要資源)で,事業に欠かせない資源はイの車両である。KP(主要パートナー)にカーディーラーと提携駐車場,KA(主要活動)に維持・メンテナンスが置かれていることとも整合する。c は CS(Customer Segments:顧客セグメント)で,エの「必要なときだけ車両を使いたい人」が該当する。d は R$(Revenue Streams:収益の流れ)で,アの月会費と利用料が入る。左下の C$(コスト構造)に調達・維持・メンテナンス費用と駐車場代が並んでいるのと対をなす。CR(顧客との関係)が会員制度,CH(チャネル)が Web サイトである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問69
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問 70
フリーミアムの特徴はどれか。
正解:ウ
フリーミアムは,基本的な機能を無料で提供して利用者を広く集め,その一部に高度な機能や追加の容量などを有料で提供して収益を得る仕組みである。成り立つ条件は,無料でどこまで使えて,有料にすると何が得られるのかという境界がはっきりしていて,しかも有料版に納得できる優位性があることなので,答はウ。境界があいまいだと無料のままでよいと判断され,逆に無料部分が貧弱すぎると利用者が集まらない。アは広告だけを収益源とする広告モデルの説明で,フリーミアムは有料の利用者からの収入を柱にする点が異なる。イは全ての利用者から料金を取るモデルで,無料の層をもつフリーミアムとは正反対である。エは,利用者1人あたりの提供費用が大きい場合の話で,フリーミアムは無料の利用者を大量に抱えることが前提になるため,1人あたりの追加費用がごく小さいデジタルサービスでこそ成立する。実際,ソフトウェアやオンラインサービスで広く採用されている。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問70
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問 71
クラウドで学習し,エッジデバイスで推論する機械学習ベースのエッジ AI において,エッジデバイスで行われる推論処理として,適切なものはどれか。
正解:イ
機械学習は,大量のデータからモデルを作る「学習」と,出来上がったモデルに新しいデータを与えて判断させる「推論」の二つに分かれる。学習は計算量が大きく強力な計算資源を必要とするのでクラウド側で行い,推論は比較的軽い処理なので現場のエッジデバイスで行う,という役割分担がエッジ AI である。したがってエッジデバイスで行われる推論処理は,学習済みのモデルに従って実際にデータの識別などを行うイに当たる。現場で推論を完結させれば,通信の遅れを避けて即座に応答でき,映像などの生データを外に出さずに済むので通信量とプライバシーの面でも利点がある。ウは正解のラベルを付けたデータからモデルを作る教師あり学習の説明,エはラベルを付けないデータから構造を見つけ出す教師なし学習の説明で,どちらも学習の側である。アは試行錯誤の結果に報酬を与えて方策を改善していく強化学習の説明で,これも学習の側にあたる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問71
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問 72
スマートファクトリーで使用される AI を用いたマシンビジョンの目的として,適切なものはどれか。
正解:エ
マシンビジョンは,カメラで撮影した画像をコンピュータが解析し,人の目の代わりに対象を判別する技術である。製造現場では,傷や欠け,異物の混入,寸法のずれ,部品の取付け間違いなどを画像から判定する外観検査に用いられ,AI(とくに深層学習)を組み合わせることで,従来は言葉で規則にしにくかった微妙な良否の判断もこなせるようになった。人の目視検査は,速度に限りがあり,疲労や個人差で判定がぶれるうえ,24時間の連続稼働にも向かない。これを機械が代替することで検査の効率と安定性が上がるので,答はエ。アは需要予測による生産計画の最適化で,扱うのは画像ではなく入出荷の数値データである。イは VR ゴーグルへの作業ガイド表示で,作業支援や教育のための拡張現実の応用にあたる。ウは設計変更内容の整理と伝達で,設計情報の管理や文書処理の領域である。いずれもスマートファクトリーで使われる技術ではあるが,「画像を見て判断する」というマシンビジョンの定義に当てはまるのはエだけである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問72
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問 73
コンピテンシーモデルの説明はどれか。
正解:ウ
コンピテンシーとは,高い成果を安定して上げている人に共通して見られる行動の仕方や考え方の特性をいう。これを職種や階層ごとに整理して記述したものがコンピテンシーモデルで,採用の判断基準,人事評価の物差し,育成計画の目標として使われる。知識や資格の有無ではなく,実際にどう行動しているかで捉える点に特徴があるので,答はウ。アは,命令と統制による管理を批判し,人は本来進んで働くものだとして目標管理や経営参加による動機付けを説いたマグレガーの Y 理論の考え方である。イは,唯一最適なリーダーシップの型はなく,部下の成熟度や課題の性質といった状況によって望ましい型が変わるとする状況適合理論(コンティンジェンシー理論,SL 理論)の説明である。エは,人間の欲求を生理的欲求から自己実現の欲求まで5段階に整理し,低次の欲求が満たされると高次の欲求が現れるとしたマズローの欲求段階説である。いずれも人的資源管理でよく取り上げられる理論だが,行動特性を基準として定義したものはコンピテンシーモデルである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問73
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問 74
様々な需要予測モデルのもととなっている時系列モデルに関する記述として,適切なものはどれか。
正解:エ
指数平滑法は,次期の予測値を「平滑化定数×直前の実績値+(1-平滑化定数)×直前の予測値」で求める方法である。過去の実績値の重みは古くなるほど指数関数的に小さくなるので,直近の動きほど強く反映される。平滑化定数を大きくするほど直前の実績への追随が速くなり,直近の値が予測に効くと考えられる場合に有効なので,エが正しい。ウは,平滑化定数が100%に近いほど直前の実績値を重視し,0%に近いほど過去の予測値(すなわち過去の実績の蓄積)を重視するので,記述の向きが逆である。アは,移動平均法で平均する期間を長くするほど,1つの値が平均に占める割合が小さくなるため,短期的な変動の影響はかえって小さくなる。したがって記述の向きが逆である。イは,移動平均法は短期的な変動をならして長期的な傾向を見るための手法なので,これも向きが逆で,直近の変化を捉えたい場合は期間を短くするか指数平滑法を用いる。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問74
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問 75
引き出された多くの事実やアイディアを,類似するものでグルーピングしていく収束技法はどれか。
正解:ウ
親和図法は,集めた事実や意見を1件ずつカードに書き出し,内容の近いものを寄せ集めて小さな束を作り,束に見出しを付けながら段階的にまとめ上げていく手法である。混沌とした情報を整理して問題の構造を浮かび上がらせる収束技法にあたり,答はウ。新 QC 七つ道具の一つに数えられ,川喜田二郎が考案した KJ 法として知られる手法とほぼ同じものである。エのブレーンストーミングは,批判をせず自由に大量の意見を出し合う発散技法で,親和図法はその後の整理に使われる関係にある。イのゴードン法は,司会者だけが本当のテーマを知り,参加者にはより抽象的な題目だけを示して発想させる方法で,先入観を避けて着想を広げる発散技法である。アの NM 法は,中山正和が考案した発想法で,テーマから類比(アナロジー)となる事象を探し,その背景にある仕組みを取り出して元のテーマに当てはめることで新しい着想を得る発散技法である。三つとも案を生み出す側の技法であり,まとめる側の技法は親和図法である。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問75
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問 76
表から,卸売業 A 社と小売業 B 社の財務指標を比較したとき,卸売業 A 社について適切な記述はどれか。 〔表〕単位 百万円 売上高:卸売業 A 社 800/小売業 B 社 1,000 営業利益:卸売業 A 社 20/小売業 B 社 90 総資産:卸売業 A 社 100/小売業 B 社 900
正解:エ
三つの指標を両社について計算する。総資産回転率は売上高÷総資産で,A 社は 800÷100=8回,B 社は 1,000÷900≒1.11回である。総資産営業利益率は営業利益÷総資産で,A 社は 20÷100=20%,B 社は 90÷900=10%になる。売上高営業利益率は営業利益÷売上高で,A 社は 20÷800=2.5%,B 社は 90÷1,000=9%である。したがって A 社は総資産回転率も総資産営業利益率も B 社より高く,エが正しい。少ない資産を何度も回転させて稼ぐという卸売業の姿がよく表れており,商品を仕入れて短期間で売り渡すため在庫や設備が軽く済む一方,1件あたりの利ざやは薄い。イは売上高営業利益率が 2.5%と B 社の 9%より低いので誤り。ウは営業利益と総資産の額が低いことは正しいが,総資産営業利益率は20%で B 社の10%より高いので誤り。アも売上高と総資産の額が低いことは正しいが,総資産回転率は8回と B 社の約1.11回より大幅に高いので誤りである。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問76
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問 77
売上高が7,000万円のとき,200万円の損失,売上高が9,000万円のとき,600万円の利益と予想された。売上高が8,000万円のときの変動費は何万円か。ここで,売上高が変わっても変動費率は変わらないものとする。
正解:ウ
利益は「売上高×(1-変動費率)-固定費」で表せる。固定費は売上高が変わっても一定なので,2点の差を取れば固定費が消える。売上高の差は 9,000-7,000=2,000万円,利益の差は 600-(-200)=800万円だから,2,000×(1-変動費率)=800 となり,1-変動費率=0.4,すなわち変動費率は0.6と求まる。したがって売上高8,000万円のときの変動費は 8,000×0.6=4,800万円で,答はウ。検算のため固定費を求めると,7,000×0.4-固定費=-200 から固定費は3,000万円で,9,000×0.4-3,000=600 と条件に合う。売上高8,000万円のときは限界利益が3,200万円,そこから固定費3,000万円を引いて利益200万円となり,損益分岐点売上高は 3,000÷0.4=7,500万円である。アの3,200は 8,000×0.4 に一致し,限界利益率0.4を変動費率と取り違えた場合の値で,実際にはこれは限界利益の額である。イの4,000は 8,000×0.5,エの5,600は 8,000×0.7 に当たり,2点から求めた変動費率0.6と合わない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問77
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問 78
著作権法及び関連法令によれば,生成 AI を利用して画像を生成する行為又はその生成物の利用が著作権侵害にあたるか否かに関して,適切な記述はどれか。
正解:イ
著作権侵害の成否は,生成の道具が何であったかではなく,出来上がったものが既存の著作物と類似しているか(類似性),およびそれに依拠して作られたか(依拠性)で判断される。生成 AI を使った場合も同じで,生成された画像が既存の著作物とよく似ており,それを公開・配布すれば侵害となる可能性がある。したがって答はイ。アは,学習の段階については著作権法30条の4により,著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的としない利用として原則許容されている。学習に著作物を使ったこと自体が,生成物を直ちに侵害にするわけではない。ウは,AI を道具として使い,人の創作的な関与があれば生成物が著作物と認められる場合があり,また侵害の判断は生成物と既存著作物との関係で決まるので,一律に対象外とはならない。エは,商業利用が直ちに侵害になるわけではなく,既存の著作物と類似していなければ侵害にはならない。逆に,私的使用の範囲を超えて公開すれば,類似する場合には利用の目的にかかわらず問題になり得る。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問78
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問 79
資金決済法における暗号資産に関する記述として,適切なものはどれか。
正解:イ
資金決済法は暗号資産を,不特定の者に対して代金の支払に使用でき,かつ不特定の者との間で購入・売却ができること,電子的に記録され移転できること,法定通貨や法定通貨建ての資産(プリペイドカードなど)ではないこと,という要件で定義している。法定通貨と相互に交換できる点も定義に含まれるので,イが正しい。アは,暗号資産交換業者には登録制が採られ,行為規制だけでなく,資本金の額や純資産額に関する財務的な要件も課されているので誤りである。利用者から預かった金銭や暗号資産を自己の資産と分別して管理する義務もある。ウは,暗号資産はブロックチェーンによって参加者が共同で記録を保持する分散管理が特徴であり,「集中管理」という記述が誤りである。入手や交換は登録を受けた暗号資産交換業者を通じて行うのが基本で,銀行が担うものでもない。エは,発行者が利用者ごとに残高を管理し,指定した加盟店でのみ使えるものは前払式支払手段(プリペイド)の性質であり,不特定の者に対して使用できるという暗号資産の要件を満たさない。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問79
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問 80
欧州へ電子部品を輸出するには,RoHS 指令への対応が必要である。この RoHS 指令の目的として,適切なものはどれか。
正解:エ
RoHS 指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances)は,欧州連合が定めた,電気電子機器における特定有害物質の使用を制限する規則である。鉛,水銀,カドミウム,六価クロム,特定の臭素系難燃剤(PBB,PBDE),および追加された4種類のフタル酸エステル類について含有量の上限を定め,これを超える製品は域内で販売できない。ねらいは,製造から使用,廃棄・処分に至る全ての段階で有害物質が環境と人の健康に及ぼす危険を小さくすることにあり,答はエ。アは,使用済み製品の回収とリサイクルによる資源の有効利用を目的とするもので,欧州の WEEE 指令や日本の家電リサイクル法に当たる。RoHS が「入口で有害物質を減らす」規制であるのに対し,こちらは「出口で資源を回収する」規制で,対になって機能している。イは,機器が発する電磁妨害を一定のレベル以下に抑える EMC 指令の目的である。ウは,大量破壊兵器などにつながるおそれのある貨物や技術の輸出を規制する安全保障輸出管理の考え方で,日本では外国為替及び外国貿易法がこれを担っている。
出典:情報処理推進機構「令和7年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問80
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