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エネルギー管理士「熱と流体の流れの基礎・燃料と燃焼」出題ポイント解説

熱分野の課目II「熱と流体の流れの基礎・燃料と燃焼」は、熱力学の第1・第2法則、各種熱力学サイクル、伝熱、流体力学、燃料・燃焼計算が中心。物理量の関係式を正確に使いこなす計算問題と、用語・現象の知識問題が混合で出題されます。

※受験料・試験日程・合格基準・出題範囲は改定される場合があります。最新情報は必ず省エネルギーセンターの公式情報でご確認ください。

1. 熱力学の第1法則・第2法則

第1法則(エネルギー保存): 系の内部エネルギー変化ΔU=Q−W(Qは加えられた熱、Wは系がした仕事)。エンタルピーh=u+pv、定圧過程ではq=Δh、定積過程ではq=Δu。第2法則: 熱は自然には低温から高温へ移動しない(クラウジウスの表現)/第二種永久機関は不可能(トムソンの表現)。エントロピー変化ds=dq_rev/T、可逆過程で等エントロピー、不可逆過程ではエントロピー増大。

2. 蒸気の性質(湿り蒸気・飽和・過熱)

飽和液線・飽和蒸気線を境界に、湿り蒸気・過熱蒸気・圧縮液に区分。乾き度xは湿り蒸気中の蒸気質量割合で、湿り蒸気のエンタルピーh=h'+x(h''−h')、比体積v=v'+x(v''−v')。蒸気表・モリエ線図(h-s線図)の読み方を習得し、ボイラ出口蒸気の状態決定、タービン出口の乾き度計算ができることが必須。

3. 熱力学サイクル(カルノー・ランキン・ブレイトン・冷凍)

カルノーサイクル: 理論最高効率η=1−Tc/Th(温度はK)。ランキンサイクル: 蒸気動力サイクル、ポンプ→ボイラ→タービン→復水器、再熱・再生サイクルで効率改善。ブレイトンサイクル: ガスタービンサイクル、圧縮比πが大きいほど効率向上、η=1−1/π^((κ−1)/κ)。コンバインドサイクル: ガスタービン排熱で蒸気タービンを駆動し総合効率55%超。冷凍サイクル: 圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器、COP=Q低/W(冷凍)、COP=Q高/W(ヒートポンプ)。

4. 伝熱(伝導・対流・放射)

熱伝導(フーリエの法則): q=−λ・dT/dx、平板の熱通過率1/K=1/α1+Σ(δi/λi)+1/α2。対流熱伝達: q=α(T_w−T_f)、無次元数Nu=αL/λ、Re=ρuL/μ、Pr=μcp/λ、強制対流Nu=f(Re,Pr)、自然対流Nu=f(Gr,Pr)。放射伝熱(ステファン・ボルツマン): q=εσT^4、σ=5.67×10^-8 W/(m²·K^4)、ε=放射率(黒体は1)、二面間放射は形態係数Fと放射率を考慮。

5. 熱交換器(LMTD・NTU法)

並流・向流・直交流の流れ形式があり、伝熱量Q=U・A・ΔT_LMTD。対数平均温度差ΔT_LMTD=(ΔT1−ΔT2)/ln(ΔT1/ΔT2)。向流形は同じ条件で並流形より大きな温度差を実現でき、出口温度の逆転も可能。NTU-ε法: NTU=UA/(mc)_min、有効度ε=Q/Q_max、流量・比熱比C*=Cmin/Cmaxとともに有効度を求める。多管円筒形・プレート式・空冷式の形式と用途も問われます。

6. 流体の基本式(連続式・ベルヌーイ)

連続の式: ρ1A1v1=ρ2A2v2(圧縮性)、非圧縮では A1v1=A2v2。ベルヌーイの式: p+½ρv²+ρgz=一定(非粘性・非圧縮・定常流)。実流体では損失hL を加味。運動量保存でジェット・曲管・スプリンクラの推力計算。レイノルズ数Re=ρvd/μで流れの状態を判定し、円管内では2,300以下が層流、4,000以上が乱流とされます。

7. 管摩擦損失・ポンプ動力

ダルシー・ワイスバッハの式: hf=λ(L/d)(v²/2g)、摩擦係数λはRe・相対粗さからムーディ線図で求める。層流域ではλ=64/Re。局所損失はhL=ζ(v²/2g)。ポンプ動力: 軸動力P=ρgQH/η(H:全揚程、Q:流量、η:総合効率)。キャビテーション: 局所圧力が飽和蒸気圧以下になり気泡発生・潰滅、NPSH(有効吸込ヘッド)の確保が対策。遠心送風機のサージングは流量低下時の振動現象。

8. 燃料と発熱量(HHV・LHV)

燃料は気体燃料(都市ガス13A、LNG、LPG)/液体燃料(重油A・B・C、灯油、軽油)/固体燃料(石炭、コークス、バイオマス)に分類。高発熱量HHVは燃焼で生じた水を液体とみなし、低発熱量LHVは気体とみなした値(HHV−2,500×9H相当)。元素分析(C・H・O・N・S・水分・灰分)と工業分析(水分・揮発分・固定炭素・灰分)の違い、低位発熱量の概算式(Dulong式等)が出題されます。

9. 燃焼計算・空気比・排ガス分析

理論空気量A_th: 燃料を完全燃焼させるのに必要な最小空気量。実空気量A=m・A_th空気比m=A/A_th(過剰空気率μ=m−1)。気体燃料は容積基準[m³N/m³N]、液体・固体は質量基準[m³N/kg]。排ガス分析(O2%、CO2%)から空気比を逆算: m≈21/(21−O2%) が頻出近似式。NOx・SOx対策では、低NOxバーナ・二段燃焼・排ガス再循環(EGR)・脱硝SCR・脱硫装置の原理を押さえます。空気比は大きすぎると排ガス損失増大、小さすぎると不完全燃焼でCO増加・煤発生のため、最適点での管理が省エネの要諦です。

覚え方のコツ

計算課目の攻略は「主要公式30個の即書き+過去問15年分の反復」。優先公式: η_carnot=1−Tc/Th、ランキン・ブレイトンの効率式、Nu/Re/Pr、Stefan-Boltzmann q=εσT^4、ΔT_LMTD、Bernoulli p+½ρv²+ρgz、Darcy hf=λ(L/d)(v²/2g)、ポンプP=ρgQH/η、空気比m=21/(21−O2%)、HHV−LHV=2,500×9H。蒸気はモリエ線図・蒸気表の読み方を実問題で繰り返し体得。燃焼計算は元素別必要酸素量(C:1mol→O2:1mol、H2:1mol→O2:0.5mol、S:1mol→O2:1mol)を完全暗記し、空気は酸素21vol%で割ることで理論空気量を即算できるよう訓練します。伝熱は「フーリエ=伝導、ニュートン=対流、ステファンボルツマン=放射」の対応を意識。

よくあるひっかけ

熱基礎のひっかけ。①カルノー効率の温度: 絶対温度K(摂氏℃ではない)で計算、℃のまま代入する誤答肢。②エンタルピーと内部エネルギー: h=u+pvでpv分が異なる。定圧加熱でq=Δh、定積でq=Δu。③乾き度x: 蒸気質量割合(0=飽和液、1=飽和蒸気)、液質量割合と取り違えさせる。④ランキンサイクルの再熱・再生: 再熱=タービン途中で蒸気を再加熱、再生=蒸気の一部を抽気して給水加熱、両者を混同させる。⑤対数平均温度差: ΔT_LMTD=(ΔT1−ΔT2)/ln(ΔT1/ΔT2)、算術平均(ΔT1+ΔT2)/2と取り違える誤答肢。⑥ベルヌーイ適用条件: 非粘性・非圧縮・定常流の理想条件、実流体損失を無視する選択肢に注意。⑦レイノルズ数の臨界値: 円管内2,300・遷移〜4,000、平板層流10^5前後など対象により値が異なる。⑧キャビテーションとサージング: 前者は液体ポンプの気泡現象、後者は送風機の流量振動、混同しない。⑨HHVとLHV: 「高位発熱量」が生成水を液体(凝縮潜熱含む)、低位は気体(含まない)、ガス機器表記との対応に注意。⑩空気比mと過剰空気率μ: m=A/A_th、μ=m−1、両者を取り違える誤答肢。⑪排ガスO2からの空気比推定式: m=21/(21−O2%)(乾きベース近似)、CO2基準やO2をそのまま空気比として扱う誤り。

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