一級建築士「構造(力学・計算)」の出題ポイント解説【頻出計算】
一級建築士「構造」科目の前半は力学・構造計算の計算問題が中心です。静定構造の応力から不静定構造・座屈・振動・全塑性モーメント・保有水平耐力まで、頻出計算の解法パターンを公式とともに整理します。
※受験料・試験日程・合格基準等は改定される場合があります。最新情報は必ず建築技術教育普及センターの公式情報でご確認ください。
構造科目の構成と力学の位置づけ
「構造」科目(30問)のうち、おおむね前半6〜7問が力学・構造計算の計算問題です。確実に得点できれば大きなアドバンテージとなるため、解法パターンの習熟が重要です。本記事では計算系の頻出論点を扱います。
静定構造の応力
- 反力: 力のつり合い(ΣX=0、ΣY=0、ΣM=0)から支点反力を求める。
- 応力図: 軸力図(N)・せん断力図(Q)・曲げモーメント図(M)の描き方。
- 代表的な最大曲げモーメント:
- 単純梁・中央集中荷重P:
M=PL/4 - 単純梁・等分布荷重w:
M=wL²/8 - 片持ち梁・先端集中荷重P:
M=PL - 片持ち梁・等分布荷重w:
M=wL²/2
- 単純梁・中央集中荷重P:
- トラスの応力: 節点法・切断法で部材の引張・圧縮を判定。
断面の性質
- 断面一次モーメント: 図心位置の算定に使用。
- 断面二次モーメント I: 長方形断面
I=bh³/12。曲げ剛性・たわみに影響。 - 断面係数 Z:
Z=I/y(長方形はZ=bh²/6)。曲げ応力度の算定に使用。 - 断面二次半径 i:
i=√(I/A)。座屈の検討に使用。
応力度・ひずみ
- 垂直応力度: σ=N/A(軸力)、曲げ応力度 σ=M/Z。
- せん断応力度: τ=Q/A(平均)、長方形断面の最大は平均の1.5倍。
- ひずみとフックの法則: σ=Eε(E=ヤング係数)。
- ポアソン比: 横ひずみ/縦ひずみ。鋼材は約0.3。
たわみ
- 単純梁・中央集中荷重:
δ=PL³/(48EI) - 単純梁・等分布荷重:
δ=5wL⁴/(384EI) - 片持ち梁・先端集中荷重:
δ=PL³/(3EI) - たわみは
L³またはL⁴に比例し、EI(曲げ剛性)に反比例する点が頻出。
不静定構造
- 不静定次数: 反力・部材の拘束数から判定。
- 解法: たわみ角法・固定モーメント法(モーメント分配法)の考え方。
- 剛比による分配: 部材剛度 K=I/L、剛比に応じてモーメントを分配。
座屈
- オイラーの座屈荷重:
Pk=π²EI/Lk²(Lk=座屈長さ)。 - 座屈長さ: 支持条件で変化。両端ピン Lk=L、両端固定 Lk=0.5L、一端固定他端自由 Lk=2L。
- 細長比: λ=Lk/i。値が大きいほど座屈しやすい。
振動・固有周期
- 固有周期:
T=2π√(M/K)(M=質量、K=剛性)。質量が大きいほど周期は長く、剛性が大きいほど周期は短い。 - 固有周期は耐震設計の地震応答に直結する重要概念。
- 1質点系・多質点系のモデル化。
全塑性モーメント
- 全塑性モーメント Mp: 断面が全断面降伏したときの曲げモーメント。長方形断面
Mp=σy·bh²/4。 - 形状係数: Mp/My(長方形断面で1.5)。
- 崩壊機構: 塑性ヒンジの形成と崩壊荷重(仮想仕事の原理)。
地震力・保有水平耐力
- 地震層せん断力: Qi=Ci·Wi。地震層せん断力係数
Ci=Z·Rt·Ai·C0(Z=地域係数、Rt=振動特性係数、Ai=高さ方向分布、C0=標準せん断力係数)。 - 標準せん断力係数 C0: 一次設計0.2以上、二次設計(保有水平耐力)1.0以上。
- 保有水平耐力: Qun=Ds·Fes·Qud。Ds(構造特性係数)は靱性が高いほど小さくできる。
学習のポイント
- 公式は導出より暗記+運用: M=wL²/8 等の代表値とたわみ公式は即座に使えるよう反復する。
- 断面の性質を起点に: I・Z・i の関係を理解すると応力度・たわみ・座屈が一気につながる。
- 固有周期と地震力は耐震設計へ: 計算と各種構造・材料章の耐震設計を結びつけて学習する。
- 過去問の典型題で時間短縮: 計算問題は出題パターンが限られるため、解法手順を体で覚える。
関連情報
章別ではなく全体の学習計画は勉強法ガイドを、用語の意味は用語集を、過去問対策は過去問の傾向と対策をご覧ください。
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