FP2級「相続・事業承継」の出題ポイント解説
FP2級の相続・事業承継は民法の相続ルールと相続税・贈与税、そして事業承継対策を扱う分野。学科10問+実技でも頻出。2024年の贈与税改正(相続時精算課税の基礎控除新設・生前贈与加算の7年延長)も重要論点です。本記事では相続・事業承継の頻出論点を整理します。
この章の重要度
学科60問中10問(16.7%)が相続・事業承継分野。相続税の計算(基礎控除→総遺産課税価格→相続税の総額→各人の相続税額)の流れを完全に理解し、小規模宅地等の特例など節税制度を押さえます。
頻出トピック一覧
1. 法定相続と遺留分
法定相続人:配偶者は常に相続人、子→直系尊属→兄弟姉妹の順で第1〜3順位。法定相続分:配偶者+子=1/2ずつ、配偶者+直系尊属=2/3・1/3、配偶者+兄弟姉妹=3/4・1/4。代襲相続(子・兄弟姉妹の子)。遺留分:直系尊属のみ=1/3、それ以外=1/2(兄弟姉妹に遺留分なし)、侵害額請求(金銭債権・2020年民法改正)。
2. 相続の承認・放棄
単純承認(権利義務全承継)、限定承認(相続財産の範囲で負債承継・相続人全員で)、相続放棄(権利義務の一切承継せず)。熟慮期間3か月以内に家庭裁判所へ申述。
3. 遺言・遺贈
自筆証書遺言:全文自書+日付+署名+押印、財産目録はパソコン可(2019年改正)、法務局での保管制度あり。公正証書遺言:公証人作成・証人2人必要、検認不要。秘密証書遺言:少ない。遺言執行者の指定。
4. 相続税の課税財産・非課税財産
みなし相続財産:生命保険金(法定相続人1人500万円非課税)、死亡退職金(同様に500万円×法定相続人非課税)。生前贈与加算:相続開始前3年以内→2024年改正で7年以内に延長(令和6年以降の贈与から段階的)、ただし加算額のうち100万円まで非課税。非課税財産:墓地・仏壇、生命保険金の非課税枠、公益法人への寄附。
5. 相続税の計算
①課税価格の合計額=各人の課税価格(本来の相続財産+みなし相続財産+生前贈与加算−非課税−債務葬式費用)
②課税遺産総額=合計額−基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)
③相続税の総額=課税遺産総額を法定相続分で按分し各税率(最高55%)
④各人の相続税額=相続税の総額×各人の実際取得割合
⑤税額加算・控除:2割加算(配偶者・1親等血族・代襲相続人の子以外)、配偶者の税額軽減(1.6億円または法定相続分まで非課税)、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除。
6. 贈与税(暦年課税・相続時精算課税)
暦年課税:基礎控除110万円、超過分に税率(一般税率/特例税率:18歳以上の子孫が直系尊属から)。相続時精算課税:60歳以上の親祖父母→18歳以上の子孫、累計特別控除2500万円・超過分一律20%、2024年改正で年110万円の基礎控除新設、相続時に贈与財産を相続財産に加算(ただし基礎控除110万円分は加算不要)。
7. 贈与税の特例
配偶者控除(20年以上婚姻・居住用不動産2000万円+基礎控除110万円)、住宅取得等資金の非課税(直系尊属から・省エネ等1000万円、一般500万円)、教育資金一括贈与(30歳未満・1500万円)、結婚子育て資金一括贈与(18-50歳・1000万円)。
8. 財産評価と事業承継
宅地評価:路線価方式(市街地)・倍率方式(郊外)。小規模宅地等の特例:特定居住用330㎡80%・特定事業用400㎡80%・貸付事業用200㎡50%。取引相場のない株式(非上場株式):原則的評価方式(類似業種比準・純資産価額)、特例的評価方式(配当還元)。事業承継税制:特例措置による納税猶予(非上場株式の相続税・贈与税全額猶予)。
覚え方のコツ
相続・事業承継は「民法の相続ルール+相続税の計算構造」の2段構えで学習します。まず民法で法定相続分・遺留分・代襲相続の基本を押さえ、次に相続税の5ステップ計算(①課税価格→②基礎控除→③相続税の総額→④各人按分→⑤税額控除)を型として暗記。基礎控除3000万+600万×人数、生命保険金・死亡退職金500万×人数非課税、配偶者の税額軽減1.6億の3つの数字は即答できるように。贈与税は暦年課税110万円と相続時精算課税2500万円の2本立てを表で比較。2024年改正(生前贈与加算7年・精算課税の110万円新設)は最頻出改正点なので必ず押さえる。小規模宅地の「330㎡・400㎡・200㎡」と「80%・80%・50%」の数字もセットで暗記しましょう。
よくあるひっかけ
相続・事業承継の頻出ひっかけ。①相続放棄の効果:初めから相続人ではなかったものとみなす、代襲相続は発生しない(相続欠格・廃除は代襲あり)。②遺留分:兄弟姉妹・甥姪には遺留分なし、直系尊属のみの場合1/3、その他1/2。③生前贈与加算:相続開始前3年→7年に延長、延長部分(4〜7年前)の贈与は100万円まで非課税で加算。④相続時精算課税:2024年改正で年110万円の基礎控除、これを超える部分のみ特別控除2500万円の累計にカウント。⑤配偶者の税額軽減:1億6000万円または法定相続分まで、申告要件あり(申告しないと適用不可)。⑥2割加算の対象:兄弟姉妹・甥姪・孫養子(代襲でない孫養子)・他人、配偶者や1親等血族(親子)には加算なし。⑦小規模宅地特例の併用:特定居住用+特定事業用の併用は730㎡(330+400)まで可、貸付事業用を含む場合は按分計算。⑧自筆証書遺言の検認:家庭裁判所の検認必要(法務局保管制度利用なら不要)、公正証書遺言は検認不要。⑨非上場株式の評価:同族株主は原則的評価、同族以外の少数株主は配当還元方式(特例)。
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