行政書士「行政法」の出題ポイント解説
行政書士試験の行政法は全科目中最大の配点(112点)を誇る最重要分野。行政法総論・行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法の6本柱を体系的に押さえる必要があります。本記事では行政法の頻出論点を体系的に整理します。
この章の重要度
行政法は択一19問×4点=76点+多肢選択2問×8点=16点+記述1問×20点=112点。300点満点中37.3%を占める最大配点分野。ここで8割以上(90点)取れれば合格がほぼ確実です。
頻出トピック一覧
1. 行政法総論(行政行為・行政裁量)
行政行為の分類:法律行為的行政行為(下命・禁止・許可・免除・特許・認可・代理)と準法律行為的行政行為(確認・公証・通知・受理)。行政行為の効力:公定力・不可争力・不可変更力・自力執行力。行政裁量:羈束行為と裁量行為の区別、裁量の踰越濫用(マクリーン事件の判断枠組み)。
2. 行政手続法
申請に対する処分:審査基準・標準処理期間・理由の提示。不利益処分:処分基準・聴聞(許可取消等重大な場合)・弁明の機会(その他の場合)・理由の提示。行政指導:任意性・不利益取扱いの禁止・書面交付請求権・行政指導の中止等の求め(36条の2)・処分等の求め(36条の3)。届出・意見公募手続(パブリックコメント)。
3. 行政不服審査法
審査請求(原則)・再調査の請求(法律に規定ある場合)・再審査請求(法律に規定ある場合)。審査請求期間:処分を知った日の翌日から3か月以内。審理員(処分に関与しない職員)・行政不服審査会への諮問・裁決の種類(認容・棄却・却下)。
4. 行政事件訴訟法(抗告訴訟)
取消訴訟:処分性・原告適格・訴えの利益・出訴期間(処分を知った日から6か月、処分の日から1年)。無効等確認訴訟・不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟(申請型/非申請型)・差止訴訟。仮の救済:執行停止・仮の義務付け・仮の差止め。
5. 当事者訴訟・客観訴訟
当事者訴訟:形式的当事者訴訟(収用補償額の訴訟)・実質的当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認訴訟)。客観訴訟:民衆訴訟(選挙訴訟・住民訴訟)・機関訴訟。
6. 国家賠償法
1条責任(公権力の行使):公務員の故意過失・違法性・損害。判例:職務行為基準説。2条責任(公の営造物の設置管理の瑕疵):無過失責任的。道路・河川・公務員官舎など。求償権(1条は故意重過失のみ、2条は原因者があれば可能)。
7. 地方自治法
直接請求:条例制定改廃(1/50)・事務監査(1/50)・議会解散(1/3)・議員首長解職(1/3)・主要公務員解職(1/3)。住民訴訟(242条の2):住民監査請求前置主義。条例:法律の範囲内(徳島市公安条例事件の判断基準)。議会と長の関係:不信任議決と解散。
8. 行政強制・行政罰
行政強制:行政代執行(代替的作為義務)・執行罰(砂防法のみ残存)・直接強制・強制徴収。即時強制(義務を前提としない)。行政罰:行政刑罰(刑法総則適用)・秩序罰(過料)。
覚え方のコツ
行政法は「手続法→不服審査法→訴訟法」の3段ロケットとして対応関係を意識すると理解が進みます。処分前は行政手続法で意見陳述、処分後は不服審査法で審査請求、それでも不服なら訴訟法で取消訴訟、という流れ。各法律の期間(手続法:標準処理期間/不服審査:3か月/訴訟:6か月・1年)を一覧表にして比較暗記します。取消訴訟の訴訟要件(処分性・原告適格・訴えの利益・被告適格・管轄・出訴期間)は判例と結びつけて暗記。特に処分性の判例(ごみ処理場設置、病院開設中止勧告、土地区画整理事業計画など)は必須。地方自治法の直接請求は「1/50・1/3」の分数と署名数要件を表で暗記しましょう。
よくあるひっかけ
行政法の頻出ひっかけ。①行政手続法の適用除外:地方公共団体の条例に基づく処分・行政指導は適用除外、ただし法律に基づく処分は適用あり。②聴聞と弁明:許認可の取消など重大な処分は聴聞、その他は弁明の機会付与。③審査請求期間:「処分を知った日の翌日から3か月」と「処分の日の翌日から1年」の二重期間、どちらか早い方。④取消訴訟の処分性:内部的行為・行政指導は原則処分性なし、ただし一定の法的効果があれば肯定される判例も(病院開設中止勧告)。⑤原告適格:「法律上保護された利益」説(9条2項の考慮事項)、小田急訴訟で拡大傾向。⑥執行停止:原則不停止、重大な損害を避けるため緊急の必要あり・本案理由なしとは認められないとき。⑦国賠1条の違法性:職務行為基準説(通常尽くすべき注意義務違反)、結果不法説ではない。⑧直接請求の署名数:条例は1/50(軽い)、解散・解職は1/3(重い)、混同注意。
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