電験三種「機械」の出題ポイント解説
電験三種の機械は、回転機(直流機・誘導機・同期機)・静止器(変圧器)・パワーエレクトロニクス・自動制御・照明・電熱・情報処理の広範な分野を扱う電験三種の最難関科目。出題範囲が広く、理論の応用力も問われるため、体系的な学習が必須です。
この章の重要度
機械は範囲の広さと計算量で受験者を苦しめる科目。合格率も電験4科目中低い傾向。理論科目で基礎を固めた上で、誘導電動機・変圧器・パワエレの頻出3分野を中心に得点計画を立てるのが現実的です。
頻出トピック一覧
1. 直流機(発電機・電動機)
界磁・電機子・整流子・刷子。直流発電機:誘導起電力E=KΦN(K:定数、Φ:磁束、N:回転数)。直流電動機:トルクT=KΦIa(Ia:電機子電流)、回転数N=(V-IaRa)/(KΦ)。分巻・直巻・複巻の特性差、始動・速度制御方法。
2. 三相誘導電動機
産業用主流の電動機。同期速度Ns=120f/p(f:周波数、p:極数)、すべりs=(Ns-N)/Ns。誘導トルクT∝sV²/(R₂²+(sX₂)²)、最大トルクと始動トルクの関係。始動法(直入・Y-Δ始動・始動抵抗・リアクトル)、速度制御(電圧制御・周波数制御=VVVF)。
3. 同期機(同期発電機・同期電動機)
発電所主力機。同期速度Ns=120f/p、誘導起電力E=4.44fNΦkw(kw:巻線係数)。同期リアクタンスxs、V曲線(電機子電流と界磁電流の関係)、自己励磁現象、無負荷飽和曲線・短絡曲線から短絡比計算。
4. 変圧器
巻数比a=N₁/N₂=V₁/V₂=I₂/I₁、励磁電流(鉄損電流+磁化電流)。%インピーダンス降下、電圧変動率ε=p・cosθ+q・sinθ(p:%抵抗降下、q:%リアクタンス降下)、効率最大条件(鉄損=銅損)。V結線・Y-Δ結線の用途。
5. パワーエレクトロニクス
整流回路(単相・三相、半波・全波、位相制御)、チョッパ回路(降圧・昇圧)、インバータ(直流→交流、PWM制御)、サイクロコンバータ。素子:サイリスタ・GTO・IGBT・パワーMOSFETの動作原理と用途分けが頻出。
6. 自動制御
伝達関数G(s)、ブロック線図の結合、フィードバック制御系。周波数応答(ゲイン・位相)、ボード線図、ナイキスト線図、安定性判別(ラウス・フルビッツ)。PID制御(比例・積分・微分)の特性と調整方法も頻出。
7. 照明・電熱
照明:光束lm、照度lx=光束/面積、光度cd、輝度cd/m²。光源:白熱・蛍光・LED・HIDの特性比較。電熱:抵抗加熱(ジュール熱)、誘導加熱、誘電加熱、アーク加熱、熱効率計算。
8. 情報処理・ディジタル回路
2進・10進・16進変換、論理回路(AND・OR・NOT・XOR・NAND・NOR)、組合せ回路・順序回路、フリップフロップ、加算器、カルノー図による論理式簡単化。マイコン・通信の基礎も含まれます。
覚え方のコツ
機械分野攻略は「まず誘導電動機・変圧器・パワエレを徹底、余力で他分野」の優先順位で。誘導機の同期速度Ns=120f/p、すべりs=(Ns-N)/Ns、トルクT∝sV²/R₂の3公式は即答レベルに。変圧器は「巻数比・電圧変動率・%Z・効率最大条件」が計算問題の定番。パワエレは「整流・チョッパ・インバータ・サイクロコンバータ」の4基本回路と素子(サイリスタ・IGBT等)の対応を押さえる。自動制御はブロック線図の結合ルール(直列G₁G₂・並列G₁+G₂・フィードバックG/(1+GH))を暗記。照明の単位(lm・lx・cd・cd/m²)と関係式(lx=lm/m²)は混同しやすいので表化。論理回路は真理値表とド・モルガンの法則が基本。過去問15年分を周回すれば60点ラインは射程に入ります。
よくあるひっかけ
機械のひっかけ。①同期速度の式:Ns=120f/pで、周波数と極数の位置・分子分母を逆転。②すべりの定義:s=(Ns-N)/Nsで、分母を同期速度にするのが正しく、回転速度では誤り。③直流電動機のトルク:T=KΦIaで磁束と電機子電流の積、電圧との関係ではない。④変圧器の巻数比:a=N₁/N₂=V₁/V₂=I₂/I₁で、電流は逆比例(巻数多い側が電流小)。⑤効率最大条件:鉄損=銅損のとき、どちらか一方では誤り。⑥Y-Δ始動:始動電流・トルクとも全電圧始動の1/3、電流のみ低減は誤り。⑦インバータ:直流→交流変換で、交流→直流変換は整流器。⑧サイリスタとIGBT:サイリスタは一度ONにすると電流零まで切れない(自己消弧不可)、IGBTは自己消弧可で高速スイッチング。⑨照度の単位:lx(ルクス)でlm(ルーメン)ではない、光束と照度の混同。⑩フィードバック結合:G/(1+GH)が閉ループ伝達関数で、GHのみは開ループ。
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