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電験三種「電力」の出題ポイント解説

電験三種の電力は、発電・送電・配電・変電・電気材料を扱う分野です。A問題14問+B問題3題で、合格基準は原則60点。電力システム全体の知識が問われ、発電方式・送電線特性・変電設備・配電・電気材料の5領域を体系的に学ぶ必要があります。

この章の重要度

電力は暗記要素と計算要素が半々のバランス型科目。理論ほど難解ではなく、過去問対策が効きやすい合格を狙いやすい科目。電験三種4科目のうち電力と法規を1年目に、理論と機械を翌年以降に——という段階的合格戦略もよく採られます。

頻出トピック一覧

1. 水力発電

水力発電出力P=9.8QHη(kW)(Q:流量m³/s、H:有効落差m、η:総合効率)。方式:流込式(河川自然流量)、調整池式(日変動)、貯水池式(季節変動)、揚水式(夜間揚水・昼間発電)。水車:ペルトン(高落差)、フランシス(中落差)、カプラン(低落差)。

2. 火力発電

汽力発電のランキンサイクル:ボイラ→過熱器→タービン→復水器→給水ポンプ。コンバインドサイクル発電(ガスタービン+蒸気タービン)は総合効率60%超で主流。熱効率向上策(再生サイクル・再熱サイクル)、石炭・LNG・重油の燃料特性も頻出。

3. 原子力発電

加圧水型(PWR:一次冷却水が加圧、二次側で蒸気発生)と沸騰水型(BWR:原子炉内で直接蒸気発生)。核燃料(ウラン235・プルトニウム239)、減速材(軽水・重水・黒鉛)、冷却材の組合せ。安全性・廃棄物処理も論点。

4. 再生可能エネルギー

太陽光(シリコン結晶系・薄膜系、PCS=パワーコンディショナ)、風力(水平軸・垂直軸)、地熱、バイオマス、中小水力。固定価格買取制度(FIT)、出力変動対策、系統連系問題も近年出題増。

5. 送電線(架空線・地中線)

架空送電:電線(ACSR等)、がいし、鉄塔、コロナ放電(電圧過大で空気絶縁破壊)、多導体化(2〜4導体)。送電電圧:187kV〜500kV(超高圧)、66〜154kV(高圧)。短絡・地絡・雷サージなどの異常と保護。

6. 配電系統

6.6kV高圧配電(柱上変圧器)、100V/200V低圧配電(単相3線式・三相3線式)。配電方式:樹枝状(放射状)・ループ(環状)・バンキング。電圧降下v=√3×I×(R・cosθ+X・sinθ)、電力損失の計算。

7. 変電設備

変圧器(単相・三相、Y-Δ結線等、自冷・風冷・油冷)、遮断器(ガス・真空・油・空気)、断路器、開閉器、避雷器、変流器CT・計器用変圧器VT。変電所の単線結線図の読み方、遮断容量計算が頻出。

8. 電気材料

導電材料:銅(CC・硬銅)、アルミ(ACSR)。絶縁材料:空気、SF6ガス、ゴム、紙、合成樹脂、無機物。磁性材料:軟磁性(変圧器鉄心=ケイ素鋼板、アモルファス)、硬磁性(永久磁石=フェライト、ネオジム)。耐熱クラス(A・E・B・F・H)も頻出。

覚え方のコツ

電力分野攻略は「発電→送電→変電→配電のシステム全体像」を俯瞰することから。発電側(水力・火力・原子力・再生可能)の方式別特徴を表で整理、特に水力公式P=9.8QHηは必須暗記。火力はランキンサイクルとコンバインドサイクルの違い、効率向上策を理解。変圧器の損失(鉄損=無負荷損・銅損=負荷損)と効率最大条件(鉄損=銅損)は毎回出題の定番。送配電は「電圧降下v=√3I(Rcosθ+Xsinθ)」「電力損失P_L=3I²R」の公式を押さえる。電気材料は「導電=銅アルミ、絶縁=SF6・合成樹脂、磁性=ケイ素鋼板」のカテゴリ分けと、耐熱クラスA90℃・E120℃・B130℃・F155℃・H180℃の数字を覚えます。

よくあるひっかけ

電力のひっかけ。①水力発電出力:9.8QHη(kW)で、係数9.8を省略したり別の値にする。②水車の選定:ペルトン=高落差、フランシス=中落差、カプラン=低落差で混同。③PWRとBWR:PWRは蒸気発生器あり(二次系)、BWRは原子炉で直接蒸気発生、構造を取違え。④変圧器の損失と効率:鉄損は負荷に無関係で一定、銅損は負荷電流の2乗に比例。効率最大は鉄損=銅損のとき。⑤コロナ放電:電線太径化・多導体化で抑制、細径化では悪化。⑥送電電力と電圧:高電圧ほど同電力でも電流小→損失小、高電圧送電のメリット。⑦遮断器と断路器:遮断器は電流遮断可能、断路器は無電流時の開閉のみ(負荷遮断不可)。⑧変電所の接地方式:非接地・直接接地・高抵抗接地など系統による使い分け。⑨電気材料の耐熱クラス:A<E<B<F<Hの順で耐熱温度上昇、逆は誤り。⑩SF6ガス:絶縁耐力高く遮断器・GISで多用、温室効果ガスの側面もあり管理規制対象。

よくある質問

Q. 電験三種「電力」は何問出題されますか?

電力科目はA問題14題とB問題3題を解答し、B問題は1題が小問2つに分かれています。合格基準は原則60点です。発電・変電・送配電・電気材料などが出題範囲です。

Q. 発電方式の種類は?

水力(流込み式・調整池式・貯水池式・揚水式など)、火力(汽力・内燃力・ガスタービン・コンバインドサイクル)、原子力(加圧水型PWR・沸騰水型BWR)、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱・バイオマス)などがあります。

Q. 送電線の損失とは?

抵抗損(I²R)、コロナ損、誘電体損、漏れ電流による損失などがあります。高電圧で送電して電流を小さくすると、抵抗損を減らせます。

Q. 変圧器の損失と効率は?

無負荷損(主に鉄損:渦電流損+ヒステリシス損で、負荷に関係なく発生)と負荷損(主に銅損:巻線の抵抗損で、負荷電流の2乗に比例)があります。効率が最大になるのは、鉄損と銅損が等しくなるときです。

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他章の重要論点も併せて押さえると、関連分野の理解が深まり合格率が向上します。各章の頻出パターンを順に確認していきましょう。

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