第二種衛生管理者「労働生理」出題ポイント解説
第二種衛生管理者の労働生理は、人体の構造・機能を広く問う科目で30問中10問。循環器・呼吸器・消化器・神経・内分泌・代謝・体温調節・感覚器・筋肉・睡眠など、医学的知識を体系的に押さえる必要があります。本記事では頻出8論点を整理します。
※受験料・試験日程・合格基準・出題範囲は改定される場合があります。最新情報は必ず安全衛生技術試験協会の公式情報でご確認ください。
この章の重要度
労働生理は暗記+理解のハイブリッド科目。範囲が広い分、過去問の頻出パターンが繰り返し出題されるため、出題傾向を掴めば得点源化できます。各科目40%足切り+全体60%の合格ラインを確保するため、最低6問以上を確実に取りましょう。
頻出論点1:循環器系(心臓・血液循環)
心臓と血管系の構造と機能。
- 心臓:4部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)。洞房結節(右心房)で発生した電気信号により拍動が制御される
- 体循環(大循環):左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房
- 肺循環(小循環):右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房
- 血液成分:血漿(約55%)と血球(約45%)。血球=赤血球(酸素運搬・ヘモグロビン)、白血球(免疫)、血小板(止血)
- 血液型:ABO式(A・B・AB・O)、Rh式(+/−)
- 血圧:収縮期(最高)/拡張期(最低)。脈圧=収縮期−拡張期
頻出論点2:呼吸器系
呼吸の仕組みと換気量。
- 外呼吸:肺胞でのガス交換(O2取込・CO2排出)
- 内呼吸(組織呼吸):組織細胞でのガス交換
- 呼吸中枢:延髄。CO2分圧の上昇で換気量増加
- 1回換気量:成人安静時 約500mL
- 残気量:最大呼出後も肺に残る空気量(約1000〜1500mL)
- 肺活量:最大吸気後の最大呼出量(成人男性約3500〜4500mL)
- 呼吸数:成人安静時 約15〜20回/分
頻出論点3:消化器系・栄養素
消化と吸収のメカニズム。
- 消化酵素
- アミラーゼ(唾液・膵液):炭水化物(デンプン)を麦芽糖に分解
- ペプシン(胃液):タンパク質をペプトンに分解
- トリプシン(膵液):タンパク質をペプチドに分解
- リパーゼ(膵液):脂質を脂肪酸とグリセリンに分解
- 三大栄養素:炭水化物(4kcal/g)、タンパク質(4kcal/g)、脂質(9kcal/g)
- 肝臓の働き:解毒(アルコール・薬物分解)、代謝(糖・脂質・タンパク質)、胆汁生成、グリコーゲン貯蔵
- 胆汁:脂質の乳化作用、消化酵素は含まない
頻出論点4:腎臓・泌尿器系
尿生成のメカニズム。
- ネフロン:腎臓の機能単位。腎小体(糸球体+ボーマンのう)+尿細管
- 糸球体:血液から水・電解質・低分子物質をろ過し原尿を生成(タンパク質・血球はろ過されない)
- 尿細管:原尿から水・電解質・グルコース等を再吸収(約99%)
- 尿の成分:水(約95%)、尿素、尿酸、クレアチニン、電解質。糖・タンパク質は通常含まれない
- 排尿:膀胱→尿道。1日尿量 約1〜1.5L
頻出論点5:神経系・自律神経
神経の階層構造と自律機能。
- 中枢神経:脳と脊髄
- 末梢神経:体性神経(運動・感覚)+自律神経
- 自律神経:内臓・血管・分泌腺を不随意に支配
- 交感神経:活動時優位。心拍増・血圧上昇・瞳孔散大・消化抑制・気管支拡張
- 副交感神経:休息時優位。心拍減・血圧低下・瞳孔縮小・消化促進・気管支収縮
- 大脳:前頭葉(運動・思考)、頭頂葉(感覚)、側頭葉(聴覚・言語)、後頭葉(視覚)
- 視床下部:体温調節・自律神経・内分泌の中枢
- 延髄:呼吸・心拍・血圧の中枢
頻出論点6:内分泌・代謝
ホルモンとエネルギー代謝。
- インスリン(膵臓β細胞):血糖低下
- グルカゴン(膵臓α細胞):血糖上昇
- 甲状腺ホルモン(サイロキシン):代謝促進
- 副腎皮質ホルモン(コルチゾール等):糖質・脂質・タンパク質代謝、抗炎症
- 副腎髄質ホルモン(アドレナリン):心拍増・血圧上昇・血糖上昇
- 成長ホルモン(下垂体):成長促進・タンパク質合成
- 基礎代謝量(BMR):覚醒安静時・絶食時の最低エネルギー消費。男性約1500kcal、女性約1200kcal
- エネルギー代謝率(RMR):作業時消費エネルギー÷基礎代謝量
頻出論点7:体温調節・感覚器・筋肉
恒常性維持の仕組み。
- 体温調節中枢:視床下部
- 産熱:基礎代謝・筋活動・震え
- 放熱:輻射・伝導・対流・蒸発(発汗)
- 発汗
- 温熱性発汗:体温上昇時、全身(手掌足底除く)
- 精神性発汗:精神的緊張、手掌・足底・腋窩
- 感覚器:眼(視覚・近視は眼軸長過長/遠視は短)、耳(聴覚・平衡感覚)、皮膚(触圧・温冷・痛覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)
- 筋肉
- 横紋筋:骨格筋(随意筋)、心筋(不随意)
- 平滑筋:内臓・血管(不随意)
- 等張性収縮:筋長が変化(動的)
- 等尺性収縮:筋長変わらず張力発生(静的・姿勢保持)
頻出論点8:睡眠・ストレス
休息のメカニズムと適応反応。
- レム睡眠:眼球運動あり・浅い眠り・夢を見る・脳活動活発・身体は弛緩
- ノンレム睡眠:眼球運動なし・深い眠り・脳と身体の休息
- 睡眠周期:レム+ノンレム=約90分が一晩に4〜5回繰り返される
- サーカディアンリズム:約24時間周期の体内時計(光・食事で同調)
- 汎適応症候群(セリエ):警告反応期→抵抗期→疲憊期の3段階
- ストレッサー:物理的・化学的・生物的・心理社会的
- ストレス反応:身体反応(自律神経・内分泌)と心理反応(不安・抑うつ)
覚え方のコツ
労働生理は「器官系ごとに代表数値・代表用語をワンセット暗記」が効率的。循環器は「4部屋・洞房結節・体循環=左心室発・肺循環=右心室発」。呼吸器は「外呼吸=肺胞・内呼吸=組織・呼吸中枢=延髄・1回換気量500mL」。消化器酵素は「アミラーゼ=炭水化物/ペプシン=胃のタンパク質/トリプシン=膵のタンパク質/リパーゼ=脂質」の4酵素で対応関係を暗記。腎臓は「糸球体ろ過→尿細管再吸収」と2段階で。自律神経は「交感=活動・副交感=休息」の対立軸で全症状を整理。内分泌は「インスリン=下げる・グルカゴン/アドレナリン/コルチゾール=上げる」と血糖系で覚えると整理しやすい。体温調節は「中枢=視床下部・温熱性=全身・精神性=手足腋窩」。筋肉は「横紋=骨格筋・心筋/平滑=内臓/等張=動・等尺=静」のマトリクス。睡眠は「レム=眼球運動あり・浅い/ノンレム=深い・身体休息」と対比で記憶。ストレスは「警告→抵抗→疲憊」の3段階を順序で。器官系ごとに横並びの暗記カードを作ると合格点に近づきます。
よくあるひっかけ
労働生理の典型ひっかけ。①体循環の出発点:左心室で、「右心室」は肺循環の出発点。②呼吸中枢:延髄で、「大脳」「視床下部」は誤り(視床下部は体温調節)。③ペプシンの作用部位:胃で、「小腸」は誤り(小腸はトリプシン等)。④胆汁:脂質乳化作用のみで「消化酵素を含む」は誤り。⑤糸球体ろ過:タンパク質・血球はろ過されない。「タンパク質もろ過される」は誤り。⑥交感神経:活動時優位で、瞳孔は散大、消化は抑制、気管支は拡張。「瞳孔縮小・消化促進」は副交感の作用。⑦インスリン:血糖を下げる。「上げる」は誤り(グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモンが上げる側)。⑧基礎代謝:覚醒安静時・絶食時の最低消費で、「睡眠中の代謝」とは異なる。⑨温熱性発汗:全身(手掌足底除く)で、「手のひら・足の裏が中心」は精神性発汗。⑩レム睡眠:眼球運動あり・浅い眠り・脳活動活発で、「深い眠りで脳も休む」はノンレム。⑪等尺性収縮:筋長変わらず張力発生(姿勢保持)で、「筋長が短縮する」は等張性。⑫サーカディアンリズム:約24時間周期で、「12時間周期」は誤り。
第二種衛生管理者 一問一答 →