📄 本試験 過去問題
応用情報技術者試験 2024年度秋期(令和6年度秋期) 午前
80問 ・ 目安 正答率60% ・ 2024年10月13日実施
応用情報技術者の2024年度秋期(令和6年度秋期) 午前試験で実際に出題された全80問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2024年10月13日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:科目A(旧午前)・科目B(旧午後)ともに100点満点中60点以上で合格(素点方式)。科目Aが60点未満だと科目Bは採点されない。
この回:当時(午前・午後の時間区分)の基準:午前・午後ともに100点満点中60点以上で合格(素点方式)。収録は午前のみで、午前の基準点60点は合格に必要な条件の一つ(午後も60点以上が必要)。要綱上、難易差が認められた場合は基準点を変更することがある。
出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6(2026年10月の試験から適用)4. 採点方式・配点・合格基準。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
M/M/1 の待ち行列モデルにおいて,窓口の利用率が 25%から 40%に増えると,平均待ち時間は何倍になるか。
正解:ウ
M/M/1 の平均待ち時間は,利用率を ρ,平均サービス時間を Ts として Tw=ρ/(1-ρ)×Ts で表される。サービス時間は変わらないので,倍率は ρ/(1-ρ) の比だけで決まる。利用率25%では 0.25/0.75=1/3,40%では 0.40/0.60=2/3 なので,倍率は (2/3)÷(1/3)=2.00倍となり,答はウ。ρ/(1-ρ) は利用率が上がるほど急に増える形で,たとえば50%で1倍,80%で4倍,90%で9倍と,混み合ってくると待ち時間が跳ね上がる。利用率が15ポイント増えただけで待ち時間が2倍になるのは,この非線形性のためである。イの1.60は 0.40÷0.25 で,利用率そのものの比を待ち時間の比と取り違えた場合の値である。アの1.25は (1-0.25)÷(1-0.40)=0.75÷0.60 に一致し,これは待ち時間ではなく平均滞在時間(待ち時間+サービス時間)の比に当たる。エの3.00は,利用率の比(1.6倍)でも滞在時間の比(1.25倍)でもなく,この条件からは導けない値である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問1
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 2
AI における教師あり学習での交差検証に関する記述はどれか。
正解:エ
交差検証(クロスバリデーション)は,手持ちのデータを k 個のグループに分け,そのうち1つを評価用,残りを学習用として学習と評価を行い,評価用のグループを順に入れ替えて k 回繰り返す方法である。k 回の評価結果を平均することで,どのデータを評価に使ったかという偶然の影響を減らし,未知のデータに対する性能(汎化性能)をより確かに見積もれる。したがって答はエ。データが少なく,学習用と評価用に分けると評価用が心もとない場合にとくに有効である。アは,モデルの複雑さに応じた罰則を目的関数に加えて係数が大きくなりすぎるのを抑える正則化の説明で,過学習を防ぐ手法だが評価の方法ではない。イは,複数のモデルの予測を組み合わせて精度を高めるアンサンブル学習(バギングやブースティングなど)の説明である。ウは,関連する複数の課題を1つのモデルで同時に学習させ,課題に共通する特徴を得るマルチタスク学習の説明である。いずれも機械学習の重要な手法だが,データを分割して学習と評価を入れ替えながら繰り返すのは交差検証である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問2
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 3
式 A+B×C の逆ポーランド表記法による表現として,適切なものはどれか。
正解:ウ
逆ポーランド表記法(後置記法)は,演算子を対象となる二つの項の後ろに置く書き方である。A+B×C は乗算が加算より優先されるので,まず B×C を後置記法で書くと BC× となり,これを A に加えるので A(BC×)+,すなわち ABC×+ となる。したがって答はウ。この表記は括弧を使わずに計算の順序を一意に表せるため,スタックを使って左から順に読むだけで計算できる。実際 ABC×+ を処理すると,A・B・C を積み,×で上2つ(B と C)を取り出して掛け,その結果と A を+で足す,という流れになり元の式と一致する。アの+×CBA は演算子を前に置く前置記法(ポーランド表記法)の形だが,正しい前置記法は +A×BC であり,これはその並びを逆にしただけのものである。イの×+ABC も前置記法の形だが,これは (A+B)×C を表す ×+ABC であり演算の優先順位が違う。エの CBA+×は,後置記法として読むと +で C と B を足し,×でその結果と A を掛けることになり,(C+B)×A を表してしまう。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問3
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 4
自動車の先進運転支援システムで使用されるセンサーの説明のうち,適切なものはどれか。
正解:ア
可視光カメラは人の目と同じ波長の光を捉えるので,色や文字,形を読み取れる。交通標識や車線の白線,信号の色の認識はカメラの得意分野である。一方で,逆光,夜間,濃霧,豪雨といった条件では見え方が大きく変わり,天候の影響を受けやすい。この長所と短所を正しく述べているのはアで,これが答え。イの超音波センサーは,音波の減衰が大きく測定できるのは数メートル程度で,駐車支援のように至近距離の障害物を検知する用途に使われる。500メートル以上という記述が誤りである。ウのミリ波レーダーは,電波を使うので雨や霧に強く,距離と相対速度を精度よく測れるが,色を見分ける仕組みをもたないので信号機の灯色は判別できない。エのレーザーレーダー(LiDAR)は,レーザー光の反射で周囲の形状を細かく測れるが,光は直進するため遮蔽物の裏側は見えない。建物の後ろの物体を検知できるという記述が誤りである。実際の運転支援では,これらを組み合わせて互いの弱点を補う設計(センサーフュージョン)が採られる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問4
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 5
次の2分探索木から要素12を削除したとき,その位置に別の要素を移動するだけで2分探索木を再構成するには,削除された要素の位置にどの要素を移動すればよいか。
正解:ウ
2分探索木で節を削除したあと,1つの要素を動かすだけで木を保てるのは,その節の位置に「左部分木の最大値」または「右部分木の最小値」を持ってくる場合である。どちらもその値より小さい要素・大きい要素を新たにまたがせないので,探索木の条件が崩れない。要素12の左部分木は10を根とする{9,10,11}で最大値は11,右部分木は14を根とする{13,14,15}で最小値は13である。選択肢にあるのは13なので答はウ。13を12の位置へ移すと,左に{9,10,11},右に14(その右に15)が付き,13より小さい要素だけが左,大きい要素だけが右に並ぶので条件を満たす。13はもともと葉なので,動かしても子の付け替えが要らない点も重要である。アの9は,左部分木の最小値であって最大値ではないため,移した先の左側に10と11という9より大きい要素が残ってしまう。イの10とエの14は,どちらも子を二つ持つ節なので,動かすとその子の置き場所を決め直す必要があり「別の要素を移動するだけ」では済まない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問5
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 6
自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x)を
h(x)=x mod n
とすると,任意のキー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。
正解:イ
衝突とは異なるキーが同じハッシュ値になることなので,条件は a mod n=b mod n である。a を n で割った商を q₁・余りを r,b を n で割った商を q₂・余りを r とすると,a=q₁n+r,b=q₂n+r なので a-b=(q₁-q₂)n となり,差が n の倍数になる。逆に a-b が n の倍数なら余りは等しい。したがって答はイ。たとえば n=10 のとき,23 と 43 は差が20で10の倍数なのでどちらも余り3となって衝突する。アの a+b が n の倍数は,n=10 で a=3,b=7 のとき和は10で条件を満たすが,余りは3と7で異なるので衝突しない。ウとエは「n が◯の倍数」と向きが逆で,n はハッシュ表の大きさという固定値なので,キーの和や差の倍数であるという条件は意味をなさない。実際 n=10・a=23・b=43 では a-b=-20 で,n が a-b の倍数にはなっていないのに衝突する。なおハッシュ表の大きさ n は素数にすると,キーの並びに規則性がある場合でも余りが偏りにくく,衝突を減らせる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問6
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 7
次の特徴をもつプログラム言語及び実行環境であって,オープンソースソフトウェアとして提供されているものはどれか。
〔特徴〕
・統計解析や機械学習に適している。
・データ分析,グラフ描画などの,多数のソフトウェアパッケージが提供されている。
・変数自体には型がなく,変数に代入されるオブジェクトの型は実行時に決まる。
正解:ウ
R は統計解析のために作られた言語と実行環境で,オープンソースソフトウェアとして提供されている。CRAN と呼ばれる公式のリポジトリに,回帰分析・多変量解析・時系列分析・機械学習・グラフ描画(ggplot2 など)といった膨大なパッケージが集まっているのが最大の特徴である。変数の宣言に型を書かず,代入されたオブジェクトの型が実行時に決まる動的型付けの言語でもある。三つの特徴すべてに当てはまるので答はウ。アの Go は Google が開発したコンパイル型の言語で,静的型付けであり,並行処理の書きやすさとビルドの速さが特徴で,サーバやツールの開発に使われる。イの Kotlin は JVM 上で動く静的型付けの言語で,Java と相互運用でき,Android アプリ開発の主要言語になっている。エの Scala も JVM 上の静的型付け言語で,オブジェクト指向と関数型を融合しており,分散処理基盤の Apache Spark で使われることから大規模データ処理と縁があるが,変数に型がないという特徴には当てはまらない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問7
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 8
RISC プロセッサの5段パイプラインの命令実行制御の順序はどれか。ここで,このパイプラインのステージは次の五つとする。
① 書込み
② 実行とアドレス生成
③ 命令デコードとレジスタファイル読出し
④ 命令フェッチ
⑤ メモリアクセス
正解:ウ
パイプラインは1つの命令の処理を段階に分け,段階をずらして次の命令を流し込むことで処理効率を上げる仕組みである。RISC の代表的な5段構成は,命令フェッチ(IF)→命令デコードとレジスタ読出し(ID)→実行とアドレス生成(EX)→メモリアクセス(MEM)→レジスタへの書込み(WB)の順で,設問の番号に置き換えると ④→③→②→⑤→① となる。したがって答はウ。この順序には理由がある。命令を読み込まなければ何をするか分からないので IF が最初,何をするか分かってからでないとレジスタを読めないので ID が次,読んだ値でなければ演算やアドレス計算ができないので EX が続き,アドレスが決まってからメモリに触るので MEM,最後に結果をレジスタへ書き戻す。アは命令デコードを命令フェッチより前に置いており,まだ読み込んでいない命令を解読することになる。イはメモリアクセスを実行より前に置いたうえで命令フェッチを4番目に回しており,順序が二重に崩れている。エはメモリアクセスをデコードより前に置いており,アクセス先のアドレスが決まる前にメモリに触ることになる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問8
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 9
量子超越性(Quantum Supremacy)の説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
量子超越性は,従来のコンピュータ(古典コンピュータ)では現実的な時間で解ききれない計算を,量子コンピュータが実行してみせることを指す言葉である。2019年に Google が,特定の乱数生成の問題で当時のスーパーコンピュータでは1万年かかると見積もった計算を約200秒で行ったと発表し,量子超越性を達成したと主張した例が知られている。したがって答はウ。あくまで「ある特定の問題で速さが上回る」という主張であって,あらゆる計算で有利になるわけではない点が重要で,実用上の有用性を示す段階には至っていない。アは量子鍵配送などの量子暗号の話で,計算の速さではなく通信の安全性に関する概念である。イは量子コンピュータが量子力学の原理に基づいて作られているという構成上の説明で,これは量子コンピュータそのものの定義に近く,超越性という「性能で上回った」という主張とは別である。エは装置の物理的な大きさの話で,実際の量子コンピュータは極低温に冷やす大型の設備を必要とし,むしろ小型化とは縁遠い。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問9
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 10
キャッシュメモリのアクセス時間が主記憶のアクセス時間の 1/30 で,ヒット率が95%のとき,実効メモリアクセス時間は,主記憶のアクセス時間の約何倍になるか。
正解:イ
実効メモリアクセス時間は「ヒット率×キャッシュのアクセス時間+(1-ヒット率)×主記憶のアクセス時間」で求める。主記憶のアクセス時間を1とすると,キャッシュは 1/30 なので 0.95×(1/30)+0.05×1=0.0317+0.05=0.0817 となり,約0.08倍である。答はイ。この式で分かるのは,キャッシュをいくら速くしても,ミスした残り5%分(0.05)が下限として残るという点である。実際キャッシュのアクセス時間を0と極端に仮定しても0.05倍より小さくはならず,ヒット率を上げることのほうが効きやすい。アの0.03は 0.95×(1/30)=0.0317 に一致し,ミスした場合の項を足し忘れた値である。ウの0.37は 0.95×(1/3)+0.05=0.3667 に一致し,キャッシュのアクセス時間を 1/30 ではなく 1/3 と取り違えた場合の値になる。エの0.95は 0.05×(1/30)+0.95×1=0.9517 に一致し,ヒット率とミス率を逆に当てはめた場合の値である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問10
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 11
ストレージのインタフェースとして用いられる FC(ファイバチャネル)の特徴として,適切なものはどれか。
正解:ウ
FC(ファイバチャネル)は,サーバとストレージを高速に結ぶための規格で,名前に「ファイバ」と付くが伝送媒体は光ファイバに限られず,短い距離では同軸などの電気ケーブルも使える。したがって答はウ。SAN(ストレージエリアネットワーク)を構成する代表的な技術で,SCSI のコマンドを FC のフレームに載せて運ぶ(FCP)ため,OS からは直接つながったディスクのように見える。アは,FC は独自の階層をもつ規格で TCP/IP の上位層ではない。TCP/IP 上で SCSI を運ぶのは iSCSI,イーサネット上で FC を運ぶのは FCoE である。イは,接続形態には機器を1対1でつなぐポイントツーポイント,リング状につなぐアービトレイテッドループ,スイッチを介してつなぐファブリックの3種類があり,スイッチを使う形に限られない。エは,FC はパラレル SCSI を置き換えるために作られたシリアル伝送の規格で,パラレル SCSI を物理層に使うことはできない。ケーブルが細く長距離を引けることが,パラレル方式に対する利点である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問11
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 12
Web アプリケーションサーバの信頼性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:エ
複数台のサーバでクラスタを組み,セッション情報を共有(レプリケーション)しておくと,1台が落ちても他のサーバが同じセッションの状態を持っているので,利用者は入力の途中でもそのまま処理を続けられる。サービスもトランザクションも継続できるので,答はエ。アとイのコールドスタンバイは,待機系のサーバを停止した状態で用意しておき,障害が起きてから起動して引き継ぐ方式である。起動と切替えに時間がかかるためサービスは必ず中断し,稼働系が持っていた処理途中のデータも引き継げないのでトランザクションも継続できない。したがってアの「サービスは中断しない」もイの「トランザクションは継続できる」も誤りである。ウは,セッションを共有しないクラスタでも,残ったサーバが新しい要求を引き受けるのでサービス自体は継続できる。継続できないのは,障害が起きたサーバが保持していたセッションとその上のトランザクションのほうであり,記述が入れ替わっている。段階を整理すると,コールドスタンバイ→ホットスタンバイ→クラスタ(セッション共有なし)→クラスタ(セッション共有あり)の順に,止まらない度合いが上がっていく。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問12
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 13
データアクセス方式の一つであるオブジェクトストレージに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。
正解:エ
オブジェクトストレージは,データ本体とそれを説明するメタデータを一つの「オブジェクト」としてまとめ,一意の識別子(キー)を指定して読み書きする方式である。ディレクトリをたどる必要がないため,格納場所の物理的な構成に縛られず,台数を増やすだけで容量と性能を伸ばせる。したがって答はエ。クラウドの大容量ストレージや,画像・ログ・バックアップの保管に広く使われている。アはファイルストレージの説明で,ストレージ上にファイルシステムを作り,ディレクトリとファイル名でアクセスする方式である。イはブロックストレージの説明で,論理ボリュームを固定長のブロックに分け,ブロック番号を指定して読み書きする。データベースのように細かい更新を高速に行う用途に向く。ウはメタデータをセットで保存する点まではオブジェクトストレージと同じだが,「階層構造にすることによってアクセスする」が誤りである。オブジェクトストレージの名前空間は階層をもたないフラットな構造で,これが台数を増やしやすい理由になっている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問13
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 14
稼働率が等しい装置 X を直列や並列に組み合わせたとき,システム全体の稼働率を高い順に並べたものはどれか。ここで,装置 X の稼働率は0よりも大きく1未満である。
正解:イ
装置1台の稼働率を a として,3つの構成の稼働率を式にする。A は2台の並列だけなので 1-(1-a)²=2a-a²。B は1台の直列に2台の並列が続くので a×(2a-a²)=2a²-a³。C は「2台直列」を2組並列にした形なので 1-(1-a²)²=2a²-a⁴ となる。a=0.5 で確かめると A=0.75,C=0.4375,B=0.375 で A>C>B となり,答はイ。この大小関係は 0<a<1 の全域で成り立つ。C-B=a³-a⁴=a³(1-a) で正,A-C=2a-3a²+a⁴=a(a-1)²(a+2) でこれも正だからである。直感的にも,A は直列部分がまったく無いので最も高く,B は「1台でも壊れたら全体が止まる装置」が単独で1台あるため最も低い。C は直列2台の組を丸ごと2系統に冗長化しているので,その中間になる。アは B と C の順が逆,ウとエは A を C より低く置いており,直列部分をもたない A が最も高いという点を捉えていない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問14
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 15
あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均100万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは平均 2×10⁵ バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は 8×10⁷ ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。
正解:ア
サーバ側とネットワーク側のそれぞれで1秒間に処理できる件数を求め,小さいほう(能力の低い側=ボトルネック)が答えになる。サーバは 100 MIPS=1秒間に1億(10⁸)命令を実行でき,1件に100万(10⁶)命令が必要なので 10⁸÷10⁶=100件/秒。ネットワークは 8×10⁷ ビット/秒で,1件のデータは 2×10⁵ バイト=2×10⁵×8=1.6×10⁶ ビットなので,8×10⁷÷(1.6×10⁶)=50件/秒である。両者のうち小さいほうは50件なので答はア。サーバの能力は100件分あるのに,ネットワークが50件分しか運べないため半分が遊ぶ形になり,増強すべきはネットワーク側だと分かる。イの100はサーバ側の能力だけを見た値で,ネットワークの制約を無視している。エの400は 8×10⁷÷(2×10⁵)=400 に一致し,バイトをビットに直さずに割った場合の値である。ウの200は,サーバ側の100件でもネットワーク側の50件でもなく,この条件からは導けない値である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問15
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 16
タスクスケジューリング方式の説明のうち,特定のタスクが CPU 資源の割当てを待ち続ける可能性が最も高いものはどれか。
正解:ウ
あるタスクがいつまでも CPU をもらえない状態を飢餓(スタベーション)という。ウは処理予定時間の短いタスクを優先する方式(SJF・最短ジョブ優先)で,短いタスクが次々に到着し続けると,処理時間の長いタスクは常に後ろへ回されて実行の順番が来ない。待ち時間が伸びても順位が上がる仕組みが無いので,飢餓が起きる可能性が最も高い。したがって答はウ。アは優先度方式だが,待ち時間に応じて優先度を上げていくエイジングを組み込んでいるので,待たされているタスクはいずれ最上位に到達して実行される。まさに飢餓を防ぐための工夫である。イはラウンドロビンで,一定時間ごとに実行を打ち切って行列の最後尾へ回すため,待ち行列にいるタスクには必ず順番が回ってくる。エは到着順に処理する FCFS(先着順)で,追い越しが起きないので,先に着いたタスクは必ず実行される。ただし長いタスクが先頭にいると後続が待たされる(コンボイ効果)という別の弱点はある。飢餓が起きるのは「順位が固定で,かつ追い越しが起きる」方式だという点が見分け方になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問16
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17
ページング方式の仮想記憶において,ページ置換えの発生頻度が高くなり,システムの処理能力が急激に低下することがある。このような現象を何と呼ぶか。
正解:ア
実行中のプログラムが必要とするページの総量が実記憶の容量を超えると,あるページを追い出した直後にそのページが再び必要になるという状態に陥る。CPU がページの入替え(ページイン・ページアウト)ばかりに時間を費やし,本来の処理がほとんど進まなくなる現象をスラッシングといい,答はア。対策は,同時に動かすプログラムの数(多重度)を下げる,実記憶を増やす,参照の局所性が高くなるようプログラムを見直すなどである。イのスワップアウトは,主記憶上のプログラムやページを補助記憶へ書き出す個々の動作を指す用語で,これ自体は正常な動作である。エのページフォールトは,参照したページが主記憶に無いという例外の発生を指し,これも仮想記憶では日常的に起きる。ウのフラグメンテーションは,記憶領域が細かく分断されて連続した空き領域が確保しにくくなる現象で,ページング方式では固定長のページを使うため外部断片化は起きない。スラッシングは,ページフォールトが頻発した結果として現れる「性能が崩壊した状態」を指す言葉であり,個々の動作や例外と区別して押さえたい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問17
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 18
仮想記憶方式において,セグメンテーション方式と比較した場合のページング方式の長所はどれか。
正解:エ
ページング方式は,主記憶と仮想記憶を同じ大きさの固定長のページに区切って管理する。区画の大きさがそろっているので,空いているページ枠はどれでもそのまま使えて,「空きの合計は足りているのに連続した領域が取れない」という外部断片化が起きない。したがって答はエ。一方で,プログラムの論理的な区切りとページの境界は一致しないため,ページの末尾に使われない部分が残る内部断片化は生じる。アからウはいずれもセグメンテーション方式の長所である。セグメンテーションは,プログラムやデータを手続き・配列といった論理的なまとまり(セグメント)単位で可変長に区切るので,アのようにセグメントごとに読取り専用や実行可能といったアクセス保護を意味のある単位で設定でき,イのように共通のライブラリをセグメント単位でプログラム間で共用でき,ウのようにセグメントの大きさを実行時に伸縮させられる。逆に可変長であるために,割当てと解放を繰り返すと主記憶に細かい空きが散らばって外部断片化が起きる。両方式の長所を組み合わせたセグメントページング方式もある。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問18
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 19
分散開発環境において,各開発者のローカル環境に全履歴を含んだ中央リポジトリの完全な複製をもつことによって,中央リポジトリにアクセスできないときでも履歴の調査や変更の記録を可能にする,バージョン管理ツールはどれか。
正解:ウ
Git は分散型のバージョン管理ツールで,リポジトリを複製(クローン)すると全履歴が手元に入る。そのため,ネットワークにつながっていなくても過去の変更の調査,差分の確認,コミット(変更の記録),ブランチの作成といった操作をローカルだけで完結でき,つながったときに中央リポジトリと同期(プッシュ・プル)すればよい。したがって答はウ。アの Apache Subversion(SVN)は集中型で,履歴はサーバ側にあり,コミットするにはサーバへの接続が必要である。作業コピーには最新の状態しか持たない。イの CVS も集中型で,SVN の前の世代に広く使われたツールである。ファイル単位でリビジョンを管理するため,複数ファイルにまたがる変更をひとまとめに扱えないという弱点があり,SVN はそれを改良したものである。エの RCS はさらに古く,1つのファイルの改訂履歴を同じディレクトリ内で管理する仕組みで,複数人での共同作業を前提としていない。分散型のもう一つの代表として Mercurial があるが,選択肢には無い。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問19
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 20
手続型言語のコンパイラがコード生成までに行う処理のうち,最後に行うものはどれか。
正解:ウ
コンパイラは,字句解析→構文解析→意味解析→最適化→コード生成の順に処理を進める。字句解析はソースの文字列を字句(トークン)の並びに分ける段階,構文解析はトークンの並びが文法に合っているかを調べて構文木を作る段階,意味解析は型の整合や変数の宣言漏れといった意味の面の検査を行う段階である。最適化は,作られた中間表現に対して,不要な計算の削除,ループ内の不変式の外出し,共通部分式の共有などを施して実行効率を上げる段階で,コード生成の直前に位置する。したがって「コード生成までに行う処理のうち最後」は最適化であり,答はウ。順序に理由があり,トークンに分けなければ文法は調べられず,構文木ができなければ型の検査はできず,意味まで確定しなければ意味を変えずに書き換える最適化は行えない。なお最適化は目的コードを生成した後にも行われることがあり(ピープホール最適化など),実装によっては複数の段階に分かれる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問20
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 21
図はスイッチ A 及び B の状態によって,LED が点灯又は消灯する回路である。スイッチ A がオンの状態を A=1,オフの状態を A=0 とし,スイッチ B も同様にオンの状態を B=1,オフの状態を B=0 とする。また,LED が点灯する状態を Y=1,消灯する状態を Y=0 とする。このとき,図の回路を動作させたときのタイミングチャートとして,適切なものはどれか。
正解:ウ
図の回路は,電池からスイッチ A,スイッチ B,抵抗,LED が一本の輪になってつながっている。スイッチが直列なので,どちらか一方でもオフなら電流の道が切れて LED は消え,両方がオンのときだけ点灯する。つまり Y=A・B(論理積)の関係であり,A=1 かつ B=1 の区間だけ Y=1 になっているチャートを選べばよい。ウは,A と B がともに1になっている二つの区間だけ Y が1に立ち上がり,A だけが1の区間や B だけが1の区間では Y が0のままで,論理積と完全に一致する。したがって答はウ。エは A と B の波形がウと同じだが Y が反転しており,両方が1のときだけ0になるので論理積の否定(NAND)に当たる。アは,A だけが1の区間でも B だけが1の区間でも Y が1になっており,どちらか一方でも1なら1になる論理和(OR)の形である。イはそのアの Y を反転した形で,両方が0のときだけ1になる論理和の否定(NOR)に当たる。直列は論理積,並列は論理和に対応するという対応関係を押さえておけば,回路図から迷わず選べる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問21
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 22
SoC の説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
SoC(System on a Chip)は,従来は CPU・メモリ・周辺回路・通信機能などを別々のチップに分けて基板上で組み合わせていたコンピュータシステムを,1枚のシリコンチップの上にまとめて作り込んだ LSI である。したがって答はウ。1つのチップに収めることで,配線が短くなって高速に動作し,消費電力も基板の面積も小さくできるので,スマートフォンや家電,車載機器といった組込みシステムで広く使われている。エは,複数のチップ(ダイ)を1つのパッケージに封じ込めた SiP(System in Package)の説明で,チップ自体は複数のままという点が SoC と異なる。すでにあるチップを組み合わせられるので開発期間が短くて済む反面,1チップ化ほどの小型化・低消費電力化は望めない。アは,チップに内蔵されたソフトウェア(ファームウェアや組込みソフトウェア)の説明で,SoC はハードウェアを指す言葉である。イは,MCU(マイクロコントローラユニット)を複数載せた基板の説明で,これは「複数チップを基板上で組み合わせる」という SoC 以前のやり方に当たる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問22
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 23
アクチュエーターの説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
アクチュエーターは,電気・油圧・空気圧などのエネルギーを,回転や直進といった機械的な動きに変換して外の世界に働きかける装置である。モータ,シリンダ,ソレノイド,圧電素子などがこれに当たる。したがって答はウ。制御システムを構成する要素は役割で分けられ,イは外界の物理量を電気信号に変える入力側の装置=センサーの説明である。アは,目標値と現在の制御量を比べて操作量を決める頭脳の部分=コントローラ(制御装置)の説明で,比例・積分・微分を組み合わせた PID 制御などがここで働く。エは微小な電気信号を扱える大きさまで増幅する増幅器(アンプ)の説明で,センサーの出力をコントローラが読める信号にするために使われる。全体としては,センサーが測る→アンプが整える→コントローラが判断する→アクチュエーターが動かす→その結果をまたセンサーが測る,という閉じた輪(フィードバックループ)になっており,アクチュエーターはその輪の「出口」に位置する。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問23
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 24
マイクロプロセッサの耐タンパ性を向上させる手法として,適切なものはどれか。
正解:ウ
耐タンパ性(tamper resistance)とは,機器を分解したり内部を解析したりして秘密情報を取り出そうとする攻撃に対する強さのことである。チップを削る,樹脂を溶かす,配線に探針を当てるといった物理的な解析を試みたときに,内部回路が壊れて情報が読み出せなくなる仕組みを組み込むのは代表的な手法で,答はウ。ほかにも,配線層を目くらましのパターンで覆う,電源電圧や温度の異常を検知して動作を止める,暗号鍵を不揮発メモリに平文で置かない,といった対策がある。イは逆効果で,製造時の検査に使ったパッド(端子)を残しておくと,攻撃者がそこから内部の信号を観測したりデバッグ機能を呼び出したりできてしまうため,検査後は切り離すのが原則である。エも逆効果で,メモリの配置に規則性があると,チップの写真から目的の領域を特定しやすくなる。アの ESD(静電気放電)への耐性強化は,静電気による素子の破壊を防ぐ信頼性・品質の対策であり,悪意ある解析への強さとは別の話である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問24
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 25
Web ページの構成要素のうち,図のような固定の表示領域内でマウス操作やタッチ操作を行うことによってスクロールし,複数の画像などが横方向に順次表示されるものを何というか。
正解:イ
カルーセルは,決まった大きさの表示領域の中で複数の画像やパネルを横方向に順送りして見せる部品である。名前は遊園地の回転木馬(carousel)に由来し,左右の矢印やスワイプ操作で送り,下部の丸い印(インジケーター)で今が何枚目かを示すのが定型で,図の見た目と一致する。したがって答はイ。限られた面積で複数の内容を紹介できる反面,最初の1枚以外は見られないことが多いという指摘もあり,重要な情報を2枚目以降に置かない配慮が求められる。アのアコーディオンは,見出しをクリックすると下に内容が開き,別の見出しを開くと前が閉じる縦方向の折り畳み部品で,FAQ などに使われる。ウのタブは,同じ位置に重ねた複数の面を見出しの切替えで表示する部品で,切替えは利用者が明示的に選ぶ形になる。エのモーダルウィンドウは,元の画面の手前に重ねて表示し,閉じるまで背後の操作を受け付けない小窓で,確認や入力を割り込ませたいときに使う。いずれも限られた面積を活かす部品だが,横方向に順次送るのはカルーセルである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問25
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 26
800×600ピクセル,24ビットカラーで30フレーム/秒の動画像の配信に最小限必要な帯域幅はおよそ幾らか。ここで,通信時にデータ圧縮は行わないものとする。
正解:エ
圧縮しないので,1秒間に送るビット数をそのまま積み上げればよい。1フレームの画素数は 800×600=480,000 で,1画素が24ビットなので 480,000×24=11,520,000 ビット=約11.5Mビットである。これを毎秒30枚送るので 11,520,000×30=345,600,000 ビット/秒となり,およそ350Mビット/秒。したがって答はエ。ウの35Mビット/秒は正しい値の10分の1,イの3.5Mビット/秒は100分の1,アの350kビット/秒は1000分の1に当たり,いずれも桁の取り違えである。とくにフレーム数30を掛け忘れると 11.5Mビット/秒となってウに近い値が出るので注意したい。この計算は,非圧縮の動画がいかに大きいかを示している。一般的な家庭の回線では到底流しきれないため,実際の配信では H.264 や H.265 といった圧縮方式で数Mビット/秒程度まで落とす。連続するフレームの差分だけを送る,人の目に分かりにくい情報を省くといった工夫で,100分の1程度に縮められる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問26
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 27
2相コミットで分散トランザクションの原子性を保証する場合,ネットワーク障害の発生によって参加者のトランザクションが,コミットすべきか又はロールバックすべきかを判断できなくなることがある。このような状況を発生させるネットワーク障害に関する説明として,適切なものはどれか。
正解:イ
2相コミットは,第1相で調停者が各参加者に「コミットできるか」を問い合わせて可否の応答を集め,第2相でその結果をもとにコミットまたはロールバックの決定を全参加者に通知する方式である。問題になるのは,参加者が「コミット可」と応答した後,決定の通知を受け取る前に連絡が途絶えた場合である。参加者は自分の判断だけではコミットしてよいのか取り消すべきのか決められず,資源をロックしたまま待ち続ける(ブロッキング)状態に陥る。この状況を生むのはイで,これが答え。ほかの場合は参加者が自分で決められる。アは問合せがまだ届いていないので,参加者は何も約束しておらず,そのままロールバックすればよい。ウは参加者が応答を返す前なので,自分がまだ可否を答えていないと分かっており,やはりロールバックできる。エは決定の通知を受け取って処理を終えた後の報告が届かなかっただけなので,参加者側は迷わない(調停者が再度問い合わせれば済む)。この弱点を解消するために,参加者同士で状態を確認し合う3相コミットが考案されている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問27
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 28
化粧品の製造を行っている A 社では,販売代理店を通じて商品販売を行っている。今後の販売戦略に活用するために,次の三つの表を設計した。これらの表を用いるだけでは得ることのできない情報はどれか。
〔表〕
顧客(顧客 ID,氏名,性別,生年月日)
販売代理店別日別販売(販売代理店 ID,日付,商品 ID,販売数量)
商品購入(顧客 ID,販売代理店 ID,商品 ID,購入数量)
正解:ウ
三つの表がどの項目をもっているかを確かめれば分かる。日付をもっているのは「販売代理店別日別販売」だけで,この表には顧客 ID が無い。逆に顧客 ID をもつのは「商品購入」だが,この表には日付が無い。したがって「どの日に何人の顧客が買ったか」は結び付けられず,販売代理店ごとの購入者数を日別に見ることはできない。答はウ。アは,販売代理店別日別販売に日付・商品 ID・販売数量がそろっているので,商品ごとの販売数量を日ごとに集計して比べられる。イは,商品購入(顧客 ID・商品 ID・購入数量)と顧客(顧客 ID・性別)を顧客 ID で結べば,性別ごとにどの商品がよく売れているかを集計できる。エは,販売代理店別日別販売を販売代理店 ID と商品 ID で集計すれば,代理店ごとの売れ筋商品が分かる(商品購入からでも同じことが言える)。この設問は,必要な情報を得るには「結び付けるためのキー」と「集計の軸になる項目」の両方が同じ経路上にそろっていなければならない,という設計上の要点を問うている。商品購入に日付を加えれば,ウも得られるようになる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問28
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 29
次のオブジェクト図(インスタンスを表す図)に対応する概念データモデルはどれか。ここで,オブジェクト図及び概念データモデルの表記には UML を用いる。
正解:イ
オブジェクト図に現れているインスタンスの結び付きを数えれば,各クラス間の多重度が決まる。地域と仕入先では,大阪に「25:仕入先」と「37:仕入先」の2つがつながっており,逆にどの仕入先も1つの地域にしか属していないので 地域1対仕入先多である。仕入先と仕入では,「11:仕入先」に #01・#02・#03 の3つの仕入がつながり,どの仕入も1つの仕入先にひも付くので 仕入先1対仕入多。仕入と部品では,どの仕入も部品1つを指しており,逆に「205:部品」には複数の仕入が集まっているので 仕入多対部品1である。この3つをつなぐと 地域1―*仕入先1―*仕入*―1部品 となり,答はイ。アは地域と仕入先を1対1にしており,大阪に2つの仕入先がある事実に反する。ウとエは仕入先と仕入を*対1,仕入と部品を1対*としていて,向きがどちらも逆である。仕入先1つに仕入が複数ある一方,仕入1つに部品は1つしか結び付いていないという読み取りが要点になる。エはさらに地域と仕入先を*対*としており,1つの仕入先が複数の地域に属することになってしまう。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問29
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 30
“成績”表に対して,SQL 文1と同一の結果を得るために,SQL 文2の a に入れる字句はどれか。
〔成績〕学生番号/実施回/得点
S01/1/70
S01/7/80
S02/2/85
S02/5/82
S03/3/83
S03/9/78
S03/12/90
S04/6/100
〔SQL 文1〕
SELECT R1.学生番号, R1.実施回, R1.得点 FROM 成績 R1
INNER JOIN
(SELECT 学生番号, MIN(実施回) AS 初回 FROM 成績
GROUP BY 学生番号) R2
ON R1.学生番号 = R2.学生番号
AND R1.実施回 = R2.初回
〔SQL 文2〕
SELECT 学生番号, 実施回, 得点
FROM (SELECT 学生番号, 実施回, 得点, ROW_NUMBER() OVER ([ a ]) AS 番号
FROM 成績) R1
WHERE R1.番号 = 1
正解:イ
SQL 文1は,学生番号ごとに実施回の最小値(初回)を求め,その学生・その実施回に一致する行を取り出している。つまり「各学生の一番早い実施回の行」を選ぶ処理である。SQL 文2はこれを窓関数で書き換えたもので,ROW_NUMBER() が振る番号が1の行だけを残す。同じ結果を得るには,学生番号ごとに区切って(PARTITION BY 学生番号),実施回の昇順で番号を振る(ORDER BY 実施回)必要があるので,答はイ。実際この指定だと S01 は実施回1の行が1番,S02 は実施回2の行,S03 は実施回3の行,S04 は実施回6の行にそれぞれ1が付き,SQL 文1と同じ4行が得られる。アは PARTITION BY が無いため表全体に通し番号が振られ,番号1の行は S01 の1行だけになってしまう。ウは並べ替えの基準が得点の昇順なので,各学生の最低得点の行が選ばれる(S03 なら実施回9の78点)。エは得点の降順なので各学生の最高得点の行が選ばれる(S03 なら実施回12の90点)。区切る基準と並べ替える基準の両方を合わせる必要がある。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問30
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 31
DBMS のチェックポイントに関する記述として,適切なものはどれか。
正解:イ
DBMS は更新をいったんメモリ上のデータベースバッファに溜め,適当な時点でまとめて二次記憶(ディスク)へ書き出す。この書き出しを行った時点をチェックポイントという。障害が起きたときは,チェックポイント以前にコミットされた更新はすでにディスクに反映されているので回復作業が要らず,そこから後の分だけをログで復元(ロールフォワード)すればよい。したがって答はイ。チェックポイントを頻繁に取れば回復は速くなるが,書き出しの負荷で通常処理が遅くなるという釣り合いがある。アは制約検査のタイミングの指定(SQL の SET CONSTRAINTS における IMMEDIATE と DEFERRED)の説明である。ウはセーブポイントの説明で,長いトランザクションの途中に目印を置き,そこまで部分的に取り消せる仕組みである。エは2相コミットにおける調停者の判定(コミット決定)の説明で,複数のデータベースにまたがる更新をまとめて確定または取消しするための手順である。どれもトランザクション処理に関わる用語だが,「バッファをディスクへ書き出した時点」を指すのはチェックポイントだけである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問31
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 32
1Mバイトのデータの送信を5秒以内に行うための,最低速度の回線サービスはどれか。ここで,伝送制御のための情報は考慮しないこととし,回線の伝送効率は60%とする。
正解:ウ
まず単位をそろえる。1Mバイトは 1×8=8Mビットである。これを5秒以内に送るには,実際に流れる速度が 8÷5=1.6Mビット/秒以上必要になる。回線の伝送効率が60%なので,回線の公称速度のうち実際にデータに使えるのは0.6倍である。したがって必要な公称速度は 1.6÷0.6=2.67Mビット/秒以上となり,選択肢の中でこれを満たす最低速度は4Mビット/秒である。答はウ。検算すると,4Mビット/秒の回線の実効速度は 4×0.6=2.4Mビット/秒で,8÷2.4=3.33秒となり5秒以内に収まる。イの2Mビット/秒では実効1.2Mビット/秒で 8÷1.2=6.67秒かかり間に合わない。アの1Mビット/秒では実効0.6Mビット/秒で 8÷0.6=13.3秒かかる。エの10Mビット/秒は実効6Mビット/秒で 8÷6=1.33秒となり条件は満たすが,「最低速度」を問われているので選べない。バイトとビットの換算,そして効率で割る(掛けるのではない)という2点が要点になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問32
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 33
DNS に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:ウ
DNS では,ホスト名から IP アドレスを求めることを正引き,逆に IP アドレスからホスト名を求めることを逆引きという。逆引きには in-addr.arpa というドメインの下に IP アドレスを逆順に並べた名前を作り,PTR レコードを引く仕組みが使われる。したがって答はウ。逆引きは,アクセスログにホスト名を表示する用途や,メールサーバが送信元の正当性を確かめる用途に使われる。アは,MX レコードはそのドメインのメールを受け取るサーバを指定するレコードで,DNS サーバのホスト名を登録するのは NS レコードである。イは,DNS サーバに問い合わせを行うソフトウェアはリゾルバと呼ぶ。レゾリューション(名前解決)は問い合わせて答えを得るという処理そのものを指す言葉で,ソフトウェアの名前ではない。エは,ホスト名に別名を与えるレコードは CNAME レコードで,NS レコードはそのゾーンを管理する DNS サーバを示すものである。主なレコードは,A(IPv4アドレス),AAAA(IPv6アドレス),CNAME(別名),MX(メールサーバ),NS(ネームサーバ),PTR(逆引き),SOA(ゾーンの管理情報),TXT(任意の文字列)と整理して覚えるとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問33
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 34
IPv4 ネットワークにおける ICMP の機能として,適切なものはどれか。
正解:ウ
ICMP(Internet Control Message Protocol)は,IP の通信で起きた異常や状態を伝えるための制御用プロトコルである。宛先に到達できない(Destination Unreachable),生存時間が尽きた(Time Exceeded),経路を変えるべき(Redirect)といったメッセージを送信元へ返し,通信の診断や制御に使われる。ping はエコー要求・エコー応答,traceroute は生存時間切れのメッセージを利用して経路をたどる仕組みで,どちらも ICMP を使う。したがって答はウ。アは,MAC アドレスから IP アドレスを求める RARP(逆に IP アドレスから MAC アドレスを求めるのが ARP)の説明である。イは,グローバル IP アドレスとプライベート IP アドレスを相互に変換する NAT(ポート番号まで含めて変換するのは NAPT)の説明である。エは,IP アドレスを一元管理してクライアントに動的に貸し出す DHCP の説明である。なお ICMP は IP と同じネットワーク層で働き,TCP や UDP のようなポート番号をもたない点も特徴である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問34
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 35
クラス D の IPv4 アドレスを使用するのはどの場合か。
正解:エ
IPv4 アドレスは先頭のビットの並びでクラスに分けられる。クラス A(先頭0)はネットワーク部8ビットで約1,677万台,クラス B(先頭10)はネットワーク部16ビットで約6万5千台,クラス C(先頭110)はネットワーク部24ビットで254台までを収容する。クラス D(先頭1110・224.0.0.0〜239.255.255.255)はホストに割り当てるためのものではなく,特定のグループへ同時に送るマルチキャスト通信用に予約されている。したがって答はエ。動画配信やルーティングプロトコルの制御メッセージ(OSPF の 224.0.0.5 など)で使われる。なおクラス E(先頭1111・240.0.0.0以降)は実験・将来用に予約されている。アはクラス C,イはクラス B の用途である。ウのプライベートアドレスは 10.0.0.0/8,172.16.0.0/12,192.168.0.0/16 の3つの範囲で,それぞれクラス A・B・C の中に取られているものなので,クラス D とは無関係である。クラス D はグループを表すアドレスであって,個々のホストを指す宛先ではないという点が本質である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問35
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 36
IPv4 の LAN に接続されているプリンターの MAC アドレスを,同一 LAN 上の PC から調べるときに使用するコマンドはどれか。ここで,PC はこのプリンターを直前に使用しており,プリンターの IP アドレスは分かっているものとする。
正解:ア
同一 LAN 内で通信するとき,機器は相手の IP アドレスから MAC アドレスを求める ARP を行い,その対応をしばらく ARP キャッシュに保持する。arp コマンドはこのキャッシュの内容を表示するもので,直前にプリンターを使っていれば対応が残っているので,IP アドレスを指定して MAC アドレスを調べられる。したがって答はア。イの ipconfig(Windows)や ifconfig(UNIX 系)は,自分の機器のインタフェースの設定,つまり自分の IP アドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・自分の MAC アドレスを表示するコマンドで,相手の MAC アドレスは分からない。ウの netstat は,通信中のコネクションの一覧,待ち受けているポート,ルーティングテーブル,通信の統計を表示するコマンドで,MAC アドレスは扱わない。エの ping は,指定した相手に ICMP のエコー要求を送って応答の有無と往復時間を測るコマンドで,到達確認はできるが MAC アドレスは表示しない。ただし ping を打つと ARP が行われるので,キャッシュに対応が残っていないときは ping の後に arp を実行するという使い方になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問36
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 37
企業内のクライアントからクラウドサービスへのアクセスに SAML 認証を利用したときのシステムの動作に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,利用者 ID とパスワードは企業内のディレクトリサービスで管理し,利用者認証は企業内の認証サーバで行う。
正解:ウ
SAML(Security Assertion Markup Language)は,認証を行う側(IdP=ここでは企業内の認証サーバ)と,サービスを提供する側(SP=クラウドサービス)の間で,認証結果を安全にやり取りするための仕様である。流れは,クライアントがクラウドサービスにアクセスすると企業内の認証サーバへ転送され,そこで利用者認証を受け,認証サーバが署名付きの認証結果(アサーション)を発行し,クライアントのブラウザがそれをクラウドサービスへ転送(POST)する,というものである。つまり認証結果はクライアントを経由して渡されるので,答はウ。この方式の要点は,パスワードが企業の外に出ないことにある。アとイは利用者 ID とパスワードそのものをクラウドサービス側やその要求に応じて渡す形になっており,SAML が避けようとしていることに反する。エは,パスワードとサーバから受け取った乱数(チャレンジ)を合わせてハッシュ化して送るチャレンジレスポンス認証の説明で,これはクラウドサービス自身が利用者を認証する方式であり,認証を企業内の認証サーバに任せる SAML の考え方とは異なる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問37
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 38
インターネット上の使われていない IP アドレス空間に大量に届くパケットはどれか。
正解:ウ
割り当てられているが実際には使われていない IP アドレスの空間をダークネットという。本来そこには正常な通信は届かないはずなので,そこへ届くパケットのほとんどは,攻撃者やマルウェアがアドレスを片端から走査して攻撃できる機器を探している通信(スキャン),送信元を偽装した攻撃の跳ね返り(バックスキャッタ),設定の誤りによるものである。したがって答はウ。この性質を利用して,ダークネットに届くパケットを観測して攻撃の傾向を早期に把握する取組みが行われており,日本では情報通信研究機構の NICTER が代表例である。アは公開された Web サイト,つまり実在する宛先への正常な通信なのでダークネットには届かない。イも実在する機器から実在するサーバへの通信で,宛先は使われているアドレスである。エは有効な電子メールアドレス,すなわち実在するメールサーバ宛ての通信なので,これもダークネットには入らない。「宛先が実在しないのに大量に来る」という点が見分けの鍵になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問38
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 39
ディープフェイクを悪用した攻撃に該当するものはどれか。
正解:ア
ディープフェイクは,深層学習(ディープラーニング)を使って本人そっくりの映像や音声を作り出す技術,およびそれを使った偽の情報を指す。実在する人物が言っていないことを言ったように見せられるため,本人と信じ込ませる詐欺に悪用される。CEO の声を AI で合成して従業員に電話をかけ,送金を指示するアがこれに当たり,答はア。実際に海外でこの手口による多額の被害が報告されている。イはランサムウェア(身代金要求型ウイルス)による攻撃で,データを暗号化して復号鍵と引き換えに支払いを求めるものである。ウは実際にはデータを取っていないのに取ったと思わせて金銭を要求する手口(脅迫詐欺)で,どちらも偽の映像や音声を作る技術は使っていない。エは,ディープウェブ(通常の検索では見つからない領域)で入手した認証情報を使って本人のアカウントに侵入し,本物のアカウントから偽の指示を送るビジネスメール詐欺(BEC)の手口である。「ディープ」という語が共通するが,ディープフェイクとは別物であり,こちらは本人のアカウントを乗っ取っている点が違う。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問39
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 40
パスワードリスト攻撃に該当するものはどれか。
正解:ウ
パスワードリスト攻撃は,どこかのサイトから漏れた利用者 ID とパスワードの組をそのまま別のサイトで試す攻撃である。多くの人が複数のサイトで同じ ID とパスワードを使い回しているため,正しい組を持っている攻撃者は高い確率でログインに成功してしまう。したがって答はウ。防ぐには利用者側がサイトごとに異なるパスワードを使うことが基本で,運営側は多要素認証の導入や,同一 IP からの大量のログイン試行の検知で被害を抑える。アは,辞書に載っている単語や人名を候補にして試す辞書攻撃の説明である。イは,想定されるパスワードとそのハッシュ値の対応表をあらかじめ作っておき,入手したハッシュ値から逆引きするレインボーテーブル攻撃の説明で,これに対してはパスワードごとに異なるソルトを付けて対策する。エは,入力の様子を録画して後で再現する手口で,肩越しにのぞき見るショルダーハックの一種である。「リスト」という語がいくつかの選択肢に出てくるが,パスワードリスト攻撃の本質は「他のサイトから流出した正しい組の使い回し」である点で区別できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問40
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 41
JVN などの脆弱性情報サイトで採用されている CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)識別子の説明はどれか。
正解:ウ
CVE 識別子は,公表された個々の脆弱性に世界共通の番号を与える仕組みで,「CVE-2024-12345」のように西暦と連番で表される。同じ脆弱性を各社・各国のサイトが別の名前で呼ぶと対応の議論がかみ合わないため,共通の番号で参照できるようにしたものである。したがって答はウ。日本の JVN や米国の NVD といった脆弱性情報データベースはこの識別子を使って情報を結び付けている。アは,OS やソフトウェアのセキュリティ設定項目に番号を与える CCE(Common Configuration Enumeration)の説明である。エは,ハードウェアや OS,アプリケーションといった製品自体に共通の名前を与える CPE(Common Platform Enumeration)の説明で,「どの製品のどのバージョンが影響を受けるか」を機械的に照合するために使われる。イのようにスクリーンショットに識別子を与える仕組みは存在しない。関連して,脆弱性の深刻度を数値で表す CVSS(Common Vulnerability Scoring System)もあり,CVE が「何の脆弱性か」,CVSS が「どれくらい深刻か」を担うと整理できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問41
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 42
DNS キャッシュポイズニング攻撃に対して有効な対策はどれか。
正解:イ
DNS キャッシュポイズニングは,キャッシュサーバが権威サーバへ問い合わせている隙に,攻撃者が偽の応答を先に送り込んで誤った対応をキャッシュに覚え込ませる攻撃である。偽の応答が受け入れられるには,問合せに付けたトランザクション ID と送信元ポート番号が一致していなければならないので,これらを推測されにくくするのが基本の対策になる。DNS ヘッダー内の ID を毎回ランダムに変えるイが正しく,これが答え。ウは逆効果で,送信元ポート番号もランダムに変える(ソースポートランダマイゼーション)ことで攻撃者が当てるべき組合せが増え,成功確率が大幅に下がる。53番に固定すると推測すべき値が ID だけになり,かえって攻撃しやすくなる。エは,宛先ポート番号53は DNS の標準の待ち受けポートであり,それだけに応答するのは通常の動作であって攻撃対策にならない。アのマルウェアの隔離はサーバ自体が侵入される事態への対策で,偽の応答を注入されるという本攻撃の筋道とは別である。根本的な対策としては,リソースレコードに署名を付けて改ざんを検出できる DNSSEC の導入がある。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問42
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 43
ソフトウェアのセキュリティ管理に使用される SBOM はどれか。
正解:エ
SBOM(Software Bill Of Materials=ソフトウェア部品表)は,一つの製品を構成しているライブラリやモジュールについて,名称・バージョン・提供元・ライセンス,そして互いの依存関係を機械可読な形で並べた一覧である。したがって答はエ。近年のソフトウェアは大量のオープンソース部品を取り込んでおり,ある部品に脆弱性が公表されたときに「自社のどの製品のどのバージョンが影響を受けるか」を短時間で特定するために不可欠になった。Apache Log4j の脆弱性で影響調査に時間が掛かった経験から,各国で整備が求められるようになっている。アは SIEM(Security Information and Event Management)の説明で,機器やソフトウェアのログを集めて相関を分析し,兆候を見つける仕組みである。イは IT 資産管理データベース(構成管理データベース=CMDB)の説明で,対象は組織が保有する資産全体であり,1つの製品の内部構成を表すものではない。ウは脆弱性管理そのものの説明で,SBOM はその活動を支える材料に当たる。「製品の中身の一覧」という点が SBOM の核である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問43
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 44
DNSSEC の仕様はどれか。
正解:イ
DNSSEC(DNS Security Extensions)は,DNS の応答が正しい管理者から来たもので,途中で改ざんされていないことを公開鍵暗号のデジタル署名で確かめられるようにした拡張仕様である。権威 DNS サーバが秘密鍵でリソースレコードに署名を付け(RRSIG レコード),対応する公開鍵を DNSKEY レコードとして公開し,キャッシュサーバが署名を検証する。これによって DNS キャッシュポイズニングで偽の応答を覚え込まされることを防げるので,答はイ。上位のゾーンが下位の鍵を保証する信頼の連鎖(chain of trust)でルートまでたどれる点も特徴である。アは送信元ポート番号のランダム化で,キャッシュポイズニングを当たりにくくする運用上の対策だが,署名による検証ではない。ウは SPF(Sender Policy Framework)の説明で,そのドメインのメールを送ってよいサーバの IP アドレスを DNS に登録して受信側が照合する仕組みである。エは DKIM(DomainKeys Identified Mail)の説明で,メール本文とヘッダーに署名を付け,公開鍵を DNS で配る仕組みである。ウとエはどちらも DNS を使うがメールの送信者を認証する技術であり,DNS 自体の応答を守る DNSSEC とは目的が異なる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問44
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 45
VLAN 機能をもった1台のレイヤー3スイッチに40台の PC を接続している。スイッチのポートをグループ化して複数のセグメントに分けたとき,スイッチのポートをセグメントに分けない場合に比べて得られるセキュリティ上の効果の一つはどれか。
正解:イ
VLAN はスイッチのポートをグループに分け,グループごとに別のブロードキャストドメインを作る機能である。ブロードキャストは同じ VLAN の中だけに届くようになるので,ARP 要求や機器の探索パケットに含まれる IP アドレスや MAC アドレスといった情報が,本来関係のない機器にまで届かなくなる。したがって答はイ。分けた VLAN の間の通信はレイヤー3の転送を経由するため,そこにアクセス制御を掛けて必要な通信だけを通すという設計もできる。アは,VLAN は同一セグメント内の通信をそのまま通すので「同一セグメント内も含め全て遮断する」は誤りである。ICMP を遮断するかどうかはフィルタリングの設定であって VLAN の働きではない。ウは,MAC アドレスで接続の可否を判別するのはポートセキュリティや MAC アドレス認証の機能で,VLAN そのものの効果ではない。エも,物理ポートごとに特定の IP アドレスだけを許可するのはフィルタリングの設定であり,VLAN の分割によって自動的に得られるものではない。VLAN の本質は「届く範囲を区切ること」だと押さえておくとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問45
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 46
エクスプロイトコードの説明はどれか。
正解:ア
エクスプロイトコードは,ソフトウェアの脆弱性を突いて意図しない動作を引き起こすプログラムやデータのことで,攻撃コードとも呼ばれる。攻撃に使われる一方で,脆弱性が本当に悪用可能かを確かめる検証(PoC=Proof of Concept)や,修正が正しく効いているかの確認にも使われるため,両面をもつ。したがって答はア。公開のしかたは慎重に扱われ,修正が行き渡る前に詳細を公開すると被害が広がる。イはマルウェアを見分けるための特徴的なパターンを集めたシグネチャ(マルウェア定義ファイル)の説明で,パターンマッチングによる検知に使われる。ウは MAC(Message Authentication Code=メッセージ認証符号)の説明で,メッセージと共有の秘密情報からハッシュ値を計算し,改ざんの検出と送信者の確認を行うものである。エはワンタイムパスワードの説明で,一度使うと無効になるため盗まれても再利用できない。いずれもセキュリティに関わる符号だが,「脆弱性を悪用する側のコード」を指すのはエクスプロイトコードである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問46
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 47
マイクロサービスアーキテクチャを利用するとき,システム構築上の利点はどれか。
正解:ウ
マイクロサービスアーキテクチャは,システムを業務上の意味で小さく分けた独立したサービスの集まりとして構成し,サービス間は API で連携させる方式である。各サービスが独立して開発・配置・拡張できるので,1つを直すときに影響が他へ波及しにくく,そのサービスだけを作り直して入れ替えられる。したがって答はウ。アは逆で,サービスごとに最適な言語やミドルウェアを選べるのが利点である反面,全体としては技術が多様になって統一しにくくなる。イも逆で,データベースをサービスごとに分けるため,複数のサービスにまたがる更新は分散トランザクションのような難しい問題になり,結果整合性で運用するのが一般的である。整合性の確保は一体構成(モノリシック)のほうが容易である。エも逆で,1つの処理を複数のサービスの呼出しで組み立てるため,ネットワーク越しの通信が増えてオーバーヘッドは大きくなる。マイクロサービスは「変更のしやすさ」と「部分的な拡張のしやすさ」を得る代わりに,運用の複雑さと通信のコストを引き受ける選択だと理解しておくとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問47
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 48
ソフトウェアの使用性を評価する指標の目標設定の例として,適切なものはどれか。
正解:イ
使用性(ユーザビリティ)は,利用者が目的を達成するためにそのソフトウェアをどれだけ楽に使えるかを表す品質特性で,習得しやすさ,操作しやすさ,分かりやすさ,誤操作からの守りやすさなどが含まれる。「使用方法を1時間以内に習得できること」は習得しやすさを時間で測る指標なので使用性の目標設定に当たり,答はイ。アは障害が起きてから復旧して使えるようになるまでの時間を定めており,これは信頼性(回復性)や可用性の指標である。ウは要望を受けてから改善を完了するまでの時間で,これは保守性の指標に当たる。エは必要な機能がすべてそろっているかという機能適合性(機能完全性)の指標である。JIS X 25010(ISO/IEC 25010)ではソフトウェアの品質を,機能適合性・性能効率性・互換性・使用性・信頼性・セキュリティ・保守性・移植性の8つに分けており,どの特性を測っているのかを言葉から見分ける練習になる。使用性は「使う人が学び,操作する」ことに関わるという点を軸にすると迷いにくい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問48
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 49
アジャイル開発の初期段階において,プロジェクトの目的,スコープなどに対する共通認識を得るために,あらかじめ設定されている設問と課題について関係者が集まって確認し合い,その成果を共有する手法はどれか。
正解:イ
インセプションデッキは,プロジェクトを始めるときに関係者が集まり,あらかじめ決められた10個の問い(我々はなぜここにいるのか,エレベーターピッチ,パッケージデザイン,やらないことリスト,「ご近所さん」を探せ,解決策を描く,夜も眠れなくなるような問題は何か,期間を見極める,何を諦めるのか,何がどれだけ必要か)に答えを出し,その結果を1枚ずつのスライドにまとめて共有する手法である。目的やスコープ,前提とリスクについての共通認識を早い段階で作ることが狙いなので,答はイ。アのアジャイルモデリングは,必要な分だけ軽くモデルを描いて意思疎通に使うという考え方や実践の総称である。ウのプランニングポーカーは,開発者がカードを使って作業規模(ストーリーポイント)を同時に提示し,見積りの認識を合わせていく手法で,対象は個々の作業の大きさである。エのユーザーストーリーマッピングは,利用者の行動の流れに沿ってユーザーストーリーを二次元に並べ,リリースの範囲や優先順位を検討する手法である。いずれも初期に使われるが,「決まった設問に答えて全体像の合意を作る」のはインセプションデッキである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問49
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 50
レスポンシブ Web デザインを実現するに当たって,単一の HTML 文書を用いて,Web コンテンツを各種端末のディスプレイの大きさに合わせた形式で表示するために使用する機能はどれか。
正解:エ
メディアクエリは CSS の機能で,画面の幅・高さ・向き・解像度などの条件に応じて適用するスタイルを切り替えられる。@media (max-width: 600px) のように書けば,狭い画面のときだけ別のレイアウトを当てられるので,1つの HTML 文書のまま端末ごとに見せ方を変えるレスポンシブ Web デザインが実現できる。したがって答はエ。アの User-Agent は,ブラウザが自分の種類や版を伝える HTTP ヘッダーで,これを見てサーバ側が端末別のページを返す方式もあるが,それは HTML 自体を作り分けるやり方であり「単一の HTML 文書を用いて」という条件から外れる。加えて,未知の端末に対応できないという弱点もある。イの WebSocket は,サーバとブラウザの間に双方向の通信路を保つ仕組みで,チャットや通知のように随時データを送りたい場合に使う。ウのマッシュアップは,複数のサービスが公開する API やデータを組み合わせて新しいサービスを作る手法で,画面の大きさへの対応とは関係がない。あわせて viewport の指定やフレキシブルなグリッド,可変サイズの画像を組み合わせるのが定石である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問50
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 51
プロジェクトマネジメントにおけるスコープの管理の活動はどれか。
正解:ウ
スコープの管理は「このプロジェクトで何を作り,何を作らないのか」という範囲を定め,変更を統制する活動である。外部システムとの連携作業をこのプロジェクトから外して別プロジェクトに移すのは,作業範囲そのものを変える判断なのでスコープの管理に当たり,答はウ。アは教育期間を2日延ばす判断で,日程を扱っているのでスケジュールの管理である。イは超過が判明した費用に対して追加予算を確保する判断で,コストの管理に当たる。エは担当者を交代させる判断で,人的資源の割当てを扱う資源の管理である。いずれもプロジェクトマネージャが行う判断だが,扱っている対象が「範囲」「日程」「費用」「資源」のどれなのかで区別する。なお範囲を減らすことでスケジュールや費用の問題に対処する場合もあり,実務では複数の領域がつながって動く。スコープを勝手に膨らませてしまうことをスコープクリープといい,これを防ぐために変更は正式な手続で承認する。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 52
PMBOK ガイド 第7版によれば,WBS の最下位のレベルの作業を何と呼ぶか。
正解:エ
WBS(Work Breakdown Structure=作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を段階的に細かく分けて階層構造で表したものである。その最下位に置かれる単位をワーク・パッケージと呼び,見積り・担当の割当て・進捗の把握を行う基本の単位になる。したがって答はエ。アの WBS 辞書は,WBS の各要素について作業の内容,成果物,前提条件,責任者,見積りなどを記述した補助的な文書で,構成図では表せない詳細を補う。イのアクティビティ・リストは,ワーク・パッケージをさらに実行可能な活動に分解して並べた一覧で,スケジュールを作る材料になる。つまり WBS の外側に位置づけられ,「ワーク・パッケージを分けたもの」がアクティビティである。ウのプロジェクト・スコープは,プロジェクトで提供する成果物と,それを作るために必要な作業の全体を指す言葉で,WBS はそのスコープを分解した表現である。階層としては,プロジェクト→成果物→…→ワーク・パッケージ→アクティビティの順に細かくなると押さえておくとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 53
プロジェクトマネジメントにおいて,プロジェクトチームのパフォーマンスを高めるために,チームメンバーを同じ作業場所に集めることを何というか。
正解:ア
コロケーションは,プロジェクトのメンバーを物理的に同じ場所に集めて作業させることをいう。顔を合わせて話せるので,意思の伝達が速く,暗黙の情報も共有されやすく,一体感が生まれてチームの成果が上がりやすいという効果がある。したがって答はア。とくに立ち上がりの時期や,仕様が固まっていない難しい局面で有効とされ,チーム専用の作業スペースを「タイトルーム(作戦室)」と呼ぶこともある。ウのバーチャルチームはその反対で,離れた場所にいるメンバーが通信手段を使って協働する形態である。移動費が要らず,地理を越えて人材を集められる利点があるが,意思疎通の工夫が求められる。イのネットワーキングは,組織の内外の人と関係を築いて情報や協力を得る活動を指す。エのファシリテーションは,会議や討議の場で議論を促し,参加者の合意形成を助ける技法で,人を集めることそのものではない。集めるのがコロケーション,離れて組むのがバーチャルチーム,という対比で押さえるとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 54
プロジェクトマネジメントにおけるファストトラッキングの例として,適切なものはどれか。
正解:エ
ファストトラッキングは,本来は順番に行う作業を重ねて並行させることで工期を縮める手法である。設計がすべて終わるのを待たず,終わったモジュールから順にプログラム開発を始めるのはまさにこれに当たるので,答はエ。費用の増加を伴わない代わりに,先行する設計が後から変わったときに作り直しが生じるという手戻りのリスクを負う。アは,遅れているクリティカルパス上の作業に人を追加して所要期間を縮める手法で,これはクラッシングである。資源を増やす分だけ費用が増える。イは残業の禁止で,費用は減るが作業に充てられる時間は減るので,工期短縮ではなくむしろ長くなる方向である。ウは完了予定日そのものを後ろにずらす判断で,短縮ではなく計画の見直しに当たる。工期短縮の手法はクラッシングとファストトラッキングの2つで,前者は「資源を足す(費用が増える)」,後者は「並行させる(手戻りのリスクが増える)」と対比して覚えるとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 55
サービスマネジメントにおいて,中断したサービスを復旧させるときの目標を定めた指標に,RTO(目標復旧時間),RPO(目標復旧時点)及び RLO(目標復旧レベル)がある。RTO と RLO とを定めた例として,適切なものはどれか。
正解:エ
3つの指標は着眼点が違う。RTO は「いつまでに復旧させるか」という時間の目標,RPO は「どの時点のデータまで戻せればよいか」というデータの目標,RLO は「どの水準まで復旧させれば足りるか」という機能や範囲の目標である。エは「中断から1日以内に」が RTO,「重要なサービスに限定して復旧する」が RLO に当たるので,2つの組合せとして正しく,答はエ。アは「3時間前の時点の状態にデータを復旧」が RPO,「利用者の50%以上に提供」が RLO であり,RTO ではなく RPO と RLO の組合せになっている。ウは「中断から1時間以内に」が RTO,「1時間前の時点の状態にデータを復旧」が RPO で,RTO と RPO の組合せである。イは「直前の状態にデータを復旧」が RPO で,後半の終了時刻の延長は復旧の目標水準を定めたものではなく運用上の措置なので,RTO でも RLO でもない。復旧に関する要求は,時間・データ・水準の3つの軸で整理すると事業継続計画の中で矛盾なく定められる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 56
JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,継続的改善に関する記述として,適切なものはどれか。
正解:ウ
JIS Q 20000-1 は,改善の機会を評価して優先順位を付けるための基準をあらかじめ定めることを求めており,その基準には「改善がサービスマネジメントの目的と整合しているか」という観点が含まれなければならないとしている。目的から外れた改善に資源を割かないための歯止めであり,答はウ。イは,この規格の継続的改善はサービスそのものだけでなく,サービスマネジメントシステム(SMS)自体の適切性・妥当性・有効性も改善の対象とすることを明記しているので誤りである。運用の仕組みが古びていれば,どれだけ現場が努力しても成果は上がらないからである。アは,改善の目標として何を設定するかは組織が決めるべきことで,品質と費用の両方を必ず設定しなければならないという要求はない。エも逆で,実施した改善は設定した目標に照らして測定し,達成できたかどうかを確かめることが求められる。改善前との比較だけでは,目標に届いたのかが判断できない。JIS Q 20000-1 は PDCA の考え方を土台にしており,「目標を定めて測る」ことが一貫した要求になっている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 57
入出力データの管理方針の例として,適切なものはどれか。
正解:イ
出力帳票には個人情報や取引情報など重要な内容が含まれることが多いので,誰にいつ渡したかを授受管理表に記録して確実に受け渡し,重要度が高いものは業務部門の管理者に直接手渡すのが適切な管理方針である。したがって答はイ。放置や誤配による情報漏えいを防ぐ狙いがある。アは,帳票が本当に不要かを判断できるのはそれを使う業務部門であり,情報システム部門が単独で出力を停止すべきではない。点検結果をもとに業務部門と協議して決めるのが筋である。ウも同じ理由で誤りで,入力データの誤りは元の伝票や原票を作成した業務部門が内容を確認して訂正するべきであり,情報システム部門が独断で書き換えると,何が正しい取引だったのかを誰も保証できなくなる。エは,入力原票や EDI 受信ファイルは,後から入力内容と突き合わせて誤りを追跡するための証跡であり,法令上の保存義務がある場合もあるので,取り込んだ直後に廃棄してはならない。定めた期間は安全な方法で保管し,期間経過後に適切な方法で廃棄する。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 58
システム監査において,監査手続の適用に際して用いられる技法のうち,データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセス,及び組み込まれているコントロールを,書面上で,又は実際に追跡するものはどれか。
正解:ア
ウォークスルー法は,監査人が特定のデータを取り上げ,それが生成されてから入力・処理・出力を経て利活用されるまでの流れを,書面の上で,または実際の操作でたどりながら,途中に組み込まれた統制(コントロール)が意図どおりに働いているかを確かめる技法である。設問の説明にそのまま当てはまるので答はア。書かれている手順と実際の流れが食い違っていないかを一貫して追える点に強みがある。イのチェックリスト法は,あらかじめ用意した確認項目の一覧に沿って回答を得たり点検したりする技法で,網羅性は確保しやすいが項目の外にある問題は見つけにくい。ウの突合・照合法は,関連する複数の記録や資料を突き合わせて一致しているかを確かめる技法で,たとえば入力伝票の合計と処理結果の合計を照合するといった使い方をする。エのドキュメントレビュー法は,規程・手順書・設計書などの文書を入手して内容を点検する技法である。ほかにインタビュー法,テストデータ法,組込み監査モジュール法などがあり,得られる証拠の性質によって使い分ける。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 59
システム監査基準(令和5年)における予備調査についての記述として,適切なものはどれか。
正解:ア
予備調査は,本調査の前に監査対象の全体像をつかむ段階で,規程・事務手続・マニュアル・システムの概要資料などを読み,業務の内容,誰がどの範囲を受け持っているか(業務分掌),組織の体制などを把握する。これによって重点を置くべき箇所を見極め,本調査の計画を具体化できる。したがって答はア。イは,予備調査は資料の閲覧や質問,説明の聴取などでも行えるので,必ず現地に赴く必要はない。現地での観察や実機の確認は本調査で行うことが多い。ウは本調査の目的で,監査の結論を裏付ける十分かつ適切な監査証拠を集めるのは本調査の段階である。エは,予備調査の範囲を監査対象先だけに限る必要はなく,前後の工程を担う部門や関連するシステムの担当,外部の委託先まで含めて把握することが有効な場合がある。監査は,計画(予備調査を含む)→本調査→評価・結論→報告→フォローアップという流れで進み,予備調査は「どこを深く見るかを決めるための下調べ」だと押さえるとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 60
システム監査基準(令和5年)におけるフォローアップの説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
フォローアップは,監査報告書を出した後の段階で,システム監査人が改善提案がどこまで実施されたかについて情報を集め,改善の進み具合を継続的に見守る活動である。指摘して終わりにせず,実際に改善されたかを確かめることで監査の実効性が担保されるので,答はウ。ここで注意すべきは,改善そのものを行う責任は監査対象先(経営者や業務部門)にあり,監査人は改善作業を代行したり指示したりする立場ではない点である。監査人が改善に踏み込むと,後にその結果を評価する際に独立性が損なわれる。アは監査対象先が行う改善計画の策定で,フォローアップの対象となる相手側の活動である。イは監査部門の責任者による監査の品質管理・審査に当たる活動で,報告書を出す前後に行う内部の確認である。エは,調査が終わらなかった項目を追って報告することであり,これはフォローアップではなく監査手続そのものの継続であって,本来は監査計画の中で処理すべき事柄である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 61
経済産業省が取りまとめた“デジタル経営改革のための評価指標(DX 推進指標)”によれば,DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築に関する指標において,“IT システムに求められる要素”について経営者が確認すべき事項はどれか。
正解:イ
DX 推進指標では,DX の基盤となる IT システムに求められる要素として「データをリアルタイムなどで使いたい形で使えるか(データ活用)」「環境変化に迅速に対応でき,求められるデリバリースピードに対応できるか(スピード・アジリティ)」「全社最適の視点で無駄なくつながっているか(全社最適)」の3点を挙げている。イはこのうちのスピード・アジリティに当たるので,答はイ。ウは逆で,リアルタイム性が軽んじられてよいわけではなく,必要なときに必要な形でデータを使えることが求められている。エも逆で,部門ごとに個別最適で作られたシステムが乱立すると連携できずデータも分断されるため,全社最適の視点が求められる。日本企業に多いこうした状態を経済産業省は「レガシーシステムの残存」として問題視し,放置した場合の損失を「2025年の崖」と表現した。アは人材の育成・確保に関する事項で,DX 推進指標の中では別の柱(体制・仕組み,とくに人材)に属する。「ITシステムに求められる要素」は,あくまでシステム自体の性質を問う指標である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問61
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 62
官民データ活用推進基本法などに基づいて進められているオープンデータバイデザインに関して,行政機関における取組についての記述として,適切なものはどれか。
正解:エ
オープンデータバイデザインは,「後から公開できるようにする」のではなく,最初から公開することを前提に情報システムや業務プロセスを企画・整備・運用するという考え方である。公開の要件は,営利・非営利を問わず誰でも二次利用できること,機械判読に適した形式(CSV や JSON など)であること,無償で利用できることの3点で,設問のエがこれに合うので答はエ。あとから公開用に加工する手戻りをなくし,データの質を保つことがねらいである。アは,オープンデータの対象は個人情報や機密情報を除いたデータであり,個人情報をオープン化するという前提自体が成り立たない。イは,オープンデータの定義に「営利目的も含めて二次利用できる」ことが含まれているので誤りである。企業がデータを使って新しいサービスを生むことこそ期待されている。ウは,用途を行政機関同士の相互利用に限定するのは「公開」ではなく行政内部の情報連携であり,オープンデータの趣旨から外れる。政府の取組としては,データカタログサイト(e-Gov データポータル)で横断的に探せるようにする整備も進められている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問62
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 63
業務改善の4原則としての Eliminate,Combine,Rearrange,Simplify は,業務改善を実現する上での視点を示すものである。次の業務改善例のうち,Rearrange を適用したものはどれか。
正解:イ
業務改善の4原則は ECRS と呼ばれ,Eliminate(なくす),Combine(まとめる),Rearrange(順序や場所を入れ替える),Simplify(簡単にする)の頭文字を並べたものである。この順に検討すると効果が大きいとされる。Rearrange は作業の順序や実施する場所・担当を組み替えて無駄を減らす視点なので,配送順を入れ替えて移動距離の無駄を削り,一日の配送件数を増やしたイが該当する。したがって答はイ。アは決裁に不要な人を申請フローから外しており,工程そのものをなくしているので Eliminate に当たる。ウは手入力していた項目を関数で自動計算させ,作業を単純にしているので Simplify に当たる。エは各部門が別々に作っていた議事録を代表者1名の作成にまとめているので Combine に当たる。4つの視点は「なくせないか→まとめられないか→入れ替えられないか→簡単にできないか」の順で当てはめると考えやすく,まずなくすことを検討するのが効果が大きいという点が ECRS の並び順の意味である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問63
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 64
BPR によって業務を見直した場合,これまで従業員5人で年間計9,000時間掛かっていた業務が7,000時間で実現可能なことと,その7,000時間のうちの2,000時間分の業務は外部委託が可能なことが分かった。この結果を基に BPR を実施した次のシナリオ a から d のうち,当該部門において,年間当たりの金額面の効果が最も高いものはどれか。なお,いずれのシナリオも年初から実施することとし,条件に記載した時間や費用以外は考慮しないものとする。
〔条件〕
(1) 年間計9,000時間の内訳は従業員1人当たり1,800時間とする。
(2) 従業員1人当たりの年間の人件費は600万円とする。
(3) 外部委託が可能な2,000時間分の業務を,外部委託した場合の年間費用は700万円とする。外部委託の契約は1年単位で年間費用の700万円は固定である。
(4) 従業員の空いた時間は別の付加価値業務が行えるようになり,従業員1人につき100時間当たり20万円の利益を得ることができる。
(5) 従業員4人で当該業務を行う場合は,残り1人は他部門に異動する。当該部門では,1人分の人件費の削減効果だけを考慮する。
(6) BPR 実施後,当該業務に関わらない従業員の人件費は金額面の効果とみなす。
〔シナリオ〕シナリオ/当該業務を行う従業員数/外部委託
a/4人/する
b/4人/しない
c/5人/する
d/5人/しない
正解:イ
効果は「人件費の削減+空いた時間で得る利益-外部委託費用」で求める。従業員1人の年間稼働は1,800時間である。シナリオ a は4人(稼働7,200時間)で,外部委託によって自社が担う業務は 7,000-2,000=5,000時間になるので空き時間は2,200時間,利益は 2,200÷100×20=440万円。1人異動で人件費600万円が減り,委託費700万円が出るので 600+440-700=340万円である。シナリオ b は4人で外部委託せず7,000時間を担うので空きは 7,200-7,000=200時間,利益は40万円。人件費削減600万円を加えて640万円となる。シナリオ c は5人(稼働9,000時間)で外部委託するので空きは 9,000-5,000=4,000時間,利益は800万円だが,人件費の削減が無く委託費700万円が出るので100万円にとどまる。シナリオ d は5人で外部委託せず空きは 9,000-7,000=2,000時間で利益400万円,これが全額となる。したがって最も高いのは640万円のシナリオ b であり,答はイ。委託費700万円に対して,委託で増える空き時間から得られる利益は 2,000÷100×20=400万円にすぎないため,外部委託するとかえって300万円損をするという構造になっている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問64
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 65
システムの要件を検討する際に用いる UX デザインの説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
UX(User Experience=利用者体験)デザインは,機能が使えるかどうか,操作しやすいかどうかという範囲を超えて,利用者が触れる前後を含めた一連の体験の質を設計しようとする考え方である。快適さ,安心感,楽しさ,満足感といった主観的な価値まで対象に含める点が特徴で,答はウ。使いやすさに焦点を当てるユーザビリティ(UI の使い勝手)を包み込む,より広い概念として位置づけられる。アはプライバシーバイデザイン(あるいはセキュリティバイデザイン)の説明で,設計の段階から保護の仕組みを組み込む考え方である。イはサービス指向アーキテクチャ(SOA)の説明で,機能をサービスの単位に切り出し,その組合せでシステムを構成する設計思想である。エは他社が公開している API を活用して開発の生産性を高める考え方で,マッシュアップや API エコノミーと呼ばれる。要件を検討する段階で UX デザインを用いる意義は,「何ができるか」ではなく「利用者がどう感じるか」から要件を導けることにある。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問65
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 66
UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。
正解:ア
アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に描く図で,条件によって分かれる分岐(デシジョンノード),複数の流れを同時に進める並行処理(フォーク),それらを合流させる同期(ジョイン)を表現できる。担当者や組織ごとに区切るスイムレーンを併用すれば,誰がどの作業を行うのかまで示せるため,業務要件定義で業務フローを記述するのに適している。したがって答はア。イのクラス図は,クラスの属性・操作と,クラス間の関連・多重度・継承といった静的な構造を表す図で,流れは表せない。ウの状態マシン図は,一つの対象がとる状態と,事象によって状態がどう移り変わるかを表す図で,注文が「受付済→出荷済→完了」と変わる様子などを描く。同じ対象の状態遷移が主題であり,複数の担当者にまたがる作業の流れを描くものではない。エのユースケース図は,利用者(アクター)とシステムが提供する機能(ユースケース)の関係を表す図で,何ができるかの一覧を示すが,処理の順序や分岐は表現しない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問66
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 67
SCM の目的はどれか。
正解:エ
SCM(Supply Chain Management=供給連鎖管理)は,原材料の調達から生産,物流,販売に至るまでの流れを,自社だけでなく取引先や物流業者を含めた複数の企業・組織にまたがって一体として捉え,情報を共有して全体を最適化する取組みである。狙いは在庫の削減,コストの低減,納期の短縮であり,答はエ。個々の企業が自社だけを最適化すると,需要の情報が上流へ伝わるほど注文の振れが増幅されるブルウィップ効果が生じるため,鎖全体で情報を共有することに意味がある。アは CRM(顧客関係管理)の説明で,顧客との関係を長期に深めることを目的とする。イは SFA(Sales Force Automation=営業支援システム)の説明で,商談の進捗を可視化して営業活動の効率を上げるものである。ウは ERP(Enterprise Resource Planning=統合基幹業務システム)の説明で,こちらは自社内の基幹業務を統合管理する点が SCM と異なる。「企業の枠を越えるのが SCM,自社内をまとめるのが ERP」と対比して押さえるとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問67
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 68
アンゾフの成長マトリクスを説明したものはどれか。
正解:ウ
アンゾフの成長マトリクスは,縦軸に市場(既存・新規),横軸に製品(既存・新規)を取った4つのマスで成長の方向を整理する枠組みである。既存市場×既存製品が市場浸透,新規市場×既存製品が市場拡大(新市場開拓),既存市場×新規製品が製品開発,新規市場×新規製品が多角化に当たり,どの方向で成長を目指すかを検討するのに使う。したがって答はウ。右上(多角化)に進むほど未知の要素が増えて危険が高いという見立ても含まれている。アは SWOT 分析の説明で,内部の強み・弱みと外部の機会・脅威を並べて環境を整理する手法である。イは BSC(バランススコアカード)の説明で,財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長の4つの視点から目標と指標を定め,実行計画まで落とし込む。エはプロダクトライフサイクル(PLC)の説明で,製品が置かれた段階に応じて価格・広告・流通の打ち手を変える考え方である。どれも4つに分ける枠組みなので,「何を4つに分けているのか」で見分けるのが確実である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問68
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 69
コ・クリエーション戦略の特徴はどれか。
正解:ウ
コ・クリエーション(co-creation=共創)は,企業が一方的に価値を作って提供するのではなく,顧客や取引先,他企業など外部の主体と協働して価値を生み出す考え方である。対象は製品そのものにとどまらず,購入前後の体験まで含めて差別化できる価値を作ることに置かれるので,答はウ。顧客コミュニティからの意見を製品改良に取り込む,パートナー企業と共同で新しいサービスを設計するといった形で実践される。アは自前主義にこだわるという内容で,外部との協働を核とするコ・クリエーションとは正反対である。イは顧客が仕様まで決めて企業が作るという形で,これは受注生産やマスカスタマイゼーションに近く,価値を一緒に作り上げるという双方向のやり取りが欠けている。エは M&A による経営資源の獲得で,これは自社に取り込む方法であり,外部と協働したまま価値を生む共創とは異なる。企業の枠を越えて価値を共に作るという点が,コ・クリエーションの核心である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問69
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 70
企業における研究,開発,事業化,そして産業化へとステージが移行する過程の中で,事業化から産業化に移行するときの,競合製品との競争過程にある障壁を何と呼ぶか。
正解:ウ
技術が世に出るまでの道筋には,段階ごとに越えにくい壁があるとされ,それぞれに名前が付いている。研究から開発へ移るときの壁が「魔の川」で,研究成果を製品開発のテーマに結び付けられるかが問われる。開発から事業化へ移るときの壁が「死の谷」で,資金や人材を確保して製品として世に出せるかが問われる。そして事業化から産業化へ移るときの壁が「ダーウィンの海」で,市場に出た後に競合製品との生存競争を勝ち抜いて事業として定着できるかが問われる。設問は事業化から産業化への移行を尋ねているので答はウ。名前の由来は,多数の競争者の中で適応したものだけが生き残るという進化論の考え方である。アのキャズムは,ジェフリー・ムーアが唱えた,新技術が初期採用者層から一般の利用者層へ普及する際に生じる需要の溝を指す言葉で,市場の普及過程に関する概念である。3つの壁は「魔の川→死の谷→ダーウィンの海」の順に並ぶと押さえておけば取り違えない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問70
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 71
生成 AI のビジネス活用において,独自のデータを学習させることにより基盤モデルを自社の業務やサービスに特化したモデルへとカスタマイズすることを何と呼ぶか。
正解:ウ
ファインチューニングは,大量の一般的なデータで事前学習された基盤モデルに,自社が持つ独自のデータを追加で学習させ,重みを調整して特定の業務や分野に適したモデルに作り変えることをいう。一から学習させるのに比べて必要なデータ量も計算資源もはるかに少なく済むのが利点で,答はウ。アのアノテーションは,学習に使うデータに正解のラベルや注釈を付ける作業のことで,教師あり学習の準備工程に当たる。ファインチューニングのためのデータ整備でも行われるが,作業そのものを指す言葉であってカスタマイズの手法ではない。イのクラスタリングは,データを似たもの同士のグループに分ける教師なし学習の手法である。エのプロンプトエンジニアリングは,モデル自体には手を加えず,与える指示文(プロンプト)の書き方を工夫して望む出力を引き出す技術である。モデルを変えないので手軽だが,扱える情報は指示文に入る範囲に限られる。関連して,外部の文書を検索して回答の材料にする RAG(検索拡張生成)もあり,こちらもモデルの重みは変えない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問71
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 72
製造業の A 社では,NC 工作機械を用いて,四つの仕事 a〜d を行っている。各仕事間の段取り時間は表のとおりである。合計の段取り時間が最小になるように仕事を行った場合の合計段取り時間は何時間か。ここで,仕事はどの順序で行ってもよく,a〜d を一度ずつ行うものとし,FROM から TO への段取り時間で算出する。
〔表〕単位 時間(FROM →TO 仕事a/仕事b/仕事c/仕事d)
仕事a →/2/1/2
仕事b →1//1/2
仕事c →3/2//2
仕事d →4/3/2/
正解:ア
4つの仕事を一度ずつ行うので,段取りは仕事の間の3回だけ発生する。全24通りの並べ方について3回分を足して最小を探す。b→a→c→d の順にすると,b→a が1時間,a→c が1時間,c→d が2時間で合計4時間になり,これが最小である。したがって答はア。ほかの並びを見ると,a→b→c→d は 2+1+2=5時間,c→b→a→d は 2+1+2=5時間,d→c→b→a は 2+2+1=5時間で,5時間止まりの並びは複数ある。表を見ると d を出発点とする段取り(d→a が4,d→b が3)が大きいので,d は最後に回すのが得だと分かる。また a→c が1,b→a が1,b→c が1と小さい値が固まっているので,b と a を早い位置に置き,そこから c を経て d に抜ける流れが有利になる。イの5時間は上に挙げたような二番目に良い並びの値,ウの6時間・エの7時間はさらに条件の悪い並びの値である。この種の問題は,最小の値をもつ辺から組み立て,値の大きい行(ここでは d の行)を出発点に使わないよう並べると素早く見当が付く。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問72
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 73
構成表の製品 A を300個出荷しようとするとき,部品 b の正味所要量は何個か。ここで,A,a,b,c の在庫量は在庫表のとおりとする。また,他の仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。
〔構成表〕単位 個(品名/構成部品 a/b/c)
A/3/2/0
a//1/2
〔在庫表〕単位 個(品名/在庫量)
A/100
a/100
b/300
c/400
正解:イ
上の階層から順に,総所要量から在庫を引いて正味所要量を求め,それを下の階層に展開していく。製品 A は300個必要だが在庫が100個あるので,新たに作るのは 300-100=200個である。部品 a は A 1個に3個使うので 200×3=600個必要で,在庫100個を引いて500個を作る。部品 b は,A に直接2個使うので 200×2=400個,さらに a 1個につき1個使うので 500×1=500個が必要になり,総所要量は 400+500=900個である。b の在庫は300個なので,正味所要量は 900-300=600個となり,答はイ。ウの900は在庫を引く前の総所要量に一致する値で,「正味」の計算を忘れた場合に当たる。エの1,500は,製品 A の在庫100個も部品 a の在庫100個も引かずに,A を300個そのまま展開した場合の値である(a が900個必要になり,b は 300×2+900×1=1,500個)。アの200は製品 A の正味所要量そのもので,部品 b の数量ではない。上位の在庫を引いてから下位に展開するという順序が要点で,これを守らないと必要量が大きく膨らむ。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問73
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 74
企業経営において,経営理念,経営戦略,事業戦略は,経営理念を最上位とするピラミッドを形成している。経営理念,経営戦略,事業戦略の関係性で適切なものはどれか。
正解:ウ
経営理念は,その企業が何のために存在し何を大切にするのかを示す最も上位の考え方である。それを実現するために全社としての方向を定めるのが経営戦略で,さらに経営戦略を達成するために事業ごとの具体的な打ち手へ分解したものが事業戦略になる。上位を実現する手段として下位を定めるという関係なので,答はウ。エはこの順序が逆で,全社の方針である経営戦略を,個々の事業戦略の下位に置いてしまっている。アは内容の抽象度が逆である。経営理念は「社会に貢献する」のように抽象的で,下位にいくほど「この製品をこの市場で何%のシェアにする」のように具体的になる。イは時間の視点が逆である。経営理念は企業が存続する限り変わらない長期の視点,経営戦略は数年単位の中期,事業戦略は年度単位の短期と,下位にいくほど期間が短くなる。上位から下位へ「抽象→具体」「長期→短期」「目的→手段」と一貫して降りていくと整理でき,3つの誤りはいずれもこの方向を逆にしたものである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問74
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 75
A 社と B 社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。ここで,表の各欄において,左側の数値が A 社のシェア,右側の数値が B 社のシェアとする。
〔表〕単位 %(A 社の戦略/B 社の戦略 b1/戦略 b2)
戦略 a1/40,20/50,30
戦略 a2/30,10/25,25
正解:イ
ナッシュ均衡は,相手の戦略を所与としたときに,どちらも自分の戦略を変える動機をもたない組合せである。まず A 社の立場で見ると,B 社が b1 なら A 社のシェアは a1 で40,a2 で30なので a1 が有利,B 社が b2 なら a1 で50,a2 で25なのでやはり a1 が有利である。つまり B 社が何を採っても A 社は a1 を選ぶ。次に B 社の立場で見ると,A 社が a1 なら B 社のシェアは b1 で20,b2 で30なので b2 が有利,A 社が a2 なら b1 で10,b2 で25なのでやはり b2 が有利である。つまり A 社が何を採っても B 社は b2 を選ぶ。よって双方の最適が重なるのは a1 と b2 の組合せで,答はイ。このように相手の出方によらず一方が常に有利な戦略を支配戦略といい,両社に支配戦略があるためこの均衡は1つに定まる。アは B 社が b1 のままだと b2 に変えてシェアを20から30に増やせるので均衡ではない。ウとエは A 社が a2 のままだと a1 に変えてシェアを増やせる(ウでは30→40,エでは25→50)ので,やはり均衡ではない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問75
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 76
ベイズ統計の説明として,適切なものはどれか。
正解:イ
ベイズ統計は,まだ観測していない段階での確からしさを事前分布として置き,データを得るたびにベイズの定理で更新して事後分布を求めるという考え方に基づく統計理論である。データが少なくても既知の知識を前提として織り込める点,新しいデータで逐次的に更新できる点が特徴で,機械学習の分類器や迷惑メールフィルター(ベイジアンフィルター),医療診断の確率評価などに広く使われている。したがって答はイ。ウは,収集済みのデータの特徴を代表値や度数分布,ヒストグラムでまとめる記述統計の説明である。ベイズ統計はデータの背後にある確率を推し量る推測統計の一分野なので区別される。アは貿易統計のような特定分野の統計指標の作成についての説明で,統計理論の名称ではない。エは分析対象をオープンデータに限定するという内容で,そのような統計手法は存在しない。なお推測統計にはベイズ統計と,母数を定数と見て標本から推定する頻度論の立場があり,「確率を確信の度合いとして扱う」のがベイズ統計の立場だと押さえると違いが分かりやすい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問76
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 77
A 社と B 社の比較表から分かる,A 社の特徴はどれか。
〔表〕単位 億円(項目/A 社/B 社)
売上高/1,000/1,000
変動費/500/800
固定費/400/100
営業利益/100/100
正解:ア
両社は売上高も営業利益も同じだが,費用の構成が対照的である。A 社は限界利益が 1,000-500=500億円で限界利益率50%,固定費は400億円なので損益分岐点売上高は 400÷0.5=800億円である。B 社は限界利益が 1,000-800=200億円で限界利益率20%,固定費は100億円なので損益分岐点売上高は 100÷0.2=500億円になる。限界利益率が高い A 社は,売上が増えたときに増える分の半分が利益に乗るので,売上高の増加が大きな利益に結び付きやすい。したがって答はア。イは,A 社の限界利益率50%は B 社の20%より高いので誤りである。ウは,A 社の損益分岐点800億円は B 社の500億円より高いので誤りである。エも誤りで,固定費が大きく限界利益率が高い A 社は,売上が減ったときの利益の落ち込みも大きい。売上が2割減の800億円になると A 社は利益0(損益分岐点)だが,B 社は 800×0.2-100=60億円の利益が残る。固定費型の A 社は好況時に強く不況時に弱く,変動費型の B 社はその逆という構造で,これを表すのが経営レバレッジである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問77
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 78
著作権法で保護されるものはどれか。
正解:イ
著作権法はプログラムを著作物として保護するが,第10条第3項で「プログラム言語」「規約」「解法」は保護の対象から除くと定めている。プログラム言語は文字や記号とその体系,規約はプロトコルなど約束事,解法はアルゴリズムを指す。これらは表現ではなくアイディアや道具そのものであり,独占されると誰もプログラムを書けなくなってしまうためである。したがってアのアルゴリズム(解法),ウのプログラム言語,エのプロトコル(規約)はいずれも保護されず,具体的に書かれた表現であるイのコンパイラのプログラムが保護される。答はイ。押さえておきたいのは,著作権法が守るのは「どう書いたか」という表現であって「何をどういう手順で実現するか」という着想ではないという点である。アルゴリズムそのものを独占的に使いたい場合は,要件を満たせば特許(ソフトウェア特許)で保護を求めることになる。なお,プログラムの著作物では,同じアルゴリズムを別の書き方で実装したものは別の著作物として扱われ,複製にも当たらない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問78
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 79
大規模なシステム開発を受注した A 社では,不足する開発要員を派遣事業者である B 社からの労働者派遣によって補うことにした。A 社の行為のうち,労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。
正解:ア
労働者派遣法では,同一の事業所で派遣労働者を受け入れられる期間,および同一の派遣労働者を同一の組織単位で受け入れられる期間の上限がいずれも3年と定められている。したがって派遣期間を3年とする契約自体は上限の範囲内であり,適切である。答はア。イは,派遣先が派遣労働者を特定する目的で履歴書の提出を求めたり書類選考や面接を行ったりすることは,特定を目的とする行為として禁じられている(労働者派遣法第26条第6項)。誰を派遣するかを決めるのは派遣元の権限であり,派遣先が選別すると実質的な採用選考になってしまうためである。ウも同じ規定に反するうえ,年齢や性別を条件にすることは雇用における差別に当たり,男女雇用機会均等法や雇用対策法の趣旨にも反する。エは,派遣先も派遣労働者からの苦情を適切かつ迅速に処理する義務を負っており,自社への指揮命令に関する苦情を派遣元に丸投げすることは認められない。派遣先責任者を選任し,苦情の内容と処理状況を派遣先管理台帳に記録することも求められている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問79
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 80
デジタル社会形成基本法において掲げられている10項目の基本理念に含まれているものはどれか。
正解:ウ
デジタル社会形成基本法(2021年施行)は,デジタル社会の形成に関する基本理念と施策の基本方針を定めた法律である。基本理念には,すべての国民が情報通信技術の恵みを享受できる社会の実現,情報の円滑な流通の確保と個人・法人の権利利益の保護,デジタル格差の是正,人材の育成,公正な競争の促進,国民の利便性の向上などが並び,ウはこのうち「全ての国民が恵みを享受できる社会」と「信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保」に当たるので答はウ。この法律は高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT 基本法)を廃止して置き換えたもので,デジタル庁の設置根拠とも結び付いている。アはプロバイダ責任制限法(2024年に情報流通プラットフォーム対処法へ改正)の目的で,権利侵害があった場合の責任の範囲と発信者情報開示請求を定めている。イは特定電子メール法(迷惑メール防止法)の目的である。エは特定商取引法の目的で,通信販売や訪問販売などの取引の公正を図るものである。いずれも情報社会に関わる法律だが,基本理念を掲げた基本法はデジタル社会形成基本法である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度秋期 応用情報技術者試験 午前問題」問80
報告ありがとうございました。内容を確認します。
この回の最終更新:
掲載の過去問題は 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) の著作物です。同機関が公表する試験問題を、教育目的での利用に許諾・使用料を要しないとする同機関の方針に従い、出典を明記して掲載しています。無断転載を許可するものではありません。解説は当サイトが独自に作成したものです。