数検1級「微分方程式」の出題ポイント
数検1級(実用数学技能検定1級)の「微分方程式」は大学数学の代表的単元です。変数分離形・1階線形(積分因子)・同次形・完全形・ベルヌーイ型の1階方程式から、定数係数2階線形(特性方程式の3パターン)・初期値問題まで問われます。本章は一問一答化できる1次計算技能の典型に絞った解説で、記述式の2次や応用モデルは教科書併用が必須です。
※出題範囲・基準は改定される場合があります。最新情報は必ず日本数学検定協会 公式情報でご確認ください。
変数分離形
dy/dx = f(x)g(y) の形は、両辺を g(y) で割り x で積分します。
- 計算例:dy/dx = xy。両辺を整理して ∫(1/y)dy = ∫x dx → log|y| = x^2/2 + C。よって y = A e^(x^2/2)(A=±e^C は任意定数)。
- 検算:y = A e^(x^2/2) を微分すると dy/dx = A·x·e^(x^2/2) = x·y。元の式に一致。
1階線形微分方程式(積分因子)
y' + P(x)y = Q(x) は積分因子 μ = e^(∫P dx) を掛けて解きます。(μy)' = μQ となるので μy = ∫μQ dx。
- 計算例:y' + y = e^x。P=1 より μ = e^x。(e^x y)' = e^x·e^x = e^(2x)。積分して e^x y = (1/2)e^(2x) + C。よって y = (1/2)e^x + C e^(−x)。
- 検算:y' = (1/2)e^x − C e^(−x)。y' + y = (1/2)e^x − Ce^(−x) + (1/2)e^x + Ce^(−x) = e^x。一致。
同次形・完全形・ベルヌーイ型
- 同次形:dy/dx = f(y/x) の形。u=y/x と置くと変数分離形に帰着できます。
- 完全微分方程式:M dx + N dy = 0 で ∂M/∂y = ∂N/∂x が成り立つとき、F(x,y)=C の形の解をもつ。例:(2xy)dx + (x^2)dy = 0 は ∂(2xy)/∂y = 2x = ∂(x^2)/∂x なので完全形で、解は x^2 y = C。
- ベルヌーイ型:y' + P(x)y = Q(x)y^n。z = y^(1−n) と置くと1階線形に変換できます。
定数係数2階線形(特性方程式の3パターン)
y'' + a y' + b y = 0 は特性方程式 t^2 + a t + b = 0 の判別式 D で解の形が3通りに分かれます。
| 判別式 | 特性方程式の根 | 一般解 |
|---|---|---|
| D>0(相異なる実根 α,β) | 実根2個 | y = C_1 e^(αx) + C_2 e^(βx) |
| D=0(重解 α) | 実重根 | y = (C_1 + C_2 x) e^(αx) |
| D<0(虚数根 p±qi) | 共役複素根 | y = e^(px)(C_1 cos(qx) + C_2 sin(qx)) |
- 実根の例:y'' − 5y' + 6y = 0。t^2 − 5t + 6 = (t−2)(t−3)=0 → t=2,3。一般解 y = C_1 e^(2x) + C_2 e^(3x)。
- 重解の例:y'' − 4y' + 4y = 0。t^2 − 4t + 4 = (t−2)^2=0 → t=2(重解)。一般解 y = (C_1 + C_2 x) e^(2x)。
- 虚数根の例:y'' + 4y = 0。t^2 + 4 = 0 → t = ±2i(p=0, q=2)。一般解 y = C_1 cos2x + C_2 sin2x。
初期値問題
一般解の任意定数を初期条件で決定します。
- 計算例:y'' + 4y = 0、y(0)=1、y'(0)=2。一般解 y = C_1 cos2x + C_2 sin2x。y(0)=C_1=1。y' = −2C_1 sin2x + 2C_2 cos2x、y'(0)=2C_2=2 → C_2=1。よって y = cos2x + sin2x。
- 検算:y'' = −4cos2x − 4sin2x = −4y なので y''+4y=0。y(0)=1、y'(0)=2 も満たす。一致。
用語の確認は用語集、学習の進め方は勉強法ガイドを参考に。微分方程式が固まったら次は複素数・複素関数・級数の章へ進みましょう。
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