ドローン国家資格 一等「運航上のリスク管理・カテゴリーIIIリスク評価」出題ポイント解説
一等無人航空機操縦士「運航上のリスク管理」分野は二等のSORA・緊急対応・事故報告等に加え、カテゴリーIIIリスク評価(SORA詳細:PRA・GRC・ARC・SAIL)が一等独自重点項目として出題されます。一等の最大の難所です。
※受験料・試験日程・合格基準・法令の数値は改定される場合があります。最新情報は必ず無人航空機操縦士試験案内サイトの公式情報でご確認ください。
1. SORA(Specific Operations Risk Assessment)
SORAは欧州発祥の特定運航リスク評価手法。日本のドローン運航、特にカテゴリーIIIで詳細な実装が求められます。10ステップ評価プロセスで運航全体のリスクを体系的に算定。
2. PRA(Pre-flight Risk Assessment)
SORAの第1段階:事前リスク評価。運航計画段階で実施する初期評価。
- 運航コンセプト(CONOPS)の策定
- 飛行範囲・飛行時間帯の特定
- 機体性能の初期確認
- 大まかなリスク要因の洗い出し
3. GRC(Ground Risk Class:地上リスククラス)
機体落下時の第三者被害の重大度を1-10の10段階で評価。
- 評価要素: 機体重量・運動エネルギー・落下密度
- 運航環境: 人口密度(人/km²)・地表種別(DID/郊外/集会場等)
- 低減策: 機体性能向上・パラシュート装着・飛行高度・速度制限
- 例: 小型機(25kg未満)×DID上空 → 中程度のGRC
- 例: 大型機(150kg超)×集会場上空 → 最高のGRC
4. ARC(Air Risk Class:空中リスククラス)
他航空機との衝突可能性をa-dの4段階で評価。
- ARC-a: 空域が無人航空機専用 → 最低リスク
- ARC-b: 一般空域だが管制下 → 中程度リスク
- ARC-c: 管制空域+有人機運航あり → 高リスク
- ARC-d: 空港周辺・国際線航路 → 最高リスク
- 低減策: ADS-B受信・地理的制限・飛行高度制限
5. SAIL(Specific Assurance and Integrity Level:特定保証完整性レベル)
GRCとARCを掛け合わせて決定される最終リスクレベル(I-VIの6段階)。SAILが高いほど厳格な運航要件が要求。
| SAIL | リスクレベル | 典型例 |
|---|---|---|
| I | 最低 | 郊外低空・無人空域 |
| II | 低 | DID外・管制下空域 |
| III | 中 | DID内・管制空域 |
| IV | 高 | DID内+有人機運航多 |
| V | 非常に高 | 都市部・空港近接 |
| VI | 最高 | 大規模集会・空港直近 |
6. OSO(Operational Safety Objective:運航安全目標)
SAILレベルに応じて要求される具体的安全要件。24項目程度あり、SAILが高いほど多くのOSOを満たす必要:
- 機体技術要件(フェイルセーフ・冗長性・記録機能)
- 操縦者要件(訓練・経験・健康管理)
- 運航管理要件(手順・マニュアル・組織)
- 緊急対応要件(緊急SOP・通報体制)
- 第三者保護要件(保険・立入管理・パラシュート)
7. 緊急時の対応手順
- フェイルセーフ作動: RTH・ホバリング・自動着陸・パラシュート
- 手動介入: フライトコントローラーの異常検知で操縦者がマニュアル制御に切替
- 不時着判断: 制御不能時は人・物件のない場所への墜落誘導を優先
- 通報: 第三者被害が予見される場合は消防・警察への通報
- カテゴリーIII追加要件: 遠隔監視者との連携・周辺有人機への通報
8. 事故・重大インシデント報告
航空法に基づき、以下事象は速やかに国土交通省へ報告義務:
- 人の死傷
- 第三者の物件損壊(一定額以上)
- 航空機との衝突・接触
- 機体の紛失・飛行制御不能(フライアウェイ)
- 火災
未報告は隠蔽として行政処分・刑事罰の対象。
9. 第三者賠償責任保険
第三者への損害賠償をカバーする保険。許可申請の事実上の必要要件で、無保険での業務運航は致命的リスク。カテゴリーIII業務では賠償限度額10億円以上が標準。動産・建物・人身傷害をカバー。
10. フライアウェイ防止策
- 離陸前のIMU・コンパスキャリブレーション
- GPS衛星捕捉数の確認(最低6〜7基推奨)
- 磁気干渉のある場所(鉄筋構造物近接・高圧線下)での飛行回避
- ファームウェア・アプリの最新化
- RTH高度の事前設定(障害物より高く)
- カテゴリーIII: 自動帰還ルートの事前検証・複数フェイルセーフ動作確認
11. 保険・補償の組み合わせ
- 第三者賠償責任保険(必須・カテゴリーIIIは10億円以上推奨)
- 機体保険(任意・高額機の場合推奨)
- 操縦者の傷害保険(バッテリー発火等の事故)
- サイバーリスク保険(遠隔監視システムへのサイバー攻撃)
関連記事
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- 過去問傾向は過去問の傾向と対策を参照
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