数検1級「微分法(偏微分・多変数)」の出題ポイント
数検1級(実用数学技能検定1級)の「微分法」は、1変数の合成・積・商の微分や高次導関数・テイラー展開に加え、大学数学の多変数微分(偏微分・全微分・勾配・連鎖律・極値判定)まで広がります。本章は一問一答化できる1次計算技能の典型に絞った解説で、記述式の2次や高度な収束論は教科書併用が必須です。
※出題範囲・基準は改定される場合があります。最新情報は必ず日本数学検定協会 公式情報でご確認ください。
合成・積・商の微分(復習)
- 積:{f g}' = f'g + f g'。商:{f/g}' = (f'g − f g')/g^2。
- 連鎖律:{f(g(x))}' = f'(g(x))·g'(x)。例:(sin(x^2))' = cos(x^2)·2x = 2x cos(x^2)。
- 計算例:y = x·e^x の導関数は y' = 1·e^x + x·e^x = (1+x)e^x。
高次導関数
- f(x)=e^(2x) なら f'=2e^(2x)、f''=4e^(2x)、一般に f^(n)=2^n e^(2x)。
- f(x)=sinx は f'=cosx、f''=−sinx、f'''=−cosx、f''''=sinx と周期4で巡回。f^(n)(x)=sin(x + nπ/2) とまとめられます。
テイラー展開・マクローリン展開
関数を x=a の周りで多項式近似します。a=0 の場合がマクローリン展開です。
- e^x = 1 + x + x^2/2! + x^3/3! + …
- sinx = x − x^3/3! + x^5/5! − …、cosx = 1 − x^2/2! + x^4/4! − …
- log(1+x) = x − x^2/2 + x^3/3 − …(−1<x≦1)
- 計算例:e^x の3次までの近似で x=0.1 を代入すると 1 + 0.1 + 0.005 + 0.000167 ≒ 1.105167(実際の e^0.1≒1.10517 とよく一致)。
偏微分
多変数関数 z=f(x,y) を、片方の変数を定数とみなして微分したものが偏導関数です。∂f/∂x(x偏微分)、∂f/∂y(y偏微分)と書きます。
- 計算例:f(x,y) = x^2 y + 3xy^2 のとき ∂f/∂x = 2xy + 3y^2、∂f/∂y = x^2 + 6xy。
- 2階偏微分:∂^2f/∂x^2 = 2y、∂^2f/∂y^2 = 6x、∂^2f/∂x∂y = 2x + 6y。連続なら ∂^2f/∂x∂y = ∂^2f/∂y∂x(順序交換可・シュワルツの定理)。
全微分・勾配・連鎖律
- 全微分:dz = (∂f/∂x)dx + (∂f/∂y)dy。微小変化の和で z の変化を近似します。
- 勾配ベクトル:∇f = (∂f/∂x, ∂f/∂y)。関数が最も急に増加する方向を表します。上の例で点(1,1)では ∇f=(2·1·1+3·1, 1+6·1)=(5,7)。
- 多変数の連鎖律:z=f(x,y)、x=x(t)、y=y(t) なら dz/dt = (∂f/∂x)(dx/dt) + (∂f/∂y)(dy/dt)。
多変数の極値判定
2変数関数の極値は、まず ∂f/∂x = 0 かつ ∂f/∂y = 0 の停留点を求め、ヘッセ行列式 D で判定します。
- f_xx = ∂^2f/∂x^2、f_yy = ∂^2f/∂y^2、f_xy = ∂^2f/∂x∂y とし、D = f_xx·f_yy − (f_xy)^2。
- D>0 かつ f_xx>0 → 極小、D>0 かつ f_xx<0 → 極大、D<0 → 鞍点(極値でない)、D=0 は判定不能。
- 計算例:f = x^2 + y^2 − 2x − 4y。f_x = 2x−2=0、f_y = 2y−4=0 より停留点(1,2)。f_xx=2、f_yy=2、f_xy=0 なので D=2·2−0=4>0 かつ f_xx=2>0 → 点(1,2)で極小、極小値 f(1,2)=1+4−2−8=−5。
用語の確認は用語集、学習の進め方は勉強法ガイドを参考に。微分法が固まったら次は積分法(重積分・広義積分)の章へ進みましょう。
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