日本語検定2級「文法」の出題ポイント
日本語検定2級の文法領域は、書き言葉・話し言葉の両面で「正確な文を組み立てる力」を問います。助詞・助動詞の精密な用法、受身・使役・可能・自発の使い分け、ら抜き・さ入れ・れ足すといった現代語の揺れ、係り受けと呼応(陳述の副詞)、そして主語と述語が噛み合わない「文のねじれ」まで、社会人の実務文章で問題になる論点が網羅されます。3級が語形の正誤中心なら、2級は長い一文の構造を見渡して破綻を見抜く力が問われます。本記事で出題の急所を整理します。
※出題範囲は変わる場合があります。最新情報は必ず日本語検定委員会 公式情報でご確認ください。
1. 助詞の正確な用法
2級では助詞一字の違いで意味が変わる問題が頻出します。代表的な対立を押さえましょう。
| 対立 | 違い | 例 |
|---|---|---|
| は/が | 「は」は主題(既知)・対比、「が」は主語(新情報)・現象描写 | 象は鼻が長い/雨が降ってきた |
| に/へ | 「に」は到達点・帰着、「へ」は方向 | 東京に着く/東京へ向かう |
| で/に(場所) | 「で」は動作の行われる場所、「に」は存在・到達の場所 | 公園で遊ぶ/公園にいる |
| を/が(対象) | 可能・希望では「が」も使う | 水を飲む/水が飲みたい |
係助詞「は」と格助詞「が」の選択は誤文訂正でも狙われます。「私は会議に出席する」(主題)と「誰が出席するのか」(新情報の主語)の違いを意識すると、文脈に合う助詞を選べます。
2. 助動詞と「れる・られる」の四用法
助動詞「れる・られる」は受身・尊敬・可能・自発の四つの意味をもち、2級では文脈からどの用法かを判別させます。
| 用法 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 受身 | 他から動作を受ける | 先生に名前を呼ばれる |
| 尊敬 | 動作主への敬意 | 社長が来られる |
| 可能 | 〜できる | 朝早く起きられる |
| 自発 | 自然にそうなる | 故郷が思い出される |
受身・使役・可能の作り方
動詞の活用の種類で接続が変わります。
- 受身…五段は未然形+「れる」(書か+れる)、上下一段・カ変サ変は+「られる」(食べ+られる)。
- 使役…五段+「せる」(行か+せる)、それ以外+「させる」(食べ+させる)。
- 使役受身…「行かせられる/行かされる」。五段では「〜される」の縮約形が許容される。
- 迷惑の受身…「雨に降られる」「子どもに泣かれる」のように、被害・迷惑を表す自動詞の受身も日本語特有で出題される。
3. ら抜き・さ入れ・れ足すの揺れ
現代語の代表的な「乱れ」は2級の頻出論点です。規範的にはいずれも誤りとされます。
| 現象 | 誤 | 正 | 仕組み |
|---|---|---|---|
| ら抜き言葉 | 食べれる/来れる/見れる | 食べられる/来られる/見られる | 一段・カ変の可能から「ら」を脱落させた形 |
| さ入れ言葉 | 読まさせていただく | 読ませていただく | 五段の使役に不要な「さ」を挿入した形 |
| れ足す言葉 | 行けれる/飲めれる | 行ける/飲める | 五段の可能動詞に不要な「れ」を足した形 |
見分けのコツ。ら抜きは一段・カ変動詞だけに起こり、五段(書ける・読める)には起こりません。さ入れは五段の使役で「〜させて」と余分な「さ」が入ったもの。れ足すは五段の可能動詞(既に「ける」で可能を表す)に「れる」が重なったものです。「動詞の活用の種類」を判定できれば、どの揺れに当たるか機械的に分けられます。
4. 係り受けと呼応(陳述の副詞)
特定の副詞は、文末に決まった言い方を要求します。これを呼応(係り受け)といい、2級頻出です。
| 副詞 | 呼応する文末 | 例 |
|---|---|---|
| 決して・少しも | 〜ない(打消) | 決して許さない |
| たぶん・おそらく | 〜だろう(推量) | たぶん来るだろう |
| まるで・あたかも | 〜ようだ(比況) | まるで夢のようだ |
| たとえ | 〜ても(仮定) | たとえ雨でも行く |
| なぜ・どうして | 〜か(疑問) | なぜ遅れたのか |
| もし | 〜なら/〜たら(仮定) | もし雨なら中止だ |
誤文では「決して許す」「たぶん来る」のように、副詞があるのに文末が呼応していない例が出ます。冒頭の副詞を見たら文末の形を確認する習慣をつけましょう。
5. 文のねじれを直す
長文では主語と述語、目的語と述語が噛み合わない「ねじれ」が起こります。2級最大の山場で、訂正問題の中心です。
主述のねじれ
- ×「私の趣味は写真を撮ります」→○「私の趣味は写真を撮ることです」(主語「趣味は」に述語「撮ります」が対応していない)
- ×「この制度の目的は、利用者を支援します」→○「この制度の目的は、利用者を支援することです」
修飾語と被修飾語のねじれ・係りの曖昧さ
- ×「彼は笑いながら走る妹を見た」→(笑っているのが彼か妹か曖昧)→○「彼は、笑いながら走る妹を見た」または「笑いながら、彼は走る妹を見た」
- 長い修飾語は被修飾語の直前に置き、読点で係りを明確にする。
二重否定・接続のねじれ
- ×「〜できないわけではないとは言えない」など過剰な多重否定は意味が取れず減点対象。
- ×「雨が降ったので、しかし試合は行われた」→接続語「ので」と「しかし」が矛盾。
例題で考え方を確認
問 次の文の誤りを正しなさい。「本企画の狙いは、若年層の関心を高め、来店者数の増加を目指します。」
考え方 主語「狙いは」に対して述語が「目指します」になっており主述がねじれています。主語が「〜は」で名詞(狙い)の場合、述語は「〜ことです/〜という点にあります」で受けます。正…「本企画の狙いは、若年層の関心を高め、来店者数の増加を目指すことにあります。」。長い一文では必ず「主語の核」と「文末」を直結させて確認するのが2級攻略のコツです。
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