日商簿記3級「決算・財務諸表」の出題ポイント解説
簿記3級の第3問(配点35点)で出題されるのが決算問題です。精算表・財務諸表作成・決算整理後残高試算表のいずれかの形式で出題され、決算整理仕訳の正確さが合否を直接左右します。本記事では決算分野の頻出論点を網羅的に解説します。
この章の重要度
第3問の配点は35点と仕訳問題に次いで大きく、3級合格ライン70点達成には必須得点源。決算整理は8種類ほどのパターンに集約されるため、一度マスターすれば安定した得点源になります。逆に、ここで崩れると合格は極めて厳しくなります。
頻出トピック一覧
1. 現金過不足の整理
期中発生の現金過不足勘定を決算で精算。原因判明分は該当勘定へ、不明分は雑益・雑損に振り替えます。
2. 売上原価の算定(しいくりくりしい)
「仕入/繰越商品(期首)」「繰越商品/仕入(期末)」の2本仕訳で仕入勘定を売上原価に調整。しい(仕入)くり(繰越商品)くり(繰越商品)しい(仕入)の語呂が定番。
3. 貸倒引当金の設定(差額補充法)
売掛金・受取手形残高×引当率で必要額を算定、期末残高との差額のみ繰入。貸倒引当金繰入/貸倒引当金の仕訳。
4. 減価償却(定額法・月割計算)
建物・備品・車両運搬具に対して(取得原価−残存価額)÷耐用年数で年間減価償却費を算定。期中取得分は月割。減価償却費/減価償却累計額(間接法)で記帳。
5. 経過勘定(前払・前受・未払・未収)
費用・収益の期間対応のための整理。前払費用・前受収益は繰延(将来に繰延)、未払費用・未収収益は見越(当期に追加計上)。月割・日割計算が頻出。
6. 消耗品・貯蔵品の処理
購入時費用処理した事務用消耗品・収入印紙のうち、未使用分を貯蔵品(資産)に振り替え。
7. 法人税等と未払法人税等
中間納付分(仮払法人税等)と期末確定分を合わせて法人税等を計上、差額を未払法人税等として翌期繰越。
8. 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の表示
B/Sは資産・負債・純資産の分類表示、P/Lは売上高→売上原価→売上総利益→販管費→営業利益→営業外損益→経常利益→特別損益→税引前当期純利益→法人税等→当期純利益の順。繰越利益剰余金への振替も重要。
覚え方のコツ
決算整理は「決算整理8項目のチェックリスト」を作って順番に処理するのが鉄則。本試験で「この処理、やり忘れた!」を防げます。特に効果的なのが①しいくりくりしい(売上原価)→②貸倒引当金→③減価償却→④経過勘定→⑤消耗品→⑥現金過不足→⑦消費税→⑧法人税等という固定順序で解く方法。また、経過勘定は「前・後」「入・出」の4象限マトリクスで整理すると混乱しません。精算表問題では下書き用紙に決算整理仕訳を全部書き出す→精算表へ転記、の手順を徹底すると計算ミスが激減します。電卓操作は利き手と反対で練習し、スピードアップを図りましょう。
よくあるひっかけ
決算問題の頻出ミス。①経過勘定の期間按分:「保険料12ヶ月分を8月1日支払」→決算3/31時点で4ヶ月分(4/1〜7/31)を前払費用に繰延(月数の数え違いに注意)。②減価償却の月割:期中取得なら使用月数÷12で按分、残存価額ゼロの場合の処理。③貸倒引当金の差額補充:必要額と残高の差額のみ繰入(全額計上はNG)。④売上原価の計算式:期末商品は引く(足すではない)。⑤繰越利益剰余金の振替方向:当期純利益は損益勘定→繰越利益剰余金の貸方(利益は純資産の増加)。⑥消耗品費と貯蔵品:期末未使用分だけを資産計上、使用済は費用のまま。⑦貸倒引当金の設定対象:金銭債権のみで、商品・備品には設定しない。
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