日本語検定4級「敬語」の出題ポイント
日本語検定4級は中学校卒業程度の日本語力を測る級です。「敬語」領域では、尊敬語・謙譲語・丁寧語という3つの種類をきちんと区別できるか、そして家庭・学校・お店といった身近な場面でふさわしい言い方を選べるかが問われます。むずかしい言いかえを暗記するというより、「だれの動作を、だれに対して述べているか」を考えれば自然に解ける問題が中心です。この記事では、4級で確実に得点するための基礎を、やさしい例を使って整理します。
※出題範囲は変わる場合があります。最新情報は必ず日本語検定委員会 公式情報でご確認ください。
1. 敬語は大きく3種類
4級の敬語問題は、まず「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の3つの基本を理解することから始まります。それぞれの役割を一言でまとめると次のようになります。
| 種類 | はたらき | だれを高める? | 例 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手や目上の人の動作を高めて言う | 相手・話題の人 | 先生が話される/お客様が来られる |
| 謙譲語 | 自分の動作をへりくだって言う | (自分を下げて)相手 | 私が申し上げる/うかがう |
| 丁寧語 | 言い方そのものを丁寧にする | 聞き手 | です・ます/お茶・ご飯 |
ポイントは「動作の主語がだれか」です。相手や目上の人が動作をするなら尊敬語、自分(や自分の身内)が動作をするなら謙譲語を使います。丁寧語は主語に関係なく、文末を「です・ます」にしたり、語に「お・ご」を付けたりして全体を丁寧にする言い方です。
尊敬語のつくり方
尊敬語にはいくつかの作り方があります。4級では次の3パターンを覚えておけば十分です。
- 「れる・られる」を付ける:書く→書かれる、来る→来られる
- 「お(ご)〜になる」:読む→お読みになる、利用する→ご利用になる
- 特別な言い方:言う→おっしゃる、見る→ご覧になる、来る/行く/いる→いらっしゃる、食べる→召し上がる
謙譲語のつくり方
謙譲語は自分の動作をへりくだって、結果として相手を立てる言い方です。
- 「お(ご)〜する」:持つ→お持ちする、案内する→ご案内する
- 特別な言い方:言う→申す・申し上げる、見る→拝見する、行く/来る→うかがう・参る、食べる/もらう→いただく、する→いたす
2. 身近な場面での使い分け
4級では、家庭・学校・お店など日常の場面が題材になります。「だれの動作か」を確かめると正しく選べます。
| 場面 | 動作する人 | 正しい言い方 |
|---|---|---|
| 先生が教室に入ってきた | 先生(目上) | 先生がいらっしゃった(尊敬語) |
| 自分が先生のところへ行く | 自分 | 先生のところへうかがいます(謙譲語) |
| お客様が品物を見ている | お客様 | お客様がご覧になる(尊敬語) |
| 店員として品物を見せてもらう | 自分 | 拝見します(謙譲語) |
3. よくある誤りの判別
4級では「正しい敬語はどれか」「誤っているのはどれか」を選ぶ問題がよく出ます。次の典型的な間違いを覚えておきましょう。
(1) 二重敬語
尊敬語を二つ重ねてしまう間違いです。ていねいにしようとしすぎると起きます。
- ×「先生がおっしゃられる」→ ○「先生がおっしゃる」(「おっしゃる」だけで尊敬語)
- ×「お読みになられる」→ ○「お読みになる」
(2) 尊敬語と謙譲語の取りちがえ
相手の動作に謙譲語を使う、または自分の動作に尊敬語を使う間違いです。これが4級の最頻出ポイントです。
- ×「お客様が申しました」→ ○「お客様がおっしゃいました」(相手の動作には尊敬語)
- ×「私が先生におっしゃいました」→ ○「私が先生に申し上げました」(自分の動作には謙譲語)
- ×「お客様、こちらでいただいてください」→ ○「召し上がってください」
(3) 身内に尊敬語を使う
外の人に向かって、自分の家族や同じ会社の人の動作を述べるときは、身内には尊敬語を使いません。
- ×(よその人に)「父がおっしゃっていました」→ ○「父が申しておりました」
4. 例題で確認
問1 次の――線部の敬語の使い方が正しいものを選びなさい。
ア 先生が職員室に参ります。 イ お客様が席にお座りになる。 ウ 私が荷物をお持ちになる。
答え:イ。アは先生(目上)の動作に謙譲語「参る」を使っているので誤り。正しくは「いらっしゃいます」。ウは自分の動作に尊敬語「お持ちになる」を使っているので誤り。正しくは謙譲語「お持ちします」。イは相手の動作に尊敬語を正しく使っています。
問2 「食べる」を、お客様の動作を高める尊敬語に直しなさい。
答え:召し上がる。なお、自分が食べるときの謙譲語は「いただく」です。一組で覚えると取りちがえを防げます。
5. 特別な敬語の対応表
特別な言い方をする基本動詞は、尊敬語と謙譲語をセットで覚えると、取りちがえを防げます。4級では次の表の言葉が特に大切です。声に出して何度も読み、自然に口から出るようにしておきましょう。
| もとの言葉 | 尊敬語(相手の動作) | 謙譲語(自分の動作) |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 行く・来る | いらっしゃる・おいでになる | うかがう・参る |
| いる | いらっしゃる | おる |
| 食べる・飲む | 召し上がる | いただく |
| する | なさる | いたす |
| 知る・思う | ご存じだ | 存じる・存じ上げる |
この表の言葉は、4級の問題で「正しい組み合わせを選ぶ」「誤りを直す」という形でくり返し出ます。左右の列を取りちがえないことが、一番の得点源になります。
6. 丁寧語と「お・ご」の付け方
丁寧語は、文末を「です・ます」にすることと、言葉に「お」や「ご」を付けて上品にすることが中心です。一般に、和語(訓読みの言葉)には「お」、漢語(音読みの言葉)には「ご」が付くことが多い、と覚えておくと便利です。
- 「お」が付く例:お茶・お米・お手紙・お名前
- 「ご」が付く例:ご飯・ご住所・ご連絡・ご案内
ただし「ご飯」のように例外もあるので、迷ったら声に出して自然なほうを選びます。また、外来語(カタカナ語)には基本的に「お・ご」は付けません。
7. 学習のコツ
- 「言う・見る・行く・来る・食べる・いる・する」など、特別な敬語を持つ基本動詞を、尊敬語・謙譲語のセットで覚える。
- 問題文を読んだら、まず動作の主語が「相手側」か「自分側」かを確認する。
- 「おっしゃられる」のような二重敬語は、ていねいすぎる=誤り、と覚えておく。
- 家族や同じ会社の人=身内には、外の人に対して尊敬語を使わない。
敬語は理屈で解ける領域です。種類とパターンを整理したら、あとは一問一答でくり返し、判別のスピードを上げていきましょう。毎日少しずつでも、実際の会話を思い浮かべながら練習すると、知識が確実に身につきます。
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