一級ボイラー技士「燃料及び燃焼に関する知識」の出題ポイント解説
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一級ボイラー技士試験の燃料及び燃焼に関する知識は全40問中10問を占めます。重油A/B/C・LNG・LPG・石炭の性状と成分分析、発熱量計算、空気比・過剰空気、油バーナ・ガスバーナ・微粉炭バーナの構造、NOx・SOx対策とばい煙規制値まで、計算問題と暗記事項の両方が問われます。
※受験料・試験日程・出題範囲は改定される場合があります。最新情報は必ず安全衛生技術試験協会の公式情報でご確認ください。
この章の重要度
燃焼分野は計算問題(発熱量・空気量・燃焼ガス量)と用語暗記(燃料性状・バーナ種類・排ガス処理)が半々。一級では二級より燃焼計算と排ガス処理(NOx/SOx)が深く問われ、得点源とするには公式の正確な運用が必要です。計算問題は3〜4問、暗記4〜5問が標準的な出題構成です。
頻出トピック一覧
1. 液体燃料(重油A・B・C)
JIS規格で粘度・密度別に分類。重油A=低粘度・小型ボイラー用、重油B=中粘度、重油C=高粘度・大型船舶用・要予熱。重油の主要性状は密度・引火点・流動点・粘度・硫黄分・残留炭素。低温で流動性が落ちるため流動点以下では予熱必要。
2. 気体燃料(LNG・LPG)
LNG(液化天然ガス)はメタン主成分、硫黄分極少、煤煙発生少、NOx対策に有利。LPG(液化石油ガス)はプロパン・ブタン主成分、空気より重く漏えい時下方滞留。気体燃料は燃焼制御が容易・低空気比運転可能・SOx少が利点。
3. 固体燃料(石炭・微粉炭)
石炭は揮発分・固定炭素・灰分で分類。微粉炭燃焼は石炭を200メッシュ程度に粉砕し空気輸送、火炎安定性・燃焼効率高い。流動層燃焼・ストーカ燃焼との比較も頻出。
4. 発熱量と工業分析
高発熱量(HHV)=凝縮潜熱含む、低発熱量(LHV)=凝縮潜熱含まず。LHV=HHV−2,510×(9H+W)/100 [kJ/kg](H:水素含有率、W:水分)。工業分析は石炭の水分・揮発分・固定炭素・灰分。元素分析はC・H・O・N・S。
5. 燃焼の3要素と空気比
燃焼3要素=可燃物・酸素(空気)・着火温度。理論空気量A0は完全燃焼に必要な最小空気量、実際空気量A=m×A0。空気比mは気体1.05〜1.2、液体1.1〜1.3、固体1.2〜1.5。空気比過大は排ガス損失・NOx増、過小は不完全燃焼・CO発生。
6. 燃焼計算
炭素1kgの完全燃焼で必要酸素2.67kg・発熱量33,900kJ・CO₂生成3.67kg。水素1kgで酸素8kg・発熱量143,000kJ・水9kg。硫黄1kgで酸素1kg・SO₂生成2kg。理論空気量A0=11.49C+34.5(H-O/8)+4.31S [Nm³/kg]の公式運用が頻出。
7. 燃焼装置(バーナ)
油バーナ:圧力噴霧式・回転式・蒸気/空気噴霧式・低圧気流式。圧力噴霧式は構造単純・大容量向け、回転式は中容量向け、蒸気噴霧式は重油C向け。ガスバーナ:拡散燃焼式・予混合燃焼式。微粉炭バーナ:旋回流式・対向流式。
8. 排ガス処理とばい煙規制
NOx対策:低空気比燃焼・排ガス再循環(EGR)・二段燃焼・水蒸気噴射・選択触媒還元(SCR)。SOx対策:低硫黄燃料転換・湿式/乾式排煙脱硫装置。ばいじん対策:電気集じん器・バグフィルタ・サイクロン。大気汚染防止法のばい煙規制値遵守は法的義務。
覚え方のコツ
燃焼分野は「燃料種別の性状比較表」と「燃焼計算の公式暗記」が2大柱。燃料は「気体(クリーン・易制御)<液体(中間)<固体(汚れる・難制御)」の順で扱いが難しくなると覚え、空気比も気体(小)→液体(中)→固体(大)と対応。発熱量計算は「高発熱量−凝縮潜熱=低発熱量」を式で押さえ、燃焼効率はLHV基準が標準。空気比は「m=A/A0、m大=損失大NOx大、m小=不完全燃焼CO発生」を逆方向セットで暗記。燃焼計算は炭素2.67・水素8・硫黄1の必要酸素量(重量比)を暗記し、A0公式に当てはめます。NOx/SOx対策は「N=窒素=燃焼条件で発生・燃焼制御で抑制」「S=硫黄=燃料由来・脱硫で除去」と発生源で区別すると混乱しません。
よくあるひっかけ
一級燃焼分野のひっかけ。①重油A・B・Cの粘度:A<B<Cの順で粘度上昇、Cは予熱必須。逆順は誤り。②LPGの比重:空気より重く下方滞留、漏えい時要注意。軽いとする選択肢は誤り。③高発熱量と低発熱量:HHV>LHVで、ボイラー効率計算は通常LHV基準。逆指定は誤り。④空気比の値:気体1.05〜1.2、液体1.1〜1.3、固体1.2〜1.5。気体が大きいとする選択肢は誤り。⑤空気比過大の影響:排ガス損失増・NOx増加、燃焼効率は低下。効率向上とするのは誤り。⑥不完全燃焼の指標:CO増加・煤煙発生、CO₂はむしろ減少。⑦理論空気量の単位:Nm³/kgまたはNm³/Nm³(気体)、単位混同に注意。⑧NOx発生機構:高温域で空気中N₂が酸化(サーマルNOx)、燃料中Nの酸化(フューエルNOx)。低温では発生しにくい。⑨SOx発生:燃料中硫黄分由来、燃焼条件で大きく変わらない。低硫黄燃料が根本対策。⑩微粉炭の粒度:200メッシュ通過程度、粗すぎは未燃損失。⑪電気集じん器:高電圧でじん埃帯電→集じん。SOx除去には不適、ばいじん対策。⑫排ガス再循環(EGR):燃焼温度低下でNOx抑制、燃焼効率は若干低下。
よくある質問
Q. 一級ボイラー技士の燃料及び燃焼科目では何が問われますか?
燃料及び燃焼に関する知識では、重油・ガス・石炭などの燃料の性質や発熱量、理論空気量や空気比などの燃焼計算、油・ガス・固体燃料の燃焼方式と燃焼装置、通風、NOx・SOxなどの排ガス対策が扱われます。出題は10問です。
Q. 高発熱量と低発熱量の違いは?
高発熱量(HHV・総発熱量)は燃焼で生じた水蒸気が凝縮した時の凝縮潜熱を含む値、低発熱量(LHV・真発熱量)は水蒸気のまま排出される前提で凝縮潜熱を含まない値です。低発熱量=高発熱量−水蒸気の凝縮潜熱で、ボイラー効率計算では低発熱量を使うのが一般的です。
Q. 空気比とは?
空気比は、実際に供給した空気量Aを理論空気量A0で割った値(m=A/A0)です。一般に気体燃料、液体燃料、固体燃料の順に大きな空気比が必要になり、空気比が大きすぎると排ガス熱損失が増え、小さすぎると不完全燃焼になります。
Q. NOxとSOxの抑制対策は?
NOxは低空気比燃焼・排ガス再循環・二段燃焼・水噴射などで抑制し、後処理として選択触媒還元(SCR)があります。SOxは低硫黄燃料への転換、湿式・乾式の排煙脱硫装置で除去します。両者ともばい煙規制値(大気汚染防止法)の遵守が義務です。
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