日本語検定3級「文法」の出題ポイント
日本語検定3級の文法領域は、品詞や助詞・助動詞の働き、受身・使役・可能の表現、「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」などの注意される言い方、そして主語と述語の対応(呼応・係り受け)や「文のねじれ」を見抜く力を問います。学校文法の暗記だけでなく、実務で正確に伝わる文を作る力が試されるのが特徴です。本記事で頻出論点を整理しましょう。
※出題範囲は変わる場合があります。最新情報は必ず日本語検定委員会 公式情報でご確認ください。
1. 品詞の識別
文法の土台は品詞の見分けです。自立語と付属語、活用の有無を軸に整理します。
| 分類 | 活用 | 品詞 |
|---|---|---|
| 自立語(活用あり) | 用言 | 動詞・形容詞・形容動詞 |
| — | — | |
| 自立語(活用なし) | 体言 | 名詞 |
| 修飾・接続など | 連体詞・副詞・接続詞・感動詞 | |
| 付属語(活用あり) | — | 助動詞 |
| 付属語(活用なし) | — | 助詞 |
特に紛らわしいのが連体詞と形容動詞・副詞の区別です。「大きな箱」の「大きな」は活用せず体言だけを修飾するので連体詞、「静かだ」は「静かに・静かで」と活用するので形容動詞です。「ある日」「いわゆる」「あらゆる」「たいした」も連体詞の頻出語です。
2. 助詞・助動詞の働き
助詞は意味の核を担う付属語です。同じ語形でも働きが異なるため、用法の識別が問われます。
紛らわしい助詞「の」「が」「で」
- 「の」…連体修飾(私の本)/主格(雨の降る日=雨が降る日)/体言の代用(赤いのがほしい)
- 「が」…主格(風が吹く)/逆接(行ったが留守だった)
- 「で」…場所(公園で遊ぶ)/手段(電車で行く)/原因(病気で休む)/断定「だ」の連用形(静かである)
助動詞「れる・られる」の四用法
「れる・られる」は受身・尊敬・可能・自発の四つの意味をもち、文脈で判別します。
- 受身…先生に褒められた(他から動作を受ける)
- 尊敬…社長が来られる(相手を高める)
- 可能…一人で食べられる(できる)
- 自発…故郷が思い出される(自然にそうなる)
3. 受身・使役・可能の表現
使役は「(誰かに)させる」、受身は「(誰かから)される」、可能は「できる」を表します。形の作り方と、組み合わせた「使役受身」を整理します。
| 意味 | 五段動詞「書く」 | 一段動詞「食べる」 |
|---|---|---|
| 使役 | 書かせる | 食べさせる |
| 受身 | 書かれる | 食べられる |
| 可能 | 書ける(可能動詞) | 食べられる |
| 使役受身 | 書かせられる(書かされる) | 食べさせられる |
4. 「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」「れ足す言葉」
ら抜き言葉
一段動詞・カ変動詞の可能表現で、本来必要な「ら」を抜いたものが「ら抜き言葉」です。話し言葉では広がっていますが、改まった場・書き言葉では避けるべきとされます。
- ×食べれる ○食べられる
- ×見れる ○見られる
- ×来れる ○来られる
見分け方のコツ:その動詞を使役「させる」にできるもの(食べさせる・見させる)は、可能でも「られる」が正用です。一方、五段動詞「書く・読む」は元から可能動詞「書ける・読める」が正しく、これは「ら抜き」ではありません。
さ入れ言葉
使役の「せる」で足りるところに余分な「さ」を入れたものが「さ入れ言葉」です。「させていただく」を作るときに起きやすい誤りです。
- ×読まさせていただく ○読ませていただく
- ×書かさせていただく ○書かせていただく
五段動詞は「〜せる」、一段動詞は「〜させる」が正しい形です。五段動詞に「させ」を付けると誤りになります。
れ足す言葉
可能動詞に不要な「れ」を足したものが「れ足す言葉」です。「行ける」で十分なところを「行けれる」とするのは誤りです(×行けれる ○行ける/×書けれる ○書ける)。
5. 係り受け・呼応・文のねじれ
呼応の副詞
特定の副詞は文末に決まった形を要求します(陳述の副詞)。3級の頻出ポイントです。
| 副詞 | 呼応する文末 | 例 |
|---|---|---|
| 決して | 〜ない(打消) | 決してあきらめない |
| たぶん・おそらく | 〜だろう(推量) | たぶん来るだろう |
| もし | 〜ば・〜なら(仮定) | もし雨なら中止だ |
| まるで | 〜ようだ(比況) | まるで夢のようだ |
| なぜ・どうして | 〜か(疑問) | なぜ遅れたのか |
| たとえ | 〜ても(逆接仮定) | たとえ負けても悔いはない |
主語・述語のねじれ
一文が長くなると主語と述語が対応しなくなる「文のねじれ」が起こります。3級では誤文を正す問題が出ます。
- ×私の夢は、医者になって人の命を救いたい。
○私の夢は、医者になって人の命を救うことだ。(主語「夢は」に述語「〜ことだ」を対応させる) - ×この製品の特長は、軽くて丈夫で長持ちします。
○この製品の特長は、軽くて丈夫で長持ちすることです。
長い文は「主語は何か」「その述語は何か」を一度切り出して確認すると、ねじれを見抜けます。
例題で考え方を確認
問 次の傍線部のうち、改まった場面で避けるべき言い方はどれか。①明日は早く来られる。②資料を読まさせていただきます。③もっと書けるようになりたい。
考え方 ①は正しい可能表現。③も五段動詞の可能動詞で正しい。②は五段動詞「読む」に余分な「さ」が入った「さ入れ言葉」で誤り。正しくは「読ませていただきます」。避けるべきは②。「さ入れ」は五段動詞+させ、で起きると覚えましょう。
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