秘書検定準1級「マナー・接遇」の出題ポイント解説
秘書検定準1級は一次筆記に加え二次面接があります。本ページでは一次筆記の選択問題で問われる知識を中心に解説します。記述・面接対策は公式テキストや面接対策での併用を推奨します。準1級の「マナー・接遇」は配点が大きい最重要分野です。高度な敬語運用と誤用の識別・上級の接遇判断・席次の高度な判断・改まった言葉遣い・交際の上級マナー(宗教別の弔事表書き・賀寿・贈答の格・代理での弔問祝賀)が問われます。2級より細かく、自然な敬語運用と場面に応じた配慮が中心です。
※出題範囲・内容は改定される場合があります。最新情報は必ず公益財団法人 実務技能検定協会(秘書検定) 公式情報でご確認ください。
高度な敬語運用と誤用の識別
敬語は尊敬語・謙譲語・丁寧語に分けられます。準1級では、正しい敬語を選ぶだけでなく、二重敬語や謙譲・尊敬の取り違えを見抜き、自然で改まった表現を選ぶ力が問われます。
| 種類 | 働き | 例 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手(や話題の人)の動作を高めて敬う | 言う→おっしゃる/見る→ご覧になる/いる→いらっしゃる |
| 謙譲語 | 自分(身内)の動作をへりくだって相手を立てる | 言う→申し上げる/見る→拝見する/行く→伺う |
| 丁寧語 | 「です・ます」で言葉づかいを丁寧にする | そうです/参ります(ていねいに述べる) |
注意したい誤用の例を挙げます。準1級では微妙な誤りを見抜く問題が頻出です。
| 誤った言い方 | 正しい言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| おっしゃられる | おっしゃる | 「おっしゃる」に「れる」を重ねた二重敬語 |
| 拝見させていただきます | 拝見します | 謙譲語に「させていただく」を重ねた過剰敬語 |
| 部長がそう申されました | 部長がそうおっしゃいました | 立てるべき相手に謙譲語「申す」は不適切 |
| (来客に)資料を拝見してください | ご覧ください | 相手の動作に謙譲語「拝見」を使うのは誤り |
社外の人に自社の上司の動作を言うときは、上司を身内として扱い、敬称や尊敬語を付けず「(部長の)田中は席を外しております」のように謙譲して述べます。
上級の接遇判断
準1級では、来客応対や電話応対でその場に応じた判断が問われます。基本動作を踏まえつつ、相手や状況に合わせた配慮が中心です。
- 予約客と急な来客が重なったときは、予約客を優先しつつ、急な来客にも失礼のない見通しを伝える。
- 上位の来客は、少し斜め前を歩いて案内し、上座をすすめる。お茶は来客(上位者)から先に出す。
- 面会を断る場合も、相手の面目を保つ言い方を選び、代案や次の機会を示して角が立たないようにする。
- 電話を切るときは原則かけた側から切るが、相手が目上のときは相手が切るのを待つ。
- 見送りは状況に応じてエレベーターや玄関まで行い、姿が見えなくなるまで対応する。
席次の高度な判断
準1級では、応接室だけでなく車内・列車・和室・円卓など、さまざまな場の席次が問われます。原則は「出入口から遠い・奥が上座」です。
| 場所 | 上座(上位者) | 下座(下位者) |
|---|---|---|
| 応接室 | 出入口から最も遠い席(長いす側が上位) | 出入口に近い席 |
| 運転手付きの車 | 運転席の後ろの席が最上位 | 助手席(運転手の隣)が下位 |
| 上司などが運転する車 | 運転席の隣(助手席)が上位 | 後部座席 |
| 和室(床の間あり) | 床の間を背にする席が上座 | 出入口に近い席が下座 |
| エレベーター | 操作盤の奥側が上座 | 操作盤の前(操作する位置)が下座 |
改まった言葉遣い・クッション言葉
準1級では、依頼や断りを和らげるクッション言葉に加え、改まった言い換えが問われます。場面に応じて自然に使い分けましょう。
| ふつうの言い方 | 改まった言い方 |
|---|---|
| すみませんが | 恐れ入りますが |
| できません | いたしかねます |
| 分かりません | 分かりかねます |
| どうしますか | いかがなさいますか |
| あとで | のちほど |
交際の上級マナー(上書き・水引・賀寿)
慶事・弔事ののし袋の上書きと水引の知識が問われます。準1級では宗教別の弔事や贈答の格、代理での弔問・祝賀まで問われます。
| 場面 | 上書きの例 | 水引 |
|---|---|---|
| 一般のお祝い | 御祝 | 紅白・金銀(蝶結び) |
| 結婚のお祝い | 寿・御結婚御祝 | 紅白・金銀(結び切り) |
| 香典(仏式) | 御霊前・御香典 | 黒白・双銀(結び切り) |
| 香典(神式) | 御玉串料・御榊料 | 黒白・双銀(結び切り) |
| 香典(キリスト教式) | 御花料 | 白封筒(または白黒) |
「御霊前」は宗教を問わず使えることが多い一方、「御仏前(御佛前)」は仏式の四十九日以降に用います。準1級では、弔事の場で宗教・宗派を確かめてから表書きを選ぶ配慮も問われます。
長寿の祝い(賀寿)も頻出です。数え年での代表的な呼び名を覚えましょう。
| 呼び名 | 年齢(数え年) | 由来 |
|---|---|---|
| 還暦(かんれき) | 61歳 | 干支が一巡してもとに還る |
| 古希(こき) | 70歳 | 「人生七十古来稀なり」から |
| 喜寿(きじゅ) | 77歳 | 「喜」の草書が七十七に見える |
| 傘寿(さんじゅ) | 80歳 | 「傘」の略字が八十に見える |
| 米寿(べいじゅ) | 88歳 | 「米」の字が八十八に分解できる |
| 卒寿(そつじゅ) | 90歳 | 「卒」の略字が九十に見える |
代理での弔問・祝賀と贈答の格
準1級では、上司の代理として弔問・祝賀に出向く場面のマナーも問われます。代理であることをわきまえた控えめな振る舞いが基本です。
- 代理で弔問する場合は、受付で上司の名を伝え、自分は代理である旨を述べて記帳する。
- 代理で祝賀に出るときも、主役はあくまで上司であることを忘れず、出過ぎた言動は控える。
- 贈答品やお祝い・香典の額は、相手との関係や上司の意向に応じた「格」に合わせ、独断で決めない。
- 弔事では地味な服装・控えめな化粧を心がけ、慶事との取り違えがないよう表書き・服装を確認する。
この章を覚えるコツ
- 誤用は「立てる相手」と「重ねすぎ」で判断:相手の動作には尊敬語、自分側には謙譲語。二重敬語・過剰敬語を狙って見抜きましょう。
- 水引は「結び切り=一度きり」:結婚・弔事・お見舞いは結び切り、と覚えると整理しやすくなります。
- 代理は「上司が主役」:代理であることを伝え、出過ぎず控えめに。額や格は独断で決めないのが正解です。
用語があいまいなときは用語集で確認し、学習全体の進め方は勉強法ガイドも参考にしてください。次は技能の章に進みましょう。
→ この章の一問一答75問に挑戦