日商簿記2級「工業簿記(原価計算)」の出題ポイント解説
日商簿記2級の工業簿記(原価計算)は第4問(28点)・第5問(12点)で出題される重要分野。2級全体の約40点を占め、満点を狙える分野として合格のカギになります。本記事では原価計算の頻出論点を体系的に整理します。
この章の重要度
第4問(28点:仕訳+工業簿記の勘定記入/個別原価計算/製造間接費の配賦など)と第5問(12点:総合原価計算/標準原価計算/直接原価計算/CVP分析)の合計40点が工業簿記の配点。パターンが決まっているため、問題集を2〜3周すれば高得点を狙えます。
頻出トピック一覧
1. 原価の分類(材料費・労務費・経費/直接費・間接費)
形態別分類:材料費・労務費・経費。製品関連性別:直接費・間接費。組み合わせで6分類(直接材料費・間接材料費・直接労務費・間接労務費・直接経費・間接経費)。製造原価=直接材料費+直接労務費+製造間接費の3区分で計算するのが基本。
2. 材料費の計算(棚卸計算法・実際払出価格・予定価格)
材料の受入→消費→月末棚卸の流れ。先入先出法・平均法による払出単価計算。予定価格を使う場合は材料消費価格差異(予定×実際消費量と実際消費額の差)を計算し、月末に売上原価に振替。
3. 労務費の計算(直接工・間接工)
直接工の賃金は直接作業時間×予定賃率=直接労務費、間接作業時間分は製造間接費。間接工の賃金は全額製造間接費。賃率差異(予定賃率×実際作業時間と実際賃金の差)の計算。
4. 製造間接費の配賦
配賦基準(直接作業時間・機械稼働時間など)で予定配賦率×実際配賦基準量を各製造指図書に配賦。実際発生額との差額が製造間接費配賦差異。公式法変動予算では予算差異と操業度差異に分解。
5. 個別原価計算(受注生産)
製造指図書ごとに原価計算表を作成。直接材料費・直接労務費は直接賦課、製造間接費は配賦。完成品は「製品」勘定へ、未完成は「仕掛品」として繰越。仕損費の処理(補修可能/不可能)も頻出。
6. 部門別計算(第1次・第2次集計)
製造間接費を補助部門から製造部門へ配賦。第1次集計は部門個別費と部門共通費の配賦、第2次集計は補助部門費を製造部門へ(直接配賦法・相互配賦法)。予定配賦と差異分析が頻出。
7. 総合原価計算(単純・組別・工程別)
月末仕掛品原価の計算。先入先出法(月初仕掛品原価は全額完成品、当月投入分から月末仕掛品を計算)と平均法(月初と当月投入を合算)。材料は工程始点投入(加工進捗度に関係なく全額)、加工費は進捗度考慮。
8. 標準原価計算
製品1個あたりの標準原価を設定し、完成品・仕掛品を標準原価で記帳。実際原価との差額が原価差異。差異分析は次章で詳説。パーシャルプラン(仕掛品は実際)・シングルプラン(仕掛品も標準)の2方式。
覚え方のコツ
工業簿記は「原価の流れ図」を自分で描けるようになると一気に理解が進みます。材料→仕掛品→製品→売上原価、および賃金→仕掛品、製造間接費→仕掛品の3本の流れを図解し、各勘定で「予定と実際の差異」が発生する場所を把握しましょう。総合原価計算ではBOX図(月初+投入=完成+月末の箱)を必ず描き、数量と金額を別々に集計する習慣を。個別原価計算の指図書ごとの集計と、総合原価計算のBOX図は、問題文を読んだ瞬間にどちらで解くか判断できるようにしておきます。
よくあるひっかけ
原価計算の頻出ひっかけ。①材料消費価格差異の借方・貸方:予定<実際は不利差異(借方)、予定>実際は有利差異(貸方)。②先入先出法と平均法の完成品単価:先入先出法は月初分(前月単価)+当月投入分(当月単価)の2層構造、平均法は単一単価。③加工進捗度の適用:加工費のみに進捗度を掛ける、材料費(始点投入)は進捗度不適用。④正常仕損の処理:度外視法(無視)と非度外視法(仕損費を完成品のみに負担/完成品と月末仕掛品両方に負担)の区別。⑤補助部門の配賦:直接配賦法は製造部門のみに配賦、相互配賦法は補助部門相互にも配賦。⑥製造間接費配賦差異:実際発生>予定配賦は不利差異、予算差異+操業度差異に分解。⑦間接工の賃金:直接工の間接作業分とは異なり、間接工は全額製造間接費。
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