資格道場
📊 ログイン 無料登録

エネルギー管理士「電力応用」出題ポイント解説

電気分野の課目IV「電力応用」は、電動力応用(ポンプ・ファン・コンプレッサ)、電気加熱、電気化学、照明、エネルギー需給管理を扱う応用課目。各分野の物理原理と省エネ技術の組合せが問われ、計算問題と知識問題が均等に出題されます。

※受験料・試験日程・合格基準・出題範囲は改定される場合があります。最新情報は必ず省エネルギーセンターの公式情報でご確認ください。

1. 電動力応用の基礎と相似則

負荷の機械的特性(定トルク負荷/定出力負荷/二乗逓減負荷)と電動機トルク特性のマッチングが基本。遠心ポンプ・送風機の相似則(親和則): 流量Q∝N、揚程H∝N²、軸動力P∝N³(Nは回転速度)。流量を50%に絞ると、回転数制御では軸動力が0.5³=12.5%に低下、一方ダンパ・バルブ絞り制御では動力低減効果が小さい。これがVVVF(インバータ)駆動の省エネ効果の根拠で、ポンプ・ファン分野の最重要論点です。

2. ポンプ・ファン・コンプレッサの省エネ

流量制御方式の電力比較: バルブ絞り(流量∝抵抗、動力低減小)/吐出側バイパス(消費電力ほぼ一定で最非効率)/吸込ベーン制御(ファン用、中程度)/回転数制御(VVVF、最省エネ)並列・直列運転: 並列で流量増、直列で揚程増、特性曲線と抵抗曲線の交点で運転点が決定。コンプレッサはターボ・スクリュ・往復・スクロール式、空気漏れ・吸込温度・吐出圧管理が省エネの基本。空気圧縮機の理論動力P=p1V1×ln(p2/p1)(等温)またはP=κ/(κ−1)×p1V1×{(p2/p1)^((κ−1)/κ)−1}(断熱)。

3. 始動・制動・速度制御

誘導電動機の始動法: 全電圧(直入れ・小容量)、スターデルタ(定格電流の1/3、トルクも1/3)、リアクトル始動、コンドルファ始動、VVVFソフトスタート制動: 発電制動(電源切断+抵抗)、回生制動(電源側へ電力回生)、逆相制動(プラッギング・急停止)、直流制動。速度制御: VVVF制御(最一般)、二次抵抗制御(巻線形、損失大)、ベクトル制御(精密トルク制御)、ダイレクトトルク制御。回生電力を電源側へ戻せるシステムは省エネ効果が大きく、エレベータ・クレーン・電車で多用。

4. 電気加熱(抵抗・誘導・誘電)

抵抗加熱: ジュール熱P=I²R、ニクロム線・カンタル線等の発熱体、間接式(炉壁ヒータ)・直接式(被加熱物に通電)。アーク加熱: 高温短時間(鋼の溶解、アーク炉)。誘導加熱: 渦電流・ヒステリシス損による発熱、表面加熱・焼入れに有利、表皮深さδ=√(2/(ωμσ))で周波数が高いほど薄く加熱(高周波焼入れ)。誘電加熱: 高周波電界中の誘電体損P=2πfε0εr tanδ E²、木材乾燥・プラスチック溶着。マイクロ波加熱: 2,450MHzで水分子の双極子緩和、食品・乾燥用途。赤外線加熱: 放射加熱、表面塗装乾燥に有利。各方式の加熱速度・効率・選定基準を整理。

5. 電気化学(ファラデー法則・蓄電池・燃料電池)

ファラデーの電気分解の法則: 析出量w=(M/zF)×It(M:原子量、z:価数、F=96,485C/mol)。電気分解は食塩電解(NaOH+Cl2+H2)、銅電解精製、水電解(水素製造)、アルミ精錬(ホール・エルー法)等。蓄電池: 鉛蓄電池(自動車・産業)、NiCd・NiMH、リチウムイオン電池(高エネルギー密度、EV・系統蓄電の主力)、NaS電池(大規模蓄電)、レドックスフロー電池(長寿命)。燃料電池: PEFC(固体高分子、80℃前後、家庭用エネファーム)/PAFC(リン酸、200℃、業務用)/MCFC(溶融炭酸塩、650℃)/SOFC(固体酸化物、800〜1,000℃、最高効率)。各形式の動作温度・電解質・用途を整理。

6. 照明(光度・光束・照度・色温度)

光束Φ[lm]: 光源から放射される可視光の量、光度I[cd]=dΦ/dω(単位立体角あたり光束)、照度E[lx]=dΦ/dA(単位面積あたり光束)、輝度L[cd/m²]: 単位面積あたり光度。点光源の逆二乗の法則E=I/r²(垂直照度)、傾斜面はE=I cosθ/r²色温度[K]: 低い(〜3,000K)が電球色(暖色)、5,000K前後が昼白色、6,500K以上が昼光色(寒色)。演色性Ra: 自然光下の見え方を100として相対比較、Ra80以上が一般用途、Ra90以上が美術館等。

7. 各種光源とLED省エネ

白熱電球: 効率10〜15 lm/W、寿命1,000h、生産・輸入縮小。蛍光ランプ: 60〜110 lm/W、寿命6,000〜12,000h、水銀含有で順次置換。HID(高輝度放電灯): 高圧水銀・メタルハライド・高圧ナトリウム(〜130 lm/W)、屋外・高天井用。LED: 100〜180 lm/W、寿命40,000h以上、調光・調色容易、即時点灯、低発熱、省エネ照明の本命有機ELは面発光・薄型。照明の光束法: 必要光束Φ=E×A/(U×M)(E:必要照度、A:面積、U:照明率、M:保守率)で必要ランプ数を算出します。

8. エネルギー需給管理(契約・力率割引・デマンド)

電力契約: 業務用・産業用は高圧・特別高圧、契約電力に基本料金が連動。力率割引: 力率85%を基準に、85%超で1%ごとに基本料金を1%割引、85%未満で1%ごとに1%割増(電力会社共通的な扱い)。デマンド管理: 30分間の平均電力(kW)の最大値が契約電力に直結。デマンド監視装置で警報・自動制御し、空調・大型負荷をピークシフト/カット。蓄電池併用のピークカット、自家発電によるピーク対応、デマンドレスポンス(DR)参加で電気料金圧縮。

9. 系統連系・UPS・高調波対策

系統連系: 太陽光・風力等の発電設備を商用系統に接続。単独運転検出(受動的方式・能動的方式)、逆潮流の電圧管理、力率0.95以上の維持、FRT(Fault Ride Through)要件等の技術要件を満たす必要。UPS(無停電電源装置): オンライン式(常時インバータ給電・高品質)、オフライン式(停電時のみ切替・安価)、ラインインタラクティブ式(中間)。蓄電池+インバータ+整流器+バイパス回路の構成。高調波抑制: 高圧需要家には「高調波抑制対策ガイドライン」で発生量の上限が設定され、LCフィルタ・アクティブフィルタ・多パルス整流(12パルス・18パルス)で抑制します。

覚え方のコツ

電力応用は「分野別の省エネ三種の神器」を頭に整理。ポンプ・ファン=VVVF(相似則P∝N³)、加熱=誘導加熱(局所・高効率)/断熱保温、照明=LED化+光束法による適正照度設計、需給管理=力率改善+デマンドピークカット+蓄電。電気化学はファラデー定数F=96,485C/mol、燃料電池のPEFC〜SOFCの動作温度の昇順を一度紙に書き出して暗記。照明の単位(lm、cd、lx、cd/m²)は「光源から発する→放射方向に対し→面に届き→面から見える」の流れで整理。需給管理は電気料金の構造(基本料金=契約kW×単価×力率係数)を一度自分の事業所の請求書で確認すると体感的に理解できます。

よくあるひっかけ

電力応用のひっかけ。①遠心ポンプの相似則: 動力P∝N³(回転数の3乗)、流量∝N・揚程∝N²、指数を取り違える誤答肢。②流量制御の省エネ比較: 回転数制御>吸込ベーン>バルブ絞り>バイパスの順、順番を入れ替える選択肢。③スターデルタ始動: 始動電流・始動トルクとも定格の1/3、電流のみ1/3とする誤答。④誘導加熱の表皮深さ: 周波数が高いほど薄く加熱、低い方が薄いとする誤り。⑤誘電加熱と誘導加熱: 誘電=絶縁体(木材・プラ・食品)、誘導=導体(金属)、被加熱物の種類で取り違える。⑥ファラデー定数: F=96,485C/mol(電気量と物質量の比)、数値の桁を間違える。⑦燃料電池の動作温度: PEFC〜80℃/PAFC約200℃/MCFC約650℃/SOFC約1,000℃、温度順を入れ替える誤答。⑧光度・光束・照度の単位: 光度cd・光束lm・照度lx、混同する。⑨色温度の高低と暖寒: 色温度が低い=電球色(暖色)、高い=昼光色(寒色)、暖寒のイメージと色温度数値が逆転しがちで要注意。⑩力率割引基準: 85%を基準に1%ごとに1%増減、95%や90%と勘違いさせる。⑪デマンドの計測単位時間: 30分間平均、15分間や1時間平均と取り違え。⑫高調波の主成分: 三相整流系は5・7次、単相整流系は3次、対象を入れ替える誤答。⑬LEDの効率: 100〜180 lm/Wが現代水準、白熱電球並み(10〜15 lm/W)とする誤り。

今すぐ問題演習を始めよう!
エネルギー管理士 一問一答 →

同資格の他の章を学ぶ

この資格の関連記事

エネルギー管理士の勉強法とおすすめ参考書【独学合格ガイド】
エネルギー管理士に独学合格するための勉強法・参考書・学習スケジュールを徹底解説。共通課目(法規)と熱分野・電気分野の選び方、4課目それぞれ60%以上の合格基準を突破する学習法を紹介します。
エネルギー管理士の難易度と合格率【4課目60%の壁】
エネルギー管理士の合格率(約30%前後)・難易度を詳しく解説。熱分野と電気分野の難易度比較、各課目60%以上の合格基準、電験三種との比較、独学合格戦略を分析します。
エネルギー管理士の申込方法と受験の流れ【完全ガイド・免状交付要件】
エネルギー管理士試験の申込・試験当日の流れ・合格発表までを完全解説。受験料17,000円、年1回(8月)、マークシート式。免状交付には1年以上の実務経験と実務従事証明書が必要です。
エネルギー管理士のよくある質問15選|熱と電気どちらを選ぶか
エネルギー管理士のよくある疑問15問を解決。受験資格・免状交付の実務経験要件・熱分野と電気分野の選び方・独学可否・合格率・勉強時間・電験三種との関係・科目合格制度を網羅解説します。
エネルギー管理士の合格体験記【プラント勤務者の独学合格】
化学プラント・製造業・ビルメンテナンス会社勤務者がエネルギー管理士試験に独学合格した体験記。学習スケジュール・使用教材・課目別の攻略法を実例で詳しく紹介します。
エネルギー管理士の試験日程・申込スケジュール【2026年版】
エネルギー管理士試験は年1回(8月)実施。申込は4月から、合格発表は10月頃。申込時期から受験までの逆算スケジュールと、300〜500時間の学習計画の立て方を解説します。
エネルギー管理士の過去問の傾向と対策【5分野別解析】
エネルギー管理士試験の過去問の活用法を解説。共通課目I(法規)と専門課目II〜IV(熱分野 or 電気分野)の構成、5分野別の頻出論点を詳しく解析します。
エネルギー管理士の重要用語集50選【頻出キーワード解説】
エネルギー管理士試験の頻出専門用語50語を解説。省エネ法・特定事業者・カルノーサイクル・LMTD・HHV・LHV・吸収冷凍機・コージェネレーション・VVVF・誘導加熱・燃料電池など5分野の重要キーワードをまとめました。
エネルギー管理士の仕事・年収・活かせる業界
エネルギー管理士の仕事内容・キャリアを解説。大手製造業・化学・鉄鋼・セメント・電力・ビル管理での需要、第一種エネルギー管理指定工場での選任義務、年収500〜700万円の目安を紹介します。
エネルギー管理士のおすすめ参考書ランキング【独学合格】
エネルギー管理士試験の独学におすすめの参考書・問題集・過去問を用途別に紹介。熱分野と電気分野で異なる対策書の選び方、マークシート式4課目に対応した書籍を解説します。
エネルギー管理士の通信講座・独学を比較
エネルギー管理士試験の学習方法を比較。独学・通信講座・eラーニングそれぞれの費用・メリット・向いている人を整理し、熱分野・電気分野別に自分に合った合格ルートを解説します。
エネルギー管理士「共通:エネルギー総合管理及び法規」出題ポイント解説
エネルギー管理士 課目I「共通:エネルギー総合管理及び法規」の頻出論点を解説。省エネ法・特定事業者・判断基準・ベンチマーク制度・トップランナー方式・エネルギー需給・カーボンニュートラルを体系化します。
エネルギー管理士「熱と流体の流れの基礎・燃料と燃焼」出題ポイント解説
エネルギー管理士 熱分野「熱と流体・燃料燃焼」の頻出論点を解説。熱力学(カルノー・ランキン・ブレイトン)・伝熱(LMTD)・流体(ベルヌーイ)・燃焼計算(HHV/LHV・空気比)を体系化します。
エネルギー管理士「熱利用設備及びその管理」出題ポイント解説
エネルギー管理士 熱分野「熱利用設備」の頻出論点を解説。ボイラ・工業炉・蒸気輸送・熱交換器・空調冷凍設備・コージェネレーション・廃熱回収・計測を体系化します。
エネルギー管理士「電気の基礎・電気設備及び機器」出題ポイント解説
エネルギー管理士 電気分野「電気基礎・設備機器」の頻出論点を解説。直流交流回路・パワーエレクトロニクス・変圧器・誘導電動機・受変電設備・送配電を体系化します。
「エネルギー管理士(熱分野)過去問題集 2026年版」徹底レビュー【オーム社】
オーム社「エネルギー管理士(熱分野)過去問題集 2026年版」を徹底レビュー。年度別に過去問を収録し丁寧な解説付きで計算問題まで理解できる独学者向け定番過去問題集の特徴・強み・他書との比較・使い方を解説します。
無料登録で学習データを永続保存
今の記録はこの端末限定。無料の会員登録で、どの端末でもデータを引き継げます。
無料登録

他の資格にも挑戦しよう

🧯
消防設備士 乙種6類
300問 合格率38.5%
🌊
潜水士
340問 合格率80%
💥
危険物取扱者 丙種
314問 合格率50%
🔥
二級ボイラー技士
319問 合格率55%
第二種電気工事士
500問 合格率60%
💻
ITパスポート
500問 合格率50%