日商簿記2級「工業簿記(差異分析・CVP)」の出題ポイント解説
日商簿記2級の差異分析・CVP分析・直接原価計算は第5問(12点)で頻出するテーマです。公式とシュラッター図(パラレル図)を覚えれば、得点源になります。本記事では差異分析・CVP分析の頻出論点を体系的に整理します。
この章の重要度
第5問12点のうち、標準原価計算の差異分析または直接原価計算(CVP分析)がほぼ毎回出題されます。公式を機械的に当てはめれば満点が狙える論点なので、合格のボーナス問題とも言えます。
頻出トピック一覧
1. 標準原価計算の差異分析(直接材料費差異)
価格差異=(標準価格−実際価格)×実際消費量、数量差異=標準価格×(標準消費量−実際消費量)。標準消費量は当月投入量×製品1個あたり標準消費量で計算。当月投入は「完成品+月末仕掛品−月初仕掛品」。
2. 標準原価計算の差異分析(直接労務費差異)
賃率差異=(標準賃率−実際賃率)×実際作業時間、時間差異=標準賃率×(標準作業時間−実際作業時間)。標準作業時間は「当月投入の完成品換算量×製品1個あたり標準作業時間」。
3. 標準原価計算の差異分析(製造間接費差異)
公式法変動予算で3分法:予算差異(実際発生額と予算許容額の差)、能率差異(標準変動費率または変動費率+固定費率で計算)、操業度差異(固定費率×(実際操業度−基準操業度))。シュラッター図を描くと視覚的に理解可能。
4. 差異分析の4分法・3分法・2分法
製造間接費差異の分解方法。4分法:予算差異・変動費能率差異・固定費能率差異・操業度差異。3分法((1)):予算差異・能率差異(変動費+固定費)・操業度差異。3分法((2)):予算差異・能率差異(変動費のみ)・操業度差異(固定費能率+操業度)。2分法:管理可能差異・操業度差異。
5. CVP分析(損益分岐点・目標利益)
公式:損益分岐点売上高=固定費÷貢献利益率、貢献利益率=(売上高−変動費)÷売上高=1−変動費率、目標利益達成売上高=(固定費+目標利益)÷貢献利益率。安全余裕率=(実際売上−損益分岐点売上)÷実際売上。
6. 直接原価計算
固定製造間接費を期間費用として全額当期費用化。製品原価は変動費のみ。P/Lは「売上高−変動売上原価−変動販管費=貢献利益−固定費=営業利益」の区分式。固定費調整:直接原価計算の利益+期末在庫固定費−期首在庫固定費=全部原価計算の利益。
7. 全部原価計算との利益差
期末在庫数>期首在庫数なら全部原価計算の利益が大きい(固定費が在庫に繰延)、期末<期首なら直接原価計算の利益が大きい(前期の繰延固定費が当期費用化)。
8. 予算実績差異分析(セールスミックス)
複数製品の販売がある場合の販売数量差異・販売価格差異・セールスミックス差異の分解。2級では基本パターンのみ。
覚え方のコツ
差異分析は「実際と標準を2軸(価格×数量)のグラフで描く」と視覚的に理解できます。直接材料費なら横軸に消費量、縦軸に価格を取り、「標準×標準の長方形」と「実際×実際の長方形」の差を価格差異・数量差異に分割します。製造間接費はシュラッター図(3本線のグラフ:基準操業度の固定費予算線・変動費予算線・標準配賦線)を覚えれば3分法の全差異を図から読み取れます。CVP分析は「売上高=変動費+固定費+利益」の1本の等式を変形するだけなので、この原型から逆算すれば公式暗記不要です。直接原価計算のP/L形式は試験中に書けるよう、区分式の雛形を頭に叩き込んでおきましょう。
よくあるひっかけ
差異分析・CVP分析の頻出ひっかけ。①標準消費量の計算:月末仕掛品は加工進捗度を考慮、材料(始点投入)は数量そのまま。②価格差異の符号:(標準−実際)で計算するため標準>実際なら有利、逆なら不利。③能率差異に固定費率を含むか:3分法(1)は含む、3分法(2)は含まない。問題文の指示を確認。④基準操業度と実際操業度:操業度差異は固定費率×(実際操業度−基準操業度)ではなく、固定費率×(基準操業度−実際操業度)と書く場合もある(符号注意)。⑤損益分岐点売上高と販売数量:販売数量=固定費÷(単価−単位変動費)、売上高=固定費÷貢献利益率、混同注意。⑥貢献利益と営業利益:貢献利益=売上−変動費、営業利益=貢献利益−固定費、直接原価計算のP/L区分を正確に。⑦固定費調整:期末在庫の固定費を加算、期首在庫の固定費を減算(符号逆)。
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