測量士試験「地図編集」出題ポイント解説
測量士試験「地図編集」の出題ポイントを整理。地球の形(ジオイド・GRS80楕円体・楕円体高)、地図投影法(正角・正積・等距・心射・平射・メルカトル)、UTM・平面直角座標系19系、地形図(2万5千分1・5万分1・電子国土)、地図記号と図式、編集作業(取捨選択・転位・誇張・統合・総描)、ベクタ/ラスタ、基盤地図情報、GIS(バッファ・オーバーレイ・ネットワーク解析・トポロジー)、JPGIS・メタデータまで体系的に解説します。
※受験料・試験日程・合格基準・出題範囲は改定される場合があります。最新情報は必ず国土地理院の公式情報でご確認ください。
出題傾向
- 分野: 地球の形、地図投影法、地形図、地図記号、編集作業、GIS、地理空間情報の標準(JPGIS)
- 出題形式: 午前択一で安定出題。投影法と座標系・編集作業の語句の正確な理解が問われる
- 午後記述: GISのトポロジー・オーバーレイ解析、基盤地図情報の活用などが選択問題で出題される
- 近年のトレンド: 電子国土・基盤地図情報・JPGISなど地理空間情報関連の出題が増加
頻出論点1: 地球の形(ジオイド・GRS80楕円体・楕円体高)
- ジオイド: 平均海面を陸上に延長した仮想の等ポテンシャル面。標高(正標高)の基準となる
- 地球楕円体: 地球の形を回転楕円体で近似したもの。長半径と扁平率で定義される。GRS80楕円体がJGD2011で採用
- 楕円体高・標高・ジオイド高: 楕円体高 = 標高 + ジオイド高 の関係。GNSS観測は楕円体高を得るので、標高を求めるにはジオイド高補正が必要
- ジオイドモデル: 国土地理院が日本のジオイドモデル(GSIGEO等)を公表しており、GNSS標高決定に用いる
頻出論点2: 地図投影法(正角・正積・等距・心射・平射・メルカトル)
- 正角投影: 局所的に角度(形状)が保たれる投影。メルカトル図法・UTM・平面直角座標系(ガウス・クリューゲル)が該当
- 正積投影: 面積が正確に表現される投影。サンソン・モルワイデ・ランベルト正積など。統計地図に用いる
- 等距投影: 特定方向の距離が正しく表現される投影
- 心射投影(gnomonic): 大円が直線で表現される。航空航海に用いる
- 平射投影(stereographic): 正角性を持ち、円は円として表現される。極地の地図に用いる
- メルカトル図法: 正角円筒図法。航海図に最適だが、高緯度の面積が著しく拡大される
頻出論点3: UTM・平面直角座標系19系
- UTM座標系: 経度6度幅で60帯に分割した横メルカトル投影。日本は第51〜56帯に含まれる。1/2万5千・1/5万地形図に採用
- 平面直角座標系: 全国を19系に分け、各系で原点を定めて狭範囲の歪みを最小化したガウス・クリューゲル投影。公共測量で標準的に用いる
- 系の選択: 公共測量を行う地域に応じて系1〜系19から選定する。原則として系をまたぐ広域測量では系ごとに座標を持つ
- 縮尺係数: 中央経線で0.9999、原点から離れるに従い1.0以上に変化する
頻出論点4: 地形図(2万5千分1・5万分1・電子国土)
- 1/2.5万地形図: 国土地理院発行の基本図。日本全土をカバーする最も詳細な国家地形図。等高線主曲線10m・計曲線50m
- 1/5万地形図: 広域用の地形図。主曲線20m・計曲線100m
- 電子国土基本図: デジタル形式の基本図。WEB配信され、随時更新される。基盤地図情報の表示基盤
- 地理院地図: 国土地理院のウェブ地図サービス。様々な地理空間情報を重ね合わせて表示できる
頻出論点5: 地図記号・図式
- 地図記号: 道路・建物・河川・植生・行政界等を一定の記号で表現する。1/2.5万・1/5万で記号体系が定められている
- 図式: 地図記号・線種・色彩・文字の使い方を統一的に定めたルール。国土地理院が「2万5千分1地形図図式」等で規定
- 注記: 地名・建物名等の文字情報。書体・大きさ・配置のルールが図式で定められる
- 更新: 地図記号は時代の変化(風力発電・自然災害伝承碑等の追加)に応じて改定される
頻出論点6: 編集作業(取捨選択・転位・誇張・統合・総描)
- 取捨選択: 地図の縮尺・目的に応じて、表現する地物を取捨する。重要度の高いものを優先する
- 転位: 地物が近接して重なるとき、重要度の低い地物をずらして表示する。重要度の高い地物の位置を優先
- 誇張: 細い道路・小河川など縮尺上消えてしまう要素を、線幅を太く表現するなどして強調する
- 統合: 個々に表現すると煩雑になる地物を、まとめて一つの記号や面で表現する(建物群を集落として表現等)
- 総描(総合描示): 複雑な地形・地物を、特徴を残しつつ簡略化して描く。海岸線・等高線の曲率調整など
頻出論点7: ベクタ/ラスタと基盤地図情報
- ベクタデータ: 点・線・面を座標で表現するデータ。拡大しても劣化しない。道路・行政界・建物外形などに適する
- ラスタデータ: 画素(ピクセル)の集合で表現するデータ。航空写真・衛星画像・スキャン地図など連続的な情報に適する
- 基盤地図情報: 地理空間情報活用推進基本法に基づく、電子地図上の位置の基準となるデータ集合。13項目(測量の基準点・海岸線・行政区画・道路縁・建築物の外周線・等高線等)が定められ、国土地理院が無償提供
- 更新・配布: 基盤地図情報は国土地理院のサイトからダウンロードでき、GIS等で活用される
頻出論点8: GIS(バッファ・オーバーレイ・ネットワーク解析・トポロジー)
- GIS(地理情報システム): 位置情報を持つデータを統合的に管理・分析・可視化するシステム
- バッファ解析: ある地物から一定距離内の領域を生成する解析。河川から○m以内の浸水想定区域の抽出等
- オーバーレイ解析: 複数のレイヤを重ね合わせ、論理演算(AND・OR・差)で新しいデータを生成する解析
- ネットワーク解析: 道路網等のグラフ構造上で、最短経路・到達圏・配送ルート最適化等を計算する
- トポロジー: 位相関係(隣接・包含・連結)を保持するデータ構造。境界の食い違い・閉合不整合を検出できる
頻出論点9: JPGIS・地理空間情報の標準化とメタデータ
- JPGIS(地理情報標準プロファイル): ISO/TC211の国際標準を日本向けに整備した地理空間情報の標準。データの相互運用性を確保する
- メタデータ: データに関するデータ。作成者・作成日・座標系・精度・更新履歴等を記述する。検索・利用の判断に必要
- JMP(地理情報標準メタデータプロファイル): メタデータの記述項目・書式を定めた標準
- クリアリングハウス: メタデータを検索可能な形で公開する仕組み。地理空間情報の流通促進に寄与する
効果的な学習法
地図編集は暗記中心の分野ですが、投影法の特性(正角・正積・等距)、座標系(UTM・平面直角19系)、編集作業(取捨選択・転位・総描の違い)など、似た用語の区別が問われます。表で整理して覚えるのが効果的です。GISはオーバーレイ・バッファ・ネットワーク解析の使い分けを実例で理解しましょう。当サイトの一問一答で論点を固めたら、最後の応用測量の出題ポイントに進みましょう。
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