📄 本試験 過去問題
応用情報技術者試験 2024年度春期(令和6年度春期) 午前
80問 ・ 目安 正答率60% ・ 2024年4月21日実施
応用情報技術者の2024年度春期(令和6年度春期) 午前試験で実際に出題された全80問を、1問ずつその場で答え合わせしながら演習できます。2024年4月21日実施・合否の目安は正答率60%(演習の目安)。各問に正解と、なぜその選択肢になるのかの解説を付けています。
本試験の合格基準:科目A(旧午前)・科目B(旧午後)ともに100点満点中60点以上で合格(素点方式)。科目Aが60点未満だと科目Bは採点されない。
この回:当時(午前・午後の時間区分)の基準:午前・午後ともに100点満点中60点以上で合格(素点方式)。収録は午前のみで、午前の基準点60点は合格に必要な条件の一つ(午後も60点以上が必要)。要綱上、難易差が認められた場合は基準点を変更することがある。
出典:IPA 試験要綱 Ver.5.6(2026年10月の試験から適用)4. 採点方式・配点・合格基準。このページの「目安 正答率60%」は演習の目安で、本試験の採点方法とは異なります。
この回は 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) が公開する本試験問題を、当サイトがその場で答え合わせできる一問一答形式に再編し、公式には付いていない「正解の根拠・各選択肢の解き方」の解説を追記したものです。原題の出典は各問に明記しています。
過去問の解答結果は学習記録・段位には反映されません。過去問は出題当時の法令・制度にもとづく問題を含むため、段位は継続して最新化している一問一答・模擬試験だけで判定しています。過去問を解かなくても段位で不利になることはありませんので、実力試しとして気軽にお使いください。
問 1
複数の袋からそれぞれ白と赤の玉を幾つかずつ取り出すとき,ベイズの定理を利用して事後確率を求める場合はどれか。
正解:エ
ベイズの定理は,結果を観測したうえで「その結果をもたらした原因が何であったか」の確率を求めるための道具である。式は P(原因|結果)=P(結果|原因)×P(原因)/P(結果) で,あらかじめ分かっている原因の確率(事前確率)を,観測された結果によって更新した値(事後確率)が得られる。この問題では,袋が原因,取り出した玉の色が結果に当たるので,「取り出した玉の色から,どの袋から取り出されたのかを推定するための確率」を求める場合が事後確率の計算になり,答はエ。アは同じ袋から2個取り出したときに色がそろう確率で,袋が分かっている状態から結果の確率を求めているので事前の情報だけで計算できる(原因から結果へ向かう向き)。イも,袋が指定された状態で色が一致する確率を求めるもので,向きは同じである。ウの「玉を一つ取り出すために,ある袋が選ばれる確率」は,結果を観測する前の袋の選ばれやすさそのもので,これが事前確率に当たる。原因から結果へ向かうのが尤度,結果から原因へ遡るのが事後確率という向きの違いが,この設問の要点である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問1
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問 2
ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店には ATM を1台設置する。統合後の ATM の平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間は M/M/1 の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATM を1台に統合しても十分に処理できるものとする。
〔条件〕
(1) 統合後の平均サービス時間:Ts
(2) 統合前の ATM の利用率:両支店とも ρ
(3) 統合後の利用者数:統合前の両支店の利用者数の合計
正解:エ
M/M/1 の平均待ち時間はサービス時間を含めない形で Tw=ρ/(1-ρ)×Ts と表され,ρ は利用率である。したがってこの問題は「統合後の利用率がいくらになるか」を求めれば答えが出る。利用率は「単位時間当たりの到着数×平均サービス時間」で決まる。統合によって利用者数は両支店の合計になるので到着数は2倍になり,平均サービス時間は変わらないので,統合後の利用率は 2ρ になる。これを式に入れると 2ρ/(1-2ρ)×Ts となり,答はエ。ウは分子だけを2倍にして分母の利用率を ρ のままにしたもので,利用率が上がると待ち時間が急に増えるという効果を取り込めていない。アは統合前の1支店の式そのままで,利用者が増えたことを反映していない。イは分母だけを 1-2ρ にして分子を ρ のままにしたものである。なお,この式は分母が正である必要があるので ρ<0.5 が前提で,設問の「1台に統合しても十分に処理できる」という条件がそれを担保している。統合前の利用率が0.4なら統合後は0.8となり,待ち時間はサービス時間の4倍まで伸びる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問2
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問 3
AI におけるディープラーニングに関する記述として,最も適切なものはどれか。
正解:ア
ディープラーニング(深層学習)は,人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークの中間層を多数重ねることで,入力から結果を導く過程を段階的に処理する手法である。層を深くすることで,画素の並びから輪郭,輪郭から部品,部品から物体といったように,人が設計しなくても特徴を段階的に自動で獲得できるようになり,画像認識・音声認識・自然言語処理で飛躍的な精度向上をもたらした。したがって答はア。イは,データから未知の規則や仮説を掘り出すデータマイニングの説明に近く,「例外を取り除きながら分析を繰り返す」という手続きはディープラーニングの本質ではない。ウは,統計的手法やパターン認識を組み合わせた高度なデータ分析全般の説明で,ディープラーニングもその一手法ではあるが,「三段論法」を含むこの記述は特定の手法の定義にはなっていない。エは,あらかじめ人が与えたルールから演繹によって結論を導くエキスパートシステム(ルールベースの推論)の説明で,データから自ら特徴を学ぶディープラーニングとは考え方が逆である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問3
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問 4
符号長7ビット,情報ビット数4ビットのハミング符号による誤り訂正の方法を,次のとおりとする。
受信した7ビットの符号語 x₁ x₂ x₃ x₄ x₅ x₆ x₇(xₖ=0 又は 1)に対して
c₀ = x₁ +x₃ +x₅ +x₇
c₁ = x₂+x₃ +x₆+x₇
c₂ = x₄+x₅+x₆+x₇
(いずれも mod 2 での計算)
を計算し,c₀,c₁,c₂ の中に少なくとも一つは0でないものがある場合には,
i = c₀+c₁×2+c₂×4
を求めて,左から i ビット目を反転することによって誤りを訂正する。
受信した符号語が 1000101 であった場合,誤り訂正後の符号語はどれか。
正解:エ
受信した符号語 1000101 を左から順に当てはめると x₁=1,x₂=0,x₃=0,x₄=0,x₅=1,x₆=0,x₇=1 である。定義に従って計算すると,c₀=x₁+x₃+x₅+x₇=1+0+1+1=3 で mod 2 を取ると1,c₁=x₂+x₃+x₆+x₇=0+0+0+1=1,c₂=x₄+x₅+x₆+x₇=0+1+0+1=2 で mod 2 を取ると0 になる。0でないものがあるので i=c₀+c₁×2+c₂×4=1+2+0=3 を求め,左から3ビット目を反転する。3ビット目は0なので1に変わり,訂正後の符号語は 1010101 となる。答はエ。この方式は,3つの検査式の結果を2進数の各桁とみなすことで誤りの位置をそのまま指し示す仕組みになっており,1ビットの誤りであれば必ず位置を特定して直せる。イの1000101 は受信したままの値で,訂正が不要だった場合の答えである。アの1000001 は5ビット目を反転した場合,ウの1001101 は4ビット目を反転した場合の値で,i の計算で c₁×2 と c₂×4 の重みを取り違えると出てくる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問4
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問 5
正の整数 M に対して,次の二つの流れ図に示すアルゴリズムを実行したとき,結果 x の値が等しくなるようにしたい。a に入れる条件として,適切なものはどれか。
正解:ウ
左の流れ図は,x を1にしてから,ループ端の指定「n:M,-1,1」に従って n を M から1まで1ずつ減らしながら x←x×n を繰り返す。したがって x=M×(M-1)×…×1=M! になる。右の流れ図は,x←1,n←1 としてから,x←x×n,n←n+1 を実行し,そのあとで条件 a を判定して Yes なら終了,No ならループの先頭へ戻る後判定型の繰返しである。k 回目の繰返しを終えた時点で x=k!,n=k+1 になる。x=M! で終わらせたいので,M 回目を終えた時点(n=M+1)で初めて条件が真になり,それ以前(n≦M)では偽である必要がある。この条件は n>M で,答はウ。イの n>M-1 は n=M の時点,すなわち M-1 回目を終えた時点で真になるので x=(M-1)! で止まってしまう。エの n>M+1 は n=M+2 まで真にならないので1回多く回り x=(M+1)! になる。アの n<M は,M が3以上のとき1回目を終えた時点(n=2)で偽ではなく真であり,判定の向きが逆で意図した回数だけ回らない。後判定型の繰返しでは,判定の時点で n が「次に使う値」まで進んでいることに注意が必要である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問5
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問 6
各ノードがもつデータを出力する再帰処理 f(ノード n)を定義した。この処理を,図の2分木の根(最上位のノード)から始めたときの出力はどれか。
〔f(ノード n)の定義〕
1. ノード n の右に子ノード r があれば,f(ノード r)を実行
2. ノード n の左に子ノード l があれば,f(ノード l)を実行
3. 再帰処理 f(ノード r),f(ノード l)を未実行の子ノード,又は子ノードがなければ,ノード自身がもつデータを出力
4. 終了
正解:エ
定義は「右の子を処理→左の子を処理→自分を出力」の順なので,後順走査(帰りがけ順)の左右を入れ替えた形になる。根の+から追う。+の右の子は÷なので f(÷) へ入る。÷の右の子は-なので f(-) へ入り,-の右の子 E は子をもたないので E を出力,次に左の子 D を出力し,最後に-自身を出力する(ここまで E D -)。÷に戻って左の子×へ入り,×の右の子 C を出力,左の子 B を出力,×自身を出力する(C B ×)。÷自身を出力し(÷),+に戻って左の子 A を出力し(A),最後に+自身を出力する(+)。つないで ED-CB×÷A+ となり,答はエ。イの ABC×DE-÷+ は,左の子を先に処理する通常の後順走査(つまり逆ポーランド表記)の結果で,定義の1と2が入れ替わっている。アの+÷-ED×CBA は自分を先に出力する先行順走査で右を先に見た形,ウの E-D÷C×B+A は左右の子を挟んで自分を出力する中間順走査を右から見た形であり,いずれも出力の位置が定義と合わない。3つの走査(先行順・中間順・後順)のうち,自分をいつ出力するかで見分けるのが確実である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問6
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問 7
整列方法に関するアルゴリズムの記述のうち,バブルソートの記述はどれか。ここで,整列対象は重複のない1から9の数字がランダムに並んでいる数字列とする。
正解:ア
バブルソート(隣接交換法)は,隣り合う要素を比較して順序が逆なら入れ替える操作を,端から端まで繰り返す方法である。この操作を1往復させるごとに最小(または最大)の要素が端まで移動していく様子が泡が浮かぶように見えることから,この名前が付いた。アがこの記述に当たるので答はア。比較の回数は要素数 n に対して n(n-1)/2 程度で,計算量は O(n²) である。イは,基準となる値(ピボット)を選んで小さい組と大きい組に分け,それぞれに同じ操作を再帰的に適用するクイックソートの説明で,平均の計算量は O(n log n) と速いが,偏った分割が続くと O(n²) に落ちる。ウは,ほぼ半分ずつに分割してから小さい単位で並べ直し,整列済みの列を統合していくマージソートの説明で,計算量は常に O(n log n) だが作業用の領域を必要とする。エは,未処理の範囲から最小値を探して先頭と交換する選択ソートの説明で,比較回数はバブルソートと同じ O(n²) だが交換回数が少なくて済む。バブルソートは「隣どうしの交換」,選択ソートは「最小値を探して1回交換」という違いで見分けられる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問7
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問 8
同一メモリ空間で,転送元の開始アドレス,転送先の開始アドレス,方向フラグ及び転送語数をパラメータとして指定することによって,データをブロック転送できる機能をもつ CPU がある。図のようにアドレス 1001 から 1004 のデータをアドレス 1003 から 1006 に転送するとき,指定するパラメータとして適切なものはどれか。ここで,転送は開始アドレスから1語ずつ行われ,方向フラグに0を指定するとアドレスの昇順に,1を指定するとアドレスの降順に転送を行うものとする。
正解:エ
転送元 1001〜1004 と転送先 1003〜1006 は 1003 と 1004 の2語が重なっている。同じメモリ空間なので,まだ読んでいない語を先に上書きしてしまうと元のデータが失われる。アのように 1001 から昇順に転送すると,1語目で 1001→1003,2語目で 1002→1004 と書き込んだ時点で元の 1003 と 1004 が壊れ,3語目に 1003 を読もうとしたときには先ほど書いた値(元の 1001)が入っているので誤った結果になる。これを避けるには,重なりの向きに合わせて後ろから転送すればよい。転送先が転送元より高いアドレスにあるので,末尾の 1004→1006 から始めて降順に 1003→1005,1002→1004,1001→1003 と進めれば,読む前に上書きされる語は生じない。したがって転送元の開始アドレス 1004,転送先の開始アドレス 1006,方向フラグ1(降順),転送語数4となり答はエ。ウは同じ末尾から始めているが方向フラグが0(昇順)なので,1004→1006 の次に 1005→1007 と範囲の外へ進んでしまう。イは開始アドレスが先頭のまま降順を指定しており,1001→1003 の次に 1000→1002 と手前へ進むので転送すべき範囲を外れる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問8
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問 9
量子ゲート方式の量子コンピュータの説明として,適切なものはどれか。
正解:ウ
量子ゲート方式の量子コンピュータは,0と1の両方の状態を同時に取り得る量子ビット(キュービット)を用い,重ね合わせと量子もつれを利用して,量子ゲートによる演算を組み合わせて計算を行う。古典的なコンピュータのビットが必ず0か1のどちらかであるのに対し,n 個の量子ビットは 2ⁿ 通りの状態を同時に扱えるため,特定の問題で飛躍的な高速化が期待できる。したがって答はウ。アは,量子ビットは0と1の重ね合わせを取るので演算の途中は2進数として確定しておらず,記述が当てはまらない(観測すると0か1に定まるが,それは計算の途中の状態を表していない)。イは,量子ゲート方式は任意の量子回路を組める汎用型で,加算を含む一般の演算を実現できる。特定の問題(組合せ最適化)に特化しているのは量子アニーリング方式のほうで,こちらは量子ゲート方式と対になるもう一つの方式である。エは向きが逆で,量子状態は熱や電磁波の影響でごく短時間に崩れてしまう(デコヒーレンス)ため,多くの実装では絶対零度に近い極低温に冷やして動作させる。100℃以上の高温という記述は誤りである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問9
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問 10
主記憶のアクセス時間が60ナノ秒,キャッシュメモリのアクセス時間が10ナノ秒であるシステムがある。キャッシュメモリを介して主記憶にアクセスする場合の実効アクセス時間が15ナノ秒であるとき,キャッシュメモリのヒット率は幾らか。
正解:エ
ヒット率を h とすると,実効アクセス時間は「h×キャッシュのアクセス時間+(1-h)×主記憶のアクセス時間」で表せる。数値を入れると 10h+60(1-h)=15 となり,10h+60-60h=15,-50h=-45 から h=0.9 が得られる。したがって答はエ。検算すると 0.9×10+0.1×60=9+6=15 で条件に合う。アの0.1は 1-0.9 で,ヒット率ではなくミス率に当たる。イの0.17は 10÷60=0.167 に一致し,キャッシュと主記憶のアクセス時間の比をそのままヒット率と取り違えた場合の値である。ウの0.83は 50÷60=0.833 に一致し,1-0.167 すなわちイの補数に当たる。この式で押さえておきたいのは,実効アクセス時間の15ナノ秒はキャッシュの10ナノ秒に近い値であり,ヒット率が高いほど実効値はキャッシュ側に寄るという関係である。仮にヒット率が0.5なら 0.5×10+0.5×60=35ナノ秒となり,15ナノ秒を実現するにはかなり高いヒット率が必要だと見当が付く。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問10
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問 11
15Mバイトのプログラムを圧縮して,フラッシュメモリに格納している。プログラムのサイズは圧縮によって元のサイズの40%になっている。フラッシュメモリから主記憶への転送速度が20Mバイト/秒であり,1Mバイトに圧縮されたデータの展開に主記憶上で0.03秒が掛かるとき,このプログラムが主記憶に展開されるまでの時間は何秒か。ここで,フラッシュメモリから主記憶への転送と圧縮データの展開は同時には行われないものとする。
正解:ア
まず圧縮後のサイズを求める。15Mバイトの40%なので 15×0.4=6Mバイトである。転送はこの圧縮された6Mバイトを運ぶので 6÷20=0.3秒。展開の所要時間は「1Mバイトに圧縮されたデータあたり0.03秒」なので,圧縮後の6Mバイトに対して 6×0.03=0.18秒である。両者は同時に行われないので合計は 0.3+0.18=0.48秒となり,答はア。イの0.75は 0.3+15×0.03=0.3+0.45 に一致し,展開の時間を圧縮前のサイズ15Mバイトで計算した場合の値である。ウの0.93は 15÷20+6×0.03=0.75+0.18 に一致し,転送するサイズを圧縮前の15Mバイトと取り違えた場合の値になる。エの1.20は 15÷20+15×0.03=0.75+0.45 に一致し,転送も展開もどちらも圧縮前のサイズで計算した場合の値である。要点は,フラッシュメモリに入っているのも転送されるのも圧縮された状態のデータであり,展開の所要時間の基準も「圧縮されたデータ1Mバイト当たり」と書かれている点で,どちらも圧縮後の6Mバイトを使うことである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問11
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問 12
システムの信頼性設計に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:ウ
信頼性設計の考え方は,故障を起こさないようにする方向と,故障が起きても被害を抑える方向に大きく分かれる。フォールトアボイダンス(障害回避)は前者で,部品や工程の品質を高め,設計を単純にして,そもそも故障が起きないようにする概念である。ウがこれに当たるので答はウ。後者はフォールトトレランス(耐障害性)で,冗長化などによって故障が起きても機能を保つ考え方であり,その実現方法にフェールセーフとフェールソフトがある。エはフェールセーフの説明を「フォールトトレランス」に当てており誤りである。フェールセーフは,故障したら安全な側で停止させる方法(信号機を赤にする,ガスを止めるなど)である。イは,フェールソフトは機能を落として(縮退させて)でも稼働を続ける方法なので,「縮退させることなく」が誤りである。縮退運転そのものがフェールソフトの中身である。アはフールプルーフの説明で,利用者が誤った操作をしても危険や異常終了に至らないようにする設計方法である。4つの用語は「起こさない(アボイダンス)」「起きても耐える(トレランス=フェールセーフ/フェールソフト)」「人の誤りに備える(フールプルーフ)」と整理すると取り違えにくい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問12
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問 13
オブジェクトストレージの記述として,最も適切なものはどれか。
正解:ア
オブジェクトストレージは,データ本体とメタデータを一意の識別子と組にして格納する方式で,名前空間が階層をもたないフラットな構造のため,台数を増やすだけで容量と性能を伸ばせる。一部だけを書き換える上書き更新には向かず,オブジェクト全体を置き換える形になるので,画像・動画・ログ・バックアップのように書いたあとあまり更新しない非構造型データの保管に適している。したがって答はア。イは SAN(ストレージエリアネットワーク)の説明で,ファイバチャネルなどの専用ネットワークを介してブロック単位でストレージを共有する方式である。ウは DAS(Direct Attached Storage)の説明で,サーバに直接つないだ専用のストレージを指す。エはストレージ仮想化(あるいは RAID による束ね)の説明で,複数の装置を1台に見せる技術である。オブジェクトストレージも複数の装置に分散して置かれるが,本質は「識別子でアクセスするフラットな空間」であって,1台に見せることが目的ではない。クラウドの大容量ストレージサービスが代表例で,安価な装置を並べて巨大な空間を作れる点が価値になっている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問13
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問 14
1台の CPU の性能を1とするとき,その CPU を n 台用いたマルチプロセッサの性能 P が,
P=n/(1+(n-1)a)
で表されるとする。ここで,a はオーバーヘッドを表す定数である。例えば,a=0.1,n=4 とすると,P≒3 なので,4台の CPU から成るマルチプロセッサの性能は約3になる。この式で表されるマルチプロセッサの性能には上限があり,n を幾ら大きくしても P はある値以上には大きくならない。a=0.1 の場合,P の上限は幾らか。
正解:イ
式の分母を展開すると 1+(n-1)a=1-a+an となるので P=n/(1-a+an) である。分母と分子を n で割ると P=1/((1-a)/n+a) となり,n を大きくすると (1-a)/n は0に近づくので P は 1/a に近づく。a=0.1 なので上限は 1÷0.1=10 となり,答はイ。具体的に計算すると,n=4 では 4÷(1+3×0.1)=4÷1.3≒3.08 で設問の例(約3)と一致し,n=10 では 10÷1.9≒5.3,n=100 では 100÷10.9≒9.2,n=1,000 では 1,000÷100.9≒9.9 と,確かに10に近づきながら超えない。台数を10倍にしても性能が2倍に届かないという伸び方であり,オーバーヘッドが並列化の効果を頭打ちにすることを示している。アの5は 1/(2a) に当たる値,ウの15とエの20は 1/a を超えた値で,どちらも n をいくら増やしても到達できない。この式はアムダールの法則と同じ形で,1/a が「並列化できない部分の逆数」に相当すると読める。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問14
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問 15
コンピュータの性能評価には,シミュレーションを用いた方法,解析的な方法などがある。シミュレーションを用いた方法の特徴はどれか。
正解:ウ
解析的な方法は,待ち行列理論のように数式を立てて答えを直接導く方法で,条件が理論の前提に合う範囲では速く正確に求まる。しかし現実のシステムは,到着や処理時間の分布が理論の前提から外れたり,複数の資源が絡み合ったりして数式に落とせないことが多い。シミュレーションは対象の動きを計算機上で模擬して統計を取る方法なので,数式では解けないモデルに対しても数値として答えを得られる。これが最大の特徴であり,答はウ。アは逆で,シミュレーションは何度も試行を繰り返して統計を取るため計算量は解析的な方法より多くなる。イも誤りで,乱数を使った試行の平均は誤差を含み,精度は試行回数に応じて(おおむね回数の平方根に反比例して)改善するにすぎない。解析的に解ける問題では,解析解のほうが精度は高い。エも誤りで,解析的に解が求められるモデルにシミュレーションを適用して両者を突き合わせることは,シミュレーションの模型やプログラムが正しいかを確かめる有効な検証手段になる。むしろ実務では,まず解ける問題で結果を照合してから未知の問題に適用するという手順が採られる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問15
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問 16
ノンプリエンプティブ方式のタスクの状態遷移に関する記述として,適切なものはどれか。
正解:イ
ノンプリエンプティブ方式は,OS が実行中のタスクから強制的に CPU を取り上げない方式である。タスクの切替えは,実行中のタスクが処理を終えるか,入出力待ちに入るか,自ら CPU を手放す要求(システムコール)を出したときにだけ起きる。したがって答はイ。制御の切替え点が限られるため実装が単純で,切替えに伴うオーバーヘッドも小さいが,1つのタスクが CPU を離さないと他のタスクがまったく動けなくなるという弱点がある。エはこれと対になるプリエンプティブ方式の説明で,優先度の高いタスクが実行可能になった時点で OS が実行中のタスクを中断させる。リアルタイム性が要求される場面ではこちらが必要になる。ウは,無限ループを OS が検知して打ち切るという内容だが,ノンプリエンプティブ方式では OS が強制的に介入しないので,まさにこの状態に陥るとシステム全体が止まってしまう。これがこの方式の最大の危険である。アは,優先度を上げて切替えを防ぐという説明だが,ノンプリエンプティブ方式ではそもそも優先度によって強制的に切り替えられることがないので,そのような操作は必要がない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問16
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 17
三つの資源 X〜Z を占有して処理を行う四つのプロセス A〜D がある。各プロセスは処理の進行に伴い,表中の数値の順に資源を占有し,実行終了時に三つの資源を一括して解放する。プロセス A と同時にもう一つプロセスを動かした場合に,デッドロックを起こす可能性があるプロセスはどれか。
〔表〕資源の占有順序(プロセス/資源 X/資源 Y/資源 Z)
A/1/2/3
B/1/2/3
C/2/3/1
D/3/2/1
正解:イ
表の数値は占有する順番なので,各プロセスが資源を取る順序に置き換えると,A は X→Y→Z,B も X→Y→Z,C は Z→X→Y,D は Z→Y→X となる。デッドロックは,2つのプロセスが資源を互いに逆の順序で要求し合ったときに起こり得る。A と B は取る順序が完全に同じなので,先に X を取れたほうが先に進み,もう一方は X の解放を待つだけで循環は生じない。A と C では,A が X を,C が Z を取った状態から,A は Z の解放を待ち,C は X の解放を待つので互いに待ち合う。A と D でも,A が X を,D が Z を取った状態から,A は Y と Z を,D は Y と X を必要とするため,Y をどちらが取っても最終的に互いの持つ資源を待つ形になる。したがってデッドロックの可能性があるのは C と D で,答はイ。アは B を含めており,同じ順序で取るプロセスの組では循環待ちが生じないという点を見落としている。ウとエはもう一方を見落としている。予防策としては,すべてのプロセスで資源を取る順序をそろえる(この例では X→Y→Z に統一する)ことが有効で,これは A と B の関係が示している。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問17
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問 18
複数のクライアントから接続されるサーバがある。このサーバのタスクの多重度が2以下の場合,タスク処理時間は常に4秒である。このサーバに1秒間隔で4件の処理要求が到着した場合,全ての処理が終わるまでの時間はタスクの多重度が1のときと2のときとで,何秒の差があるか。
正解:イ
処理要求は0秒,1秒,2秒,3秒の時点に到着し,1件の処理には4秒掛かる。多重度が1のときは同時に1件しか処理できないので,1件目が0〜4秒,2件目が4〜8秒,3件目が8〜12秒,4件目が12〜16秒となり,すべて終わるのは16秒後である。多重度が2のときは同時に2件まで処理できる。1件目は0秒に到着して0〜4秒,2件目は1秒に到着して1〜5秒に処理される。2秒と3秒に到着した3件目・4件目は空きがないので待ち,1件目が終わる4秒に3件目が始まって4〜8秒,2件目が終わる5秒に4件目が始まって5〜9秒となり,すべて終わるのは9秒後である。差は 16-9=7秒で,答はイ。要点は,多重度2でも到着が1秒間隔なので3件目と4件目は待たされるという点と,待ちが解けるのは先の処理が終わる時刻だという点である。アの6秒,ウの8秒,エの9秒は,待ちの開始時刻を到着時刻のままにしたり,多重度1のときの16秒を別の値に取ったりした場合に出る。なお多重度2のときの9秒は「4件目の到着5秒後」ではなく「4件目が5秒に開始して4秒掛かる」ことから決まる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問18
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問 19
プログラムを構成するモジュールや関数の実行回数,実行時間など,性能改善のための分析に役立つ情報を収集するツールはどれか。
正解:エ
プロファイラは,プログラムを実行しながら,どの関数が何回呼ばれたか,それぞれにどれだけ時間が掛かったか,メモリをどれだけ使ったかといった情報を集めるツールである。集めた情報から時間を多く消費している箇所(ホットスポット)を特定できるので,性能改善では「まず測る,次に直す」の測る側を担う。したがって答はエ。勘に頼って最適化すると,実際にはほとんど時間を使っていない箇所を作り込んでしまうことがあるため,プロファイラによる実測が重要になる。アのエミュレーターは,別のハードウェアや環境の動作を模擬して,本来その環境向けに作られたプログラムをそのまま動かせるようにするものである。イのシミュレーターは,対象の挙動を模型として計算し,動作や性能を予測するもので,実機がまだない段階の検討などに使う。ウのデバッガは,プログラムを止めながら変数の値や実行の流れを調べ,誤りの原因を突き止めるツールで,対象は「正しく動くか」であって「速く動くか」ではない。目的が性能の分析なのか,誤りの発見なのか,別環境での実行なのかで区別できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問19
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問 20
エアコンや電気自動車でエネルギー効率のよい制御や電力変換をするためにパワー半導体が用いられる。このパワー半導体の活用例の一つであるインバータの説明として,適切なものはどれか。
正解:エ
インバータは直流電力を交流電力に変換する装置で,出力する交流の周波数と電圧を自在に変えられる点が特徴である。エアコンでは,圧縮機のモータの回転数を必要な冷暖房の能力に合わせて連続的に変えられるので,運転を入り切りして温度を保つ方式に比べて無駄が少なく,省エネルギーになる。電気自動車では,バッテリーの直流を交流に変えて走行用モータを駆動し,速度やトルクを制御する。したがって答はエ。ウは交流を直流に変換するコンバータ(整流器)の説明で,インバータと逆の働きをする。太陽光発電の電力を家庭の交流に変える装置はインバータ(パワーコンディショナ),家電のAC アダプタはコンバータに当たる。アは直流を高い直流に変える昇圧チョッパ,イは直流を低い直流に変える降圧チョッパの説明で,どちらも直流から直流への変換なのでインバータではない。いずれの装置もスイッチング素子を高速に入り切りして実現しており,そこで用いられる IGBT や MOSFET,近年では炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の素子がパワー半導体である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問20
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問 21
入力が A と B,出力が Y の論理回路を動作させたとき,図のタイムチャートが得られた。この論理回路として,適切なものはどれか。
正解:ウ
タイムチャートから A と B の組合せごとに Y がどうなるかを読み取る。A=0・B=1 のとき Y=1,A=0・B=0 のとき Y=1,A=1・B=1 のとき Y=0,A=1・B=0 のとき Y=1 である。つまり両方が1のときだけ0になり,それ以外は1になっているので,これは論理積を否定した NAND の動作である。したがって答はウで,記号は AND の形(入力側が平ら)の出力に否定を表す小さな丸が付いたものになる。アは入力側の線が二重になった XOR(排他的論理和)で,A=0・B=0 のとき0になるはずだがチャートでは1なので合わない。イはその XOR に否定の丸が付いた XNOR で,A=0・B=1 のとき0になるはずだがチャートでは1なので合わない。エは OR の形(入力側が曲線)に否定の丸が付いた NOR で,どちらか一方でも1なら0になるため,A=1・B=0 で1になっているチャートと矛盾する。記号の見分け方は,入力側が平らなら AND 系,曲線なら OR 系,入力側の線が二重(曲線が2本)なら XOR 系,出力に丸が付いていれば否定付きである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問21
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問 22
次の方式で画素にメモリを割り当てる 640×480 のグラフィック LCD モジュールがある。始点(5,4)から終点(9,8)まで直線を描画するとき,直線上の x=7 の画素に割り当てられたメモリのアドレスの先頭は何番地か。ここで,画素の座標は(x,y)で表すものとする。
〔方式〕
・メモリは0番地から昇順に使用する。
・1画素は16ビットとする。
・座標(0,0)から座標(639,479)までメモリを連続して割り当てる。
・各画素は,x=0から x 軸の方向にメモリを割り当てていく。
・x=639 の次は x=0 とし,y を1増やす。
正解:ウ
図のとおりメモリは1番地が8ビットで,1画素は16ビットなので1画素につき2番地を使う。したがって座標(x,y)の画素の先頭アドレスは (y×640+x)×2 で求められる。次に x=7 のときの y を求める。直線は始点(5,4)から終点(9,8)までで,x が4増える間に y も4増えるので傾きは1であり,x=7 では y=4+(7-5)=6 になる。よって先頭アドレスは (6×640+7)×2=(3840+7)×2=3847×2=7694番地となり,答はウ。アの3847は 6×640+7 に一致し,1画素を1番地として計算して2倍を忘れた場合の値である。イの7680は 6×640×2 に一致し,行の先頭までは正しく計算したが x の分(7画素=14番地)を足し忘れた場合の値になる。エの8978は (7×640+9)×2 に一致し,x=7 を y と取り違え,かつ終点の x 座標9をそのまま使った場合の値である。座標のどちらが行を決めるのかと,1画素が何番地を占めるのかの2点を押さえるのが要点になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問22
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問 23
データセンターなどで採用されているサーバ,ネットワーク機器に対する直流給電の利点として,適切なものはどれか。
正解:ア
サーバやネットワーク機器の内部回路は直流で動くため,交流で給電すると各機器の電源装置で交流から直流へ変換する必要がある。さらに無停電電源装置(UPS)を挟む構成では,交流→直流(バッテリ充電)→交流(機器へ)→直流(機器内部)と何度も変換が入り,そのたびに損失と発熱が生じる。直流給電にすればこの往復の変換を減らせるので電力損失を低減でき,発熱が減る分だけ冷却の負荷も下がる。したがって答はア。イは誤りで,受電した電圧をそのまま LSI に加えることはできない。データセンターの直流給電は380V などで配電し,機器内部で1V 前後まで段階的に降圧するので,電圧変換自体は依然として必要である。ウも誤りで,直流給電にしても商用電源が止まれば停電するので,バッテリによるバックアップは変わらず必要である。むしろ直流ならバッテリを直流母線に直結できるという利点がある。エは交流の性質で,トランス(変圧器)は電磁誘導を使うため交流でなければ働かない。直流の電圧変換にはチョッパなどの半導体回路を用いる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問23
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問 24
ビットマップフォントよりも,アウトラインフォントの利用が適している場合はどれか。
正解:エ
ビットマップフォントは文字の形を点の並び(画素の集まり)として持つ方式で,決まった大きさで表示するぶんには美しいが,拡大すると点が大きくなって輪郭が階段状に荒れる。アウトラインフォントは文字の輪郭を直線や曲線の数式(ベジェ曲線など)で持つ方式なので,どの倍率に拡大・縮小しても輪郭を計算し直して滑らかに描ける。したがって答はエ。アは,漢字を表示できるかどうかは字形データが用意されているかの問題であり,どちらの方式でも漢字を扱える。イの各文字の幅を一定にするのは等幅(固定ピッチ)という書体の性質で,方式の違いとは別の話である。ウは逆で,ビットマップフォントは点の並びをそのまま画面に転送すればよいので描画が速く,アウトラインフォントは輪郭から実際の点を求める計算(ラスタライズ)が必要なため相対的に遅い。処理能力が限られた組込み機器で決まった大きさの文字だけを出す場合には,今もビットマップフォントが使われている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問24
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問 25
ストアドプロシージャの利点はどれか。
正解:ア
ストアドプロシージャは,一連の SQL 文と手続的な処理をあらかじめ DBMS 側に登録しておき,アプリケーションからは名前と引数を渡して呼び出す仕組みである。個々の SQL 文を1つずつ送って結果を受け取るのに比べ,やり取りが「呼出し1回と結果1回」に減るので,ネットワークを介する構成では通信量と往復の回数が大幅に減る。したがって答はア。ほかにも,構文解析と実行計画の作成が登録時に済んでいるので実行が速い,処理をサーバ側に集約できるので複数のアプリケーションで共通化できる,表への直接のアクセス権を与えずに済むのでセキュリティ上も有利,といった利点がある。イは,実行計画は SQL 文ごとに作られるものであり,まとめて呼び出しても中で実行される SQL 文の数は変わらないので,計画の数が減るわけではない。ウのバッファ数も,実際に読み書きするデータ量で決まるため呼出し方をまとめても減らない。エの I/O 回数も同様で,必要なデータを読む回数はストアドプロシージャにしても変わらない。減るのは「アプリケーションと DBMS の間の通信」だけである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問25
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問 26
“部品”表及び“在庫”表に対し,SQL 文を実行して結果を得た。SQL 文の a に入れる字句はどれか。
〔部品〕部品 ID/発注点
P01/100
P02/150
P03/100
〔在庫〕部品 ID/倉庫 ID/在庫数
P01/W01/90
P01/W02/90
P02/W01/150
〔結果〕部品 ID/発注要否
P01/不要
P02/不要
P03/必要
〔SQL 文〕
SELECT 部品.部品ID AS 部品ID,
CASE WHEN 部品.発注点 > [ a ]
THEN N'必要' ELSE N'不要' END AS 発注要否
FROM 部品 LEFT OUTER JOIN 在庫
ON 部品.部品ID = 在庫.部品ID
GROUP BY 部品.部品ID, 部品.発注点
正解:ウ
求められているのは,部品ごとの在庫の合計が発注点を下回るときに“必要”と判定することである。まず集約関数を選ぶ。P01 は W01 と W02 に90ずつあり合計180で,発注点100に対して結果は“不要”になっている。MIN を使うと90なので 100>90 が成り立ち“必要”になってしまうため,正しいのは SUM である。次に空値の扱いを見る。P03 は在庫表に行がなく,外結合の結果として在庫数が空値になるので SUM も空値になる。空値との比較は真でも偽でもない不明となり,CASE の ELSE 側に落ちて“不要”になってしまう。結果は“必要”なので,空値を0に置き換える必要があり,COALESCE の第2引数は0でなければならない。したがって SUM と0を組み合わせたウが答え。検算すると,P01 は 100>180 が偽で不要,P02 は 150>150 が偽で不要,P03 は 100>0 が真で必要となり結果の表と一致する。エは第2引数が NULL なので置換の働きをせず P03 が不要になる。アとイは MIN を使っている点で P01 の判定を誤る。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問26
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問 27
トランザクション T はチェックポイント後にコミットしたが,その後にシステム障害が発生した。トランザクション T の更新内容をその終了直後の状態にするために用いられる復旧技法はどれか。ここで,トランザクションは WAL プロトコルに従い,チェックポイントの他に,トランザクションログを利用する。
正解:エ
WAL(Write Ahead Log)プロトコルでは,データベースの更新をディスクに書く前にログを先に書き出す。そのためコミット済みのトランザクションの更新内容は,データベース本体にまだ反映されていなくてもログには必ず残っている。障害から復旧するときは,チェックポイント以降のログを読み,コミット済みのトランザクションについては更新後の値を再適用して終了直後の状態に戻す。この操作をロールフォワード(前進復帰)といい,答はエ。一方,コミットしていないトランザクションについては更新前の値に戻す必要があり,こちらはロールバック(後退復帰)と呼ばれる。ウはその名称で,未完了のトランザクションを取り消す場合に用いるものなので,コミット済みの T には当てはまらない。アの2相ロックは,トランザクションが必要なロックをすべて獲得してから解放を始めるという規則で,直列化可能性を保つための同時実行制御の技法であり,障害復旧の技法ではない。イのシャドウページは,更新を別ページに書いてから対応表を切り替える方式で,ログを使わずに一貫性を保つ手法だが,設問はログを利用すると明記しているので該当しない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問27
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問 28
データウェアハウスのテーブル構成をスタースキーマとする場合,分析対象のトランザクションデータを格納するテーブルはどれか。
正解:ウ
スタースキーマは,分析の中心となる1つの大きな表を真ん中に置き,その周りに分析の切り口となる表を放射状に配置した構成で,星のように見えることからこの名前が付いた。中心に置かれるのがファクトテーブルで,売上や受注のように件数が多く時間とともに積み上がるトランザクションデータと,その数値(売上額,数量などのメジャー)を格納する。したがって答はウ。周りに置かれるのがイのディメンジョンテーブルで,商品,顧客,店舗,日付といった分析の軸となる属性を持ち,件数は比較的少ない。ファクトテーブルは各ディメンジョンテーブルへの外部キーを持ち,これによって「どの商品をどの店舗でいつ売ったか」を多面的に集計できる。アのサマリテーブルは,あらかじめ集計した結果を保持しておいて問合せを速くするための表で,分析対象そのものを格納する表ではない。エのルックアップテーブルは,コードと名称の対応など参照用の値を引くための表を指す一般的な呼び方である。なお,ディメンジョンテーブルを正規化して階層に分けた構成はスノーフレークスキーマと呼ばれる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問28
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問 29
ビッグデータの基盤技術として利用される NoSQL に分類されるデータベースはどれか。
正解:ウ
NoSQL は,関係データベースの表とスキーマという枠組みにとらわれない各種のデータベースの総称で,大量・多様なデータを分散環境で扱うビッグデータの基盤技術として使われる。代表的な分類は,キーと値の組で管理するキーバリュー型,JSON などの入れ子構造の文書を格納するドキュメント型,行ごとに異なる列を持てるワイドカラム型(列指向),節と関係でつながりを表すグラフ型の4つである。ウはこのうちのキーバリュー型に当たるので答はウ。単純な構造ゆえに読み書きが速く,台数を増やして性能を伸ばしやすいのが特徴で,セッション管理やキャッシュに広く使われる。アは,関係データモデルにオブジェクト指向の考え方を取り入れたオブジェクト関係データベースの説明で,SQL を使う関係データベースの延長にある。イはデータウェアハウスの説明で,過去のデータを主題ごとに時系列で蓄積して意思決定に使うものであり,実装は関係データベースが多い。エはデータディクショナリ(データ辞書)やメタデータリポジトリの説明で,データそのものではなくデータの定義を管理する仕組みである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問29
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問 30
CSMA/CD 方式の LAN に接続されたノードの送信動作として,適切なものはどれか。
正解:イ
CSMA/CD は Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection の略で,名前がそのまま動作を表している。Carrier Sense は伝送媒体が使用中かを調べること,Multiple Access は複数のノードが同じ媒体を共有すること,Collision Detection は衝突の検出である。空いていれば送信し,同時に送信して衝突が起きたら双方が送信を止め,それぞれランダムな時間だけ待ってから再送する。ランダムにするのは,同じ時間だけ待つと再び衝突してしまうためである。したがって答はイ。イーサネットで長く使われた方式だが,スイッチによる全二重通信が一般化した現在は衝突自体が起きなくなり,実質的に使われていない。アはトークンバス方式,ウはトークンリング方式の説明で,どちらも送信権を表すトークンを受け取ったノードだけが送信するため衝突が起きない。エは時分割多重(TDMA)の考え方で,あらかじめ割り当てられた時間帯にだけ送信する方式である。なお無線 LAN では衝突の検出が難しいため,送信前に一定時間待って回避する CSMA/CA が使われる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問30
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問 31
IP アドレス 208.77.188.166 は,どのアドレスに該当するか。
正解:ア
IPv4 で特別な用途に予約されている範囲を順に確かめる。プライベートアドレスは 10.0.0.0〜10.255.255.255,172.16.0.0〜172.31.255.255,192.168.0.0〜192.168.255.255 の3つの範囲で,208.77.188.166 はどれにも入らない。マルチキャストアドレスは先頭が1110で始まるクラス D,すなわち 224.0.0.0〜239.255.255.255 なので,第1オクテットが208 のこのアドレスは該当しない。ブロードキャストアドレスは,あるネットワークのホスト部がすべて1のアドレス(または全体が1の 255.255.255.255)で,第4オクテットが166 では該当しない。いずれの予約範囲にも入らないので,インターネット上で一意に割り当てられるグローバルアドレスであり,答はア。第1オクテットの208はクラス C の範囲(192〜223)にあるが,クラスの区分とグローバル・プライベートの区分は別の話であり,クラス C の中にプライベートの 192.168.0.0/16 が含まれているという関係になっている。判定は「予約されている範囲に入るかどうか」を1つずつ消していくのが確実である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問31
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問 32
ルータを冗長化するために用いられるプロトコルはどれか。
正解:エ
VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は,複数の物理ルータをまとめて1台の仮想ルータとして見せる仕組みである。仮想の IP アドレスと MAC アドレスを共有し,通常は優先度の高いルータ(マスタ)が転送を担い,マスタが停止すると別のルータ(バックアップ)が仮想アドレスを引き継ぐ。端末側はデフォルトゲートウェイとして仮想 IP アドレスを設定しておけばよく,切替えの際に設定を変える必要がない。したがって答はエ。アの PPP(Point-to-Point Protocol)は,2点間を1対1で接続してデータリンクを確立するプロトコルで,認証やアドレス割当ての機能をもち,かつてのダイヤルアップ接続や PPPoE の土台になっている。イの RARP(Reverse ARP)は,MAC アドレスから自分の IP アドレスを得るためのプロトコルで,ディスクをもたない端末の起動時に使われた。ウの SNMP(Simple Network Management Protocol)は,ネットワーク機器の状態を監視し設定を管理するためのプロトコルである。冗長化の役割をもつのは VRRP だけで,機器の状態を「見る」SNMP と「引き継ぐ」VRRP の違いを押さえておきたい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問32
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問 33
ビット誤り率が0.0001%の回線を使って,1,500バイトのパケットを10,000個送信するとき,誤りが含まれるパケットの個数の期待値はおよそ幾らか。
正解:エ
まず単位をそろえる。ビット誤り率0.0001%は 0.0001÷100=0.000001,すなわち 10⁻⁶ である。1パケットは1,500バイトなので 1,500×8=12,000ビットである。1ビットが誤る確率が 10⁻⁶ なので,1パケットに誤りが含まれる確率はおよそ 12,000×10⁻⁶=0.012 になる(厳密には1ビットも誤らない確率の余事象だが,確率が非常に小さいのでビット数×誤り率で近似できる)。パケットは10,000個送るので,誤りを含むパケットの個数の期待値は 10,000×0.012=120個となり,答はエ。イの15は 1,500×10⁻⁶×10,000=15 に一致し,バイトをビットに直さずに計算した場合の値である。1バイト=8ビットの換算を忘れると8分の1の値になる。アの10とウの80は,パケット長を1,500ビットや1,000バイトと取り違えたときに近い値だが,この設問の条件(1,500バイト・10⁻⁶・10,000個)からは導けない。ビット誤り率は「1ビットあたり」の確率なので,パケット単位に直すにはビット数を掛ける,という順序が要点である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問33
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問 34
OpenFlow を使った SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。
正解:イ
SDN は,ネットワーク機器が担っていた役割を,実際にパケットを転送する部分(データプレーン)と,どう転送するかを決める部分(コントロールプレーン)に分け,後者を機器から切り離して外部のソフトウェア(コントローラ)に集約する考え方である。OpenFlow はコントローラとスイッチの間でフローテーブルを操作するための代表的なプロトコルで,これによって機器を1台ずつ設定するのではなく,ネットワーク全体を集中的に制御・管理できる。したがって答はイ。構成の変更を設定ファイルやプログラムで行えるため,仮想化やクラウドの環境で柔軟に経路を組み替えられる。アは仮想スイッチ(vSwitch)の説明で,同じ物理サーバ内の仮想マシン同士の通信をソフトウェアのスイッチで行う方式であり,SDN の構成要素になることはあるがSDN そのものの定義ではない。ウは形式言語によるプロトコル記述の話で,SDN とは関係がない。エは機器内部のソフトウェアを OSS で実現するという内容で,ホワイトボックススイッチの考え方に近いが,制御と転送を分離するという SDN の核心には触れていない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問34
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問 35
3D セキュア2.0(EMV 3-D セキュア)は,オンラインショッピングにおけるクレジットカード決済時に,不正取引を防止するための本人認証サービスである。3D セキュア2.0 で利用される本人認証の特徴はどれか。
正解:イ
3D セキュア2.0 の特徴はリスクベース認証を採り入れたことである。加盟店から送られる取引の情報(過去の取引履歴,利用している端末や OS,IP アドレス,購入金額など)をカード会社が分析し,普段と変わらない取引と判断すれば追加の認証を求めずにそのまま通し,不正利用の疑いや高リスクと判断した場合にだけワンタイムパスワードや生体認証などの追加認証を求める。利用者の手間を減らしながら安全性を保つ設計であり,答はイ。旧版(3D セキュア1.0)はすべての取引で固定のパスワード入力を求めたため,入力の手間や忘却によって購入を途中でやめてしまう問題があり,これを解消するために改められた。ウは,取引の情報にかかわらず常に認証を行うという内容で,これは旧版に近い考え方であり,リスクに応じて出し分けるという2.0 の特徴とは逆である。アはパスワードの再発行の仕組みの話で,本人認証の方式の特徴ではない。エは追加認証の前に人間であることを確認するという内容だが,これは CAPTCHA などボット対策の話であり,3D セキュア2.0 の仕様に含まれるものではない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問35
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問 36
企業の DMZ 上で1台の DNS サーバを,インターネット公開用と,社内の PC 及びサーバからの名前解決の問合せに対応する社内用とで共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニング攻撃による被害を受けた結果,直接引き起こされ得る現象はどれか。
正解:ウ
DNS キャッシュポイズニング攻撃は,DNS サーバのキャッシュに偽の名前と IP アドレスの対応を覚え込ませる攻撃である。この DNS サーバは社内からの名前解決も受け持っているので,汚染されたキャッシュを参照した社内の利用者は,正しいドメイン名を入力したつもりでも攻撃者が用意した別の IP アドレスへ導かれる。その結果,偽の Web サーバに誘導され,入力した認証情報を盗まれたりマルウェアを仕込まれたりする。したがって直接引き起こされ得る現象はウで,これが答え。アは,攻撃で書き換わるのはキャッシュ(メモリ上の一時的な対応表)であって,ハードディスク上のサーバの定義ファイルではない。イは,キャッシュに偽の情報を入れる攻撃であって,サーバにワームを常駐させるものではない。ワームの常駐はサーバ自体への侵入を伴う別の攻撃である。エは,メールアドレスそのものが書き換えられるわけではない。ただし,メールの配送先を決める MX レコードの対応が汚染されれば,メールが攻撃者のサーバへ配送されるという被害はあり得る。「送信ができなくなる」という結果の記述が実際の被害の形と合っていない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問36
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問 37
DNSSEC で実現できることはどれか。
正解:ア
DNSSEC(DNS Security Extensions)は,リソースレコードに公開鍵暗号によるデジタル署名を付けることで,その応答が正当な権威 DNS サーバから来たものであり,途中で改ざんされていないことを受信側が検証できるようにした拡張仕様である。したがって答はア。上位のゾーンが下位のゾーンの鍵を保証する信頼の連鎖によってルートまでたどれるので,偽の応答をキャッシュに覚え込ませる DNS キャッシュポイズニングへの根本的な対策になる。イは誤りで,DNSSEC は署名によって完全性と出自を保証するだけで,通信内容の暗号化は行わない。DNS の応答は署名付きでも平文で流れるので,内容は第三者に見える。通信を暗号化するのは DNS over TLS(DoT)や DNS over HTTPS(DoH)である。ウは,見た目の似た文字を使うホモグラフ攻撃の話で,これは正当に登録されたドメインを使う攻撃なので,署名の検証では防げない。エは,入力誤りを狙って似た綴りのドメインを取得するタイポスクワッティングの話で,これも別のドメインが正当に応答するため DNSSEC の検証では検知できない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問37
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 38
公開鍵暗号方式を使った暗号通信を n 人が相互に行う場合,全部で何個の異なる鍵が必要になるか。ここで,一組の公開鍵と秘密鍵は2個と数える。
正解:イ
公開鍵暗号方式では,鍵は人ごとに用意する。各人が自分の公開鍵と秘密鍵の組を1つ持ち,公開鍵は誰にでも配ってよいので,相手が何人増えても自分の鍵を作り足す必要はない。したがって n 人なら1人あたり2個で 2n 個となり,答はイ。誰かに送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った側は自分の秘密鍵で復号するので,相手ごとに別の鍵を用意する必要がないのがこの方式の大きな利点である。ウの n(n-1)/2 は共通鍵暗号方式で必要な鍵の数である。共通鍵では通信する2人ごとに固有の鍵を共有しなければならないので,鍵の数は組合せの数だけ必要になり,人数が増えると急激に増える(100人なら4,950個)。この鍵管理の負担を解消したのが公開鍵暗号方式で,同じ100人なら200個で済む。アの n+1 とエの n² は,どちらの方式の数え方にも当てはまらない。なお実際の通信では,公開鍵暗号で共通鍵を安全に受け渡し,本文は処理の速い共通鍵暗号で暗号化するハイブリッド方式が使われる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問38
報告ありがとうございました。内容を確認します。
問 39
自社製品の脆弱性に起因するリスクに対応するための社内機能として,最も適切なものはどれか。
正解:イ
PSIRT(Product Security Incident Response Team)は,自社が提供する製品やサービスに含まれる脆弱性を扱う組織である。脆弱性の情報を外部の研究者や利用者から受け付け,影響範囲を調べ,修正版や回避策を用意して顧客へ告知し,公表の時期を関係者と調整するという一連の対応を担う。設問は「自社製品の脆弱性に起因するリスク」への対応なので答はイ。アの CSIRT(Computer Security Incident Response Team)は,自組織の情報システムで起きたセキュリティインシデントに対応する組織で,守る対象が社内の環境である点が PSIRT と異なる。ウの SOC(Security Operation Center)は,ネットワークや機器のログを常時監視して攻撃の兆候を検知・分析する機能で,検知した事案を CSIRT へ引き継ぐという関係にある。エの WHOIS データベースの技術連絡担当は,ドメイン名や IP アドレスの登録情報に記載される連絡先で,運用上の問い合わせ窓口にはなるが製品の脆弱性対応を担う組織ではない。守る対象が「社内の環境」なら CSIRT,「自社が世に出した製品」なら PSIRT と押さえると区別できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問39
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問 40
JIS Q 31000:2019(リスクマネジメント-指針)において,リスク特定で考慮することが望ましいとされている事項はどれか。
正解:ウ
JIS Q 31000 のリスクアセスメントは,リスク特定・リスク分析・リスク評価の3段階で構成される。リスク特定はリスクを発見して認識し,記述する段階で,考慮することが望ましい事項として,リスク源,事象とその原因,結果,脆弱性と能力の変化,資産及び組織の資源の性質及び価値,時間に関係する要素などが挙げられている。したがって答はウ。何が守るべき価値をもつのかを把握しないとリスクを洗い出せないため,この段階で資産と資源を確かめることが求められる。アの「結果の性質及び大きさ」とエの「事象の起こりやすさ及び結果」は,特定したリスクの性質を理解して水準を決めるリスク分析の段階で考慮する事項である。イの「残留リスクが許容可能かどうかの判断」は,分析の結果を基準と比べて対応の必要性や優先順位を決めるリスク評価の段階に当たる。3段階は「洗い出す(特定)→ 大きさを見る(分析)→ 受け入れられるか決める(評価)」という流れなので,設問の記述がどの問いに答えているかで見分けられる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問40
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問 41
WAF による防御が有効な攻撃として,最も適切なものはどれか。
正解:イ
WAF(Web Application Firewall)は,HTTP・HTTPS の通信内容を解析して,Web アプリケーションを狙った攻撃を検知・遮断する仕組みである。SQL インジェクション,クロスサイドスクリプティング,OS コマンドインジェクションなどのパターンを検出でき,REST API も HTTP の上で動く Web アプリケーションなので防御の対象になる。したがって答はイ。通常のファイアウォールがポート番号や IP アドレスで通す・通さないを判断するのに対し,WAF はその先にある「HTTP の中身」を見る点が違いである。アの DNS キャッシュポイズニングは DNS のプロトコルに対する攻撃で,HTTP の通信ではないので WAF の対象外である。対策は DNSSEC やポート番号のランダム化になる。ウの SMTP の第三者不正中継も,メール送信のプロトコルに関する設定の問題であり,WAF では扱えない。中継を許さない設定にすることが対策である。エの大量・大容量のメール配信はメールサーバへの負荷攻撃で,こちらもメールの経路上の対策(流量制限やサイズ制限)が必要になる。守る対象が「Web アプリケーション」かどうかが判断の分かれ目である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問41
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問 42
PC からサーバに対し,IPv6 を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。
正解:ア
IPsec は,IP パケットそのものを暗号化・認証するプロトコル群で,OSI 基本参照モデルのネットワーク層(第3層)で働く。暗号化を担う ESP と認証を担う AH,鍵交換を行う IKE から構成され,IPv6 では当初から標準の機能として組み込まれている。したがって答はア。ネットワーク層で処理するため,上位のアプリケーションを変更しなくても通信を保護できる点が特徴で,拠点間 VPN やリモートアクセス VPN に広く使われている。エの TLS は,トランスポート層の TCP の上で動作してアプリケーションに暗号化された通信路を提供するもので,層が異なる。HTTPS や SMTPS のように,アプリケーションごとに対応が必要になる。ウの SSH は,遠隔のコンピュータに安全にログインしてコマンドを実行するためのプロトコルで,アプリケーション層に位置し,ポート転送によってほかの通信を通すこともできるが,ネットワーク層の暗号化ではない。イの PPP は2点間のデータリンクを確立するデータリンク層のプロトコルで,認証やアドレス割当てを担うが暗号化を主目的とはしていない。層ごとに「IPsec は第3層,TLS は第4層より上」と整理して押さえたい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問42
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問 43
SPF(Sender Policy Framework)の仕組みはどれか。
正解:イ
SPF は,あるドメインのメールを送信してよいサーバの IP アドレスを,そのドメインの DNS に SPF レコード(TXT レコード)として登録しておく仕組みである。受信側のサーバは,メールの送信元ドメインを見て DNS に問い合わせ,実際に接続してきたサーバの IP アドレスがその一覧に含まれるかを照合することで,送信元ドメインが詐称されていないかを確かめる。したがって答はイ。アは DKIM(DomainKeys Identified Mail)の説明で,送信側が本文とヘッダーにデジタル署名を付け,受信側が DNS で公開された公開鍵を使って検証する方式である。SPF が「どこから送られたか」を見るのに対し,DKIM は「内容が誰の署名で保証されているか」を見るという違いがあり,実務では両方を導入し,その結果に応じた扱いをドメイン所有者が宣言する DMARC を組み合わせるのが標準的な構成になっている。ウは全メールのアーカイブで,これは監査や訴訟対応のための保存の仕組みであり,送信元の検証とは別である。エは上司の承認を待って送信を保留する仕組みで,誤送信を防ぐ運用上の機能である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問43
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問 44
IC カードの耐タンパ性を高める対策はどれか。
正解:ウ
耐タンパ性は,機器を分解したり内部の信号を観測したりして秘密情報を取り出そうとする攻撃に対する強さを指す。IC カードでは,チップの表面を削って配線に探針(プローブ)を当てる手口が典型的な物理攻撃であり,その取付けを検出したときにチップ内の保存情報を消去する回路を組み込んでおけば,解析しようとした時点で情報が失われるため取り出せなくなる。したがって答はウ。ほかにも,配線層を目くらましのパターンで覆う,電源電圧や温度の異常を検知して動作を止める,消費電力の変化から鍵を推測させないよう処理時間を一定にするといった対策がある。アの非接触化は利便性を高める工夫であり,むしろ通信を傍受されやすくなる面もあって耐タンパ性とは方向が異なる。イの予備カードの保管は,故障時にも使い続けられるようにする可用性の対策である。エの退職者のカードの利用停止は,権限管理の運用上の対策で,カードそのものの解析への強さとは別の話である。耐タンパ性は「現物を手に入れた攻撃者に中身を渡さない」ための性質だと押さえるとよい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問44
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問 45
オブジェクト指向におけるクラス間の関係のうち,適切なものはどれか。
正解:イ
サブクラス(下位クラス)はスーパークラス(上位クラス)の属性と操作を継承するが,継承した操作を自分に合った処理へ書き換えることができる。これをオーバーライド(再定義)といい,同じ操作名の呼出しに対して実際のクラスに応じた処理が実行される多相性(ポリモーフィズム)の土台になる。したがって答はイ。ウは誤りで,継承によってスーパークラスの操作はサブクラスのインスタンス自身が持つものになるため,別にスーパークラスのインスタンスを作って依頼するわけではない。継承は「機能を受け継ぐ」関係であって,実行時に別のオブジェクトへ委譲する関係(コンポジションによる委譲)とは異なる。アも誤りで,関連は3つ以上のクラスの間でも定義できる(3項関連)。実務では2項関連が大半だが,仕様上は制限されていない。エも誤りで,集約は「全体と部分」の関係を表すだけであり,全体側のオブジェクトが部分側の属性や操作を自分のものとして共有するわけではない。属性や操作を受け継ぐのは継承の関係であり,集約と継承を取り違えないことがこの設問の要点である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問45
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問 46
モジュール結合度に関する記述のうち,適切なものはどれか。
正解:エ
モジュール結合度は,結合が弱いほど独立性が高く良い設計とされ,弱いほうから順にデータ結合,スタンプ結合,制御結合,外部結合,共通結合,内容結合の6段階に分類される。共通結合は,複数のモジュールが共通のデータ領域(大域的なデータの集まり)を参照する関係で,エがこれに当たるので答はエ。共通領域を書き換えると,どのモジュールに影響が及ぶかを追いにくくなるため独立性は低い。ウは,大域的な「単一のデータ項目」を参照する関係を制御結合としているが,これは外部結合の説明である。共通結合との違いは,共有するものがデータの集まり(レコードや構造体)か,単一の項目かという点にある。イは,実行する機能や論理を決めるための引数(制御フラグ)を渡す関係を内容結合としているが,これは制御結合の説明である。呼ばれた側の内部の動きを呼ぶ側が決めてしまうため,データだけを渡すデータ結合より結合が強い。アは,CALL を使わず JUMP で他のモジュールの内部へ飛び込む関係を外部結合としているが,これは最も結合が強い内容結合に当たる。3つの誤りはいずれも段階を1つずらした形になっている。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問46
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問 47
ソフトウェア信頼度成長モデルの一つであって,テスト工程においてバグが収束したと判定する根拠の一つとして使用するゴンペルツ曲線はどれか。
正解:ウ
ゴンペルツ曲線は,横軸にテスト項目の消化数,縦軸に累積の誤り検出数を取ったときに現れる S 字型の曲線である。テストの初期は環境の整備や単純な不具合の処理に時間が掛かって検出数の伸びがゆるやかで,中盤に入ると次々に誤りが見つかって急に立ち上がり,後半は残っている誤りが少なくなって伸びが鈍り,やがて水平に近づく。この水平に近づいた状態を「バグが収束した」と判断する根拠の一つに使う。したがって S 字型のウが答え。アは右上がりに際限なく急になっていく形で,検出数がまだ加速している途中を示しており,収束の判定には使えない。イは直線で,テスト項目を消化した分だけ一定の割合で誤りが見つかり続けることを意味するので,こちらも収束していない。エは最初から急に立ち上がって次第に寝ていく形(対数曲線に近い形)で,後半で飽和する点はゴンペルツ曲線と似ているが,初期の立ち上がりがゆるやかでないため S 字にはならない。同じ信頼度成長モデルでも,このように立ち上がりの形が異なるものはロジスティック曲線などとして区別される。判定に使うときは,実測値を当てはめて予測される総誤り数に対し,どこまで検出できたかを見るという使い方をする。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問47
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問 48
リーンソフトウェア開発において,ソフトウェア開発のプロセスとプロセスの所要時間とを可視化し,ボトルネックや無駄がないかどうかを確認するのに用いるものはどれか。
正解:エ
バリューストリームマップは,材料や情報が価値になって顧客に届くまでの流れ(バリューストリーム)を1枚の図に描き,各工程の所要時間と,工程間で待たされている時間を並べて可視化する道具である。もともとトヨタ生産方式に由来し,リーンソフトウェア開発では要求が出てから稼働環境へ届くまでの流れに当てはめて用いる。実際に描くと,作業している時間よりも承認や引継ぎを待っている時間のほうが長いことが見え,どこを直せば全体が速くなるか(ボトルネック)と,価値を生んでいない工程(無駄)が特定できる。したがって答はエ。アのストーリーカードは,利用者の要求をひとまとまりの短い文で書いたカードで,見積りと優先順位付けの単位になる。イのスプリントバックログは,スクラムでそのスプリントに取り組む作業の一覧である。ウのバーンダウンチャートは,残作業量が日を追ってどれだけ減ったかを折れ線で示す図で,進捗の把握には有効だが,工程ごとの所要時間や待ち時間の内訳は表さない。「工程の流れと時間の内訳を見る」のはバリューストリームマップだけである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問48
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問 49
JIS X 33002:2017(プロセスアセスメント実施に対する要求事項)の説明として,適切なものはどれか。
正解:イ
JIS X 33002 は,プロセスアセスメント(プロセスの評定)をどのように実施すべきかを定めた規格である。アセスメントとは,組織が実際に行っているプロセスを定められた測定枠組みに照らして客観的に診断し,達成の度合いを判定することをいう。この規格は,アセスメントの計画,証拠の収集,評定,結果の報告といった実施に対する要求事項を規定しているので,答はイ。ISO/IEC 33000 シリーズ(旧 SPICE)の一部で,能力水準を判定する仕組みを共通化することによって,組織や国をまたいで比較できるようにしている。アの「継続的に改善して品質を高めるための要求事項」はプロセス改善そのものの規格の説明で,診断の実施方法を定めたこの規格の説明ではない。診断は改善の出発点になるが,両者は別の規格に分かれている。ウは JIS Q 21500(プロジェクトマネジメントの手引)の説明である。エは JIS X 0160(ISO/IEC 12207 ソフトウェアライフサイクルプロセス)の説明で,企画から開発,運用,保守,廃棄までのプロセスに共通の用語と枠組みを与えるものである。「測る側の決まり」がJIS X 33002 だと押さえると区別できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問49
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問 50
ドキュメンテーションジェネレーターの説明として,適切なものはどれか。
正解:イ
ドキュメンテーションジェネレーターは,ソースコードに決められた書式で書いたコメント(Java の Javadoc,Python の docstring,C++ の Doxygen 形式など)を読み取り,クラスや関数の一覧,引数と戻り値の説明,参照関係といった仕様書を自動生成するソフトウェアである。したがって答はイ。コードと文書が同じ場所にあるので,実装を直したときに説明を直し忘れにくく,文書が古びる問題を抑えられるのが利点である。アは,HTML や CSS を解釈して画面に描くレンダリングエンジン(ブラウザの中核部分)の説明である。ウは,テンプレートに動的なデータを流し込んで出力するテンプレートエンジンの説明で,Web アプリケーションで画面を生成する際に使われる。エは,マーク付けされたテキストを読んで印刷用に体裁を整える組版システム(TeX など)の説明である。いずれも「入力から出力を生成する」道具なので混同しやすいが,入力がソースコードのコメントであり,出力がプログラムの仕様書であるという組合せが,ドキュメンテーションジェネレーターを見分ける手掛かりになる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問50
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問 51
EVM で管理しているプロジェクトがある。図は,プロジェクトの開始から完了予定までの期間の半分が経過した時点での状況である。コスト効率,スケジュール効率がこのままで推移すると仮定した場合の見通しのうち,適切なものはどれか。
正解:ア
EVM では3つの累積値を比べる。PV(計画価値)は計画上その時点までに完了しているはずの出来高,EV(出来高)は実際に完了した作業の価値,AC(実コスト)は実際に使った費用である。図の現時点では,上から PV,AC,EV の順に並んでいる。まずコスト効率を見ると,CPI=EV/AC で EV が AC より低いので1を下回っており,投じた費用に見合う出来高が上がっていない。このまま推移すれば,完成までに掛かる費用は計画を上回る。次にスケジュール効率を見ると,SPI=EV/PV で EV が PV より低いので1を下回っており,計画より作業が遅れている。このまま推移すれば完了は予定より遅くなる。したがって「コストは多くなり,完了は遅くなる」というアが答え。図の読み方の要点は,EV が最も下にあるという1点で両方の効率が1未満だと分かることである。イとエは完了が早くなるとしており SPI の読みが逆,ウとエはコストが少なくなるとしており CPI の読みが逆である。なお AC が PV より下にあるのは「まだ予算を使い切っていない」という意味にすぎず,効率の良さを示すものではない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問51
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問 52
図のアローダイアグラムで表されるプロジェクトがある。結合点5の最早結合点時刻はプロジェクトの開始から第何日か。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。
正解:エ
最早結合点時刻は,その結合点に入ってくるすべての経路について「手前の結合点の最早時刻+作業の所要日数」を計算し,その最大値を取る。開始の結合点1を0日目として順に求める。結合点2へは作業 A(3日)だけが入るので3日目。結合点3へは1から作業 B(2日)で 0+2=2日目,2から作業 C(1日)で 3+1=4日目の2通りがあり,大きいほうを取って4日目になる。結合点4へは2から作業 D(4日)で 3+4=7日目。結合点5へ入る経路は3つある。2から作業 E(2日)で 3+2=5日目,3から作業 F(2日)で 4+2=6日目,4からダミー作業(0日)で 7+0=7日目である。最大値は7日目なので答はエ。この問題の要点は,点線で描かれたダミー作業を見落とさないことである。ダミー作業は所要日数0だが,結合点4の完了を待つという前後関係を表しているので,7日目という制約がそのまま結合点5に伝わる。イの5日は作業 E だけを見た場合,ウの6日は作業 F だけを見た場合,アの4日は結合点3の最早時刻をそのまま答えた場合の値であり,いずれも最大値を取るという規則を守っていない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問52
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問 53
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“リスクの管理”の目的はどれか。
正解:エ
JIS Q 21500 のリスクに関するプロセスは,「リスクの特定」「リスクの評価」「リスクへの対応」「リスクの管理」の4つに分かれている。このうち「リスクの管理」は,計画した対応を実際に実行すべきかを見極め,実行した対応が期待した効果を上げているかを監視し,新たなリスクや状況の変化を捉えて計画を見直すプロセスである。目的はプロジェクトの混乱を最小限にすることであり,答はエ。イは「リスクの特定」の目的で,プロジェクトの目標にプラス(好機)またはマイナス(脅威)の影響を与え得る事象とその特性を洗い出す段階である。アは「リスクの評価」の目的で,特定したリスクの発生確率と影響度を測って優先順位を付け,どれに手を打つかを決められるようにする段階である。ウは「リスクへの対応」の目的で,好機を高め脅威を減らすための選択肢(回避・軽減・転嫁・受容など)を作って対策を決める段階である。4つは「洗い出す→測る→手を打つ→追い続ける」という順で並び,「管理」は最後の追い続ける役割にあたる。リスクは一度対応したら終わりではなく,プロジェクトの間ずっと監視するという点がこのプロセスの意味である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問53
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問 54
工場の生産能力を増強する方法として,新規システムを開発する案と既存システムを改修する案とを検討している。次の条件で,期待金額価値の高い案を採用するとき,採用すべき案と期待金額価値との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,期待金額価値は,収入と投資額との差で求める。
〔条件〕
・新規システムを開発する場合の投資額は100億円であって,既存システムを改修する場合の投資額は50億円である。
・需要が拡大する確率は70%であって,需要が縮小する確率は30%である。
・新規システムを開発した場合,需要が拡大したときは180億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは50億円の収入が見込まれる。
・既存システムを改修した場合,需要が拡大したときは120億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは40億円の収入が見込まれる。
・他の条件は考慮しない。
正解:ア
それぞれの案について,収入の期待値を求めてから投資額を引く。新規システムの開発は,収入の期待値が 0.7×180+0.3×50=126+15=141億円で,投資額100億円を引くと期待金額価値は41億円になる。既存システムの改修は,収入の期待値が 0.7×120+0.3×40=84+12=96億円で,投資額50億円を引くと期待金額価値は46億円になる。46億円>41億円なので採用すべきは既存システムの改修であり,答はア。需要が拡大したときの収入は新規のほうが60億円多いが,投資額の差50億円と,需要が縮小したときの差10億円を合わせると逆転する,という構造になっている。ウの「新規システムの開発 41億円」は,期待金額価値の計算自体は正しいが,値が小さいほうを採用してしまっており,設問の「高い案を採用する」という条件に反する。イの96億円は改修の収入の期待値そのままで,投資額50億円を引き忘れた値である。エの130億円は,どちらの案の収入の期待値(141億円と96億円)でも期待金額価値(41億円と46億円)でもなく,この条件からは導けない値である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問54
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問 55
SaaS(Software as a Service)による新規サービスを提供するに当たって,顧客への課金方式を検討している。課金方式①〜④のうち,想定利用状況に基づいて最も高い利益が得られる課金方式を採用したときの,年間利益は何万円か。ここで,新規サービスの課金は月ごとに行い,各月の想定利用状況は同じとする。また,新規サービスの運用に掛かる費用は1,050万円/年とする。
〔課金方式〕
①月間のサービス利用時間による従量課金 4,000円/時間
②月間のトランザクション件数による従量課金 700円/件
③月末時点のディスク割当て量による従量課金 300円/GB
④月末時点の利用者 ID 数による従量課金 1,600円/ID
〔想定利用状況〕
・サービス利用時間 250時間/月
・トランザクション件数 1,500件/月
・月末時点のディスク割当て量 3,300GB
・月末時点の利用者 ID 数 650ID
正解:ウ
4つの課金方式それぞれの月間の収入を求めて比べる。①は 4,000円×250時間=100万円,②は 700円×1,500件=105万円,③は 300円×3,300GB=99万円,④は 1,600円×650ID=104万円である。最も高いのは②の105万円なので,年間の収入は 105×12=1,260万円になる。ここから運用費用1,050万円を引くと,年間利益は 1,260-1,050=210万円となり,答はウ。4つの収入は99万〜105万円と6万円しか違わないが,年間では72万円の差になり,費用を引いた後の利益では最大210万円と最小138万円で1.5倍以上の開きが出る。固定費を差し引いた残りが利益になるため,収入のわずかな違いが利益では大きく響くという構造である。アの150は①を採用した場合の 100×12-1,050=1,200-1,050 に一致する。イの198は④を採用した場合の 104×12-1,050=1,248-1,050 に一致する。なお③を採用すると 99×12-1,050=138万円で,これは選択肢にない。エの260は,どの方式の年間利益にも当たらない値である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問55
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問 56
サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の活動はどれか。
正解:エ
サービスレベル管理(SLM)は,提供するサービスの内容と,可用性や応答時間などの目標水準(サービスレベル目標)を顧客と取り決め,SLA(サービスレベル合意書)として文書を交わし,実績を測定して報告し,必要に応じて見直していく活動である。したがって答はエ。合意した水準を測れる形で定めることが要点で,測れない約束は管理できない。アは容量・能力管理(キャパシティ管理)の活動で,現在の資源を調整しつつ,将来必要になる資源を予測して計画を立てるものである。イはサービスの予算業務及び会計業務の活動で,必要な予算を見積もって資金を確保し,費用を把握する。ウはサービス継続管理(および事業継続管理)の活動で,事業影響度分析を行って復旧の優先順位や目標復旧時間を定めるものである。いずれも JIS Q 20000-1 が定めるサービスマネジメントのプロセスだが,「顧客と水準を約束して守る」のがサービスレベル管理,「資源を足りるようにする」のが容量・能力管理,「止まっても戻せるようにする」のがサービス継続管理と,担う役割で区別できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問56
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問 57
温室効果ガスの排出量の算定基準である GHG プロトコルでは,事業者の事業活動によって直接的,又は間接的に排出される温室効果ガスについて,スコープを三つに分けている。事業者 X 社がデータセンター事業者であるときの,スコープ1の例として,適切なものはどれか。
〔GHG プロトコルにおけるスコープの説明〕
スコープ1:温室効果ガスの直接排出。事業者が所有している,又は管理している排出源から発生する。
スコープ2:電気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出。事業者が消費する購入電力の発電に伴う温室効果ガスの排出量を算定する。
スコープ3:その他の温室効果ガスの間接排出。事業者の活動に関連して生じるが,事業者が所有も管理もしていない排出源から発生する。
正解:ウ
スコープ1は,事業者が所有または管理している排出源から直接出る温室効果ガスである。自社で管理する発電装置(データセンターの非常用発電機やコージェネレーション設備など)を動かせば,燃料の燃焼によってその場で温室効果ガスが出るので,これはスコープ1に当たる。したがって答はウ。アは購入した電力の発電に伴う排出で,発電しているのは電力会社なので直接排出ではなく,電気の使用に伴う間接排出としてスコープ2に分類される。データセンター事業者の排出量はこのスコープ2が大半を占めるのが実情である。イは自社の IT 機器を廃棄するときに産業廃棄物処理事業者が出す排出で,自社の活動に関連するが排出源を所有も管理もしていないのでスコープ3に当たる。エは,ハウジングサービスの利用企業が自ら購入した電力に伴う排出で,これも X 社が所有・管理しない排出源からの間接排出なのでスコープ3である(利用企業側から見ればスコープ2になる)。判定は「燃やしているのは自分か」「電気を買ったのは自分か」「それ以外か」の順に当てはめると迷わない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問57
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問 58
システム監査基準(令和5年)が規定している監査調書の説明として,最も適切なものはどれか。
正解:ア
監査調書は,システム監査人が監査の過程で実施した手続とその結果,入手した監査証拠,そこから導いた判断を記録した文書である。役割は,どのような根拠でその結論に至ったのかを後から辿れるようにし,結論を支える合理的な裏付けとすることにあるので,答はア。第三者による品質のレビューや,指摘に対する反論への説明にも使われるため,記録の作成と保管は監査人の責務とされている。イは監査報告書の説明で,こちらは監査依頼者に提出して結論と指摘事項を伝えるための文書である。監査調書が内部の作業記録であるのに対し,監査報告書は外部に出す成果物という違いがある。ウは個別監査計画(実施計画)の説明で,監査対象ごとに手続や日程を具体的に定めるものである。エは中長期監査計画の説明で,数年単位でどの領域をいつ監査するかという方針を示す。監査は,中長期計画→個別計画→実施(証拠の収集と監査調書の作成)→報告→フォローアップという流れで進むので,4つの文書がこの流れのどこに位置するかで区別できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問58
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問 59
システム監査基準(令和5年)によれば,システム監査において,監査人が一定の基準に基づいて総合的に点検・評価を行う対象とするものは,情報システムのマネジメント,コントロールと,あと一つはどれか。
正解:ア
システム監査基準(令和5年)は,システム監査を「情報システムのガバナンス,マネジメント,コントロールを点検・評価・検証する行為」と位置付けている。したがって残る一つはガバナンスであり,答はア。3つの階層の関係を押さえておくと分かりやすい。ガバナンスは経営者・取締役会の階層で,情報システムに関する方針や体制を定め,マネジメントの活動を方向付け監督する。マネジメントは管理者の階層で,方針に沿って計画を立て資源を配分し実行を管理する。コントロールは業務の階層で,誤りや不正を防ぐ具体的な統制の仕組みである。監査はこの3階層をそろえて見ることで,現場の統制だけでなく経営の関与まで含めて評価できる。イのコンプライアンス(法令等の遵守)は監査で確かめる観点の一つではあるが,点検・評価の対象として並べられている3つには含まれない。ウのサイバーレジリエンスは,攻撃を受けても事業を継続し回復する能力を指す概念である。エのモニタリングは,統制が有効に働いているかを継続的に監視する活動そのもので,コントロールやマネジメントの一部として位置付けられる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問59
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問 60
情報システムに対する統制を IT に係る全般統制と IT に係る業務処理統制に分けたとき,IT に係る業務処理統制に該当するものはどれか。
正解:ウ
IT に係る業務処理統制は,個々の業務システムの中に組み込まれ,その業務の処理が正確かつ網羅的に行われることを確かめる仕組みである。入力データの正当性チェック(桁数や範囲,コードの存在の確認など),例外処理の記録,マスタデータの変更の管理,二重入力の防止といったものが該当する。販売管理システムの入力チェック機能はまさにこれなので,答はウ。一方,IT に係る全般統制は,個々のシステムではなく IT 環境の全体に及ぶ統制で,開発と保守の管理,運用の管理,アクセスの管理,外部委託の管理などが含まれる。アのサーバ室の入退室管理は物理的なアクセス管理として全般統制に当たる。イのシステム開発の委託先選定手続は,開発・保守および外部委託の管理として全般統制に当たる。エのファイアウォールの運用管理も,システム全体を守るアクセス管理として全般統制である。全般統制が弱いと,各システムの業務処理統制がいくら整っていても土台が崩れるという関係にあり,監査ではまず全般統制を確かめてから業務処理統制を見るという順序が採られる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問60
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問 61
エンタープライズアーキテクチャの参照モデルのうち,BRM(Business Reference Model)として提供されるものはどれか。
正解:ウ
エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織の構造を業務・データ・アプリケーション・技術の4つの体系で捉える枠組みで,それぞれに対応する参照モデルが用意されている。BRM(Business Reference Model:業務参照モデル)は最も業務に近い階層で,業務をどう分類するかに従って業務体系とシステム体系を整理し,各種の業務モデルを提供する。したがって答はウ。組織が自らの業務を標準の分類に当てはめることで,他組織との比較や重複業務の発見ができるようになる。アは SRM(Service Component Reference Model:サービスコンポーネント参照モデル)の説明で,アプリケーションが提供する機能をサービスの部品として分類・体系化したものである。イは TRM(Technical Reference Model:技術参照モデル)の説明で,サービスコンポーネントを実現するためのプラットフォームや技術の標準仕様を示す。エは DRM(Data Reference Model:データ参照モデル)の説明で,組織間で共有され得る情報について名称・定義・属性を記述する。4つは業務(BRM)→サービス(SRM)→データ(DRM)→技術(TRM)と,業務に近い側から技術に近い側へ並んでいると整理すると覚えやすい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問61
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問 62
“デジタルガバナンス・コード2.0”の説明として,適切なものはどれか。
正解:ア
デジタルガバナンス・コードは,企業が自主的に DX を進めることを促すために経済産業省がまとめた指針である。デジタル技術による社会の変化を踏まえて,経営ビジョンとビジネスモデルの方向性を定めること,戦略とそれを支える体制・人材・IT システムを整えること,成果を測る指標を定めて開示すること,取締役会が実効的に監督することなどを,経営者に求められる対応として整理している。したがって答はア。この指針の項目は DX 認定制度の認定基準と対応しており,満たしていることを国が認定する仕組みにつながっている。2.0 は2022年に改訂された版で,その後さらに改訂が重ねられている。イは文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に当たる内容である。ウは総務省の「自治体 DX 推進計画」などに当たる内容で,対象が自治体である点が異なる。エはデジタル庁が所管する「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に当たる内容で,こちらは政府自身が実施する施策をまとめたものである。「企業向け」「経済産業省」という2点でアを見分けられる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問62
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問 63
SOA の説明はどれか。
正解:エ
SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を,利用者や業務から見て意味のあるまとまり(サービス)という独立した部品に切り出し,それらを組み合わせてシステムを構成する考え方である。部品の単位が業務の単位と対応するので,業務プロセスの変更に合わせて組合せを変えやすく,標準的なインタフェースを介するので他のソフトウェアとの連携も容易になる。したがって答はエ。アは ERP(統合基幹業務システム)の説明で,会計・人事・製造・購買・在庫・販売といった基幹業務の情報を一元管理して全体最適を図るものである。イはフィット&ギャップ分析の説明で,自社の要求とソフトウェアパッケージの機能がどこまで合い,どこがずれるかを洗い出して,パッケージの採用可否やカスタマイズの範囲を判断するものである。ウは BPM(Business Process Management)の説明で,業務プロセスに PDCA のサイクルを回して継続的に改善する手法である。SOA は「機能をサービスに分ける」という構造の話であり,管理手法や分析手法とは性質が異なる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問63
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問 64
IT 投資案件において,投資効果を PBP(Pay Back Period)で評価する。投資額が500のとき,期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a〜d のうち,効果が最も高いものはどれか。
〔シナリオ〕年目 1/2/3/4/5
a キャッシュイン 100/150/200/250/300
b キャッシュイン 100/200/300/200/100
c キャッシュイン 200/150/100/150/200
d キャッシュイン 300/200/100/50/50
正解:エ
PBP(回収期間)は,投資額を累積のキャッシュインで回収し終えるまでの期間で,短いほど投資効果が高いと評価する。各シナリオの累積を計算すると,a は 100,250,450,700 なので4年目で500を超える。b は 100,300,600 なので3年目に到達する。c は 200,350,450,600 なので4年目である。d は 300,500 と2年目でちょうど500に達する。最も短いのは d の2年なので,答はエ。この指標は「早く元が取れるほどよい」という考え方で,回収までの期間が短いほど将来の不確実性にさらされる時間が短く,資金を次の投資に回せる点が評価される。注意したいのは,PBP は回収後のキャッシュインを一切考慮しないという点である。実際に5年間の合計を見ると a が1,000で最も多く,d は700で最も少ない。それでも PBP では d が最良と評価されるので,回収の速さを重視する指標だと理解しておく必要がある。長期の収益性まで見たい場合は,正味現在価値(NPV)や内部収益率(IRR)を併用する。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問64
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問 65
EMS(Electronics Manufacturing Services)の説明として,適切なものはどれか。
正解:エ
EMS は,自社の生産設備を使って他社のブランドの電子機器を受託製造する事業である。設計は委託元が行い,EMS 事業者は部品調達から製造,検査,物流までを引き受けることが多い。複数の委託元の製品をまとめて作るため,部品の大量調達や設備の高い稼働率によって単価を下げられる点が強みで,委託元は工場をもたずに製品を世に出せる。したがって答はエ。アは設計だけを受託して製造は相手先が行うという内容で,これは設計の受託(デザインハウス)に当たり,製造を担う EMS とは逆である。イは外部から調達した機器に付加価値を付けて自社ブランドで売るという内容で,これはファブレスの販売やインテグレーションの形態である。ウはソフトウェア開発だけを外部に委託してハードウェアは自社で作るという内容で,これは開発の一部を外注する通常の分担であって EMS の説明ではない。関連して,工場をもたずに設計と販売に特化する形態をファブレス,半導体の製造だけを請け負う形態をファウンドリと呼び,EMS はその電子機器版に相当する。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問65
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問 66
組込み機器のハードウェアの製造を外部に委託する場合のコンティンジェンシープランの記述として,適切なものはどれか。
正解:エ
コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)は,リスクが実際に起きてしまった場合に何をするかをあらかじめ決めておく計画である。誰が判断し,どの代替手段に切り替え,どこへ連絡するかといった手順を用意しておくことで,被害の拡大を抑え早く立ち直れるようにする。部品調達のリスクが顕在化したときに備えて対処の計画を作るというエがこれに当たり,答はエ。具体的には,代替部品の事前承認,第二の調達先の確保,安全在庫の設定などが計画に含まれる。アは実績のある外注先を選ぶことで発生確率そのものを下げる対策で,これは事前のリスク軽減にあたる。イは品質が担保されていることを確認できる契約を結ぶという対策で,これも起きる前の予防と,起きたときの責任の明確化に関わるもので,対処の手順を定める計画とは異なる。ウは複数社の見積りを比べて委託先を選ぶ調達の手続で,適切な相手を選ぶという予防の側にある。3つの誤りはいずれも「起きないようにする」対策であり,コンティンジェンシープランは「起きた後にどう動くか」を定めるものだという違いが見分けの要点になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問66
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問 67
PPM において,投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。
正解:ウ
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)は,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を4つに分ける。市場成長率が低く占有率が高い区分は「金のなる木」で,市場が成熟しているため設備や販促への追加投資が少なくて済み,高い占有率によって安定した収益が入るので,資金を生み出す源になる。ここで得た資金をほかの区分へ振り向けるのが PPM の考え方の中核であり,答はウ。アの成長率が高く占有率も高い区分は「花形」で,収益は大きいが市場の成長に追随するための投資も大きく,資金の出入りが釣り合いやすいので資金源にはなりにくい。イの成長率が高く占有率が低い区分は「問題児」で,占有率を上げるために資金を投入する対象になる。ここで成功すれば花形へ育ち,やがて金のなる木になるという流れを描く。エの成長率も占有率も低い区分は「負け犬」で,撤退や売却を検討する対象である。したがって資金の流れは「金のなる木 → 問題児・花形」となり,どの区分から取り,どの区分へ入れるかを判断するのがこの手法の役割である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問67
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問 68
企業が属する業界の競争状態と収益構造を,“新規参入の脅威”,“供給者の支配力”,“買い手の交渉力”,“代替製品・サービスの脅威”,“既存競合者同士の敵対関係”の要素に分類して,分析するフレームワークはどれか。
正解:エ
ファイブフォース分析は,マイケル・ポーターが提唱した業界構造の分析手法で,設問に挙げられた5つの力(新規参入の脅威,供給者の支配力,買い手の交渉力,代替製品・サービスの脅威,既存競合者同士の敵対関係)によって業界の競争の激しさと収益性が決まると捉える。したがって答はエ。5つの力が強い業界は収益を上げにくく,弱い業界は収益を上げやすいと読み,どこに手を打てば有利になるかを考える枠組みになる。アの PEST 分析は,政治(Politics),経済(Economy),社会(Society),技術(Technology)の4つの側面から外部のマクロ環境を分析する手法で,業界の内側ではなく業界を取り巻く大きな流れを見る。イの VRIO 分析は,自社の経営資源を,経済価値(Value),希少性(Rarity),模倣困難性(Imitability),組織(Organization)の観点から評価して競争優位の源泉を見極める手法で,対象は自社の内部である。ウのバリューチェーン分析は,購買物流から製造,出荷物流,販売,サービスまでの主活動と,それを支える支援活動に分けて,どの活動が価値を生んでいるかを分析する手法で,こちらも自社内が対象になる。外部のマクロ(PEST)→業界(ファイブフォース)→自社(VRIO・バリューチェーン)と,見る範囲で整理できる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問68
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問 69
フィージビリティスタディの説明はどれか。
正解:ア
フィージビリティスタディ(実現可能性調査)は,事業や投資を実行に移す前に,技術的に実現できるか,採算が合うか,法規制や体制の面で問題がないかを調査・検証して,投資の可否を判断するための評価である。新規事業の立上げ,海外進出,公共事業の採算性,情報システムの導入手段の検討などで行われるので,答はア。投じる前に見極めることで,見込みの薄い案件に資源を注ぎ込む事態を避けられる。イはデルファイ法の説明で,専門家に匿名でアンケートを行い,集計結果を示して再度回答を求めることを繰り返し,意見を収束させて未来予測に用いる手法である。ウはブレーンストーミングの説明で,批判をせずに自由に大量の意見を出し,互いの発想から連想を広げる発散技法である。エはプロダクトライフサイクルの説明で,導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階で製品の寿命を捉え,段階に応じた戦略を立てるための枠組みである。「実行する前に,できるかどうかを確かめる」のがフィージビリティスタディだと押さえると,ほかの3つとは目的が明確に異なることが分かる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問69
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問 70
IoT 活用におけるデジタルツインの説明はどれか。
正解:エ
デジタルツインは,現実の設備や工場,都市などをデジタル空間に写した「双子」を作り,IoT のセンサーから集めた実際のデータを反映させて,現実と同じように振る舞わせる仕組みである。現実では試せない条件でのシミュレーション,故障の予兆の把握,設計変更の事前評価などができるので,答はエ。単なる 3D モデルと違い,実データで常に最新の状態に更新されるところが特徴である。アは遠隔地の 3D プリンターで製作するという内容で,これはデジタル製造やオンデマンド生産の話であり,模型を作って試すという趣旨ではない。イは正副二重の構成で稼働を継続させるという内容で,これは冗長化による可用性の確保(デュプレックスシステムなど)の説明である。「ツイン(双子)」という語が二重化を思わせるが,デジタルツインの双子は現実とデジタルの対応であって,同じ設備を2つ用意することではない。ウは家電と接続して遠隔監視・操作できるウェアラブルデバイスという内容で,IoT の応用例ではあるが,現実を写した仮想の対象を作ることとは別である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問70
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問 71
IoT を活用したビジネスモデルの事例のうち,マスカスタマイゼーションの事例はどれか。
正解:エ
マスカスタマイゼーションは,大量生産(マスプロダクション)の効率を保ちながら,一人ひとりの要望に合わせた製品を提供する考え方である。顧客ごとに一から作るのではなく,あらかじめ用意した部品やパターンの組合せで個別の仕様を実現するところが要点で,エの眼鏡メーカーの例がまさにこれに当たる。顔の形状を計測してパターンの組合せで設計し,工場では共通のパーツを組み合わせて作るので,個別対応と効率的な製造が両立する。したがって答はエ。アは盗難対策で,遠隔から機械を無効化する仕組みであり,個別仕様の製品を作る話ではない。イは予防保守情報の提供で,機器の状態を分析して故障の前に手を打つサービス(プレディクティブメンテナンス)に当たる。製品を売って終わりにせず稼働の保証まで提供する点は新しいが,カスタマイズではない。ウはカーシェアサービスで,所有せずに必要なときだけ使えるようにするシェアリングエコノミーの事例である。いずれも IoT を活かした事業だが,「個別仕様を量産の効率で作る」のはエだけである。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問71
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問 72
IoT の技術として注目されている,エッジコンピューティングの説明として,最も適切なものはどれか。
正解:ア
エッジコンピューティングは,データを生み出すセンサーや機器の近く(ネットワークの周縁=エッジ)に演算する資源を置き,そこで処理を済ませる方式である。クラウドまで往復しないので応答が速く(低遅延),生データを送らずに要約だけを送れるので通信量も抑えられる。したがって答はア。生データを外に出さずに済むため,映像などのプライバシーに関わる情報を扱う場面でも有利になる。イはウェアラブルデバイスの説明で,人体に装着して状態を計測するものである。エッジで処理する機器の一例にはなり得るが,方式そのものの説明ではない。ウは複数のコンピュータをネットワークで結んで全体の処理能力を高めるグリッドコンピューティングやクラスタリングの説明で,資源を「集めて大きくする」方向であり,資源を「現場に配る」エッジコンピューティングとは向きが逆である。エはエナジーハーベスティング(環境発電)の説明で,光・振動・熱・電波などのわずかなエネルギーを電力に変える技術である。電池交換の要らないセンサーを実現する技術としてIoT で注目されているが,演算をどこで行うかという話ではない。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問72
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問 73
ゲーム理論における“ナッシュ均衡”の説明はどれか。
正解:エ
ナッシュ均衡は,非協力ゲームにおいて,各プレイヤーが相手の戦略を所与としたときに自分の最善を選んでおり,その結果としてどのプレイヤーも自分だけが戦略を変えても利得を増やせない状態を指す。相手も同時に最善を尽くしているため誰にも動く動機がなく,均衡として安定する。したがって答はエ。よく知られる例が囚人のジレンマで,双方が黙秘したほうが得なのに,相手の出方を所与とすると自白が最善になるため,双方自白がナッシュ均衡になる。全体として最良でない結果に落ち着くことがあるという点が,この概念の含意である。アはゼロサムゲームの説明で,利得の総和が常に0になるゲームの性質を述べたものであり,均衡の概念とは別である。ウはマキシミン戦略の説明で,各戦略について最悪の結果を想定し,その中で最も良いものを選ぶという慎重な考え方である。イはその裏返しにあたるミニマックスの考え方を,相手の利得の側から述べたものである。マキシミンやミニマックスは1人の意思決定の基準であり,複数のプレイヤーの戦略の組合せが安定するかを問うナッシュ均衡とは着眼点が違う。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問73
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問 74
分析対象としている問題に数多くの要因が関係し,それらが相互に絡み合っているとき,原因と結果,目的と手段といった関係を追求していくことによって,因果関係を明らかにし,解決の糸口をつかむための図はどれか。
正解:エ
連関図は,多くの要因が複雑に絡み合っている問題について,「原因と結果」「目的と手段」の関係を矢印でつなぎながら全体を描き出し,どの要因が中心にあるのかを見えるようにする図である。新 QC 七つ道具の一つで,矢印の集まり方から根本原因や重要な要因を見つけ出し,解決の糸口をつかむのに使うので,答はエ。特性要因図(魚の骨)が要因を大分類から枝分かれさせる木構造で表すのに対し,連関図は要因同士が互いに影響し合う関係も表せる点が違いである。アのアローダイアグラムは,作業の前後関係と所要日数を矢印で結んで日程を計画する図で,クリティカルパスを求めるのに使う。イのパレート図は,項目を件数の多い順に棒で並べ,累積比率を折れ線で重ねた図で,どの項目に手を打てば効果が大きいかを判断する(重点指向)ために使う。ウのマトリックス図は,2つの要素を行と列に配置し,交点に関係の有無や強さを記して対応関係を整理する図である。いずれも問題解決に使う図だが,「絡み合った因果関係を描く」のは連関図である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問74
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問 75
製品 X,Y を1台製造するのに必要な部品数は,表のとおりである。製品1台当たりの利益が X,Y ともに1万円のとき,利益は最大何万円になるか。ここで,部品 A は120個,部品 B は60個まで使えるものとする。
〔表〕単位 個(部品/製品 X/製品 Y)
A/3/2
B/1/2
正解:ウ
製品 X を x 台,製品 Y を y 台作るとすると,部品 A の制約は 3x+2y≦120,部品 B の制約は x+2y≦60 で,最大にしたいのは利益 x+y(万円)である。線形計画法の考え方どおり,実行可能な領域の頂点を調べればよい。X だけを作る場合は部品 A の制約から x≦40 で利益は40万円,Y だけを作る場合は部品 B の制約から y≦30 で利益は30万円である。両方の制約が同時に等号になる点は,3x+2y=120 と x+2y=60 を引き算して 2x=60,すなわち x=30,y=15 で,このとき利益は 30+15=45万円になる。したがって最大は45万円で答はウ。検算すると部品 A は 3×30+2×15=120個,部品 B は 30+2×15=60個で,どちらもちょうど上限まで使い切っている。イの40は X だけを40台作った場合,アの30は Y だけを30台作った場合の利益で,どちらか一方に絞ると部品が余ってしまう。エの60は,どちらか一方の制約だけを見て台数を求めた場合に出る値で,たとえば部品 B だけを考えれば x=60 台まで作れるが,部品 A が 3×60=180個必要になり120個の上限を超えてしまう。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問75
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問 76
今年度の A 社の販売実績と費用(固定費,変動費)を表に示す。来年度,固定費が5%増加し,販売単価が5%低下すると予測されるとき,今年度と同じ営業利益を確保するためには,最低何台を販売する必要があるか。
〔表〕
販売台数 2,500台
販売単価 200千円
固定費 150,000千円
変動費 100千円/台
正解:エ
まず今年度の営業利益を求める。売上は 2,500×200=500,000千円,変動費は 2,500×100=250,000千円,固定費は150,000千円なので,営業利益は 500,000-250,000-150,000=100,000千円である。来年度は販売単価が5%低下して 200×0.95=190千円,固定費が5%増加して 150,000×1.05=157,500千円になり,変動費は1台当たり100千円のままである。必要な販売台数を n とすると,190n-100n-157,500=100,000 となり,90n=257,500 から n=2,861.1… が得られる。台数は整数なので最低2,862台であり,答はエ。1台当たりの限界利益が 200-100=100千円から 190-100=90千円へ1割下がったうえに,回収すべき固定費が7,500千円増えたため,必要台数が約14%増えるという構造になっている。アの2,575は 257,500÷100 に一致し,単価の低下を反映せず限界利益を100千円のままにした場合の値である。ウの2,778は 250,000÷90=2,777.7… に一致し,固定費の増加を反映しなかった場合の値になる。イの2,750は,どちらの見落としからも導けない値である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問76
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問 77
損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は,何百万円か。
〔損益計算資料〕単位 百万円
売上高 500
材料費(変動費) 200
外注費(変動費) 100
製造固定費 100
総利益 100
販売固定費 80
利益 20
正解:ウ
損益分岐点売上高は「固定費÷限界利益率」で求める。変動費は材料費200と外注費100を合わせて300百万円,固定費は製造固定費100と販売固定費80を合わせて180百万円である。限界利益は 売上高500-変動費300=200百万円で,限界利益率は 200÷500=0.4 になる。したがって損益分岐点売上高は 180÷0.4=450百万円で,答はウ。検算すると,売上高450のときの変動費は 450×0.6=270,限界利益は180で固定費180とちょうど釣り合い,利益0になる。実際の売上高500との差50百万円が余裕(安全余裕)で,安全余裕率は 50÷500=10%である。アの225は 180÷0.8 に一致し,変動費を外注費100だけとみなして限界利益率を 400÷500=0.8 と取った場合の値である。イの300は 180÷0.6 に一致し,変動費率0.6と限界利益率0.4を取り違えた場合の値になる(変動費の合計300と同じ数値だが偶然である)。エの480は 500-20 に一致し,売上高から利益を引いてしまった場合の値である。表の「製造固定費」と「販売固定費」が離れた行にあるため,固定費を合算し損なわないことが要点になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問77
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問 78
特許法による保護の対象となるものはどれか。
正解:ア
特許法は第2条第1項で「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義しており,これが保護の対象である。したがって答はア。「自然法則を利用した」という要件があるため,計算の手順そのものや人為的な取決め(ゲームのルールなど)は該当せず,「高度のもの」という要件によって実用新案法の対象となる考案(技術的思想の創作だが高度である必要がない)と区別される。イは著作権法の保護対象で,同法第2条は著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義している。表現を守る法律なので,同じ着想を別の表現で書いたものは別の著作物になる。ウは意匠法の保護対象で,物品や建築物,画像の形状・模様・色彩などが視覚を通じて美感を起こさせるデザインを守る。エは商標法の保護対象で,文字・図形・記号などの標章を商品や役務について使うことによって出所を示す目印を守る。4つの法律は「技術(特許)」「表現(著作権)」「デザイン(意匠)」「目印(商標)」を守ると整理すると取り違えにくい。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問78
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問 79
不正競争防止法の不正競争行為に該当するものはどれか。
正解:ウ
不正競争防止法は,周知または著名な商品等表示と混同を生じさせる行為,商品の形態を模倣する行為,不正の利益を得る目的でのドメイン名の取得・使用などを不正競争行為として禁じている。ウは,他人の商品名をドメイン名に用いたうえでその商品のコピー商品を販売しており,商標権の登録がなくても,需要者に混同を生じさせて不正の利益を得ているので不正競争行為に該当する。したがって答はウ。商標権がないから自由というわけではない点が要点である。アは,競争関係になく偶然に類似のドメイン名を取得したという事情なので,「不正の利益を得る目的」または「他人に損害を加える目的」という要件を満たさず該当しない。イは,その和菓子が有名ではない地方での販売であり,商品等表示に求められる周知性がその地域に及んでいないため混同のおそれがなく,該当しない。逆にいえば,全国的に著名な表示であれば地域を問わず保護される。エは,類似はしているが正当な利益を得る目的があると認められるので,やはり不正の目的の要件を欠く。判断の鍵は「周知性・著名性があるか」と「不正の目的があるか」の2点である。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問79
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問 80
個人情報のうち,個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。
正解:エ
個人情報保護法は,本人に対する不当な差別や偏見,その他の不利益が生じないように取扱いにとくに配慮を要する情報を「要配慮個人情報」と定めている。具体的には,人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実,身体・知的・精神の障害,健康診断等の結果,医師等による指導・診療・調剤の内容,被疑者・被告人として刑事手続を受けたこと,少年の保護事件の手続を受けたことが列挙されている。したがって答はエ。要配慮個人情報は,取得に際して原則として本人の同意が必要で,第三者提供におけるオプトアウト(本人の求めがあれば停止する方式)が認められないという厳しい扱いになっている。アは,本人が申告すれば要配慮個人情報になるという内容だが,法が列挙した項目で定まるものであり,本人の申告で設定されるものではない。イは運転免許証やクレジットカードの番号で,これらは個人識別符号(または個人情報)に当たるが,要配慮個人情報ではない。ウは勤務先や住所など個人を特定するための情報で,これは個人情報そのものの定義に関する記述である。「差別や不利益につながり得るか」が要配慮個人情報を見分ける基準になる。
出典:情報処理推進機構「令和6年度春期 応用情報技術者試験 午前問題」問80
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