数検1級「確率分布・統計的な推測」の出題ポイント
数検1級(実用数学技能検定1級)の「確率分布・統計的な推測」は大学程度の確率統計が対象です。期待値・分散、二項分布・ポアソン分布・正規分布、共分散・相関、不偏分散、母平均の区間推定、ベイズの定理まで幅広く問われます。本章は一問一答化できる1次計算技能の典型に絞った解説で、記述式の2次や検定論は教科書併用が必須です。
※出題範囲・基準は改定される場合があります。最新情報は必ず日本数学検定協会 公式情報でご確認ください。
期待値・分散
- 期待値:E(X) = Σ x_k p_k。分散:V(X) = E(X^2) − {E(X)}^2、標準偏差 σ = √(V(X))。
- 1次変換:E(aX+b) = aE(X)+b、V(aX+b) = a^2 V(X)。
- 計算例:サイコロ1個の目 X は E(X) = (1+2+3+4+5+6)/6 = 3.5。E(X^2) = (1+4+9+16+25+36)/6 = 91/6。V(X) = 91/6 − (3.5)^2 = 15.1667 − 12.25 = 2.9167(=35/12)。
二項分布・ポアソン分布
- 二項分布 B(n,p):P(X=k) = nCk p^k (1−p)^(n−k)。E(X)=np、V(X)=np(1−p)。
- ポアソン分布 Po(λ):P(X=k) = e^(−λ) λ^k / k!。E(X)=λ、V(X)=λ(期待値と分散が等しい)。n大・p小で np=λ 一定のとき二項分布の近似になります。
- 計算例:B(6, 1/6) は E(X)=6·(1/6)=1、V(X)=6·(1/6)·(5/6)=5/6≒0.833。
正規分布・標準化・確率密度関数
- 正規分布 N(m, σ^2):確率密度関数 f(x) = (1/(σ√(2π)))·e^(−(x−m)^2/(2σ^2))。平均 m を中心とした左右対称の釣鐘型です。
- 標準化:Z = (X−m)/σ は標準正規分布 N(0,1) に従い、正規分布表で確率を読み取れます。
- 計算例:X が N(50, 100)(σ=10)に従うとき X=70 の標準化値は Z = (70−50)/10 = 2.0。
- 連続型確率変数の期待値は E(X) = ∫ x f(x) dx(密度関数を用いた積分)で定義します。
共分散・相関係数
- 共分散:Cov(X,Y) = E(XY) − E(X)E(Y)。相関係数:ρ = Cov(X,Y)/(σ_X σ_Y)、−1≦ρ≦1。
- 和の分散:V(X+Y) = V(X) + V(Y) + 2Cov(X,Y)。X,Y が独立なら Cov=0 で V(X+Y)=V(X)+V(Y)。
不偏分散・区間推定
- 不偏分散:標本分散は n でなく (n−1) で割る。s^2 = Σ(x_i − x̄)^2 / (n−1)。母分散の偏りのない推定量です。
- 母平均の区間推定:母標準偏差 σ 既知のとき、信頼度95%の信頼区間は x̄ − 1.96·σ/√n ≦ m ≦ x̄ + 1.96·σ/√n。99%では係数 2.58。
- 計算例:x̄=50、σ=10、n=100 のとき σ/√n = 10/10 = 1。95%信頼区間は 50 − 1.96·1 ≦ m ≦ 50 + 1.96·1、すなわち 48.04 ≦ m ≦ 51.96。
ベイズの定理
- 定理:P(A|B) = P(B|A)·P(A) / P(B)。原因の確率を結果から逆算します。
- 計算例:ある病気の有病率 P(病)=0.01。検査の陽性的中 P(陽性|病)=0.9、誤検出 P(陽性|健康)=0.05。陽性のとき本当に病気の確率は P(病|陽性) = (0.9·0.01)/(0.9·0.01 + 0.05·0.99) = 0.009/(0.009 + 0.0495) = 0.009/0.0585 ≒ 0.154(約15.4%)。
用語の確認は用語集、学習の進め方は勉強法ガイドを参考に。確率統計が固まったら線形代数の章に戻って全体を復習しましょう。
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