電験一種 用語集|試験頻出50語以上を完全解説【理論/電力/機械/法規】
第一種電気主任技術者(電験一種)一次試験で頻出する重要用語60語以上を、読み方(ふりがな)付きで完全解説しました。理論・電力・機械・法規の4科目を横断的に網羅し、二次試験の論述対策の土台にもなる体系的な用語集です。電圧無制限の最上位資格にふさわしい高度な概念から、現場保安管理の基礎まで一気に整理できます。
※受験料・試験日程・合格基準等は改定される場合があります。最新情報は必ず電気技術者試験センターの公式情報でご確認ください。
この用語集の使い方
- 4科目(理論・電力・機械・法規)の用語を横断整理
- 読み方(ふりがな)付きで音読暗記にも対応
- 電験二種からのステップアップに必須の高度概念を網羅
- 二次試験の論述・計算問題の語彙基盤として活用可能
電験一種 重要用語集(60語以上)
理論系(電磁気・回路・電子・制御)
- 電磁誘導(でんじゆうどう)
- 磁束の時間変化により導体に起電力が生じる現象。ファラデーの法則 e = -dφ/dt で表され、変圧器・発電機・電動機すべての動作原理。電験一種では時変ベクトルポテンシャルからの導出も問われます。
- 変位電流(へんいでんりゅう)
- 誘電体中で電界の時間変化により等価的に流れる電流 J_d = ε∂E/∂t。マクスウェルが導入した概念で、コンデンサが交流回路で電流を流せる根拠となります。電磁波の伝搬を理論的に成立させる重要量。
- マクスウェル方程式(まくすうぇるほうていしき)
- 電磁気現象を統一的に記述する4つの偏微分方程式。ガウスの法則、磁束保存則、ファラデーの法則、アンペール-マクスウェルの法則からなり、電磁波の存在を予言した古典電磁気学の根幹です。
- ポインティングベクトル(ぽいんてぃんぐべくとる)
- 電磁界中の電力流密度を表すベクトル S = E × H [W/m²]。送電線や同軸ケーブルの電力伝送が「電磁界に乗って」起こることを示し、表皮効果や近接効果の理解に必須。
- インピーダンス(いんぴーだんす)
- 交流回路における電圧と電流の比を複素数で表した量 Z = R + jX [Ω]。抵抗成分とリアクタンス成分の合成で、力率・周波数特性・電力計算の基本量となります。
- アドミタンス(あどみたんす)
- インピーダンスの逆数 Y = 1/Z = G + jB [S]。並列回路の解析や送電線4端子定数の取扱いで威力を発揮し、コンダクタンスGとサセプタンスBに分解されます。
- テブナンの定理(てぶなんのていり)
- 線形回路網を開放電圧V₀と内部インピーダンスZ₀の等価電圧源で置換できる定理。電験一種では多端子回路への一般化や、対称座標法と組み合わせた事故計算に応用されます。
- ノートンの定理(のーとんのていり)
- 線形回路網を短絡電流I₀と内部アドミタンスY₀の等価電流源で置換できる定理。テブナンと双対関係にあり、アドミタンス行列を扱う系統解析で多用されます。
- ラプラス変換(らぷらすへんかん)
- 時間関数f(t)を複素周波数sの関数F(s)に変換する積分変換 F(s) = ∫₀^∞ f(t)e^(-st)dt。微分方程式を代数方程式に変換でき、過渡応答・伝達関数解析の標準ツール。
- 過渡応答(かとおうとう)
- 回路や系の入力が変化した直後から定常状態に至るまでの応答。RLC回路では時定数τ=L/R や τ=CRで減衰し、電験一種では2次系の減衰係数ζ・固有角周波数ω_nの解析が頻出。
- 伝達関数(でんたつかんすう)
- 線形時不変系の入力U(s)と出力Y(s)の比 G(s) = Y(s)/U(s)。極・零点配置で安定性と応答特性が決まり、フィードバック制御設計の中核概念です。
- ボード線図(ぼーどせんず)
- 周波数応答をゲイン[dB]と位相[°]で対数周波数軸上に表示するグラフ。ゲイン余裕・位相余裕で安定性を判別でき、古典制御の代表的設計ツールとして電験一種で頻出。
- ナイキスト線図(ないきすとせんず)
- 開ループ伝達関数 G(jω)H(jω) を複素平面に周波数掃引で描く軌跡。-1+j0点を囲む回数で閉ループ安定性を判別(ナイキスト安定判別法)。むだ時間系の安定解析にも有効。
- カルノー図(かるのーず)
- 論理関数を最小項マスとして格子状に表示し、最簡形を視覚的に得る簡略化手法。電験一種電子分野では4変数までのカルノー図による論理回路設計が問われます。
- OPアンプ(おぺあんぷ)
- 差動増幅段+電圧フォロワを集積化した高利得直流増幅器。仮想短絡・仮想接地の概念で反転・非反転・加算・微分・積分回路を構成でき、計装・制御で広く用いられます。
- サイリスタ(さいりすた)
- PNPN4層構造のスイッチング半導体素子。ゲートトリガで導通し、電流ゼロで遮断する自己消弧不可型のため、整流・位相制御に使われます。HVDCの古典型変換器でも採用。
- IGBT(あいじーびーてぃー)
- 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。MOSFETの高速性とBJTの低オン電圧を併せ持つ自己消弧型スイッチング素子で、PWMインバータ・大容量電力変換器の主力デバイス。
電力系(送配電・系統解析・電力工学)
- 電力潮流(でんりょくちょうりゅう)
- 電力系統各ノード間を流れる有効・無効電力の分布。母線電圧・位相を未知数とする非線形連立方程式を反復解法(ニュートン・ラフソン法等)で解く電力潮流計算は系統運用の基盤。
- 短絡容量(たんらくようりょう)
- 系統の短絡点における三相短絡電力 P_s = √3·V·I_s [MVA]。遮断器の遮断容量選定基準で、系統規模・電源接続容量と密接に関連します。
- 安定度(あんていど)
- 系統擾乱後に同期運転を維持できる能力。定態安定度・過渡安定度・電圧安定度に分類され、等面積法・スイング方程式 M(d²δ/dt²) = P_m - P_e による解析が電験一種の頻出テーマ。
- 同期化力(どうきかりょく)
- 同期発電機が同期運転を保とうとする復元力。dP_e/dδ で表され、安定度限界の指標。位相差δが90°を超えると同期化力が負となり脱調します。
- FACTS(ふぁくつ)
- Flexible AC Transmission Systems。電力電子機器を用いて交流系統の電圧・潮流・安定度を高速制御する技術の総称。SVC・STATCOM・UPFC・TCSC等が含まれます。
- SVC(えすぶいしー)
- Static Var Compensator(静止形無効電力補償装置)。サイリスタ位相制御リアクトル(TCR)と固定コンデンサ(FC)の組合せで無効電力を連続調整し、系統電圧を安定化します。
- STATCOM(すたっとこむ)
- Static Synchronous Compensator。自励式電圧型変換器を用いた無効電力補償装置で、SVCより応答が速く低電圧時の補償能力も維持できる。風力・太陽光連系点で多用。
- 直流送電(ちょくりゅうそうでん・HVDC)
- 交流を直流変換して送電し、受電端で再び交流に戻す方式。長距離・海底ケーブル・周波数の異なる系統連系(北海道-本州、紀伊水道等)で採用。安定度・損失面で交流より優位。
- 系統連系(けいとうれんけい)
- 太陽光・風力・コージェネ等の分散電源を電力系統に並列接続すること。電圧上昇・単独運転・高調波・逆潮流の課題があり、系統連系規程・連系技術要件で規定されます。
- 需給調整市場(じゅきゅうちょうせいしじょう)
- 2021年に創設された電力系統の周波数・需給バランス調整力を取引する卸市場。一次〜三次調整力に区分され、再エネ大量導入時代の系統安定化基盤として位置付け。
- 再エネFIT/FIP(さいえねふぃっと/ふぃっぷ)
- FITは固定価格買取制度、FIPはFeed-in Premium(市場価格+プレミアム)。FITは2012年〜、FIPは2022年〜段階的に導入され、再エネ電源の収入安定化と市場統合を両立。
- BEMS(びーむす)
- Building Energy Management System。ビル単位のエネルギー使用量を計測・可視化・制御する管理システム。省エネ法・建築物省エネ法対応や需要応答(DR)の実行基盤。
- 力率改善(りきりつかいぜん)
- 遅れ無効電力を進相コンデンサで補償し力率を1に近づける対策。送電損失低減・電圧降下改善・基本料金割引(高圧需要家の力率割引)の効果があります。
- コロナ放電(ころなほうでん)
- 高電圧送電線表面で空気の絶縁破壊により局部放電が発生する現象。電力損失(コロナ損)・無線雑音・可聴騒音の原因となり、多導体化・素線径拡大で抑制します。
機械系(電動機・パワエレ・照明・電熱)
- 同期インピーダンス(どうきいんぴーだんす)
- 同期発電機の電機子巻線抵抗と同期リアクタンスを合成した内部インピーダンス Z_s = r_a + jx_s。短絡電流・電圧変動率・安定度限界を決定する基本パラメータ。
- V曲線(ぶいきょくせん)
- 同期電動機の界磁電流を横軸、電機子電流を縦軸にとり負荷一定で描いた特性曲線。最小電流点が力率1で、左右で進相・遅相となるV字形状からこの名称。
- ベクトル制御(べくとるせいぎょ)
- 誘導電動機の三相電流をd-q軸(界磁軸・トルク軸)に座標変換し、磁束とトルクを独立制御する高性能制御方式。直流機並みの応答性を実現し、サーボ駆動の標準。
- すべり(すべり)
- 誘導電動機の同期速度N_sと回転速度Nの差の同期速度に対する比 s = (N_s - N)/N_s。定格運転で3〜5%程度。トルク・効率・二次入力計算の基本量。
- PWM変調(ぴーだぶりゅーえむへんちょう)
- Pulse Width Modulation。基準正弦波と三角波キャリアを比較してパルス幅を変調し、平均値で交流出力電圧を制御する方式。高調波抑制と高効率を両立できインバータの標準。
- マルチレベルインバータ(まるちれべるいんばーた)
- 3レベル以上の出力電圧を合成できる電力変換器。ダイオードクランプ型・フライングキャパシタ型・カスケード型があり、高圧大容量用途や太陽光大規模PCSで採用。
- 共振形コンバータ(きょうしんがたこんばーた)
- LC共振回路の共振電流・電圧波形を利用してスイッチング損失をほぼゼロにする変換方式(ZVS/ZCS)。高周波・高効率化に有利で、車載充電器やデータセンタ電源で実用化。
- SiC・GaN(しりこんかーばいど/がりうむないとらいど)
- ワイドバンドギャップ半導体。Siより高耐圧・高温・高速スイッチング動作が可能で、電力変換器の小型・高効率化を牽引。SiCはMOSFET/SBD、GaNはHEMTが代表素子。
- 固体高分子形燃料電池(こたいこうぶんしがたねんりょうでんち・PEFC)
- プロトン交換膜を電解質に用いる燃料電池。低温作動・高出力密度から自動車(FCV)・定置用コージェネで実用化。電験一種では発電原理と効率計算が出題範囲。
法規系(電気事業法・電技・施設管理)
- 事業用電気工作物(じぎょうようでんきこうさくぶつ)
- 一般用電気工作物以外の電気工作物。自家用電気工作物と電気事業用電気工作物に区分され、設置者には保安規程の届出・主任技術者選任・自主検査の義務が課されます。
- 自家用電気工作物(じかようでんきこうさくぶつ)
- 電気事業の用に供する以外の事業用電気工作物。600V超で受電する需要設備、出力規模を超える発電設備等が該当し、電気主任技術者の選任が必須。
- 主任技術者選任(しゅにんぎじゅつしゃせんにん)
- 事業用電気工作物の設置者に課される、保安監督者として電気主任技術者を選任し経済産業大臣に届け出る義務。電験一種は電圧・出力の制限なく全ての事業用電気工作物に選任可。
- 保安規程(ほあんきてい)
- 事業用電気工作物の設置者が保安確保のため定め、経済産業大臣に届け出る規程。点検頻度・運用方法・災害対応・主任技術者の職務等を記載します。
- 電気事業法(でんきじぎょうほう)
- 電気事業の運営と電気工作物の保安を定める法律。発電事業・送配電事業・小売電気事業の区分、託送供給、ライセンス制等を規定。法規科目の中核法令です。
- 電技解釈(でんぎかいしゃく)
- 電気設備技術基準の解釈。電技本文の抽象的要求事項を具体的な数値・構造で示した経済産業省告示で、施工・保守の事実上の標準です。
- 絶縁抵抗値(ぜつえんていこうち)
- 電技解釈で定める使用電圧区分ごとの絶縁抵抗下限値。300V以下0.2MΩ、300V超0.4MΩ、対地電圧150V以下0.1MΩ等。絶縁抵抗計(メガー)で測定します。
- B種接地(びーしゅせっち)
- 高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側中性点に施す接地。混触時の低圧側電圧上昇を抑制する目的で、接地抵抗値は高圧側1線地絡電流から算出します。
- 短絡電流計算(たんらくでんりゅうけいさん)
- 短絡事故時に流れる電流を百分率インピーダンス法等で算出する解析。遮断器容量選定・保護協調・機器の機械的耐量設計の基礎で、対称座標法と組合せて非対称事故にも対応。
- 絶縁協調(ぜつえんきょうちょう)
- 系統各機器の絶縁強度を避雷器の制限電圧基準に経済的・合理的に調整する設計思想。雷サージ・開閉サージに対する被害を最小化します。
- 調相設備(ちょうそうせつび)
- 系統の無効電力を調整して電圧を維持する設備。同期調相機・電力用コンデンサ(SC)・分路リアクトル(ShR)・SVC・STATCOMが含まれます。
- 地絡継電器(ちらくけいでんき・GR/DGR)
- 地絡電流または地絡方向を検出して遮断器をトリップさせる保護リレー。GRは電流検出、DGR(方向性GR)は地絡電流の方向まで判別でき、もらい事故を防止します。
- 避雷器(ひらいき)
- 雷サージ・開閉サージの異常電圧から機器を保護する避雷装置。常時は絶縁を保ち過電圧時のみ放電する酸化亜鉛形(ZnO)が主流で、特高系統では絶縁協調の基準。
用語学習のコツ
- 定義だけでなく単位・公式・物理的意味を3点セットで覚える:電験一種は記述・論述(二次)も視野に、用語の定量的取扱いまで踏み込みましょう。
- 4科目を横断的に整理する:同じ用語(例:力率・インピーダンス)でも理論・電力・機械で文脈が異なるため、複数視点で押さえます。
- 電験二種の用語集を土台に強化する:一種固有の高度概念(FACTS・対称座標法の応用・マクスウェル方程式等)を上乗せで補強。
- 過去問とセットで覚える:一種では用語の単純穴埋めは少なく、計算・記述で用語の理解が問われます。過去問演習と紐付けて記憶定着を図りましょう。
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