1級管工事施工管理技士(第一次検定)「機械工学等の基礎」出題ポイント解説
1級管工事施工管理技士 第一次検定「機械工学等の基礎」の出題ポイントを整理します。1級は2級より理論の深さが要求され、ベルヌーイ式・ダルシーワイスバッハ式・モリエ線図・湿り空気線図SHF/PMVなど計算根拠まで踏み込んだ出題が中心です。本記事では数値基準とともに頻出論点を体系化します。
※受験料・試験日程・合格基準・出題範囲は改定される場合があります。最新情報は必ず全国建設研修センターの公式情報でご確認ください。
出題傾向
- 分野: 環境工学・流体工学・熱工学・燃焼・冷凍・電気工学・配管材料・建築学
- 出題形式: 四肢択一マークシート。第一次検定は73問中60問解答(一部選択式)
- 合格基準: 全体60%以上+施工管理法応用能力60%以上
- 2級と異なり、計算式の意味・代表的な数値基準・機器特性曲線の理解まで問われる
頻出論点1: 環境工学 - 採光・換気・伝熱・湿り空気線図
- 採光・照度: 居室の窓面積は床面積の1/7以上(建築基準法)。照度はlx(ルクス)で表す
- 換気: 必要換気量は在室人員1人あたり概ね30m³/h以上が目安。CO₂濃度は1,000ppm(0.1%)以下に維持
- 湿り空気線図: 乾球温度・湿球温度・絶対湿度・相対湿度・露点温度・比エンタルピー・比容積の関係を読み取る
- SHF(顕熱比): 全熱量に対する顕熱量の比。SHF=顕熱負荷/(顕熱負荷+潜熱負荷)。空調機の吹出空気状態を決定する重要指標
- PMV(予測平均温冷感申告): 温熱環境の総合評価指標。-3〜+3で表され、0が中立。ISO 7730で規格化
頻出論点2: 環境工学 - 音響
- 音の三要素: 音圧レベル(dB)・周波数(Hz)・音色。音圧レベルは20μPaを基準とする対数表示
- NC値: 室内騒音評価値。事務室NC-35〜40、会議室NC-30〜35が目安
- 透過損失: 壁体を透過する際の音の減衰量。質量則により面密度が大きいほど大きい
- 残響時間: 音源停止後、音圧レベルが60dB減衰するまでの時間。Sabineの式で算出
頻出論点3: 流体工学 - ベルヌーイの定理と管路抵抗
- ベルヌーイの定理: 圧力水頭+速度水頭+位置水頭=一定(摩擦損失無視の場合)。実流体では摩擦損失水頭を加える
- ダルシー・ワイスバッハの式: 管摩擦損失水頭 hf=λ(L/D)(v²/2g)。管長Lに比例、管径Dに反比例、流速vの2乗に比例
- レイノルズ数Re: Re=vD/ν。Re<2,300で層流、Re>4,000で乱流。ν(動粘度)に反比例
- 局部抵抗: 曲がり・分岐・弁・拡大縮小での損失。抵抗係数ζを用いて hL=ζ(v²/2g)
頻出論点4: 流体工学 - ポンプの特性
- 遠心ポンプ: 高揚程・小〜中流量に適する。羽根車の回転で動圧を圧力に変換
- 容積ポンプ: ギヤ・ピストン・スクリュー式など。粘性流体・少量定量送液に適する
- 特性曲線: 流量Q-揚程H曲線、Q-軸動力L曲線、Q-効率η曲線。運転点は配管抵抗曲線との交点
- キャビテーション: ポンプ吸込側で局部圧力が飽和蒸気圧以下となり気泡が発生・崩壊する現象。羽根車を侵食し騒音振動を生じる
- NPSH(有効吸込ヘッド): NPSHav(利用可能)>NPSHrq(必要)を満たすこと。吸込揚程を小さく・吸込配管を短くする
- 並列運転: 同特性ポンプ2台並列で流量は約2倍だが、抵抗増加により実流量は2倍未満。直列運転: 揚程は約2倍だが管路抵抗が変わると実揚程は2倍未満
頻出論点5: 流体工学 - 送風機とサージング
- 送風機の種類: 多翼送風機(シロッコファン)は低圧大風量向け、ターボ送風機は高静圧向け、軸流送風機は大風量低圧向け
- サージング: 送風機の右上がり特性領域で運転すると、流量と圧力が周期的に変動して激しい騒音振動を生じる現象
- 防止策: 特性曲線の右下がり領域で運転する、最小風量を確保する、サージング防止用バイパスダンパを設ける
- 送風機の相似則: 流量∝回転数、圧力∝回転数²、動力∝回転数³
頻出論点6: 熱工学 - 熱力学・カルノーサイクル・ボイラ・燃焼
- 熱力学第一法則: エネルギー保存則。熱量Q=内部エネルギー変化ΔU+外部仕事W
- 熱力学第二法則: 熱は高温部から低温部へのみ自然移動。エントロピーは増大方向に進む
- カルノーサイクル: 理論最大効率サイクル。η=1-(T_L/T_H)。T_H:高温熱源、T_L:低温熱源(絶対温度K)
- ボイラの種類: 炉筒煙管ボイラ(中小容量)、水管ボイラ(高圧大容量)、貫流ボイラ(小容量・蒸気立ち上がり早い)、鋳鉄製ボイラ(低圧温水)
- 燃焼計算と空気比: 理論空気量に対する実際空気量の比。一般に1.1〜1.3。空気比が大きすぎると排ガス損失増加、小さすぎると不完全燃焼でCO発生
頻出論点7: 冷凍 - 冷凍サイクル・モリエ線図・COP
- 蒸気圧縮式冷凍サイクル: 圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器の4過程。電気を動力とする一般的方式
- 吸収式冷凍サイクル: 蒸発器・吸収器・再生器・凝縮器の4機器。臭化リチウム水溶液と水(冷媒)を使用。熱源は蒸気・温水・ガス
- モリエ線図(p-h線図): 横軸比エンタルピー、縦軸圧力。冷凍サイクルを線図上で表現し、冷凍効果・圧縮仕事・COPを算出
- COP(成績係数): 冷凍能力/圧縮機消費動力。蒸気圧縮式で3〜6程度、吸収式で1前後(投入熱基準)
- 冷媒: HFC系(R32・R410A等)が主流。HCFC(R22)は全廃へ。自然冷媒(CO₂・アンモニア・炭化水素)も普及
頻出論点8: 電気工学 - 三相誘導電動機
- 三相誘導電動機: 設備機器の主動力源。固定子の回転磁界が回転子に誘導電流を生じさせ回転する
- 同期速度Ns: Ns=120f/P(f:周波数Hz、P:極数)。50Hz4極で1,500min⁻¹、60Hz4極で1,800min⁻¹
- すべりs: s=(Ns-N)/Ns。定格運転時2〜5%程度
- 始動方式: 全電圧始動(5.5kW未満)、スター・デルタ始動(11kW以上で始動電流抑制)、インバータ始動(省エネ・回転数制御)
- 力率改善: 進相コンデンサで遅れ力率を改善し、電力損失と電圧降下を低減
頻出論点9: 配管材料・建築学
- 配管用炭素鋼鋼管(SGP): 白管(亜鉛めっき)と黒管。給水・空調冷温水・蒸気配管に広く使用。最高使用温度・圧力に制限あり
- ステンレス鋼管(SUS): 耐食性高く給水給湯に適する。SUS304は塩素環境で応力腐食割れに注意
- 銅管: 給湯・冷媒配管に使用。Mタイプ(薄肉)
- 硬質ポリ塩化ビニル管(VP・VU・HIVP): 軽量・耐食。耐熱60℃程度。屋外露出は紫外線劣化に注意
- 腐食と防食: マクロセル腐食(異種金属接続)、ミクロセル腐食(局部)、土壌腐食。電気防食(流電陽極・外部電源)、ライニング、犠牲陽極で対策
- 溶接接合: 被覆アーク溶接・TIG溶接が主流。配管の突合せ溶接では開先加工・ルート間隔を適正に
- 省エネ基準: 建築物省エネ法によりBEI≦1.0が義務化(一定規模以上)。一次エネルギー消費量で評価
効果的な学習法
1級は数値基準・公式・特性曲線の意味を理解することが得点の鍵です。当サイトの一問一答で繰り返し演習し、知識を定着させましょう。続いて空調・衛生設備の出題ポイントに進むと、ここで学んだ基礎理論が各設備の理解に直結します。
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